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2024/04/27 ゴールデンウイーク、なるものが存在するそうでございますね。インタビューで10連休などと答えていらっしゃる方がおられました。いいなぁ。うらやましいなぁ。むしろゴールデンウィークは死にそうに忙しくて休むひま無いですって人にインタビューすればいいのに。でもニュースっていうのは珍しいから報道する価値があるんですよね。ゴールデンウイークは忙しいのが当然。休みっていう人は、きっと珍しいのでござましょう。……うらやましいなぁ。 ..
[1] [2] [3] [4] [5] [6]
 さて、
このようにアクションゲームを忠実にゲームブック化した作品って、
スタンダードなようでいて、実は少ないと思う……
少ないですよね。
 
 『ゼビウス』だってシューティングゲームの面影全くないですし、
他もちょっと思い当たりません。
 
 原作に忠実な方が量産は出来そうな気はいたしますが、
やはり読者も作者もそれではもの足りない、飽きてしまうということなのでしょう。
 
 その証拠と申しますか、
本作の続編、昭和62年1月に発表された『スーパーマリオブラザーズVol.2』では、
勁文社の外伝とは別の方向にぶっ飛んだ物語となっております
(が、それは別の話でございます)
 
 
     ☆      ☆      ☆
 
 ところで、 
 考えてみれば、フローチャートに組み込まれたパズル性という点でこの作品、
スティーブ・ジャクソンのゲームブックの影響下にある作品と申せますな。
 
 バグのように見えるループは、若桜木虔先生の? 
 いや、原作の『スーパーマリオブラザーズ』由来でございますか。
 
 
 
     ☆      ☆      ☆ 
 
 

 難易度的にどうだったかは、
今回ちゃんと最後までプレイする前にフローチャートを描いたこともあり、
よく分かりません。
 
 まぁ、当時は
難しい=長く遊べるゲームがそれなりに受け入れられていた時代でございますから、
子供向けと申しましても、それなりの難しさはあると思います。
 
 ただですねぇ、
前述の『スーパーマリオブラザーズ Vol.2』(昭和62年1月)を見ると、
1作目には書いてなかったことが書いてあるわけですよ。
 
「最後にゲームをうまく進めるための注意をひとつ。
 実際にゲームをやっていると、何度も同じ項目にきてしまうことがあります。
 これは堂々めぐりといわれて、ゲームの進行を妨げるいやなルート。
 この本には、この堂々めぐりの項目がいくつか作られています。
 しかしどのルートにも必ずぬけ道があるのです。
 このルートに入りんでしまったら、
 前に通った時に選んでいない方の行き先はどっちだったのかしっかり見きわめて、
 冷静に選択すること。
 そうすればきっと脱出できるはずです。
 短気を起こさず、頑張ってください。」
 
 てね。
 
 おそらく一作目に関して、
バグだ、とか進行できない、という
問い合わせや抗議がたくさん来たのでございましょうな。
 
 低年齢の方やこの作品で初めてゲームブックに触れたかたもいらしたでしょう。
それにこのタイプは、そういうものだと分かっていないととまどうものでございます。
 外見が易しそうなこともあいまって、途中で投げ出した方もいるのではないかと存じます。
 
 
 
     ☆      ☆      ☆ 
 
 
  
 そうそう、難易度と申しますれば、この『マリオを救え!!』。
エンドの処理でちょっと特徴的なことをしている箇所がございます。
 
 このゲームブック、[End]ごとにどこに戻るかの指示がされております。

たいていの場合、
最初のほうは、スタートへ、
中後半では、区切りのいいパラグラフに戻る指示がされているだけなのでございますが
……。まぁそれは、他のゲームブックでもやっていることでございますな。
 
 そんな中、パラグラフ 144 では、戻る際、技術に +1 する
という指示が書かれているのでございます。
 
 これはけっこう感動いたしました。
 ゲームオーバーになったのだからペナルティがあってもおかしくないというのに、
 それどころか、強くなっていくなんてーー。
 
 でも、考えてみれば、これはアリだな。
 そう思いました。
 
 わたくしはひそかに、「スーパーサイヤ人システム」と呼んでおりますが、
 ゲームオーバーになるたびに、技術+1。
 これっていいと思いません? 
 
 だって、死んだというのに困難な冒険にふたたび挑戦してくださるというのですよ。
 技術点を、3点、4点上げようとするならば、
 3度も4度も死ななければならないのですよ。 
 そんな果敢なプレイヤーには、利得があってもよろしいではございませんか。
 
 死ぬたびにどんどん強くなっていくということは、
相対的にゲームの難易度は下がっていくわけでございますが。

 

 ファイティングファンタジーシリーズなどですと、
ある点数以上技術点がないと詰んでいたりする場合がございますし、
 
技術点がいくら高くても、
フローチャートに見込まれたパズルをしっかり解いていかないと
クリアできないということままございますからな。
 
 チートではございますが、
最初から能力値をすべて最高にするよりはマシでございましょう。
 
 12 を超えてはいけないなどの制限をつけた方がいいかも思いますが、
 そのあたりはご随意に。
  
 それでも勝てない場合だってございますし――。
 バランスは自分で調整してくださいませ。
 
 
 
☆ ところで今回、フローチャートを描いてわかったのでございますが、
  この技術点+1は、このパラグラフ144 しかないみたい。 

  うーん。
 
  もっとたくさん、
  序盤以外はすべてこの方式だと思っていたのでございますけれどねぇ……。
 


 

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さて、このゲーム内世界
クッパを超えるボスの出現により、いろいろと狂っているという設定でございます。
 
 そのせいかニセモノが多い。
 前回見てまいりましたとおり、クッパにもニセモノがおりますし、
しかもそのうち一体は、クリボーが化けたものでございますよ(77)。
それが、少し弱めとはいえクッパの力で戦うのでございますから、
確かに狂っております。
 
 あるルートでは、クッパが次々と現れてエンドという場面もございますし(196)。
 
 前回見ましたとおり、
無数クリボーパックンフラワーの部屋というのもございました。
 
 これって、『スーパーマリオメーカー』を予見している? 
と申しますか、ようやく今になって
空想に技術が追いついたわけでございますな。
 
 
 
 味方のニセモノも登場しているようでございます。
 
 たとえば、ガラの悪いピノキオ(80)
ただ、正しい情報をくれるみたいですし、
このイカれた世界で、ちょっと言葉遣いが横柄になっただけなのかもしれません。
 
 そして、ルイージ
 クッパを倒し、下へ行くと、ルイージと会う場合がございます(225)。
 彼が、ピーチ姫は自分が助けて地下の秘密の部屋に隠したというので、
一緒に行く選択をすると……。
 
 後ろから突き飛ばされて、地下に閉じ込められ、
 [END]とあいなります。

 
 このあたり、当時一部にあった、マリオとルイージは仲が悪い
という説に由来するのでございましょう。
 
 この説、
 
アーケードの『マリオブラザーズ』のインストラクションカードに書かれていた
協力するか、それとも裏切るか」や、
ディスクシステムの起動画面での二人のやりとり(ウィキペディア参照)
 
から来ているみたいでございますな。
 
 
 このルイージがちょっとびみょーなのでございますよね。
 選択によっては、その前に一度ルイージの声を聞くことがあるのでございますよね。
 その声によれば、
彼は地下牢にいて、帽子をなくしてしまったのだとか。

 
 それに対して現れたルイージは捕まってもおりませんし、
帽子もかぶっております。
 
 だから、
このルイージがニセモノという「ボク」の判断は正しいのでございましょう。
作者としても、
それを手がかりにニセモノと判断して欲しいという意図があるのだと思います。
 
 ただ、そうなりますとエピローグが問題でございます。
  
 ここではマリオとピーチ姫が
「ボク」の手によって救い出されたことは書かれておりますが、
ルイージのことには一切触れられていないのでございます。
 
 まぁ、選択によっては声と「ニセモノ」、
どっちにも遭わないこともございますから、これが正しいのかもしれませんが……。

 となると、思い浮かぶでしょ?
 こういう場合のマンガのラストシーン。
 
「あれ、なんか忘れていたよーな」
「まっ、いいか」
 とかみんなで騒いでいるシーンがあって、
最後に一コマ、
「兄さーん!!」と泣きながら地下牢でへたり込んでいるルイージ、
 
とか、
 
みんなで楽しくわいわいやっている後ろで、
ボロボロになった何ものかが、シルエットでゆらりと地下からあらわれる……。
 
 なんかルイージかわいそう……。
 
 でも、
 ルイージのポジションとしては、それでいい……のかなぁ?
 
 
 
 
      ☆   ☆   ☆
 
 
 
 さて、そんなかわいそなルイージの汚名を雪(そそ)ぐのが、
付録となっております「ルイージの大冒険」にございます。
 
 マリオが骨休めの旅に出ている最中に、
またもピーチ姫がクッパにさらわれてしまった――
ということで、
留守をまかされたルイージが救出に向かうわけでございますが……。
 
 これ、プロローグの文がちょっと変。
 
「ボクだってクッパの一人や二人」と
まだクッパを倒してはいないようなことを言ったその口で
「この手で倒したはずクッパ大王」とおっしゃっており、
なんだか矛盾するのでございますな。
 
まぁ、ささいなことではございますが。
 
 
 40パラグラフで構成されたこちらは、
アイテムを記録する必要はあるのの、
戦闘ルールもなく、ポンポンと進んでいきます。
 
フラワー・キノコ・スターを集める必要はあるものの、
一息にやる分としては、ちょうどいい長さなのでないでしょうか。
 
 原作の『スーパーマリオブラザーズ』はステージ仕立て
になっておりますから、

マリオを救え!!』本編もそれにならって

このような40パラグラフぐらいで構成されたステージが
10ぐらいあったのなら、
ダレないで1冊プレイできるのではないかな、

とも思います。
 
 
 ゲームブックって、長い方がすごいと思われる傾向がございますが、
一息でプレイできる分量で区切ったステージ構成のほうが、
作者にとってもプレイヤーにとってもやりやすいですよねぇ。
 
 その証拠に、『展覧会の絵』にしても、
ドルアーガの塔』など鈴木直人先生の作品にしても、
そのようなステージ構成を採っております。
 
 区切る場所がないと疲れますし、
日をまたげばいろいろと忘れてしまうこともございますからな。
 
 
 まっ、それはさておきまして。
 この付録ゲームブック。
 主人公の「ボク」はルイージなのでございますが、
 なんだかとってもかっこいい

 ヤツ呼ばわりするし、
 
待っていろクッパ大王!
 いま、そこへ行ってやるぞ! 
 お前の野望もそこまでだ!
 
 ってな感じで、やたらと威勢よく
ルイージじゃないみたい
 
 本編と同じ作者なので、それほど文章は変わらないのですが、
この短篇のほうが不思議と勢いがございます。
 
 そしてその文体が、ポンポンと進んでいく感覚に、
拍車をかけている気がするのでございます。

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『マリオを救え!!』
ゲームブック『マリオを救え!!』

企画:スタジオ・ハード 北殿光徳
構成:池田美佐 高橋信之
文・作画:北殿光徳

(双葉文庫 
 ファミコン冒険ゲームブック
 シリーズ①
 昭和61年8月)
  
ーーさて、
というわけで
マリオを救え!!』。
 
双葉社
ファミコンゲームブック
シリーズ第1弾でございます。
 

 サイドのリンクにございます「ゲームブック倉庫番」を見ますと、
勁文社の「外伝11986年の7月だそうでございますから、
ほぼ同時期の作品でございますな。
 
 ちなみに、ファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ2」の発売が、
1986年6月だそうでございますから、それに合わせたものでございましょう。
 
~2」はクイックディスクでございましたから、
ディスクドライブを買ってもらえなかったお子さまを当て込んだ? 
 勘ぐりすぎかもしれませんが、少しはそれもあったのかもしれません。
 
 それはさておき。
 
 こちらの作品(『マリオを救え!』)は、
勁文社の外伝とはうってかわって、
テレビゲーム『スーパーマリオブラザーズ』に準拠した作りになっております。
 
 さし絵もイラストの他、画面写真を使っておりますし、
登場する敵もテレビゲームと同じか、
それをちょっとパワーアップしたもの。
それほど変化はございません。
 
ゲームブック『マリオを救え!!』敵   ゲームブック『マリオを救え!!』敵
 

 
 プロローグも、
私と姫を助けて欲しいというマリオの声を聞いた主人公「ぼく」が、
いつの間にかゲーム世界に入っていたというもの。
 
導入として非常にオーソドックスでございますな。
 
 
 パラグラフ数310
 システムは、勁文社の『~外伝2』と同じく、
バトルポイント表を使うものでございます。
こちらの能力値は「技術」と「体力」。
アルファベットの書かれた表には0~9を書き込みます。
 
 アイテムは一度手に入れたら、失うという記述があるまでいつでも使えます。
 原作では時間制限のあるスターも、ここではアイテム扱いでございます。
 
 
 物語性はそれほどございません。
 
 「土管がある」とか
「床と天井の中間にブロックがある」といった状況の描写と、
 
土管の中はワープポイントになっている場所もあれば
敵が潜んでいる場所もあるなど、選択のための情報
 
それにボクの感情・感想が書かれているだけでございます。
 
 まさにテレビゲームをそのまま本にしたといった感じでございます。
 
 プレイ感覚もファミコンのそれに近い感じですな。
 ポンポンポンッと進んでいって、「やられちゃった」でまた挑戦。
てな感じで手軽に気軽に進めていくゲームブックでございます。
 
 難易度も高くはなく、普通のゲームブックよりも少し低年齢
――小学校中学年ぐらいをターゲットにしたゲームブックでござましょうか。
 
 と、思ったのでございますが、それは第一印象でございました。
 
 プレイしてみると、クッパにはたどり着くものの、なかなか勝たしてもらえません
 
 なにかバグがあるのかも、とザッとフローチャートを描いてみました。
 
 見なくてもいいので、サムネイルにしておきます。
 
  ゲームブック『マリオを救え!!』フローチャート
  
 修正液は使っているのの、一発描きなので説明が必要ですね。
 
 左ページはゴチャゴチャしていますが、下の方でつながったりはしていません。
 
 一番左、1から始まる部分は、最後で右ページ右116あたりにつながります。
  
 そのまま下に続けていたのですが、
 右側のチャートにも知らずに同じところを描いていたのと、
 そちらの方が見やすかったので、移行しました。
 
 
 右ページには3つ、クッパから始まる流れが描かれていますが、
そのうち1つが本物
他2つは真のルートを探しに行かなければならず、間違えるとループします。
えんえん真のルートにたどり着けないということもあり得るわけです。
 
 バグがありそうだと思ったのは、そのあたりですね。
 
 とにかく原作準拠でございますから、似たような光景が続くわけでございますよ。
土管から出たあとに唐突に場面が変わっていても原作どおり。
 
 なので、今通っている場所が、
以前来た道なのかそれとも新しい場所なのかが
ひじょーにわかりにくい。
 
 しかもループやワープありでございますからな。
 
 バグで以前着た場所に来たのか、それとも意図されたものなのか、
判断がつきかねます。
 
 と申しますか、310パラグラフですし、
子供向けだからさっさと終わるだろうと思っていたので、
ループをバグだと思ってしまったわけでございます。
 
 
アイテムに関しましては特にフラワーは重要でございます。
おそらく必須かと存じます。
  
 たとえば(289)でワープしてやって来ても、
(43)でフラワーがないとはじかれます
(なので、(31)のハンマーブロスのところでは、
フラワーがないという選択はないような気も――)。
 
このルートは真の敵に出会うためのルートなので、
フラワーがないとゴールにたどり着けないのでございます。
 
 
 
 
 
 
 
 けっきょくバグと思われる部分は一カ所だけでございました。

 262の無数のノコノコか142の無数のパックンのいる部屋に入ってしまったシーン。
フラワーがないと、そのリーダーがコインをよこせという(105)のでございますが、
そこでなにもコインを持っていなければおしまい(113)、
1枚でも持っていればそれを渡してそこを脱出するわけでございます(15)が、
そのあとの(306)でございます。
 
 出口が見えたというのに、
「ボクはヤツの足もとにくずれ落ちた」となっていて、
文章のつながりがおかしいのですな。
 まるでボスキャラにやられたみたい。
なので、ここは間違っているのでございましょう。
 
ただ、別に浮いているパラグラフもないみたいですし、大きなバグとは申せません。

 ここ(306)でエンドになるのですが、
コインを払ったといっても、負けているのでそれもおかしくございません。
 
 が、脱出できたことにして、(192)へ進んでよろしゅうございましょう。
 

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 さて、もう少し見ていきましょう。
 
☆ この世界では、コインではなく出てくるのは金塊
  それがエネルギー源となっております。
 
ゲームブックマリオ外伝2
 
 マリオでも食べられるということは、
金塊ではないか、マリオの体質が地底世界に来て変化したのか、
そのいずれかなのでございましょうな。
 
 ルール的にも金塊は、
買い物をするのに使えるほか、
体力や戦闘力のアップのためにも使います。
 
便利でございますな。
 
 それにしてもこの金喰獣というネーミング、
金塊しか食料がないのなら他の名前になりそうな気がいたしますが……。
 
わかりやすいから、いいか。
 
 
 
☆ 次にこれ。重要なヒント
 
ゲームブックマリオ外伝2
 
 ナゾトキゲームが得意な方ならば(そうでなくても?)
このヒントで、運命を決定する言葉が何と何かは予想がつきましょう。
 
 最後にはこの2つの光石が、左右に飛んでいってしまい、
かを選ぶ選択肢があるのでございますが……、
 
お分かりですよね?
  
 単純かもしれませんが、
ストーリーに組み込むものとしては、
なかなか気が利いたナゾではないかと存じます。
 



☆ マリオ必殺技
 そしてアンドレ王子のヨロイ姿
 
ゲームブックマリオ外伝2
 
 ポテト王国という名前からくるイメージとはうらはらに、
かなりスリムでございますよね。
 
 女性の方がお描きになっているせいでございましょうか。
あるいはマリオとの対比?

 おそらく、その両方なのでございましょうなぁ。
 
 
 
 
☆ ピーチ姫がクッパにさらわれる理由については、
  諸説あるようでございますが、
 
  この説明はけっこうきれいなのではないでしょうか? 
 
ゲームブックマリオ外伝2 ピーチ姫
  
 公式にしてもいいような気がいたします
 
 それはそれとして、この作品では、
キノコ王国の人たちはキノコではなく、
普通に人間の姿をしているようでございますな。
 
 
 
☆ で、大団円。めでたしめでたしでございます。
 
ゲームブックマリオ外伝2
 
 異世界を救って帰っていくというのは、外伝としては正しいあり方でございましょう。
『スーパーマリオブラザーズ』っぽさは、ほとんど無いレベルではございますが。
 

 

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きのう2020/03/03 ) 「今日は桃の節句・ひな祭り」からの続きでございます。
ですから、(1)はそちらということで
  
それでは、内容を見ていきましょう!!
 
 
アドベンチャーヒーローブックス コミック版
「スーパーマリオブラザーズ 外伝2」マリオ外伝2
原田力男:原作
橘しいな:絵

(勁文社/昭和61年11月)
  
 
 ちなみに、と申しますか、
外伝1のほうは
わたくし持っておりません
 

 
 古本屋さんで1、2並んだ状態で見つけたのでございますが、
衝動買いしないタチなものでございますから、
そのとき買わないで、次の時に見たら2しか残っていなかったという……。

 
 それをご了承いただいた上で
さっそく本論に入ってまいりましょう!

 
 
 

☆ まずはシステム。
 能力は、体力・戦闘力・魔力
10ポイントをそれに割り振ります。
 
 
戦闘はバトルポイント表を使うもので、
これら能力のいずれか(複数の場合もある)を
指示されたアルファベットに書かれた
0~6の数字を組み合わせるという方法をとっています。
 
双葉社勁文社のゲームブックでおなじみですな。
 
このやり方は、スピーディでいいという方と、
単純すぎてつまらないという方がおられると思います。
 
再挑戦の時に、前回の数字の並びを考慮に入れ、
バトルポイントを負けないように並び替えることが出来るのも、
評価の分かれることかと存じますが、
わたくしは肯定的でございます。
再挑戦なんて楽に終わった方がいいですもの。
 
 
 
 
☆ ストーリーは、と申しますと、
  
ピーチ姫がjまた何ものかの手によってさらわれるのでございますな。
  
  調べてみると、庭に深い岩穴が――。

 
 マリオ外伝2
 

 というわけで、地底世界での冒険の始まりでございます。
 

 地底世界と申しましても、ゲームのマリオのような暗い地下ではなく、
地上とあまり変わらない世界なのでございますな。
空があって雲までたなびいております。
 

 異世界と申してよろしゅうございましょう。
 
 で、そこで知り合った女戦士・マムさんによりますと
この世界は、
あるとき突如現れた魔獣によって、次第に魔界化しつつあるのだとか。

 
 マリオと申しますれば、おとぎ話のようなグラフィックでございますが、
そのようなところは一片もなし。
敵も爬虫類を中心とした、こわもてな奴らばかり。

 
スーマリ外伝2
 
(↑) たとえば、バトルゾーンに出てくるのは、こんな奴ら。
 
 
 ですからねぇ。感じといたしましては、
映画の『スーパー・マリオ 魔界帝国の女神』のほうが近いわけですよ。

(ニコニコにあったので見てしまいましたー)
 
 もちろんあの作品は、自動車も行き交う近代的な町なのに対し、
こちらは剣と魔法のファンタジー世界なので違いますが、
スーパーマリオと比べた場合、方向性として似ております。

 
 もしかすると、映画を作る際、
参考とした資料の中に混じっていたのかも??? 

 
 

 剣と魔法のファンタジーなので、
マリオがヨロイに身を固め、魔剣を手にして戦う場面もけっこうーー。
 
 マリオ外伝2
 

 任天堂がスクウェアとともに
スーパーマリオRPG』を作ったとき、
任天堂側から、マリオは剣で敵を斬り殺したりしない、
と条件がついたそうでございますが、
これはその前の話なので仕方がございません。
 

 と申しますか、こういった作品を見て
これはマリオじゃないと、そのような条件がつけられたのかもしれませんな。

 
 
 ストーリー的にも、
マムとともに魔獣の支配から地底世界を救うという話が根幹でございまして、
ピーチ姫を助け出すのが目的とはいえ、ちっともスーマリらしくはございません。
 

スーパーマリオブラザーズ」からの出演は、
マリオキノビオピーチ姫、
それにゲッソーらしきものがちょこっと出てくる程度。
 
 
ラスボス
クッパ 
 

 クッパ
 
 

 であるものの、最後に正体として出てくるだけなので、
全体をキャラクターとして支配しているという感じはございませんし――。

 
 異世界冒険ものにマリオのキャラクターを載せた
――ストーリー的にはそんな感じですな。
 

 ですから、「原作」という言葉にツッコミを入れたくなりますが、
プレイしてみれば、それはある意味正しいのでございます。

 
 


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 ふと気がつくと、今日は桃の節句
 
ピーチ姫ひな人形とかってあるのかなぁと思って
検索をしてみたのでございますが、
意外と申しますかやっぱりと申しますか、
これがないのでございますな。
 
 ピーチ姫の旦那様がいらっしゃらない以上仕方がない
と思っている方が多いのでございましょう。
 
 でもゲームブックファンは知っています。
 
 ピーチ姫に相思相愛の結婚相手がいることを
 
 そのお方こそ、ポテト王国アンドレ王子
 このお方でございますな。
 

 ピーチ姫の結婚相手
 
 2017/12/19 ゲームブッククイズ(6)で出題したので、
覚えていらっしゃる方も多ございましょう。
 

 
 出典はこれ。
 
スーマリ外伝2
 
アドベンチャーヒーローブックス コミック版
「スーパーマリオブラザーズ 外伝2」
原田力男:原作
橘しいな:絵

(勁文社/昭和61年11月)
 
でございます。
 
それにしても、表紙ソデに「ソロモンの鍵を奪い返し
とございますが……。
それ何か、別の冒険の気が……。
 

 
 

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『西遊記 天竺(インド)への道』西遊記インドへの道
シミュレーションプログラム研究会:著
(白馬出版/昭和60年10月)

 
お話はといえば――。
 
 『西遊記』とございますが、
これは玄奘三蔵さまよりも100年あとの日本の話。
八世紀の中頃。東大寺の毘盧遮那仏が建立されてから
3年の時を経たころでございます。
その記念式典に顕現した観音さまのお達しに応じ、
若手僧侶一の道鑑が天竺をめざして旅立つというもの。
 
西遊記インドへの道
 
 
 孫悟空や猪八戒、沙悟浄といったおなじみの面々にも、
日本もしくはその近海ですぐに出会います。
 
 この、原作と違う主人公で原作と同じような旅を、というのは、
第一作目の『ザ・チャレンジ 80日間世界一周』
から受け継がれているところでございます。
 この作品では明治33年(西暦1900年)に、
ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』を読んだ賢次少年が、
本当に80日間で世界が一周できるか賭けをして旅立ちます。
 
 それはさておき。

 天竺到達までの期限は4年。
 観音さまが別にそんなもの設定しなくても……とは思いますが、
ゲームなのでしかたがない。
 
 本文中には太字で所要期間が何ヶ月か書かれておりますから、
それを記録して進行していくわけでございます。
 
西遊記インドへの道 
 
 
そう聞くと、
八世紀の半ばの東アジアの歴史や地理に関して詳しい知識があれば有利なのか
とも思えますが、そんなことはございません。
 
 推理力を駆使してルート選択しても、
現実的な、もしくは西遊記らしいトラブルに巻き込まれて
ちょいちょい足止めを喰らいます。
 
 有利に進めることが出来るかは、運次第なのでございます。
 
 なにしろ、103まで数字はふられているものの、それはページ数で、
パラグラフ的にはスタート・ゴール含めて34ぐらいでございますから。
 大したことが出来るはずもございません。
 
 こうした
時間を記録していくゲームブックの場合にはしばしばあることでございますが、
分岐をまとめるためにトラブルで時間を調整しているのでございますな、
映画『キャノンボール』(2だったかな、それとも両方?)みたいに――。
 たしか、『縄文伝説』もそうだったと記憶しております。
 
 なので当てずっぽうにポンポン行ってよろしいかと存じます。
 
 まぁ、パラグラフ的には少ないものの、ルートは多彩。
シルクロードや海路を行くルートなどもあり、
また8世紀当時の出来事や西遊記というパックボーンもございますから、
変化に富んでいて面白いですよー。
 
 とは申せ、パラグラフ数が少ないのはアダでございますな。
 題材がいいのですから、もっとさまざまな展開が見たかったところでございます。
 
西遊記インドへの道  
 
 ちなみに、このシリーズ第1弾の『八十日間世界一周』についても少し。

 こちらは、イラストを描いた人の表記はなく、絵はそれなりの出来でございます。
 システム的にはほぼ同じ。
 なので、ストーリー的にも同じようなこと
   ――題材はいいのだけれどパラグラフが少ない――が申せます。
  
 でも、『八十日間世界一周』のほうが面白かったかな?
  
 だいぶ昔にプレイした記憶なので、あいまいではございますが。
  
 

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忌火起草 忌火起草
北島行徳 牧野修 加藤一:著
(講談社/2007/12)
 

 PS3で2007/10に発売された、
chunソフトのホラーサウンドノベルのノベライズ。
 
亜美編」「京介編」「編」を収録しております。
 例によって原作はプレイしておりません。
 
 オビには
「分岐によって、マルチエンディングが楽しめる」と
謳ってはございますが、「亜美」編から枝分かれするのは、
 
 p.18で「大学の中庭へ行く」と、「」編へ、
 p.20で「立っていたのは愛美」を選ぶと「京介」編へ、
  
 と、この2カ所のみ。
 分岐小説、と申せはいたしますが、スタートが同じ3編の小説でございますな。
 
 各編は
 「亜美」編が北島行徳先生、
 「京介」編が牧野修先生、
 「」編が加藤一先生
             が、お書きになっておられます。
 
 もとのシナリオを担当した方が、そのままお書きになっているのでございましょう。
  
「ゲームの元になったオリジナル版に加筆・修正」、とオビには書いてございます。
 
 このオリジナル版というのがどういうものかは分かりませんが、
おそらくゲーム化する以前のシナリオということではございませんでしょうか。
  
 それに加筆・修正ということでございますから、P
S3版とは全体的な流れこそ変わらないものの、
作者の筆により変更はあるということでごさいますな。
 
 分岐はしておりますものの、やはり「亜美」編が基本。
 なので順番に読んでいくのが吉かと存じます。
 
 
 
 飲めば至高の感覚を得られるというビジョン=忌火起草。
 だが、それを口にしたものがつぎつぎとなぞの焼死を遂げていく……。
 そんなものに手を出した覚えのない主人公、牧村弘樹だったが、
 やがて爪の先が黒くなり、悪夢を見るなど、
 忌火起草特有の症状がその身に現れはじめ……。
 
 あらましはそんな感じでございますな。
 
 亜美編・京介編・奇編。
 
 三様の物語は、すべて過去と結びついております。
 
 それぞそれの物語の中で、
 忌火起草、ビジョン、今惹草、
 という薬の誕生の秘密が語られるのでございますが、
それが現在に因縁をもたらすのでございます。
 
 これら3つのクスリは、
同じものから作られた段階的なものでございまして、
設定上は1つの年表の上に並べられそうなのでございますが、
お話しを広げるにあたって変化していったのでございましょうな。
微妙にズレのあるパラレルワールドになっております。
 
 その互いに重なり合いながらも違う感覚が、
分岐小説らしくてよろしゅうございますな。
 
 三種の薬の成立過程には男女の愛憎劇が関わっておりまして、
それが、作品の主人公、牧村、早瀬、皆川たちに襲いかかる。
 
 その結末も、やはり三話三様。
 
 そこに分岐がないのは、小説としてカッチリと見せるためでございましようか。
あるいは分岐するとめんどうだから? 
 
 
 原作の家庭用ゲーム機版ではさらに多くの話に分岐するものの、
本書を読んだ感じではこの三話で必要にして十分な感じがいたしますな。
 
 おそらく書きたかったのは、
このぐらいのことだったのではございませんでしょうか。
 PS3は容量も大きく、
話が3つではプレイヤーが満足しないというのはわかりはいたしますが、
物語の性格上、あまり広げる話でも無いような気がするのでございます。
 
 サウンドノベルが衰退した理由の1つはそういうこと――
ゲーム機の容量が飛躍的に伸びたこともあるんじゃないのかなぁ。
 
 スーパーファミコンぐらいの分量が
物語のまとまりとしても費用対効率的にもちょうどよかったんじゃないでしょうか。
 大きくなればまとまりにくくなりますし、中心からズレていくこともございましょう。
 容量が大きくなればいいとは限らないものでございます。
 
 
 さて、まぁ、それはそれとしてでございます。
  
 そのことを抜きにしても、この話には、
設定もしくその説明にどうも欠点があるようにわたくしは感じました。
 
 忌火起草は、
 
 それを飲めば、至高の体験が得られる。
 心霊スポットで飲めば、さらに効果があがる。
 幽霊が見える。
 
 のだそうでございますが、これがどうもよく分からないのでございます。
 幽霊が見えることが、至高の体験なの?
 なにか、この説明ではどうも飲みたい気がしないのでございますが……。
 
 それに、至高の体験についての具体的な描写もないんですよねぇ。
 これらのことを吹聴しているのが、中森健吾さんだけでございますし……。
 ほかの人も飲んだみたいなんですけれど、
どんな体験だったかあまり聞こえてこない……。
 健吾さんにしたところで、「すっごい効く」とか「パーッと楽しくなる」とか
言っているだけで、なんか具体的じゃないんですよね。
 
 それにこうしたドラッグの類いは常習性があるものですが、
それもあまり描かれていないような気が……。
 
 
 特にかわいそうなのは、主人公の牧村弘樹さん。
 知らずのうちにビジョンを飲まされたのに、
いい思いはまったくしていないのでございますもの!! 
 
 爪が徐々に黒く染まっていったり、悪夢を見たりと、
 悪い方の効果は発現するのに、それを飲みたくなるような描写は、一瞬たりとてない。
 
 ホラーだから、
理不尽に降りかかる不幸な部分だけを描けばいいということかもしれませんが、
最初のリアリティがないとあとの話も真に迫っては来ないように思うのでございますが……。
 
 あるいは、複数で書くものなので、最初の設定は薄くして、
あとは各分岐を手がける方に期待したのかもしれませんが、
だとすればそれが悪い方向に働いたという感がございます。
 
 
 さらに、忌火起草最大の特徴である発火現象。
 これがよく分かりません。
 何しろ、何の説明もございませんもの。
 ホラーですから科学的な説明は必要ございませんが、
だからこそ、因縁めいたものは必要でございますよねぇ。
 開発者の情念とか、何か――。
 でないと、発火などという大きな効果に、
どうも納得性がないように思うのでございます。
 もしかすると、
察しろ、分かれということなのかもしれませんが、
こういうことははっきりと書かれていないと分からないものでございます。
 
 おそらくイメージが先行したのでございましょうな。
 画面上の派手さを狙っての炎上なのではございませんでしょうか。
 
 説明なしでもそれにノレる人はノレるかもしれませんが、
そこにいたる今まで書いたようなことで引っかかりを感じたせいか、
炎上が、どうにも唐突に感じられてしまったのでございます。。
 
 というわけで、個人的にはノレませんでしたが、
書いている人たちが書いている人たちですから、
きちんと面白いものにはなっております。
 
 亜美編には、だれがそれをやったかという興味もございます
(ただし読者に推理させる趣向にはなっていない)し、
奇編の愛美ではなく香織エンドというのは、
ちょっとネットで調べたかぎりでは、この本オリジナルの展開じゃないかな?
 
 いずれにせよ、先ほども書いたとおり、
この1冊で必要十分にまとまっている作品だとわたくしは存じます。

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フローチャートはこんな感じです。
 
狂瀾怒濤 フローチャート
 
               『狂瀾怒濤』フローチャート 

 
 図のうち、色のついていないところは戦いの場面。

 色のついているもののうち、黄色15,26,18,23)はそれとはの部分で、
見てお分かりのとおりループしています。
 
 21,22)は一時的な和解
 
 29,30)がエンディング
 
 全体として無方向移動型だが流れのあるタイプ、といっていいでしょう。
 
 選択によっては数パラグラフでエンディングに達してしまう場合もありますが、
 基本的に
 
脈絡もなく延々と戦い、
時に目先を変えて他の場所へ行ったりしているうちに
和解が生じるも、
結局全員で戦うことになり
エンディングに突入する、
 
という構成になっています。
 
 選択肢の意味については、微妙

 戦闘では気に入らないという選択を選ぶとキャラクターが入れ替わったりしますが、
展開がさして変わるものでもありません。
 
 でも何か意味ありげ。
 
 特に、最後の選択はそうです。
 
 27では、「ロマンティックな結末を望む」 →30
     「皮肉な結末のほうが好み」   →29
     
 28では、「リアリスティックな結末を望む」→30
     「とんでもない結末がいい」   →29
 
 と、正反対もしくは全然別の選択肢が、同じ結末へと向かっています。
 
 こうしたナンセンスで意味ありげな部分が、
この作品の文章としての魅力になっているように思われます。
 
 分岐型にした意味も、そこにあるといっていいでしょう。

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『狂瀾怒濤 
  あるいは、ブラックドール騒動』狂瀾怒濤
 
エドワード・ゴーリー:著
 柴田元幸:訳 
         (河出書房新社/2019/10)
 
"THE RAGING TIDE:or,The Black Doll's Imbroglio"
by Edward Gorey(1987)

  
ナンセンスな大人向けの絵本作家として知られるエドワード・ゴーリー分岐型絵本
 
ソデには
「最も優れた『早く続きを読みたくなる面白い本』に挑戦した1冊」とある。
1987年の作だそうだ。
となると、ゲームブック以降の作品ということになるが……。
 

 背景には雲が流れ、
絨毯が敷かれたような模様のある床のうえには
大道具として指の彫像が立ち、あるいは転がり、あるいは折れている。
 

  そんな舞台のうえで、狂瀾怒濤のキャラクター 
 
  スクランプ
  ナイーター
  フーグリブー
  フィグバッシュ
 
  という4体の
  落描きのようなキャラクターが、
  羽根ばたきやクッキーの抜き型、
  濡れたお茶の葉など、
  そこら辺にありそうなものを手に、
  延々と戦い続ける……。
  
  そんなシュールな内容だ。
 
 
 主人公は「キミ」ではない
  
 レーモン・クノーの「あなたまかせのお話」と同じで、
 読者はあくまで読者の立場にとどまる。
  
 選択肢は「このおはなしが気に入ったなら○○へ」といった具合に、
その話をどう感じたかによって進むのだ。

 気に入らなかった場合は、キャラクターの1人が入れ替わったりするが、
普通にページをめくっていたら気がつかない程度だ。
戦いの流れに段取りがあるわけでもなく、
選択肢を無視してランダムにページを開いても、大して違いはないだろう。
 
 絵の雰囲気に負うところが大きいが、全体的にトーンは暗い。
 
 途中、戦闘とは関係ない「脱線」も存在するが、
館に行けば公開日ではなく、庭園に行けば虫の破壊を受けていたりと、
明るい方へは向かわない。 
 
 ラスト近くには和解の場面もあるが、そこで食べるものと言えば、
プルーンのワイン煮か、カブの水煮――タイトル下の引用(実は作者の筆)だが、
どちらもぐしゅんとした感じで、なんとも開放感が無い……。
そして和解は長くは続かず、すぐに戦いは再開され……。
 
 そのあとに待っているのは、生にせよ死にせよ、救いのないエンディング。
 閉塞感のある作品だ。

狂瀾怒濤 あるいは、ブラックドール騒動』というタイトルについて、訳者は
「表紙においてのみ」見られ「解説めいたことはおよそ不可能」と書いているが、
おそらく、この表紙の絵こそが果てしない戦いの発端ということなのではないだろうか。
 
 ただし、それがどうなってキャラクターたちが戦いつづけることになったのかは、
読者の想像にまかされている。
 
 そう考えてみると、2つあるエンディングは真のエンディングではなく、
裏表紙の絵こそ、本当のおしまいだということになる。
 
 嬉々としてにしろ、みじめににしろ、最終的には裏表紙のイラストへと行き着くのだ。
 

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 ネタバレ禁止なので大したことは書けませんが、滅びゆく魔法書からの脱出
簡単にですが感想を書いておくことにいたします。
 
 謎に関しては、ヒラメキよりも文章をよく読み、
メモをちゃんととることで解決できる問題が多く、
出題も丁寧で好感が持てました。
 
 さすがに後半はそうも行かなくなりますが。
 
 個人的に難問だったのは、すでに書きましたが、
 163と258。258は未だに解けません。
  
 まぁ、
1冊の中には相性の悪い問題も一つや二つはあるということで。
 
 
ストーリー

 空っぽ人形ということで映画『ユニコ 魔法の島へ』の生き人形
石板ということで電源ゲーム『moon』(プレイしたことない)の奇盤
なんかが思い浮かびましたが、まぁ関係はございませんでしょう。
 
 さて、
 この作品、ストーリーも謎仕立てございまして、
最終章では、それが明らかにされます。
 
 それがなかなか込み入っておりまして、
わたくしなどにはちゃんと理解できていない部分があるやもしれません。
 
 そんなわけで間違っているかもしれませんが――。
 
 主要人物の関係は意外と複雑。
セカイ系というのでございましょうか、こぢんまりとした終わり方をいたします。
 世界の帰結もヨブの口をとおしてシンプルに語られるのみ。
 いろいろな場所にいる人たちが、その時どうしているのか、
フラッシュバック的に見せてもいいのに――
と思うのでございますが、こういうのがセカイ系というものなのでしょうなぁ。
 
 ラストは二人の話になり、静的な調子。
 最後の謎の解法が感動的だったのだから、もっと大団円でいいのに、
とわたくしは思いました。
 
 もしかすると、
あの作品の最終巻へのオマージュなのかな、とは思います。
そう考えてみるとゾンビが出てくるのも分かりはいたしますが、でも……。
 
 
 
主人公は君か」問題も気になりました。
 主人公=自分だと思ってプレイしていると、
最後になって複雑な人間関係が明らかになって、
どうも置いてきぼりになる感じがあるのでございます。
 こうしたキャラクターを描きたかったにしても、
もう少し「君」が入る余地はあったのでは? と、
わたくしなどは思ったのでございます。
 
 今の人は、思わないのかなぁ。
 
 
 とまぁ、派手な終わり方を期待していたので
わたくしの評価はこんなものでございますが、
違う見方もございましょう。
ラストはきれいな終わり方をいたします。
 
 でも、これって「脱出」なのかなぁ……。
 
 
 
 
 空っぽ人形、どうなるんだろう?
 

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このゲームブック、実を申しますと、
買ったのは発売されてすぐのことだったのでございますよね。
 ただ、付属品がたくさんございますし、
書き込んだり折り曲げたりもしなければならない様子。
 
 というわけで、どうしようか、かなり迷っていたのでございますが……。
 思い切って、もう1冊買ってしまいました~!
 
 まぁ、年に何回も出るものではございませんし、とみずからに言い聞かせまして、
2200円+税。
 
「攻略のポイント」(p.20)に、
「マップやアドベンチャーシートをコピーしておく」とあって、
「ああ、そうすればよかったのかも」とは思いましたが、
両面コピーが必要なものもございますし、カラーコピー推奨のものも……。
 
 折ったり書き込んだりするものを
すべてコピーするとなると、けっこう手間だと思います。
 
 それでなくともゲームブックでございますから、
何度もページをめくったりいたしますしね。
 
 もし本当にきれいな状態で取っておきたいのならでございますが、
もう1冊買うというのも、1つの手だと存じます。

 
 さて、この本の「攻略のポイント」についてでございますが、
自分なりのものを少し付け加えておくことにいたします。
 
 と申しましても、
p.20-21に書かれていることにほんの少し付け加えた程度、基本的なことでございます。
 なので、参考にならないかも知れませんが、念のため。
 
 
 
1. 「ポイント4」には、
「付録は袋やクリアファイルにまとめておく」とございますが、
わたくしは100円ショップで買ってきたA5の透明なケースに入れて保管しておりました。
 クリアファイルよりも出し入れが楽でございますし、
本や筆記用具もひとまとめに入れられるので便利なのでございます。
 そのまま、本棚に置いてもよろしゅうございますしね。
 
 
2. 11/06の(1)にも少し書きましたとおり、
わたくしは記録紙を使わずに、メモはすべてノートに書いております。
こまめにメモをとっていくと、
記号などだけ記録紙に書いていくのが面倒になってくるのですな。
 ただし、このゲームブックのように内容物すべてを使うような作品の場合、
記録紙に書いていかないと困ってしまう場合もあると存じます。
ですから、両方に書く、というのが正しくございましょう
(でも、そのちょっとの手間がねぇ……)。
 
 ノートに書く場合は、章の始めや、各場所の名前、それに手がかりなど、
重要な部分は四角で囲んだり(マーカーなど使ったり)して、
はっきり目立たせましょう。
あとで探すときに、迷わないためでございます。
 でないと、手がかりをすでに取ってあるのにもかかわらず、
無いと思って詰まってしまう羽目に……。
 今回一度、そういうことがございました。
 
 記録紙には鉛筆で、メモは細字のペンで、というのが自分流。
 手がかりで、○○を消して○○になどという場合は、
二重線で消すか、矢印で新しい番号になったことを示しておきます。
あとで、前の番号も見ておきたいということはございますからな。
 
 メモはこまめに多めに。
 丹念なメモが解法につながる場合もございますからな。
 あとで見返したときにストーリーが分かるように、
といきたいところでございますが、
ちゃんと取ったつもりでも、けっこう抜けているものでございます。
  
 あとで見たときにわかりやすいように、
きれいに書いておきたいところでございますが、
わたくしの場合どうもがさつでいけません。
 
 今回の場合、自分のとったメモは、一章につき2ページぐらいかな? 
でございました。
 
 
 
3. このゲームブックは、章立てになった双方向移動型のゲームでございます。
 基本マップ上にパラグラフナンバーを書いた
すべての場所をまわることになると思ってください。
 
 その順番もございますから、謎が解けない場合は、
そこは後回しにして他の場所を当たってみることにしましょう。
情報が得られるかもしれません。
 さらに、このゲームブックでは、
一章で分からなかった手がかりが、あとの章で得られるということもあります。
 つまり、その手がかりがなくても次の章に進める場合もあるので、
分からないところは、本当に詰まってから考えたほうがいい、
ということもあります。
 
 特に3章ぐらいからは、
1つの謎が解けて初めて次の謎の手がかりが解放される
ということが多くなっていたような気がしたので、
あせらず別の場所を探してみた方がいいと思われます。
 
 
 
4. 投げ込みのチラシ以外、
おそらくすべてのものをこのゲームブックでは使います。
ですから本と付属物のあらゆるところを見て、そして考えてください。
問題の文章もよく考えて読むように。
ちょっとした言い回しが
実は正解のために必要なヒントになっている場合もあります。
このことに関しては、記録紙を使っていたほうがいいのかも。
メモだとゴチャゴチャしてしまって、
ヒントの言っている意味に気づかないこともあったような気がします。
 
 あとは、ありとあらゆることを試してみましょう。
 折ったり書き込んだりを躊躇しないで。
 ちなみにこのゲームブック、巻末の付録を切り取り線で切る以外に
ハサミやカッターを使うことはありません。
パズルを切って台無しにしないように念のため。
 
 ありとあらゆることを試していると
ヒントが出ていない答えが先に見つかってしまうこともたまにございますが、
まぁそれは、この手のゲームブックの宿命と言っていいのではないでしょうか……。
 
 
 

5. 【謎を解き、現れた数字のパラグラフへ】と書かれたパズルは、
数が答になっています。当然ですね。
もちろんそれではあまりに単純なので、
そのまま数字で出てくるとは限りません。
言い方だったり、書き方だったり、計算式だったり……。
でもまぁ、いずれにせよ数字です。
そのことを頭に置いておけば、解法が絞られることもございましょう。
出て来た答えが、形が崩れている場合でも、
それが数を示す何かだと思ってみればなんとかそれに見えるものでございます。
 
 
 

6. 謎によっては、2段階になっているものもございます。
ですから、1つのことをやってまだ分からない場合は、
もう一度問題文に立ち返ってみましょう。
もうひとつやるべきことがほのめかされているかもしれません。
 
 とまぁ、こんなところでございましょうか。
 今思いつくのは、このぐらいでございます。

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 終わりました~~!!

 最後の問題については、いろいろ語りたい。失敗も含めてあれこれ……。
 でもネタバレ禁止なんですよねぇ。
 
 最後の問題、あれやこれやしてもどうもうまくいかない。
 スタッフ表まで疑ったりして(最後の問題を知っている人は分かりますよね)。

 結局。
 まさか、もしかしたら……が当たりました。
 解法はあれこれするうちに大体気づいたので、あとは一気に……。
 ちょっとズレたので、出て来た答にアレッって思いましたけれどね。
 すぐに気づいて、正しい答を見つけ出しました~!
 
 これが、なかなか感慨深い。
 
 言いたい、言いたい、言いたい……
ですが、何を言ってもネタバレになりそうなのでございます。
 
 この感じ、たどり着いた方ならお分かりいただけると思います。
 
 正解をサイトで入力するとエンディングとあいなるのでございますが……。
 
 テーマ性もあっていい話なんですけれどねぇ。
 
 とにかく、最終問題の答におぉ~っとなってしまったために
蛇足と申しますか、どうも色あせてしまう……。
 
 でも、ゲームブックとしては、それで、いや、その方がいいのだと思います
 
 
 
 ただ……ですねえ。
 告白いたしますと、すべての問題が解けたわけではございませんでした。
 このゲームブック、
サイトでの答の入力は2段階になっているのでございますが、
1段階目の答のあと、ゲームブックに戻ってきてからの2問が出来ませんでした。
 
 最初の問題は、
変なところがあるのではじめからあやしいと思っていたところなんですよねぇ。
ですから、2桁目はすぐにわかったのでございますが、
1桁目がよく分からな……。
 かったのでございますが、この記事を書いている途中、外出した際に気がつきました。
 それか……。
 
 絵本のほうはお手上げでございました。
どう数字を導きだすのかが分からない。
この世界の文字と、ひらがなとの対応は大体分かったものの、
それが関係してくるのかすらも分からない……。
 記録紙を使わず、ノートに書いていたのがいけなかったのかなぁ?
 
 とにかく、結局ズルをして……。
 
 この2問の前の入力問題までは、
非常にいい感じで来ていたのでございますよねぇ。
適度の緊張と開放感があり、これだな・これかよーを繰り返して、
ストーリーを停滞させることなく進めていたのでございます。
 
 例外は、第3章のラストあたりの問題でございますな。
 あれは、
石板と宝箱はそれぞれ別に取る、
屋上に脱出する必要はない、
ぐらいのことを書いてくれれば分かったのでございますが、
 
それはさておき、
 
 それが、この2問で詰まってしまって……。
 
 さすがに最後の方の問題は難しいなぁ。
 ラストの入力問題、出来なかったらどうしよう。
 ブログに書くの、早まったなぁ……。
 などと考えながら、最終問題に挑んだのでございます。
 
 いやぁ、答にたどり着いてよかった。
 
 ホント……。
 
 おっと、ネタバレ禁止なのでございました。

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 ストーリー2「赤の儀式」呪われた館からの脱出 
 
 ストーリー1はあれでおしまい、というわけで、
ストーリー2は新しい話が始まります。
 登場人物も代わり、主人公は西川小学校の3人。
中心となる「ぼく」――小島斗真さんは、
「学校でも評判の秀才」だそうで、新たなる謎に期待が広がります。
 
 
 ストーリーは、
 
 西川小学校では「赤の儀式」のうわさで持ちきりだった。
 その儀式を行うと、女の子の霊が現れて、彼女に誰かの名前を告げると、
その子を別世界に連れて行ってしまうらしい。
 その霊は、「呪われた館」で行方不明となった女の子で、
彼女を置き去りにした友だちを違う世界に引きずり込もうとしているのだそうだ。
 儀式のやり方が書かれた黒いノートは、西川小学校の図書館にあるといううわさだ。
 
 そんなうわさを耳にして、「ウソくさー」といいながらも、
主人公たちは図書館に行き、ホントにそのノートを見つけてしまうのですな。
 さっそく、興味本位で儀式を行おうとするのでございますが、
その儀式の手順その1暗号で書かれておりまして、
それを解くためには、時間場所の謎を解かなければならない……。
 
 というわけで、謎解きスタートでございます。
 
 まず、「時間」の謎からはじめたのですが、これが難しかった。
 
「今が6時、11が9時半、では145は?」

 いろいろ計算してもちっともわからない。
角度の問題かな? とも思ったのですが、どうも違うよう。
数字は目くらましで、案外漢字やかなに直す必要があるのでは?
英語はどうだろう? などといろいろやってみるのですが、うまくまいりません。
 
 いったんあきらめて、「場所」と「歌」の謎へ。
 
 すると、そっちはえらく簡単なのですな。
 ていうか、解かなくてもアナグラムでわかっちゃう……。
 
 ということは「時間」の問題も、難しくはないはず。
 今までの謎と同じ方法で解けるだろう。
 と思いつつ謎のページを見ると、これかな、という方法に思い当たりまして……。
 やはり、簡単でございました。
 計算が必要そうと思わせるのは、一種のミスディレクションでございますな。
 
 そのようにして謎を解いていくと、舞台は
学校の視聴覚室から呪われた館へ、
そしてまた学校の音楽室・理科室・社会準備室へ、
それがすむと呪われた館へと、
次々と移ってまいります。
 
 ストーリー1は、
ゲームとストーリーはそれほど絡んでおりませんでしたが、
2は物語の進行にあわせて謎が出現するような造りになっているのでございますな。
 
 ただ、ね。
 謎が簡単
 
 先ほども書きましたとおり、
主人公が「学校でも評判の秀才」でもございますし、
ストーリー1よりも当然レベルが上がった謎が出るのだろう
と予想していたのでございますが、
それほどでもない。
 
 今まで出た謎から類推できるようなものなので、
 すぐにわかってしまうのでございます。
 本であることを利用した謎も、1度目は驚くものの、
次からは考慮の対象に入れますし、ね。
 アナグラムとかで予想できちゃうのもございましたしーー。  
 
 ストーリー1の最後の点つなぎのように、
難しさはなくとも、解くまでに時間をかけるパズルならば、
その緊張感が達成感を高めるのでございますが、
ストーリー2の最後の謎は、そうした作業的な時間もない。
 
 そのため、簡単に終わってしまったという印象が強く、
クライマックス感が薄いのが、残念なところ。
 
 難易度の感じ方は個人差がございますが、わたくしはそう感じました。
 
 
 とは申せ、どうしても解けない謎が出てくるやもしれません。
 そういう方のために、巻末には解き方が載っております。
そのあたり親切でございますな。
 
 
      ☆       ☆        ☆
 
  西東社と申しますれば、
『火吹山~』の少し前からから国産ゲームブックを出していた出版社でございます。
 バンタム社のコミック版ゲームブックを参考にしたと思われる作品は、
穴あきカードを使った判定など遊びの本としての楽しさもございましたが、
『火吹山~』が出版された後では時代遅れと申しますか、
内容の薄さを感じざるを得ないものでございました。
 ゲームブックの衰退の理由とされる、ブーム時の粗製濫造の一角でございますな。
ゲームブックのブームについては、
 双葉社の「ファミコン冒険ゲームブック」あたりとしている方も
 おられるようでございますが、
 わたくしは、『火吹山~』から1年ぐらい(譲歩して2~3年)を考えております)
(でも、「ブームについて」。文章が恥ずかしいなぁ……)
 
 そんな30年ぐらい前のゲームブックと
この作品を比べるのは意味のないことでございますが、
遊びの本としての楽しさは受け継がれ、
しかもゲームブックとしての体裁はちゃんとしたという感じ。
 
 脱出ゲームなので、
基本は謎を解けたかどうか、失敗か成功かだけの可不可型なのでございますが、
それを感じさせない楽しめる作りになっていると存じます。
 
 先ほど書きましたとおり、ストーリー2の謎がストーリー1より
レベルが上がったものだったらもっとよかったのに、と思いはいたしますが……。

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『謎解きゲーム 呪われた館からの脱出』
 呪われた館からの脱出

阿笠九太郎:編著
 

二尋鴇彦[第1部] ダムるし[第2部]
:イラスト・マンガ
 
よだかのレコード:謎監修・デザイン 

 
08CREATION:

マンガ原案・ストーリー執筆・編集協力
 
(西東社/2017/8) 
 

 
 

 やった~! 
[脱出1 よみがえりの魔術]
 終わった~!!
 
 以前なぞのまとめ 2017/11/26)、
この手のゲームブックは絵が怖くて買えないと書きましたが、
増税前に買ってまいりました。
 
 いえね、考えたのでございますよ。
 後になってこの書を買おうとしたとき、絶版になっていたら、
古本屋さんで探すしかないじゃないですか。
 
 でも「呪われた」とか題名についている本を古本で買うのは、
やっぱりイヤだと思いません?
 
 「呪い」が迷信とわかっていても……。
 
 まぁ、『暗黒教団の陰謀』大瀧啓祐(東京創元社)などは、
古本屋さんで買ってはいるのですが。
 
 やっぱり、出来るなら……、ねぇ。
 
 今回買ったのは、新品でございますし、
しかもビニールにくるまれていたので、そのあたり、安心。
 気持ちの問題なのですけどね。
 
 というわけで、買いました。
 この表紙でございますから、どんなに恐ろしい内容だろうか……。
 ドキドキおそるおそるビニールをむしります。
 が。
 ……。
 パラパラッとめくった感じ、なんかそんなに恐ろしそうではない!
 そして、謎解きゲームとタイトルに冠されていたとおり、パズルがたくさんありそう。
 
 さっそくプレイしてみることにいたしました。
 主人公は高木タクトさん。
 東山小学校のホラー研究会の一員でございます。
 と申しましても、別に好きで入ったのでなくて、
成り行きで、のクチでございますが……。
 
 
 ストーリー1は[よみがえりの魔術]
 
 学校からさほど遠くない場所に、もう十数年も人が住んでいない古い洋館があって、
そこでふしぎな出来事が起こるらしい――。
 で、探検に行ってみる、という話でございます。
 
 心霊現象と申してはおりますが、起こっていることは、
人影が見えたり、足音がしたり、明かりがついたり……。
 これって単に不法居住者がいるってことなのでは?
 館を訪れたものには、必ず心霊現象が起こるとも――。
 それも誰かの仕業かも……。
 
 そんなわたくしの考えをよそに、
 一週間後、くだんの洋館にホラー研究会(以下ホラー研)の5人はやって来ます。
 ここでリーダーの黒川さんからひとこと。

「こういう場所は危険だから ふざけた気持ちで行くのはやめた方がいいわ…」
 
 ここに来て。
 
 そんなことおっしゃるのなら、はじめから来なければいいのに――。
 まぁ、プレイヤー=読者に対する脅しでございましょう。
 一行はずんずん中に入っていきます。
 
 入ってみると一階はボロボロ。
 探索するまでもございません。
 階段には、子供の……幽霊?
 それを追う形で一行は二階へ。
 そこから、物語は始まります。
 
 二階の最初の部屋は、ナンバーキーがついている……。
 ゴシック様なのに、意外に新しい?
 それとも錠は後からつけた?
 近くには見取り図も落ちている。
 親切
 
「ゲームっぽくて 楽しそうだし やってみよーぜ!」
 ホラー研のメンバーもノリノリです。
 
 というわけでゲームスタート。
 ドアプレートに描かれた暗号を解いて、キーナンバー入力する必要がある……。
 というわけで、タクトさんたちは、ほかの部屋を調べてまわります。
 
 謎は、昨今の脱出ゲームや謎トレのブームがあるのでございましょう。
 小学生向けだから……などと舐めかかると足をすくわれます。
 
 逆に申しますれば、だから面白い。
 謎が二段階になっていたりするものもあり、
なかなか頭を使わせてくださいます。
 
 謎監修とデザインを担当なさっている「よだかのレコード」さんは、
ドラマチック謎解きゲームを企画制作するところらしいので、
そこら辺のバランスは心得ているのでございましょう。
 
 で、
 これは、ネタバレになるかな? 
 気をつけなければならないのは、パズルの答で、その数字へ跳べ、
というものの中には、パラグラフではなくページ数のものもある
ということでございます。
 
 最初、これにずいぶん惑わされました。
 パラグラフに跳んでも、全然意味が通じないのですもの。
 加えて正しいページに跳びましても、
一見意味のない内容だったりするから始末が悪い。
 そのどこかに、こっそり進むべきラグラフが書いてあったりしてね。
 ですから、変だと思ったら、まずパラグラフとページ、両方を当たってみること。
次に、跳び先をじっくりと見てみること。それか肝要。
 さらに、そこから跳んでも「正解」などという言葉は書いてございません。
そこもちょっと戸惑うところでございます。
 そのあたりは、ストーリーで判断するしかございません。
 
 そのようにしてすべての謎を解き、キーナンバーを入力して鍵を開けると、
マンガが始まり(ムービーシーンでございますな)ゲームはいったん終了。
 
 研究会のみんなは、無事に館から帰ってまいります。
 ところが、先に帰ったと思っていたリーダーの黒川さんが行方不明なのでございます。
 
 というわけで翌々日、ホラー研の面々は再び館の探索に乗り出します。
 
 今度は、5枚の紙切れを見つけて、その暗号を解くのが目的となります。
 謎は、いくつかの場所のものは、少しレベルが上がったのかな? 
 他はそれほど変わらないような……。
  
 ちなみに、最初のページとは1ページのことね。
 わたくしが迷ったのは、それぐらいかな?
 
  
 そうして、5枚集めると次のパズルに進みます。
 が、ここからは、本を折ったり書き込んだりする必要があるのですな。
 
 それはイヤだったので、
折る方の暗号は、簡単にページを書き写してやってみることにいたしました。
 でもこれが、失敗。
 無理でございました。
 それ以前に、先入観で折り方を勘違いしていたというのもあるのですが
(まぁ、90度ぐらい間違っておりました)、
答は多分ここに出るからこれでは違うとわかった後でもやはりだめ。
 
 いや、答えが出ていたのでございますが、
それが正解と特定できないのでございますな。
これでいいのか、これだけでいいのかが、
雑に描いたものではちょっと決定できない……。
 
 結局ページを、折らないように注意しながら曲げて、ようやく答を見つけました。
 
 その後の書き込む方の謎は、
トレーシングペーパーを載せて、それに書いて解いていきます。
 そちらは、問題なし。
 本に直接書き込むことなしに答を導き出しました。
 
 そんなこんなで、封印成功
 ふたたびマンガによるムービーシーンで、エンディングでございます。

 結局、本当にホラーっぽいのは、
このムービーシーンの過去を回想した部分だけだったような……。
 
 他に、バッドエンドもございますが……。
 
 というわけで、面白かった~!
 
 適度に悩むこともありつつ、サクサク進めました
 
 
 
 次は、ストーリー2「赤の儀式」

 まだプレイしておりませんが、楽しみでございます。
 

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「ソウナンですか」に学ぶ、ゲームブック式・ソウナンですか?
  ゲームブック式 
 生死を分ける最強のサバイバル術

 冒険企画局
   (齋藤高吉・平野累次):著

 岡本健太郎 さがら梨々:原作
 
 (星海新書/2019/9)

 

 買いました~。

 
 いやぁ、
 捜索に苦労いたしました
 
 
 こういう境界線上のゲームブックは、
本屋さんによって置かれる場所が違う場合がございますから、
ある程度は覚悟しておりましたが。
 
 まず、コミックスの置かれている場所にもなし。
 新書や文庫、なろう系のコーナーも同じ。
 ゲームやサブカルチャー系。
 山岳、サバイバル、防災関連。
 児童書やエッセイマンガのところも見てみたのでございますが、
 ございませんでした。
  
 で、5軒目あたりでございましたかな。
 そこにもなくて、帰ろうとして、
 ふと新書の新刊コーナーのところを見ると……。
  
 ございました。
  
 ついに発見でございます。
  
 そのとき思ったのは、本当に新書なんだ……。
 
 むかしはこの判型のゲームブックってよくございましたよね。
朝日ソノラマとか講談社とか桐原書店とか……。
 
 でも昨今は、このサイズでゲームブックというのは、すっかり見かけませんな。
  
 くわえて、星海社が新書のレーベルを持っていることも存じませんでしたから、
もし知っていれば、もっと早くに発見できていたのかもしれません。
 
 
 というわけで、家に帰ってさっそく開いてみます。
 
 ソデと「はじめに」「あとがき」などに原作者のお言葉が載っておりますが、
これが読点が非常に少ない変わった文体。
読みにくくはないものの、ちょっと不思議な感じ。
テンポが合わないと申しますか、読んでいてのめってしまう感じでございました。
 
 というわけで本文ですが。
 
 冒険企画局の作品ということで、
本格的なゲームブックを期待すると残念なことになってしまいます。
 
 タイトルのとおり、これは「ゲームブック方式」の本なのですな。
 
 ゲームブックの形式を使って、遭難時の対策をわかりやすく解説する
ということが眼目なので、ゲーム性は薄いものとなっております。
 
 迷路や戦闘などはなし。
サイコロをふる場面や数値的要素もなし。
フラグのチェックもなし。
 
 たまに三択・四択があるものの、選択肢はほぼ二択。
 ほとんどか、どちらかが正解でどちらかが間違い可不可型。
 間違った場合も、
その章で初めてならなかったことに、
二回目ならばゲームオーバーといった感じで、
フロー的にもすごく単純でございます。
 
 まぁ、
クイズ形式の本に、選択肢を入れてストーリー仕立てにした作品ですな。
 楽しく知識を得てもらうのが目的の本なので、
面倒ならゲームオーバーなどは無視してしまってかまわないと思います。
 
 この本、注目すべき点は、データにも書きましたが、
齋藤高吉先生がお書きになっているということございます。
 
 ですから、『獸の森』のことを思い浮かべて読むと面白い。
 
 この「『ソウナンですか?』に学ぶ~」本でも、
セミを食べたり罠を作ったり、火をおこしたりと、
似たようなことをやっておりますからな。
 
 
       ☆     ☆     ☆
 
 
 
 ちなみに、食生態学者にして探検家の頭の探検隊
西丸震哉先生のクイズ本、
頭の探検隊
光文社カッパブックス/昭和55年7月)の
最終章がサバイバルに関するものでしたが、
 
そこには飢えや渇きをしのぐ方法として、
次のような答が示されておりました。
 
・のどが渇いたときは、
 なめらかな小石をしゃぶって我慢する。
・朝つゆを集められればそれよりはましだが、
 思ったほどには集まらない。
・最後の手段としては小便を飲む。
 人が考えるほど小便はきたないものではない。
 
・食料がなくなったときは、木の皮をしゃぶり、
 草の茎をすり下ろして食べる
 ただし、トリカブトだけは絶対食べてはいけない。
 (↑ 茎とおっしゃっておりますのは、根などにくらべて
    毒の可能性が少ないからでございましょう)
 
 調味料や調理道具を持っていた場合には、
・イモムシは輪切りにしてオロシじょうゆで食べる
・ウジはデンプにする。
・ナナフシは黒焦げに焼いて食べる
・ゴキブリは油で揚げて食べるとおいしいらしい
 (西丸先生はやっていないそう)
 
 だそうでございます。
 でも、いくら汚くないといっても、お小水とか飲みたくないですよねぇ。
ホントに最終手段だよなぁ。
 虫もねぇ、食べたくないなぁ……。
 
 
     ☆      ☆      ☆
 
 
 ところで、この『ソウナンですか?』。
飛行機事故に端を発しているみたいですが、
これほどの大事故で救助に来ないということは、まずございませんよね。
 特に日本の近海というのでございましたらなおのこと。
 
 なにか、来られない理由とかがあるのかなぁ。
 領海的にむずかしい場所とか。
 汚染区域とか……。
 
 
 たとえ危険地域であったとしても、
サンダーバードあたり、来て不思議ではないと思うのですけれどねぇ。

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「チェイミーとオルゴールの国」
(https://ncode.syosetu.com/n1911fs/)

に感想を書いてみました~
 
(感想の中で
 「チェイミーと魔法のオルゴール」って間違って書いてしまった。
  作者のKobitoさんごめんなさい)。
 
 今月前半のブログ記事が少ないのは、これのせいだったり。
  
 真摯に取り組んで終わらせておりますし、
こういう感じの童話のゲームブックって
意外とないような気がしたので、感想を書いてみたのでございます。
 
 かいつまんで書いておきますと、
 
 [文章]
 
☆ 一文が長いので、分けた方がいい。
☆ シーンに動きがある場合には、その流れを意識して書く。
☆ パラグラフ22冒頭の位置関係がよく分からない。
  描写するならわかるように描いて欲しいし、無いならないでもいい。
  
 [内容]
 
☆ オープニングでは、屋敷や伯母さんについて書いたほうがいい。
  特にチェイミーの視点で。
  たとえば、以前来たときはどうだったのか、などを。
  それを書けば物語は進むし、伯母さんとチェイミーの関係性もはっきりする。
 
 ジョンについても、もう少し具体的な説明をしたほうがいい。
 
 
 [ゲームブックとして]
 
 ゲームブックとパラレル小説はどちらが優れているというわけでもないので、
変えなくてもいいが、
もしもゲームブック性を強くするのなら……。
 
 ゲームブックとするのなら、もっとプレイヤーの意思選択を反映させるべき。
 たとえば、
ムッシ王の発言にチェイミーがいちいち口をはさみ、それによって変化が起こる。
 その変化が、日記のおはなしに反映され、それを読んだ伯母さんの評価になる。
 その評価に応じて結末が変化する……。
 といった感じで。
 
 まっ、書いたのはこんなところです。
 
 
 でも、作者には作者のお考えがあるようで……。
 
 
[文章]
 文体は個性なので変えるつもりはない、みたい。
 
 つまり、アドバイスは不要ということですな。
 
 改稿例は没個性かぁ。
 そう思うのでしたらそうなのでございましょうな。
 
 でも、
 単語の整理とか、配置とか、工夫はしておりますよ?
 
[内容] 
 なんか食いちがっているなぁ、
と思って考えたのですが、おそらくゴールが違うのですな。
 
 作者は、小さなゲームブックを作ろうと思ってやっているうちに楽しくなって、
こんな長くなってしまったみたいなことを書いているので、
たぶんこれが完成形、ゴールなのだと思うのですよね。
 
 わたくしとしては、これが原石で、
ここから叩いたり磨いたりすることで作品になる、
つまりこの作品がスタートでゴールはずっと先だと思っていたものでございますから、
アドバイスをしようとしたのですが……。
 
 これがゴールならば、やはりアドバイスは不要でしたな。
 
 ジョンについては、チェイミーの言葉が気になったので、持ち出したのでございます。
 だって、
 歳が離れた従兄だっていうのに対等な口調ですし、
住むところが違うのによく知っているみたいな口ぶりですよ。
 そこが不思議。
 ですからたとえば、
幼いころいっしょに伯母さんの屋敷を探索した
など、具体的なエピソードがあればいいと思うのでございますよね。
 それだったら、納得がいく。
 
 そういう意味で「具体的」という言葉を持ち出したのでございますが。
 ほかのところもあいまって、なのかなぁ。
 どうもこの「具体的」という言葉が気になったらしくて、
 反論的に、
「あいまいさ」や「想像の余地」などという言葉をお使いなられてきました。
 
 でも……。
  
 これがよく分かりません。
 この作品、動物の服やしぐさとか、風景なども、けっこう具体的に書いてあって、
そのあたり頑張っているなぁ、(むしろまどろっこしい部分もあるなぁ)と
思っていたんですけれど。
 
 だから、あやふやな部分が多いとか書いているのは、ちょっと不思議。
 
 ムッシ王のところも、
 
具体的に書いてあるから理不尽で面白いと思うのだけど。
かっちり真面目に書くとよくないとお書きになっているんですよねぇ。
 
 
 もしかすると、具体的の定義が違うのやもしれません。
 
 
 
 まぁ、いずれにせよ「趣味で書いている」ということで、
こういうアドバイスは要らないようでございます。
 
 
 そういうものなのかなぁ……。
 
 
  [追記]
 

 作者のリアクション仁対し、感想を追記しておきました。
 でも……。
 アドバイス要らないみたい。
 
 その言葉に従ったほうがよろしいですな。
 というわけで、多分、
 今後この方の作品には、感想書かないと思います。
 
 

☆ でもまぁ、作者にどう思われようとも、こういう作品に感想を書くのって、
  ひじょーに勉強になりますよねー。
  特に改稿例を書くのって、ホント勉強になると思います。
 
 みなさんも、ちょうどいい感じの作品を見つけたら、試してみてはいかがでしょうか。


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『すごろく経営学』スゴロク経営学
平野敦士カール:監修
 北構まゆ:イラスト
(SBビジュアル新書0012/2019/7)
 
 読み物的なすごろくと申しますれば、
本の雑誌」でも、文豪スゴロクですとか、
SF者スゴロクとかいくつかやっておりますな。
 
 東京創元社のスーパーアドベンチャーゲームのソデにも、
ゲームブックについて
小説がスゴロク式のゲームとドッキングしたようなもの
と書かれております。
 
おはなし迷路」のような作品もございますし、
 
 の体裁をしていて「すごろく」とあれば、
当然ゲームブックを期待してしまいますよね。
 
 というわけで、買ってきてみました。
 
 物語は、
大学の学園祭でお菓子を売って成功したチョコとクルミの二人が、
おじいちゃんのアドバイスを得ながら、お菓子ビジネスに挑戦する、
という感じ。
 
 どういう風に売っていくかというところから始まって、
企業や個人事業主として成功するまで、
それをスゴロク状に描かれたマスを読み進めていくことで
学んでいくという仕組みでございます。
 
スゴロク経営学 目次
[目次] 
 
 会社経営なんて選択の連続でございますから、
細かく分岐をつけていけば、
かなり本格的なゲームブックになるでしょうが、
そういう眼目の作品ではございません。
 
 ステージ数を表す左上の部分にサイコロの絵が描かれておりますものの、
ランダム要素はなし。 
 ほぼ一本道で、たまに分岐はございますものの可不可型。
選択の一方は、すぐにゲームオーバーかゴール――経営失敗かビジネスが軌道に乗った
形で終了することになっております。
 
 要するに、会社経営のステップを段階的に説明するためのすごろくであって、
ゲーム的な意味合いはございません。
 
 マスごとの解説はイラスト中心で簡潔ですし、分岐も視覚的に理解しやすい。
そんなところに、すごろく形式の長所が現れております (※)
 これが普通の本のように文字だけの箇条書きでしたら、
飽き飽きしてしまうことでございましょう。 
 
スゴロク経営学 分岐
[分岐]
 
  
 巻末には索引もございますし、
物を売ることから会社経営までを俯瞰的に学ぶ、
初心者向けの本という感じでございますな。
 
 
 ところで、先ほど書きましたステージを表すサイコロでございますが、
これがなぜか隣り合った目が7になるように書かれているのでございますよね。
(上図参照)
 
STAGE0はともかくといたしまして、
STAGE1は3と4、STAGE2は2と5、STAGE3は3と4、STAGE4は2と5と、
本来裏同士になっていなければならない目が隣り合っているのでございます。
 
 ここまで来ますと、重箱の隅とかうっかりとかいえないような……。
描いた人が知らないのか、それともデザイン的な意図があるのでございましょうか……。
 
 
 
 (※) TRPGのシナリオも、
    文章の羅列ではなくこのような形にすれば、
    わかりやすくていいと思うのですが。
    ページ数やイラストなんかが問題になるのかなぁ? 
    商業誌の場合には。

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You are deadpool 『ユー・アー・デッドプール』
 アル・ユーイング:作 
 サルバ・エスピン、
 バコ・ディアス、
 グループe-FX:画
 

    (小学館集英社プロダクション/2019/8)
 
 たぶん、
 
”You are dead” 
pool

 と言いたかっただけなんじゃあ……。
 
 デッドプールについてあまり存じあげませんが、
それでもわかるデッドプールらしいゲームブック
でございました。
 

 タイムトラベルもので、メタ発言もポンポン飛び出します。
 パロディなどわからないところもございますが、
何か面白いことやってるな、というのはノリでわかるので、無問題。
 
 別紙で、パロディの解説をかなり細かくやってくれてもおりますし……。
 
 オムニバス形式の5章だて
 
 もともと5回に分けて週間で発売されたものを、1冊にまとめた単行本らしいですな。
 パラグラフ数=コマ数(だいたい)で、各章のパラグラフ数は80超
 
 これねぇ、
 1冊で1つの作品だと思っていたものでございますから、
最初プレイしたときには、「72へ進む」でパラパラとめくって……
第2章の72コマを開いてしまったのですよね。
 話が通じなくて困惑いたしました
 
 戦闘ありパズルあり
 80コマなのでコンパクトですけれど、その短さが手軽でたのしいのでございます。
 
 戦闘はこちらは2Dなのですが、相手は3Dを使ってくることも……。
 解説の別紙では、
6の出やすいサイコロを自分用に、1が出やすいサイコロを敵用に用意するといいと
アドバイスしております……。
 
 まぁ、デッドプールですし……。
そこら辺、楽しめればチートOKということなのでございましょう。
 
 わたくしの場合、今回サイコロの出目が悪く、敵が2Dでもよく負けておりました……。
 ただ、戦闘で負けても即死はなかったかも? 
 ただし、情報が得られないなど、不利な状況には追い込まれます。
 
 (ちなみに、3章では、サイコロの出目が悪いおかげで逆に、
        秘石ひとつでクリアしてしまったのでございますが……)
 
 
 ストーリー的には、
デッドプールはザルコさんに依頼され、タイムヘルメットを盗みだし、
その結果時間を超えることとあいなります。
 
 というわけで、タイムトラベルものでございますが、
このヘルメット、使うたびに大量のエネルギーを消費するのでございますな。
 そのため、各時代で冒険をし、
パロディしたりその時代のヒーローらしきキャラクターと戦ったりして、
エネルギーを充填させなければならないのでございます。
 
 
 ゲームブックとして、システム的にまともではございますが、
  
 アイテムはコマの中に描かれているものから3個まで自由にとってかまわないとか、
 大コマの中にスゴロク状に置かれたコマでのミニゲームとか、
 
 日本のゲームブックではあまり見られない部分が面白いですな。
 
 前者は、海外で主流のポイント・アンド・クリックアドベンチャーからの発想の
ような気もいたします。
 ただ、そんなアイテムどこかに描かれていたっけ? と思うこともしばしば……。
 
 後者は、サイコロでの行動なので、運ゲーにございます。
 何度もふって、一度でも指定以下だったらアウトとか、
かなり運がよくないと無理な部分も……。
 
 このあたり、
 デッドプールだからチートしてもいいし、
デッドプールだから何度も失敗しても、
やられちゃった、で気軽に再挑戦できるような気もいたしますし、
どちらもありという感じでございますな。
 
 そして章。
 最後は、タイムトラベルものとして、きちんと決着をつけております
 それにしても、デッドプールよく死にますなぁ。
 
 ちなみに、わたくしは、最後に必要なアイテムは、持っていませんでした~!
 うーん、たしかにね……。
 
 なので、ランクは下級ゴブリンですが、
時空の彼方から四次元ポケットをつかって取り出したことにーー。
そのぐらいのチートは、許していただくことにいたしましょう。
デッドブールでございますし……。

 
 
 
 というわけで、 
 気軽にできる、たのしい作品でございました。

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バンカーズクエスト「バンカーズクエスト」
高平鳴海:著
ビッグ錠:イラスト
(新紀元社ゲームブック/2015/11)



 最初この本の広告を
Role&roll」誌で見つけたときは、
首をかしげたものでございます。
バンカーズクエスト」ぉ~?
 銀行員の探索?
 昔ゴマ書房で出していたみたいな
ビジネスマナーを学ぶゲームブックかなぁ?
 だとすると、シリーズの前作、
門倉直人先生の『ディノン』とは、全然方向性違うけど……。
 
 
 新紀元社も普通のゲームブックじゃ売れないとわかったものだから、
ビジネス書に手を出した? 
 作者の高平鳴海先生って、TRPG『メタルヘッド』のデザイナーの方ですよねぇ? 
本業は銀行員だった?
  
でないとすればなぜ?


 多くの疑問をかかえながら本屋さんに行ってみます。
 結局ビジネス書のところにはなく、
結局『ディノン』があったのと同じサブカルチャーのあたり……
 
 ですが、
オビの惹句には「銀行員(バンカー)の世界を描いた異色作品」とあり、
やはり銀行員のハゥトゥ本なのかという思いはぬぐいきれません。
 
 白黒に赤のグラデーションの表紙イラストも、
銀行員の世界ということは強く伝わってくるものの
どういう話かは読み取れません。
 
 絵柄も一昔前の劇画調で、判型から考えても、
今度はアスキーから出ていた
アドベンチャー情報コミックやパラゴンブックスを思わせ、
やはりビジネス書では? という疑いが比率を上げてまいります。
 
 まぁ、ゲームブックには間違いないのでとりあえず確保。
 
 家へ帰って、ビニールを破り、一読した印象は……。
 
 タイトルが悪い。
 装丁もイラストも、外観すべてが悪い!!
 
 読んでいくうちに、気づいたのでございます。
 これはアレ。
 このゲームブックが出る半年ぐらい前かな、
テレビドラマ化されて人気を博した、
銀行員が主人公のあの小説のゲームブック化なのでございます。
 
 見ていなくても、読んでいなくても、
土下座」とか、「倍返し」なんて言葉は流行語にもなったので、
お分かりでございましょう。
 
 このゲームブックでも「土下座」は出てまいりますし、
「倍返し」という言葉が出て来たかどうかは忘れましたが、
そのようなことはやっておりますな。
 
 町工場の味方で大企業をやっつけるという点も同じ。
 
 そうした面白い話を基本に、分岐を展開しているのでございますから、
面白くならないはずがございません。
 
 もちろん原作が原作(←間違い。原作ではない)でございますから、
銀行に関する下調べもしっかりしていらっしゃる
(そこら辺まったくのシロウトなので、
  わたくしには、と思います、としか申せませんが)
 
 
 
 思えばあの作品も、最初のほうはタイトルが悪かったですからなぁ。

 「オレたちバブル入行組」なんていうものでございますから、
バブル時代の銀行員の派手な暮らしぶりでも書いているのかな、と思ったら、
バブルが崩壊した後のそれぞれを描いた作品だったりいたしますし……、
 
 まぁ、その点ではタイトルどおりではあるのですが、
主人公の半沢直樹のキャラクターと比重が強くなり過ぎちゃって、
あとの登場人物については、つけ足しみたいになってしまっているという……。
 
 
 それはさておき、
先ほども申しましたとおり、この「バンカーズクエスト」は、
表紙をはじめとした
ビニールに包まれた状態で見える部分で損をしているように存じます。
 
 ビッグ錠先生のイラストも、たしかに内容には合っているのでございますが、
今の世にキャッチーかと申しますと、違う気が……。
 
 もっと、さわやかで颯爽とした感じで好かったんじゃないかなぁ。
 
 
 と、まぁ、これはおもて面の話。
 このゲームブックが秀逸なのは、裏面があるということでございますな。
 
 途中、セーラー服を着たスケバン風のサキという女性
(ヨーヨーは持っておりません)と出会うのでございますが、
彼女に興味を持って深く関わると悪の道一直線。
 
 巻き込まれ型ではございますが、
そうとはいえないほど悪の道を深くはまり込んでいくという……。
 
 こちらのルートのエンディングは最後の最後で分岐する2種類。
 ここで生死が分かれるものの、
生きるも地獄、死ぬも地獄、カリブの危険な夜でございますな。
 
 高平先生は、表も書きたかったのでしょうが、
この裏も書きたかったのでございましょう。
(だからこそ、上に書いたあの作品のことには触れられなかった、のかも?)
そうした全然別の展開ができるのもゲームブックの良いところでございます。
 
 
 
 戦闘など数値を使う判定はないものの、展開が派手で分岐も豊富。
エンディングも多彩でございます。
 展開の派手さはマンガ的・劇画的と申せましょう。
それこそ、ビッグ錠先生の作品のような感じでございますな。
 その展開の派手さが好きになれないという方はおられるかもしれません。
 
 池井戸先生のあのシリーズは、読んでいなくても楽しめると思います。
 いや、むしろ読んでいない方が楽しめるような気も……。
 
 
 いずれにせよ、
 やはり、現実世界が舞台のゲームブックはいいですな。
 基本がプレイヤーも作者も知った世界なので、
選択にしろ展開にしろわかりやすい。
それを踏まえた上で考えることができますからな。
  
 
 
☆ ところで、このゲームブックにはバグがあるそうで。
新紀元社のサイトのこの
 
http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1363-3/
 
あたりに正誤表が置かれております。
 
 でも、プレイしていたときは気づかなかったなぁ。
 
 
☆ ちなみに、上記の新紀元社のサイトでは、
見ていただければわかるとおり、現在「在庫あり」で
紹介されておりますが、
 
 ROLE&ROLLステーションの通販サイトでは、
「ディノン」はあったのですが、こちらはございませんでした。
 
 うーーん、なぜだろう?
 
 在庫が少ないから……なのかなぁ。


 
 
 
 
 
 ところで、このゲームブックのパラグラフ150には、

東京に今、セーラー服の高校は何校あるでしょうか
 
 という問題が出てまいりますが、答がわかった方っていらっしゃいます?
 
 
 わたくしは当然答えられませんでした。
 
 こんなの、よほどそういうことに通じている専門家でなければ、
絶対わかりっこないですよねぇ。
 


 たとえば……。
 
 
 
 
 
 東京都内で、学生服を専門にあつかっている洋服屋さんとか?
 
(ちなみに、答があっていても答えられなくても、展開にはそれほど影響はございません)
 
 

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