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2019/02/22 パソコンのキーボード。かなで打つ場合、シフト+「は」で、小さい「ゎ」になるのはご存じですか?                    ですから、「AFF」を間違えてかなで打つと「チヮヮ」に――。

ホルへ・ルイス・ボルヘス マルガリータ・ゲレロ 柳瀬尚紀訳
(1974/12 晶文社)

Jorge Luis Borges and Margarita Guerrero :
EL LIBRO DE LOS SERES IMAGINRIOS(1967)
 


ボルヘスによる幻獣の辞典(共著)

ア・バオ・ア・クゥー(A Bao A Qu)の名とともに
この書を覚えている方も多いのではないだろうか。

 通常のモンスター事典などに採り上げられていない怪物も多く、
また他の事典が、これを資料としている例も多い。

 たとえば、RPG系のモンスター事典としては早い時期に書かれた
「RPG幻想事典」には、チョンチョンカーバンクルが載っているが、
それもこの事典から採られたものだろう。
(参考文献に挙げられている)

 特徴としては、ボルヘスがブエノスアイレス生まれということもあって、
南米の幻獣について触れられていること。

 西洋のメジャーな神話よりも、
未開社会の民間伝承が好きな私にとって、これはうれしい。

 それに、幻想文学の作家だけに、
ふつうモンスター事典では採り上げられないような
形而上の生き物や、
絵として描写不可能なもの、
幻獣とは呼びがたいもの
まで採っているのも、この辞典の独特な点だ。

 さきほど、
通常のモンスター事典では採り上げられていない怪物が多い、
と書いたのは、そのためでもある。

 ところで、この本には、ザラタンという幻獣がでてくる。

 島が実は生き物(亀や鯨)だった、という話なので、

FF24『モンスター誕生』(
スティーブ・ジャクソン)の
ザラダン・マーとは関係なさそうだ。

 とはいえ、ネーミングのヒントにはなっているのかもしれない。



 ちなみに、ア・バオ・ア・クゥー(A Bao A Qu)は、この書に拠(よ)ると

バートン
版の『千夜一夜物語』に出てくる幻獣で、

 チトールの勝利の塔に、時の始まり以来すむ生き物。
 半透明で、
何者かが勝利の塔の螺旋階段を登り始めると、
そのかかとにピタリとくっついて登っていく。
その内部にやどる光は次第に輝きを増し、
最上階までたどりついた場合、青い光を帯びた完全な形となる。
そこに到達した人間は涅槃に達し、その行為はいかなる影も投じない。
 だが、ア・バオ・ア・クゥーがその最上階のテラスに達したのは、ただの一度きりだ。
 そうならなかった場合、この幻獣は最初の段に転げ落ち、
ほとんど形のないままに、次の来訪者を待つのだという。
 からだ全体でものを見ることができ、触れると桃の皮のよう、ともいわれている。

といった感じだ。
(要約なので、詳しくは『幻獣辞典』を当たっていただきたい)

 この記事が『千夜一夜物語』に忠実な記述なのかはわからない。
少々、幻想的・文学的すぎるように思うのだ。

* と思って、少しネット上を調べていたら、こんな記事が。

「愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記」
2007-01-06 ア・バオ・ア・クゥーはどこにいる(どこにある)  


http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070106/abao

 文学的でっちあげということも大いに考えられる、とのことだ。

 ボルヘスらしい。

 少なくとも、何らかのアレンジ、もしくは創作が入っているのは確かなようだ。

 となると、他でもそれはありそうな気がする。

 誰も知らないような幻獣に、少しのスパイスを加えるのだ。

 ボルヘスならありうる話だ。



 

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『痴愚神礼賛』エラスムス
"Encomium Moriae " by Desiderius Erasmus (1509)

      (渡辺一夫・二宮敬訳 中公クラシックスW47  2006年4月 中央公論新社)

メリーハッピーオールフールズディ!!

                                                         道化の真実にございます。

 一年の中でもっとも讃えられるべきこの日が、割と軽い扱いになっているのは、悲しいことでございますな。
 それはおそらく、痴愚の女神様のことを、皆さんがご存じないからだと思うのでございます。
 
 ということで、
 わたくしの敬愛いたします神痴愚女神さまが自らそのすばらしさを讃えた講演をご紹介いたしましょう。
 それをエラスムスというかたがまとめたのが、この本にございます。

MORIAなどと申しますと、毛嫌いする方もいらっしゃいましょう。
Moriae とは、ギリシアの言葉で「痴愚・狂気」を表す言葉でございますから、悪いイメージとして描かれることが多いのでございます。

『指輪物語』では、バルログ潜む地下坑道の名でございますし、
シャーロキアンにとっては、19世紀末に君臨する「犯罪界のナポレオン」として知られる、
モリアーティ(James Moriarty)教授をイメージさせるものですからな。

ですが、
痴愚の女神であるMORIAさまは、
実に陽気でほほえましい方なのでございます。

痴愚女神さまは主張します。
人生のあらゆる良いことはすべて、私のおかげだ (p.35)と。
まったくもってして、これはそのとおりでございますな。
 気むずかしさや考えすぎは、賢(さか)しさ∴(ゆえに)生まれるものでございますし、
それさえなければ気に入らないことや悩みなども生じなくなりますからな。
まことに至言と申せましょう。

 もっとも、「ありとあらゆる良いこと」ばかりではございません。

痴愚の女神さまの司ることは、ありとあらゆることであり、その中には、悪いこともございます。

 自分を賢いと思っていらっしゃる方も、別の面から見ればおろかでございますし、
 世の中の腐敗や悪徳も、すべて愚かしさゆえに起こること。

 そのような世間のありように、
 女神さまもあきれかえり、手に余る、もしくは手に負えないとでも申したいご様子。 
 講演の後半では特に、そのような愚かしさに、いつもは明るくほがらかな女神さまの口調も、ついつい厳しいものとなってまいります。
 

この講演が記されたのが1509年と申しますから……。
おおっ、今からちょうど500年前のことではございませぬか!!
 この書を読んでおりますと、
 そのときから現在に到るまで、いや、おそらくそれ以前も、今以降も、人間と申す存在は、
変わらなかったし、変わっていかないだろうなと、痛感する次第でございます。

              ☆     ☆     ☆


推理小説をたしなむ方なら、ギルバート・ケイス・チェスタートンという名をお聞きおよびになったことがあるやもしれません。
『ブラウン神父』シリーズや、『木曜の男』などを著した方で、江戸川乱歩先生をして、トリックの創案率では随一、と言わしめた方ですな。

 わたくしとしては、トリックの案出と申しますよりも、
 何でもない出来事をレトリックによってトリックにしてしまう
と申したほうが正しい気もいたしますが、まあ、大同小異、針小棒大、大して違いはございませぬな。

 そのチェスタトン先生の作品
(わたくしは、推理小説よりもこの方のエッセイのほうが好きなのでございますが)
が好きならば、この講演集も絶対楽しく読めるはずでございます。

 この書は長らく文庫としては絶版になっておりましたものでございますから、わたくしのご主人様などは、かなりくたびれた岩波文庫版を古本屋さんで……900円ぐらいかな? 手に入れたものでございますが、2006年に中公クラッシックスで復刊されることになり、誰でも比較的容易に手に入れることができるようになりました。
 いい時代になったものでございます。
 きっと図書館にも置いてあることでございましょう。
 なければ、リクエストすれば、入れてもらえることでしょう。
 わたくしといたしましては、ぜひとも多くの方に読んでいただきたい所存でございます。

 * 本の年譜では"Encomium Moriae "となっておりましたが、   ウィキペディアでは"Moriae encomium"……。
 どっちなのでございましょうなぁ。
 

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