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2025/05/29 『ボツ』鳥嶋和彦:著 天野龍:聞き手・構成(2025/5/小学館・集英社プロダクション)。面白くて一気読みでした。 インタビュアーがちゃんとした下調べをしており、ちゃんとエピソードを拾っているのがまずよろしゅうございますな。この内容、このまんま脚本化して、すぐにでもドラマ化出来そう。半沢直樹さんのシリーズとかが一番近いかな? ただ、ドラマ化すると、イケメン俳優が何かカッコいいこといいながらつぎつぎと問題を解決していくような話になりそうな感もございまして、それは違うかな、と。その場合は鳥嶋氏が『ボツ』を出してくることでございましょう。いや、それ以前に企画そのものを止めさせそうな気もいたしますが。
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(「定義2:「定義」より続く)

 ゲームブックとは

パラグラフによる分岐を含む本の体裁をしたエンターテイメントで、
分岐を読者(=プレイヤー)が選択していくことによって
物語が進展していくタイプの小説

 である。

 これが、前回示した、わたくしの「ゲームブックの定義」でございましたな。

 では、この文を順番に解説していくことにいたしましょう。

 まず、パラグラフによる分岐
 
 バラグラフは「節」とか、「段落」とか、訳されますな。
 つまり文章のひとかたまりでございます。
 そのひとかたまりの文章のあとに「選択肢」というものがある--。
 これが、ゲームブックの基本的な形式でございます。

 次に、本の体裁

 これは、ゲームブックの範囲に関する限定でございます。
 つまり、その他の表現方法、
 CDやDVD、電話機を利用したもの、それにコンピュータゲームにも、
同じ、もしくは似たようなものもございますが、
 それらは周辺ジャンルとして考えます。

 なぜ分けて考えるのか。
 一つには、そうしないと収拾がつかない、ということがございますな。
 ゲームブックの中だけでも、いろいろなものがございますのに、そこまで手を広げていられない、ということでございます。
 それに、そういうジャンルまで広げると、どこまで手を広げたらいいかわからない、ということもございます。
 あとは……、わたくしがそんなに詳しくないということもございますな。
 そのあたりが、実は本当の理由だったりして--。
 ただし、それらをゲームブックの定義に入れないからといって、そういうものに言及しないと申すわけではございませぬ。
 周辺ジャンルとしておそらく話が及ぶことはございましょう。

 それから、エンターテイメント

 つまり、娯楽を主体としたものである、ということにございます。
 これは、説明のための文章や、実験的な文学作品を除くという意味合いから加えられた項目にございます。
 たとえば、RPGの戦闘ルールを説明するために、パラグラフ分岐型の文章が使われる場合がございますな。
 こういうものは、ゲームブックの物語的側面を欠くものなので、除外させていただきます。

 実験的な文学作品における分岐的要素についても、娯楽的要素を欠くという意味合いから除外するのでございますが、
『文学部ゲームブック科』という題目をつけた以上、関連事項として、触れていく必要もございましょう。

 不勉強ゆえ、あまり多くは、そして体系的には語れませぬが、
 ご教授と暖かい目をお願いしたいところでございます。

 もっとも、このエンターテイメントと非エンターテイメントの間には中間領域が存在し、すっきり分けて考えることができない部分もございます。
 まっ、ジャンルわけと申すものは、そんなところもの。
そこらへんは、適当に--と申しますと人聞きが悪うございますから、臨機応変ということで。

 そして、読者と申しますか、プレイヤーと申しますか、そういう存在が分岐を選択するということ。

 つまりは、
「主人公は君だ」とか、
「あなたが物語の展開を決定する」
とか、惹句される部分でございますな。

 これを定義の中に入れるのは、
 一つには、説明的な分岐型の文章を省くためなのですが、
 もう一つ、読者の選択を必要としない分岐小説を除外するためでもございます。

 たとえば、途中から文章が二段にわかれて、二つの別の物語が同時進行する小説などございますな。
 そういうものは、主人公の行動で物語が分岐しているわけでは必ずしもございませんし、どちらを選択するかを、とくに読者に求めているわけではございません。

 説明的文章にせよ、文学としての分岐小説にせよ
「エンターテイメント」という条件で除外されているわけでございますから、
この項目は必要ないとも申せますが、
こういう意味あいからも、これらのものは除外されるという点、
それにゲームブックとそれに似たものとは何が違うかを考えるという点からも、
この条件は必要と思い、残すことにいたしました。

 ただゲームブックも、分岐の選択とは関係なく全体を読むということも
一つの楽しみではございますけれどね。

 最後に、「小説」という単語を入れました。

 物語でも良かったかな、とも思いましたけれど、小説と。
(とは申せ、小説と物語の違いについては深く立ち入るつもりはございませぬ)
「文学部ゲームブック科」を名乗る以上、ゲーム性よりも物語性を中心に話を進めていきたいので、この一語を入れることにいたしました。
 バックストーリーはともかく作中に物語としての展開がない『クイーンズブレイド』シリーズあたりは、この条件からすると危うくなりますが、
形式的にパラグラフ選択式であり、出版社が主張しているせいもあってか、一般的にゲームブックと認められておりますので、ぎりぎり崖のふちあたりでゲームブック、としておくことにいたしましょう!

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