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2024/09/21 ところで「豹」は訓読みで何と読むかご存じですか? 答は「なかつかみ」。まぁ、読めっこない。 なんでも陰陽道で方位を司る八将神(はっしょうじん)という神さまたちがおられるのでございますが、その中の一柱が計都星を司る豹尾神(ひょうびしん)。この神さまが八将神の中央に位置するため「なかつかみ」というのだそうな。どうまん中かと調べてみますと、八柱を円に並ばせた場合の真下みたいですな。 ただし方角的には常に変わっているので、別に南と結びついているわけではないようでございます (そもそも北を上とするようになったのは、大航海時代みたいでございますしね)。「なかつかみ」は『日本書紀』にも登場する古い言葉でございます。もっとも、尾とあわせて出てきているので、当時の方はこの八将神からしか豹のことを知らなかったかもしれませんし、尻尾しか見たことなかったのかも。
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ライトノベル・雑記


ミハエル暁さまのブログ
「暁に、死す!!」 
(以下略・あまり意味ないもん!)
2009年07月18日の記事

木村航「ミラクルチロル44キロ」コミカライズ!

http://goldendawn.seesaa.net/article/123738293.html

で知ったのでございますが、マンガ化されるそうでございますな。

 掲載誌は……。
 ミハエル様のブログからたどってみてくださいな。

 う~~~~~~~~~む。

 確かに、属性だけをとりだして、それをもとにキャラクターを起こしていけば、
オトメな作品になりそうですなぁ。
(ミノウエさんなんか、外見変わりそうな予感)
  主人公の女の子の独白(どくはく)で展開するのも少女マンガ的。

 ただ、その裡(うち)にある木村航先生の骨太な部分がどうなるか?

『ぺとぺとさん』もそうでしたでしょう?
 イラストにつられて読んでみると、
ふんわりとしたマシュマロの中は、
意外と歯ごたえのある――なんだろ? 無難にクッキーとしておきましょうか――
だったという……。

 でも、大丈夫かな。
 それもでございますから。

 などと書いていて、ようやくわかりました、わたくしの書きたいことが。

 つまりは、このような特定の方しか手に取らない雑誌ではなく、
もっと多くの人が手にとりそうな雑誌だったらな、ということでございます。

 それは、多くの人の一致する意見なのではございませんでしょうか?

 それと気になるのは、チョコレートのこと。

 連載はやはり、2月、もしくはそれに該当する号までなのか。
 9月からで隔月刊ですと、11、1の3回かな?
 それだと、全部は描ききれないのでは?
 もしかすると、その次の年のバレンタインデーまで
 いや、まさか。

ですとか、

 チロルチョコはこの雑誌に広告を載せるのだろうか?
 その場合、つぼみさまがチロルチョコを持ってニッコリ、
などというコラボがありえるのか?

 オリジナルチロルチョコの、全員プレゼントはあるのか?
 それとも、作品にあわせて40キログラム分、4000個なのか?
 いや、郵送費とか考えると雑誌に付録としてつけたほうが早いのか?
 しかし雑誌の場合、どんな過程を経、どんな扱われ方をして読者に届くかわからない。
 食品は危険だ。
 となると、チロルチョコレート型携帯ストラップあたりが無難なのでは?

 など、さまざまなことが思い浮かびます。

 まぁ、いづれにいたしましても、わたくしも単行本待ちでございますか。

 連載が長く続くとよろしいですな。

追記:

「本の雑誌」2009 5 草むしり早弁号(本の雑誌社)

特集=二〇〇九年、私の(秘)(原文は○のなかに秘)新作! で、

木村航先生が何か書いておりましたので(p.16) 
このことについても実は書いていたのかな? 
と思って図書館で見てみたのでございますが、
残念ながらございませんでしたな。

 名前が出てきたのは、

茗荷屋甚六名義のアダルトゲーム
『Forest』(ライアーソフト)

のみ。あとは、

文芸書の新企画を準備中。
ライトノベルは、4~5レーベルで新作がでる予定で、それに忙殺されている。
 ただし、この業界は不人気打ち切りがフツーですので……

 とのことでございました。
 

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 ランダムダンジョンタイプと申せば、『風来のシレン』などコンピュータゲームにもいろいろあって、それもものすごく面白いのでございますが、今回は非電源タイプのもので。

 もちろん『風来のシレン』はとめどころなく1000回どころか6~7千回ぐらいは遊びましたけどね。
 1000回遊べるなんて、内容に偽りありですな。

 さて、
 わたくしの知る限りでは、
非電源タイプのランダムダンジョンは、
ダンジョンものと
オープンフィールドものの
2つに分かれます。

 ダンジョンものは、

「ドンキーコマンド」がもちろんそうでございますし、

「レベルアップ型RPGのための恐怖の無限迷宮」
(『RPGゲームマスターになる本(1)【体験編】』)

「ソロプレイ・ゲーム」
(『ダブルムーン伝説―TRPGシステムブック』)

なんてところがございます。

持っていないのでわかりませんが、『デスメイズ』なども
この中に入るのでしょうな。

 敵との戦闘、罠、財宝など、
ダンジョンものの基本を行うゲームで、

 一般的な、あるいはある特定のTRPGについてのルール(とくに戦闘ルールですな)
を理解するために
作られているものが多いようでございます。

 オープンフィールドものとしては、

『四人のキング』
『ミストキャッスル』などですか。
『ウィッチクエスト』も、この中に入りましょう。

 単純な戦闘ルールのみのゲームではなく、
双方向移動型のゲームブックとしての物語性を持たせたもの

このタイプと申せましょう。

『ウィッチクエスト』の場合はちょっと異質で、
「ストラクチャーカード」(地図として並べるカードですな)だけでは、
単なるフロアタイルということになってしまいます。

が、
ルールとして「遭遇表」があり、
そこで起こることの例が書かれているので
そこに物語の要素が見出されるのでございますな

 ほかにもあるとは存じますが、
これらはあくまで一例ということにございます。

 さて、
 ここでこれより話題にいたしますのは、
このうち前者のダンジョンタイプ
ランダムダンジョンでございます。

 このタイプ、結構好きですな。

「ドンキーコマンド」などは、
 前回ご主人さまが紹介してくださいましたとおり、
ひとつひとつの壁に対してサイコロをふって
チェックするものでございますから

暗闇で手探りで進んでいく感じがあって、よろしいのでございます。

『RPGゲームマスターになる本(1)【体験編】』の
「レベルアップ型RPGのための恐怖の無限迷宮」は、
トランプを使って、部分部分の種類を決めるタイプですな。

数字(A,2~K)はそれぞれ、







小部屋
向こうに通り抜けられる小部屋
大部屋
階段
斜路

スート(スペード・ダイヤ・ハート・クラブ)

休憩
怪物
アイテム
アクション(聞き耳を立てる・走る・鍵をあける・酒を飲むなどをやはりカードを使って決定する)

となっております。

アクションをカードで決定するあたり、
ルールの理解やチェックのための
テスト的な性格が強うございますな。

『ダブルムーン伝説RPG』の「ソロプレイ・ゲーム」は、十面体ダイスを使うタイプでございます。

部屋はダイスにあわせて、

行き止まりの大部屋
(向こう側に)通り抜けられる大部屋
一本道 (
曲がり道(
T字路 (
十字路 (
(四方向に通り抜けられる)広間
行き止まりの小部屋
(曲がって通り抜けられる)小部屋
行き止まり

となっております。

で、部屋に入った場合には、
各部屋の決定表で
怪物や罠、階段とか泉とか宝物とかを決定し、
そのイベントを解決するのでございますな。

 これ、結構まとまっていて遊びやすいと存じます。
 わたくしも何度もプレイいたしました。

 …… ……

 とまで申しますと嘘になりますな。

 確かに遊んだのでございますが、
プレイしたと申しましても、
戦闘や各種チェックまでやったのではないのでございます。

 ただひたすらサイコロをふって、
ダンジョンをのばしていくだけ。
 で、
もう伸ばせる場所がなくなるところまで行ったら、
そこでゲームは終了。

通路は1点、小部屋は2点、大部屋は3点
といった感じでポイントを集計し、
高得点を目指す、
というような感じでございますな。

 あれっ?
 階段が出るか、マップの別の辺(対辺?)に出たら生還、それ以外は死亡
というルールを入れたかもしれません。

えっ?
 モンスターやワナ、財宝の得点は?
 ですって?

 たしかに考えはいたしましたが、何しろ個人的なハウスルールでございますからな。
 そこまで凝ったことはやらなかったように存じます。

 とにかく、ダンジョンを伸ばしていくのが楽しい のでございます。
 このゲームの場合、
『RPGゲームマスターになる本(1)【体験編】』の迷宮と違って、
マップタイルをどの方向にしても良いみたいでございますからな。
 サイコロの出目にまかせたランダム性だけではなく、
どう傾けるかの部分に考える余地が出て、
楽しいのでございます。

 何人かでやれば、妨害の要素も出て、さらに楽しゅうございましょう
映画『トロン』「ライトサイクルゲーム」みたいな感じでございますが、
一つの通路をふさがれても、別に途中の通路があれば、そちらを伸ばすことが出来る辺りが
ポイントでございますな。

 まっ、このようなゲームは、
すでにあるかも……とは存じますが、気にしない!

 楽しければよいのでございます。
 


《参考》

 『ダブルムーン伝説―TRPGシステムブック』
 (大貫 昌幸 著 1991/6 角川書店 コンプコレクション) 

p.142~145「ソロプレイゲーム」



『RPGゲームマスターになる本(1)【体験編】』
(朱鷺田裕介 著 1992/2 マイクロデザイン出版局)

p.134~138
「チェックリストその2:レベルアップ型RPGのための恐怖の無限迷宮」

(ちなみに、チェックリストその1は、「初仕事は龍退治」。
シナリオをたどっていくことで、そこで起きるさまざまな状況を、
そのシステムでどのように解決していったらいいかをチェックする)



『ウィッチクエスト2 エディスと猫のいない街 下巻』
(冒険企画局(*) 編著 九月姫イラスト 1991/11
 発行 宙(おおぞら)出版/発売 主婦と生活社)

口絵(付録?)
「ストラクチャーカード」

p.19~50
「サプリメント・ストラクチャーカード」

(*)

わきあかつぐみ:
企画・基本ルール
(この巻での担当は、追加魔法、ワールドガイド、付録シナリオ2)

奈那内さなぎ:リプレイ編のシナリオならびにゲームマスター
(この巻での担当は、ストラクチャーカードの細部、ワールドガイド)

近藤功司:ストラクチャーカードのオリジナルアイデア

佐藤明子:アシスタントスタッフ
 

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ゲームデザイン アル・シダータ
TACTICS No.3 1982 May-June
(ホビージャパン 昭和57年5月)
p.28-37


 RPGを理解するための一助として、
前回紹介した
「冒険のシミュレーション シミュレーションの冒険」
という記事の下に置かれていたゲームがこの
「ドンキーコマンド」だ。

 ゲームとしては
ランダムダンジョン型のソロアドベンチャーで、

付随するルールもこのゲームのためのものであり、
RPGシステムとしてはかなり限定的だ。

 作者のアル・シダータなる人物については、
ぐぐってもよくわからなかった。
 ただ、「デザイナーズ・ノート」(p.37)を読むと、
このゲームは、上記記事のために作られたものらしいので、
この人物も、記事の作者、高梨俊一先生にかなり近い位置にいた人物と思われる。
 訳者も書かれてないし、翻訳というわけではないだろう。

 ジャンルは、コマンドという単語からわかるとおり、
現代(もしくは近未来)の特殊工作員もの。
 スパイものといったほうがわかりやすいだろうか。

 現代ものにしたのは、
シミュレーションウォーゲームの専門誌である『タクティクス』誌の読者には、
現実的な舞台のほうがわかりやすいとの判断だろうか。

 もしくは、
別ページ(p.38)に載っている「放浪の騎士エルツリグナーの冒険」が、
ファンタジーRPGのリプレイ(本邦初のリプレイですね、多分)なので、
それとは別ジャンルにしようとしたのかもしれない。

 だとすれば、 
RPGにはいろいろなジャンルがあるので、
ひとつにかたよってはいけないという配慮が働いた、
ということになる。

 ミッションの内容は、

A国にある秘密基地に潜入し、出来うる限り内部を破壊し、かつ機密文書を持ち帰れ、

というもので、

ヘリコプターで到着、脱出し、エレベーターで階を行き来するあたり、
どうもタイトー社の『エレベーターアクション』を連想してしまった。

 能力値は、

「耐久力」、「体力」、「運」、「知識」、「反応」、「正確性」、「ボーナス」の6つ。

 このうち、ボーナスというのは、
「反応」と「正確性」の合計が高い場合に与えられる特殊能力のことで、
ナイフ投げ、空手、暗示能力などがあり、サイコロを振って決める。


  ゲームの手順を紹介すると、

 まず隣のマスに移動して
(ドアを通過する場合は、ここでアクシデントチェック。
転んだり、レーザー兵器にやられる場合もある)、

そのマスの三方向に対してサイコロをふり、

壁か
ドアのある壁か
どちらでもないか

を判定する。

 さらにその隣あった空間(壁も扉もないところ)についても壁チェック
壁などがない場合、
そうしてできた十字の5マスコマンド(=君)の視界となる。
(壁がある場合は、当然そこで視界はさえぎられるので1~4マス)

 次に、その視界内の敵をチェック

 自分のいるマスと、まわりの空間マスに対して
ひとつひとつ敵がいるか、何人なのかを
サイコロを振ってチェックする。

 敵がいたら戦闘だ。

 戦闘時に取れる行動は、

持っている武器や
状態(立っているかなど)
特殊能力

などによって異なるが、

 連続射撃
 単発射撃
 ピストル射撃
 手榴弾投てき
 ナイフ攻撃
 ナイフ投てき
 白兵戦
 ATR攻撃
 空手
 マガジン交換
 武器交換
 伏せる
 立つ
 降伏勧告
 逃げる

があり、それぞれに消費運動ポイントが定められている。

 戦闘解決は、簡潔ながら本格的。

 ウォーゲームの専門誌だけに、それは当然なのかもしれないが、
このルールを見るとやはり、「タクティクス」の読者向けということで、
舞台を現代にしたのでは? という感が強くなる。

戦闘がおわると、調整フェーズという段階に入る。

 回復、
装備の変更、
敵を10人倒すごとにサイコロを振り、2以下で能力アップ
(レベルアップに相当する。どの能力がアップするかはサイコロで決定) 
などを行なう。

 ただし、
現在いるところが
部屋(壁、もしくは扉つきの壁で四方が囲まれているところ)だった場合には、
その前に「奪取」「爆破」など、その部屋に対応した任務を実行する。

 それが終わったら、移動……
というふうに繰り返して、
任務を果たしてエレベーターホールまで戻ってこれたら成功
気絶なら失敗というわけだ。

 このゲーム、読んだ当時はやっていない。
プレイしたのはゲームブックをやり慣れてからだ。

 そのときの印象としては、かなり楽しくプレイできた。
 もっとも、改めてルールを読み返してみると、
だいぶルールを簡略化してプレイしていたのかもしれないが……。

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TACTICS No.3 1982 May-June
(ホビージャパン 昭和57年5月)
p.28-38


 

 もともと、 新しいゲームの波というものには興味があった。

 シミュレーションゲームもその一つであったため、
それを扱っている「タクティクス」誌も気にはなっていた。

 だが、1号2号も扱っているのは、ヒストリカルなウォーゲーム……。
 それには興味がなかったため、パラパラと見るにとどまっていた。

 それが3号になってSFゲームの特集をやってくれることになり、
ようやく手にする気になったのだ。

 といっても、プレイしたゲームはなかった。
 一応、 『宇宙の戦士』はもっていたが、
まわりにSFファンはおろか、アニメファンもおらず
(いや、いたにはいたが、興味の方向が全然違っていたのだ)、
こんな面倒なゲーム、誘っても、あいまいな笑みを返されるだけだった。
(だいたい私自身、ルールをちゃんと把握してなかった……)

 まあ、それはさておき、

 ご存じの方も多いと思うが、この号は、
日本において、おそらく初めて
ロールプレイングゲームというものが、紹介された号でもある。

「冒険のシミュレーション シミュレーションの冒険」
(解説 高梨俊一 p.29-38)

が、その記事だ。

 ただ、正直言って、読んだときは ? だった。

 何をやるゲームなのかわからない。
いや、
どういうゲームなのか、概念さえわからなかった
といった方がいいだろう。

 トラベラーについて、 「箱を開けると三冊の小冊子しか出てきません」 (p.28)と書かれている。
 にもかかわらず、
ボードや駒が入っている、シミュレーションゲームと同じぐらいの値段だというのか?

 しかもゲームの概容は、 「一言でいえば『ごっこ遊び』」 (p.29)だという。

「子供のごっこ遊びが、身ぶりでシミュレートするのに対して、
ロールプレイングゲームは言葉でシミュレートします」
(p.29)

とあり、その方法が書かれていたが、それがどう面白いのか謎だった。

 記事の構成も、わからなさに拍車をかけた。

「まず、頁の上段に解説が、
頁の下にはトライアルゲーム「ドンキーコマンド」があります。
そして最後の頁(p.38)には、実際にプレイしている様子を会話形式で再現した、
「放浪の騎士エルツリグナーの冒険」が置いてあります。」(
p.29)

 なのだが、

 解説が、
その概念、ルール、シナリオ、ゲームマスター、どんなゲームがあるかなど、
ひと通りの紹介、

 トライアルゲームである「ドンキーコマンド」
現代が舞台のルール主導のもの、

「放浪の騎士エルツリグナーの冒険」が、
リプレイ形式(つまり会話中心)のファンタジーもの、

ということで、
 ロールプレイングゲームという幅の広いジャンルを紹介しようとすれば
このような形になるのもうなづけるが、

 会話中心のファンタジー、
 ルール主体の現代もの、
 さらに、
あらゆるジャンルに渡るさまざまなゲームが存在していて、
 しかも、
シミュレーションゲームとは違うまったく新しい概念のゲーム、

 となると、結局のところどういうものなのか、とまどうのも当然だろう。

 今読めば、
ロールプレイングゲームというものを
ポイントを押さえてまとめていることがわかるが、

 初めて接するものには、
この説明だけで懐が深いRPGを理解することは、
ちょっと、いや、かなり難しいと思うのだ。

(ホントは「ドンキーコマンド」を紹介するつもりだったけど、時間切れ。次回にまわします)


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3D視というのは、ご存じですよね。

 2枚の並んだ写真、
もしくは
あらかじめそのように作られた連続した模様が描かれた一枚の絵を、
ぼんやりと眺めていると、
その絵なり写真なりが
浮かび上がって……、
というよりもむしろ、奥行きをもって、
立体的に見える

というものでございます。

これは、視線の焦点をずらすことにより、眼を(脳を)、
ごまかしているために、そう見えるのでございましょう。

『ジュラシック・パーク サバイバル・ゲーム』
(J・P・クルーズ著 岡田良記・イラスト 1993/7 二見書房)
でも、
この3D視が使われておりましたな。

 赤外線スコープの双眼レンズをあらわす2つの丸に、
白黒のドットでわけの分からないものが描かれており、
その2つの丸を立体視の手法で見ることにより、
一つの絵が浮き上がるというものでございました。

 新しい遊びをゲームブックに取り入れているのは、
二見書房の作品らしくて評価に値するのでございますが、

白黒でしかも紙質が新書のそれでございますから、
答えとなる3Dの映像が見にくいこと。

 まぁ、それが赤外線スコープの感じを出していたとも申せますし、
クイズとしては正しい という考え方もできますが――。

 さて、この立体視、
作り方については、いろいろなところで紹介されていると存じます。

 まだらな模様の方は、面倒くさいのでパスですが、
(と申しますか、読んでない……)

 2枚の写真を並べる方式の方は、
なんでも、視点を少し変えた写真を2枚並べることで出来るのだとか。

 まぁ、ここら辺までのことは、知っていらっしゃる方も多ございましょう。

 ですが、もっと簡単な方法があることを知る方は少ないのではないのでしょうか?

 単純に、奥行きのある絵なり写真なりを見るだけならば、
別に視点をずらす必要などない。

 要するに、
同じ写真を2枚並べ、立体視の要領でそれを見れば、
そこだけ奥行きのある、向こう側に引っ込んだような感じに見えるということでございます。

 知っている方が少ないのでは? と思ったのは、
わたくしもこれ、偶然、自分で発見したからでございますよ。
 いや、最初見たときはびっくりいたしました。


 ちょっと試してみてください。

 今パソコンでこれをご覧になっているのでしたら、
一番簡単なのは壁紙ですかね。
 それを、「並べて表示」するもの(模様みたいなのが、無数に並ぶやつですな)に変え、
立体視してみてください。
 画面全体が奥まって、結構壮観だと思います。

 立体視は眼にもいいという話も聞きますから、
作業に飽きたときにやってみるのもよろしいかと存じます。

 あとは、お風呂とかですね。
 格子状に並んだタイルを、ぼんやりと眺めておりますと、
やはり奥まって見えてまいります。

 そのまま、引き込まれて異世界に--。
 な~んて話もできそうでございますな。

 湯船に使っているときにでも試してみてくださいな。


 この立体視、応用もききます。
 2枚の絵が並んでいる、と申せばすぐに思いつくと存じますが、
間違い探しに役に立つのでございます。

 適度に並んだ2枚の絵を、やはり立体視の要領で見ますと、
違っている部分はそこだけ合わないものでございますから、
何かチラチラとするのでございますな。
 ですから、そこが間違いということに相成ります。

 ただ……。
 この方法、実はそんなに万能ではないのでございます。

 まず、
間違い探しの2枚の絵なり写真なりが、
適当な大きさと位置になければなりません。

 そうでないと、2枚の絵を1枚にするのにひどく苦労することになります。
 うまい位置と大きさになければ、無理なこともしばしば……。

 もう一つ難点なのは、
結局、見つかりにくい間違いというのは、立体視をしても見つかりにくい
ということでございます。
 最後の一つと申すのは、微妙だったり小さかったりして、
結局わかりにくいのでございますな。
 これは、問題にもよりますが。

 そして、3つ目
 2つ目とも関わってきますが、このように立体視してみても、
ふつうに間違い探しをするのと時間的にあまり変わらない ということでございます。
 これも問題によるのでございましょうけどね。

 まあ、
そのように使えるかどうかを考えますと微妙でございますが、
立体視をすること自体が楽しいので、一度やってみてくださいな。

 なお、この間違い探しの解き方は、
昨今流行の時間で徐々に変わっていくものなどには使えません。

 さすがにそれは、無理難題と申すものでございます。

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ゲームブックのブームは、1990年代を待たずして衰退した。

「Wikiペディア」にはそのように書かれている。

 この「1990年代を待たずして」というのは、人によりブレがあるだろう。
 ある人は、1988年ぐらいを考えているかもしれないし、
別の人は'90年代に入ってもブームの余韻はあったと思っている人もいるかもしれない。

 私はそのどちらにも与しない。

 ゲームブックのブームは、もっと早い時期、
『火吹山の魔法使い』が刊行されてから、1~3年で終わった
と考えている。

 『火吹山の魔法使い』が日本で出版されたのが1984年末だから、1985年ということとして、
1986年から1987年末あたりまででブームは去ったということだ。

「ウォーロック」誌を持っている人限定で言うと、

第四号(1987年4月) 「(こんなゲームブックが出た! 1986ゲームブックリスト)」



vol.16(1988年4月) 「こんなゲームが出た! (1987ゲームブックリスト)」

 あたりまでがゲームブックのブームということだ。


 1~3年のなかで、3年(1987年あたりまで)というのは、わかりやすいと思う。

 何しろ、その次の年の総括である、

vol.29(1989年5月) 「こんなゲームブックが出た! (1988ゲームブック総リスト)」では、

ゲームブックの数が半減しているのだから。

  そのため、この特集では、
ゲームブックだけではなく、
TRPGやゲーム小説、それにゲーム攻略本などの関連書
まで扱っている。

 そこには、編集者のゲームブックからTRPGへという意図が読み取れるが、
それだけではなく、
実際にゲームブック自体が、もはやブームではなくなっていることを示している。

 では、2年(1986年あたりまで)というのは?

「ウォーロック」誌の発刊は1986年12月、
まさに『火吹山の魔法使い』から2年目ということになる。

 とすると、
「ウォーロック」は、ブームが去ったあとに出た
ということなのだろうか?

 そのとおりだ。

「ウォーロック」誌 vol.63(休刊号)p.59には

創刊時の状況について

「当時のゲーム界の状況は、ゲームブックのブームが一段落して、
その後の展開を模索しているとき」

だったと書かれている。

 つまり、創刊以前の時点で、ブームはひとまず終わったと見ているのだ。

 さらに、1年目にしてブームは去った という考えも出来る。

 というのは、 「EQ」誌 MAR'86.No.50に、
次のような文章があるからだ。

 「EQチェックリスト鼎談」p.159

 数藤(康雄)  現象面で挙げれば、『火吹山の魔法使い』が文字どおり“火付け役”となって、この一年爆発的なブームになった〈ゲームブック〉の流行があります。あまりの数の多さとワンパターン化に、さしもの「EQチェックリスト」でも、書評対象からはずしたという……。

 つまり、この頃には他ジャンルからの注目がなくなってきたということだ。


 1990年近く と、
 『火吹山~』登場から1年

 この差は、
ブームというものに対する考え方の違い
によるものだと思う。

「1990年代を待たずして」とお書きになった方は、
おそらく、当時小学生か中学生(決めつけはよくないが)で、
その頃もゲームブックファンだった人だろう。
 つまり、ブームの渦中にいた人間だ。

 だが、 ブームというのは、

その中心となる場所にいるもの以外からも注目されなければ、
本当のブームとはいえないと思うのだ。

 本来なら取り上げるはずもない雑誌などで紹介され、
その分野に対して興味のない人からも話題にされ、
便乗した商品が世に出回る……。

 そのように、世間の注目を集めてこそはじめてブームといえる。
 そして、その時期というのは、
『火吹山の魔法使い』から1年ぐらいだと思うのだ(*)。

(*)
『火吹山の魔法使い』がそうした作品であったことは、『バルサスの要塞』のオビを見てもわかる。
「朝日新聞、各地方紙、BRUTUS、BOX、ログイン、週刊文春、宝島ほか多数の紙誌で紹介されました。」とあり、そのあとに「POPEYE」誌の評が載っている。
 どういう紹介のされ方をしたのかはわからないが、そのようにマスコミに取り上げられることでゲームブックブームは大きくなったともいえる。


 その後の2年――1986年~1987年というのは、
内部での熱気がまだあったころ。
 そして次の1年は、その熱気が盛りをすぎたころといっていいだろう。

「ウォーロック」誌
vol.29(1989年5月) 

「こんなゲームブックが出た! (1988ゲームブック総リスト)」

p.12「ことしも春が来た! ~88年、ゲームブックシーンを総括する~」(近藤巧司)

では、

1985~1988年までを、次のような言葉でまとめている。

1985 「ゲームブック元年」
 何もかもが手探り状態の混乱の時代。

1986 「混乱と淘汰の年」
 粗製乱造されたピントはずれな本が姿を消し、実力ある舶来のゲームブックがもてはやされた。
 新しい様式を探る時代が終わりを告げた時代。

1987 「安定と文化の年」
 各社がスタイルを決定し、独自のセンスで安定したゲームブックをリリースしていった時代。

1988 「先鋭化の年」
 ゲームブックは、巨大化、システムの複雑化、難易度のアップをしていき、
専門化すると同時に、一握りのマニアのものになってしまった。

 これは、正しい分析だと思われる。
 この流れからいっても、やはりゲームブックのブームというのは、
1986~87年あたりまでという判断で、正しいと思うのだ。

 ブームというのは、たいていがそのようなものだと思う。
 

「ヨーヨー」でも「なめ猫」でも「ガングロ」でも「スウォッチ」、「たまごっち」でも、
「お笑い」でも「バンド」でも、

ブームとして話題になったものなら何でもいい。
 少し思い出してみてほしい。

 そのブームの中にいて、それに熱心に取り組んだ人にとってはともかくとして、
端(はた)から見た場合、ブームというのは案外短いものではないだろうか?

 もちろん、もっと命脈を保ったブームの例をあげる人もおられよう。

 アニメやガンプラなど、最初にブームになったときから、
ずっとブームが続いていると主張する人もいるかもしれない。

 だが、そのようなものは文化として定着したというのであって、
ずっとブームが続いているとは言わない。
 それに、最高潮に盛り上がったときから比べれば、
そのポテンシャルはいくらか落ちているはずだ。

 さらに、何も関係ない人まで話題にしたり、手にとったりとなると、
その期間は、ますます短いものとなるだろう。

 もちろん、ポテンシャルの高い文化の場合、その波が何度も来ることもある。

 だが、ブームというべきはその波の部分だけであり、
それ以外の部分も含めてブームがずっと続いているとは、
私は言わないと思うのだ。
 

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『いぬかみっ! Exわんっ!』
有沢まみず イラスト/松沢まり (2007/9 電撃文庫)

p.11-102



 ついでなので、 引き続き、第一章のほうについても書いておきましょう。
う~む、ライトノベルの最初は
新井素子先生の「あたしの中の……」
にしようと思っていたんですが。
 まあ、あまりこだわっていると何も書けなくなるので、
順序や形式は気にしないことにいたします。

 というわけで、「襲来! 赤道時子」でございますが、

読んでいるうちは、どうなることかと話の行方を追っていたのでございますが、
読後思い出してみますと、意外にオーソドックスな展開でございました。

 どんな感じかと申しますと、
(ネタバレが嫌いなかたは、以下の文章を読む前に、作品を読んでくださいませ)

 主人公のもとに、小学校低学年のときに結婚の約束をしたという
赤道時子さまが押しかけてきます。

 その結婚の誓いというのは、
まあ予想がつくでしょうが、子供時分のことですし、
そのあと彼女はすぐに転校していってしまいましたし、
要するに赤道さまのほとんど一方的な思い込みなのでございますが、
思い込みの強い彼女のこと、強引にことをすすめようとするわけですな。

 で、啓太さまの犬神であり、恋人(といっていいよね)である
ようこさま(犬神ではなく実は妖狐だったりするのですが)
と対立するわけでございます。

『うる星やつら』で申しますと、
ラムとしのぶが、
諸星あたるをめぐって全面対決
という感じですかね。

 ようこが火炎使い、
時子が巨大なハンマーをふり回すあたりも、
『うる星やつら』の二人と似た感じが……
(まぁ、他の技もあるのですけどね)

 直接対決ではアパートごと壊れてしまう!
 そう確信した啓太は、どちらが自分の嫁としてふさわしいか、
テストして決めるとふたりに申しわたします。

 まずは、料理対決
 結果は……。
 ……。
 パターンどおりと申せば、
まあ予想がつきますな。

 啓太の作ったものが一番おいしいということに。

 それではと、

犬神つかいの本業である、邪霊退治のアシスタントとして
どちらがより役に立つかで判断しようと、
実際に、二人を
現場である洋館に連れて行くのでございますが。

 二人が対抗心むき出しに力を振るいあったために、
恐ろしいことにあいなりまする。

 邪霊たちは許しを乞うて逃げ惑い、
それを二人が狂気の笑みで追いかけ……。

 邪霊は退治できたものの、
二人のありあまるエネルギーは啓太に向かい、
彼女たちはふたたび一触即発に――。

 とここで、調停者の登場でございます。

 オーバーロード、水戸黄門の印籠、デウス・エキス・マキーナ、
何と呼んでもよろしゅうございますが、

 時子さまのお母君
微笑みながら圧倒的な力でこの場をおさめます。

 彼女には逆らえず、
 結局、時子とようこは座禅をさせられるはめに――。

 というわけで
わかりますでしょうか。
 この種の話としては、一つの典型でございますな。
 
 ただし、そのオーソドックスな展開をちゃんと読ませてしまうあたりは、作者の力量だと存じます。

 特に、キャラクターの暴走っぷりが良いですな。
 前書きで、

(流れが変わってしまったため、本編では出せなくなってしまったけれど)
「時子は自分が創作してきた女の子の中でも一、二を争うくらい気にいってます」

と書いているだけのことはございます。

 というわけで、しっかりと楽しい作品でございました。

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有沢まみず イラスト/松沢まり (2007/9 電撃文庫)

p.172-193
  第二章 ifシリーズ ~もし、「いぬかみっ!」が○○だったら?
その6 もし、『いぬかみっ!』がゲームブックだったら?


ミッション指令

 君は川平啓太(かわひらけいた)である。君の任務は川平薫(かおる)邸を訪れ、薫の犬神たちと仲良しになること。ただし、君の行く手には嫉妬に燃えるようこ、お祭り好きなヘンタイ、恐ろしい妖怪などが立ちふさがっている。それらを無事回避して、十人の犬神たち全てと仲良くなればミッションクリアである。
 一点だけ注意。一度行った場所は二度訪れてはならない。それがルールである。
 君の健闘を祈る。
                (p.172より)

というわけで、

追加しておきました。


例によって原作は知りませんが、

この巻を呼んだ限りでは、

どうやら

男の子一人に女の子がたくさんという、
ライトノベルの一つの定型パターン

……をやろうとしたんだけど、どこをどうにか間違っちゃった作品、
らしいですな。

 この「男の子一人に女の子がたくさん」という
ハーレムパターンの基礎を築いたのは、やはり「天地無用!」でしょうかねぇ?

 もちろんその前には、「うる星やつら」という
一人の少年(諸星あたるって少年って呼びにくいなあ)
次々と変なキャラクターが来襲するパターンがあり、

それは「天才バカボン」などの系譜ではないかと思うが、

まあ、話が長くなりすぎるので、パスでございます。

 いずれにいたしましても、そのあたりはゲームブックには関係ございません。

 ストーリーは非常に簡単でして、
 
川平薫(かおる)さまのお宅にうかがい、彼女の犬神たちと仲良しになること。

 彼女のおうちの中での移動はございますが、順番はどうでもかまいません。

 移動してどこかに行きますと、
犬神たちや……手っ取り早く申せば、女の子ですな
(この物語では犬神=少女なのでございます)、
に出会います。

 彼女たちは、
お風呂に入っていたり、ツタにからまれていたり、眠っていたりするわけで、
これがまぁ、イベントシーンというわけですな。

 そこで2択とか3択がございまして、

常識的な選択肢を選べば、彼女たちの好感を得られ、
すべての好感を得てうちに帰ればトルーエンド、

覗いたり、覗き込んだり、裾をめくったりという行動をすればバッドエンド

というわけでございます。

 非常にわかりやすいクイズ型の展開でございますな。
 フローチャート的にも非常にシンプル

 これは、クリアを目指すと申すよりも、全体を読んで楽しむタイプの作品と申せましょう。

 とは申せ、もう少し凝ったところが欲しいものでございます。
 


  ところで、
ゲームブック倉庫番にこれのデータを入れるとき、失敗をしてしまいました

 この作品の出版社なのでございますが、
メディアワークスなのでございますよね。

 メディアワークスと申せばご存知のとおり、
角川書店のお家騒動で分裂して、主婦と生活社に入ったわけでございますが、
この本の奥付をみると、角川グループパブリッシングが発売元となっております。

 ……。

 まあ、いろいろとあったのでございましょうな。

 そこで、
主婦の友社/メディアワークスの記事から「Beast&Blade」をコピーし、
主婦の友社/メディアワークスをメニューから消して、
新たに、メディアワークスの項目を作ったのでございますが、
それだと、
主婦の友社/メディアワークスの項目にあった
「Beast&Blade」の記事は残ってしまうようなのですな。
なんとかして、それを削除しようと思ったのでございますが、

どうもそれは、管理者権限がないと出来ないみたい……。

 まあ、それはそうでございますな。
 へんなやつが、いきなりすべてのページを消してしまったりしたら、
たまったものではございませんから。

 まあ、主婦の友社/メディアワークスという項目を
メニューから消せば実質上その存在は消えるのでございますが、
そうやってリンクがない記事が残ってしまうのはスマートではない……。

 というわけで、主婦の友社/メディアワークスという項目も、いちおう復活させておきました。

 わかりにくくなって申し訳ございませぬ。

 というわけで、はしもとさま
もしここを見てくださっているのでしたら、修正しておいてほしいな……、
と思う次第でございます。

 お願い!!

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 ゲーム機を買ったのは、ずいぶん遅かった。
 初めて買ったのが、何しろゲームギアだ。

『ゼビウス』が出たとき、ファミコンを買おうかと思ったのだが、
パソコンなら完全な形で出るだろうなどと考えて、スルーした。

 結局、現在、
ゲームボーイアドバンスのファミコンミニ『ゼビウス』も買ったし、
プレイステーションポータブルの『ナムコミュージアムvol.2』も買っていたりする……。

 まあ、『ゼビウス』の話は、また後ほどにしよう。
 ホントはこれよりも前に書く予定だったのだが。

 で、そのゲームギアで、最初に買ったソフトが、
『エターナル・レジェンド 永遠の伝説』というRPGだった。

「メガドライブFAN」1993/7の付録
「MEGA FRIVE & GAME GEAR ALL CATALOG'93」
には、

「戦闘中にムチを使って敵が持っている武器を取り上げられる」
ことが特徴の、
「オーソドックスなRPG」

となっている。

 プレイしてみての私の感想は、

・意外に一本道。

・そんなに長くない話を、戦闘で水増しして長くしている。

 というものだった。

 だが別に、
この『エターナル・レジェンド』が出来の悪いゲームだからそう思ったのではない。

 そのあとも十数本はコンピュータRPGをやっていて、
その中には当然、名の知れたゲームもあるのだが、
このゲームはむしろ出来のいい部類の作品だと思う。

(まあ、ゲームボーイアドバンスどまりだし、リメイク中心にプレイしているので、最新作についてはさておくが。
でも、『ルナ』、『聖剣伝説』や『マザー』、『ドラゴンクエストⅢ』などはプレイした中に含まれる)


 そして、それらプレイした十数本のRPGについても、
「一本道」「戦闘で物語を水増ししている」という印象を受けた。

 ゲームの出来不出来に関係なく、そう感じたということだ。

 つまりは、コンピュータゲームに期待しすぎていたのだろう。

 ゲームブックであれだけできるのだから、
コンピュータで何メガとか謳(うた)っているものだったら、
物語は縦横無尽にいくつも分岐し、変幻自在のストーリーが楽しめるにちがいない。

 そのくらいのことを思っていたのだ。

 ところが、そうではなかった。

 そのため、

 これだったら、戦闘が少ない分、
物語をたどりやすいゲームブックのほうが優れているのでは? 

とさえ思う。

 アドベンチャーゲームにしても、そうだ。

『かまいたちの夜』

『逆転裁判』にしても、
フローチャートを描いた場合、
意外と一本道な展開だな、と感ずる。

 まあ、仕方ないのだ、推理ものの場合は。

 ブレイヤーに推理させるためには、すべてのデータを提供させねばならず、
全員にそれを行なうためには、共通のルートがどうしても必要だからだ。

 もちろん、『シャーロックホームズ10の怪事件』や、
ボード、カードゲームのように、

プレイヤーの力量や運によって情報が限定され、
その手に入れた情報だけで推理していく

という方法も成り立つが、
それだとよりゲーム的になってしまい、
推理小説的な物語としての楽しみが殺(そ)がれる結果になってしまうのだ。

 だから必然ではあるのだが、
それでもコンピュータの物語ゲームには期待してしまう。

 よりマルチに、より複雑に、網の目のように、あるいは神経のように、
分岐し、結びつき、多様に展開し、いくつもの姿を見せてくれる物語を――。

『かまいたちの夜2』は、ある程度それを見せてくれた(ホラーは嫌いだが)。
 だが、それでもフローチャートが直線的な部分が多い気がしてしまう
(まあ、ストーリーをつぐむ上で仕方がないのだろう) 。

 おそらく、新しい作品の中には、他にもそのような作品があることだろう。
 さらに未来の作品には……。

 と書くと、
なにかゲームブックを見限っているように聞こえるかもしれないが、
そんなことはない。


 容量に限界はあるとはいえ、
ゲームブックにも、まだまだ新しい要素は盛り込める
と私は思っている。

 


 以上、ご主人さまがお送りいたしました。

『エターナル・レジェンド』は、ホントいいゲームですよ~。

 それまで、王道のファンタジーRPGだったのに、
最後になってとどーのSF展開、というあたりが
セガらしいと申しますか何と申しますか。

 効果音では、矢の音がいいのでごさいます。
 ヘッドホンなどで聞きますと、頭の真ん中に突き刺さる感じがして。

 あと、闘技場などもございましたが、
いつ行っても試合に参加できなかったような。
 あれはどうしてなのかな? 容量の都合?
それとも、ある特定の時間とか、何かの隠し要素で
戦いに参加することが出来たのでございましょうか?

 ぐぐってみますと、
攻略サイト紹介サイトもいくつかある様子。

 愛されているのでございますな。


 

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ねらわれた太陽学園 熱血探偵編
アドベンチャー ドラマアルバム

                (2000/3 CAPCOM)

●原作   /株式会社カプコン
●脚本   /永田武司
●演出   /藤山房伸
●録音・調整/山田均
●効果   /野口透
●音楽   /小野義徳

CAST

一文字 伐    檜山修之
鏡 恭介     千葉一伸
若葉 ひなた   半場友恵

忌野 雹     塩沢兼人
水無月響子    三石琴乃

ひびき蘭     平松晶子
熱血隼人     山崎たくみ

太陽学園校長   納谷六郎
太陽学園教頭   有本鉄隆

太陽学園委員長  柳知樹
青木教諭     横尾博之

ジャスティス学園
   女子高生1 川上未遊
   女子高生2 神田理江

不良       赤石広樹

# 進路を決める重要な全国模試が、急遽中止となった。
  テスト用紙が何者かによって盗まれたのだ。
  伐とひなた、そして恭介は、熱血先生からの依頼を受け、
  事件の調査を開始する……。


 

追加しておきました。

 原作は、言わずと知れた格闘ゲーム
……と申しましても同社の
『ストリートファイター~』シリーズや
『ヴァンパイア~』シリーズ
と比べれば知名度は薄い作品でございますな。
 3Dで学園もの、というのが特徴でございます。
 わたくしは、プレイしたことは……なかったかな。
 格闘ゲームは、あまりやらないのでございます。

 まあ、原作知らなくても大丈夫。
 本論であるCDの話に移りましょう。
 ここで採りあげておりますことからお分かりのとおり、
このCDはマルチストーリーとなっております。

 ただし、ゲームブック形式ではございません
 CDに付属しているリーフレットに「トラックリスト」がございますから、
そこに書かれた数字どおりにCDトラックを再生していって
ドラマを楽しむというわけでございますな。

 リーフレットには、チャート式の心理テストみたいなものが載っておりまして、
それでたどりついた番号にしたがって再生しよう、みたいなことが書いてございますが、
せっかく買ったのに、それでたどりついた一つのルートしか聞かない
ということもございませんでしょう。

 基本的に、トラックリストの1から順番にお聞きになるのがよろしいかと存じます。
 と申しますのは、おそらく制作者もその順番で作っているからですな。

 たいていはランダムな順番でも問題はないのでございますが、
それだと、ちと話がわかりにくい部分が出てくるとか、
最初に一番面白い話を引いて……
ということになりかねないかと。

 まあ、老婆心ですな。

 ちなみに、そうは申しても、ベストエンドが最後というわけではございません。
 だいたいそんな簡単でしたら、面白くございませんものな。

 このトラックリスト、いちおう13まで用意されているのでございますが、2と9がまったく一緒
 きっとどこかで手違いがあったのでございましょうな。
 もっとも、すべてのトラックリストを再生すると、
CDの内容を全部聞き終えたことになりますから、
全然問題はございません。
 もともと12種類しか用意されていなかったのが、
何かのカン違いで13種類リストを作ってしまったのでございましょう。

 ストーリーは

 進路を決定する重要な模試の問題が盗まれた。
誰が何のためにこのようなことをやったのか、

 というかんじでございます。

 ディスクは2枚組み。

 Disc1のほうが、バツとひなたのコンビが主人公、
 Disc2は、恭介がひとりで調査のつもりが、新聞部のひびき蘭が入ってきて……、

という展開でございます。

 まあ、蘭はDisc1でも、副主人公的に活躍するのでございますけどね。

 バツ&ひなた編では、
学校内のセキュリティシステムを中心に、けっこうマトモな捜査をいたします。
 ストーリーも正攻的。
 犯人を見つけて、彼と対決するわけでございますが、
本格的な推理ものを期待してはいけません。
 メインの真相はけっこう単純でございます。

 トラック数が少ないのですから、『逆転裁判』を期待してはいけない、
ということでございます。

 でも、ベストエンディングでは、まともに戦わず、
ワナを仕掛けて犯人をおびき寄せるという一工夫がございます。

 まっ、最終的には戦うんですけどね。

 ただ、わなを仕掛けるといっても、
この証拠と証言では、裁判では勝てない気が……。

 だって、主人公たちの証言は仲間同士のものだし、
犯人に証拠を突きつけている場所は、主人公たちと犯人以外、誰もいないんですもの……。
 まあ、内密の解決を校長から頼まれているのですから、それでよろしいのかもしれませぬな。

 ベスト以外は、
戦闘中に恭介が洗脳されて、ジャスティス学園に乗っ取られて終わり。
 さらには、
バツとひなたが外道高校に転入して、すっかり不良の仲間入り
という非道いエンドもあるのでございますが、
2人のナカの人が一番ノリノリで演じているのがこのエンドのような気が……。

 恭介編は、
ひとり学校内を調査しようとしている彼のところに、蘭が乱入してまいります。
 ジャスティス学園が怪しいと突き止めた欄は、
なかば強引に恭介にその潜入捜査を奨(すす)めます。
 彼女はそれに随行して密着取材――。
 展開によっては、ここで恭介、女装するハメに相成ります。

 で、やっぱり洗脳されたり、
(三石琴乃さまが、誘惑的な保険の先生を演じていることなど、書いておくべきですかな?)
事件は解決したけれど、女装のおかげでなぜか女生徒の人気者になってしまったり……。

 犯人も、メインの真相とは違う人物になることもございます。
 まっ、パラレルワールドな展開でございますな。

 そのようにして、
エンディングは、両方あわせて10種類あるわけでございますが、

「バツ、恭介ともにベストエンディングは1つだけ。
ただし、恭介は中ランク(?)のエンディングがあと2つある」

「コツとヒント」に書いてございますが、

Disc1は15トラック、Disc2は17トラッで、
それぞれ7つと5つの物語をやりくりしているのでございますから
似たり寄ったりの部分があるのは仕方がございません。

 もちろん、Disc1とDisc2では、ぜんぜん展開が違うのはいうまでもないですが、
ディスク入れ替えの煩雑さを避けるためでございましょう。

トラック1は、どちらもまったく同じなのでございますな。
他にも、セリフが同じ部分が何箇所か……。

 仕方がないことではございますが、少々損をした気分でございます。

 ところでこの物語、ネタ的なことを申せば、

登場人物の口の端から、
たびたびカプコンのゲームタイトルが出てまいります。
『バイオハザード』とか、『ブレス・オブ・ファイアⅢ』とか『ギガウイング』ですとかね。

 登場人物はなぜかカプコンのゲームのみ、
当たり前にタイトルを知っているのでございます。

 不思議でございますな。

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 安彦良和
 原案:矢立肇・富野由悠季
 メカニックデザイン:大河原邦男
2009/6 角川書店 KADOKAWA COMICS A


  このマンガでは、原作アニメでは描ききれなかった、
あるいは制作者側も当時は明確には捉(とら)えきっていなかった
キャラクター――特に主人公でございますな――の心の動きをていねいに描き、
主にそれをはっきりとさせるために、
ストーリーや描写の変更を行なっている部分が多々ございます。

 それがこの作品の特徴であり、意義でもございますな。

 アムロ・レイ少年自身の性格に関してもそうでございまして、
アニメ版よりも精神的にはじめから強く設定されているような気がいたします。

 原作の‘根の暗いパソコン少年’
(当時と申しますか、注目されはじめてからの評)から、
もう少し普通の少年に変更されているのでございますな。

 アニメでは、いつ戦場を去ってもおかしくない少年が、いつの間にか一線で活躍している感じでございましたが、
その流れを、最初の軸を少し上向けることにより、より自然な流れにしているわけでございます。

 さらに各エピソードをていねいに描くことにより、
アムロ少年の心の揺れをより深く描き、彼が一人前に成長していく様を
わかりやすくしているというわけでございます。

 そのような流れの中で、この巻前半は、まあ、停滞期

 マグネットコーティングの実装とメインテナンスのために
出撃ができないで焦れるアムロを描いております。

 このマグネットコーティングのエピソードでございますが、
実は原作のアニメではソロモン戦のあとなのですな。

 改造を行なうモスク・ハン博士も、
アニメでは無個性な二枚目風だったのでございますが、
マンガでは、大柄でハッキリとものをいう人間に変更されております。

 変更の理由は申すまでもございません。
 出撃をあせるアムロと対立させて、
アムロの焦燥を強調するエピソードとしているのでございますな。

 ここでのアムロは、以前の、戦争から逃げ出したいアムロではございません。
 イライラの原因は、ガンダムが使えないために、戦いに出れないことなのでございます。

「戦いたくて戦っているんじゃない」
「コワいけど戦っている」
――などと申しておりますが、
これは逃げ出しているのとは明らかにベクトルが違います。
(だいたい、戦いたくて戦っているなんてことになったら、もはやアムロではございませんでしょう)

 ここで焦燥感は、自分が戦力として価値があると自負しているのに出撃できない、
ということももちろんございましょう。

 しかし、そうした表面的な理由以上に、
これまでの出来事から来るさまざまな思いや鬱積(うっせき)が積み重なった結果が、
出撃不能となったことであふれ出したというのがホントのところでございましょう。

ロマンアルバムEXTRA 42
『機動戦士ガンダム MOBILE SUIT GUNDAM The Motion Picture』
(徳間書店 1981)
によりますと(p.85)、

 サイド7の空襲(1話)は、UC0079 9月18日のことだそうでございますから、
ソロモン戦が行なわれた12月10日までの3ヶ月のあいだに、
アムロ少年の身にはあまりにもいろいろなことが起きたわけでございます。

 戦いに巻き込まれ、
敵味方を問わずそれまで関わったことのないさまざまな人々と出会い、
 ご母堂と別れたり、お父上の元を離れたり……。

 さまざまな思いにイライラが募り、
そこに何もできない時間ができてしまったため、何かせずにはいられないのでございましょう。

 そのイライラから解放されて、物語の後半では、
ソロモン戦へと乗り込んでいくわけでございます。

 流れとして、すごく自然でございます。

 だけど嫌い。

 どこが嫌いかと申しますと、
一人前の戦士として成長していくところ、その一点が……。
何か、この作品を全否定してしまうようではございますが、

戦争なんて――、といった感じの人物が戦いに巻き込まれていく部分に魅力を感じたものでございますから、
どうもこの部分が好きになれないのでございます。

 ま、道化師でございますもの、戦争などと申すものは好みではないのでございますな。

(繰り返し見たというほどでもないので、印象でございますが)
アニメではそこらへん明確にはなっておりませんでしたから、
戦争が嫌いなまま戦闘に勝ち続け、
最終話で「ぼくには帰る場所があるんだ」とおっしゃったあと、
戦場から退場し、二度と戦争とはかかわらずに平穏に暮らしていくのだろうな、
と予想しておりましたのに、

『Ζ(ゼータ)ガンダム』(おおっ、「Ζ」(ゼータ)と「Z」(ゼット)ではびみょーに形がちがう!)で再登場し、
その後も戦っているあたりが、
『Ζガンダム』は途中で見るのをやめたため、いきさつは知りませんが、
あまり好きではございませんでした。

 当初の予定では『Ζガンダム』にレイ様は登場するはずではなかったみたいですけどね。

 というわけで、話の流れは自然でございますし、しかも展開として正しいのですが、
わたくしといたしましてはその点だけが嫌いなのでございます。

 まあ、ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』が底本のひとつにあったみたいでございますから、
理の必然と申せばそうなのでございますが。

 とまあ、その話はそのあたりにしておきましょう。

 ホワイトベースの面々と、ジオン軍のかたがたに関しましては、
 とにかくもう、ドズル・ザビ中将とスレッガー・ロウ中尉が死亡フラグのお手本をやってくれております。
 やはり定番をやるといたしましても、うまいもっていき方と申すものはございますな。

 戦争に関しましては、
 まず、全体の状況説明が実にわかりやすくて、良(よ)ございますな。
 静止画でしかもコマを自由にわれ、文字情報も入れられるマンガの強みと申せましょう。

 実際の戦闘に関しては、

 ザクレロ最強!

 スーパーロボットもののザコみたいなデザインのモビルアーマーですが、
なにか時を経るうちに愛着がわいてきたのでごさいましょうな。
 あるいは、その愛嬌あるお姿が、戦場に一服のやすらぎを与えてくれると申しますか、単なるお遊び?

 何気にカッコよくなって、ジムやボールを次々と撃墜してまいります。
(たしかに、前出の「GUNDAM GAMES」月刊タクティクス5月号別巻(ホビージャパン 昭和63(1988)年には、「ボールやGMとなら少なくとも対等くらいには戦えるだろう」(p.42)と書いてございますが――)
 しかも、このザクレロ、一機だけではございません。
 機体に書かれたローマ数字を見ますと、何か十数機は用意されている様子。

 たしかアニメでは、試作で作られてもので欠点の多い失敗作で、廃棄処分寸前だったはずでは――?
 もう、ザクレロとしては本望と申すところでございましょう。

 


 ガンダムにはあっさり負けてしまうんですけどね。

 


 ところで、
マンガとは直接関係ないのでございますが、

この世界、
資源の調達とか開発、生産についてはどうなっているのでしょうか?
 まあ、3ヶ月のあいだの出来事ですし、
連邦軍側はGMとボールしか基本的に生産していないから問題はないのかな?
 ジオン軍は、それ以前からの蓄積と新兵器開発に力を注いでいたということ……なのでしょうなあ。

 でも、資源調達に関しては、
原料を生産工場まで運ぶためのルートが確保できているのか気になるところでございます。
 工場と生産スピードもどのくらいのものだろう?
 工場から戦場に持っていく補給路も確保できていないといけませんし……。

 もっともテレビアニメ版では、
最終決戦時にはさまざまな機体が持ち寄られたみたいですから(うわさでは鉄人とかも……?)、
かなりジリ貧だったのかもしれませんが。

 これが、ゲームとか派生アニメまで考えると、数とか種類とかトンデモないことになりますな。
 一体どうやって生産開発しているんだ……!!

 触れなければならない問題のような気もいたしますが、そっとしておいたほうがよいことなのでございましょう。


 それにしても、『ヱヴァンゲリヲン・序』(2009,7/3 金曜ロードショー)を
見ながらガンダムの記事を書くって、なんだか不思議なものでございます。

と申しますか、見てるとちっとも記事を書ける状態ではないですよ~っ。
 というわけで、一日空くハメに……。

 ともあれ、『ヱヴァンゲリオン』も、
ストーリーの明確化のために、ていねいな調整がなされておりますな。

 笑える……と申しますと誤解を生みますな。
 あっ、やってるやってるってな感じで、口もとをほころばせながら、ついつい見入ってしまいました。
 

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 安彦良和
 原案:矢立肇・富野由悠季
 メカニックデザイン:大河原邦男
2009/6 角川書店 KADOKAWA COMICS A


 

 巨大ロボットもののひとつの転換点となった作品の、
ていねいなコミカライズ作品。

 原作は、いわゆるリアルロボット系の元祖で、

それまでの
正義と悪の構図
一話完結型のパターン化された物語の展開などが当たり前だった
いわゆるスーパーロボットのアニメに、
大きく切り込む形となった作品である、

 ということはどなたでも知っておりましょう。

 作者は安彦良和先生。

 この作品に、
キャラクターデザイン+作画監督+アニメーションディレクター
などとして参加したというだけでなく、
 その後もイラストや小説、マンガなど、多数の方面にご活躍
……それも申すまでもございませんな。

 さて、
 この19巻めはタイトルどおり、ソロモン戦にかかるあたりまでにございます。

「GUNDAM GAMES」月刊タクティクス5月号別巻
(ホビージャパン 昭和63(1988)年)によりますと、

ソロモン戦が行なわれたのは、12月10日

UC0079の1月3日に始まり、UC0080の1月1日に終わった
(未来形のほうが正しいのかな?)という、

まさにそうとしか名前がつけられない1年戦争も、
あと少しというところでございますな。

 なにか、ソロモン戦開始から20日あまりで戦争が終わったとは信じられないですが、
そんなものなのでございますな。

 この1年戦争の立役者と申せば、やはり赤い彗星とよばれた謎の男でございましょう。

 何しろ、ジオンの首魁をつぎつぎと暗殺していったのでございますから。
 全員を、というわけではございませんが、大殊勲には違いございません。
 最後のとどめをさしたのでございますし……。

 アムロ・レイさまが何人いたとしても、これに匹敵する戦果は得られますまい。

 ただ、連邦軍はそれを知らないのですな。

 サッカーで申さば、
敵のオウンゴールで勝ったようなものでございましょう
案外、あれ? 勝っちゃったよ、という感じだったかもしれません。

 おっと、また話がそれましたな。

 さてさて、
この巻で描かれるのは、

・マグネットコーティングの話。

・戦士としての自負を持ち始めるアムロ。その葛藤。

・ソロモン戦での両軍の動き。

・ドズル・ザビと家族。

・ホワイトベースのかたがた。

といったところでございましょう。

 マグネットコーティングと申すのは、ま、トンデモ技術の一つですな。

モビルスーツの体全体に強力な磁界を発生させるそうですが

コンピュータとか狂わないだろうかとか、

周りの機器とかは大丈夫か、とか、

磁気の働きで肩のこりがなくなってしまったりはしないのかとか、

ニュータイプ能力が飛躍的に覚醒したりするようなことになったりしないのかとか

磁界でビームがゆがまないのか、

その結果、あたりにくくなったり、ねらいがつけにくくなったりしないのかとか、

 摩擦は減っても、その分スピードは増すのだから、
軸など負荷がかかる部分とか直接あたるような部分では、
より大きな力がかかるのではないかとか、

 動きがカチャカチャして、まるでプラモデルやアニメのような軽い動きにならないだろうかなど

  さまざまな疑問点が思い浮びますが、

まあ、
ミノフスキー理論があれば、すべて解決するのでございましょう!

 ……と、今回はここまでで時間切れ。

 ゲームブック以外の記事は、短く済ませたいとも思うのでございますが、仕方ございません。

 まっ、日記でございますから、ご容赦くださいませ。

 というわけで、続きます


 


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シャープ社7月10日
テキストメモ機能を搭載したカラー電子辞書
「Brain PW-AC900」を発売するそうでございますな。

http://www.sharp.co.jp/brain/lineup/pw-ac900/

価格はオープンだけど、3万7000円ぐらいだとか。
ふつうのお店だと、もう少し高くなるのかな?

 あの有名なワープロ、書院を作ったメーカーですよ。
シンプルなメモにしても、そのノウハウはちゃんと生かされているでしょう。
 それに電子辞書でございますから、辞書との連携もできるでしょうし。
 (メニュー画面からは、どの程度の連携ができるかはよくわかりませぬが)
 そのほかの機能も満載。
 

 何よりもACアダプタがついているところがいい!
 ポメラの場合、うっかり数日放置しておくと、
電池を交換してくださいって表示されますものな。

 これでポメラの立場が……。

 このようなものに、新製品は宿命……。

とは申せ、

 わたくしがポメラを買ってから、4ヶ月

 う~む。

 ただいま買い替えを検討中。
 とりあえずは、買った方のレポート待ちということになりましょうか。
 

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6/7 5/30の記事『DANGERLAND~危郷伝説~』が、
なにか二重になっていた部分があったので訂正しておきました。う~ん、疲れていたのでしょうねぇ。

6/10 キュンキュンキュキュキュン、キュンキュキュン
 わたしのかれ~は はいろ~ど~!
 あれっ?

6/12 ガンジーとガンガンジーが戦ったら………………………………………………
ガンガンジーが負けるだろうなあ、やっぱり……。

6/17 「Role&rollvol.57」買ってまいりました。
それによりますと(p.041)、ブロッコリー社より発売される『ゲームブックDS ソード・ワールド2.0』の
テキスト「分量は文庫本5~6冊分」だそうでございます。
文庫本の厚さもさまざまですからなぁ。
実際のところ、一体どのくらいになるのでございましょう?

6/20 何書こう、と考えているうちに時間切れ。
仕方がないので、昨日の記事にちょっと一文加えておきました。
それにしても時間がほしい。

6/24 2009/05/27 (Wed) の記事、
「アドベンチャーゲーム・ブックなのか、アドベンチャー・ゲームブックなのか」と、
2009/06/09 (Tue) の記事
「マクロスエースフロンティア」に
少しだけ追記をしておきました。

6/26 ティム・バートン監督、2010年公開予定の『Alice in Wonderland(不思議の国のアリス)』、
「赤の女王」が何か詩的魔人な感じ……。

6/30 じゅな;;さまのダイアリー「ちょこないと日記」 の(5月5日)
http://d.hatena.ne.jp/junalow/20090505#c1246370605

のコメント欄にも書き込ませていただきましたが、

大森望先生のサイト。

nozomi Ohmori SF page (since Mar.31 1995)
http://www.asahi-net.or.jp/~KX3M-AB/?06300601

2009年01月29日・31日の記事。

「■ 推協新年会/日本SF評論賞」

によりますと、

「篠田節子さんとはひさしぶりに対面。『仮想儀礼』の話とか。
どうしてゲームブックなのかと思ったら、5000枚のゲームブック原稿は実在したらしい。
事実は小説より奇なり。」

だそうでございます。

ホント、事実は小説よりも奇なりでございますな。
いや、驚きました。

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リチャード・ブライトフィールド
大出健訳

アドベンチャーブックス18 講談社(昭和61(1986)年7月)

THE DEADLY SHADOW
by RICHARD BRIGHTFIELD
Illustrated by DON HEDIN

Bantam Books(1985)


紹介文を追加しておきました。
(「ゲームブック倉庫番」の更新履歴を見ると、6/27のことでございますか……)

 タイトルだけではわかりませんが、これがスパイもの
 ショーンコネリーやロジャー・ムーアが007をやっていた頃の、冒険活劇としてのスパイものでございます。

 まぁ、1985年の作品ですから当然ではございますが。

「ソ連で透明人間をつくる実験のさいあやまって、人間爆弾になってしまった。爆発すれば、その威力は原子爆弾と同じ危険がある。(……)悪いことに、この男はタイムトラベル能力がある」

 デミトリウスのこの設定だけでも、それを感じることができましょう。
 それに、キャラクターとしても魅力的ですな。

 となると、この怪物じみた敵との真っ向勝負か? 
と予想してしまうのでございますが、それがそうでもございません。

 これだけの能力の持ち主でございますから、
各国のスパイやら犯罪組織がねらっているのでございますな。

 そのため、デミトリウスとだけではなく、
そういう敵とも戦っていかなければならないのでございます。

 物語は、往時のスパイもののおいしいところをうまく取り入れて料理してあります。

 秘密道具のアタッシュケースとか、敵が連絡員に化けているとか、鉄の手の男とか……。
 気絶させられて囚われの身となる、なんていうのも、ハードボイルドのお約束でございますな。
 舞台も、カジノ、美術館、裏露地、ヘリコプター、ロープウェー、ヨット……、と盛りだくさん
(もちろん、一度にそのすべてに行くことができるわけではございませんが)。

 最初になれるのは、美術収集家かプロのばくち打ち。
 そのあたりも、実にスパイものらしい。

『天才コンピュータAI32』と同じく、そこから物語は多彩に展開してまいります。

 結末も21と、多彩。

 ただし、スパイものでございますから、デッドエンドも当然多く、
それも結末に含まれておりますので、それほど多いと感じられないかもしれません。

 それに、『天才コンピュータ~』とは違い、目的がはっきりとしておりますから、
物語はあそこまで広がりはいたしません。

 もっとも、それが悪い方向に働いているのかと申せばそうではございません。
 方向性が決まっているので物語にまとまりがあり、
『天才コンピュータ~』にあった展開の大雑把な感じも多少薄れております。
 まっ、多少でございますが。

 結末に関して申せば、
ひとつトゥルーエンドらしいものがありますが――。

 元の状態に戻すことができるまで、デミトリウスを宇宙に滞在させる
というもので、
作中では本人簡単に納得しているみたいですが、
いくら爆発の危険が迫っているとはいえ、
そんな話を鵜呑みにできるものでございましょうか?

 ちょっと微妙でございます。

後は――。

 たとえば、ギャンブルで大もうけをしてスパイ稼業を引退しちゃうとか――。
(閑話でございますが、イアン・フレミングの原作では、007は何度も引退をほのめかしておりますね)

 隠れ家で話をしよう、といって終わっちゃうとか――。

 そんな感じて
 結末が唐突だったり、
 話が本筋とは関係ない方向に行っちゃってアレレ? だったり。

 そのあたりも、『天才コンピュータ~』と同じですな。

 まあ、それもまた、マルチエンドなゲームブックの面白み と申せるかもしれませぬ。

 


 ひとつ残念なのは、
低年齢層を対象としたゲームブックなので、
書き方も子供向け
だということでございます。

 大人向け、いや、もう少し上の年齢を対象にしていたら、
もっと踏み込んで面白くかけるはずなのに――。
 そういう場面が何箇所もございます。

 アクションや駆け引きでもそうではございますが、
 特に感じたのは、人間爆弾であるデミトリウスの心情でございますな。

 それがパラグラフごとにバラバラな感があるのでございます。

 あるときは冷酷な犯罪者であり、
あるときは弱みを見せる一人の人間であったり……。

 大人向けの作品だったら、
そのあたりの葛藤を表現して奥深い作品になるところでございますのに、
上っ面な書き方をしているので、パラグラフごとに違う人のまま。

 作者がそのあたりのことを全然考えてなかった、ってことも充分考えられますが、
そういう可能性を残しているだけに、惜しい作品ではございます。

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 今回の参加者は、
 前半ププププー様。
 後半はしもと様。
 
 わたくしを含めて3人ですが、途中重なり合う部分があるにせよ、
前半と後半で相手が変わったという感じなので、実質2人ですな。

 つらい。
 これはつらい。

 端から見ていてチャチャを入れるだけのわたくしといたしましては、
1対1は非常にやりにくいものでございます。

 特に今回は、話題もわたくし向きではございませんでしたし――。

 同人ゲームブックには疎いですし……。

『トンネルズ&トロールズ』も、プレイしてみたソロシナリオに限っていえば、
物語よりもゲーム性の作品でございましたからな。
それほど語ることもございませぬ。

 デッドエンドが多いのも好みではございませんし。

 そんなに食指が動かないのでございます。

 T&Tの話題ではぜったい話が回らないので、
 後半は、ゲームブック倉庫番に関することに
強引にはなしを持っていったのでございますが……、
 眠たい頭で考えていることなので、ご容赦を。

でも、

今作品名が並んでいるところに、

レッカ社
 作者
 作者
 作者
  :
  :

スタジオ・ハード
 作者
 作者
 作者
  :
  :

みたいに50音順で並べて、作品タイトルにリンクさせるみたいなことを考えていた、

というのはちょっと違いましたな。

 作者のあとに作品タイトルもならんで、そこからリンクという形を考えていたのです。

 でないと、タイトルを一覧できませんですからな。
 はしもと様のご指摘のとおり。

 ですが考えてみますと、
作者別一覧も将来的に用意されているようですし、
 他との統一などを考えますと、不釣合いですな。

 まあ、思いつきでございます。

 思いつきから、何か発展することもございますし、
てきとーなことでも言わないよりもいったほうがいいでしょう!

 いずれにいたしましても、
 わたくしといたしましては、とりあえず形式をいじるつもりはございません。

 だって面倒なんだもん。

 たんたんと作品や紹介文を追加していくだけでございます。

 その気になったときに……ね。

 



 う~む、

 今回はブログの更新のかたわら、
適度にあいづちうつだけの予定でございましたのに。

 うまくいかないものでございます。


追記:『ミストキャッスル』は発見いたしました。
   紙々のあいだ、なんで? というところから。
   まっ、よくあることではございます。
    

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第2部
(ここで便宜的にそうつけているだけですよ。本文中には何部とか書かれておりません)は、
ゲームブック部分であり、ベストカップルを見つけ出すことに特化している、
と前回書きましたが、そのわりに、自由度は高くないのですな。

 コンピュータゲームでしたら、
誰と誰の組み合わせを試してみるというのが自由にできるのでございますが、

ゲームブックの悲しさか、容量不足ということなのでございましょうな

選定する順番はストーリーの力でわりと決まっていて、けっこうストレートなのでございます。

 そのうえ、形式的にはクイズ型
 間違った選択をすると、どんどんDEADENDになるものですから、
フローチャート的にもけっこう一直線なのが感じられます。


 しかも、前回書いたとおり、
カップリング選定に、あまり論理が感じられない
のでございますから、困ったものでございます。

 ゲームブック編が終わった後、
何らかの答えが提示されるのでしたら、よしといたしましょう。

 でも、全員が脱出後、つまり第3部になっても、
その意味合いはほとんど解説されないのでございます。
 あるとしても、納得のいかない強引なものだけで。

 脱出後、先に抜けた人たちは、
後に残っている人たちの奮闘をテレビ画面越しに見ているのでございますが、
そこでも、誰が誰と親しいという感じは特になかったように存じます。

 ですから、実はくじ引きで決めたような感じで、
主催者としては、ベストカップルなんてどうでもよかったのでは?
 という気になってしまいます。

 主催としてはゲームが面白くなればよいのでございますから、そのようなことはございましょう。

 主催者の言葉ではございませぬが、
ギャンブルらしいことを匂わせる一文が出てきたりいたしますからな。

 この一部始終を見て、楽しんでいる人がいれば論理は無用……なのかなぁ?
 ギャンブルだったら、納得できる理由がさらに必要だと思うのでございますが……。

 いずれにいたしましても、 
 そのためにこのような大掛かりな仕掛けをつくるのは、
よほどの金持ちかバカかヒマ人……。
 
いや、その全てをあわせもったような方なのでございましょう。

 それに、ロッジに集められた10人は、全員が、

 ある意味において殺人者であるが、警察に捕まってはいない、

 という共通点を持つというのですが、
そのような10人を良く見つけてきたと、感心するばかりでございます。

 だって、警察にもわからなかった事件なのでございますよ。

 これらはまあ、流水大説ではよくある事といえばそうなのですが。

 さらにわからないことがひとつございますが、
 これはネタバレになるので消しておきましょう。

 どういうことかと申しますと、
 メンバーにひとり、主催者に内通していたものがいるのでございます。
 ただ、それがゲームの中で
どういう意味を持つのかがよくわからないのですな。
 それを措(お)くといたしましても、
その人物、主催者から身の安全を保証するという言質を得ていたようなのでございますが、これがどういうことかわからない……。
 特にカップリングや脱出方法を教えてもらっていたようでもございませんし、とげに刺さっても死なない特殊能力を持っていたわけでもなさそうでございますし――。
 う~む、謎でございます。

 さらに、わからないことがもうひとつ。

 第3部は、最後、全員の過去を並列的に並べて終わり、という形になっているのですな。

 ホテルの中のシーンのまま、唐突に終わっているのでございます。
 ゲームが終わったから、どこで幕引きしてもいいだろうということなのかもしれませんが、
もう少し何かほしいものでございます。
 まっ、それだけのものを用意していなかったということかも知りませんが、
何か唐突でございました。

 というわけで、
あらゆる意味において、スゴい。

 いや、
 あらゆる意味において、ではなく、

 ある特定の意味においてスゴい。

 まさに、清涼院流水にしか書くことのできない作品でございますな。

    ……

    ……

    ……

 いや、ちょっと待て!

178にあとがきがある。これを読むと……。

「もし本書がご好評いただけたら、たまに〈ゲームノベル〉をつくってしまうかもしれませんが、この本だけで終わっても、なんの不満もありません。」

   …………

 いやぁ、
 面白かった。
 
 もう素晴らしい作品!

 最高っっっ!!

 これからもぜひ、
〈ゲームノベル〉を書いてほしいものでございます。

 いや、

書き続けるしかございませんでしょう!
 

追記:

 ところで、この作品、「CAST」という見開きページがあって、
登場人物がカラー写真で紹介されております。

 まっコスプレでございますな。

 イラストではなく、実際の人間でこれをやっているのが、
この作品の何と申しますか、エセっぽいところと合っていて、
なかなかいい味を出しているように思います。

(絵のほうが良かったとか、ないほうが……とか言う方もおられるでしょうが、
好悪を抜きにして考えるとあっていると思うのでございます)

 特に、有名な料理人に似ていることが悩みの種の
市場二三郎に扮した喰始(たべはじめ)先生がいい味出しているのでございます。

(えっと、喰始(たべはじめ)先生はご存知ですよね?
ゲームブック『赤塚不二男劇場』(JICC)の著者として有名ですからな。
「劇団WAHAHA本舗主宰」という肩書きのほうは知らないといたしましても)

 もし本書を見つけましたら、それだけでも手にとって見てみてくださいな。



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 このゲームブック、大きく3つの部分に分けることができます。
 いってみれば3部構成ですな。

 まず、96ページまでは小説で、
普通のゲームブックで言えば、背景とかプロローグ、そしてルールの説明部分と申せますな。

 で、99ページ目からがゲームブック部分
 だいたい1ページが1項目の構成で、このロッジを抜け出せるかどうかが描かれます。

 第3部(作品中には何部とか書いてはございませんが)は、160からということになるのかな?
 ゲームブック部分内にシャッフルされているので、
ちゃんと調べないと正確なところはわかりかねますが、
舞台はロッジを抜け出して、高原ホテルへと移ります。

 ここにはゲーム的な要素はなく、ほぼ一本道でございます。
 10人の過去を描いた場面が用意されていて、一応そこが分岐部分になっておりますが、
単にそれぞれの過去を描くために分岐しただけであって、ゲーム的な要素はございません。

 では、それぞれの部分を見ていくことにいたしましょう。

 第1部。

 ここでは登場人物と舞台の紹介が行なわれます。
 そのあたりは、前回紹介したとおりでございます。

 ルールや、登場人物、舞台(針山地獄上のロッジ)が、ていねいに描写されます。

 キャラクターシートみたいなのが出てきて、期待させるのでございますが、
残念ながらこのゲームブックでは、主人公を作ることはできません。

 このゲームブック、実は「主人公は君」ではないのでございますな。

 プレイヤーは、場面場面でそれぞれのキャラクターの立場に立って正しい跳び先を選ぶという形をとっているのございます。

 そういう意味で、わたくしのゲームブックの定義からは外れるのでご゛さいますが、コンピュータのザッピングなゲームなどを経たあとでは、このようなゲームもアリということでございましょうか。

 第2部。

 ここが肝心の、ゲームブック部分というわけですな。
 ここは完全に、正しいカップリングを見つけ出してこのロッジを脱出するという、
ゲーム要素に特化したつくりになっております。

 物語は他でやって、ゲームブック部分はその中の一場面、
ゲーム的・パズル的な箇所に特化するというのは、アリだと思うのですよね。

 コンピュータゲームでも、そういうのはよく見受けられましょう。
 シューティングとかアクションゲームなど、
インターバル部分でドラマをやって、ゲームにつなげていくというヤツでございます。
 シミュレーションRPGなども、その典型でございますな。

 ゲームブックでも、
 ゲーム性が強い――たとえば双方向移動型のものなどは、この方法が有効であると思うのでございます。

 ゲーム部分はゲームと割り切ったほうが、目的が明確化いたしますものな。
もっとも、それはそれで味気ないという場合もございましょうから、時と場合でございますが。
 いや、やり方でございますかな?

 こうした、“物語は他でやって……”の例として、2つを挙げておきましょう。

 ひとつは、
『ウェイレスの大魔術師』テリー・フィリップ(86/07,富士見書房)

 もうひとつは、
若桜木虔先生の、どれでもいいのですが、『ムー大陸の陰謀』あたりにしておきますか。
 どれでもいいですし、これが格好のテキストかは忘れたのですが。

『ウェイレスの大魔術師』は、
「ドラゴンランス」の中で語られなかった冒険を描いたゲームブック。
 完全にゲーム的というわけではございませんが、ゲームの目的は明確でございますな。

 いっぽう、若桜木虔先生のゲームブックは、
とくにこの作品じゃなかったかと思うのですが、物語は一本道で、
迷路と格闘場面だけが迷路構造――くわしいことは先生のゲームブックを扱うときにいたしますとして、
非常にはっきりとしているわけでございます。
 ゲームとしてわかりやすいですが、味気ない感がございます。

 少々話が脇にそれてしまいました。
 いえ、文学部ゲームブック科としては本筋ではございますけどね。

 話を元に戻します。

 このゲームブック部分。
 正しいカップリングを見つけて無事に脱出したり、
間違えて無数の針に串刺しになったり、別の脱出経路を探ろうとして、串刺しになったりするわけですが、

一番の問題点は、
そのカップリング選定に、あまり論理が感じられない
ということでございます。

 最初のキャラクターデータだけで論理的にベストカップルが導き出されるのでは、
たしかにゲームとして面白くはないでしょう。

 ですから、それゆえにゲームとして成立しているのだ、と申すこともできるかもしれませんが、
それならば、そういえるだけの別の理論がほしいところ。

 ですが、そういうのもないのでございますな。

 途中で、裏に何か法則みたいなものがあるのでは? 
と思いながら読みすすめていただけに、何もないのが残念でございます。

 まぁ、それが流水流ということなのでございましょう。
 名前のダジャレみたいのもございましたし――。

 と、ここら辺で時間切れ。
 というわけで、

 ホントは、2回で終わらせる予定でしたが
(さらにいえば1回のつもりだったのですが)――、

 あと少し続きます。
 

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清涼院流水:著
2007/4 角川書店



追加しておきました。


 清涼院流水、デビュー10周年記念作品

だそうで。

 何もこんな作品を10周年記念作品としなくても……と思ったりいたしますが、
おそらく
流水先生は、ゲームブック好きなのでございましょう。
 まあ、他社からも10周年記念作品は出ているらしく、そちらはゲームブックではないようですが。

 サイト"Secret Lovers"の特別イベントとして集められた10人の男女。
年齢も職業も異なる彼ら彼女らが、実は5組のベストカップルなのだという。

 だがそのパーティの主催者は、信頼あるそのサイトの名を騙ったニセモノだった。
 ロッジに集められた彼らに、メッセージが告げられる。

 ベストな組み合わせを見つけ出さなければ、このロッジから抜け出すことはできない
――待ち受けるのは死あるのみ、と。

 なんともゲーム的な設定ですな。

 このゲーム的な設定にあわせてゲームの舞台も作られておりまして、それがまたゲーム的。
 設定のための設定なのですな。

 カラー部分にロッジ内の図面が描かれているのでございますが、これが全く意味がございません。

 なにしろ、ゲームが始まると床の大部分が消滅してしまうのですから!

 そしてできたのは、5メートルの深い穴
 その下に現れたのは、剣山みたいな鋭い針の山。
 落ちたら死亡確定!

 雪の山荘とか嵐の孤島とか、閉ざされた舞台は推理小説の定番ではございますが、
これほど強引で極端なものは、まずないのではございませんでしょうか?

 一体どれだけ金をかければこんなことができるんだ!
とか
 これを建てるのにどれだけ時間がかかるんだ!
とか
 こんなことだけのために、そんな時間と手間をかけるやつがどこにいる!

などなど、いろいろと問いただしてみたくなるところでございます。

 それでも、流水大説に馴らされてしまって感覚が麻痺してしまっている方には、
「えっ、どこがおかしいの?」
なのでございましょう。

 なにしろ、流水大説には、もっともっともっとトンデモ設定のものがございますからな。

 さて、
 このようなトンデモ状態の建物から抜け出すとなると、
当然脱出ゲームのような方法を探るかたもおられるましょう。

 でも~。

 そのような方法は使えません!

 登場人物も暖炉からなら脱出できるのでは?
 と試みるのですが、結局デッドエンドに終わってしまいます。

 何か方法はありそうなのですけどね。
 以前に読んだだけなので、具体的な方法は指摘できませぬが。

 まあ、脱出できたとしてもそこから家まで帰るのが至難の業ではございましょうがね。

 集められた側としては、まったくいい迷惑でございます。

 主催者といたしましては、殺す気満々でございますから、そんなことは考えもしていないのでしょう!

 まっ、作者といたしましては、
 正しい組み合わせを見つけ出すという問題に、
真っ向から挑んでほしいということなのでしょうな。

 と、今回はこの辺で。

続きます。

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魔人と申しますと、ゲームブックファンならば

大魔神……

ではなくて、
「グレイルクエスト」(ドラゴン・ファンタジー)シリーズの
「詩的魔人」さまを思い浮かべるかたも多ございましょう。

 では、ファイティング・ファンタジーシリーズには、魔人は出てきたでしょうか?

 これが出てくるのでございますな。
 何巻かは存じません。
 けれども、タイタン世界の怪物について書かれた
『モンスター事典』("Out of the pit")には、ちゃあんと魔人様が出てくるのですな。

 しかも、なんだか、詩的魔人さまと似た風情。

 ちょっと抜き出してみましょう(p.438-439)。

 魔神は、

・ 思いがけぬ場所に出現しては苦境に立たされた冒険者に手をかしたり足を引っ張ったりする。

・ 悪戯な神々である〈運〉と〈偶然〉に仕えている。

・ 魔神の援助は時には冒険者を苛々させるだけのこともあるが、本当に助かる場合もある。
  敵の気をそらしたり、冒険者の姿を見えなくしたり、
  ただで願いごとをかなえてくれることさえある。

  しかし冒険者が魔神の援助によって無条件に得をすることのほうがまれで、
  とくに願いごとは誤解されたり字義通りに解釈されたりした結果、
  かなえられないほうがよかったという事態を発生させがちである。

  そのため魔神を毛嫌いする者もいる。
  だが魔神を攻撃した者は驚かされるだけだ。
  武器は魔神の体を通り技けてしまうのだ。
  そして恩知らずな態度のお返しに、
  今後は〈運〉と〈偶然〉の二柱の〈宿命神〉につかえる者をもっと厚遇するよう
  きつい仕置きを受けるのがおちだ!

 まぁ、「禿げ頭の小男」とか、イメージに合わない部分もございますが、そんなことは気にしない!
 「太った」というのは、イメージにございますものな? 
(でも、あらためてイラストを見ると、そう太ってもいないような……) 

もしかすると、「グレイルクエスト」世界の魔人さまが、
 ちょっとした気まぐれでタイタン世界まで出張してくるのかもしれませんな。

『ドラキュラ城の血闘』にも出演した魔人さまのことでごさいますもの。
 そのぐらいの時空を超えることは、なんでもないことでございましょう。

 もし、TRPGの『ファイティングファンタジー』のマスターをやる機会がございましたら、
ぜひとも登場させて「よぉ、ぺっぼ! いや、ぱっぷだったか?」とかいわせてくださいな。

 と、ここまで書いてきて、実は……。なことがございます。

 実はこれ、本家本国の方には、おそらく通じないのですな。
 日本語では両方とも「魔人」となっておりますが、

 詩的魔人のほうは、The Poetic Fiend なのに対し、
 ファイティングファンタジーの魔人は、Genie なのでございますな。

 ですが、そのようなことは魔人さまにとっては些細なこと。
 気にしないことにいたしましょう。


参考:『モンスター事典 --ファイティング ファンタジー--』
 S・ジャクソン I・リビングストン 監修
 M・ガスコイン 編
 浅羽莢子    訳

 社会思想社 現代教養文庫 1188 (1986/10)

"Out of the Pit"
by Steve Jackson and Ian Livingsone.
 edited by Marc Gascoigne(1985 Penguin Books) 

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