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2024/03/27 「サイボーグ009」が舞台化されるそうですな。キャストで登場人物を見るに、0010をやるみたい。加速装置に電撃と派手な戦いとなりそうですな。以前には出来なかった技術が駆使された演出となるのでございましょう。ラストの愁嘆はクサくなりそうな気もいたしますが、それもまた舞台に向いていると申してよろしゅうございましょう。
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 みなさーん、復刻版『さらば愛しきハリウッド』買いました? 
わたくしは本屋さんに行けてなくて買えておりません。
なので、文庫版をサクッと読みました。
 
 やっぱり傑作ですよねぇ。
一作目にしてベストスリーの中には入るんじゃないでしようか。
後書きにも書いてございますとおり、物語性を重視している。
それがいい。
 
 こういうのでいい作品というのは、正解ルートだけでなくて、
他のルートも面白いものですけれど、それがちゃんと当てはまっておりますよね。
尻尾の先までちゃんとあんこが入っている鯛焼きって感じ。
 
400まで行った人は、もう一度プレイしてもいいですし、
行かなかったルートをたどってみるのもいいですし、
パラグラフ一から順番に読んでみるのもいい。
 
とにかく別ルートを読んでみてください。
こんなことになっていたんだ、と楽しめること請け合いです。
 
 一作目にして、と書きましたが、
逆に一作目だったからこそこれだけ豊かな作品になったのかも。
 
 あとがきによりますと、
吉岡先生はゲームブックを研究していたそうでございますし、
ルパン作品を書きたかったという意欲がある。
それにこの作品を作るにあたって数人のスタッフと
幾度となくミーティングを繰り返したそうでございます。
 
 粗製濫造と言われるような作品と比べて、
きっと、作品にかけられたエネルギー量が違うのでございます。
 

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カンタループ
「カンタループ──刑務所入獄」
フリーデマン・フェンダイセン
(ホビー・ジャパン/2021)

 

ワクチン接種のために静岡市街へ行って、
ホントは別のものを買おうと
思ったのでございますが、
その待合室で「R&R vol.203」p.179を見て
ちょっと気になったこれ、買ってきてしまいました。
 
 4000円+税400円のしめて4400円。
 
最初の『火吹山の魔法使い』なんか、
この税の値段だけで買えたのに──。
 
 ゲームブックって最近高くなってますよね~。
 
 ルックアウトゲームズ
インタラクティブ・アドベンチャー・シリーズ」だそうでございます。
 
 ひとことで申しますと、
コンピュータの画面クリック型アドベンチャーゲーム
ゲームブック化でございますな。
 
 まごうことなきゲームブックでごさいます。
 
 プレイ人数は「1人でも友達とでも」となっておりまして、
複数人で遊ぶルールがあるのかなぁ、と思ったのですが、
そういうものはないみたい。
 
1人プレイが基本で、何人かで一緒に読んでも楽しめる、
程度の意味合いのようです。
 
ややこしい。
 
 こういうのって、2人以上のプレイがメインで、
1人用ルールはつけ足しというのも多いですからねぇ。
 
 買うときは、4400円のうちの2200円ぐらいは
どぶに捨てる覚悟で買うわけでございますよ。
 
 作っている方は「1人のみ」よりも「1人~複数人」の方が
多くの人に買ってもらえると思うのでございましょう。
でも個人的には全く逆。
ゲームブックは、むしろ1人のみと書かれていた方が、
安心して買えるというものでございます。
 
 
 
 というわけで、
 4400円という高値とその辺りで買おうか迷っている方がございましたら、
堀の一つは埋めさせていただけます。
 
 ご安心ください。
 
 ちゃんと1人で遊べるゲームブックにございます。
 

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ファイティングファンタジー・コレクション』が発売されました。
 
みなさんはどうなされていらっしゃるでしょうか。
 完全保存版として、封も切らずに本棚の奥~のほうにしまっておく?
パラパラッと見て、満足しておしまい? 
 
 色々な楽しみ方はあるとは思いますが、
訳の異同を見るというのは、新訳が出た際の楽しみ方の基本でございますよね。

 特に今回、『火吹山~』や『バルサス~』を
安田均先生が訳されているではございませんか。
 浅羽莢子先生が訳されたものとどう違うのか、つき合わせてみると面白いですし、
文章表現の勉強にもなるのでは、と思います。
 
 新訳というのは、楽な部分も難しい部分もございますよね。
 
 あらかじめ訳されておりますから、それがガイドになる一方、
同じ文章を旧訳とは違う表現にしていかなければ、新訳である意味がない。
 
 今回もそうでございますが、新旧両方の訳を見比べて思うことは、
翻訳に携わる方って、語彙が豊富だなぁ
 
 あたりまえだと言われそうですが、
そのあたりまえにあらためて感心するほど、表現を変えてきているのでございます。
 ただ、このあたり苦労しているような……。
もとの文章そのままにしたかったんじゃないかなぁ、と感じるところもちらほら。
 
 上記2冊ばかりではなく、
こあらだまり先生が訳された『盗賊都市』(旧訳は喜多元子先生)
の場合もそれは感じました。
 
 そんなわけで、両方を持っている方は、両方を見開きながら
いいとこ取り訳で読んでみるというのもよろしいかと存じます。
 
 まぁ、そういうのはちょっとしたぜいたく。
 そんなことをしなくても、面白さには関係ございません。
 
 原作の文章も訳文もいい、ということでございましょう。
 
『火吹山~』冒頭の「背景」など、読んでいてワクワクしてまいります。
いや、『火吹山~』に限ったことではございませんが。
 

 ただ……。
火吹山~』については、四〇〇が右ページに来てしまったのが残念
 
やはりあそこは、バーンと「君の冒険は終わった」と出てきて、
ページを開くと……という感覚が楽しい部分でございましたから。
ページの都合なのでございましょうが、
そこはもとの雰囲気を保ってもらいたかったものでございます。
 
 
 
 
 さて一方、『モンスター誕生』は旧訳も新訳も安田均先生でございます。
 そのため変更は最小限
 はじめのほうを読んだ限りではでございますが。
  
 ひらがなだったところを漢字にしたり、
 
 フリガナをなくしたり、

 槍穂(やりほ)木を槍穂木(スピアティップ・ツリー)というふうに
 固有名詞を元の名前が分かるようにしたり
 (ただし、ぺちゃくちゃ獣とかドブドロ川のように、
  日本語として楽しさのあるものはそのまでございます)、
 
 ""を〈〉に直したり……、
 
という程度の変更でございます。
 
 暗号になったセリフの部分は、
ザッと見たところ変えていないようでございますな。
 
変えれば面白いのに──。
 
 パラパラッとめくって気づいた重箱の隅が四三八
 このパラグラフに出てくる数字、
 五二は、旧訳同様太字がホントなんじゃないのかなぁ。
 
 と思ったのでございますが、
火吹山~』の鍵の数字なども太字にしていないので、
これで正しいのでございましょう。
 
 わたくしのようなうっかりものの場合、
強調していただいた方がありがたいのでございますが。

 
 重箱の隅は、次の記事。
ゲームブッククイズ(155)にもちょっと続きます。

 
 

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「ロール&ロール」誌vol.197 p.158-165
「暗黒神話TRPG トレイル・オブ・クトゥルー・ゲームノベル
 深き眠りの淵より」
 
 フローチャートを書いてみました。
 
 使用人である君は雇い主に依頼され、
ある情報と品物を入手するためにニューヨークを探索する
 
 ルールは簡単。
 構成は、短編ゲームブックとしてはオーソドックス、王道。
 文章は良く、ストーリーも面白い。
 
 なかなか楽しめるゲームブックでございました。
 
 というわけで、フローチャートは、下のタイトルをクリックしてください。
 
 深き眠りの淵よりフローチャート

 細い線と太い線が交差している(━╂━)のは、
またぎ越しを意味しております。
 
  
  
 で、思うのでございますが、
ゲームブックをゲームとして楽しむのと、フローチャートを描くのでは、
 楽しみの感覚としてまったく違う。
 
 ゲームブックはストーリーゲームでございますし、
フローチャートはパズルではございませんが、
 
 本質的にはどうあれ、
ゲームとパズルも、
ゲームブックをプレイする楽しみとフローチャーを描く楽しみが違うのと同様に
やはり違うたぐいの楽しみであると、体感的に思います。

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コレクションフランス語
『コレクションフランス語 4 話す[CD付・改訂版]』
田島宏:編
中川努・東浦弘樹・中井珠子・
曽我裕典・古石篤子・小石悟・田島宏:共著

(2002/12 白水社)
  
 

お薦めはできません。

 
 冬川準二先生の同人誌で紹介されていた
ゲームブックにございます。
 フランス語なんか全然興味がございませんでしたから、
当時はまぁ、目にしたら買おうぐらいの気持ちで、
あまり気にも留めておりませんでした。
 
 ですが、この前その同人誌を再読し、
あったら読んでみたいと探すようになったのでございます。
 
 とは申せ、1991年の初版
(1995年の「さかだちするふかふか」(p.9)の時点で第4刷)ということは、
今から30年のご本でございますからな。
図書館で見つけられたら、ぐらいに思っていたのですが、
どうも無いご様子。
 この手の本を古本屋さんで見つけるのはけっこう難しそうでございますし──。
 
 ところが。
 
 静岡のジュンク堂に普通に置いてございました。
 
 奥付を見ますと、2002年に付属品がカセットからCDに変わったご様子で、
2019年2月新版13版となっております。
 
 こういう参考書の類いって息が長いものでございますな。
 
 というわけで、新刊書店で今でも買える本発見でございます。
 
 
 とは申せ。
 語学の教本ですよ。
 
 フランス語に興味のないものにとって、
話のネタになるかな、程度のものでございますよね。
 
 パラグラフ数58ぐらい。
1パラグラフの文章量も、例文と日本語を合わせて約半ページ。
日本語だけだと4~6行程度といったところでございます。
 
 パラグラフ構成も非常に単純ですし。
 手に取ってみる必要もない──。
 
 のですが。
 
 予想外でございました。
 
 いい意味かどうかはともかくとして、ストーリーがスゴい
 
 
 だってね、フランス語の会話テキストっていったら、
極々平凡な日常会話を想像するじゃないですか。
 友達の家へ行く道をたずねたり、
その家で自己紹介をしたり楽しくおしゃべりをしたり、みたいな。
 
 
 でも、そういうのではございません。
 SFとかファンタジーとかではなく、現代現実の話ではあるものの、
あるにもかかわらず、とにかくぶっ跳んでおります。
 
 主人公のマキは、空港で文通相手と待ち合わせをし、彼と空港を出ます。
 ここまでは普通。
 
 だけど、空港を出たとたん
文通相手のポールは車にはねられて入院してしまいます
 
 ね、普通じゃないでしょ?
 
 最短で Fin.(おしまい)を迎えるルートだと、その後も御難続き。
 
 面会しようと病院の廊下を歩いていると女性にぶつかられ(p.136)、
その後1人で帰ると途中で強盗に遭い(p.144)、
パスポートと現金を盗まれ帰国しなければならなくなります。
 で、おみやげにスカーフ{p.50)とチョコレートを買って帰るという、
 
いいとこ無しのフランス旅行
 
 バッドエンドルートってことなのでございましょうが、
フランス語を学ぶ人っていうのは、
フランス旅行を楽しみにしている人が大半でございましょう。
 
 そこに冷水をぶっかけるような仕打ち。
 
 いや、ビックリいたしました。
 
 でもまぁ、これはいわゆるバッドエンドですな。
 
 他にもエンドは3つほどございます。
 
 拡散型のゲームブックなので、
それぞれのエンドはまったくのバラバラでございます。
 目標があってその成否を問うゲームブックとは別でございます。
 
 ただ、そのストーリーが脈絡がない。
 このゲームブックのスゴいところは、
その脈絡のなさ、因果関係のなさにございます。
 
 
 例えば、
 
 先ほど書きましたとおり、
主人公はポールに会うためにフランスにやってきたのでございます。
 
 ところが。
 事故で入院したあと、彼とは電話で話したっきり(p.166)。
 p.72で「病院に行く」と言っているので
そのあと行っているはずなのですが、
そこからの分岐では、もうまったく別の話になっております。
 
 以降、彼の話は出てまいりません。
 
 ポールは、3週間以上の入院だそうですので、
その間に起こった話ということなのでございましょうが、
それにしても、ねぇ(ちなみに病室の番号は14でございます)。
 
 これが名前もない行きずりの人ならともかく、
文通相手で、彼に会いに来たんですよ。
 
 
 3つ結末が用意されていると先ほど書きましたが、それも唐突。
スピーチ発表をして終わりとか、結婚を申し込まれるとか、
レーサーになるとか、その展開には驚かされます。
 
 構成とか伏線などはございません。
 
 物語を書いている人には、逆にこういうの、難しいんじゃないでしょうか。
 
 
 おそらく必要な会話を決め、シチュエーションを決めしていって、
それをつなぎ合わせていったのでございましょうな。
 
 会話のテキストなのでございますから、必要な場面から決めていくのは、
ごく自然なことと存じます。
 
 その中で、トラブルに遭ったときの会話は必要だ、
入院中のポールに面会する会話は要らないだろう、
カジノは入れたい、などと決めていったのでございましょう。
 
 普通の旅行会話を想定していたものといたしましては、
その展開が面白うございました。
 
 その辺りが作者の工夫と申せるかもしれません。
 
 
 そのようなわけでこのゲームブック、
見出しに書きましたように、まったくお薦めはできません
 
 物語として起承転結もなく、パラグラフ構成は単純で、
文章量も少なく、しかもCD付で高い(2400円+税)ですから。
 
 値段はともかくといたしましても、ゲームブックのコンテストでしたら、
落選する類いではございませんでしょうか?
 
 でも、わたくしとしては好きな作品でございます。
 と申しますか、こういう作品を書きたいんだな、とあらためて
 認識いたしました。
 
 わたくしのベストは以前にも書きましたとおり
天国か地獄か 恋と遊ぶゲーム』でございますが、
あの作品はライターの方が書いているだけあって
飛躍があってもつながりが自然で、滞りなく読んでいけるのですな。
 
 そのために気にならなかった部分に、
この作品では気づかせてくれたように存じます。
 
 そんなわけで、お薦めはできませんものの、
わたくしにとっては買ってよかった作品でございました。
 

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永遠回廊からの脱出
『心理&ナゾトキゲームBOOK 永遠回廊からの脱出』
C☆Sラボ:制作 (朝日新聞出版 2020/12)
 
ナゾトキゲーム
人狼っぽい? ゲーム
心理テスト
迷路ゲーム
パラグラフ選択式ストーリー
 
と、遊びの本の色々なジャンルを取り入れて、
ストーリーでつなげた欲張りな本でございます。
 

 主人公は比呂という中学2年生3人
 
 夜の学校に忍び込み、星を見ているときに意識を失い、
目を覚ませば異世界。
虹色の小さなユニコーン・スピカの導きで、
闇の王にとらわれた姫を救い出すべく、
賢者・プルートに会いに行くという物語でございます。
 中学生が主人公ですが、
対象年齢小学生ぐらいではございませんでしょうか。
 
 
 
 第一章ナゾトキゲームからして、そんな感じがいたします。
 それほど難しくはないのですな。
 
 わたくしは最初の1~2問手こずりましたが、
こういうことをやってもいいのか、
と出題者の手の内を知ればそんな難しくはないと存じます。
 脱出ゲームに慣れた方ならば、すらすらと突破できることでございましょう。
 
 
 
 第二章は、だまし合いのフロアと銘打たれていて、
心理ゲーム&テスト的な内容となっております。
 
 まずは、人狼風味の……ゲームと言ってよろしいのかな?
 村人の一覧が出てくるのは人狼ゲーム的でございます。
この中から人狼を探せというのですな。
 
 ただし、人狼ゲーム的なのはそこまで。
 
 人狼では色々な役割があり、発言があって投票があり、
そこから推理をして人狼さんを絞り込んでいくのでございますが、
ここではもっと別の方法、村人のしぐさや発言から人狼を当てていくのでございます。
 
 などというと、面白そうですよね。
『逆転裁判』でも、しぐさから嘘を見破ったり、
言葉の矛盾を探し出したりがゲームとなっておりましたから。
 
 でもね。
 一コマのマンガ絵の顔とセリフひとつから、
嘘をついていると決めつけるのはかなり乱暴なように思います。
 
 それに、嘘をついていると思われる怪しい人を見分けるための方法を、
実際にも役立つ攻略ポイントとして書いているのでございますが──。
 
 これを鵜呑みにして、
誰かを怪しいと決めつける人が出てくるとなるといやですなぁ。
 
 自分が疑われていると思っただけでおどおどしてしまう方もおられますし、
そぶりを見せず平気で嘘をつける人もございます。
それに、何か隠しているにしても、
話題になっていることに関してそうなのかはわかりません。
できれば秘密にしておきたいことを持つ人は多いものでございます。
 
 推理小説でもございますな。
ある人を怪しいと思って追求してみると、
事件とは関係の無い隠しごとを持っていたというようなことが。
小説ですと、そういうのが次々と出てきて、
それがドラマとなってよろしいのでございますが、
現実でそんな風波を立てるのは必ずしもいいことではございませんものな。
 
 第一、そんな人のことを疑ってばかりいる子供ってイヤですよねぇ。
 
 心理ゲームの章なのでこういうのは当然なのでございましょうが、
ちょっと気になりました。
 

二章は、心理に関する章らしく、後半には心理テストが載っております。
10分もすれば忘れてしまうような他愛ないものと思いますが、
小さいお子さまですと、本気になって信じるかもしれませんな。
 
 なお、心理テストは欄外にもいくつか掲載されております。
  
 とりあえず、
だまし合いのフロアというほどにはだまし合いにはなっていない
そんなでございました。

 
 

 第三章迷路
この辺を見るとやはり小学生向けかな、と思います。
 
ページ数も限られていますから、それほど難しいものではないのですな。
もの足りないと思う方は、指や鉛筆でたどったりしないで、
目で追って下さいませ。それでも解けると思います。
 
 

 
 そして最終第四章
ここがパラグラフ選択式のストーリーとなっております。
 この章で物語は3つに分かれます
 主人公3人がそれぞれ別の場所に落とされ、
そこを探索することになるのですな。
 
 の物語はそれぞれ2つの結末
比呂の物語には重要なポイントが1つあり、
その結末の組み合わせによって
エンディング5つに分かれるという形をとっております。
 
 そのうち5つ目のエンデイング
作者の意図するベストエンディングということでございますな。
 
 この章、
地下ダンジョン」と題されておりますが、ダンジョン味は薄くございます、
 どちらかというと心理テスト寓意物語的ですな。
 
 とつぜん風景が変わるのは幻想的と申さば申せるかもしれませんが、
文章的にそれを目指していないようでございます。
(プロローグの冒頭部分にはそういう方向性が見えていた気がいたしますが、
 力が尽きたのでございましょうか?)
 
 選択肢にしても、
おとぎ話の主人公ならどうするかを考えた方が正しい道を選べると思います。
 
 とは申せ、理不尽なゲームオーバーもございます
が、それそれのパラグラフ数は40以下ですし、
フラグは覚えておけば良いような物だけですので、
失敗してもすぐにやり直せばよろしゅうございましょう。
 
 このゲームフック、ちょっと困るのは3つのストーリー、
並んでおかれておりますし、40パラグラフ以下とページも少ないので、
間違えて次の章を読んでいたということがあるのですな。
一応。パラグラフの色分けはされておりますが、ご注意召されでございます。
 
 1回わたくしは間違えてしまいました。
 
 ちなみにカバーを取りますと、
裏表紙にこの物語の下敷きとなったギリシア神話が紹介されております。
 
 と申しましても、関連性は薄いですな。
 ヒントにした、という程度でございましょうか。
  
 いずれにせよ、
ストーリーが関わるのはプロローグと最終章のゲームブック部分のみ。
間のナゾトキや心理テスト、迷路には薄くしか関連しているとも思われません。
 
 
 
 というわけで、
最初に欲張りな本と書きましたが、
ページ数は限られておりますので欲張った分だけ、
各章はそれなりというボリュームでございます。
 
 でも、軽く楽しむにはこの位の分量がいいかも。
 

 ただ、ストーリー的には、もっと深くてもよかったのではないかな。
 
心理的寓意的な物語なので、
もう少し深く迫ることも出来たのではないかと思う次第でございます。

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 『小さな 悪い本』小さな悪い本
マグヌス・ミスト(マーク・ホッツ):著 
トーマス・フィシング:絵 
若松宣子:訳 
(金の星社/2019/8)
 
(二作目については、2020/11/04 (Wed)
 『小さな 悪い本 大人はスーパー危険』
    をご覧じくださいますと光栄にございます)
 
 
 
 第一作目を本屋さんで偶然発見いたしました。
 さっそく購入、プレイしてみました。
 (と言いつつ、記事にしたのはだいぶ後になってしまいましたが)
 
 

 第2作では、はじめから本は悪い本でございましたが、小さな悪い本 
この作品ではそうではございません。
 まだそうなりたての、
どうすれば立派な悪い本になれるかを
試している最中なのでございますな。
 そのため、
「本当は嘘をついたりしちゃいけないんだよな」
と良心が働いたり、
「うまくやったな」
と主人公(=読者)を褒めたり……。
で、そのたびに、
悪い本になるためにはこんなことじゃだめだ、
と反省をして……。
 
 てな感じの、
ちょいと隙のあるキャラクターとなっているのでございます。
 とは申せ、口調とかやっていること、それに性格自体だって
二作目とそんなにかわらないのてすけど、ね。
 
 正しい答を選んだらそうじゃなかったり、そのはぐらかし方もたのしかったり。
 そのあたりも一作目から健在でございます。
 
 構成と申しますか、パターンもほぼ同じ。
 挿話もございますし、謎の出し方も変わらず、
割り込んでくるキャラクターがいるのもおなじでございます。
 
 挿話に関しましては、第2作目が1つだったのに対し、こちらは2つ
風船少女」と「アルベルトのいたずら」の話でございます。
「風船少女」のほうは寓話的。
「アルベルトのいたずら」のほうが独自性ございますが、こちらも教訓的かな。
 
 2つございますが、
内容的には2つあわせても、2作目の挿話を越えるものではないように存じます。
メインストーリーの結びつきも弱くございますし、
2作目のようにその中にパズルが含まれているわけでもございません。
まぁ、一作目といたしましては、これが普通かもしれませんな。
  
 ぶりっ子マリー嬢は一作目から登場しているのではないか、
と前回書きましたが、その推測は外れておりました
 ただ、「風船少女」が良い子代表として出てまいりますし、
ピンクやユニコーンが嫌いなのは、はじめからの性格のようでございます。
 
 で、ぶりっ子マリーに代わり
(代わったのは二作目の方なのでございますが)、くらやみ
本の中に割り込んで登場するのが
くらやみ」を名乗る少年にございます。
「悪い本」のクイズにひっかかって、
本の中に閉じ込められてしまったのだとか。
 
 ぶりっ子マリー嬢は、
よい子方面に逆張りした
悪い本の対比となっておりましたが、
この「くらやみ」さんはその逆。
良心の片鱗をついつい見せてしまう
悪い本さんよりも根が悪く
本を燃やそうとか水をかけて台無しにしちゃおう、
などと物騒な誘いを投げかけてまいります。
 
 そのためか、マリー嬢が正々堂々と出てきて、本と言い合うのに対し、
「くらやみ」はこっそりと読者にむかって話しかけてまいります。
 
 で、閉じ込められながらも彼は、
本の持っている宝を奪おうと虎視眈々、狙っているのでございますな。
 
 その宝とは、悪の秘密、どんな人もぞっとさせる魔法のワザ。
それを身につけて、誰もが怖がるような存在になりたい。
そう「くらやみ」は願っているのでございます。
 
 で。
 
 そんな「くらやみ」が耳をそばだてる中、悪い本は最後の挿話を語ります
(先ほど2つと申しましたが、挿話には3つ目がございました)。
 そして──。
 
 悪いとは面白いこと。
 でもそうなりきれないあたりがチャーミングな、「悪い本」でございました。
 

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『小さな 悪い本 大人はスーパー危険』大人はスーパー危険
マグヌス・ミスト(マーク・ホッツ):著 
トーマス・フィシング:絵 
若松宣子:訳 
(金の星社/2020/9)
 
"Das kleine Böse Buch 2: Jetzt noch gefährlicher!"
by Magnus Myst
 
 
 
 子供のみんなへ。
 みんなが本当は何歳であろうとも。
            マグヌス・ミスト
 
 
  本屋さんでたまたま見つけました~。
 これは2作目だそうでございますが、
 第1作目『小さな 悪い本』のほうは見つけられず。
 まぁ、仕方ございません。
 
 本国では3冊スペシャルというものが出ているようですな。
 
 3作目は、
Das kleine Bose Buch Bd.3
Deine Zeit ist gekommen!
Autor: Magnus Myst
 ぐーぐるさんか翻訳したところによりますと、
リトルイービルブックVol。3 あなたの時が来ました!」でしたので、
お前の出番だぜ!」ぐらいの感じでございましょうか。
 
 ま、それはそれとして、この書のことにございます。
 
 
 内容はタイトルどおり。
 
 語り手が本自身で、それが一般常識からかんがみて悪い奴なのでございますな。
 
 その本が、
 君たちの親や先生は本物ではない。悪い奴なんだ、
 と読者にむかって語りかけてくるのでございます。
 
 読んだ感じといたしましては、

 グレイルクエストダヴィンチ学園と言ってわかってもらえますかどうか。
 
 読んでいただくと、
全然違うじゃんと思いつつも、それ以外に表現する方法はないな、
と理解していただけるかと存じます。
 
 グレイルクエストな感じなのは、
読者に対して直接語りかけてくる形式を取っている点にございます。
 
グレイルクエストの場合、それがマーリンでございますが、
この作品ではその役目を本自体が担ってるのでございます。
 
 口調は乱暴。
 マーリンは少し引いた視点でチャチャを入れておりましたが、
この本は読者をそそのかし、引き込もうと積極的に語りかけてまいります。
 

小さな悪い本  
 

 グレイルクエストがほぼ最初から
プレイヤーがピップとなってアヴァロンにいるのに対し、
この作品では
本編が始まるのが中盤になってからということもございましょう。
 
 その語りかけで、
読者に色々なことをやらせようとするあたりもグレイルクエスト的。
 本をブンブンふれですとか、この丸の中に血を垂らせ、ですとかね。
アルミホイルで帽子を作らせたり……。
 
 単にパズルやパラグラフジャンプだけではなく、
あらゆる手を使って、読者を本の中に参加させようとする感じが
グレイルクエストっぽいのでございます。
 
 それと……。
 これは偶然なのでしょうかねぇ。
 ブレナンと申しますれば「14」でございますが、
このゲームブックの14ページも、けっこう特別なページになっております。
 
 わたくしは思わず笑ってしまいました。
 
 でも、……これってどうなんでしょう?
 ホントにブレナンの「14」を意識したのかなぁ。
 ブレナンの原書では「13」が死のナンバーで、
「14」は特別な数字ではないとも聞きますが……。
 
 単なる偶然? 作者が日本語版を知っていた? 
それとも訳者のはからいでございましょうか。
 
 まぁ、ゲームブックを訳す方が
ブレナンの作品を知らないわけもないと思いますので、
有力なのは最後の説でございましょうな(ちょっとつまらないですが)。
原作では「13」だったのを「14」にしたとか、
そういうことではございませんでしょうか?
 
 と、思ったのでございますが、原作タイトルで検索してみると、
当該ページは見つかりませんでしたものの、
他のページはいくつか見つかりまして、それからすると、
ページの変更はしていないようなのですな。
 
 ですから……、偶然なのかなぁ。
 
 
 
 さてさて。
 そんなわけで、この作品は
本が語る学校での出来事を中に含んだ
枠の大きい枠物語となっているのでございますが、
 
 その枠には不作法にもねじ込むような形で2人が登場いたします。
 
 1人はぶりっ子マリーと本が呼んでおります少女。
 
マリー嬢
 ユニコーンとハートマークを
描くのが好きな子で、大人の言うことに
間違いなどこれっぽっちも感じていない、
すっごくまじめな女の子にございます。
 
 この彼女、
 同じ本を同じ時間に読んでいるらしく、
本の中に入り込んで本の言うことなすことに
いちいちケチをつけるわけでございます。
 
 前作でも割り込んできたみたいでして、
本は彼女のことが苦手のようでございますな。
読者とともに逃げだそうと、
ページジャンプをするのでございますが、
それでもしぶとくついてまいります。
                            
 このマリーさんと本の対立が話を前に進め、        【マリー嬢】
また、結末へとたどり着くことになるわけでございます。       
 
 もう1人は──1人と申してよろしいやら──大人
物語終盤あたり、メールの形でとつぜん割り込んできて、
本が語る物語を強制的に中断させてしまいます。
 
 背景が何の装飾もないというあたりが、
強権発動という感じを露骨に表わしておりますな。
 強そうにしていた本も、冷淡無情な大人にはなすすべもなく、
一度は秘密のメッセージを残して消えてしまいます。
 
 ここが1つの山場でございましょう。
 
 大人のメッセージはジャンプ先のページにも現われますが、
本はちゃんと対策済み。
ここから一気に結末へとなだれ込んでいくのでございます。
 
 なのでございますが。
 
 
 話が最後の方まで行ってしまいました。
 ちょっと前に戻りますね。
 先ほど書きましたとおり、この作品は、
本が語る、少し前に学校で起こった出来事が挟みこまれているのでございます。
 
 で、それが何かダヴィンチ学園と相通ずる感じがするのでございます。
ドイツの本だからか、学校を舞台にしているからか、
そんなところだろうと思うのでございますが、よくは分かりません。
 
 わたくしの先入観ということも考えられますので、
そのあたりは、実際に作品を読んで確かめてみられるのがよろしいかと存じます。
 
 パズルの提示の仕方もダヴィンチ学園っぽい。
ページジャンプはあるものの、分岐はほぼなく、
あってもすぐに合流するか、ひとつを除いてゲームオーバーになってしまい、
パラレル展開になることはないのでございます。
そのあたりもダヴインチ学園と似ております。
もっともそれは、こうしたゲームブックの傾向なのかもしれませんが。
 
 ただこの本、分岐はけっこういい味を出しております。
 
 パズルのジャンプについては、本当に正しいページにたどり着いたか
戸惑うところもいくつかございました。

跳び先のページの最初には
ドクロマークが描いてございますから、ドクロマーク 
それが1つの目安になりますものの、
一人称の語り口のため、
ボーッと読んでいると、
場面が違っても
それに気づかないことがあるのでございます。         【ドクロマーク】
 
 
パズルなど、問題は子供向けなので簡単ではございますものの。
わたくしはいくつか間違ってしまいました~。
 
 テーマ的には、お行儀の悪いエンデといった感じでございましょうか。
モモ』や『はてしない物語』に通ずるものがあるように存じます。
 
 きちゃない描写とか(特に最初のほう)は苦手ですが、
結局面白く読めました
 
 具体的には、3回ぐらい声に出して笑ってしまいました。

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『大統領を捜せ!!』大統領を捜せ
てつまなぶ:著 
菊池英一 :画 
オフケン :企画協力
(西東社シミュレーション・ブックス(1)
     /1985/7)
 
 ただ者ではないポール・ブリッツ様ご推薦の
大統領を捜せ』について
少し書いてみることにいたしましょう。
 
 
 エドワード大統領が専用機ごと行方不明になった。
 10日後にはサミットが迫っている。
 国際情報局局員、ケニーことケン・田島(キミだ)は、
 大統領を救出すべく、さっそく捜査に乗り出した。
  
 では、諸君の健闘を祈る。
 

  大統領を捜せ
 
 

 というわけで、スパイ物の世界で冒険をしていくわけでございますな。
 
 大統領を捜せ
 
 前書きには、32か所の選択と、22か所のエンドマーク
 それに4つのハッピーエンドがあると書いてございます。
 
 このゲームブック、やってみるとフシギなのでございすよね~。
一本道の話のようでいて、
ふと隣のページを見ると、ぜんぜん別の展開になっている。
ではルートが何本もあるかというと、それほどの分量でもなさそうだ。
 
 では、どういうことになっているのだろう、
 と申しますと──。
 
 フローチャートを見ていただくことといたしましょう。
(この程度のフローチャートだと、チェックを入れなければ1日2日で描けるので楽)
   重要なポイントは、15と73
  そこで大きく物語は2つに分かれ、
  合流することはないのでございますな。
 
  パラグラフノイローゼの軍人を選ぶか、
 
  パラグラフ31ハーケンクロイツを選ぶと、
  ネオナチのペスト計画
 
  パラグラフ31黄金のバラを選んだ場合は
  秘密結社ゴールデンローズの伏魔殿へ。 
  と、まったく違った2つの物語が
  1つのゲームブックの中で展開されている
  のでございます。
 

  
 
 
大統領を捜せ
 しかも双方の物語とも展開が急で、
舞台がどんどん移り変わってまいります。
 
 そのため、同じルートの物語内でも
通っていないところは
まったく別の物語みたいでございますし、
逆に違うルートのエピソードでも、
1つの物語内の展開であってもおかしくはない
 
 それでストーリーが
1本にも幾重にも分かれているようにも
思えるのでございます。
 
 
 
 
 

 
 ネオナチルートとゴールデンローズルートを比べてみますと

 大統領を捜せ  大統領を捜せ
 
 ネオナチのほうが王道のスパイ物

ゴールデンローズは、多少SFファンタジーが混ざっている感じでございます。
  
 ゴールは両方とも2つ
 
 フロー構造的には、両方とも同じような感じ。
 36(ネオナチ)と122(ゴールデンローズ)の迷路で分かれ、
それぞれにハッピーエンドが1つつくという形になっております。
 
 プレーした感じではネオナチのほうが力が入っている気がいたしますな。
そういう区別はないものの、どちらかと申しますれば、
こちらが本ルートでございましょう。
 物語的にも王道のスパイ物でございますし。
 
 ゴールデンローズのほうは、本拠に乗り込んでからが特徴的なので、
もう少しそこが長かったらよかったような気もいたします。
 
 
 選択肢に関しましては、ワザと外しているような部分もあって、
頭を使えば死なないというようなものではございません。
まぁ、この手のゲームブックは、そこが楽しいところでもございます。
 
 
 
 
 
さて、 
 この作品に対する「ウォーロック」誌の記事と申しますと、
 
 まず、vol.15のp.5「かってにアトガキ!」で、
ケン・田島先生が「西東社・イズ・ベスト!」というタイトルで、
『ベースボール・ゲーム』
(レギュラーズ9・作 ダイナマイト・鉄・画)の
レビューをお書きになっておられます。
  
 その中で、
 西東社のゲームブックに対する先生ご自身の評価が語られておりますな。
 
 FFクラスと比べれば低レベル、だが裏を返せばやりやすい、
 取っつきやすく初心者向け。で、
「派手な絵、デカいタイトル、適度なオチ。
 『マジかよ~っ』『ひゃー』とか、言いながら一冊を終え、
 『ふっ』とか、『まあまあじゃん』と、言いながら帰れる味があったのです。
 こんな愛すべきゲームブックがあったでしょうか」
  
 とお書きになっておられます。
 次にこの作品にインスパイアされたと思われる作品に、
 
 「ソウル・アドベンチャー スプリンターを守れ」
 わきあかつぐみ&冒険企画局 イラスト/大迫純一
 (「ウォーロックvol.23」p.35~53 パラグラフ数160)
  
                     
がございますな。
 
 
 また、「ウォーロックvol.37」からは、
 「マーくん調査室」というコーナーを鳥居雅博先生が担当しております。
 
 このお方、おそらくケン・田島先生と同一人物なのは、
 第11号の「秘境 "黒川鶏冠山" に幻の『黄金』を求めて」から推測できます。
 
 p.25の右端の計画書に CL と書かれているのは、
      おそらくチーフリーダー=隊長のことではないかと……。
 
(このあたり、以前ブログで書いたと思っていたのでございますが見当たらない。
 どうやらどこかのコメント欄か、昔あった「ゲームブックなチャット」に書き込んだようでございます)
 
 で、同誌vol.39 p.2では、
はじめてやったゲームブックは何?>というアンケートの結果に
対するコメントとして、鳥井先生は次のようにお書きになっておられます。
 じつは私、マーくんは
7位の「大統領をさがせ」が初めてやったゲームブックなんです。
たしかに「魔法使いの丘」「火吹山の魔法使い」に比べて
謎や戦闘は微々たるものだし、解いたときの感動も負けるかもしれません。
しかし、あの清涼飲料水を飲み干すような
軽いストーリーの爽快感と独特の雰囲気、
何度も楽しめるマルチストーリー。
私は今でもこのゲームブックが大好きです。
「ウォーロック」誌に載ったものといたしましては、
こんな感じでございましょうか。
 
 マルチに展開するストーリーについてでございますが、
ザッと思い浮かべるかぎり。
このように二本のまったく別のストーリーがくり広げられるゲームブックは
西東社の作品の中でも珍しいもののように思われます。
 
 先ほども書きましたとおり、
それが一本道にもマルチに展開する物語にも思えるところがこの作品の面白いところ。
 
 反論はございましょうが、
 第一作にして、西東社のベスト、なのかも知れません。
 書いているうちに、そのように思えてまいりました。










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『新クトゥルフ神話TRPGスタートセット』新クトゥルフ神話TRPG
マーク・メイソンほか:著 
坂本雅之、立花圭一ほか/アーカム・メンバーズ:訳
(エンターブレイン/2020/2)
 
 
 このソースブック、
ソロシナリオが入っているということは、
「Role&Roll」の記事にもございましたし、
本書のオビにも書いてございましたので、
気になってはいたのでございますが、
中が見えない状態で売られておりましたので、
買うのをためらっていたのでございますよねぇ。
 
 TRPGでソロシナリオといった場合、
必ずしもパラグラフ選択形式とは限らないじゃないですか。
それに値段に見合わないおざなりなものの場合だってございます。
 
 そんなことを考えますとねぇ。ちょっと手が出しにくい。
 
 ですが実際に買って中を開けてみますと、それが杞憂だということが分かりました。
 
 パラグラフ数270、40ページ。
 ストーリーもしっかりある、ちゃんとした作品でございます。
 
(ただし、本屋さんで手に取ったときに
 分厚いハードカヴァーのように感じられるのは、付録のキーパースクリーンのためでございます。
 それを取ってしまうと、同じ価格帯のソースブック等と似たようなものなので、
 そこだけはご留意を)
 
 
     ☆    ☆    ☆
 
 
 物語は、
 
アーカム行きのバスが途中の村で立ち往生してしまい、
その村で宿を求めるというものにございます。
 その村、エンバーウッドは近々祭がございまして、
どうやら「あなた」はその祭のために意図的に取りのこされたらしいのですが……。
 
『地獄の館』などでおなじみの、館ものの
拡大版、村バージョンといったところでございましょうか。
 
 
 
 このシナリオの役割は、
初心者に『新クトゥルフ神話TRPG』がどんなゲームであるのかを
具体的に紹介していくことにございます。
 
 そのため流れは段階的で、展開も素直。
 
 バスに乗ってから村に到着するまではほぼ一本道で、
その間にキャラクターデータがシートにほぼ書き込まれるように出来ております。
 最初はただ書いてあるものをそのまま書き込むだけでございますが、
次第にプレイヤーが選ぶものが増えていく……。
 と申しましても、難しいことはございません。
キャラクターは五つの選択肢から選ぶだけでございますし、
自由選択もそれほど難しくはごさいません。
 
 キャラクターを制作するというよりも、
キャラクターシートに書き込むことの抵抗を下げることが
このあたりの目的なのでございましょう。
 
 
 
 というわけで、村に入ってからが本番となるわけでございますが、
このあたりも、1日目、2日目と、
核心に迫るにつれ段階的に流れは濃くなってまいります。
 
 先ほども書きましたとおり、
このシナリオは『新クトゥルフ神話TRPG』が
どんなゲームであるのかを知らしめるのが目的にございます、
 
 そのため、色々な技能の判定させるべく、
さまざまな状況が用意されていて、展開も多彩なのでございますが、
その分、自分の持つ技能にうまく当たらないことが悩ましいところ。
 そんなわけで、難易度的にはちょっと難しい、かな?
 
 でも、ホラーでございますから、それも自然、と申してよろしいかも。
 そういう意味で、
プレイヤーがPCが死ぬことを考慮してくれるホラーというジャンルは、
ゲームブックと相性がいいのかもしれません。

 ヒロイックな話ですと、勝つのが当然、勝たなければ、
というイメージがございますから、
負けた場合ズルをしたくなる気持ち分かるというものでございます
(ルール的にはしちゃダメですよ)。
 
 
 
 ところで、
 TRPG……と申しますか、アドベンチャーゲーム、特に脱出系と申しますと、
わたくしには、真相を究明していき、それを解決、
もしくはそれに触れたあとで逃げ出すというイメージがあったのでございますが、
 このソロシナリオの場合、
とにかくとっとと逃げ出すという選択が選べて、
それが案外正解だったりするのですよねぇ。
その選択にもしっかりイベントが用意されていて……。
 逆に祭を阻止しようとあれこれやってみても無駄だったり……。
 そのあたりが新鮮でございました。
 
 そんなわけで、完全勝利といったすっきりとした解決はないものの、
それがホラーというものなのでございましょう。
 
 
 
 そのあたりさえ踏まえれば、
ルートも色々ですし、エンディングも複数あり、楽しめる内容だと存じます。

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『ネイチャーガイド 日本のクモ』新海栄一;著
(文一総合出版/2006/1初版 2017/2 増補改訂版)
 
という本を図書館から借りてまいりました。

そのp.40に「網の形からクモを識別する クモの網の検索表」という項目があり、
これがこれこのとおり、パラグラフ選択式になっています。
 
   クモの検索表
 
 実用用途ゲームブック方式でございますな。
  
この手の分類表といたしましては、
 
『クトゥルフ神話怪物図鑑』
(サンディ・ピーターセン他:著 立花圭一/アーカム・メンバーズ:訳
   (KADOKAWA/2016/9)
 
チャート式の「怪物識別ガイド」を載せておりましたし、
他にもあるとは存じますが、
 パラグラフナンバーとジャンプという
ゲームブック形式な分類表は、初めてかも。
 あったとしても、もっと単純な形だと思います。

 
 作者がゲームブック好きだったのかもしれませんな。

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真夜中をさまようゲームブック
「真夜中をさまようゲームブック」 

『サキの忘れ物』津村記久子
新潮社(2020/6)  所収 
p.162-191 (パラグラフ数:62) 
 
 
 ((1)からの続き)
 
 分岐のことはそれぐらいにしておいて、
 内容について書こう。
 

 
 主人公の彷徨う町は、ごくごく普通の町だ。
 
 行ける場所も、漫喫、ファミレス、コンビニ、公園と
普通の町ならどこにでもあるような施設が並んでいる。
「君」の取れる行動もごくごく普通のものだが、
その結果起きる出来事は、ゲームブック的だ。
 
 特に、バッドエンド。
 
 冒頭の【読み方】にもあるとおり、
行動の選択によっては、
 主人公はかなり簡単に死んだり、警察に捕まったり」(p.162)する。
 日常も、それを一歩踏み外すと恐ろしい貌が姿を現す……というよりも、
この唐突さは、ゲームブック的、というか、
ゲームブックのパロディのように自分には感じた。
 
 ストーリーの肝となる部分は意外に遅く、パラグラフ60
そこで出会う幽霊との話がこのゲームブックのメインストーリーとなる。
 
 そこにたどり着く前までがいわばゲームブック的で、
そこで条件を集め、集めた条件によって、60以下の物語がマルチに展開していく。
 (攻略的なことをいえば、幽霊の頼みはすべて聞いた方がいい)
 
 そして、すべてのエンディングというよりも、
すべてのパラグラフを見渡すことで、この物語の様相が明らかになる。
 
 以前にも書いたが、ゲームブックの面白さの一つは、
この全体を見渡したときに見えてくるものがあると思う。
 
 そう言う意味でも、ゲームブック形式が意味のある作品だ。
 
 小説家の書くゲームブックというと、
 
 クノーの「あなたまかせのおはなし」や
ケヴィン・ブロックマイヤーの
「ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂」のように、
文学としてのアプローチか、
 
『悪夢の妖怪村』鳥井加南子や『ツァラトゥストラの翼』岡嶋二人のように
ゲームブックとしてのものかのどちらかが普通だが、
 この作品は両方から均等にアプローチしてきたもののように思える。
 
 
 物語の長さとしても、パラグラフ的にも作品に合っている。
 構成は分かりやすい。
 ゲームブックにする意味があり、よく考えられている。
 いい作品だと思う。

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 真夜中をさまようゲームブック
「真夜中をさまようゲームブック」 

『サキの忘れ物』津村記久子
新潮社(2020/6)  所収 
p.162-191 (パラグラフ数:62) 





  
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┏━┻━┓↑┏━┻━┓↑┏━┻━┓ ↑ ┏━┻━┓ ┏━┻━┓
┃   ┃┃┃   ┃┃┃   ┃(*)┃   ┣←┫   ┃
┗━┳━┛┃┗━┳━┛┃┗━┳━┛ ┃ ┗━┳━┛ ┗━┳━┛
  ┗━━┛  ┗━━┛  ┣━━━┛   ┃   ┏━┻━┓
(*)37を除く    ┏━┻━┓     ┃   ┃   ┃
            ┃   ┃     ┃   ┗━━━┛
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   ┏━━━━━━━┳━━━┳━━━━━━┻━━━━┓
 ┏━┻━┓     ↑ ┏━┻━┓       ┏━┻━┓
 ┃   ┃     ┃ ┃   ┃     ┏→┫   ┃
 ┗━┳━┛     ┃ ┗━┳━┛     ┃ ┗━┳━┛
   ┣━━━━┓  ┃   ┣━━━━┓  ┃   ┣━━━┓
 ┏━┻━┓┏━┻━┓┃ ┏━┻━┓┏━┻━┓┃ ┏━┻━┓ ┃
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                 ┃   ┃ ┃   ┃
                 ┗━━━┛ ┗━━━┛
 
 
※ 
      ┏━┻━┓
      ┃ A ┃
      ┗━┳━┛
  ┏━━┳━━╋━━━━┓
┏━┻━┓↑┏━┻━┓┏━┻━┓
┃ B ┃┃┃ C ┃┃ D ┃
┗━┳━┛┃┗━┳━┛┗━┳━┛
┏━┻━┓┃
┃ E ┃┃
┗━┳━┛┃
  ┗━━┛
 
分岐の下から突き上げる矢印は、分岐のうち
今通ったルート以外のパラグラフを選択することを意味します。
たとえば上図のEの選択肢は、CとDということになります。
 
 
斜め矢印の部分は、フローチャートの見やすさのため、ワープした部分です。
↗と↗、↖と↖には、それぞれ同じパラグラフナンバーが入ります。
 
 
ブラウザ上では線がずれて見にくいと感じる方は、
テキストエディターにコピペしてフォントを変えてごらんください。 

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「フェッチクエスト・ゲームノベル」
ヨーシャの冒険
監修:安田均 文:ゼサン

「Role&Roll vol.189」
(アークライト/新紀元社)

 p.138-141パラグラフ数 41
 
パグマイア』のゲームノベルにございます。

「ヨーシャ」「ジャック」「レオ」という
三匹の善き犬が主人公でございますな。

イベントがあるパラグラフには【脅威度】が設定されておりまして、
プレイヤーは三犬のうちのいずれか一犬を選んで、
そのイベントに挑戦するのでございます。
 
 で、相性の良いイベントならダメージはなし、
そうでなければ脅威度分のダメージを受けるのでございますな。
 
 三犬のうち相性のいいのは一犬
というわけで、犬ダメージを受ける確率は2/3なのでございますが、
それぞれの犬にはスタミナが設定されておりますから、
そのあたりが悩みどころ。
 
スタミナの多い犬で行くかそれとも他か。
イベントとの相性を考えていかなければならず、そこが選択の意味になっております。
 
 移動型としては、一方向の単純型
 イベントのたびに三択があり、
分岐によってスタミナが減らされたりするものの、
すべて次のイベントのパラグラフに行くことが出来ます。
 まぁ、三択のクイズみたいなものでございますな。
 
 難易度は高くございません。むしろいといった方がよろしゅうございましょう、
 
 途中のゲームオーバーの処理が見当たらないので、
とりあえず最後までは行くことが出来るのではないでしようか。
 
 このようにゲーム的に単純で難易度も低い作品の場合、
プレイヤーはロールプレイに力を注ぎたいところでございますな。
 
 描写の隙間を埋めるセリフや行動を想像しながらプレイするのでございます。
そうすれば、ゲームはより面白くなることでございましょう。
 ゲーム的にタイトだとそういうのって難しいですよね。
 最適解を求めなくってはならなくて、
キャラクターの気持ちとかよりも、有利不利を気にしちゃう。
 
 でも、難易度の低い作品ならそんなことはございません。
物語的にもコンパクトなので、
そのような思い入れたっぷりのプレイをしてみるのも一興と存じます。
 

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 「ようこそ、惑星間中継ステーションの診療所へ
 ――患者が死亡したのは0時間前」
   キャロリン・M・ヨークム
 

Welcome to the Medical Clinic at the Interplanetary Relay Station/Hours
Since the Last Patient 0
by Caroline M.Yoachim(2016)
 
 「SFマガジン 2020/6 vol.61No.739」
    p.66-71



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評価は誰か他の方の手に委ねます。
素晴らしい作品なのでしょうが、
わたくしには分かりませんでした。
 

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『スーパーマリオブラザーズ vol.2ネオクッパの挑戦
  大魔王ネオクッパの挑戦』
 池田美佐/スタジオハード
(双葉文庫ファミコン冒険ゲームブックシリーズ6
  /昭和62年1月)
 

 さてさて、『マリオを救え!(1) (2) (3) から
ちょっとだけ開いてしまいましたが、
双葉社スーパーマリオゲームブック2作目でございます。
 
 もっとももちろんこの作品、
前作との関連性はいたってございません。
 
 第1弾はファミコン『スーマリ』のノリを 
キチンと表現したものではございましたが、
それが安っぽく思われたか、子供っぽく思われたのでございましょう。
 
 今度のマリオはSF
  
 クッパを倒し、ピーチ姫とまみえた瞬間、とつぜん起こる大爆発。
 マリオは500年後の世界へタイムワープするのでございます。
  
 冒険の舞台・ファンガスは、
 クッパに支配された未来のキノコ王国みたいでございますが、
 原作のおとぎ話っぽい感じはございません。
 敵はアーマード、ハイパーとサイボーグ化されており、
 見た目だけでも強敵にございます。
 
 これって、勁文社
スーパーマリオブラザーズ外伝』の影響があったのかもしれませんな。
 あれだけ原作とはかけ離れた世界が受け入れられたのなら、
さらにぶっ飛んだ世界でやってもいいはず。
いや、やらねば。
そんな思いが入ったような気がいたします。
 
 
 敵のサイボーグ化に対抗すべく、
主人公のマリオもアーマードスーツを身にまといます。
 
 さらに、道中でミサイルやバリアなどの武器をそろえて、
敵に対抗していくわけでございますな。
 
 というわけで、今回「キミ」は、そのマリオになるわけでございます。
 
マリオを救え!』では、
主人公はテレビゲームの世界に入り込んだキミだったため、
元気な子供または少年以上の個性はございませんでしたが、
今回は違います。
 
 主人公のマリオが、とにかく威勢がよく、やたらとかっこいい
 
 
 主人公が無色透明のキミの場合、
プレイヤーの意思に近い行動が出来るというメリットがあり、
また、選択肢や作品内容もそのようなものが期待されますが、
 反面、
個性的には弱い面があったり、
行動にブレや矛盾が起きたりする場合がございますな。
 
 それに対して、
主人公がキャラクターとしての個性を持っている場合には、
プレイヤーの性格というよりも、
キャラクターの性格、ストーリーに則した行動とあいなります。
 
 この作品のマリオの
目標に対する強い意志、ガンガン攻めていきそうなノリは、
プレイヤーをその気にさせる役に立っていると存じます。
 
 加えて、このゲームブック。
 特筆したいのは、何より

ルイージがかっこいい!! 

そして、
 
マリオに信頼されている。
 
オレにはお前という最強の味方がいるじゃないか!!
と、マリオに言わしめているんですよ。
 
クッパめ、覚悟しろ! 
 1+1が5にも10にもなるマリオ&ルイージコンビの挑戦だ!
ですよ。 
 
プロローグ

   (↑ プロローグ。ベビィマリオはもしかしてここから?)
 
 他の作品では、
マリオに隠れて影がうすかったり、恐がりだったり、ぼけてたりと、
2番手ポジションをほしいがままとするところでございますが、
この作品ではしっかり活躍してくれます。
 
 時空を跳んだ際にマリオと別れ別れとなってしまうので、
いっしょに戦うのは跳躍前と跳躍後のラストだけではございますものの、
  
 クッパ戦では『スーマリ2』で差別化された高いジャンプ力で
敵の背後に跳んでとどめを刺しますし、
ネオクッパの城では門番のクリボーたちをやっつけ、
マリオとともに巨大クリボーを倒し、
秘密の抜け穴を発見するという活躍をしております。
 
 ただし、ネオクッパ戦ではルイージは
ピーチ姫とチェリーを助けに行くため、
タッグを組んでの攻撃とはならないのでございますが――。
 
 まぁ、そこら辺、最後は主人公一人で、ということなのでございましょう。
 
 
 
 ウィキペディアを見ますと、
『スーパーマリオブラザーズ2』1986年(昭和61年6月)の説明書には、
無鉄砲な性格」と書かれているのだそうでございますな。
 
それが反映されたのでございましょうか。
 
 ちなみに(ネタバレではございますが)、
ネオクッパさんのお城にたどり着くまでには、
ニセモノが何回も登場いたしますので気をつけて。
 
 他には、クッパさんのニセモノなんかも――。
 

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ゲームブックDS『アクエリアンエイジ』 ついでなので、
アクエリアンエイジ』のほうも
日記をもとに書いておきましょう。

 気がついてみれば両方とも
ブログを再開した時に書いている
のでございますよね。
 
前回の記事を書いたあとで
気がつきました。
書いたことは
わかっていたのでございますが、
もっと簡単にすませていたとゲームブックDSアクエリアンエイジ
思ったのでございますよ。
 まぁでも、そんなにはタブって
ないんじゃないかな??
 ということであらためて書いて
まいります。
 
     ☆    ☆     ☆
 
 
 ゲームブック味は薄れ、
恋愛アドベンチャー風。
 部分的に女性のボイスも入る。
 ホントは女性はフルボイスに
したかったのではという勢いで。ゲームブックDSアクエリアンエイジ
 
 サイコロなどの要素はなし。
「アクエリアンエイジ」なのだから、
カードによる戦闘とかありそうなものだが、
そういうものは一切ナシ。
 
 面倒なことはやめたということか……。
 
 そのかわりキャラクター紹介が増え、
それがこのゲームの性格を象徴している。
 
 一画面の文章量は、
シリーズが進むにつれて少なくなっている。
 文章は、恋愛アドベンチャーのそれ。
 キャラクターも
恋愛アドベンチャーの典型だ。
 
 授業をサボって屋上で寝ている主人公。
「お兄ちゃん」と呼んだり
料理を作ってくれる姉妹。
 無口で謎めいた図書委員――。
 こうしないとダメなのか
というぐらいベタ設定だ。
 ゲームブックDSアクエリアンエイジ
 それにしても声優の方はすごいな。
「はわわ~」とか、
ふだん一秒たりとて使わない言葉を
ちゃんとしゃべるんだから。
普通に違和感あるけど、
声優の人も苦労なさっているのだろう。
 
 そんななかに、
妖精の少女が転がり込む。
 妖精を、動物は感知できるが、
ほとんどの人間にはそれができない。
 主人公は、その稀有な人間で、
かわいそうだからと
彼女にえさを与えたのが運の尽き、
ご主人さま、
とつきまとわれることになる。
 
 妖精は、ドジで力だけはあるは 
 大食いだわで、
 しかも人間にとって不可視。       ↑ おまけの藤真拓哉先生の画集。
 そのため、               21枚あるそうだが、開封してないので
主人公はおかしくなったと思われ、     わからない。裏は、ポストカード仕様。
苦労することに――。           B5なので120円切手を貼れと書いてある。
                       パッケージが大きいのはこのため。
 などとプレイしていたら、        ソフトだけ必要な人には、パッケージの
 まさかのループもの。          梱包材(←失礼)。逆にCDやカード・ 
                     それにこのイラストが目当てで買った人に
  まぁ、                とっては、ゲームカートリッジのほうが
「運命の七日間はまだ終わらない」     食玩のガムみたいな存在なのだろうけど。
 などとあったので、
 少しは予想はしていたものの、
 ループする意味が分からない。
 危機的状況があるのならまだしも、
そういうのが全然ないんだもの……。
 
 
 
      ☆    ☆     ☆
 
 
 
『鋼殻のレギオス』には大きなバグがあったから、
さすがに反省してこっちにはないだろう、と思ったが、甘かった。
 
 全くもって甘かった。
 
 1つ目は、本文からオプション画面にうつると、
基本的なアイコンは出るもののメイン画面が消えてしまい、
そこでの操作ができなくなってしまうというもの。
 
 端的に言えばセーブできなくなるということだ。
 
 これには困った。
 
 とにかくセーブせずにやり続けるしかない。
 
 文章戻しの機能をつかって前の文を読み、そこの用語から用語解説画面に跳び、
メイン画面に戻ってきたらセーフ画面が開いてくれたので、
なんとかセーブする。
 
 ただ、少し進めセーブしようとしたら、やはり先ほどと同じ症状におちいってしまう。
 
 同じようにやれば何とかなるかと思ったのだが、
戻り画面の表示が次第に遅くなる。
ついには数分待ってもブラックアウトのままなのでやめてしまった。
 
 これは、自動送りの速度を初期設定に戻すことで解消されるようだ(今のところ)。
 
 それにしても、
普通にプレイしていて発生するバグがそのままというのは、どういうことだろう。
 
 
 さて、内容についてだが――。
 うすい感じがする。
 マンガの連載1回目をえんえん繰り返している感じだ。
 超能力ものらしいから、超能力者でも怪物でもドンドン出せばいいと思う。
これは、『鋼殻のレギオス』のときにも感じたことだが。
 
 七日間のループだが、七日目に悲劇が訪れるというわけでもない。
いや、始まってさえいないという感じだ。
 
 
 
      ☆    ☆     ☆
 
 
 
 原作があるせいなのだろうか。展開に無駄がある気がする。
 異世界との関係とかいろいろと謎が残るけれど、
そういうのは原作ゲーム中で分かっていることなのだろうか?
 
 恋愛アドベンチャーにしようとしたのは、いつ頃からなのだろう。
 元の構想としては、もっと大きい話だったような気がする。
 
 というのは、「エクストラ」にある「サウンド」だ。
 
 そのタイトルが
「太古の真珠」「極星帝国襲来」「蹂躙されたロンドン」「恐怖の行軍」
「ハンニバル軍の猛攻」「アルカードと夜羽子の別れ」「皇帝登場」と、
もう本編とはまったく関係のないタイトルで埋まっている。
 
(シナリオも何もぜんぜんできていない状態で、
 原作の「アクエリアン・エイジ」のイメージでタイトルをつけたようにも思えるが、
 そうは考えないことにして)
 
 だからもう、全然別のストーリーだったのだと思うのだ。
 戦闘システムも、原作準拠のカードバトルでという構想があったのではないか。
 
 それが戦闘ルールもなく、美少女アドベンチャー的なループものになったのは、
やはり制作に必要ないろいろなものが足りなくて、
作りやすくてウケやすい――ある一定の購買数を見込めそうな――
形へと変わったのだろう。
 
 とにかく、いろいろと不足していたことがうかがえる。
 
 前のほうで書いた、セーブが出来なくなるバグもそうだが、
途中から音ズレもヒドいし、
キャラクターの片方が、もう一人に隠れるように重なることも。
バッドエンドでギャラリーに収められるはずの「美月一人」も獲得できないようだ。
 

 最後までプレイできるだけ『鋼殻のレギオス』よりマシ、とは言えるが……。

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ゲームブックDS『鋼殻のレギオス』 (ブログをお休みしていたころの日記から。
 2010年5月ごろ書いたのでございます。
 購入を考えていらっしゃる方は、
 参考になさってください
 ☆ ちなみに、
  初回特典のCDは聴いておりません
 ☆ さらにちなみに、右の写真
  パッケージの背景は、初回特典の
  マイクロファイバータオルなのですが、
スキャナの光が届かず、まっ黒になっております)


 鋼殻のレギオスおまけ
      ☆     ☆    ☆

  取説に、既読スキップのことが書かれるようになった。
 これは『ゲームブックDS ソードワールド』のとき
ファミ通のレビーでそれがないと指摘されたためだろう。
 ホントはあったのに。
 
 セーブはつ。
 ソードワールドは1つだったが、
 『アクエリアンエイジ』では、それが3つになるようだ。
  
 オマケ要素のギャラリーは、
 『ソードワールド』では、「???」だったが、
 今回は、暗い中タイトルが見えるという形に変わった。
 その方がわかりやすい。
  
 文章はコンピュータのアドベンチャーゲームに近くなった。
 いわゆる朝起きて顔洗って式水増し感大きい
 
 主人公は、レイフォン・アルセイフなる人物。
「君」ではない。
 
 そのあたり、ゲームブック感がなく、
コンピュータアドベンチャーゲームを感じてしまう。
 
 
 1章 
 
 教官との戦闘は、チュートリアル的意味を含むのだろうが、
ゲーム的な駆け引きが薄い戦闘なので、あまり意味がない気がする。
 
 候補生との戦いでは、シャーニッドが敵の旗を射って勝利するが、
こんなの相手としては納得いかないと思うぞ。
 
 選択はあたりまえの結果が多い
 
 脱隊などゲームオーバーはあるが、
それが「さぼる」とか「いかない」など、
義務を怠った結果なのだからつまらない。
 ページ稼ぎにすら思える。
 
章が進むとそうではなくなるが、今度は当てずっぽ感が強くなる) 
 

 2章
 
 これは外伝的短編集という扱いなのか?
 
 第十七小隊に爆弾魔から挑戦状が届いた。
 十七個の爆弾を撤去せよ。
 となると当然、ゲーム的な展開を期待してしまうが、その要素は全くなし。
プレイヤーの意思とは関係なく淡々と爆弾は見つかっていく。
 
 これだったら、ナゾトキ系のアドベンチャーゲームのほうが
ゲームブックらしいのではないだろうか?
 
(ちなみに、DSはゲームブックDSのために買ったので、
  この時DSのソフトはその3作しか持っていませんでした)
 
3章は記述なし。執事喫茶のアルバイトの話。
 ニーナ隊長がアルバイトをするメイド喫茶との客の取り合い。
 『鋼殻のレギオス』ってこんな話なの? 感が強い)
 

 4章
 
「意義をはさむ」(異議をはさむ)
「緊急事態じたい」(緊急事態)
「一般性と」(一般生徒)など誤字が見受けられる
「2009」と作成日を書いてあった残りと思われる字も――。

 最後の敵も、ゲーム的な駆け引きなく簡単に倒せた。
 
 4章のストーリーは兄妹げんか。犬も食わない。

 
 エピローグ
 
 バグで止まる
 選択も戦闘もない、エピローグが始まったばかりで止まる
というのはどういうことなんだろう?

 
 
 後日再プレイ。
 いくつか違った展開を見つける。
 とはいえ、日常からそれほど話が広がるわけではない。
 茶番
  
 で、最後はやはり、同じところで止まる。

  
 
 
 全体
 内容が薄く、『鋼殻のレギオス』というタイトルから
イメージするような話にはなっていかない。
 
 この作品ってこんな話なの?=こんな話じゃないでしょうと、
 いう感じがとってもする。
 もしこうだったら、人気作にはまずならないだろう。
 
 ギャラリーも半分ぐらい埋まっていないので、
 選択によってとか2周目とかに追加される話もあったのかもしれない。
 
 ただ、ギャラリータイトルを見ると、そんなに大きな話にはならなそうな感じはする。
 
 ゲームブックなら安く短期間に簡単に作れるだろうという理由で
この形式にした感が強い。
 
 構想は大きかったのかも知れないが、
制作にいろいろなものが欠けていたというところだろうか。
 


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 さて、
このようにアクションゲームを忠実にゲームブック化した作品って、
スタンダードなようでいて、実は少ないと思う……
少ないですよね。
 
 『ゼビウス』だってシューティングゲームの面影全くないですし、
他もちょっと思い当たりません。
 
 原作に忠実な方が量産は出来そうな気はいたしますが、
やはり読者も作者もそれではもの足りない、飽きてしまうということなのでしょう。
 
 その証拠と申しますか、
本作の続編、昭和62年1月に発表された『スーパーマリオブラザーズVol.2』では、
勁文社の外伝とは別の方向にぶっ飛んだ物語となっております
(が、それは別の話でございます)
 
 
     ☆      ☆      ☆
 
 ところで、 
 考えてみれば、フローチャートに組み込まれたパズル性という点でこの作品、
スティーブ・ジャクソンのゲームブックの影響下にある作品と申せますな。
 
 バグのように見えるループは、若桜木虔先生の? 
 いや、原作の『スーパーマリオブラザーズ』由来でございますか。
 
 
 
     ☆      ☆      ☆ 
 
 

 難易度的にどうだったかは、
今回ちゃんと最後までプレイする前にフローチャートを描いたこともあり、
よく分かりません。
 
 まぁ、当時は
難しい=長く遊べるゲームがそれなりに受け入れられていた時代でございますから、
子供向けと申しましても、それなりの難しさはあると思います。
 
 ただですねぇ、
前述の『スーパーマリオブラザーズ Vol.2』(昭和62年1月)を見ると、
1作目には書いてなかったことが書いてあるわけですよ。
 
「最後にゲームをうまく進めるための注意をひとつ。
 実際にゲームをやっていると、何度も同じ項目にきてしまうことがあります。
 これは堂々めぐりといわれて、ゲームの進行を妨げるいやなルート。
 この本には、この堂々めぐりの項目がいくつか作られています。
 しかしどのルートにも必ずぬけ道があるのです。
 このルートに入りんでしまったら、
 前に通った時に選んでいない方の行き先はどっちだったのかしっかり見きわめて、
 冷静に選択すること。
 そうすればきっと脱出できるはずです。
 短気を起こさず、頑張ってください。」
 
 てね。
 
 おそらく一作目に関して、
バグだ、とか進行できない、という
問い合わせや抗議がたくさん来たのでございましょうな。
 
 低年齢の方やこの作品で初めてゲームブックに触れたかたもいらしたでしょう。
それにこのタイプは、そういうものだと分かっていないととまどうものでございます。
 外見が易しそうなこともあいまって、途中で投げ出した方もいるのではないかと存じます。
 
 
 
     ☆      ☆      ☆ 
 
 
  
 そうそう、難易度と申しますれば、この『マリオを救え!!』。
エンドの処理でちょっと特徴的なことをしている箇所がございます。
 
 このゲームブック、[End]ごとにどこに戻るかの指示がされております。

たいていの場合、
最初のほうは、スタートへ、
中後半では、区切りのいいパラグラフに戻る指示がされているだけなのでございますが
……。まぁそれは、他のゲームブックでもやっていることでございますな。
 
 そんな中、パラグラフ 144 では、戻る際、技術に +1 する
という指示が書かれているのでございます。
 
 これはけっこう感動いたしました。
 ゲームオーバーになったのだからペナルティがあってもおかしくないというのに、
 それどころか、強くなっていくなんてーー。
 
 でも、考えてみれば、これはアリだな。
 そう思いました。
 
 わたくしはひそかに、「スーパーサイヤ人システム」と呼んでおりますが、
 ゲームオーバーになるたびに、技術+1。
 これっていいと思いません? 
 
 だって、死んだというのに困難な冒険にふたたび挑戦してくださるというのですよ。
 技術点を、3点、4点上げようとするならば、
 3度も4度も死ななければならないのですよ。 
 そんな果敢なプレイヤーには、利得があってもよろしいではございませんか。
 
 死ぬたびにどんどん強くなっていくということは、
相対的にゲームの難易度は下がっていくわけでございますが。

 

 ファイティングファンタジーシリーズなどですと、
ある点数以上技術点がないと詰んでいたりする場合がございますし、
 
技術点がいくら高くても、
フローチャートに見込まれたパズルをしっかり解いていかないと
クリアできないということままございますからな。
 
 チートではございますが、
最初から能力値をすべて最高にするよりはマシでございましょう。
 
 12 を超えてはいけないなどの制限をつけた方がいいかも思いますが、
 そのあたりはご随意に。
  
 それでも勝てない場合だってございますし――。
 バランスは自分で調整してくださいませ。
 
 
 
☆ ところで今回、フローチャートを描いてわかったのでございますが、
  この技術点+1は、このパラグラフ144 しかないみたい。 

  うーん。
 
  もっとたくさん、
  序盤以外はすべてこの方式だと思っていたのでございますけれどねぇ……。
 


 

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さて、このゲーム内世界
クッパを超えるボスの出現により、いろいろと狂っているという設定でございます。
 
 そのせいかニセモノが多い。
 前回見てまいりましたとおり、クッパにもニセモノがおりますし、
しかもそのうち一体は、クリボーが化けたものでございますよ(77)。
それが、少し弱めとはいえクッパの力で戦うのでございますから、
確かに狂っております。
 
 あるルートでは、クッパが次々と現れてエンドという場面もございますし(196)。
 
 前回見ましたとおり、
無数クリボーパックンフラワーの部屋というのもございました。
 
 これって、『スーパーマリオメーカー』を予見している? 
と申しますか、ようやく今になって
空想に技術が追いついたわけでございますな。
 
 
 
 味方のニセモノも登場しているようでございます。
 
 たとえば、ガラの悪いピノキオ(80)
ただ、正しい情報をくれるみたいですし、
このイカれた世界で、ちょっと言葉遣いが横柄になっただけなのかもしれません。
 
 そして、ルイージ
 クッパを倒し、下へ行くと、ルイージと会う場合がございます(225)。
 彼が、ピーチ姫は自分が助けて地下の秘密の部屋に隠したというので、
一緒に行く選択をすると……。
 
 後ろから突き飛ばされて、地下に閉じ込められ、
 [END]とあいなります。

 
 このあたり、当時一部にあった、マリオとルイージは仲が悪い
という説に由来するのでございましょう。
 
 この説、
 
アーケードの『マリオブラザーズ』のインストラクションカードに書かれていた
協力するか、それとも裏切るか」や、
ディスクシステムの起動画面での二人のやりとり(ウィキペディア参照)
 
から来ているみたいでございますな。
 
 
 このルイージがちょっとびみょーなのでございますよね。
 選択によっては、その前に一度ルイージの声を聞くことがあるのでございますよね。
 その声によれば、
彼は地下牢にいて、帽子をなくしてしまったのだとか。

 
 それに対して現れたルイージは捕まってもおりませんし、
帽子もかぶっております。
 
 だから、
このルイージがニセモノという「ボク」の判断は正しいのでございましょう。
作者としても、
それを手がかりにニセモノと判断して欲しいという意図があるのだと思います。
 
 ただ、そうなりますとエピローグが問題でございます。
  
 ここではマリオとピーチ姫が
「ボク」の手によって救い出されたことは書かれておりますが、
ルイージのことには一切触れられていないのでございます。
 
 まぁ、選択によっては声と「ニセモノ」、
どっちにも遭わないこともございますから、これが正しいのかもしれませんが……。

 となると、思い浮かぶでしょ?
 こういう場合のマンガのラストシーン。
 
「あれ、なんか忘れていたよーな」
「まっ、いいか」
 とかみんなで騒いでいるシーンがあって、
最後に一コマ、
「兄さーん!!」と泣きながら地下牢でへたり込んでいるルイージ、
 
とか、
 
みんなで楽しくわいわいやっている後ろで、
ボロボロになった何ものかが、シルエットでゆらりと地下からあらわれる……。
 
 なんかルイージかわいそう……。
 
 でも、
 ルイージのポジションとしては、それでいい……のかなぁ?
 
 
 
 
      ☆   ☆   ☆
 
 
 
 さて、そんなかわいそなルイージの汚名を雪(そそ)ぐのが、
付録となっております「ルイージの大冒険」にございます。
 
 マリオが骨休めの旅に出ている最中に、
またもピーチ姫がクッパにさらわれてしまった――
ということで、
留守をまかされたルイージが救出に向かうわけでございますが……。
 
 これ、プロローグの文がちょっと変。
 
「ボクだってクッパの一人や二人」と
まだクッパを倒してはいないようなことを言ったその口で
「この手で倒したはずクッパ大王」とおっしゃっており、
なんだか矛盾するのでございますな。
 
まぁ、ささいなことではございますが。
 
 
 40パラグラフで構成されたこちらは、
アイテムを記録する必要はあるのの、
戦闘ルールもなく、ポンポンと進んでいきます。
 
フラワー・キノコ・スターを集める必要はあるものの、
一息にやる分としては、ちょうどいい長さなのでないでしょうか。
 
 原作の『スーパーマリオブラザーズ』はステージ仕立て
になっておりますから、

マリオを救え!!』本編もそれにならって

このような40パラグラフぐらいで構成されたステージが
10ぐらいあったのなら、
ダレないで1冊プレイできるのではないかな、

とも思います。
 
 
 ゲームブックって、長い方がすごいと思われる傾向がございますが、
一息でプレイできる分量で区切ったステージ構成のほうが、
作者にとってもプレイヤーにとってもやりやすいですよねぇ。
 
 その証拠に、『展覧会の絵』にしても、
ドルアーガの塔』など鈴木直人先生の作品にしても、
そのようなステージ構成を採っております。
 
 区切る場所がないと疲れますし、
日をまたげばいろいろと忘れてしまうこともございますからな。
 
 
 まっ、それはさておきまして。
 この付録ゲームブック。
 主人公の「ボク」はルイージなのでございますが、
 なんだかとってもかっこいい

 ヤツ呼ばわりするし、
 
待っていろクッパ大王!
 いま、そこへ行ってやるぞ! 
 お前の野望もそこまでだ!
 
 ってな感じで、やたらと威勢よく
ルイージじゃないみたい
 
 本編と同じ作者なので、それほど文章は変わらないのですが、
この短篇のほうが不思議と勢いがございます。
 
 そしてその文体が、ポンポンと進んでいく感覚に、
拍車をかけている気がするのでございます。

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