忍者ブログ
2024/04/24 古代の大型投石機。ギリシアでは片腕を意味するモナンコン、ローマではオナゲルと呼ばれていたそうでございます。ローマでの呼称は投げるという日本語とは特に関係なくて、野生のロバという意味だとか。ロバがひづめで背後に石を蹴り飛ばしたという寓話に基づくそうでございます。アラビアではそれがマンガニク。古代アラビアの人たちはマンモーを狩っていたのでございましょう。
[1] [2] [3] [4] [5] [6]
ところで、このお話、暗黒城がかかわっておりますのに、
アンサロムが出てこないのはなぜでございましょう?
  
 ア・ーサ・ロマとかなんとかおっしゃって、
アーサー王のニセモノ的な立場で出てきてもおかしくは無いと思うのでございますが……。
 
 もうとっくに死んでいるから、なのかなぁ。
 
 でも、暗黒城をアーサー王が改装する、しかもその前にそこで宴会を行うと聞いて、
あのアンサロムが黙っているわけがないと思うのでございますが……。
 
 そう、黙っているはずはない。
 
 今回の騒動は、すべてあの凶悪なる魔術師の亡霊の仕業なのでございます。
 
 アーサとアンサ。

 ちょっと似ていることを類似魔法のキッカケに、
悪魔法使いは暗黒城に入場したアーサー王にとりつき、呪いをかけたのでございます。
 
「震動がどういう具合か、あなたと共鳴し、ノーノー王という別人に変貌させてしまった」
 
とマーリンは、知ったかぶりの説明をしておりますが、
それこそが実は、アンサロムの呪いだったのでございます。
 
 凶悪な魔術師の亡霊がアーサー王に取り憑くことで、その力は掛け合わされ、
アバロンの変容という、歪んだとてつもない力を生み出してしまうことになった
のでございますな。
 
 アンサロムめが、
 作物を枯らしたり、豚を持っていったり、用水路を干上がらせたりする、
 世界的な、最悪の、トップクラスの迷惑者だったのは、
「暗黒城の魔術師」のパラグラフですでにご承知と思います。
 
 そのような凶悪なる魔法使いなればこそ、
亡霊となりてなお、いや、生前以上の力をもって、
今回のような世界の歪みを生じさせることができたのでございます。
 
 アンサロムのロムは呪いという字に……。ならないなぁ。せいぜい兄か台だなぁ……。
 まぁ、それは忘れといて。
 
 アーサーとアンサロムの力が合わさったのでは、とてつもなく強くなるのは当然。
 ヒッフが勝てなかったとしても、仕方ないのでございます。
 
 いや、言い訳ではなく、ほんとうに。

拍手[0回]

PR
(な~んにも考えないで書いたので、ネタバレを多量に含みます)
 
 「クレイルクエスト」
        著・絵 フーゴ・ハル

「ウォーロック・マガジン」vol.4
     (グループSNE/2019/4)所収

    p.156-141

 44からスタート地点に戻り(なんで逆には行けないんだろ?)
ここから本格的な挑戦は始まります。
 もっと死ぬかと思ったのでございますが、そうでもございませんな。
 意外と先へと進めます。
 最短ではなかったイベントが数多く起こり、アイテムや情報も増えてまいります。
 
 これでしたら、無理して44へ行かなくてもよかったかも。
 でも、まぁ、指針をハッキリと知ることは大切でございますからな。
 
 マップが縦に長いせいでございましょうか。
 
 冒険の手ざわりは、「ドラゴンファンタジー」シリーズよりも、
「迷宮キングダム」のブックゲームシリーズに近い気がいたします。
 
 キャラクターや思わせぶりで意地悪な仕掛けは
どちらのゲームブックにもございますのに、違いはなんでございましょう?
 
 つらつら考えてみますと、やはり語り口でございましょうかね。
 
 「よくやったな、ピップ」、「どうだ、持っているか」など、
ピップに直接語りかけてくるのが、「ドラゴンファンタジー」流。
TRPG的と評する方もおられますが、それとも違って独特でございますな。
 
 その語りかける調子がこのゲームブックでは弱い。
 
 マーリン不在なので仕方がないのかも知れません。
 
 あるいは紙幅のせいなのかも。
 
「蛇道」は、アハコン王国に対しても一種の異世界ですが、
もっと描写が加えられれば、ノーノー王の、具体的に迫る脅威が描かれたのでは、
という気がいたします。
「ドラゴンファンタジー」でしばしばそうであったようにでございますな。
 
その正体のせいなのかもしれませんが、このゲームブックでは
具体的な脅威があまり示されていなくって、
倒されるために存在する絵看板のようになっているのが
少々気になるところでございました。
 
 まぁ、とある事情からアバロンではないので、それは仕方がないかも知れません。
 
 そんなことを考えながら、つらつらと進んでまいります。
 
 意外と順調……、と思ったのが落とし穴。
戦闘を有利に進めるはずの武器に手こずって、ぼろ負け。
その後少しは進めていったのですが、さらに体力を減らされるにあたって、
これではクリアは不可能と判断し、自主的に14へ。
 
 ちなみにこのゲームブック。
 最初の体力は12ですが、14から復活するときは10なのでお間違いなきように。
 
 最初は16で、復活のときは14にすれば良いのに……、と、
蟹のようにぶつぶつ言いながら復活をいたします。
 
 左(西)側からスタートし、一筆書きを描くようにぐるりぐるりと。
チートなゴーレムは回避し、一周いたします。
途中、たまさか見えていたとなりのパラグラフを頼りに
(ヒッフの予知能力・たまたまだから仕方がない!!)、
黒鉛を回収。真北へと向かいます。
 
 死ぬ前の2つ目の武器もそうでございますが、けっこう意地悪なイベントも多い。
自分の身体の一部を犠牲にしなければならなかったり、失敗が必要な場面もございますし。
 だんだんに厳しくなっていく感じでございます。
 
 でもなんとかいちばん北へ。
 土器の札をすべて集めたか、計算をする箇所が出てまいります。
土器はすべて集めたので、自信満々で計算をしたのでございますが、
どうにも文章がつながらない!!
 
 よくよく見ますと、メモの字の2と3を読み違えていたのでございますな。
ここでの計算は、奇数プラスの偶数マイナスなので、
1つ間違えただけで、全然違うことになってしまったという……。
 
 まぁ、そんなこんなでエデンへ。
ミカエルさんのイベントも、ヒッフの予知能力が功を奏し
(だからたまたまですって)、無事クリア。
 
 ヒッフが数を数えられないのに、免罪符の勘定ができるということは
プレイヤーとヒッフは別ものということでございますな。

 ですから、髪の毛が不自由な方もこのゲームブックには参加できますし、
「ブラマタリの供物」のトーマス・R・マロウンさんが、
最初のパラグラフでつまづくこともございません。
 
 となると、
 数が数えられなくなったのが、戦闘に影響するのは?
 ここは別に、プレイヤーが数を数えられなくなったとか言うのではなくて、
 知恵が無くなったので、ヒッフの戦闘技能が落ちたということでございましょうな。
 でも、戦闘はエクスカリバーシニアがやってくれるはずじゃあ……。
 
 知恵が足りない者に、エデンの園に入る資格があると申しますのは、
キリスト教の思想のひとつでございますな。
七つの大罪といい、今回の作品には、キリスト教的なものがちりばめられております。
 
 で、
その知恵の足りないヒッフが、
ミカエルさんの目を盗むという、知恵の回る行為におよぶのは
矛盾のような気もいたしますが、昔話などにはありそうな気もいたします。
 
 知恵を取り戻し、クレイルも得て、帰還。
 フーリンの作り上げた魔法の杖を手に、いよいよノーノー王との対決―……

 
 なのでございますが……。
 
 このノーノー王、強すぎ。初見で勝てる相手ではございません。
 あっさり負けてしまいました。
 
 ですが、
 だからといってもう一度挑戦は、気力が尽きました。
 あと一歩のところまで来たので、
 もう一度となると、同じことの繰り返しをやらなければならないのですからね。
 ちょっとつらい。
 と申しますか、無理。
 
 
 で、考えました。
 ここは「コバヤシマル」だ。
 
コバヤシマル」、ご存じですか?
 
映画『スタートレック2 カーンの逆襲』の冒頭に登場するシミュレーション。
 
「コバヤシマル」という民間船が襲撃されているのを、
助けるか見過ごすか、という課題でございますな。
 
救出の成功率はゼロ、もしくはそれに非常に近いという不可能ミッションでございます。
(余談でございますが、
 「ログイン」誌には、これにインスパイアされた
 「タカハシマルシミュレーション」というゲームのプログラムが
  掲載されたこともございました)
 
 カーク艦長は若かりしころ、この救助を成功させたのでございますが、どうやったのか?
 
 答は、試験の前に、そのプログラムを書き換えたというのでございます。
 
 あのカークさん、そんなプログラミングの技術持っていたのかなぁ……、
と映画を見たとき思ったのはさておき、
このゲームブックでもちょちょ~いと細工をくわえてしまおうと申すのでございます。
 
 と申しましても、バレないようにうまいことつじつまを合わせなければなりません。
 誰にバレると困るかはさておき、さっそくいじりましょう。
 
 というわけで、
  
 まず、魔法の鉛筆を使って、自分の顔を整ったものに戻します。
 多少今までよりも良くなっても、誰もとがめだてたりしないでしょう。
 次にマルを二つ。ヒッフをピップに戻します。
 本来の姿に戻ったピップは、生命点100。
 これで、ノーノー王とも対等に戦えるでしょう。
  
 えっ、アーサー王の力がよみがえらなければ、
 マーリンの力はなく、マーリンの力がなければピップの力もない?
 
 それはマーリンのたわごと。
 信じる必要はございません。
  
 大体もしそうでしたら、ヒッフを呼ぶことすらあたわなかったでございましょう。
 
 それに「ドラゴンファンタジー」の冒険の中でも、
ピップは世界からの影響を受けることなく、その力でアバロンを救ったこともしばしば。
 主人公特権、というやつでございますな。
 ですから、この場合も、世界の法則を曲げることかできるのでございます。

 とまぁ、
 そういうことをプログラムに信じ込ませるわけでございます。
 
 具体的には、脳内パラグラフを書き換えるわけでございますな。
 
 というわけで、

 ピップはノーノー王のご尊顔を、さらにへちゃむくれに書き換えて、
 アバロンの王として君臨……、
 
 すると、どうせろくでもないことが起こるのがこの国の常でございますから、
やめておくことにいたしましょう。
 
 あまり文章をいじっても、
世界がつじつまの合わないことになりそうでございますし……。
 
 そこら辺は、元の文章を改編する事なく
 素直に王に加筆訂正をして元の世界に戻し、大団円とまいりましょう。
 
              めでたしめでたしでございます。
 
 
  

 それにしても今回は、ダジャレと言っていいレベルの、無理な地口が多いですなぁ。
翻訳不可能ではないでしょうか?
 ブレナンさんに見てもらいたいでしょうに、これでは難しいのでは? 
 
 少々気になるところではございます。
 
 ところで、14ゴーレムは、世界が元に戻ると、何になるのでしょ?
 Go 14 の魔法として、アバロン全体を覆っているとか、
そんな感じ、でございますかねぇ……。
 
 というわけで、最後のノーノー王の無体な強さを除けば、
シビアながらも、意地悪く楽しい作品でございました。

拍手[0回]

「クレイルクエスト」
著・絵 フーゴ・ハル
「ウォーロック・マガジン」vol.4
 (グループSNE/2019/4)所収

                                            p.156-141
 
 

インクランド、アハロン。
そのはずれの廃墟に、悪党どもが根城として住みつき始めた。
親玉はノーノー王。

地震が起こった時どこからともなく現れたらしい謎の人物だ。
放置しておけば、アハロンはごろつきどもの掃きだめとなってしまうだろう。
 
 やつらを倒すために必要なものは2つ。
 地獄の黒鉛と、エデンの土(クレイ・ル)。
 その2つを求めて、ヒッフはエデンへのヘビ道を歩み始めた。
 
 改めて書き出してみて、こういう話だったんだ、と思った次第。
 道中とこのあらすじとは、あまり関係ございませんものなぁ。
 ただ忘れていたものでございますから、
 最初黒鉛のほうのことも忘れていたりして……。
 
 でもそれで、どうやってノーノー王をやっつけるんだろ?
 
 最初の生命点は、12点。
 
 戦闘はしゃべれる魔剣のエクスカリバー・シニアがやってくださいます。
 途中でほかの武器が手に入ることも……。
 1から6など、決められた数字から1つ数字を選ぶというのが基本。
 簡単な戦闘でございますな。
  
 メインは「エデンへの邪道地図」を見て、
 そこに書かれた番号のパラグラフの指示に従うというもの。
 簡単でございますな。
 
 まぁ、なんとかレイルクエストでございますから、
 死んで覚えるのがデフォとなるでしょう。
 となると、何回か死んでも、まず核心を知ってしまった方が早いのでは? 
 とばかりに、気になるつま先、44番を目指します。
  
 と、60番に壁役が……。
 なに、この数字?  
 待て、2回目以降なら覚えていれば突破できる! と思ったら、
 さすがはなんとかレイルクエスト。
 抜かりございませんな。どんな数字でもここは、14。
 逃げる方が正解という場所でございました。
 
 となると、44に最速でたどり着くのには、ジャンプ魔法を使うしかございません。
 というわけで、3回ぐらい死んだあと、ようやく最南端にたどり着くことができました。
 
 3回もかかったのは、とある場所で、
 最初の選択がわるい選択だと思ったら、ほかの2つのほうがなお悪いという、
 意地の悪い罠に素直に引っかかってしまったためです。
 うーむ、意地が悪い。
 
 まぁ、とにかく地図のつま先部分にたどり着いて、
 とりあえず集めるべきものを確認いたします。
 
 ウーム、けっこう多いなぁ……。
 
 ((14日に間に合わすため)とりあえず、ここまで)

拍手[0回]

ルパン三世19『戒厳令のトルネード』富沢義彦
(双葉文庫ゲームブックシリーズ/1991/12)
 
 というわけで、前回(2019/05/07) の続き。
 
 前回はあらすじ。
今回はその面白さについて迫ってみようと思います。
 
 
 このゲームブックの面白さは、ずばり物語としての面白さでございます。
 
 分岐によって展開は大きく変わり、
一度プレイしただけではそのすべてを堪能することはできません。
 
 しかも、どちらかのルートがハズレということはなく、すべてのエピソードが面白い。
 
 こう大胆に展開が変わりますと、
人物の出し入れや時間的なつじつまが結構大変なことになります。
 この作品でもそれはそうなのでございますが、
そのあたりを非常に丁寧に整合しているのでございます。
 
 わかりやすいのはスイス。ジュネーブでの潜入が終わったあと、
ルパンと行動するか、次元一人で日本に行くかで展開が分かれますが、
ルパンとならスイスでカーチェイスが入り、日本ならそのあとの山小屋で合流。
そのつながりがけっこう自然なのでございます。
 
 ユーリ・ゴドノフのシーンもそう。
マンハッタンの迷路に入る前か最後の最後、どちらかで対決するのでございますが、
違う流れが用意されていて、どちらもカッコいい。
 
 それとマンハッタン後半。
 このあたり、自力で行けるルート(わずか1でございますが)と
「銭形」を必要とする部分があるのでございます。
 どちらもそのあと歩きになって、
モニカとストリートファイターに出会うのでございますが、
出会う時間帯が両者で違うということなのでございましょう。
パラグラフを費やして、状況や戦い方を変えているのでございます。
 
 このあたり、たいていのゲームブックでは、シーンごとにまとめるなどして、
わかりやすく、事故が起こらないようにするのが普通だと思うのでございますが、
ここでは、物語の流れを優先している……。
 凝っているなぁ、と感じました。
 
 アイテムや情報といったメモしておくべき太字部分についても同様にございます。
 
 実のところ本作は、それほど難しくはございません。
 ズルをせず、正直にまじめにプレイしたとしましても、
 (↑ゲームブックの「ズルをしない」には何段階もあるような書き方……)
3回か4回かでエピローグまで行けるのではないでしょうか。
運がよければ1回で行けるかもしれません。
 
 フローチャートは素直だけれど、分岐によって激しく展開が変わるし、
太字のアイテムや情報を1回のプレイですべてとることはできないと思うんだけど、
どうなっているんだろう?
 読んだときには起こらなかった疑問が、
フローチャートを描いていてはじめてわき起こります。
 
 どういうことになっているかをたどってみると
(軽く見てみただけなので確かなことは申せませんが)、
どうやら取らないと詰んでしまうというような必須の太字はないようなのでございます。
 
 つまり、どのアイテムを取らなかったとしても、
エピローグまで行ける可能性はあるということでございますな。
 (素早く申しそえておきますと、
  関係ないところでゲームオーバーになることはございます)
 
『火吹山の魔法使い』を例に出すまでもなく、
アイテムの有無がパズル性になっているゲームブックがほとんどだというのに、
これは画期的と申しますか、独特と申せましょう。
 
 アイテムの効用としては、
ほかに物語の矛盾を排除するために使われることも多いですが、この意味合いも薄い。
先ほど書いたつながりを丁寧に管理して、それらを極力少なくしているのでございます。
 
 ですから、太字のチェックが使われるのは、主に展開の優劣、変化。
このアイテムを持っていればこのエピソードが加わるとか、
展開が変わるというものでございますな。
 その物語の変化を楽しむことが、このゲームブックのゲーム性とも申せましょう。
 
 ……。
 とは申せ、「銭形」は必要でしょうかねぇ。
彼が活動していないと、マンハッタン後半のルートが一つと、
かなり厳しくなってしまうものでございますから。
 
 物語の面白さについては、作者の富沢義彦先生、
こうしたアクションものが好きなのでございましような。
 冒険活劇やスパイもの、そしてもちろん『ルパン三世』によく通じていらっしゃる。
 
 ですから、手数が多い。
前回見てまいりましたように、シチュエーションはバラエティに富んでいて、
そこで起こるイベントもさまざまなものを用意しております。
 
 その中でのアクションもバリエーションがあり、
パラグラフごとに新たな展開があると申しても過言がないほど。
 
 よくございましょう? 
 先の展開が読める退屈な作品って。
 
 このゲームブックでは、そういうところが少なく、
先の展開が気になるところで終わっていて、
ページを繰る手を休ませないのでございます。
 クリフハンガーでございますな。
 
 しかも、多くの場面で展開には意外性と納得性がございます。
『逆転裁判』で申しますところの「オドロキ」と「ナルホド」でございますな。
 
 たとえば、次元がマグナムをぶっ放す選択がいくつかございます。
 
 スキーチェイスの場面では、迫り来る敵に対し、
手心を加えることなく、思いっきり撃ちつづけると……。
 ……。
なだれに遭っゲームエンド。
 
敵のことに気を取られて
雪山だっていうことは忘れておりますから意外でございますし、
雪山で大口径の銃をぶっ放したら、そういうこともあるな……、と納得もできます。
 
 日本で警官隊に囲まれる場面では、前方から放水車が現れます。
 前に撃って逃げようか、それとも後ろか……。
 この時、前に撃てば放水車のホースに弾があたって水圧の壁から逃れられるのすが、
これもホースを狙ったつもりはないので意外性がございますし、
放水が中断されたことで逃げられるという納得性もございます。
 
 作者の工夫と力量がうかがえる部分でございます。
 
 選択肢にしても同様。
 選択肢は選ぶ意味があり、その先の展開にもちゃんと一工夫が用意されております。
 
 意地の悪い致命的なルートがなく、
[END]から抜け出る手段が用意されているのもいいところ。
 
 選択によっては、
どちらを選んでもゲーム的な優劣には関係ないところもしばしばございますが、
物語的な違いという分岐する意味がちゃんと用意されているのでございますな。
 
 たとえば、ルパンがやるか、次元がやるか。
 どちらでも成功いたしますが、
展開が異なり、描写的な優劣があったりして、楽しめる部分でございます。
 
 安易なゲームブックですと、ここらへん、簡単に[END]にしちゃったり、
数値的要素がある場合ですと、体力減らしたり、戦闘を発生させる場面でございますよね。
 
 それを意外な展開や物語的な面白さで切り抜けているあたりは、
作者の腕の見せ所でもあり、ルパンらしさでもあるところ。
 さらに、このゲームブックの難度を低くとどめている大きな要因でもございます。
 
 ゲームブックは何度でも遊べるということから、
何度も失敗を繰り返さないとゴールにたどり着けないような
難しいものも多くございますが、
この作品は、展開を多彩にして、
何度もプレイしてみたくしているのが良いところなのでございます。
 
 描写と申しますれば、双方向移動部分。
 こういうところって、「○へ進む」など、方角の選択肢のみだったりして、
プレイしていてダレる部分でございますよね。
 このゲームブックではそうした場面でも、
描写に変化を加え、飽きさせないよう、ダレさせないようにという工夫がございます。
 
 前回見てきたマンハッタンでの、地図と対応した描写もその1つでございますな。
それだけではなく、警官隊の行動を各場所で違ったものにしたり、
ビルのらくがきやラジオの情報が入ったりと、いろいろと工夫しているのでございます。
 
 たとえば、どこでもよろしいのですが、
 
 パラグラフ294
 セカンドアベニューの交差点、イースト川沿いの道だ。
先にルーズベルト島に抜ける橋が見える。
マンハッタンの中に様々な罠が仕掛けてあるのを知ってて、
その中を通るのは馬鹿正直ってやつだ。ブルックリンから回る手もあるかな。
 
 と、次に来る選択に考える意味を持たせたり、
 
 パラグラフ373
 ウェスト59ストリートとウェストエンドアベニューの交差点だ。先は長そうだ。
慎重に行こうぜ。
 
 のように、1行あまりの文章でも、その場にいる雰囲気を出しているのでございます。
 


 このゲームブックでは、
次元の感想やルパンの台詞などをとおして臨場感を醸しだし、
プレイヤーの行動の指針を与えているのでございますな。
 
 主人公は無色透明な方がいいと、かつては言われたものでございますが、
そうとも限らないといういい見本と申せましょう。 
 
 
 

☆ ゲームブックの分類として、RPG型・パラレル小説型というものがございます。
 
 選択肢をたどるだけのものがパラレル小説型、
能力値や所持金など、数値的要素が変化するのがRPG型というわけでございますな。
 
 かつては、変動的要素があるため、RPG型のほうが本格的で優れている、
などと言われたものでございます。
 
 これは、ブームの最初の一年に安易なゲームブックが乱造されたり、
『火吹山~』以前の海外ゲームブックが数多く輸入されたことと、
ゲームブックについて書いていた方々が、
主にTRPG出身であることによるものでございましょう。
 
 当時はわたくしも、なるほど、そうなのか、と鵜呑みにしておりました。
 でも、ジャンル自体が、優れているとか劣っているということはございません。
 
 パラレル小説型のゲームブックには、物語としての工夫しがいがあり、優れた作品が生まれる可能性は十分にございます。
 
 あとは好みの問題でございましょう。
 

拍手[1回]

などと書いたら、「いかがなものか」と、切り返されそう。
 

というわけで、双葉社ルパン三世ゲームブックシリーズの最終巻、
戒厳令のトルネード』でございます。
 
ルパン三世19『戒厳令のトルネード』富沢義彦
(双葉文庫ゲームブックシリーズ/1991/12)
 
戒厳令のトルネード
 
 
 
 

 双葉社ゲームブックの最後から2番目
 掉尾となりました『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』と同じく、
 作者は富沢義彦先生。

 今も現役のマンガ原作&シナリオライターでございますな。
ツィッターとかもやっておられるみたいでございます。
 
 双葉社のゲームブックは、末期に良作が多くございますか、
 この2作品は、もう傑作!! 
 富沢先生にはもっとゲームブックを書いていただきたかった
 わたくしの思うところでございます。
 
ゼルダの伝説』のほうは、前にも書いたかもしれませんが、
バグまみれで普通の人にはお勧めできません
(が、いい作品なのでそれを直していく作業が楽しく、
 個人的には好きな作品なのでございます。
 そういうパズルが好きな方にはオススメ!!)。
 
 ですが、『戒厳令のトルネード』は、そういうことはございませんし、
ルール的には太字のアイテムや情報をメモしていくだけの、
いわゆるパラグラフ小説型でございますから、どなたでも楽しめるものと思います。
 
(ちなみに『ゼルダ~』のほうは、
 判定がある、ゲームよりに振ったものになっております)。
 
 全体の移動型は一方向で、
 途中のスイスとクライマックスのマンハッタン双方向移動型
 ゲームブックの迷路的な面白さも楽しめるようになっているのでございますな。
 
 ルールにしろ移動型にしろ、システム的にはそれほど複雑ではございません。
フローチャートを描いてみると、意外と素直
 
 ただし、手抜きというわけではございません。
 太字のアイテムや情報の配置、
それに物語のつながりなどが丁寧に作られていて、
それがこの作品を面白くしているのでございます。
 
 主人公は次元
 物語の半分までは、彼がルパンを探すハードボイルドアクション。
 
 後半、ルパンと合流してからも基本的に雰囲気は変わらないのでございますが、
ルパンのやんちゃな性格が乗り移ったかのように行動や口調が派手になってまいります。
 
 きわめて自然なのですが、ときにはルパン視点なんじゃないの? 
というはっちゃけた言葉も飛び出すような……。
 
 どのパラグラフかは忘れましたが、次元はルパンを評して、
何を考えているかわからないけど頼りになる、と言うようなことをおっしゃっております。
 
 そうした何を考えているかわからないルパンを表現するためもあって、
次元を主人公にしたのでございましょうな。
 
 実際、ルパン
トリッキーな手段や秘密道具を使って敵をやっつけたりやり過ごしたりするシーンもあり、
それがルパンらしさ、このゲームブックの面白さにもなっているのでございます。
 
 五右衛門は、情報提供役として1シーンのみ登場。
 ルートによっては登場しないことも。
 五右衛門出ずっぱりだと、ピンチがピンチでなくなってしまいますからな。
 妥当なところでございましょう。

 不二子は、敵か味方かの謎ポジション。
 
 意外に重要な役割を果たすのが、銭形
共闘などはないものの、ピンチのときに重要な役を果たします。
 
 総じて、よく分かってる配置でございますな。
 
今回の敵はICPO
それも、いつもは先頭に立つはずの銭形が、今回はハブられる形で、
かわりにとある二つの組織が……。
 
 ルパン三世ゲームブックシリーズの最後を飾る、
巨大な敵と申してよろしゅうございましょう。
  

『ルパン三世』が007シリーズから発想されたということは、
ご存じの方も多いと思いますが、
 まさにスパイ映画よろしく、このゲームブックでは、
世界各地をめまぐるしく移動することになります。

  
物語は、ボリビアのラパスからスタート。
場末の酒場で情報屋とポーカーで勝負し、
パラグアイへ。
 
 そこの工場か邸宅で一悶着あったあと、情報を得てベルリンへ。
空港で敵に追われたあと、町中を走るタクシーにルパンを発見。
ベルリン駅で五右衛門に会えれば、
彼のすすめで銭形に会いに日本へ行くことになります。
  そうでなければルパンを追ってスイスはジュネーブへ。
途中、列車内で殺されかけますな。
 
 ジュネーブに行った場合はルパンと合流し、ICPOのジュネーブ本部へ。
2人は、銭形と私服警官に扮して潜入いたします。
  
 その後、次元はルパンとともに行動するか、日本へ銭形に会いに行くか。
 
 日本で銭形とあった場合は、ICPO別働隊とやり合ったあと、
スイスでルパンと合流でございますな。
 
 日本へ行かなかった場合は、アルプスで双方向移動型のチェイスが発生。
山小屋までたどり着くと、今度はスキーアクションでございます。
こちらのルートですと、次元にとっての今回の敵、
ユーリ・ゴドノフとの因縁が語られますな。
 彼の妹・ソーニャと次元の悲恋は、アニメの第一シリーズあたりにありそうな感じ
(調べてみましたが、よく分かりませんでした)。
 
 まぁ、そんなこんなでルートは合流し、モスクワへ。
ここで、時代がゴルバチョフ失脚後のクーデターのあとだということがわかります。
 
 これは、1991年8月19日~22日に起こったという
ソ連8月のクーデターのことでございましょう。
このゲームブックの出版が1991年の12月でございますから、
執筆時のリアルタイムという感じでございましょうな。
 
 モスクワでは、不二子さんの紹介でKGBのロマノフ氏に会うことになります。
西側のマフィアに紹介してくれればICPOの作戦の裏をかいてくれるとか?
 
 彼の話にのるかそるかで分岐が発生。
 のる場合でも、彼のいうルートで変装していくか、
自分たちのプランで飛行機で行くかでまた話が分かれます。
 変装の場合、どんな格好をするかじゃんけんで決めることになりますが、
まぁ、けっきょくバレてしまいます。
生きていればイタリアへ。ここでも追われて、死ななければニューヨークへ。
 
 飛行機で行く場合、飛行場に着くとカウンターでもめごと。
どうやらICPOが飛行機を借り切って待ち構えているご様子。
かまわず乗って死ななければニューヨークへ直行。
乗らなかった場合には、ほかに日本へ行って銭形に会うという選択が発生いたします。
 
 日本では演説中の銭形が、銃で撃たれる場面に遭遇。
 その後ニューヨークへ。
 
 分岐がすべて集まり、ここで一瞬(パラグラフ129)、
敵の状況を表すシーンが差し込まれます。

「戒厳令作戦」のスタートでございます。
「この巨大な街にもトルネイドが吹き荒れようとしているのだ」と、
タイトルの言葉を入れておりますな。
 
 というわけで、このあとパラグラフ292からは双方向移動型。
 ゲーム性のより強い方式に移動型を変えて、
ルパンたちは夜のマンハッタンを自由の女神のあるリバティ島へ行く方法を求めて、
自動車で移動とあいなります。
 
 とりあえずの目標といたしましてはバッテリーパーク。
 そこにルパンがボートを用意しているのでございますな。
 ただし、それが唯一の方法というわけでも、まぁございません。
 
  最初のほうのページに、方眼のマッピングシートが用意してございますとおり、
途中のイベントをそこにどう書き込むかはともかくとして、
地図は四角に描いていけば無理なく描けるようになっております。
マス目といたしましては、だいたい9×9を想定しておけばよろしいでしょう。
 
戒厳令のトルネード マップ  
 
 スタート地点であるホテルヒルトンは、左から5マス、上から4か5マス
だいたい中央に描いておけばよろしゅうございましょう。
 
 文中には、だいたいにおいてどこにいるのかの描写があり、
付属のマンハッタンの地図と照らし合わせれば、
マッピングに苦労することはございません。
 
 いい作品と申すのは、そこら辺もプレイヤーの気持ちを分かっておりますな。
 
 で、目的地までは車で行けるかと思いきや、途中で移動手段の変更が発生。
車がやられて歩きになったり、ヘリで行くことになったり……。
 
 ここら辺の一筋縄でいかないところも、物語を面白くしている部分でございます。
  
 で、いよいよリバティアイランドへ。
クライマックスでは、ユンカースを相手に次元が……。
 さらに、ここまで倒していなければ、ユーリ・ゴドノフとの対決も。

 ゲームブックですから選択次第ではございますが、かっこよく決めて締めてくれます。
 ニューヨーク市警やルパンの手柄になってしまうこともございますが、それもまた
ちょっと苦みのあるいい終わり方には違いございません。
 
 そこら辺のたたみ方も、この作品の優れたところでございますな。
 
 エピローグは軽いコミックリリーフ
ハードボイルドな雰囲気を軽くまとめて結んでおります。
 
ルパン作品らしい。
 

やつの相棒はやめられない」という最後の言葉が、
この作品を言い表しておりますな。
 
                   (たぶん続きます)

 

 

拍手[1回]

 
高寺彰彦先生が喜籍に入られたようでございますな。
 
 信じられない思いでございますが、ご冥福をお祈りいたします。

 

 大友克洋先生のアシスタントとして、
またご本人の手がけられました数々のマンガやイラスト作品をとおして、
知っていらっしゃる方も多くおられると思いますが、
ゲームブックファンといたしましては、これ。
 
 『妖魔ハンター』小林秀敏(飛鳥新書/1986/1)。
 
 妖魔ハンター
 

 これのイラストをお描きになっていらっしゃるのが高寺彰彦先生でございます。
 
 作者の小林秀敏先生と申しますれば、
ゲームブックファンにけっこう評価の高い、
光文社の『縄文伝説』(1985/12)という作品を知っておられる方もおりましょう。
 
 ん? 今気がついたのでございますが、1986/1と1985/12。
この2作品って同じ時期に書かれているのでございますな。
 
ちょっと、いやかなりすごい。
 
妖魔ハンター』のストーリーは、
こんな感じでございます。

199X年の東京大地震を皮切りに起こった世界的な「大災厄」は、
この世界に妖魔をもたらした。
 
 あなたは、妖魔ハンター明神タカシ。
 
 新宿シティに、同じ妖魔ハンターであり、
あなたの恋人でもあるジニーを探しにやって来た。
 
警士隊・傭兵隊・住民グループ・妖魔、そして盗賊団、暗黒教団。
これらの勢力が対立する魔都新宿であなたはジニーを見つけることができるか、
 
 
 ヒントによりますと、これら対立する勢力の中に、
ゲームのカギを握る人物が2人いるのだそうでございます。
 
 
「上級者用」と銘打ってございまして、 
サイコロを2個使う戦闘あり、魔法ありの
ゲームブックといたしましては本格的な部類に属します。
 

選択肢も多く、たぶん上級者用の名はダテではないと思います
 
……
  
 
いや、ちゃんとやってはいないのでございます。
すみません。

拍手[0回]

「<アドベンチャーゲームブック>
 ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂」


『第七階層からの眺め』第七階層からの眺め
ケヴィン・ブロックマイヤー
 金子ゆき子訳
(武田ランダムハウスジャパン/2011/11)
 
p.153-236
 
 
 これも、図書館で借りてきたもの。
 ただし、こちらは開架書庫。
 
 
『第七階層からの眺め』
 短編集。

日常の中にちょっとした不思議が舞い込む話や、
逆にSF的な舞台の中で、
ものすごく日常的な物語が展開する作品が特徴だ。
 
 こうした小説は、
従来ならSF・ファンタジー的な解決が求められたりするのだが、
この作品集はむしろ逆。
 
 そのような普通とは違う状態を取り入れることで、
日常をより際立たせ、登場人物らの心理をより色濃く描いている。
 
 解説の小川隆先生によると、
このような作品を寓話小説(fabulist fiction)というのだそうだ。
 
p.373「ここでいう寓話とは、動物やものを擬人化して、
   そこに何らかの隠喩をこめ、教訓や洞察を含む何らかの寓意を伝えよう
   とする話というよりも、現実を写しただけでは描けない、目に見えにくい真実を
   描くために、空想的な設定を用いた話という程度のニュアンスだ。」
 
 描写が丁寧で、比喩も的確。
 それでいて、落としどころがちゃんとあるのが心地いい
  (すべてというわけでもないようだが)。
 
 終わったのか終わらないのかわからないような結末は、
どうにも落ち着かないので、個人的にうれしい。
 
 それとは関係なくこの作者、物語に絡む絡まないにかかわらず、
何かがだんだんに増えていくという話が好きなようだ。
 
千羽のインコのざわめきで終わる物語」ではインコが、
静寂の年」では、最初静寂、その後喧噪が、
ポケットからあふれてくる白い紙切れの物語」では、願い事が書かれた紙切れが、
 
 多くなっていく。
 
 一方のモチーフが「宇宙大作戦(スタートレック)」の
トリブルを連れた奥さん」でも、どんどん増えていく生物、トリブルが登場する。
                  (物語の中心には絡まないが) 
 
 この「トリブルを連れた奥さん」。最後の2行(?)が好きだ。
 
 もう一方のモチーフである「犬を連れた奥さん」の作者が
チェーホフであることを示しているのだが、
これを「宇宙大作戦」のあの人物が書いたのだとすると、視点的に面白い。
 
  どんどん増えていくといえば、拡散型のゲームブックもそうだ。
 物語がすすむにつれて並行するエピソードが次々に増えていく。
 作者がゲームブックを題材としたのも、そこに興味があったためかもしれない。
 
 
 
 というわけで、本題。
 

「<アドベンチャーゲームブック>
ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂」
 
 アドベンチャーゲームブックと題されているが、ゲームではない
 これは、バンタム社などの
一般的なゲームブックの形式で書かれた作品といった程度の意味だろう。
 
 めまいに襲われた「あなた」が死ぬまでの数時間の日常が描かれる。
 
 家にいて本を読んだり、外出して店に入ったり、
 誰かと話したりする中で選択肢が発生する。
 超常的なことは特に起きない。

 主人公は「無色透明」ではなく、
思ったことや過去の経験などもどんどん出てくる。
本や音楽のタイトルとその感想まで書かれているが、
描写が丁寧で物語としてもしっかりしているため、特に気になることはない。
  
 そういう意味で、『石蹴り遊び』とも似ているのだが、悪印象はなかった。
 分岐に意味があるためだろう。
 
 どの分岐をたどったとしても、それぞれに主人公は考え、それぞれの人生を歩むのだ。
  
 
 移動型からみると、この作品は拡散収縮型にあたる。
 
 作中に示されているフローチャートは、こうだ。
 
ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂
 

 
 本当に純粋な拡散型で、最後に行き着くまで、合流するパラグラフはない
 
 選択が違った行動が、あとでまったく同じ状態になることは本来不可能なので、
こういう形にしたのだろう。
(ゲームブックで合流ができるのは、描写その他に省略があるからだ)
  
 最後のパラグラフであるp.200は死の場面だ。
 普通のゲームブックでは、死はゲームエンドの意味しかないので、たとえば
ブレナンの14のように、1つのパラグラフに担わせていても、
移動型としては考慮しないのが普通(○○収縮型とは呼ばない)だが、
この作品では、最後は死に収斂する(加えて、「あなた」の死後に着地点となる話が
少し続く)ということに意味があると思われるので、拡散収縮型に分類する。
 
 
 作者の書くフローチャートの中心に、どこからも行けないパラグラフがあるが、
そこ(p.171)ではタイトルにある「ループ・ゴールドバーク・マシン」について
説明をしている。
 
 「インクレディブルマシーン」や「ピタゴラ装置」のようなものの、
大もとであり、総称らしい。
 
「人生そのものが一種のループ・ゴールドバーク・マシン、つまり、
 人の魂を構成するというきわめて簡単な仕事を実行しているきわめて複雑な装置」

だと考え、それに細やかな説明を加えている。

 あとのほうに「人生のあらゆる瞬間に変化があり」と書かれていことから考えると、
人生何が起こるか分からない、という意味合いよりも、人生の瞬間瞬間に意味がある、
ということにこそ力点が置かれているような気がする。
「ループ・ゴールドバーク・マシン」が瞬間の仕掛けにこそ楽しさがあるように。
 
 ただ、このようなテーマ的なものが書かれているとはいえ、
テーマのためだけに作者がこの作品を書いたとは思えない。
 ある一点から展開する、さまざまな日常、そこでの行動、心の動き。
それを描く為にこの作品を書いたのだろうし、
読む側も「ループ・ゴールドバーク・マシン」を見守るように、
それぞれの動きを楽しむべきだろう。
 
 
 ラスト(ちょっとネタバレになるが)は、ちょっと疑問が残る。

 数千年後、「あなた」の最後の数時間の記憶(つまり、この短編の部分)は、
取り出され展示されることになるが、
その記憶は、ここに書かれたすべてではなくて、
「あなた」が選び、経験した一本の記憶となるはずだが、それをどうとるか?
 
 正確に考えればそうだが、
シャンデリア状のフローチャートが書かれており、
そのすべてが作品として書かれていることを考えると、
全体が展示されていると考えた方が美しいし、たのしい。
 
 まぁ……。
 
 どちらととるかは、読者次第、好みということでいいのだろう。
 

拍手[0回]

『ランサン作戦』柘植久慶
(日系企画出版局/1991/11)
ランサン作戦
一方向移動 拡散収縮型パラグラフ数221

 ゲームとはまったく関係ないのですが、
このゲームブックを手にしてまず目につくのが
巻末の広告でございます。
 
・ 柘植久慶の「ザ・護身術」
・ UFO原理と宇宙文明
・ 催眠術の神秘
・ 密教金剛舎利護身術
・ 不道徳催眠術講座
    モテモテの為の恋愛催眠術
    強くなる為の武道催眠術
・ 世界は日本人により平和となる
    日本人の使命
・ 般若心経の大予言 神理統一教会
    ついに世界唯一の神が出現した
・ 催眠蓮華密教の秘宝  
    ――神は「神理統一教」を人類に与えた――
 
 などと、護身術のビデオとか催眠術の本とか、あやしいタイトルが並びます。
 

 「使用道具の説明」も、なんかメモ書きをそのまま載せてしまったような……。
 
 ランサン作戦・使用道具
 
 その前の「はじめに」も、
わざわざマンガにするところではないような気もいたします。
 
 そこから、ブリーフィングをはさみながら、
部隊のメンバー紹介、使用武器、装備などが紹介されていくのですが、
ゲーム的に意味がないし、こちらも文章はメモ書きみたい
 
表紙には、「本文イラストは、細部にいたるまで忠実に実物を表現
と書かれてございますが……、マニアの方にはどうなんでしょうねぇ。
 
 とりあえず、編集の実力に疑問を抱くところでございます。
 
 さて、気を取り直しましょう。
 
ランサン」とは、
百万の象を意味する古いラオスの王朝の名だということでございます。
 
 時は、1970年代。ベトナム戦争のさなか。
 
「あなた」は特殊部隊の大尉として、11名の部下と現地人の案内人1名とともに、
ラオスの山岳地帯へ潜入するわけでございます。
 
 目標は敵補給基地
天然の洞窟を利用しているため、爆撃は不可能なのでございますな。そ
こで特殊部隊が潜入し爆破する、というわけでございます。
 
 途中には小規模の見張り所、Y-1、Y-2があり、
それもなんとかしなければなりません。
 
 考えられるルートは5つ
 そのどのルートを通っても、脱出できる可能性はある。
 
 一方向移動で、
 5つのルートがさらに選択で分かれ(拡散型)
目標達成後、脱出時にはパラグラフが合流する場合もある
(そうならないものもある)ので、拡散収縮型でございます。
 
 拡散型なので、1つのルートは短め。
ですが、集中してプレイすることを考えれば、このぐらいが適当かと存じます。
 
 
 さて、ここから、ネタバレを含むのでご用心。
 
 ベトナム戦争が題材なので、とにかく生き残るのが難しい。
 選択肢のうちどちらへ行ってもEND、なんて、
スティーブ・ジャクソンみたいなこともやっています。
 
 とにかく、アイテムとか拾っちゃダメ。
ちょうど都合いいとか思っても、それは確実にブービートラップです。
 そういえば、冒険記録紙のようなアイテムを記録しておく場所はありません。
 そういう点、ファンタジーに対するアンチテーゼなのかなとも思ったりして。
 
 見通しのよい小川や、ちょっと広い道はワナですし、
たばこや用便の臭いは、しっかり漏れないようにしておかなければなりません。
銃や爆弾を使えば、敵兵や戦車がやって来て戦闘が発生します。
 
 そんなわけでこのゲームブック、とにかく死にやすい。
 
「END」になっていなくても、
戦闘の結果、大尉(あなた)が死ねばそこでゲームオーバーですし、
メンバーはどんどん減っていきます
(減っていっても、ゲーム的には問題ないみたいですが)。
 
 逆に「END」は、全滅を意味するところもあるものの、
作戦失敗するも脱出だったり、作戦成功して脱出だったりするので、
「END」が多いからといって
一概に全滅しやすいとは言えないところが、レビューする身としてはつらいところ。
 
 ただし、そこでもたいていは戦闘があり、
大尉(あなた)が死んだり、脱出用のヘリが撃墜されれば全滅。
加えて生き残りが減る可能性もあります。
 
 ベトナム戦争ですから、生き残るのが困難なのも当然なのかも知れません。
 
 ただし、
 
 ここまで読んできて、つまらないゲームブックだと思われた方も
多いかもしれませんが、そんなことはございません。
 
 文章は読みやすく、
戦場に関する本を数多くものにされている作者でございますから、
そうした場所での行動や現実的な対応がよく描けております。
現実を舞台としているため選択肢に意味もあり、結果にも納得性がございます。
 
 トランプやサイコロを使わずとも、読み物として楽しめる。……。
 個人的には、そのほうが面白いと感じました。
 

拍手[0回]


『王様と乞食』王様と乞食

スーパー頭脳集団アイデアファクトリー
(エキサイティング・ゲームブック17 
         桐原書店/1986/3)

 パラグラフ数200



 エキサイティング・ゲームブック
            シリーズ最終巻。
 
  
 ある日突然、
君は、トランプのジョーカーそっくりの奴に、
中世ヨーロッパのような国へ呼ばれてしまう。
プンラト王国なんてふざけた名前のそこは、
もっか「ニセの王」が支配していて、民衆の
心はすさむ一方だという。早く、「まことの
王」の後継者を見つけださなければいけない、
ということで白羽の矢を立てられたのが、君
なのだ。といって、行けばすぐ王様にしてく
れるわけではない。君は、自力で4つの
「王のしるし」を探して手に入れる必要がある。
 
            (背表紙のあらすじより)
 

  
 この文章から分かるとおり、
この物語はマーク・トゥエインの『王子と乞食』とはまったく関係ございません。
 
 トランプモチーフですが、大貧民も関係なし。
 
 プロローグを読み始めた段階では、
ジョーカーになって真の王様を探すのかなとも思ったのでございますが、
あらすじどおり、ジョーカーに指名されて
「きみ」が王様候補として、
現実世界から夢をとおして異世界に呼び出されたという趣向です。
 (でもそれだったら、表紙のトランプモチーフの王様はいやだなぁ……)
 
「きみ」の左手親指の爪には、白い星が浮き出て、
これが王様の印だというのでございますな。
 指の白い星は、幸運の印などと占いではいうみたいでございますから、
それにならったものでございましょう。
 
 ちなみに、ライバルなどはおりません。
ENDは、死ぬとか、乞食になるとか……。
現実世界に戻ってくるという発想はないようでございます。
 
 
 ゲームを終えてからはじめて気づいたのですが、
プロローグにはゲームのヒントがいくつか書かれております。
 
「まことの王」(以前の王様)の家臣は、湖・森・田園・乞食の国を領土としていた。
 ニセ王が君臨した今では、乞食や野良仕事をする村人に姿をやつしている。
 ニセ王は隣国の軍の力を借りている。
 四つの「王のしるし」を集めて城に乗り込めば。「ニセの王」は倒せる。
 
 などでございますな。
 
 
 ルールでございますが、

 エキサイティング・ゲームブックのルールの特徴として、
設定がものすごく凝っていることが挙げられますな。
 
凝っているんだけど、
実際にやっていることはファイティング・ファンタジーと大して変わらなかったり、
実際のルールはたいしたことなかったり、
こだわりが煩雑さになってゲーム的には面倒になっていたり……。
 
 このゲームブックでも、そう。
 
 ・Jokerの気分占い
 ・運勢点の決定
 ・カード戦
 ・吉凶占い
 ・行く先占いA
 ・行く先占いB
 
  と、ゲーム前にルールがあり、
  さらに本文中でも、

  ランプ売りの占いと、
  
  「王家の紋章」(ピラミッド)
 
  「王のしるし占い」(「とらわれの女王」というゲームらしい)
 
  そして最後の戦いは
  「四つの王国
   (「四人の仲間」というゲームらしい。
     フリーセルが交互に色を置いていくのに対し、
       これは同じスーツを置いていく。難しい……)と、
 
  3つのトランプの人遊びが登場します。
  
 トランプらしさいっぱい、といいたいところではございますが、
それぞれルールが違っていて、いちいち並べ直さないとならないのが面倒。
 
 バランスは……、というところで気がつきました。
 
このゲームブック、占いや戦闘によって運勢点が頻繁に上下するのですが、
運勢点を使うとか、運勢点が何点以上なら、というところが一切ない!! 
運勢点が0になったら死ぬとかいうルールもない!!
  
運勢点意味ないじゃん!! 
 
っていうことは、失敗すれば遠回りになるけれど、
途中いくつかあるENDに捕まらなければ、何とかなるっていうこと?
 
 ゲームブックとしては、それでいいと思います。
 何度も同じ場所に行くなどして時間を使うこと自体がペナルティになるわけですから。
 
 でも、ルールとしては……、ねぇ。
 
 一人遊びの部分は、「四つの王国」などゲーム的には難しいものもございますが、
制限時間が設けられていますので、その制限時間内に完成すればいい、
ということなのだと思います。
 
 そう考えれば、それほど難しくはないのでは?
 
 
 
 物語の流れは、この手のゲームブックとしては、オーソドックス

「町」「田園」「ぶどう園」「乞食村」「森」「湖」といったところをまわり
(「となりの国」に行く場合もあります)、王のしるしを集めて「城」へ入場。
「ニセの王」との対決となります。
 
 王の四つのしるしは、「剣」「聖杯」「金貨」「木の棒」
言うまでもなく、トランプの各シンボルの元の姿です。
 これらをまことの王の臣下から受けとるわけでございます。
 (以下、ネタバレ)

 「乞食村の老人」(♢・金貨1枚)
 「錬金術師」(♤・鉄の剣)
 「クワを持つ農夫」(♧・木の棒)
 「ジプシーの長老」(♡・聖杯)
 
 金貨は、お城の前の商人のランプと交換いたします
 
 で、入城となるわけですが、木の棒は運がよければ要らない、
剣は選択によっては要らない……。
もしかすると、「ニセの王」が自害するときに短剣を使っているので、
こで何かあったのかもしれませんが、
ルール的には持っていなくても、200に行くことは可能のようでございます。
 
 
 一方向移動型ですが、
町や村から出るときに他の場所へ行く選択が3つほど出るので、
行きそびれた場所に何度でも行くことが出来ます。
 
 ストーリー的には、
となりの国に行って作戦を聞いてきたり、乞食村の娘と結婚したり、
イベントも変化に富んでいて、意外に面白い
(娘と結婚した後思い直して元に戻るのは、時間的に大丈夫か、
 とか気になるところでございますが)。
 

 まぁ、オーソドックスな出来と申せましょう。
 
 
ちなみに「ニセの王」は隠し部屋で自害をしてしまうので
               直接対決することはございません)
 

拍手[0回]

『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)
      発売記念イベント フーゴ・ハルと語る、
          ゲームブック/ブックゲームの楽しみ方/つくり方 の

ブログに上がった写真を見ていたら、奥の方になにやらそれらしき書影が。
 
というわけで図書館で借りてまいりました、 

 
『羊を数えて眠る本』羊を数えて眠る本
   ブライアン・ログウッド(二見書房/1993/1)
 
 ただ、借りるとき詰まってしまいました。
一度検索機で出てきたのに、あとで検索しても出てこない。
さんざん打ち込んで、
仕方ないので「羊を」で検索してみたところ、分かりました。
最初はちゃんと打ち込んだのに、
あとで試したときは『羊を探して眠る本』と
やっていたのでございますな。
まったく機械って融通利かない。
 
 
 これ、書店で見かけたときは、
さんざん迷って結局買わなかったのでございますよね。
だって、ゲームブックではなくってパズル本でございますし。
それに、パソコンで作ったような画面(マック風?)で、
羊がコピペな感じが手抜きに思えたのだと思います。
 (コピペでも労作なのでございますが)
 

 さて、
 開いてみると、
 農場の地図が描かれ、ログウッド一家の紹介がございます。
「今日は一家そろって羊を数える日」というわけで、
それぞれがそれぞれの方法で、羊を数えていくのでございます。
 構成は、午前(西の牧場)、午後(東の牧場)、夜(東の牧場のフェンス)の三部。
 夜には狼も現れます。
 一種のストーリーゲームなのですな。
 これが絵自体と相まって、全体をいい雰囲気に仕立てております。
 
 というわけで、
 両開きの画面に何匹かの……何匹もの羊が描かれております。
 タイトルどおり、これを数えていくのでございますが……。
 
羊を数えて眠る本 
 
 
 そうそう。本屋さんで見たときは、これ、時間の推移を表していて、
最初の見開きの羊を数えたら、
次の見開きでは、さっきいなかった羊を数えて最初のものに足していく、
といった面倒くさいものなのかなぁ、とか思ったのでございますよね。
 
 それも買わなかった理由だったような……? 
 でもそうではないご様子。
 見開きごとの羊はそれぞれいる場所が違っているみたいで、
それをどんどん足していけばよろしいようでございます。
 
やすらかな眠りに誘う不思議な絵本」とソデに書いてはございますが、
まぁ、まったく眠らせるつもりはございません。
 数えているうちに、どんどん目がさえてまいります。

 こんなの簡単だろうと急いで数えていくと、
牧羊犬や人までも巻き込んで数えてしまい、
なんか多く数えてしまったりしているのでございますな。
ではとばかりに、数えなおすと、今度は何匹か足りなかったり……。
  

 それぞれのチャプターの最後には羊を数えて眠る本
Question」がもうけられておりまして、

 

 羊の数は何匹? ですとか、
 誰それはどういう方法で数えていた?
 狼に食べられたのは?
 てなことを聞いてくるのですから、
なおさら眠れない……。
 巻末の袋とじには、その答が書かれています
(ただし、第三部の答はございません)。
 
 
 これ、今だったら手軽にできるデジタルゲームとしてできるんじゃないかなぁ。
そうすれば、開くたびに数が変わったり、羊が動いたりして数えにくくなったり……。
 ただそれだと、今は逆に安くなってしまうのでございましょうなぁ。
 雰囲気からいっても、紙の本の方が収まりがいいような気はいたします。
 
 ところでこの本、英題は
「COUNT SHEEP A BOOK FOR HAVING A GOOD SLEEP」とあり、
作者は「BRIAN  LOGWOOD」となっているのですが、
翻訳本ならあるはずの原書のデータがないので、
日本で作られたものだと分かるのですが……。
 
 検索してみましたら、
韓国語版とか、
今回は見つけられませんでしたがドイツ語版みたいのもございました。
ともに発行年は日本語版より後。
 
 ということは、翻訳されて海外にも行ったということなのでございましょうなぁ。
まぁ、文章量は少ないので、翻訳は簡単そうでございますし、
ユニークな本なので、そういうこともあるのでございましょう。
 
 でもおそらく、日本発の本だと思う人はいないのは?
 
 ホント、こういうアチャラっぽい本を作るのがうまい!! 
  感心する次第でございます。

拍手[0回]

「ブラマタリの供物 後日譚 暗黒の鎮魂歌」
「Role&Roll Vol.172 p.142-149」暗黒の鎮魂歌

『クトゥルフ神話ブックゲーム ブラマタリの供物』
後日譚でございます。
vol.170所収の前日譚「仮面の訪問者」
も少しだけ関連するようでございますな。
 
 主人公はイースト・エンドの刑事。
 担当地区で起こった
複数の自殺を担当することとあいなります。
 ここ一週間のうちに三件。
そのどれもが<暗い日曜日>という歌
がらみらしいのでございますな。
 
 三人とも、そのシャンソンの
暗い音色にとらわれて発作的に自殺した
というのが公式見解なのですが、
刑事のカンがそれは違うと告げている……。

 ということでキミは、
片目眼帯の占い師、キ・マイラの協力を得て捜査を開始する、
というわけでございます。
 
 ちなみに、<暗い日曜日>は現実に存在する歌らしいですな。
「自殺ソング」として知られることを含め、あらましは作中にあるとおり。
 
「You-Tube」に上がっているものを聴きましたが、
言葉が分からないせいか、わたくしがぼんくらなためか、
自殺したい気分にはなりませんでした。
 
 (「黒い日曜日(ブラックサンデー)」なら、
   義理チョコで売っているお菓子にからめたネタができたのに、
   でも大して面白くないか……。などとは思っておりませんよ?)
 

 多方向移動型。
 3カ所の現場を中心に捜査し、場合によってはそれ以外へ、
という流れになっておりまして、
『シャーロック・ホームズ10の怪事件』から、
無駄足となる場所を省いた構成といえばおわかりいただけますでしょうか。
 
 結果的にはすべてのパラグラフをまわることになるとは思うのですが、
現場にあるものを一つ一つあたり、
そこで見つけたものが他の場所と結びついて……という、
そういう過程こそゲームブックの醍醐味でございますな。
 
 で、調査完了し真相を突き止めたと思えたら、パラグラフ35へ。
 そこでキ・マイラ氏から4つの質問が発せられるわけでございます。
 そのあたりも、『シャーロック・ホームズ10の怪事件』と同じ
 千里眼を名乗るキ・マイラ氏が、ここではホームズ役を担うのでございます。
 
 設問の感じも、『シャーロック・ホームズ~』と同じ。
 はっきりとした答えを見いだしていない場合には、
どうにもあいまいに思える問いにございます。
 
 まぁ、一通りまわって、ある程度考えたので、明快ではないものの自分の答をメモ。
 
 
 問:Aは、まぁたぶんこの話の中では……。
 問:Bは、おそらくこんな感じで。
 問:Cは、カンでいくと……
 
 とあいまいな言葉が続きます。
 で、問:D。
 これががとくに困ってしまいます。
 5つの「要素」。
 「要素」なんて言葉を出された日にゃ、何でもありじゃございませんか。
 ものでも、何かの条件でもいい。
 何を持って正解なのか。どういう答をすれば正しいのか……。
 
 とりあえず、5つ見つくろって、メモします。
 
 で、答あわせ。 
 
 このゲームブック、
 解決編パラグラフ55に、
 パラグラフ29に書かれておりまして、
 ゲームの最中、それら、とくに解決編の絵なんかを
「うっかり」見てしまわないようにするのが難しいですな。

 異論はおありかと存じますが、
まぁここら辺が紙のゲームブックのアジだとわたくしは思っております。
 
 答がどうしてもわからない。
でも解決編を読むまえに、なんとか自分で答を出したい。
そういう人に対する悩ましき誘惑
それがゲームブックらしさでございますな。
 
 今回は、その誘惑を退けることができました。
 
 というわけで、わたくしの刑事の結果は……。
 
 Aはまぁ、当たりと考えていいでしょう。
 Bもだいたい合っている。
 Cは当てずっぽだから、ダメだよなぁ。
 Dは、ぼんやりやっていたので、当たるはずもない。
 
 ということで、大目に見ての2問正解。
 <暗い日曜日>の流行を止められず、未曾有の大戦を早める結果に……。
 まぁ、それが普通なのでは、と個人的には思います。
 
 だって、難しいんだもん。
 
 物理トリックによる殺害ではございませんでしたが
 中心となる謎は、曖昧ではなくはっきりと再現できるもの。
 でも……細かいよ~!
 
 ゲームブックで似たような謎を探すとなると、 
 山口雅也先生の『13人目の名探偵』かな? 
(小説『13人目の探偵士』でもよろしいのですが)
 知っておられる方は、これにうなずいていただけるものと思います。

 ちなみに、 
ブラマタリの供物』やクトゥルフ神話に対する知識は、
このゲームブックをプレイする場合、あった方がたぶん有利だと思います。
 
 もっともわたくしは、クトゥルフ神話のほうはそれほど知識ございませんし、
『ブラマタリの供物』も気づかずに結末に来てはじめて、
ああ、これとかが『ブラマタリ~』につながるのか、と思いましたもの。
 知識があっても、役に立たないことも……。
 
  でも、たいていの人はそうじゃないかな……。
 わたくしはそう思います。
 ……。
 負け惜しみではございますが。
 
 
*)ところで、最大のカン違い。
  この話、ブログに書くまでてっきりアメリカの話だとばっかり思っておりました。
  そういえば、BBC……ロンドン、イースト・エンド……。
  確かに、イギリスの話だなぁ……。

拍手[0回]

『脱出:ザ・ブック ダヴィンチ学園の謎』
著:アンナ・マイバッハ、インカ&マルクス・ブラント
翻訳:ミッテンドルフ夕起子
監修:安田均/グループSNE
(KADOKAWA/2018/11)


 一方向移動/可・不可型

 物語を読んでいくと謎があり、それを解くと次のページへとジャンプできる仕組み。
 パラグラフジャンプはあるものの、ゲームブックではなくパズルブックでございますな。
 

で、
 跳び先を知る方法に工夫がございまして、
暗号解読窓にバーを差し込んで、
それで出てきた数字のページに向かうのでございます。
ページの下には記号が書かれていて、
その記号が暗号窓に出てきたそれとちがっていればハズレ。
その答は間違い。
 記号が割り符となっているのでございますな。
 
 この本には、コーデックスという16ページの別冊がついておりまして、
パズルは本編とその小冊子を見ながら解いていくわけでございます。
 
 問題とストーリーの関連は、算数のテストほど。
 つまり、関連づけられてはいるものの、
それほど考慮しなくてもいいぐらい、ということでございます。
 まぁ、プレイした範囲でではございますが。
 
 さらにこの小冊子には、
解答へのヒント」というページがございます。
そこにはそれぞれの問題について3つづつ、銀色の丸がございまして、
それを削ると、左から順に、第一ヒント、第二ヒント、解答が出てくるという。
まぁ、銀けずりですな。
 
 それをいくつ開けないでできるかというのが、
この本のゲーム性となっているのでございます。
 
 
 ストーリーはと申しますと、
 
 修学旅行の日、ルカ(主人公)、ベン、ミナの3人は、
学校の地下にある「物理教室U」に閉じ込められてしまった。
バスが出るまでにここから脱出しなければならない。
 
 てな感じ。
 
 そしてそこにはどうやら、
夏、主人公が転校してきたばかりのころ起こった
学校の募金イベントでの強奪事件が関連しているらしいのでございますが……。
 
 文の調子は、まさに外国のジュブナイルといった感じでございます。
 ゲームブックで言えば、バンタム社のゲームブックを翻訳した
講談社の「アドベンチャーブックス」シリーズでございますな。
 
 訳の問題ではないのでございましょうが、
わたくしにはどうにも読みにくく感じられました。
 
 なんであちらのこういった話って、家族の話から入るのでございましょうかねぇ。
 日本のラノベなんて、家族といえば出てくるのは妹。
それも特殊な妹だったりいたしますのに、ねぇ。
 
 物語の流れに水をさすように、
キャラクターのちょっとしたエピソードをはさむのも苦手。
 文化的な違いもございますし、物語が頭に入って来づらく、
どうにも乗れないのでございます。
 
 謎は物語とそれほど関係ないので問題ないとも申せますが、
モチベーションというものがございます。
やはり先を読みたいと思わせるリーダビリティは必要ですよね。
 
 加えて、謎が解けると、話が勝手に進んでしまうのも調子が狂ってしまいます。
 ゲームブックなら選択肢があるところを、
主人公がどんどん行動してしまうのですな。
つまり、主人公がきみではないのでございます。
パズルを解くときだけは主人公はきみとも申せますが、
問題と答が、話にぴったりと入り込んでいるわけでもない……。
 パズルブックとしては、それが当然なのかも知れません。
 ですが、もう少しスムーズに謎をストーリーに溶け込ませている作品は、
他にあると思うのでございますが……。
 
 
 とりあえず、やってみることにいたしました。
 方針としては、銀けずりなし、なるべく本を切ったり折ったりしない路線で。
 
 コーデックスも本から外さないつもりでいたのでございますが、
やっているうちに自然に取れてしまったので仕方ございません。
 
 コード解読用のバーは、
切り取らなくても、法則さえ覚えておけば、メモで対応できます。
とは申せ、カン違いで間違えることは多いので、
本の指示どおりに使った方が無難ではございますけどね。
 
 
 
 一問目。脅迫状。これは簡単。
 
 
 二問目。清掃順路。やってみればすぐできます。
 
  
 三問目。机の並び替え。これには詰まりました。
 切り取らないと、ちょっと厳しい。
 てなわけで、103ページをコピーして切りとって並べてみることに。
 出てきたものは、絵に描いてやってみたのとそれほど変わらない答でございました。
 つまり、問題は、その答をどうするか、だったのでございますな。
 考えても分からなかったので、結局銀けずりを見ることに――。
 とは申せ、剥がすことはいたしませんでした。
 この銀けずり、真ん中に小さく数字が書かれていて、
そこだけ銀が印刷されていない、窓になっているのですな、
そこから一文字ぐらいが見えるのですが、
その文字を頼りに答を導き出したのでございます。
 
 ですから答は出たものの、どうしてそうなのかは、よく分かりません。
 
 
 四問目。2枚のメモ。
 インクのシミがついたメモと、詩のような文章。
これをポメラに書き写している間に、解法に気がつきました。
 
 五問目。「3人は完璧だった」。
 最初にやってみた方法が違っていて、もうひとつの方法を試して成功。
 ただし、最後のところで間違えてしまいました。
 ごくごく単純なミスですが。
 結局、銀けずりは使いませんでしたが、パラグラフ総当たりで次を見つけ、
なんだそこで間違ったのか、とガッカリした次第でございます。
 
 
 六問目。3枚の四角い紙。
 普通の四角い紙を用意して、
 実際にやってみればできるので難しくはございませんでした。
 順番さえ分かれば答えは出ましょう。
 こういう問題は、手を動かす楽しさがございますな。
 
 
 七問目。ベルヌーイ効果。
 最初、他のこと考えていて解けませんでしたが、ページをすこし曲げてみて解決。
これも順番にとまどう問題でございます。
 
 八問目。物理教室の見取り図。
これ、本を買ってすぐに気がついたのでございますけれどねぇ。
すっかり忘れておりました。
暗い部屋でやっていたのも、間違いでしたな。
 実際、そのことは考えに入れていたので、本当なら気がつけたはずなのでございますが……。惜しい……。くやしい。
 てなわけで、結局これもパラグラフ総当たりで――。
 
 
 
 九問目。成績表カードゲーム。
 面倒。やる気が起きませんでした……。
 おそらく切り取って手を動かせば、
何とかなるものなのでございましょうが……。
 
 というわけで、ここまで。
 
 全十問なので、あともう少しなのではございますが、もういいかな。
 
 感想を書くために急いでやったということはございますが、
まぁわたくしごときはこの程度のものでございましょう。 
 わたくしは、ゲームブックのファンではございますが、
パズルゲームのファンではございませんし。
 
 裏表紙を見ますと初級となっておりまして、
たしかに切ったり折ったりすれば数字を出すのは難しくないだろうと感じました。
 (とは申せ、最後はさすがにむずかしそう……)
 暗号窓を使うだけに、その並びに工夫がございますけれど。
 
 ただ、外国産の初対面のパズルだけに、
余計なことを勘ぐってしまうということはあるかもしれません。
 外国産に限らず、大抵の初見のパズルについて、
それは申せることではございましょうが。
 

 
 というわけで。
 
 
 140ページぐらいプラス小冊子16ページで問題数10問
 それがどうか、ということはともかくといたしまして、
 先ほど書きましたとおり、
 ジュブナイルな感じが、
 わたくしにはどうも合わない作品でございました。
 

拍手[0回]

クトゥルフ神話ブックゲーム 
ブラマタリの供物前日譚「仮面の訪問者」  
フーゴ・ハル
(Role&Roll Vol.170 p.132-139)
 
 
 簡単に、このゲームブック「仮面の訪問者」の紹介をしておきましょう。
 主人公は『ブラマタリの供物』と同じではございません。
 
 主人公はヴァレンタインという御仁で、金庫破りを得意とする家宅侵入業者、
ありていに申しますれば、どろぼうでございますな。
 
 それが、レッド・フックの貧民窟を統括する年齢不詳の老人、
骨に葬るという面倒くさい漢字の「サン」さんに依頼されます。
 
 老人は申します。
ロックフェラーの別荘にある「アルハザード・コレクション
なるものを取ってこい、と。
 
 当日は仮装パーティが行われているので、仮面を被っていけば正体はばれない。
見取り図は用意した。招待状も――。
 
 依頼と申しましても、実際は命令みたいなもの。
 
 身の代に身分証明書を取られ、
仮面と衣装、札束と上記の侵入に必要なものを老人から受け取り、
決行の日、ロック夫エラーの別荘へと乗り込むのでございますが――。
 
 そこはお話し。
 そんなにスムーズに行くわけがございませんのでした。
  
  
 
    ☆       ☆       ☆
 
 
 
 というわけで、プレイ開始。
 
 1回目は、以前欄外に書いたとおり、金庫にたどり着いたものの、
あっさり捕まって終わりでございました。
 
 やっぱり一直線じゃ無理なのか~。
 となると、回り道をしたほうが正しいのかなぁ。
 行動ポイントはどこかに回復ポイントがあるでしょう! 
 
 とばかりに、
 2回目からは、まったくあらぬほうを探ってみたのですが、ぜんぜんダメ。
 
 5回ほど邸内をさまよったところで、
 こっそり「金庫」のパラグラフを見てみると、
 
 ……そうだった。
 この人物を探すんだった。
 
 1回目は、最初からうまくいかないだろうと軽い気持ちでやっていたので、
そんな人のことはすっかり忘れていたのですな。
 
 2回目をやるまでに、時間が空いたということもございます。
 
 5回目までのメモを見ますと、その人物のことはちゃーんと書いてございました。
ただ、2~5回は、目的地とはあらぬ方向に進んでいたために、
そのメモが意味を持たなかったという――。


 
 あらためてそこまでを見てみますと、
その最初の障害をクリアするのは、直線的でそれほど難しくはないのでございます。
 
 まぁ、最初やさしくて徐々に難しくなっていくというのは、
テレビゲームなどでも良いゲームの基本でございますな。
 
 このゲームブック短編ですので、徐々に、というほどではございませんし、
そこまでにもあとで必要なことが隠れていたりするのでございますが――。。
 
 そのあとは、いや、そのあとも、でございますな、
 試行錯誤の連続でございました。
 
 前回書きましたように、このゲームブック、
重要なことが太字で書いてあるというわけでもございませんし、
何かに関わる、関わらない、どちらか一方が常に正解というわけでもございません。
 
 それも含めてのゲーム性になっているのでございますな。
 
 残りのエアを気にしながら潜水するような感じで、行動ポイントも大切。
 順番や取捨選択が大事ということでございます。
 二階廊下は選択肢が多いので特に何度も繰り返すことになるのでは、と……。
 
 正解ルートでは、音楽室が先になっていて、その方が確実だとは思いますが、
執務室を先にしても、かろうじて間に合うはず……。
まぁ、わたくしが行動ポイントの数え間違いをしていなければ、ですが。
 
 ちなみに、わたくしは行動ポイントを記録せず、
通ったパラグラフを書いて(ステップメモですな)を書いて、
それを数えることで、行動ポイントの代わりといたしました。
 
 試行錯誤の結果、最後のほうのポイントはちよっとあやふやかも? 
 
 でも、そのあたりになると物語の面白さが先に立って、
そんなことはあまり気にならなくなってまいります。
 
 
 ラストは……、
 
 初めて入ったお屋敷で、
こんなところに脱出ルートがあるとは思わないと思うけどなぁ……
と、思いつつも階段を降りていきます。
 
 すると、偶然か必然か、目の前に自分とそっくりの仮面の男が立ちはだかります。
 
 ここでは、
あることをして相手の動きを止めるもそれでは不十分で、
反撃を試みるための道具を取り出すという、
二段構えのプレイヤーへの挑戦があるわけでございますが……。
 
 でもね。
 
 一つ気になる点
が……。
 
 あんなところで、ライターなんか使って大丈夫なのでございましょうか?
 
 だってねぇ。
 石油みたいな臭いがはっきりと分かるところでございますよ。

 ……。 
 
 もしかすると、ラストは火に包まれた邸宅から、
命からがら逃げ出すというのをやりたかったのかもしれませんな。 
 
 ただ、前日譚なので、
 それはできない相談だという話で。
 
 前回の記事に書いたとおり、
実はパラグラフ71に別の文章が入るはずだったのなら……。

どうなっていたのか、いずれにせよ気になるところでございますな。
 
 それがいずれであるにせよ、前回も書きましたとおり、
「生還」しても手放しのめでたしめでたし、とはいかないのでございますが。
 
 まぁ、悪事に対するむくいということでございましょうな。
 

拍手[0回]

 
 (※ 追記:この記事は、コメント欄まで読んでください。 必須です。)
     
 
 

クトゥルフ神話ブックゲーム 

ブラマタリの供物前日譚「仮面の訪問者」
フーゴ・ハル
(Role&Roll Vol.170 p.132-139)

 
 クリアできませんでしたー。
 
 かなり頑張ったんですけれどねぇ。
 最後の最後で血をぬかれておしまい。

 正解ルートは p.139の欄外に書いてございますが、
 
 パラグラフ71から生還エンドに行く方法がどうにも分からないのでございます。
 
 正解ルートをたどってもダメ。
 すべてのパラグラフを読んでみてもダメ。

 重要項目が太字で書いてあるわけでもないので、
見落としはあるのかもしれないのでございますが……。
 
 でも、
 
 あるいは、
 
 もしかすると、
 
 パラグラフ51と71は同じ文章だけれど、
ホントは71には別の文章が入るの……かも。
 
 で、ふつーに生還エンドに続くのではないでしょうか……。
 
 超常的なことが起きているお屋敷でございますから、
何が起きても不思議はない。
 それはそうなのでございますが、
 
 今焼き殺したばかりの仮面の男とそっくりの方が突然現れなさって、
しかもその彼に(おそらく)なすすべもなく殺されてしまうというのは、
物語的にちょっと唐突かと――。
 
 まっ、このゲームブック、
生還しても手放しのハッピーエンドというわけではございませんから、
ここで死んでも大して差が無いという考え方もできるのですけれど、ね。
 
 
 
☆ ちなみに、正解ルートではないので
  ゲーム的な影響は少ないですけれども、
  パラグラフ10「玄関ホール」な気が……。

 ここでを選ぶと、前室でも一階の踊り場でもなく、
二階の踊り場に来てしまうのでございますよねー。

 途中をすっ飛ばしたと考えられなくはございませんが、
ワープしたみたいで、いかにも唐突。
 
わたくしのようなものは混乱してしまいます。

拍手[0回]

ブラマタリの供物、とはなんだったのか

 別にその意義を問うのでもないし、
  
 作品解題でもない。
 
 純粋に、ブラマタリの供物とはなんだったのだろう、と思ったのだ。
 
 ブラマタリについては、パラグラフで説明されている。
コンゴ周辺の言葉で「岩を砕く者」。
 かつて、ネルソンとともにアフリカ奥地へ油田を探しに行った、
探検家のヘンリー・スタンリーのあだ名だという。
 
 その彼は、マロウン(きみ)とともに今回の救出に参加した、
デンジル・スタンリーの義父にあたるそうだ。
 
「岩を砕く者」という物騒な名前だから、あとでそういう怪物が現れて、
主人公たちがその供物――犠牲になるといった話を予想していたが、そうでもない。
 
 
 最後までプレイしたなかで、常識的に考えると、
やはり「失踪」したネルソン氏が、
ブラマタリ(=ヘンリー・スタンリー)の差し出した「供物」となったということか。
 
 ただ、ヘンリー・スタンリーは、イギリス帰国後1903年に亡くなっている。
 
※ ネットで調べてみると、
  一九〇四年五月十日、ロンドンで亡くなったとなっている。
 「ブラ・マタリ」というのは「石の嵐」という意味で、
 コンゴ自由国での道路の建設工事に、
 スタンレーがダイナマイトを使って岩をふきとばしたところから、
 アフリカ土人が彼につけたあだななのだそうだ。
                      (よくわかる科学史)
 
 
 とにかく「ブラマタリ」については、ここに出てくるだけで、
あとはまったく出てこないようなので
(パラグラフのすべてを当たったわけではないが……)、よく分からない。
 
 
 いずれにせよ、帰国後死んだということは、
彼が直接関わったとかいうことはなさそうだ。
 
 やはり、運命や邪神など超現実的な何かが関わっているということなのだろう。
 
 
 もちろん、フィクションだから真相は分からない。
 実はロンドンで死んだというのは虚偽だったということも
お話しならば可能だろう。
 
 151の手記によれば、ヘンリーは名残惜しそうに帰国したと書いてある。
 
 だが同時に、
 彼ならば真相に、好意を持って気づいてくれるだろう、とも書かれている。
 ならば、実際真相に気づき、自分は死んだと偽装して、
 ヴィクトリア湖までリヴィングストン氏に会いに行ったとも考えられる
 (フィクションならば)。
 
 そうして、黒いピュタゴラスとなったリヴイングストンに会い、
 前世の記憶を呼び覚まされて、彼の弟子になったということも可能性もあるだろう。

 リヴィングストン氏の記憶が戻るときには、その場に彼はいなかった。
 だから、彼はヘンリーが戻ってきたことを知らなかった。
 手記に書かれていなかったのはそのためだ。
 
 だとすれば、もしかすると、最後の方に出てくるワニやカバの頭を持つ男。
 そのどちらかが彼だったのかもしれない。
「岩を砕く者」という言葉から、なんとなくワニ頭のような気がするのだが……。
 
 
 となると、きみと行動を共にしたデンジル・スタンリーはどうなるのだろう?
 
 養子である彼はもしかすると、
「黒いピュタゴラス」の弟子となったヘンリーに
超常的な、あるいは運命的な力で、
呼び寄せられたのではないだろうか。
 
 彼自身にその意図はなくとも、無意識のうちに
 ネルソンや、「きみ」を、
 「ブラマタリ」の「供物」とするために。
 
 
 そういえば、神殿で、彼はどうしていたのだろうか。
 
 パラグラフ35でマロウンは、一人で地下に入っていった。
残りの者は部屋で待機し、
ネルソン氏を連れ戻したときの退路を確保することになっている。
 スタンリーもその中にいたのだろう。
 
 したがって、そのあと彼の出てくる場面はない。
 
 
 だが、
 
 
 パラグラフ148で、最初に姿を現した男、
仮面の頭を持つ化け物こそ、彼その人ではなかったか……。
 
 83で仮面をつけたスタンリーは、パラグラフ88で、
「あまりになじみすぎていて、すっかり忘れていた」ときみに言われている。
だからもしかすると、そのあと仮面がぴったりと顔に張りつき融合し、
仮面の意思のままに、彼は地下へと降りてきたのではないだろうか。
 
 仮面をかぶったときになんの違和感がなかったのも、
もともとそれが、彼の顔だったからかも知れない……。
 

 

        ☆      ☆      ☆
 
 
 
 
☆ まぁ、ヘンリーがヴィクトリア湖に戻っていたとしたら
  という話なので、解明本とかにありそうな妄想話ではございますが。
 
* ワニ頭がヘンリーで、カバ頭がデンジル、
 ってな可能性も、もしかしたらあるかもーー。

拍手[1回]

 ちょっと思いついてしまったので、書いてみますね。

 藤浪智之先生も、フーゴ・ハル先生も、気を悪くするかなぁ……。
 
● 2つの作品、雰囲気も何もかも、ぜんぜん別なのでございますが、
  要素として分解してみると、このあたり近い気がいたしました。 
 
☆ 島での冒険。
☆ 基本マップを見ての移動。
☆ 14が死のパラグラフではない。
☆ 「予兆」が重要な役を果たす。
☆ 島の各地にポイントがあり、五芒星がカギとなる。
☆ ラスト近くで地下に潜っていき、そこで試練めいたテストを受ける。
☆ 物語の裏で活躍していた女性キャラが、最後に主人公らを助けるべく動く。
  〔ジュビア,ジャーミン〕
☆ ラストに、なんと申しますか、神秘的な? 大きな話が用意されている。
 
 
 まぁ、偶然でございますな。
 この程度は、よくあること。
 最初の1つは、よくあるふつうのことでございますし、
 次の1つも、お二方のゲームブックのスタイルですし……。
 
 だけど、
 陰謀論みたいなのだと、それを
 偶然の一致にしては、とか言っちゃうかも。
 
 

拍手[1回]

クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/014『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

(4回目は(2018/11/11 (Sun))
(5回目は(2018/11/12 (Mon)
(6回目は(2018/11/13 (Tue)
 
 


104」の地図。
左ソデは、「106」のある155ページからのスタート。
 
とはいえ、感想回目で、
すでに115までは、終わっている。
 
 ……。
 
 いや、そうでもない。
 パラグラフ数の少ない順に行くというルールを決めたため、
イベントがまだ残っていたはずだ。
 
 ややこしいが仕方がない。
 
 調べてみると、90の背負う荷と、
 99谷底を探るがまだだった。
 112の選択も狂気度11の今ならできる。

 115
音のする方向
(115は狂気度11にもかかわらず、狂気度11では行けない)
 も行けることにしよう。
 
 というわけで、パラグラフ順に。
 
 まずはを調べる。特に起こらない。
 次に115音の聞こえる方へ。これも大丈夫。
 
 90。谷底を探る
 失敗だった。這いよる混沌に前世の名で語りかけられ、狂気を増す
 こんなところで、レベル3のマップへ行かなければならなくなってしまった……。

  
  
 パラグラフ122の地図へ。
 左ソデはp.173だ。
  
 
 ここで、リヴィングストンの手紙を読んでしまおう。
 ある場所は狂気点16だが、ここまで来たら、16なんてすぐだ。
 というわけで、該当のパラグラフへ。
 ふむぅ
 
  
 読み終わって改めて、レベル3の地図へ。
 ここでは、パラグラフのない数字2回選ぶと、
 パラグラフ182(狂気の深淵)へ墜ちるとされている。
 
 おそらく、この182最終パラグラフだろう。
 例は190。このパラグラフないのは当然だ。
 となると、182以上のパラグラフは
選んではいけない
ということになる。
 
 まぁ、いづれにせよ方針は変わらない。
低いパラグラフから攻めていくだけだ。
 
 と、さっそく「手紙」が役に立った。
 精神状態回復
 ふたたびレベル2のマップへ。
 
 と、ここからははしょっていこう。
 
 
 未踏破の場所をまわり、白黒まだらの仮面をつけた人物とも出会う。
 その正体も分かった
(以前、名前が分からなかったのは、ここで初めて名が明かされるからだった。
 いやぁ、ズルしたり、
 「会っているのに忘れた」とでまかせ書かなくて、よかったー)。

 この人物に、音に関する情報ももらった。
 思いつく場所は2カ所ほど。
 さっそく行ってみる(どちらも同じだった)。
 
  
 ここで、マップの場面は終わり。
 
 これまでが情報収集だとしたら、ここからは、それを活かした謎解きの時間だ。
 
 このあたりから自由に後戻りのできない一方向移動型になる。
それまでのじっくりとした流れが収斂し、直線的に、スピーディになっていく。
 慎重に行動しようとしても運命に連れて行かれる感覚がうまく表されている。
 
 ただし、このゲームブック、謎解きは容易ではない。
 そこで行き詰まることはあるだろう。
 
 アフリカの奥地に広場が開け、突如ギリシャ神殿があらわれる。
 中に入ると打楽器の響きだ。
 西洋楽器で、それに対抗する。
 原住民が恐慌におちいる。
 祭壇の奥から、老人が姿を現した。
 祭壇には、ネルソン氏が横たわっている。
 彼らは、カーテンの奥へ。
 
 五芒星の描かれたそのカーテンの奥をのぞくと、
そこには 大きな直角二等辺三角形の穴があった。
 
 直角二等辺三角形の同じ長さの2辺を1とすると、斜辺は√2
 無理数だ。
 
 ピュタゴラスは、数の調和と整合性を重視し、
無理数はあり得ない数として否定した。
 
 そのピュタゴラス教団の神殿に、
無理数を象徴する二等辺三角形があるとは――。

「この神殿が、ピュタゴラス教団のものである以上、無関係ではあるまい。
 この三角形は、教団にとって踏み入れてはならない
 禁断の場所の入り口を意味している、そう考えるべきだ」
 
 これを言ったのは、「きみ」自身なのだろうか。
  
 だが、「禁断の場所の入り口」であることは、明白だ。
  
 なぜなら、√2といえば、
 
 1.414……。
 
 そう。
 
 14二重に連なる数字から始まる無理数だ。
 
 
 呪術師の2つ連ねた目が取り付けられた仮面が重要な意味を果たした
それ以上に、この√2が重要な意味を持つことは、明白だろう。
 
 この数字をピュタゴラス教団が恐れたのは当然だ。
 
 その
 
 死の場所ともいうべき、穴の中へ入っていく。
 
 ここで「きみ」は、前世の記憶を試される。
 自分の名前はなんだったか……。
 なにか、どこかで聞いたような気はするかだが……。
 
 思い出せない。
 
 レベル3の島はほとんどまわっていないから、そっちで出てくるのか?
 
 ズルいとは知りながら、パラパラッとページをめくる。
 チラチラッと、見ると、名前は分かった。
 なんとな~く、知っているよーな……。
 ただ、どこで知ったかが思い出せない。
 それではダメだろう。
 
 あきらめて、先へ進む。
  
 
 グールになりましたー
 
 
    ☆     ☆     ☆
  

 ここで一息入れる。
 
 そして、メモをよーーーく、見てみる。
 ちゃんと、書いてあった……。
 
 なるほど、あそこだ。
 失敗しちゃったという意識が強かったので、
メモは取ってあったにもかかわらず、
あまり重要に思ってなかったのだ、多分。

 それに、
 いつもはノートに書くのだが、
そこら辺にあった紙切れに書いたのも悪かったかもしれない。
 ブログで書くために、いつもは書かないことまで書いていたので、
ゴチャゴチャしてしまって、まぎれてしまった、というのもあるかも。
 
 
 教訓。
 
 詰まったら、休憩をはさみましょう。
 メモは、わかりやすくね。
 
 
 わかっちゃいるけど……、ねぇ。
 
 これに関しては、ルールにしたがってカバー裏を使った方が正しかったかもしれない。
 
 とはいえ、この油断ならないゲームブック、
あれだけの情報でよしとするのは、ちょっと無理というものだ。
 
 
    ☆     ☆     ☆
 
 
 グールになっちゃうと、悪夢にはならないんだよなー。
 
 だが、無視しよう。
 メモには書いてあったんだ。
  
 それに状況からして、
あんな強烈な体験の中で覚えたことを忘れるわけがない!! 
 逆に、そんな強烈な体験だからこそ忘れることもあるのでは、
という気もしないではないが、それは忘れる!
 
 というわけで、消えかけていた前世の記憶が突然ふってきた。
 
 先へ進む。
 ピュタゴラス教団の教団員としてのテストがここから始まる。
 
「石工組合」とか、「死者の書」とかを感じさせる場面だ。
迷路に惑わされず、まっすぐ進むのが正解っていうのは、
「死者の書」じゃなかったっけ?  
そんなのゲームにならないなぁ、とか思った覚えが……。
 
 うろ覚えでものを言ったらいけないな。
 何か他の神話かも知れない。
 忘れてくれ。
 
 マップ上の(おそらく五芒星が描かれたところ)にあった死体がヒントらしい。
 いちおう、全部行っているはずだが、あれから、どう意味を読み解くか?
 
 結果、2問正解。
 話をはしょると、ふたたび、
  
 
  グールになりましたー
 

 どうやら、全部正解しないと、正しいエンドには到らないみたい。
 
 もう、ここまで来たら……と、フローチャートを書いて、正解を見ちゃう。
 
 正しいのは……、そういうことなのかー。
 
 多分だけど、
「きみ」たちが手を出したことが、結局惑わせる元になっている……
んだと思う。
 
 というわけで、ここまで来たら、強引に突破。
 フーゴ・ハル先生には敵いませんでした、
 と、ごめんなさいして先へ。
 
 えっ、ここで狂気点を訊く?
 
 もう、降参してゴチャゴチャやったから、左ソデなんて気にしていなかったー。
 
 まぁ、どっちにしろ、ここで悪あがきをしても無理なのは目に見えている。
 狂気点がどうあれ、素直に従っておいた方がいいだろう。
 
 階段を降りて、黒い地下霊廟へ。
 現実とは思えない光景が、展開されている。
 この中から、論理的におかしな行為を見つけろというのか。
 ……。
 思いつかない。
 だが、勝算はある。
 ここでの問題は、
 
 ここから100までの間で、関連する言葉がキーワードになっているセッションを探せ。
 
 条件は、息を止めている間、
 
 だ。
 
 ここから100まで、と書かれているところから、
 キーワードは100に近い数字にある予想。あとは、運に任せる。
 
 やはり、100の方が近かった。
 ちなみにこのパラグラフ、ストーリー的にはともかく、
ゲーム的には行っても何かヒントやアイテムが得られるというわけではない。
 
 あとで調べてみたら、
ここに行けなかったパラグラフでは狂気が進んでしまい、
あとの狂気点チェックで、強制的に目の前に恐怖が訪れるのだった……。
 
 シビアな場面が続く。
 戒律のテストを全問正解しなければならなかったのもここのためだし、
そのあとも、厳しい選択を迫られる。
 
 終盤だし、狂気も上がっている。
 
 プレイヤーが選択、あるいは
選択しないまでもみずからページをめくっていくことが、
没入感緊張感を高めていく。
 
 それもゲームブックの魅力の1つだろう。
 
 そしてついに。
 
 度重なる問いに正しい答で応じ、
ついに「ネルソン・ロックフェラーの手記」にたどり着いた。
 
 終了
 
 

 感想は?
 「疲れた」のひとこと。
 しかし、心地よい疲れだ。
 
 まぁ、2回ぐらい(?)グールになっているんですけどね
 戒律のところでは、ズルしたし、他にも……。
 
 でも、いいの、いいの。
 十分に楽しませてもらったんだから。
 それが一番大事なこと。
 
 もっと冷静なこととか、評価みたいなものを書こうかとも思ったけれど、
烏滸がましいし、ここで止めておきたい。
 というわけで、この辺で。
 
 
    ☆     ☆     ☆
 
 
 けっこう本気のゲームブックだから、
プレイヤーもそれなりに本腰入れて取り組まないと、
はじかれてしまうと思うけれど、
ちゃんと取り組めば、それだけのものを返してくれると思います。
 
 ここまで読めば分かると思いますが、
 わたくしは、堪能しました。
 
 雑な記事で
(ネタバレしないように、隠している部分もありますし)
読みにくいとは思いますが、
ここまでつきあってくださって、
ありがとうございました。

本当に。

拍手[0回]

クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/013『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

(4回目は(2018/11/11 (Sun))
(5回目は(2018/11/12 (Mon)

 
 
 レベル1(と勝手に名づけた)、パラグラフ62マップからスタート。

 このうち、49・54・97・59・64はすでに行っている。
 
 49は秘密。
 
 54は上陸後最初に行く場所で、五芒星とその中央に木製の仮面がある。
 
 この仮面は、狂気点5以上だと調べられない
 パラグラフ62は狂気点だから、上陸したときにしか調べられないということになる。
 
 97は、五芒星と、それぞれ別の木に結わえられた2人の死体。
  握手しようとしているポーズだが、両者とも右手首がない。
 
 59は何もなし。
 
 64はタールピットと、そこから現れたアスファルトまみれの男。
 さっきは先に97に行ってしまった(狂気点10)ので、
 恐怖心から何もできずに逃げ出してしまったところだ。
 現在狂気点なので、救うことはできるが、
 とりあえずマップの他の部分をまわる
 (ゲーム的だなぁ)。
 
 
 さて、ここかは先ほど回らなかった、未知の領域だ。
 
 
 69 両目をえぐられた小猿。追えばパラグラフが進むので、ここも後回し。
 
 
 72 白い五芒星。
   半ば白骨化した黒人女性の首つり死体。
   仮面の原住民がそれを取り囲んでいる。
   
 さて、ここが問題だ。
   
 ここでは、仲間を思わせるものを身につけているか、
狂気点が7以下なら、死体を調べることも、立ち去る原住民を追うこともできる。
 ちらっととなりのページを見ると(よい子はしてはいけないよ?)、狂気点は7
つまり、これ以上ページが進めば、仲間を思わせる何かがなければ、
ここでの選択はできなくなるということだ――。
  
 と思っていたけれど、
 7以下だから、7でもいいのか……。
 
 とにかく、そのときはそう思っていたのだ。
 とりあえず、死体を調べる。
 頭につけている花冠の花をむしったために、
彼女はこんな目に遭ったのだと直感的にひらめく。
 
 しかし、それがどう自分に結びつくのだろうか。
 原住民たちは、逃げてしまったようだ。
 仕方がない……。
 マップに戻り、もう一度72を選択して、状況を再現し、今度は原住民を追う
 (ゲーム的だなぁ)。
 
 
 結果、狂気点が増えて、レベル2、パラグラフ104のマップへ逆戻り。
 ここはすかさず、ニワトリさんの扉のところまで行き、精神を回復して、
パラグラフ62のマップへ戻る。
 ホント、ゲーム的だなぁ。
 
 まぁ、原住民の後を追った甲斐はあった。
 狂気がある段階を超えたそこへ行くと、危険だということが分かった。
 ただ、もしかするとその危険は、虎児を得るために必要な危険なのかもしれない……。
  

 75 白い五芒星。
   口に豆を詰め込まれた死人。
   「万物は数である」
   豆……。
 
 
 マップの数字、次は81だが、黄色い小猿を追う(79)がパラグラフ的には先だ。
 
 
 いや、そのがある。
 マップ64の全身アスファルトまみれの男。
 あの男は、狂気点8以上になると救えない
 ここで救わないと、またニワトリの扉のお世話にならなければならないということだ。
 ややこしいことだが、これがおそらく一番効率敵なのだから仕方ない。
 ということで手をさしのべる。
 (85)へ。
 死体は、五芒星の供物ということらしい……。
 
 
 ということで猿を追うことにしよう。
 結局その猿の行き先も、次のマップと同じ81だった。
 
 81 で、白黒まだらの仮面の男と再会する。危機一髪を助けてくれたのだ。
 いったい何者?
 時代劇とかだと、生き別れのお兄さんとかだったりするんだけれど……。
 あるいは、ネルソン氏その人とか……。
 まぁ、そういうのではないだろうな。
 わたくしの通っていないパラグラフでは、名前を名乗ったみたいだし……。
 
 ここでスタンリーから提案を受ける。
 またらの仮面の男が殺した呪術師の仮面。
それを誰かがかぶったらどうかというのだ。
そうすれば、仲間としてとおるだろう。残りのものは捕虜と言っておけばいい、と。
 
 ぞっとする提案だ。
 被るとすれば、スタンリーか、「きみ」のいずれかだが――。
 それもあとでいいだろう。
 かぶった方が悪い場合だってあるかもしれない。
 
 
 84 ジャングル。金属音がしたので、
 その方(24)に向かう。
 古代エジプトの壁画。アンク。ネフレン=カ
 いま検索したら、這いよる混沌さんと関係があるみたいだけれど……。
 
 
 91 岸辺
   白い五芒星
   先発隊の一人、石油の専門家のダニエル氏が、
   口に心臓を押し込まれて死んでいる。
   ヤシの木があるが、とりあえずさわらない。
   
 
 106 まで歩いて、レベル1の島は、踏破完了、だと思う。
 
 
 81の仮面をどちらかがつけるかが残っているが、やはり、自分でつける気はしない。
 悪いが、スタンリーにお願いする。
 
「現地語がしゃべれる私の方が、それらしく振る舞えそうですからね……」
 
 なるほど、そんなことはぜんぜん考えていなかった。
 まぁ、スタンリーがいやがらずに被ってくれたのはありがたい。
 
 
 さて、ここで、満を持してレベル2へ行くわけだが、
 その前に、白い五芒星があったところをチェックしておこう。
 もしかすると、それをつなげると、数字になったりするかも知れないから。
 
 五芒星がある位置は、マップ左上から、「95」「72」「97」「91」「54」でいいのかな。
「81」にも出てきたが、それは呪術師の仮面に描かれていたものなので違うとみていいだろう。
 このうち、「97」にあったものだけがとび先が違い、あとは同じ……。
 意味は……、よく分からないや。
 
 次回レベル2から。
 
 どうやって行ったかは、どうでもいいような気もするが、「64」から。
現在左ソデがパラグラフ106、狂気点10のところにあるので、
アスファルト男に逃げ出してしまったのだった。
 
 というわけで、次回は「104」の地図から。
 左ソデは、「106」のある155ページだ。

拍手[0回]


クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/011『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

(4回目は(2018/11/11 (Sun))



感想の3回目では、呪術師のガイドで島に行ったが、
このルートは狂気点が低くないと選べない。
 13で「秘密結社」の解説を見てしまうと最初から選べないし、
死ぬような「悪夢」を見て、ホテルのベッドで目ざめた後も選ぶことができない。

 ボーナスステージみたいなものといっていいかもしれない。
 
 この呪術師のルートと、元船乗りのルート、両方をとおると、
黒いピュタゴラス側と、マテマ族側の両面を垣間見ることができる。
 
 ガイドを2人用意したのは、そこに意図があったのだろう。
 
 
     ☆      ☆      ☆ 
 
 さて、探索は、レベル2。104の地図から。
 レベル1の地図での失敗を経験に、対策を考える。
 
 作戦としては、
 
さわらぬ神にたたり無し
 
 というわけで、各パラグラフにいっても、
そこでのイベントには関わらず、すぐにマップに戻ってきてしまえばいいのだ。
 
 強制的にイベントが発生する場合もあるだろうけれど、
それでもヘタに首を突っ込むよりは、はるかに狂気点の増大は避けられるだろう。
 
 ただ、マップには地図のある(104)よりも大きい数字が書かれている場所もある。
 
 そういう場合は、そのマップを後回しにして、
 イベントのうち(104)よりも小さい数字を優先させよう。
 
 とにかく、なるべく小さい数字から攻めていく、ということだ。
 
 というわけでイベントにはなるべく関わらないように進んでいく。
以下はイベントの有無にかかわらず、そこで出会ったものやこと。

 五芒星の(15)と、イベントのうち(104)よりも大きなとび先の数字は書かない。
 
82 バオバブ、悪魔の木。
  五芒星。
  先発隊メンバー。ツバメの剣。
  
90 ジャングル。
  五芒星。
  背負う荷
  
93 五芒星
  扉にニワトリの絵
  右が白(100)
  左が赤(102)
  
99 谷底から声
 ここまでだが、次は105。
 地図のある104のとなりなので、狂気点も増えないだろう。
というわけでページをめくる。
 
 
105
五芒星
  それにまだらの仮面?
  バシュクーに捕まったとき、上から覗いていた人物だ。
あの時も名前を聞かれたが、知らなかった。
今回も矢じりの素材を聞かれたが知らない……。
  どこかで見落としがあったのだろうか。

  とりあえず、そのままにしておくより他にない。
  
 というわけで、あとの地図上の数字は地図のある(104)よりも後ろだ。
 そこで、先ほどの方針に従って、

 
 93扉のニワトリを試すことになる。
 
 白(100)赤(102)か。
 方針そのままなら、当然100を選ぶことになる。
 だが、ここは100と102。そんなに離れていない。
 狂気点に違いはないだろう。
 
 となると、プレイヤーが低いパラグラフから攻めていくのを見越して、
若い番号のほうに悪い結果を持ってくることだって考えられる。
 
 さて、どうする?
 
 どっちを選んだかは書かないが、悪い目を引いてしまった。
わたわたと逃げてマップの121へ。
 
 逃げるときにもう一方のパラグラフが見えてしまう
(見ようとしたわけではなく、見えてしまった、んだよ)。
 
 やはりか、フーゴ・ハル!!
 
 こうした駆け引きも、ゲームブックの楽しさの1つだ。
 
 とりあえず、121まで進行してしまったのは仕方がない。
 
 そこまでのマップを見てみることにする。
 
 まず、今いる121から。
 
121 谷間。仮面の人物。
   中に入る?
   原住民を追う?
 
109 ジャングル。マラブー鳥。
  カチリという音。後を追う?(113)
 
112 高台の煙
  五芒星。
  ここでは、原住民の後を追うか、炉を調べるという選択もあるが、
  狂気点が11までの場合。現在12なので、調べることはできない。
 
115 金属的な音。
  これは狂気点が11以上ならすぐさまマップに戻ることになっている。
  が、このパラグラフがある場所がすでに狂気点11なので、矛盾する
  ここは、好意的に、狂気点12以上なら、と解釈しておこう
 どちらにせよ、狂気点12なので、音のする方角へ行くことは出来ないが。
  
 そんなわけで、ここでパラグラフ121以下で、
しかも選択できる条件にあるのは、マップ109のマラブー鳥の後を追う、というものだけだ。
 
 赤い首のその鳥を追っていくと、
ふたたび93の白と赤のニワトリの描かれた扉のところへたどりついた。
 
 今度は、さっきとは別のニワトリを選ぶことにする。
 
 結果。
 
 精神状態が回復し、狂気点も下がった。
 マップもレベル1。
 パラグラフ62のものに戻り、左ソデも、そこ。
 105ページにはさみ直す。
 狂気点5からのスタートだ。
 
 こういうパラグラフが用意されていたんだ……。
 驚くとともに感心する。
 
 この精神回復の扉は覚えておくことにしよう。
 
 もっとも、扉にたどり着く前に、
レベル3のマップへ飛ばされてしまう可能性もあるのだが。
 
 というわけで、次回はパラグラフ62。
 105ページからのスタートだ。

拍手[0回]


クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/011『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

 

 
いつもなら選択肢が少ないと不満なのに、
 このゲームブックだけはない方が安心できる。
 選択肢=狂気点の増大につながる可能性、だからなぁ。
 
 さて、元船乗りをガイドに再開(23)。
  
 夢は、起きるとすぐ忘れてしまうことが多いが、
 さっきの夢はまだ頭に残っている。
 リアルな悪夢だった……。
 
 その呪術師のルートとは、今度はまったく別だ。
 だが、こういうときは信じた方がいい。
  
 実際、元船乗りはよくやってくれた。
 だが、彼は呪術師ではない。
 夢の中とは違い、スタンリーが言っていた(6)怪物に出くわしてしまう。
 元船乗りは投げ出され、
「きみ」もまたーー。
  
 目覚める。
 ホテルの客室……ではなかった。
 原住民に助けられたらしい。
 
 このようなあり得ないことが起こるというのなら、
ロックフェラーの息子・ネルソン氏も、生きている可能性はあるのではないだろうか。
 
 信じて渡るのには心許ない、細い細い糸のような可能性だが。
 
「きみ」たちを助けてくれた原住民は、マテマ族と言った。
 彼らは島を見張っていて、
たまたま「きみ」たちと遭遇し、助けてくれたのだという。
 
 スタンリーを通訳にして、族長の話を聞く。
 それによると、

 島には神殿があり、
半世紀前、3代前の族長の時に黒いピュタゴラスと呼ばれる白人が住みついた。
彼はそこで生活に役立つ学問を教えていたそうだ。

 半世紀前?

 ロックフェラーの息子、ネルソンの受け取った黒い人形。
 そのくりぬきに入っていた手紙の差出人とおぼしきD・リヴィングストン。
 そのリヴィングストンがもし高名な探検家と同一人物なら、
 半世紀前の人物だ(8)。
 この黒いピュタゴラスと、リヴィングストンは同一人物なのか?
 あの手紙との関係は……?
 それらを結びつける、あるいは関係ないことを証明するカギは、
 あの島にあるのだろう。
 
 族長の話はさらに続く。
 その黒いピュタゴラスは2代前の族長のころ、
突然残忍邪悪な人間に変わってしまったのだという。
 
 島には異常な人物とアフリカ各地の邪悪な呪術師しか上陸できなくなった。
 ネルソン氏誘拐も、彼らの仕業だろうか?
 
 マテマ族は、そのころから近くの小島に移り住み、島を監視しているのだという。
 
 族長は「きみ」に木箱を渡す。
 それはまだ黒いピュタゴラスが、
邪悪に染まりきっていなかったころ託された者だという。
 
 出てきたのは、1枚の手紙。
 しかし、これを読むには(151)へ行く必要がある。
狂気がものすごく増える、ということだ。
 
 一応、今はやめておく。
 だが、それが正しいことだろうか。
 ゲーム的には、ふりだし覚悟でこの手紙を読むという選択もある。
 
 そうすれば、またホテルかどこかで目を覚ますだろう。
 アイテムはまた集めなければならないが、
プレイヤーの記憶まで消すことはできない。
 
 そうして再開したほうが、
手紙を読まないまま行動するのよりは効率的ではないか。
  
 思いはしたものの、それだけ。
 
 もう少し先に進んでもいいだろう。
 こういう考えが失敗を招くことは、往々にしてあるのだが……。
 
  
 湖の一件で、死傷者と行方不明が何人か出たようだ。
 元船乗りも行方不明。
 
 その代わりというのも変だが、呪術師から奪ったという櫂をもらう。
 呪術師をガイドにした夢のなかでは、
これがなければ島へはたどり着けなかったはずだ。
 ありがたく頂戴する。
 
 と、族長から宴を開くので参加しろという誘いを受ける。
 すでに人夫や島の有志が岸辺で待機しているのに、順序が逆じゃないか?
 族長の言葉にも、刑事のカンも警告を発しているが……。
 
 迷ったが、なんとなく参加する。
 
 結果、元船乗りと再会する。
 作者の底意地の悪さが分かる場面だ……。
(えっ、そんなの二見のブレナンのシリーズの時代から知ってた?) 
 この元船乗り、多分名前が悪かったんだろう。
 彼のものだったものを手にして、島へ。
 
 
 櫂があったおかげで、島にたどり着くことができた。
 
 
   
 上陸。
 西南端の広場へ。
 中央に五芒星が描かれている。
 その中央には、仮面が置かれているが、恐怖心がそれを手にすることを拒む。
 
 
 
 と、ここで一区切り。
 ここまでは基本一方向移動型で進んできたが、
 ここからは、(62)のマップを見て、
そこに書かれた数字に従うというスタイルになる。
 
 精神状態が悪化すれば、さらに別の地図へ。
左ソデをこっそり外して見てみると、同じようなマップが、あと2つ用意されている。
 狂気点は10点と12点……。
 
 少なくとも、そこまでは狂気が上昇するということだ。
やっぱりこの刑事、こんなところまで来たのは間違いだったんじゃあ……。
 
 
 さて、そんなわけでマップを見る。
 
 なんとも気味の悪い形の島だ。
 地形も情報かも知れないが、どうにもそれは読み取れない。
 
 となると、数字だけが選ぶ際のヒントということになる。
 数字が低ければ狂気点は増えない。
 なので、もっとも数字の低い、49へ。
 するとーー。
  
 まんまと引っかかったね、作者の声が聞こえるようだ。
 
 たどり着いた場所で、好奇心を発揮すると、指が9本になってしまった――。
 
 地図のところでは木箱の手紙を読むことができるのだが、まだ読まない。
 
 ふたたび62の地図へ。
 59・64。
 アスファルトまみれの男が迫ってくるが、恐怖のあまり彼と接することはできない。
 おもわず逃げ出してしまう。
 
 精神は悪化し、さっそく104の地図にマップが交代することに。
 
 62の地図はあまり調べられなかったが、大丈夫だろうか?
 最初の地図だから、まだそれほど重要なことは出てこないと思いたいが――。
 
 ということで、今回は、この辺で。次回は
 104の地図から、狂気点は10点だ。
 
 ……。
 
 大丈夫か?
 
 ネルソンも大丈夫か?
 

拍手[0回]

カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 5 6
7 9 11 12 13
15 16 17 18 19 20
22 23 24 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
道化の真実
性別:
男性
趣味:
ゲームブック
最新CM
[11/01 道化の真実]
[10/26 ポール・ブリッツ]
[06/01 道化の真実]
[05/29 ポール・ブリッツ]
[05/06 道化の真実]
最新TB
ブログ内検索
バーコード
P R
フリーエリア
<
忍者ブログ [PR]