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2009/9/2  パソコンの調子がちょっとわるいので、ブログの更新が何日とか何十日とか止まったら、そのせいだと思ってください。                        まあ、めんどくさくなっておやすみということもありえますが。
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『伝奇集』
J.L.ボルヘス作
鼓直訳
岩波文庫 (1993)
“FICCIONES” 1944
 Jorge Luis Borges


文学部ゲームブック科の必読書。

 

『幻獣辞典』のほうを紹介してしまったが、
本当はこちらが先の予定だった。

 ボルヘスについては、作品を読んだことかなくても、
名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。

 南米を代表する幻想文学の作家で、
代表作としては、「バベルの図書館」が挙げられるだろうか。

 過去そしておそらく未来を含む、世界、いや、宇宙のすべて、
無限であるはずのものを、
有限であるはずの書物の中に封じ込めた図書館の幻想は、
ボルヘスの作品を象徴するイメージであり、
まさに物語の迷宮・迷宮の物語という言葉にふさわしい。

「八岐の園」もやはりそのような作品だ。
 そのイメージは「バベルの図書館」に勝るとも劣らないのだが、
惜しむらくは作品が、その「八岐の園」のイメージだけを語っているのではない点だ。

 物語は、

 スパイである主人公が、敵である大尉に追われて逃げ、
スティーヴン・アルバート博士の家に入りこむ。
 そこには、主人公の曽祖父、崔奔(サイペン)の作った
「八岐の園」があった……。

 そこから、
アルバート博士の「八岐の園」に関する長い挿話が始まるのだが、
これは、全体の物語とあまり関係ない。

 枠の物語は枠の物語として完結しているし、
「八岐の園」のイメージはそれだけで成立している。
 両者がかかわりあって存在していれば、
それはそれでひとつの傑作となったろうが、
そのつながりが弱いのだ。

 とはいえ、「八岐の園」のイメージは、
そうした作品としての欠点を補って余りあるものだ。

 どういう内容かは……。

 まあ、この「文学部ゲームブック科」で絶賛しているのだから、いうまでもあるまい。

 ここに描かれているのは、理想状態の分岐小説だ。

「分岐し、収斂し、並行する時間のめまぐるしく拡散する」(p.136)物語――。

 崔奔(サイペン)が13年の歳月をかけて作った、
迷宮でもあり、混沌とした小説でもある『八岐の園』とは、
まさにそのような物語だった……。

 と、言葉を尽くしても、あまり伝わらないと思う。
 やはり、実際に読んでそのイメージを感じてほしい。

 短編だから、読むのにそんなに苦ではないはずだし、
大きな本屋さんや図書館なら置いてあると思う。
手に取るのも、そんなに難しくないだろう。

 ぜひとも、読んでみてほしい。
 そして、出来得るなら、同じ本に収録されている他の作品も読んでみてほしい。

 それらもまた、
物語の迷宮と、
言葉の中に世界のすべてを押し込めようというボルヘスの幻想が
読み取れる作品であり、
ゲームブックを含む分岐小説のイメージを、
大いに広げてくれるものだと思う。


 ちなみに、山口雅也先生もこの作品を評価しておられるようで、
『生ける屍の死』『奇偶』で言及されている。

 『13人目の名探偵』も、
この作品の影響下に書かれたようだ。

「ミステリマガジン」早川書房 No.629 2008,July

「迷宮解体新書 第七回 山口雅也」
             文・村上貴史

p.9  この年(1987)にはまた、ゲームブック『13人目の名探偵』を刊行した。
 「当時は既に作家になろうと決意していたんですが、自分の作風は江戸川乱歩賞向きじゃないと思い込んでいたし、受け皿がなかったんですね。だから投稿とかも全くしていなかった。そんななかで、これは小説依頼に最も近い仕事でした。自分としてはボルヘスの『八岐の園』を意識して、時間の並行分岐的な趣向と本格ミステリの骨格をゲームという形式のなかでやったら前代未聞で面白いだろうと考えました」

 作者は、『13人目の~』のあとがきで、
ゲームブックには興味がない、というようなことをお書きになっているが、
それは、「八岐の園」のような理想状態には達していないゲームブックに対して
興味がない、ということなのだろう。

 さらにいえば、
現存のジャンル化、定型化されたゲームブックに対して
興味がない、ということなのかもしれない。
 

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藤子・F・不二雄大全集

藤子・F・不二雄
藤子不二雄(A) 著
小学館 2009/7

 




 オ~ボケなんだ
 オ~ボケなんだ
 オ~ボケなんだけれど~


というわけで買ってまいりましたよ~。

藤子・F・不二雄大全集版の
『オバケのQ太郎』[1]。

編集方式が読者に優しいですな

掲載誌別

しかも学年誌に関しては、

小学生のころ自分の読んだところだけ読めるようにと、
学年繰り上がり方式
を採用しているのだそうで。

  まっ、その方式はともかくとして、 ご主人さまは、
少年サンデー版だけ読みたかったので、
この配慮は大変うれしかったとのこと。


『オバケのQ太郎』は、
読んだこと、もしくは見たことがある方ならわかると思いますが、
『ドラえもん』とは全く異なります。

『ドラえもん』が、基本的に

のび太がボケ、ドラえもんがツッコミなのに対し、

『オバケのQ太郎』は、

オバQがボケで、正太がツッコミですかな、役割としては。

 ドラえもんは友達であるとともに保護者的な部分も持ち合わせておりますが

オバQと正太の関係は対等…。

そのため、
ドラえもんに比べオバQの方が、
独立独歩な感じがいたします。

 あと申すまでもございませんが、
のび太は消極的で正太は積極的。

 オバQは、
失敗してもあまり気にしない、
憎めないおおらかさがございますな。

 人物構成について申しますれば、
あとからできた『ドラえもん』の方がまとまっておりますな。

 オバQの方は、最初からいるのはゴジラぐらい。
あとの友達は固定されていないのですな。
 友達との関わりの重要性と申すのは、
この作品などで徐々に気づき始めたのでございましょう。

 作品的には、このあたり、
まとまっていなくて、と申したらよろしいでしょうか? 
けっこう楽しい

 コロコロコミックに載ったものなども読んでみたのでございますが、
あとで描かれた作品は、
コマ割りも『ドラえもん』のように落ち着いて、
キャラクターも安定している分、
作品的にも落ち着いた感がするのでございますな。

 その点、このあたりは、
まだまとまりがなくて、
破天荒な感じがいいのでございます。

 特に、「初期9作品」と書かれている、
連載が一度打ち切られる前の作品が、
それ以降の作品と違って面白い。


『二人で少年漫画ばかり描いてきた 戦後児童漫画史』
(藤子不二雄 文春文庫 1980/9 初出:昭和52年)によりますと、

p.232 スタゼロ雑誌部としては少年マガジンの『わかとの』で手がいっぱいだったので、今度はやむなく藤子不二雄個人で描くことにした。別に個人名義にしたからというわけではないが、再開後の『オバQ』は前回にくらべて丁寧に描いた。

とありますから、つまり
その前は「藤子不二雄とスタジオゼロ」名義だったというわけでございますな。
 その「~スタジオゼロ」名義のあたりが、その後の『オバQ』とは違うのでございます。
 
 当時「週刊少年サンデー」誌は、
赤塚不二夫先生の『おそ松くん』がギャグの看板として存在していたのだそうですが、

 連載再開後はその、

「奇人変人・狂童怪童が入り乱れてのナンセンスな大混戦のオカシサ」や、
「奇抜な言葉とギャグを機関銃のように乱射する」
といった特徴を意識し、それに対して、

「普通の子供たち」と「ごく日常的な事件」、
「ふつうの言葉をしゃべり、ギャグにしたってノンビリ、オットリムード」
にしたのだそうでございます。

「赤塚不二夫と藤子不二雄との個性、本質の違いからくるものだが、
これなら両立、共存はできる……と思った。」(以上p.232-233)
ということで。

 逆に申しますと、連載再開前のほうは、
『おそ松くん』に影響されて藤子作品らしくないドタバタな感じになってしまった、
ということなのでございましょうな。

 実際、それ以降の『オバQ』では見られないスラップスティックなギャグがあったりいたします。

でも、それがいいのでございます。

と申しますか、このあたり、スタジオゼロ作品ということで、
かなりそのメンバーの手が入っていたのではないか
と思うのでございます。

 特に2話の石ノ森章太郎先生の当時の自画キャラがたくさん出てくる
「まとめてめんどうみてよ!!」は、

(同じキャラクターが何人も出てくるというところが
『おそ松くん』に影響されたのかもという気がするのはともかくとして)

アイデア・作画ともにかなり石ノ森先生が加わっているのではないか
と思うのでございます。

 だいたい1話が完成したのは、 「〆切りギリギリ」(p.230)だったそうですし、
週刊連載でございますからな、
2話目もかなり切羽詰った状況で描かれたもの だと、
想像に難(かた)くはございませぬ。

 ですから、手の早い石ノ森先生が多くかかわったということは、充分に考えられることでございます。

 また、
「この仕事を僕たちは、スタゼロ雑誌部のためのピンチヒッターと思っていたので、そう期待をしていなかった」 (p.230)
ので、当初
「『オバQ』にアンマリ力を入れていなかった」(同、1行前)
との記述にも、それを感じますな。

 で、ご主人さまは、石ノ森章太郎先生のファンでございますから、
そういうスタジオゼロ作品としての部分が読みたかったのだと申すのでございます。

 ご主人さまは、虫コミックス版の『オバケのQ太郎』の9巻だけ
持っているのでございますが。

 その中に、「超能力入門の巻」という作品が収められているのですな。

 で、その作中作として、 「ぼくはエスパー」石林正太郎作 というのが登場するのでございますが、
そのキャラクターが完全に石ノ森先生の『ミュータントサブ』なのでございます。

 その作品を偶然どこかで目にしたので、後で古本屋さんで見つけたときに買ったみたいでございますが、

 一番最初に読んだときは、ご主人さま、

 藤子不二雄先生って、いつもはあんな絵を描いているけど、他人の絵も描けるんだ。

と、素直に感心したとか。
いや、少しは疑念を挟んだみたいでけどね。

 今にして思えば、石ノ森先生が描いているわけですな。

 道理で似ているわけでございます。

 さらに若いみぎり、はじめてマンガに接せられたころには、

藤子作品や石ノ森作品の脇役・端役に同じようなキャラクターがいること、
 それに手塚先生が、スターシステムで、同じキャラクターをいくつもの作品で登場させていたこと。
 さらに、手塚フォロワーの先生方も、
手塚先生のキャラクターに似たキャラクターを脇役・端役で使っていたこと、などから、

 脇役・端役のキャラクターは、みんなで使っているんだ。

 などと思っていたということ。
 その当時はそのような言葉は知りませんでしたか、共有ということですな。

 実際にそのような側面がないではございませんが、

ウィキペディアやファンサイトによりますと、

『オバケのQ太郎』の場合は、脇キャラを石ノ森先生がお描きになっている
そうでございますから、

そういう印象が特に強いのも当然ということでございます。

 で、やはり、そうした
藤子不二雄先生以外の方が描いた部分を探すのが、
この作品の楽しみの一つ
 と申せましょう。

 それにしても、Qちゃんが動物語をしゃべれるとか、意外に怪力
だという設定などは忘れておりました。


 あと、この巻で印象に残ったのは、

p.91 「名画を描こう」

5コマ目 Q太郎の中身下半分が見えますが、
     どことなくドラえもんに似ている……!


p.166 「オバケットに協力しよう!」

     タケコプターの前身とでもいうべきギャグが……。


p.304 「正ちゃんは名選手」

4コマ目 『ドカベン』の殿馬の秘打、
     「白鳥の湖」の前身がここに……。
     っていうことでいいのか?

     この話では、草野球の実況と解説の子供と
     プロ野球の実況と解説が、年が違うだけで
     顔は同じというギャグをやっておりますな。

     それにしても、Qキャッチング能力のすごいこと。
     プロの投球をホームランにするということは、
     まず、そのピッチャーの投げた球を、
     捕らなければならないのですから……。

 というあたりでございますか。

 それにしても、
後発であったために藤子・F・不二雄先生の作品集は立派なものになってしまって。
 藤子不二雄(A)先生のものも同じような装丁で出さないと釣り合いが取れないのでは? 
と余計な心配をしてしまいます。
 

 いずれにせよ、
これで『オバケのQ太郎』何度目かの再アニメ化への道も期待が開けると申すもの。

 いまの時代にどういう作品になるかはわかりませんが、楽しみでございます。  




 おおっ、
ププププーさま赤文字で始まりを示していてくださるから、
アーカイブが見やすい!

 ということで、
7/25日チャットの全文をお読みになりたい方は、
左のリンクから「チャット」に行って、
ずず~っと上までスクロールさせ、
紹介文を閉じたあと、
「さらに古いメッセージはこちら」のところを押してくださいな。

 別ウィンドにてどのくらいか待たされた後、
今回の場合、1001からの書き込みが読めるようになると思います。
 そしたら、1128までスクロールさせていってください。
 そこからが今月分でございます。



 今回最初の話題は、「クイーンズブレイド」
イラストではない、写真版が10月頃に出るということで、その話から。

「クイーンズブレイド THE LIVE 冥土に誘うものアイリ 森下悠里」 ですか……。

正直申しまして、わたくしは「クイーンズブレイド」シリーズはどうでもいいなぁ。
 内部にストーリーがあるものではございませんし、
システム的にも大きく変わった部分があるというわけでもございませんし。

 以前(2009/06/13 (Sat))の記事でも書きましたが、
「クイーンズブレイド」は、
ゲームブックではなくブックゲーム
というのが、わたくしの認識なのですな。
 
 要するに、本の体裁をしたゲームということでございます。
 ゲームですから、トレーディングカードゲームにも容易に変換できるわけでございますな。

 今回の、写真集ゲームブックにしても、
 どちらからのアプローチなのかは存じませんが、
どっちつかずのコウモリ……。
 いえ、一作で終わるような気がいたすのでございます。
 トレーディングカードゲームのほうにも、その他の関連にも、入れにくいですしね。
(フィギュア関連? そっちのほうは存じません)

 そうか!

 アニメの次は、特撮で「クイーンズブレイド」ということか!!

 だとしたら、楽しみでございますな。




 後半は、ゲームブック出ないね、っていう話。

 いろいろ事情はあるのでしょうが、
もう、粗製乱造でもなんでも出してほしいものですな。
 そしたら買うから。
 どんな出来でも、ネタにはなりますからな。

 あっ、そうそう。
 ただし、値段がものすごく高いのは、パスね。

「ソードワールドDS」も、ソフトだけだったら買いですが、ハードごと買うとなるとねぇ……。
 ソフトもハードもあまり増やしたくないですし……。
 とりあえず、攻略本か何かが出たら買うつもりでございます。
 シナリオを完全収録したストーリーブックとか出ないですかねぇ。

 で、はしもとさまが
「『サムライ・ソード』が一番新しいんでしたっけ」
とお聞きになるものですから、

『薄桜鬼-新撰組奇譚 ストーリーブック』(上)(下)
エンターブレイン B’sLOGコレクション
というのが、
2009/4と、2009/6に、各2200円にて出ております。

と紹介しておきました。

 好感度を上げたり、フラグを立てたりして進めていく、
女性が主人公のゲームブックでございます。

 分量は、403ページと453ページ。

 攻略本ではよくある分厚さでございますな。

 そのうち、ゲームブック倉庫番のほうに入れておきますね。



 あとは、ゲームブック倉庫番のゲームブック周辺領域の作品の扱いについて。

 それらについては、
 「ゲームブック的な作品」として、分けて紹介するのだそうでございます。

 その場合、TRPG・文学など、系列ごとに分けるとか。
 そのときは出てまいりませんでしたが、
上のようなコンピュータゲームの攻略本系列のものも
カテゴリーとして入れたほうがいいかもしれません。

 ただ、そのときも申しましたが、
わたくしとご主人さまは、
そうした周辺領域の作品については、このブログで紹介することにして、
倉庫番には書き込むことはあまりしない予定でございます。

 と申しますのは、そのときも書きましたが、もう少しはっきり申しますと、

ああいうところに書き込むのは、事実でありデータであって、
説や意見は、書き込みたくない

ということでございます。

 自分のブログででしたら、
どんな意見でも自分のものとして責任……
というか、どうとでもできるわけですが、
ああした不特定多数が共有するものの場合、
そうではないでしょうからな。

 そこらあたりに、抵抗を感じてしまうわけでございます。

 そのあたり、ご了承いただきたく存じます。

ホルへ・ルイス・ボルヘス マルガリータ・ゲレロ 柳瀬尚紀訳
(1974/12 晶文社)

Jorge Luis Borges and Margarita Guerrero :
EL LIBRO DE LOS SERES IMAGINRIOS(1967)
 


ボルヘスによる幻獣の辞典(共著)

ア・バオ・ア・クゥー(A Bao A Qu)の名とともに
この書を覚えている方も多いのではないだろうか。

 通常のモンスター事典などに採り上げられていない怪物も多く、
また他の事典が、これを資料としている例も多い。

 たとえば、RPG系のモンスター事典としては早い時期に書かれた
「RPG幻想事典」には、チョンチョンカーバンクルが載っているが、
それもこの事典から採られたものだろう。
(参考文献に挙げられている)

 特徴としては、ボルヘスがブエノスアイレス生まれということもあって、
南米の幻獣について触れられていること。

 西洋のメジャーな神話よりも、
未開社会の民間伝承が好きな私にとって、これはうれしい。

 それに、幻想文学の作家だけに、
ふつうモンスター事典では採り上げられないような
形而上の生き物や、
絵として描写不可能なもの、
幻獣とは呼びがたいもの
まで採っているのも、この辞典の独特な点だ。

 さきほど、
通常のモンスター事典では採り上げられていない怪物が多い、
と書いたのは、そのためでもある。

 ところで、この本には、ザラタンという幻獣がでてくる。

 島が実は生き物(亀や鯨)だった、という話なので、

FF24『モンスター誕生』(
スティーブ・ジャクソン)の
ザラダン・マーとは関係なさそうだ。

 とはいえ、ネーミングのヒントにはなっているのかもしれない。



 ちなみに、ア・バオ・ア・クゥー(A Bao A Qu)は、この書に拠(よ)ると

バートン
版の『千夜一夜物語』に出てくる幻獣で、

 チトールの勝利の塔に、時の始まり以来すむ生き物。
 半透明で、
何者かが勝利の塔の螺旋階段を登り始めると、
そのかかとにピタリとくっついて登っていく。
その内部にやどる光は次第に輝きを増し、
最上階までたどりついた場合、青い光を帯びた完全な形となる。
そこに到達した人間は涅槃に達し、その行為はいかなる影も投じない。
 だが、ア・バオ・ア・クゥーがその最上階のテラスに達したのは、ただの一度きりだ。
 そうならなかった場合、この幻獣は最初の段に転げ落ち、
ほとんど形のないままに、次の来訪者を待つのだという。
 からだ全体でものを見ることができ、触れると桃の皮のよう、ともいわれている。

といった感じだ。
(要約なので、詳しくは『幻獣辞典』を当たっていただきたい)

 この記事が『千夜一夜物語』に忠実な記述なのかはわからない。
少々、幻想的・文学的すぎるように思うのだ。

* と思って、少しネット上を調べていたら、こんな記事が。

「愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記」
2007-01-06 ア・バオ・ア・クゥーはどこにいる(どこにある)  


http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070106/abao

 文学的でっちあげということも大いに考えられる、とのことだ。

 ボルヘスらしい。

 少なくとも、何らかのアレンジ、もしくは創作が入っているのは確かなようだ。

 となると、他でもそれはありそうな気がする。

 誰も知らないような幻獣に、少しのスパイスを加えるのだ。

 ボルヘスならありうる話だ。



 

綾辻行人/有栖川有栖 監修(2003/5 講談社)


図書館で借りた一冊。

内容は
「新本格誕生15周年を記念して行われた謎解きイベント&トークショーをここに完全再現」
(裏表紙より)とのことだ。
 

 なぜ借りたかといえば、もちろんこのイベントの内容。
 実際どういうものだったのだろう? と興味がわいたのだ。

 会場で事件が起こって……、というようなものではないにしろ、
舞台の各部屋を歩き回って情報を探し、
それらをヒントに犯人とその証拠を掴(つか)んでいく
というようなものかと思ったのだが、そうではないらしい。
 そうしたライブRPGのような演劇的なものではないようだ。

 簡単に言えば、ファンと作家の交流イベントに、
推理ゲームが組み込まれているというべきか――。
 交流イベントと推理イベントの比重は同等、
というか、混ざりあっている感じだ。

 具体的な流れとしては、

 1日目

1) 事件のあらましが、ビデオレターとして映像で流される。

2) 船内に掲示される情報や、配られるヒントを入手し、
   事件の謎を推理。

3) 綾辻行人先生と有栖川有栖先生の部屋に分かれて情報入手。
   (両方には行けない)

4) 「逮捕状」(推理した結果を書く紙)を入手する。

 2日目

1) 推理した結果を「逮捕状」に書いて提出。

2) 解決編、
   表彰式

 で、その合間に作家の方々のトークショーがあり、
 そのほかの時間は、推理にいそしんだり、
作家の方々との交流の時間
(サインもらったり、お酒飲んだり、カードゲームをやったり、麻雀したり?)
……という感じらしい。

 1日目の(3)は、どちらかの先生を選ぶということで選択分岐になっているが、
どちらを選んでも、有利不利はない。
 ちよっとつまらなくもあるが、そのあたりは公平にということなのだろう。
 まぁ、ハプニングで、どちらかの先生がぽろっと重要なヒントを言ってしまう、
という可能性もなきにしもあらずの場面ではあるが、
さすがにそのようなことはなかったようだ。

 即興劇的な予測不可能なイベントがないので、ライブRPGに比べて、
運営的にはスムースなのだろうな、とおもう。

 共通の趣味の人が集まるのは、それだけでも楽しいことではあるし――。

 事件という共通の話題があれば、それがきっかけとなって話も弾むことだろう。

 でも……、やはり期待してしまうよね。
 船上とか閉ざされた空間で推理イベントとなると、ライブ感覚のあるやつを。

 さて、
 この回の「ミステリーイベント」
 最優秀名探偵賞、つまり、もっとも正解に近い答えを出した方は2人
――といっても夫婦だというので、実際には1つの解答といっていいだろう。

 多数の参加者の中で、ただ1つの解答のみが正解というのは、
まさに絶妙のバランスというべきではないだろうか。

 有栖川先生が「難しくないから」(p.20)とおっしゃっているように、
解決編を見れば、特に難しい部分というのはない。

 密室トリックも王道なものだし、
犯人も、正解者が気づいた点に気がついて、
それがどんな意味かを考えていけば、解ける問題だと思う。

(思う、というのは、はなッから推理する気なしに読んでいたので、
いまひとつどうかわからないのだ)

 ところで、このご夫婦、パソコン通信時代のネットのゲームで知り合ったという。
 もしかすると、
非電源ネットゲームがインターネット上のネットゲームに移行したころの
ネットゲームをやっていたのだろうか?

 あと、もう一つちょっとした疑問。
 このイベント、東京と神戸で2ヵ月半ほど期間を離してやっているが、
情報が漏れてしまうことはなかったのだろうか?
 まぁ、根本にかかかわることだから、そこらへんは上手くやっているのだろう。
問題をさしかえたということもあり得るし――。
 


(イベントデータ:p.6より)

 新本格誕生15周年記念イベント

新本格 ミステリフェスティバル

(東京)
日程 平成14年10月10日~11日
場所 客船 ふじ丸

出演  綾辻行人  有栖川有栖
     山口雅也  竹本健治
     二階堂黎人 倉知淳

ゲスト 喜国雅彦  ヒロ・サカイ

司会  九十九一

(神戸)

日程 平成14年12月28日~29日
場所 ホテルオークラ神戸

出演  綾辻行人   有栖川有栖
     法月綸太郎  我孫子武丸
     麻耶雄嵩   太田忠司
     西澤保彦

ゲスト 喜国雅彦  ヒロ・サカイ

司会  九十九一


ミステリ作家殺人事件「隠されたメッセージ]

キャスト 九十九一 渡部雄作   貴山侑哉
      西岡隆浩 岡部たかし  古賀清
      岩谷健司 渡部友一郎  金谷真由美

  監修:綾辻行人 有栖川有栖

  企画・構成・脚本:城島和加乃

     脚色・構成 :かとうだい

脚本・映像監督・演出:青柳省吾

ツールテザイン    :五本木進 浜田親彦

企画制作        :イーピン企画

協力           :講談社

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