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2024/09/21 ところで「豹」は訓読みで何と読むかご存じですか? 答は「なかつかみ」。まぁ、読めっこない。 なんでも陰陽道で方位を司る八将神(はっしょうじん)という神さまたちがおられるのでございますが、その中の一柱が計都星を司る豹尾神(ひょうびしん)。この神さまが八将神の中央に位置するため「なかつかみ」というのだそうな。どうまん中かと調べてみますと、八柱を円に並ばせた場合の真下みたいですな。 ただし方角的には常に変わっているので、別に南と結びついているわけではないようでございます (そもそも北を上とするようになったのは、大航海時代みたいでございますしね)。「なかつかみ」は『日本書紀』にも登場する古い言葉でございます。もっとも、尾とあわせて出てきているので、当時の方はこの八将神からしか豹のことを知らなかったかもしれませんし、尻尾しか見たことなかったのかも。
[23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33]
ゲームブッククイズ(123)

スティーヴ・ジャクソンの『ソーサリー』」(東京創元社)の前書きでは、

ゲームブックを
 
小説が(    )式のゲームとドッキングしました」

と説明している。

カッコの中に入る言葉は何?

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というわけで、四コマ。

一月のうちはお正月ですよね!!

お正月ですから

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なぜだろ? 

(というわけで、またまた、上に書ききれなくてこちらへ)

 
 ちなみにでございますが、「遊演体」の名前の由来は、諸説あるとのこと。

 中国語でRPGを表記するとそうなるのではという説とか、
夢の遊民社とアングラ劇団の名をかけ合わせたという説とか……
 
(p.50 遊演体代表取締役・足立旬一氏インタビュー
   『メイルゲーム完全ガイド』スタジオ・ハード・編/朱鷺田祐介・監修
    (コーエー/1995/12))。



 さらにちなみに、
むかし遊演体の方がおっしゃっていたのを聞いたことがあるんですけど、
会社がものすご~く上手くいった場合には、
遊園地を作るなんて構想もあったそうでございます。
 
 
 ですから、SCRAPでやっているリアル脱出ゲーム
あれみたいなことをそこでやるつもりだったのでは
ございませんでしょうか。
 
 遊演体がネットゲームを打ち出したときのキャッチコピーが、
ロールパフォーマンス」と申しまして、
日常に近い世界設定”ライブ性“を重視したそうでございますから……。

(同p.104 門倉直人特別寄稿
 本音で打ち明ける”ネットゲーム“の「始まり」そして「これから」)、
 
 
 やろうとしたのは、脱出ゲームではないかも知れませんが、
 意図は、リアル脱出ゲームに受け継がれている感じでございますな。
 
 
(リアル『蓬莱学園』とか?……。無理でしょうなぁ、やはり)
 
 
 

 ちなみに、こちらが「タクティクス」誌1988/9月号(No,58 /ホビージャパン)
に掲載された、記事「始動!! ロールパフォーマンス」(p.113)
  
 遊演体 ネットゲーム
 
  
 宣伝記事でありつつ、企画書そのまんまという感じでもございますな。
 全文掲載しようかとも思ったのでございますが、
 だいたい、このページでそのあとの要約は終わっています。

 あとは、最終章。
 マルチメディアの活用として、雑誌のマンガや読み物の中にヒントを仕込んだり、
伝言ダイヤルを活用したり、といったようなことも考えていたようでございます。
 
 まぁ、だいぶサバ言っているような気もいたしますが、
 実に大きな絵を描いておりますな。
 
 でも、今一度検討すれば、
 当時は技術的に簡単にはいかなかったこともございますし、
 新しい何かが生まれるかも知れません。
 
 それが、過去の形とはまったく違った何かとなることも、
十分に考えられる話ではございますな。



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 上に書くつもりでしたが、
自分用のメモを加えたら長くなってしまったので、こっちで。
 
ということで、
 
 
 「バラエティ」誌で、つい見てしまったのは、
 大友克洋先生の「饅頭こわい」
 
いろいろなマンガを、図解あり考察ありで
パロディ的に紹介していたコーナーでございます。
 

 下の「自分用のメモ」に、自分が持っている「バラエティ」誌に載っていた分の
リストを置いておきますが、これを見ると
大友先生がホントにいろいろなマンガを読んでいることがわかりますな。
 
 他の人のマンガを紹介したところではない部分は、単行本に載ったことが
あったと存じますが(立ち読みなので記憶のみ)、
なぜか全体が刊行されたことはないのですな。
 
 非常に残念。
 
 刊行が待たれる作品のひとつでございます。

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 年末にできなかったので、一念発起して部屋の片づけ……。

をしようと思ったのでございますが、むかしの雑誌とかを見ると、
ついつい読み込んでしまいますな。
 

 奥の方にしまってあった
角川映画の雑誌「バラエティ」を出したら、案の定時間がどんどん……。
 
 片付けはいつになることやら。
 
 この「バラエティ」。
誌面の前半分(と、印象で書いたけれど、それほど多くはございませんでした)は
映画の紹介で占められているものの、
後ろ半分はいろいろと楽しい記事が目白押しで、
映画など興味のないわたくしでも楽しめた雑誌でした。
 
 角川のお家騒動前の「コンプティーク
(要するに、リアルタイムでゲームブックを楽しんだ世代の方に
 なじみ深いころの、でございます……)が、
その雰囲気を受け継いでおりましたな。

 

 
 で、その「バラエティ」誌の1982年の中に見つけたのが、
この、「M.Q.P.争奪戦」というコーナー。
 
 
「バラエティ」誌1982/4  
 
 6回に分けてクイズを出題し、
連続正解者のトップを決めようという企画でございますな。
 
どうやら、3回目で大ポカが入ったらしく、
結局7回の出題になったみたいですが……。
(その、訂正が入っただろう8月号は今回見つけられませんでした)。
 
 その問題作成を担当された方が、上に上げた資料にも書かれておりますとおり、

奥谷敏彦」という方。
 
 この方って、奥谷晴彦先生や奥谷道草先生と
何か関係があるのでございましょうかねぇ。
 
 ぐぐってみますと、
現役で迷路絵本などを作っていらっしゃるパズル作家のご様子。
 
 まったく、ゲームブックにしか目の行かない
 わたくしの不勉強のいたりでございました。
 
 それにしても……。
 
 偶然の一致なのでしょうかねぇ、
 やっぱり。
 
 
 

 ☆ ところでこの「MQP」。
   たいていがまともなパズルなのですが、
たまに「キミの超能力を試せ! スーパーインスピレーション」と称して、
まったくのカンに頼るしかないものを出してくることがあるのでございますんですよね。
 正解者をふるい落とすため、のようでございますが、
参加者は理不尽なものを感じたかも……。
 
 理不尽さでは、ゲームブックも負けてはいませんけれどね。
(ゲームブックは、この頃まだ日本にはほぼ存在いたしませんでした
(学研の「ジュニアチャンピオンコース」ぐらいかな?)が……)。
 
 
 
 
 
 それはそれといたしまして、
このような読者参加企画が、遊演体のネットゲーム(大規模メールゲーム)に
つながっていくのでございましょう。
 
 

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『脱出:ザ・ブック ダヴィンチ学園の謎』
著:アンナ・マイバッハ、インカ&マルクス・ブラント
翻訳:ミッテンドルフ夕起子
監修:安田均/グループSNE
(KADOKAWA/2018/11)


 一方向移動/可・不可型

 物語を読んでいくと謎があり、それを解くと次のページへとジャンプできる仕組み。
 パラグラフジャンプはあるものの、ゲームブックではなくパズルブックでございますな。
 

で、
 跳び先を知る方法に工夫がございまして、
暗号解読窓にバーを差し込んで、
それで出てきた数字のページに向かうのでございます。
ページの下には記号が書かれていて、
その記号が暗号窓に出てきたそれとちがっていればハズレ。
その答は間違い。
 記号が割り符となっているのでございますな。
 
 この本には、コーデックスという16ページの別冊がついておりまして、
パズルは本編とその小冊子を見ながら解いていくわけでございます。
 
 問題とストーリーの関連は、算数のテストほど。
 つまり、関連づけられてはいるものの、
それほど考慮しなくてもいいぐらい、ということでございます。
 まぁ、プレイした範囲でではございますが。
 
 さらにこの小冊子には、
解答へのヒント」というページがございます。
そこにはそれぞれの問題について3つづつ、銀色の丸がございまして、
それを削ると、左から順に、第一ヒント、第二ヒント、解答が出てくるという。
まぁ、銀けずりですな。
 
 それをいくつ開けないでできるかというのが、
この本のゲーム性となっているのでございます。
 
 
 ストーリーはと申しますと、
 
 修学旅行の日、ルカ(主人公)、ベン、ミナの3人は、
学校の地下にある「物理教室U」に閉じ込められてしまった。
バスが出るまでにここから脱出しなければならない。
 
 てな感じ。
 
 そしてそこにはどうやら、
夏、主人公が転校してきたばかりのころ起こった
学校の募金イベントでの強奪事件が関連しているらしいのでございますが……。
 
 文の調子は、まさに外国のジュブナイルといった感じでございます。
 ゲームブックで言えば、バンタム社のゲームブックを翻訳した
講談社の「アドベンチャーブックス」シリーズでございますな。
 
 訳の問題ではないのでございましょうが、
わたくしにはどうにも読みにくく感じられました。
 
 なんであちらのこういった話って、家族の話から入るのでございましょうかねぇ。
 日本のラノベなんて、家族といえば出てくるのは妹。
それも特殊な妹だったりいたしますのに、ねぇ。
 
 物語の流れに水をさすように、
キャラクターのちょっとしたエピソードをはさむのも苦手。
 文化的な違いもございますし、物語が頭に入って来づらく、
どうにも乗れないのでございます。
 
 謎は物語とそれほど関係ないので問題ないとも申せますが、
モチベーションというものがございます。
やはり先を読みたいと思わせるリーダビリティは必要ですよね。
 
 加えて、謎が解けると、話が勝手に進んでしまうのも調子が狂ってしまいます。
 ゲームブックなら選択肢があるところを、
主人公がどんどん行動してしまうのですな。
つまり、主人公がきみではないのでございます。
パズルを解くときだけは主人公はきみとも申せますが、
問題と答が、話にぴったりと入り込んでいるわけでもない……。
 パズルブックとしては、それが当然なのかも知れません。
 ですが、もう少しスムーズに謎をストーリーに溶け込ませている作品は、
他にあると思うのでございますが……。
 
 
 とりあえず、やってみることにいたしました。
 方針としては、銀けずりなし、なるべく本を切ったり折ったりしない路線で。
 
 コーデックスも本から外さないつもりでいたのでございますが、
やっているうちに自然に取れてしまったので仕方ございません。
 
 コード解読用のバーは、
切り取らなくても、法則さえ覚えておけば、メモで対応できます。
とは申せ、カン違いで間違えることは多いので、
本の指示どおりに使った方が無難ではございますけどね。
 
 
 
 一問目。脅迫状。これは簡単。
 
 
 二問目。清掃順路。やってみればすぐできます。
 
  
 三問目。机の並び替え。これには詰まりました。
 切り取らないと、ちょっと厳しい。
 てなわけで、103ページをコピーして切りとって並べてみることに。
 出てきたものは、絵に描いてやってみたのとそれほど変わらない答でございました。
 つまり、問題は、その答をどうするか、だったのでございますな。
 考えても分からなかったので、結局銀けずりを見ることに――。
 とは申せ、剥がすことはいたしませんでした。
 この銀けずり、真ん中に小さく数字が書かれていて、
そこだけ銀が印刷されていない、窓になっているのですな、
そこから一文字ぐらいが見えるのですが、
その文字を頼りに答を導き出したのでございます。
 
 ですから答は出たものの、どうしてそうなのかは、よく分かりません。
 
 
 四問目。2枚のメモ。
 インクのシミがついたメモと、詩のような文章。
これをポメラに書き写している間に、解法に気がつきました。
 
 五問目。「3人は完璧だった」。
 最初にやってみた方法が違っていて、もうひとつの方法を試して成功。
 ただし、最後のところで間違えてしまいました。
 ごくごく単純なミスですが。
 結局、銀けずりは使いませんでしたが、パラグラフ総当たりで次を見つけ、
なんだそこで間違ったのか、とガッカリした次第でございます。
 
 
 六問目。3枚の四角い紙。
 普通の四角い紙を用意して、
 実際にやってみればできるので難しくはございませんでした。
 順番さえ分かれば答えは出ましょう。
 こういう問題は、手を動かす楽しさがございますな。
 
 
 七問目。ベルヌーイ効果。
 最初、他のこと考えていて解けませんでしたが、ページをすこし曲げてみて解決。
これも順番にとまどう問題でございます。
 
 八問目。物理教室の見取り図。
これ、本を買ってすぐに気がついたのでございますけれどねぇ。
すっかり忘れておりました。
暗い部屋でやっていたのも、間違いでしたな。
 実際、そのことは考えに入れていたので、本当なら気がつけたはずなのでございますが……。惜しい……。くやしい。
 てなわけで、結局これもパラグラフ総当たりで――。
 
 
 
 九問目。成績表カードゲーム。
 面倒。やる気が起きませんでした……。
 おそらく切り取って手を動かせば、
何とかなるものなのでございましょうが……。
 
 というわけで、ここまで。
 
 全十問なので、あともう少しなのではございますが、もういいかな。
 
 感想を書くために急いでやったということはございますが、
まぁわたくしごときはこの程度のものでございましょう。 
 わたくしは、ゲームブックのファンではございますが、
パズルゲームのファンではございませんし。
 
 裏表紙を見ますと初級となっておりまして、
たしかに切ったり折ったりすれば数字を出すのは難しくないだろうと感じました。
 (とは申せ、最後はさすがにむずかしそう……)
 暗号窓を使うだけに、その並びに工夫がございますけれど。
 
 ただ、外国産の初対面のパズルだけに、
余計なことを勘ぐってしまうということはあるかもしれません。
 外国産に限らず、大抵の初見のパズルについて、
それは申せることではございましょうが。
 

 
 というわけで。
 
 
 140ページぐらいプラス小冊子16ページで問題数10問
 それがどうか、ということはともかくといたしまして、
 先ほど書きましたとおり、
 ジュブナイルな感じが、
 わたくしにはどうも合わない作品でございました。
 

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2018/12/02 (Sun)の記事
移動型について[移動型のTPO]
の続き。

 
 
今回は一方向移動型下位分類について。
 

 一方向移動型は、次の種類に分けて考えます。
 
 
1) 直線
 
2) 可・不可
 
3) 単純
 
4) 基本
 
5) 平行
 
6) 拡散収縮
 
7) 拡散

 
 
 名前から分かる物は多いと思いますが、簡単に説明していきますと、
 
 
 
1.直線
 
 パラグラフジャンプがあるなしにかかわらず、まったく分岐しないものを指します。
 まぁ、小説ですね。
 それはゲームブックではないだろうという声もあるでしょう。
 ですが、これに近いものがあるのは事実です。
 
 それに、この分類を入れることで、
小説も視野に入れてゲームブックを考えられるという利点もあります。
 
 さらに、移動型の分類は、部分について使う場合もあります。
 
 たとえば、パラグラフ34までは直線型だが、
その後基本的な型になるといった具合ですね。
 
 そのようなときのために、この分類項は必要なのです。
 
  
 

2.可・不可
 
 選択肢が複数あっても、
常にその一つ(複数正解の場合はいくつか)が正しいルートであり、
他の分岐はすぐにデッドエンドになるものを指します。
  
 代表的なのはクイズパズルですね。他には、戦闘
単なる当て物(5本の道があるけれど、1つのみが正解というようなもの)
なども、この分類に入ります。
 

 パズルや戦闘の場合、選択肢が明示されていなくて、解けなければ先に進めない、
勝たなければゲームオーバーという場合もありますが、それらもこの項目に入ります。
 
 逆に、分岐のあと、すぐデットエンドにならないものに関しては、
この分類に含まれない場合もあります。
 
 例えば、分岐のあと、さらに分岐があり、その両方がデッドエンドという場合、
最初の分岐でデッドエンドが確定してはいますが、これは含みません。
(たぶんそれは4.基本型です)。
 
 分岐のあと、パラグラフジャンプがあるなしにかかわらず長い文章が続き、
その後デッドエンドという場合は微妙ですが、
その長い文章が直接選択に関わるもの(クイズやパズルの解説など)だったら
可・不可型
物語が展開して行くのならそれ以外、ということになるでしょう
(たぶんそれは、5.平行型です)。
 
 
 
 
3.単純
 
 選択肢が複数あって、そのすべてがすぐにもとのルートに戻るものを指します。
 
 どちらを選択しても同じことが多いのですが、場合によっては
一方にアイテムや記号のチェックが入り、
のちの展開に関係してくるということもあります。
 
 この型についても、2.可・不可型と同じことがいえます。

 分岐のあと、すぐにもとのルートに戻ってくるのならこれですが、
別の話が展開するのなら、それは他のタイプです。
 
 
 
 
 
4.基本
 
 フローチャートを描いて、
ごく一般的な形になるものを基本型とここでは呼びます。
 
 部分部分を見ていけば、他のいろいろなタイプから構成されることが多いので、
複合型と迷ったのですが、「複合」という言葉は他で使いたかったので、
基本という名称にしておきました。
 
 基本の名のとおり、一方向移動型の多くの作品がこのタイプに入ると思います。
 
 
 
 

 
5.平行
 
 最初選択肢が複数あり、合流しないまま物語が展開するものを指します。
 
 つまり、プロローグなど、スタートのみ一緒で
あとはぜんぜん別の物語が展開するという形です。
 
 最初の設定が同じ場合、敵の動きや災害の進行状況など、
主人公が関わらない描写の部分のみ合流するものもありますが、
そういう部分を含んでいても物語的に別ならば、
この型に分類してもいいでしょう
(狭義に判断して、分けて考える場合もあると思います)。
 
 また、物語がまったく別の展開をたどっても、
目的が同じだと、最後には同じパラグラフに合流するという場合もあります。
 
 そのようなゲームブックについては、「平行収縮」型と呼ぶことにします。
 
 平行は、並行の方がいいかとも思ったのですが、
フローチャートを描いた場合の形で分類しているため、「平行」を採用しました。
 
 
 
 


6.拡散収縮
 
」で書く「拡散型」で展開していくものの、
最終的に1つか2つの結末に到るものです。
 
 例えば、目的が1つであるものの、そこに到るルートが複数あり、
そのルートがさらにいくつかに分かれるといった場合、この型になります。
 
 
 

7.拡散
 
 分岐が分岐したまままとまることが少なく、次々と枝を増やしていく型です。
フローチャートはおおむね末広がりになります。
 
 ゲームブックに関して、
 
物語が分岐していき、いくつもの物語を紡ぎ出す、
 
と説明された場合、真っ先に思いつくのがこの形でしょう。
 
 拡散なので、結末がいくつもできるのが、このタイプの特徴です。
 
 
 
 まとめますと、一方向移動型には、直線型から拡散型までの幅があるわけです。
 
 一直線ならば、一度に長い話をすべて読んでもらえますが、
 ゲームブックの醍醐味である多彩な展開には乏しい。
  
 逆に、拡散型は、多彩な展開は望めるものの、
 それぞれの物語の展開は弱くなる……。
  
 それぞれの作品を見れば違ってくることもありますが、
 全体の傾向としては、そのようになるのが理屈です。
  
 結局、普通のスタイルである基本型が、やはりいいのかもしれませんが、
 それで作る場合にも、こうした一方向移動型の幅を意識していれば、
 新しいアイデアも浮かぶと思います。
 
 
  
 
 
☆ なおこれらの分類は、直線型でも書いたとおり、
  部分を見るときに使う場合もありますが、
  基本的には全体の傾向について考えるためのものです。
  
  ですから、戦闘が一回あるたびに、そこが可・不可型であるかどうか、
  という使い方は、まずしません。
 
  失敗すればすぐにデッドエンドになる戦闘やクイズが続き、
  それが全体のスタイルとなっている場合、
  「このゲームブックは、可・不可型だ」
  というふうに使うのが、基本的な使い方です。 

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2019/01/01 年賀状
 
 
明けまして おめでとう ございます。
本年も よろしく お願いいたします。

☆ ちなみに絵は、鹿児島和気神社のイノシシ像をもとに、
  イノシシの写真を見て描いていったものでございます。
  実際のイノシシは、形に面白みがないので、
  芸術作品の中から選ぶのでございますが、
  安定のために土台に固定された脚の部分とか、
  デフォルメされた部分に整合性を持たせるのが
  ちょっと面倒……。
  まぁ、書くほどのことでもございませんが。




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2018/12/01 『銭形平次』を見ていたら、
部屋の戸をマサカリで壊す場面があったんだけど、
その断面が安っぽいベニヤ合板
合板は江戸時代にもあったかもしれないけれど……、
違うよねぇ。『竜の血を継ぐもの』
 
 
2018/12/02 12月。
寒くなってまいりましたね……って、あまり寒くない。
ホント、大丈夫なのか?
 
 
 
2018/12/03 テレビが高精彩化してくると、
人の肌を美しく見せるフィルターとか
使ってくるんだろうなぁ。
 
 
 

2018/12/04 ゲームブックじゃないクイズ(2)
 時代劇。                          
 
「人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られて死ねばよい」

これは誰のセリフ?       
 
 

2018/12/05 答:近藤右門(むっつり右門)。       ↑『龍の血を継ぐも
右門捕物帖』で、演ずるは大友柳太郎さまにございます   の』にでてくる
                            メイド服みたいな
(『圧巻! 無頼派時代劇』歴史群像シリーズ特別編集       ヨロイ)
 学習研究社/2004/4

「声に出して読みたい時代劇セリフ集」藤田小八 p.096)
 

2018/12/06 プリンスレイヤー……。
 
「プリンか」
「ブリンじゃないのか」……。
「プリン・ア・ラ・モード……。
 まわりのやつはまかせた。おれはプリンを食べる!」
「おれはプリンスレイヤー。プリンしか食べないわがままな男だ!」
 
 
 
2018/12/08
 フーゴ・ハル先生、
      次は1920年代の台湾を舞台にしたゲームブックとか書かないかなぁ。
ちなみにこの時代、日本一高い山は、新高山(にいたかやま)ね。
真珠湾攻撃の映画『トラ・トラ・トラ』でも有名。なんだけど、
ウィキペディアに依ると、台湾で最も遅くまで抵抗したのが、
この山に棲む民族なんだって。
 
「日本一高い山に向かった」とか情報を出して、
主人公を富士山に誤誘導させるとか考えたけれど、
当時の日本人が間違うわけないなぁ。
それに誤誘導といっても、使いどころが難しい……。
 
 

2018/12/09 電気屋さんで、キングジムブギーボードをさわってみた。
      筆圧を感知してとてもいい書き心地。
 
 これで描いたものをパソコンに取り込んで保存できるんだったら、買うんだけどなぁ……。
(後日、ふたたび試してみて、消去は全消しだけで消しゴム機能はないのに気づく。
 残念。シャープの製品は、消しゴムや保存はできるけど、
 
筆圧感知がなく、描き心地が悪い。なんで、そういう棲み分けをするのか)
 

(2018/12/10 「移動型について[移動型のTPO] 2018/12/02 (Sun) 」に
 『悪夢の妖怪村』のフローチャート(マップ)と記事、
「大江戸疑惑人走る! 2018/01/07 (Sun) 」にフローチャートを追加しておきました)
  
 
 
2018/12/11 『虚無への供物』を読み返していのですが(今半分ぐらい)、
ゲームブックにも江戸川乱歩先生の「類別トリック集成」みたいな
ものが欲しいですよねぇ。
それを踏まえて新しい段階に行くことが出来るようなものが。
 
 
 
2018/12/13 ゴブリンスレイヤー」さんって、
独り地獄行きな話かと思っていたら……、
 そのあたりはラノベなのですな。
 パーティ組んでも、なれ合いには応じないほうが、
らしい気がするのでございますが……。
 
 
 
 2018/12/14
 ちなみにー、
 『ハイパー トンネルズ&トロールズ』(清松みゆき著/社会思想社/1991/4)の
 「ゴブリンスレイヤー」(p.424)考えたのは
 わたくし~! 
 まぁ、アイテム募集に応じて、単に
 
 「ゴブリンスレイヤー 
  相手がゴブリンだったらどんなに強くても殺せる

 
 とか書いただけでございますけれど、ね。
  
 (あと、「球団」(p.66  一般装備「栄誉/道楽/引退後の生活」)と、
  「岩悪魔の樽」(p.439 マジック・アイテム)も、確かわたくしだったはず
  ほぼ、名前と一言だけでございますけれどもね。
  にしても、ろくなもの思いつきませんな)

 

 四こま:お題「音楽・剣・ほおづえ」
 
 2018/12/15 ローラースケート1760年頃
 
できたのだそうでございます。
 どんなものかはぞんじませんが、
 そのときは広く普及することはなかったご様子。
 
 人気が出たのはその100年後、
 プリンプトンという人が発明した、
 ゴムパッド付きの木製四輪のものが
 出てからみたいでございます。
 
 1860年とか70年

 
 ブームはすぐ終わったらしいですが、
 そんなに早くからあったとは
 思いもいたしませんでした……。
 
 もしかすると、
 シャーロック・ホームズものに使えるかも?
 宮崎駿先生のアニメのほうでしたら
 出てきそうですな。
 
 (参考:『ヴィクトリア朝百科事典』
  谷田博幸/河出出版 ふくろうの本/2001/10)
 

  
 2018/12/16 このごろ「くっころ」が
 脳内ヘビロ中。

 石井明美さんが歌ったチャ・チャ・チャ」
 (↑『鋼鉄の虹』のころ、    という歌がございましょう? あれに
  「音楽・剣・ほおづえ」    あわせて「くっころ、くっころ」って、   
  という、3つのお題を     甲冑を着た艦娘の妖精さんみたいなのが、
 いただいて描いた四こま。    ぜんぜんチャチャチャじゃない踊りで。


                 みなさまには伝染しませんように。
 
 
2018/12/17 電話の発明グラハム・ベルとされているけれど、
      そうじゃないらしい。
 彼は、発明者を雇ったり特許を買収したり
    有能な弁護士を雇って裁判に勝ったりして、
    その地位を不動のものとしたのだそうだ。
彼自身の発明とされている電磁式送話器
むしろ助手のワトソンの発明品だったとか。
 
(参考:『ヴィクトリア朝百科事典』谷田博幸/河出出版 ふくろうの本/2001/10)
 
  
2018/12/19 ななめの矢印(↗↙↘↖)が出ないと思ったら、
      機種依存文字とかで、フォントのせいみたい。
保存もUnicode形式に変えなければならない。……
使うのは必要なときだけにしよう。
 
2018/12/20 「設計の仕方は憶えられる。
       ただ、模型を作つてきた蓄積は憶えられない


(Model Graphix 409 2018/12 p.29 元タミヤMM設計者山田稔修氏のインタビューより。
  設計の田村廣幸氏の言葉)
 
 
2018/12/22 「ウォーロック・マガジンvol.3」、売っていませんでしたー。
       三号雑誌……じゃなかった。
雑誌の三号っていうのは、読者の声や実際に雑誌を作る過程での感触から、
路線がはっきりと固まったり、大きく変わったりする案外重要な号だったりするので、
楽しみにしてたのでございますけれど、ね。
まぁ、ないものはないでよしとする方針。
なので、そのうち見つけたら買うことにいたします。
 
(ちなみに、わたくしが、3号でおおきく変わったと感じた雑誌は、
 「コンプティーク」誌と、「ふぁんろーど」誌でございました。
             (読んでいる雑誌が知れる……)
 「コンプティーク」誌のほうは、それまでコンピュータ文化全般の雑誌だったのが、
  ゲームとマンガとアイドルとちょっとHという、かたくるしい話は抜きにした
  ものに変わりましたし、
 「ふぁんろーど」は、『リングにかけろ!!』の特集とか、そのあたりから読者中心の
  雑誌に変化していったものでございます)
 
 
 
2018/12/23 「Role&Roll」の「ブラブラ鍋」
(p.166-167)。
四こま:お題「音楽・剣・ほおづえ」
答については申せませんが(言えない……)、
けれど<ヒント>が、
ブラマタリの供物』の
ヒントうちわけ話になっていて、
面白いですよねー。
ちょっとヒントあげすぎな気もいたしますが、
ここまで解けていない方は、
あきらめかけた方だと思われるので、
これでいいのかも?
 
 
2018/12/24 【コミュニケーション】の定義は、

情報を移動させることによって、
意味の共有を図ること。
 
であるが、
私たちは、受け手に自分と同じ解釈基準を期待して、
情報を送っていることが多い。
 
 しかし、基本的に、
受け手の置かれている状況は自分とは異なり、
別の解釈基準を盛っている可能性は決して少なくない。
それが、世の中に蔓延する
ディスコミュニケーションの要因であろう。
 
(『新しい分かり方』佐藤雅彦 中央公論社 2017/9)
 p..215-216
 
 
 

2018/12/25 なろう系小説で              (↑同上)
転生したらナドソコルの下層民だった』っていうの、
 ないのかなぁ……。
 
 
 
2018/12/26 漢和辞典
で、「温故知新」を調べたら、
 
前に学んだことを復習して新しい知識を得る」という意味だって。
 
過去から学ぶんだと思っていたら、
もともとはそんな学校の勉強みたいなことだったのか~。
 
 
 
 
2018/12/28 『もののけ姫』『CLANNAD』『快傑ゾロリ』と……。
       あと何かあったっけ?
 
    (もちろん、イノシシ由来のキャラクターが出てくるお話しのことでございます)

 
 
2018/12/29 『死のワナの地下迷宮』
(社会思想社/イラスト:Iain McCaig)の
おそらくパラグラフ282のイラスト蛮人って、明らかにサングラスつけてますよねぇ。
ロケンローラーか誰か、モデルにした人物がいるんだろうか……?
 
 

2018/12/30 そうか、報告書書くのか。
冒険者
って、そういうこと苦手だから冒険者になった人多そうだけど……。
ゴブリンスレイヤーさんは、
名前のところに「ゴブリンスレイヤー」って書くんだろうか?
 
 
 

2018/12/31 来年の元号ですが、「宇宙世紀」なんていうのはどうかな~。
未来的だし、かっこいい。それになぜか親しみがある。
宇宙世紀元年とか、宇宙世紀0078とか、
 

ねっ、いいでしょ?
 
 

みなさまにとりまして、

来年がいい年でございますようにーー。

        ぱ~い 道化の真実

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vol.170 旅の仲間
 

というわけで、「Role&Roll」誌、vol.170読者欄に載せていただいた
vol.168の「フェローは愉快な仲間たち」に由来する絵でございます。
 
2018/12/23 S.W 2.5 フェロートラベラーズ 
 
 このリプレイ、「ソードワールド2.5」のもののはずなのに、
ページの天井には「ソード・ワールド2.0 リプレイ」となっているのが
楽しゅうございますな。
 
 「ソードワールド2.5」の大きな目玉のひとつである、フェローを紹介するこの記事。
ルールを分かってもらうための記事なので戦闘主体
一回限りということもあってか、
プレイヤーもGMもちょっと説明口調でございますな。
 
 これを見ますと、PCなんていなくてもいいんじゃないかという気が……。
テストプレイを何回かやる場合には、それでいいかもしれません。
と同時に、プレイヤーを主役にするならば、フェローはPC人数以下の方がいいなぁ、
と実感いたしました。
 
 まぁ、フェロー主役なプレイも、それはそれで面白いと思います。
 
 絵ではたいまつを持たせて、脇役成分を上げておきました。
 
 ホント、どっちが主役なんだか……。

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リヴィジョンズ』。
(2018/12/20 (Thu) の続き、というか余談)

「You Tube」で公開されているアニメのPVを見ると、
小説とはかなりイメージが違う……。
 
 作っているアニメ会社の特徴なのか、
 今風というか、
 きれいなんだけれど、力強さがない。
 
 主人公の大介ももっと熱血に振って欲しかったし、
敵キャラクターも(PVでは一人しか出てこなかったみたいだけれど)
小説からイメージされる、変なというかまんまな感じの方がよかったのに。
 
 ストリング・パペットや敵モンスター・シビリアンも、きれいで細かすぎる。
 もっと単純なデザインのほうが、合っているような気がするのだけれど……。
 
 おそらく、アニメから入れば気にならない部分なのだろう。
 が、どうも違和感を感じてしまう。
 
 小説とアニメは別もの、
 なのだろう。
 
 アニメは見ないで、小説のほうだけ追っていく。
 そのほうがいいかもしれない……。
 

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『リヴィジョンズ1』木村航  原作:S・F・S
2018/12/20『リヴィジョンズ1』
 ハヤカワ文庫JA(2018/12)
 
 木村航先生の新作。

 先生は、リンクの『野望の王国』入り口に
引用された献辞にもあるとおり、
賢者の石井文弘さんや薄羽かげろうさんとも関係あるので、
このブログにも多分関係があるのだ……
会ったことないけど。
 
 原作のS・F・Sさんはよく知らないけれど、
オビによると、2019年1月からのテレビアニメとして
放映されるのだそうだ。
  
 ジャンルは、時間SFの要素を持ったロボットもの。
  
時空振動によって2388年にとばされた渋谷で、
5人の少年少女がロボットに乗り込み、敵と戦うというストーリーだ。
  
 日常。
 
 地震。

 怪物の出現。
 
 7年前の回想を交えながら、視点をさまざまに移動し、物語は展開する。
 
 情報の出し方がうまい。
 コントロールされ、小出しにされるそれが、謎をはらんで読者を先へとうながす。
 
 このあたりは、ネットゲーム
 (大規模メールゲームの遊演体での名称。
  この「ネットゲーム」については説明したいこともあるが、長くなりそうなので省く)
で鍛えられたものだろう。
 
 日常の描写は、『ぺとぺとさん』や『愛とカルシウム』など、
現実にすこしふしぎを加えた作品を多くものにする中で、作者が培ってきたものだ。
 
 その丁寧な日常が揺るぎない土台となって、
時空振動という大きなSFやロボットものの派手さを支えている。
 
 最初から登場する主人公の一人、堂島大介は、
 兜甲児を現実世界に落とし込んだようなキャラクター。
 いそうで意外と他にないタイプだ。
 直情径行で物語を先に押し進める。
 
 7年前の事件が特にそうだが、全体的に、大長編のドラえもんの雰囲気を自分は感じた。
 
 災害に対応する政治の部分は、アフター『シン・ゴジラ』を感じる。
 それともアフター震災か。
  
 そういうリアルな世界だから、主人公たちも能天気に暴れ回ればいい
というわけにはいかない。
大介たちも警察に捕まってしまう。
 
 
 だが、
 そんなリアルな世界に水を差すように読者の前に姿を現すのが、22章。
「敵」リヴィジョンズサイドの面々だ。
 
 ケモミミ女とマンガ的に擬人化された犬、それにゴスロリ幼女。
 これまでのリアルは何? と問いただしたくなるようなキャラクターたちだ。
 
 スーパーロボットものでは、確かに敵陣営といえば
変なキャラクターは珍しくもないが、これでは今まで構築してきた世界が台無しなのでは?
 そう思いつつ、読み続けることしばし……。
 
 ふと気がついた。
 
 これは、『鋼鉄の虹』だ、と。
 
 『鋼鉄の虹』は、
1995年に遊演体が開いたネットゲーム(重ねていうが大規模メールゲーム)。
 
 
2018/12/20 『鋼鉄の虹』

 ↑ 『鋼鉄の虹』スターティングマニュアル裏表紙と、総集編表紙 
 
 
 
 ヒトラーの影迫る架空の小国ケルンテンを舞台に、
イェーガーと呼ばれる基本5~6メートルほどの乗り込み型ロボット同士が戦う世界だ。
 当時の技術では当然作り得ない兵器だが、
その上位機種である「ウービルト」という優美な機体も存在する。
 
 「パンツァーメルヘン」のうたい文句どおり、妖精や吸血鬼なども闊歩し、
物語中盤からはそれらロボットと妖異の原郷であり、
人々の集合無意識世界であるフェルネラントが確認され、それが具現化する。
 
 プレイヤーの役割は、リプライ(遊演体宛の手紙)の形で、
この世界にいる自分のキャラクターに意思を送り込むことだ。
 それによってこの動乱の世を動かしていくのだがーー。
 
 
 総集編のあとがき「GMの遠吠え N95を振り返って」を読むと、
挑戦的な作品だが、それがあふれすぎて思うようにいかなかったことが垣間見える。
 
 GMの水無神智宏先生が、ネットゲームについていろいろと知っていたものの、
実際にプレイしていなかったというのも問題だったのかも知れない。
前にも書いたが、理論から入った人は、そのジャンルが好きで入った人にくらべて、
どうしても受け手とは温度差ができてしまうものなのだ。
 
『鋼鉄の虹』の場合は、1930年代後半という舞台の共有の難しさや、
1年とはいえ実質10回ぐらいという行動の少なさ、
そしてテーマである「ストーリー依存からプレイヤー主導へ」のはらむ難しさ
(おそらくは矛盾)が問題だったのだろう。
 
 インターネットの時代なら、これらのうちのある程度は解決できたと思う。
早すぎた意欲作でもあったのだろう。
  
 どんな作品でも、作者にとって心残りになる部分はなにがしか存在すると思うが、
魅力的な作品なだけに『鋼鉄の虹』は、それがひとしおのものだったのだろう。
「遠吠え」には、それが感じられる。
 
 と同時に、その思いは他の人にもあったのではないだろうか。
 
 そうした思いが『リヴィジョンズ』を作り上げたのだと考えると面白い。
 
『鋼鉄の虹』の問題点を洗い出し、検討し、練り込み……。
よく考えた上で現代に落とし込んでいる。
 
 そこには関わった人の経験も込められているのだろう。
 
 異形の怪物やアニメキャラクターそのもののリビジョンズと、
ストリング・パペットというロボット(パワードスーツ)を提供するアーヴ。
この対立構造は、『鋼鉄の虹』のエルダとオーディンをそのまま現代に置きかえたものだ(☆)。
 
 
 舞台をどこか昔の国から現代日本に変え、
 
 どことなく曖昧だったエルダやオーディンの脅威を、
どちらのサイドにしたがっても半数がおそらく助からないと、
はっきりと人類の未来に関わるものとして、提示しているのもいい。
 
 アニメーション作品だから当然だが、
主人公たちをプレイヤーの手にゆだねないことも正解だろう。
 プレイヤーにはプレイヤーの思いがあり、
制作者側の思い通りにはいかないものだから
(というよりも、思惑どおりに動いたとしたら、むしろそれも変だと思う)――。
 
 主人公たちの行動に思いを重ねることで、自立的な行動をうながす――。
『鋼鉄の虹』の意図とは逆だが、物語の役割としては非常に正しいものだ。
 
 
 
 ミロの所属するアーヴの真意は、一巻の段階では明らかにされていない。
ただ、そのプランでもやはり半数の人々の命が助からないことがほのめかされているだけだ。
 
 次巻以降、それが明らかになり、現代人は苦しい選択を迫られるのだろう。
 そして、アーヴと彼らの間に立つミロもまた……。
 
 7年前の優しかったミロというのは、
その苦しい選択を乗り越えた未来からやって来た……のだろうか。
 
 次巻以降が気になるところだ。
 
 
 
 
 
 
(☆) 集合無意識の世界であるフェルネラントとオーディン・エルダは、
『鋼鉄の虹』では、GMが感じた「ネットゲームの現状」の比喩だった。
 そのことを踏まえて考えると、アーヴ・リヴィジョンズはもしかすると、
市場原理に左右され、表面的なかっこよさやかわいらしさ、
ウケが先行するアニメなどの現状を重ね合わせているのかも知れない。
 あるいは昨今蔓延する安易な異世界願望充足小説も視野に入っているのかも……。
 
『鋼鉄の虹』のテーマは「ネットゲームの現状に対する警鐘」だった。
もし『リヴィジョンズ』がそれに倣うのだとすれば、そうした
「アニメなどの現状に対する警鐘」の意味合いが込められていることもあり得るだろう。
 
 それが生硬な形で現れてくることはないだろうが。

 
 
☆ おまけ

2018/12/25 イェーガー

イェーガー。
(アーベル・アインシュタイン氏の紳士録『Wer ist Wer』(同人誌)
  4月15日発行号の表紙に描かせていただいたもの)

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ゲームブッククイズ(122)
 

 今回は、『ブラマタリの供物』から。
 ゲームブックを手に、答を探してください
 
(1) 島のあちこちに描かれていた五芒星の素材は?
 
(2) 失踪したネルソン氏の髪の色は?
 
(3) ジャーミンから渡された短剣の材質は?
 
(4) 探索の舞台となる島は、何からできている?
 
(5) 前世で主人公が住んでいた場所は?
 
(6) 神殿でスタンリーが演奏した曲は?
 
(7) リヴィングストンの手紙が入っていた箱の色は?
 
(8) 主人公の持つ銃は、スミス&ウェッソン。では、スタンリーの持つ武器は?
 
(9) 主人公がレッド・フックの事件の後静養していた場所は?
 
(10) 「覚醒の呪文」の楽譜が書かれた本の名は?

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ここまで読んで来て、無方向移動型は、無限ループするし難しいし、
考慮に値しないのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。
 
 難易度の高さや無限ループは、
若桜木先生がパズルとしてゲームブックを作っておられるからです。
 
 袋小路に一カ所でも脱出路をつけておけば、
穴を開けた風船のようにみるみるうちに難易度は下がります
 
 それではやさしすぎると思ったら、フラグで調整すればいいのです。
 
 戦闘ならば、敵にダメージを与えるパラグラフで、ポイントを1ずつ増やし、
それが10になれば敵を倒したとして次に進めるとか、
迷路ならA・B・Cのポイントを、その順番で通れば扉が開くなど、
やり方はいろいろとあると思います。
  
 無方向移動型は、性質上最短手がありますし、
ゲームブックパズルと相性がいいのは確かですが、
だからといってパズルに特化する必要はありません
 
 
 無方向移動の最初に挙げた、
 
「ロストワールド(クイーンズブレイド)」は戦闘を
『ウィザーズ・クエスト』は魔法世界の不思議さを、
「フーゴ・ハルの虚しい口」(ゲームではありませんが)は
文章の中をさまようことを目的として書かれており、
 
 パズル性はあっても、それがメインというわけではないでしょう。
 
  
 
さてもうひとつ、無方向移動型の別のアプローチとして、
きみならどうする・食糧問題』を挙げておきましょう。

 
 きみならどうする・食糧問題『きみならどうする食糧問題』
 M・アラビー著 河合良・近藤和子訳 
社会思想社・現代教養文庫 1987/4 
  
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
まだちゃんとフローチャートを描けていないので断定はできませんが、
これも無方向移動型です。
 
 ただし、他の無方向移動型とは、フローの感じが違っています。
 
 無方向移動型は、
他の移動型の軸――時間・場所・目的物、以外の法則によって進行する
ということは、この型の説明の最初に書きましたが、この場合はシミュレーション
つまり、こういう選択をしたらこうなるだろうという、
理屈・理論によって成立しているのですね。
  
 そのため、ある政策をとったけれど効果がなかった場合などは、
すぐに元のパラグラフに戻ったり、もうひとつの選択肢にしたりもします。
また、政策転換や状況の変化で、
長く独自に続いていた流れが他の流れと合流する場合もあり、
若桜木先生の作品などと比して、フローは独特です。
  
 もちろん、無方向移動型なので、
時間の流れはパラグラフ間にはありますが全体としてはありません。
政策をいろいろと変えているうちに、
いつの間にか最初の政策に戻っていたということもあります。
  
 いつの間にか元に戻っても気にならないほど大きな流れを扱っていることが、
無方向移動型に合っているのですが、もしここに時の流れをつけるとしたら、
やはり、フラグなどでコントロールしてやる必要があるでしょう。
 というよりも、そうしたいのなら、一方向移動型にしてしまったほうがよさそうです。
  
 
 
  
 無方向移動型は、使いどころを選ぶスタイルですが、
それほど多くの人が手を出しているわけではないので、伸びしろはあると思います。
 
 これまで見ていると、
戦闘・迷宮・食糧問題と、テーマが一つのほうがよいように思えますが、
そうでないかも知れません。
 
 ただ、繰り返し書きますが、
パラグラフ間に流れはあるもののの、全体的な時間は止まっているので
使いどころを選びます。
 
 まぁ、それは双方向や多方向でも同じことなので、大して重要ではないでしょう。
 
 感じとしては、『きみならどうする食糧問題』で見てきたように、
元に戻っても気にならないほどの大きな時間の流れや、
逆に短い時間に起こったことの一挙一動を描くのには、合っている気はします。
 
 他には、
時系列にも場所にも目的物にも拠ることができない不安定さがあるので、やはり、
妖精の国や夢の時間といった
どこへ連れて行かれるか分からないように幻想的な場面を描くのにも
効果を発揮すると思います。
 
 あと、そのデタラメさがナンセンスに向いているかな、とも考えています。
ただ、ナンセンスだと、デタラメさとデタラメさがかけ合わされて、
なんだか分からないことになったり、かえってつまらなくなるかもしれません。
 
 いずれにせよ、未開拓のジャンルです。
 考慮に値しないということは、ないと思います。
 

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無方向移動型の例として、
 
『Xファイル ロールプレイング・ブック
           宿主~その後の展開』
クリエイター:クリス・カーター
著:霧島那智(若桜木虔・
       水上純・椿浩一・井上渉・速水萌香・瑞納美鳳)
(テレビ朝日/1996/11)
 
のフローチャートを載せておきます。
 

  下水処理施設に潜lり、渦虫に遭遇して絶体絶命……。



2018/12/09 Xファイル宿主フローチャート
 
 

 (107)とあるのは、フローチャート内の107番へ進むという意味。
交差する矢印はそれぞれをまたぎ越します。
 
 追ってみるとわかりますが、出口無しです。
[END]のあとの[285]は、パラグラフ1の次の番号ですから、
実質的なやり直しといっていいでしょう。
 
 でも、気づかないで延々ループするよりはまだマシ。
 
 この作品が出版されたのは1996年と後発ですから、
何もなしに延々ループすることに関して苦情があって、
それに対応したのかもしれません。
 
 にしても、なかなかに凶悪です。
 
 このループ、最初のほうで出て来るので、
副長官の呼び出しを無視したり独断専行で行動した自業自得……
かと思ったのですが、その後も使われます。
どうやら下水で追い詰められたときの、
バッドエンド処理として存在しているみたいなのです。
  
 ですからここには正解ルートはありませんが、ある場合も、
正解ルートを外れればこのようなループに入り込むわけです。
 
 とにかく、この移動型のフローチャートをきれいにまとめるのは非常にむずかしい。
 これを書いたときもえらく苦労したように記憶しています。
 
 複雑な構造のものは、このような描き方では不可能かもしれません。
 
 考えなしにやると、線が重なったりやたらと長くなったり……。
 もうね、うまく描こうとして失敗した残骸が、いくつもあるんですよ。
 
 今回も、正解ルートがあるものの方がいいだろうと、
そんな中から『Xファイル それからのイブ』のやりかけのものに
再挑戦したのですが……、無理でした。
 
 何十枚かの紙と、時間がばぁ……。
 やらなければよかった……。
 
 あっ、でもパズル好きな人はぜひとも挑戦してみてください。
 かなり楽しめると思います。
 なんか、ゲームとしてもあっていいと思うんだけれどなぁ。
 
 コツは見つけていないのですが、やっていることを書いておきますと、まず、
 手書きで描いたものを見て、矢印の一番多い数字を探しだし、それを真ん中に配置。
 同じぐらい矢印が行き来している数字を、少し離れた隣に配置。
 両方置かれた数字の間には、その双方に共通する数字を配置。
 (両方・双方と書きましたが、ここに置く数字は、2つ以上になることもあります)
 
 あとは試行錯誤です。
 絡まった縄をほどくように数字を入れ替えたり、
 長く伸びた矢印を短くしようと数字どうしを近づけたり、
 別の数字とのつじつまが合わなくなって、また元に戻したり、
 そうこうしているうちに、
いつの間にか矢印を何本か描き忘れて、最初からやり直したり……。
 
 と、ものすごく面白いので、重ねて書きますが、ぜひ挑戦してみてください。
 大抵完成しないので、完成したときの達成感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

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 若桜木先生といえば、
大陸書房秋本書房を中心に、
多くのゲームブックを発表されてきたことでご存じでしょう。
 霧島那智名義では『Xファイル』(KKベストセラーズ)のゲームブックも
ものにされています。
 
 そんな先生のお作りになるゲームブックは、
プレイしたかぎりにおいてですが、すべてが無方向移動型です。
 
 ときには、長い一方向移動型のところどころにそれが挟まれる場合もありますし、
逆に全編にわたって、無方向移動型という作品もあります。
 いずれにせよ、どこかしらにそれが含まれているのです。
 
 使われるのは、迷路と戦闘
 迷路は想像できるでしょう。
 洞窟をさまよう場面などですね。
 戦闘は、殴り合いのケンカなどがそれに当たります。
 ロストワールド(クイーンズブレイド)を活字で描写したような
と書けばわかるでしょうか?
 
 無方向移動型なのでループ構造ですし、体力やフラグなどないため、
戦闘にしても迷路にしてもヘタをすれば延々とそれが続くわけです。
 
 初めてプレイしたときは、どうなっているんだと不安になりました。
 何十分もパラグラフを追っているのに、ぜんぜん迷路から脱出できない。
似たような描写が続いてはいるものの、少しずつ違っていて、
元の場所に戻ってきたのかそうでないかすら分からない……。
 
 フローチャートは描かなかったものの、指しおりを何本も使って、解法を探ります。
そうやって、あっちこっちとたどっていくうちに、
ようやくループになっていることを理解したのです。
 
 そのスタイルが分かったときは、なるほどと感心しました。
  
 迷路というと一般的なのは双方向移動型ですが、
これは迷っている感覚が薄いことが残念です。
 
 歩いているうちに、どこに何かあるかが分かってしまい、
最後のほうは作業的になってしまうのです。
 
 四角四面に作られたダンジョンや開けた場所ならそれもいいでしょう。
 
 ですが、人の感覚を狂わせる迷いの森や、
曲がりくねっているうえに枝道も多い洞窟など、
幻想的な空間や、マップを作ろうにも作れないような場所は、
この無方向移動型のほうが、むしろふさわしい
 
 たとえば、『ネバーランドのリンゴ』は双方向移動型ですが、
そのため幻想的な感じがしません
無方向移動ならばより妖精の国の不思議さを表現できたのではないかと思うのです。
 
 
 戦闘については、延々と続くことが非現実的と感じる人もいるかもしれません。
 ですが、アクション映画でも長時間続く格闘シーンってけっこうありますよね。
それを表現したと考えれば、むしろこれは正しい。
主人公が死なないのも、映画なら普通です。
 
 主人公が死なないなんてヌルすぎる、と思うかもしれませんが、それも違います。
 キャラクターが死んで一からやり直す、というペナルティはないものの、
このスタイルはループに入ってしまえば戦闘がいつまでも続きます。
長引けばプレイヤーの時間を奪うことになるわけで、それがペナルティとして機能します。
 
 しかもあきらめる以外に終了させる方法はないわけです。
死によって終われるものよりも、罰としてはさらに酷い場合さえあるのです。
 
 
 この戦闘方法の長所は、没入感にあります、
 ルールで処理される戦闘は、
サイコロを振るために本を置いたりしなければならないため、
ストーリーとゲームは別のものになりがち。
描写も無味乾燥です。
 
 対してこのスタイルでは、そのようなことはありません。
 戦闘がパラグラフに組み込まれているので、
ストーリーとゲームが別のものになることなどないのです。
 加えて自分の次の行動が具体的に選択肢に示され、
跳び先ではそれに対する敵の具体的なリアクションが描かれるという点も
没入感を高めます(これは迷宮についてもいえます)。
 
 
 
 こうした長所を持つスタイルなのですが、いいことばかりではありません。
 若桜木虔先生のゲームブックの、
プレイヤーから見た問題点としては、次の3つが挙げられます。
 
(1) すべての作品がこのスタイルなので、ストーリー以外はどれも同じ
    量産のためには正しいのかもしれないが、一作読めば十分だと感じてしまう。
 
(2) 移動型の性格上、パラグラフをものすごく消費する
    システム的な戦闘なら数パラグラフですむところを、
    無方向移動型では、何十パラグラフも費やしてしまうことがザラにある。
    そのため物語は薄く、戦闘や迷宮が延々と繰り返される展開になりがち。
 
(3) 一つの戦闘や迷宮は、運良く正解ルートを通ることができれば、
    ほんの数パラグラフで終えることができるが、
    一歩選択を誤れば、永遠にループから抜け出せない蟻地獄におちいる。
 
 
(1)は量産が利く、
(2)はページ数を増やせる、
(3)は、読者に繰り返し文章を読んでもらえると、
 
 どれも、作者にとっては都合のいい仕様ではありますが、プレイヤーにはつらい。
 
 初見者には、(3)がとくに厳しいのはいうまでもありません。
コンピュータのプログラムなら、バグにあたるものですし、
プレイヤーとしてはどこかにゴールがあると信じるものですから、
それこそ何十分も同じ迷路でぐるぐるしてしまいます。
 
(2)で書いたとおり、数十に渡るパラグラフで、
しかも戦闘にしろ迷宮にしろ同じような描写が続くものですから、
「ここ、さっき来たような気が……」と思いながらも、
ずぶずぶとはまってしまうわけです
(迷宮の表現としては、優れている部分なのですが)。
  
 若桜木先生は、それをとしているわけですね。
 ゲームブックを、そうした
ループ構造を含むフローチャートの迷宮を正しいルートで通り抜けるパズルゲームと
規定しているのです。
 
 そのため、あとがきには最小手順は何手と書かれており、
難しいゲームであることを誇っていたりもします。
(時代がそうだったわけでもあるのですが)。
 
 そんな若桜木先生が、
「現在(昭和61年)世界で最も難しいゲームブック」(p.240)と豪語するのが
貴族仮面を倒せ!』(サンケイ出版/昭和61年8月)です。
 
 ジャングル内で開催されるプロレスで、
最強王者の貴族仮面(ミル・マスカラスあたりがモデル)と戦い
勝利することを目指す……、とストーリーはこれだけ。
 
 ジャングル内でライバルや猛獣と戦い、
貴族仮面の待つリングに向かうという展開になるのですが、
それがすべて無方向移動型で構成されているのです。
 
 詳しく書けば、
 
 まず、ジャングル大まかなブロックに分かれていて、
そのブロック同士のつながりが無方向移動型
 
 ブロック内の森や川で出会う猛獣やヘビ・クモ・ヒルとの戦いが無方向移動型
 ライバルのレスラーたちとの戦いが無方向移動型
  
 入れ子構造の無方向移動型なので、ライオンと戦い、
さらに2,3の敵を倒したら目の前にまたライオンが現れた、ということが
しばしば起こります。
 
 そのようなジャングルを踏破し、
ようやく貴族仮面の待つリングにたどり着くわけですが、
そこでの戦いももちろん無方向移動型……。
 
 
 総パラグラフ420で、
ゴールまでの最短手順は、スタートの1を含め、ちょうど百手」だそうですが、
ズルしてやってもスタートからゴールまで行くのは、まず無理というものです。
 
 先ほどの例でも、二度ライオンに出会っている時点で最小手ではないのですから、
詰んでいる状態なのですね。
 
 私もけっこうやりましたが、結局ゴールを見つけたことでよしとしました。
 ただ、クリアを目指さず、
パッと開いたページからの展開を楽しむだけと割り切れば、
それはそれでそこそこ楽しめると思います。
 
 そうそう、(2)物語が薄いと書きましたが、
だからといってつまらない訳ではありません
ストーリーは、無方向移動以外の部分に入れればいいのですし、
アクションが連続する映画やゲームが面白いように、
描写さえ良ければ物語性などなくても十分楽しめるものです。
 
 
 
 さて、プレイヤーから見た問題点を挙げたあと、
それが作者にとっては都合のいい仕様だと書きました。
 ならば作るのは簡単かと訊かれれば、そうだともそうでないともいえます。
 
 システム的には、フローチャートのランダマイズさえ行うことができれば、
難しいことはありません。
 実際若桜木先生は、コンピュータを使ってパラグラフをシャッフルしている
とお書きになっていますし、速いペースで出版されているのも事実です。
 
 ですが、描写に関しては力量が必要です。
 
 とにかく
数十パラグラフにわたって迷路や戦闘を具体的に描写しなければならないのです。
迷路に関しては細かな背景描写を多彩に描ける実力が必要ですし、
戦闘にしても技の名称やそのかけ方、弱点などを事細かに知っていて、
さらにそれをしっかり描ける能力、面白い展開に持ち込める演出力が必要となってきます。
 
 逆に言えば、そこがこの移動型の腕の見せ所でもあります。
 
 戦闘については、没入感のところで書いたとおり。

 迷路については、
双方向移動型の場合、
行きと帰りでつじつまを合わせなければならないため、
描写はその場限りの平板になるきらいがありますが、
 
無方向移動型
では
部分的にはパラグラフ間に流れがあるので演出をさしはさめます。
しだいに森が深くなってきたなどの描写をすることができ、
そこに工夫をすることができるのです。
 
 
 ちなみに、作者若桜木の先生は、文章講座(タイトルは忘れましたが)で、
小説は戦闘を描くのが苦手だということを書いておられます。
たしかに、単純に戦闘だけを書くのは苦手そう。
 となると先生は、小説が苦手な戦闘を書きたいために、
ゲームブックを書いたのかもしれませんね。

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(4) 無方向移動型
 
 無方向とは、行く先がないのではなく、
どこに向かうのか分からないことを意味します。
 
 前回書いた3つの移動型――時間・場所・対象物――とは別の法則
よって進行するのが、このスタイルです。
 
 法則というのは、例えばシミュレーションですが、一番多いのはランダム
法則性がないのが法則、というのが、無方向移動型のスタイルです。
 
 例としては、『ウィザーズ・クエスト』のイラスト(場面移動)部分や、
「R・P・G」に掲載されたエッセイ「Hugo-Hallの虚しい口」が挙げられるでしよう。
 
 シミュレーションとしては、検証していないので違うかもしれませんが
「Lost World」(クイーンズ・ブレード)シリーズなどが
それにあたると思います。
 
 特徴としてはループ
いくつかのパラグラフを経たのち、元のパラグラフに戻ってしまうことが多いのが、
無方向移動型です。
 
 流れに法則性がなく、しかもループするため、フローチャートにはとても描きにくい。
 
 線が何本も重なってしまうため、
立体的に書くか、別の表を使って表した方がいいかもしれません。
 
 また、一方向移動型だと思ってフローを描いていて、
やけに前のパラグラフに戻ることが多いなと感じたら、
この無方向移動型を疑った方がいいでしょう。
 
 このスタイルは、前後のパラグラフのつながりだけを考えれば、
そこに因果はあるのですが、
ループがあるので、全体としては1つの時間、つまり止まった状態です。
 
 
 無方向移動型のゲームブックをもっとも多く発表しているといえば
若桜木虔先生です。
 
 先生の、おそらくすべての作品に、このスタイルが使われています。
 
 というわけで、次回は、先生の作品について触れてみたいと思います。

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 「ゲームブックの移動型(序)」2018/12/01 (Sat) からの続きです。
 
 
 

(1) 一方向移動型
 
 小説などと同じように、時系列(物語の流れ)に沿って展開していくスタイルです。
 ゲームブックとしてはもっとも基本的な形といっていいでしょう。
 基本的ですからさらにいろいろと分類できますが、
それをやると終わらなくなるので、いずれまた。
 
  
 
(2) 双方向移動型

 コンピュータのアドベンチャーゲームから発展したといわれる、
場所を中心に据えたスタイルです。
 
 ブロックごとの移動が基本ですが、離れた場所に移動するものであっても、
基本的に往復――一対一の対応で行って戻ってくること――ができれば
この移動型に当たります。
(基本的に、というのは
 イベントやトラップなどで戻ってこれなくなる例外があるからです)。
 
 この移動型には、往復ができるものならばマップを使うものや3D迷路も含みます。
 
 場所を中心とした移動型なので、何もなければ時間が止まっているのと同じ状態です。
 そのため、取りそこねたアイテムを元に戻って入手するという、
一方向移動型には苦手なことができる(*)反面、
時系列や物語の流れは、
時間やアイテム、記号などをチェックして管理することが必要になってきます。
 
(*) プレイヤーの利便のように思えますが、実は一長一短です。
    アイテムが自由に配置できるということなので、
    同じ場所を何度も往復しなければならないような、
    面倒くさいゲームブックも制作可能だからです。
 
 
 
 このタイプの特殊な例としては、

『悪夢の妖怪村』鳥井加南子(祥伝社/85/12)が挙げられます。

このゲームブックは、双方向型なのですが、
戻ってくるときに、
途中をすっ飛ばして、元の位置まで戻るということをやっています。
そのことで、
双方向型にありがちな、ダラダラと代わりばえしないところを歩くつまらなさや、
行きと帰りで同じイベントに遭うことも解消しています。
 
それと、これは副産物でしょうが、
行きと帰りが違うことで、プレイヤーを錯誤させる効果もあります。
 
 わたくしも、フローチャートを書くまで、このゲームブックを一方向移動型だとばかり思っていました。
 
追記:フローチャートはこんな感じです。
 
悪夢の妖怪村
 
 一見、普通の双方向移動型のマップに見えますが、
矢印をたどっていけば、途中をまたぎ越しているのが分かるでしょう。

わかりにくいところとしては、

まず、左端113の駅から下の16まではほぼ一方向移動型です。
選択を誤ると駅に戻される場合もあるので、跳び越して元に戻るうちに入りますが、
それ自体がデッドエンドなので一方向移動と変わりません。

 もうひとつ、真ん中あたりにある穴は、
3回目以降はデッドエンドですが、それ以前はロープを使って這い出ることができます。
出たあとは、北ならのコンビニ。
東なら、38の舗装道路。
南なら、176のドラキュラの洋館か、207の分岐点。
と、ここでもまたぎ越しが発生します。
 
 こうしてみると、
素直に行って帰るというところは少なく、
四方向ではなく二方向の移動であること、
それに正解ルートが一方向的であることが、
 
このゲームブックを特別なものにしているのでしょう。
 
一方向移動型と双方向移動型の中間的な形態といった方がいいかもしれません。


 
 
 
 
 
(3) 多方向移動型

 『夢幻島の怪物』藤浪智之(講談社KCDXラノベ/2018/10)や
『ブラマタリの供物』フーゴ・ハル(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)
にあったような、
 
マップを見て直接その場所に行くような移動型のスタイルを指します。
 
調査型」などとも言われますが、
一方向双方向にあわせて、ここでは多方向という言い方をすることにします。
 
 双方向移動型から派生したかと思われるこのスタイル、
 例に出したゲームブックのように、
マップを見てというものが多いですが、それだけではありません
 
 机のうえにあるものを調べるとか、ある人物を調査するなど、
目的物さえあれば使うことができます。
 
 時間・場所に対して、目的物ですね。
 
 英語は得意ではないのですが、
 Time,Place,Objectで、TPOとしておきましょう。
 
 この移動型は、1つのパラグラフから複数のパラグラフに分岐し、
ふたたび最初のパラグラフに戻るという流れを基本とします。
 
 このスタイルも双方向移動型と同様、
時間や因果関係には、フラグなどのチェックが必要となってきます。
 
 1つのパラグラフから分岐したそれぞれは、
プレイヤーの体験としては順番があるにせよ実質的には等価であり、
別の分岐で生じたフラグを参照にすることではじめて、
その分岐と今いる分岐の間に時間や因果が発生します。
 
(3番目の部屋で取ったカギを使うことで、
 1番目の扉を開けることが出来、先に進めるというような場合ですね。
 
 一方向移動型では、
3番目の部屋でカギを取ってもとらなくても時系列は存在するため、
そこで終わりということは多いですし、
カギを取りに行くという選択があるとすれば、
それはさらに時間(=因果)が流れることになります。
そこに別の物語を盛り込むことができるのです。
 
 対して、双方向移動や多方向移動では、
フラグが立たないかぎり時間が生じないため、
3番目の部屋にカギを取りに戻っても、基本的に物語が動くことがありません。
 
 多方向移動型は
必要なところに直接当たることができるため、面倒がなくていいのですが、
その分、作業的な感じになるのではないかというのが、わたくしの印象です。
 
 
 
 このタイプのゲームブックは、
分岐後の話は比較的短いことが多いのですが、それが長い話になる場合もあります
 
 例えば、3つのダンジョンがあり、どこから攻略してもいいという場合ですね。
この場合も、1つのダンジョンをクリアしたら元の場所に戻り、
他の2つのダンジョンのどちらかを選ぶのですから、形式的には多方向移動型です。
 
 ただし、目標に直接当たれるわけではないので、
雰囲気は普通の多方向移動型とはずいぶん違った印象となります。
 こうした多方向移動型のなかに長い一方向移動型を含む形式を分けて考える場合、
わたくしは「束ねたロープ」型という少々不格好な名前で呼ぶことにしています。
  
  
  
 この項目の最後に、
 ゲームブックとしてはあまりない、ループ型についても書いておきましょう。
 
 1つの状況から派生した分岐があり、
 長い物語を経てもとの位置に戻るという形式だけを見れば、
ループ型も「束ねたロープ」型の多方向移動であるといえます。
 
 しかしループ型は、はじめからすべての分岐を選べる、ということはありません
 1つの物語が終わり、フラグが立つことによって
はじめて次の分岐の物語がよめるという形をとっています。
 
 つまり、形式的には多方向移動型でも、実際は一方向移動型なのですね。
 分岐それぞれは、時系列的には等価ですが、物語の流れとしては順番があり、
それがループものの独特な展開となっているのです。
 
 そのため、ループ型は多方向移動型とは分けて考える必要があります。
 単に多方向移動型といった場合、ループ型は含めないで考えていくので、
そのつもりでいてください。
 
  
 とはいえ、ループ型ではない普通の多方向移動型でも、
ループ型と似たような動きをするものがあります
 
 たとえば先ほど挙げたダンジョンの例ですと、
CのダンジョンをクリアするためにはBのダンジョンのアイテムが必要であり、
BのダンジョンではAのアイテムが必要という場合、攻略するためには、
A→B→Cの順でダンジョンを制覇していかなければなりませんよね。
 
 アイテムだとちょっと特殊かと思えるかもしれませんが、
Aのダンジョンが1レベル、Bが2レベル、Cが3レベル無ければクリアできず、
ダンジョン以外にレベルアップの方法がない場合もやはり、
A→B→Cの順でダンジョンをクリアしていくことになります。
 
 これは、双葉社のゲームブックなどで普通に見られるケースです。
 
 ただこうしたものは、
とりあえずはじめからすべての分岐が選べるという形式的な面と、
分岐後のそれぞれの話にそれほど強い関連性がないという物語的な面で、
ループ型ではなく多方向移動型の範疇に含めることにします。
 

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ゲームブックの移動型」と
ゲームブックのブームとその衰退」については、

ブログを始めた当初――お休みする前――から
真っ先に書かなければと思っていたことなのですが、

書いているうちにどんどん長くなり、収拾がつかなくなってしまったため、
完成させることなく、現在に到ってしまいました。
  
 ここでは、今後の記事のために、
 基本的なことだけを簡単に書いておくことにします。
 
 
       ☆        ☆       ☆ 
 
 
 これまで、ゲームブックの移動型は、
 
 一方向移動型
 
 双方向移動型
 
の2つの移動型に分けられてきました。
 このブログでは、さらに2つの分類を加えることにします。
 
 
 前掲の移動型にあわせて、名称は
 
 多方向移動型
 
 無方向移動型。
 
 
 
 前述2つの移動型にくらべて、使われることは少ないかもしれませんが、
どちらも独特の性質を持っているため、分けて考える必要があると考えられます。
 
 それでは、次回は、一方向移動型から順に、
それらの移動型について簡単に説明していくことにいたします。
 

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