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2024/04/28 「オタク用語は非日常の世界を描くためか、そこにはまりこむためか、日常生活にかかわる用語(たとえば衣食住・乗り物。店など)がないのが大きな特徴である。その他、表記を変えた当て字が多い」(『俗語百科事典』米川明彦:著(朝倉書店/2021/7)。うーん、確かに。って思ったけれど、あたりまえのような気も……。
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 ☆ ゲームブック以前。

『赤塚不二夫実験マンガ集』
赤塚不二夫 赤塚りえ子監修 野田努編集
(ele-king books/2015/9)。

赤塚不二夫実験マンガ

さて、前回紹介いたしました、
『赤塚不二夫劇場』あとがきに、
赤塚先生は、次のようなことも書かれておられます。


p.260

 ぼくは作品をかく時、いつも読者をビックリさせてやろうと思う。
 とてつもなく変なものをかいて、読者を困らせてやろうと考えるのだ。
 決して笑わせてみようなんて思ったりはしない。

 ワッ!
 ウヘッ!
 キモチワルーイ!
 ゲゲーッ!

 そう読者の方々が叫んでくれたら、シメたものなのだ。
笑いはそのあとに自然に生まれてくる。

 赤塚マンガは、そのように理解すればよいのでございますな。


 さて、そんな赤塚先生の「変な」マンガを集めたのが、
今回紹介いたします、『赤塚不二夫実験マンガ集』でございます。

 本当に実験的なもくろみを持って描いたのか、
 それともただの思いつきか、
 はたまた単なる手抜きなのか……。

 それはわたくしには分かりません。
 おそらくそのすべてなのでございましょう。

 左手で描いたり
 下描きのアタリだけのコマがいくつもあったり、
 原寸大と称して、顔だけアップの見開きを6ページにわたって続けたり
(=コマで言えば3コマなのですが)、
 夏バテということで、キャラクターを棒人間にしてみたり……。

 思いついたアイデアをそのまま描いてみたというような作品が並びます。

 無名の人がこんなことをやったら、
フザケているのかとでもどやされそうなところでございますが、
赤塚先生だからフザケていてもしょうがないかということになるのでございますな。

 しかも意外と着地させている
そこらへんは、これらの作品が単なる思いつきや手抜きではなく、
作品として成立しているところでございますな。


 今回取り上げます、
「イライラヒリヒリごくろうさまなのだ」もそんな一つ。

初出が「少年マガジン」1973/7というのでございますから、
ゲームブックの10年以上前でございますな。


イライラヒリヒリごくろうさまなのだ 


 マンガの各コマには、アルファベットが小さく書かれていて、
ときどき、何ページのどこ(アルファベット)に続く、と書かれているので、
その指示に従って、読み進めていくという形式でございます。

 選択肢はございませんが、感覚はゲームブックと同じですよね。

 そのあっちへ行ったりこっちへ行ったりが、面倒くさいだろう、
イライラヒリヒリするだろうというのでございますが、
むしろ、そのページをめくる感覚が、面白いと思うのでございますけれどねぇ。

 もちろん主人公は「きみ」ではございません。

 これからも出てくると存じますが、
ゲームブック以前とゲームブックのちがいは、
分岐があっても自分が主人公ではないということが一つとしてございますな。

 お話は、おまわりさんが予告してきた犯人の自首を待つ、というものでございます。
 そのイライラした感覚を、この形式で表現したのかもしれません。

 ただ、この作品、ボーッと読んでいる分には、
別に指示に従って記号を追わなくても、なんとな~く読めてしまうのでございますよね。

 話が大きく展開するということもございませんのでそうなるのでございましょうな。



 なお、この作品集には、
「チビ太の誓い イヤミの誓い」
という話も、収録されております。
こちらのほうは、「少年サンデー」の1967/1。

上段はチビ太が主人公、下段がイヤミと、
上下別に話が展開して行くものでございます。

チビ太の誓いイヤミの誓い 


 ゲームブック風と称して、こんな形式で展開するマンガってございますよね。

分岐の前に選択肢があって、読者に選ばせるという形式にしていることが、
かろうじてゲームブック的と申せるでしょうが……。
でも、そういうのって、ふつう両方読んじゃいますよね。

 この形式は、小説でもいくつか見かけます。
 ちゃんと調べていないので確かなことは申せませんが、
ですからおそらく、この作品が最初というわけではないでしょう。

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