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2024/05/05 國學院大學博物館を紹介した番組(Bs-12)で、縄文時代の火炎土器について、「土器のガラパゴス化」とおっしゃっておりました。なるほどー。日本人って先史のむかしから、独自の発展をさせることに長けていたのでございますな。
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究極のゲームブックシリーズ最強最悪の信長軍
『天下分け目の頭脳戦
 最強最悪の信長軍を倒せ!』
瀬多海人:著
(池田書店/2024/3)
 
 
 
196パラグラフ、一方向移動型。
フラグ、パラメーター要素なし
 
子供むけの安易なゲームブックかと思い始めたら、
面白かった
  
 
 主人公は12歳。マンガや小説を読みながら、
もしも戦国時代に生まれていたら……、
などと考える日本史が好きなごく普通の中学生だ。
  
 それがある日、目を覚ますと
美濃斉藤の分家筋の嫡男、
斉藤龍高として生まれ変わっていた。
  
 時は永禄10(1567)年
斎藤道三はすでに亡く、その孫、斉藤龍興が美濃を治めている。
 その美濃国についに織田の軍勢が攻め入ってきた
  
──と、そういう状況で物語はスタートする。
 
 


 俺=斉藤龍高はおそらく現実には存在しない人物。
「イレギュラーな存在が歴史を変えてしまうのは
 フィクションの世界ではよくある設定だ」と、俺も言っている。
  
 そういうのって、
主人公の行動が歴史に影響を与えて変わってしまうのが普通だと思うが、
この物語ではそれ以上、設定的な部分でもいろいろと違うような気がする。
  
 物語上のアレンジの範囲なのかもしれないが、
歴史の一地点にタイムスリップでもなく、全くの異世界に転生でもない、
世界がすこしだけ違うパラレルワールドに生まれ変わるというのは、
実はちょっと珍しいかもしれない。
  
 まぁそれはさておき……でもないのだが、
信長は歴史上野望半ばにして亡くなるのに、
わざわざ倒す必要なんてあるんだろうか?
そう思って進めていくと……、すごい改変をやってきた。
ああ、そう来るか、と感心したものだ。
  
 それも主人公の行動によるものではない。
 なのでこの作品は歴史改変ものというよりは
パラレルワールドものと言えるだろう。
  
 その大きな改変から、作品に目を離せなくなった。
歴史がどう転ぶか、まったく予想がつかなくなったからだ。
  
 とはいえ、それぞれの武将の思考方法はそんなに変わるわけではない
(作者の考える範囲でだが)。
信長は信長の思考方法で攻めてくる。
  
 主人公は転生前の記憶が残っているため、
その現実の知識を活かして選択をしていくことになる。
  
 それがままならないこともあるのだが。
  
 その選択によってマルチに展開していく物語が面白い。
  
 学研「シミュレーション歴史ブックス」(1987-1990)シリーズのような
極端なものはないが、その分岐していく物語が楽しい。
  
ゲームブックにはあなたは死にました的な終わり方をするエンドも多いが、
それじゃ味気ないものね。
  
フローチャートはこちら
  
 選択に関しては一人称であることを上手く生かしているように思う。
  
 ゲームブックは「君」「あなた」と二人称の呼びかけがよく使われる。
その場合、文章は地の文で状況を説明し、あとはプレイヤーの判断に任せる、
というのが一般的だ。
  
 それに対してこのゲームブックは一人称。
 歴史好きの中学生というキャラクターを設定し、
その主人公の考えたこと、感じたことを文中に書き、
それに基づいて選択をさせている。
 この方法が一人称のゲームブックとしては正解なんだろうな、と感心した。
  
 では三人称のゲームブックはどうだろう。
 客観的な状況も描け、内面も描ける三人称は、
両方のいいとこ取りができるような気もする。
  
 ただ、その分どちらのいい点も薄くなってしまうようにも思う。
  
 例えば、主人公の内面を描くにしても、「と、○○は考えた」では、
どうしても心情に寄り添ったものとは成りにくいだろう。
  
 やり方はあると思うが、むしろ完全客観にして、
神の視点のゲームブックにしたほうがいいように思う。
  
 以前紹介した筒井康隆先生の「デマ」などのように、
主人公の行動ではなく、俯瞰的な状況を選択することになるので、
ゲームブックとは異なるものになるかもしれないが。
  
   
☆ ところで「最強最悪の信長軍」とタイトルにあるとおり、
このゲームブックで信長は、ただただ強い敵としてのみ描かれる。
セリフもないし
残虐で容赦ないと云われるとは書かれているが、具体的な描写も多分ない。
  
 これだけ単純に敵として存在する信長というのも珍しいのではないだろうか。
  
 意外となかった気がする。

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