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2024/09/21 ところで「豹」は訓読みで何と読むかご存じですか? 答は「なかつかみ」。まぁ、読めっこない。 なんでも陰陽道で方位を司る八将神(はっしょうじん)という神さまたちがおられるのでございますが、その中の一柱が計都星を司る豹尾神(ひょうびしん)。この神さまが八将神の中央に位置するため「なかつかみ」というのだそうな。どうまん中かと調べてみますと、八柱を円に並ばせた場合の真下みたいですな。 ただし方角的には常に変わっているので、別に南と結びついているわけではないようでございます (そもそも北を上とするようになったのは、大航海時代みたいでございますしね)。「なかつかみ」は『日本書紀』にも登場する古い言葉でございます。もっとも、尾とあわせて出てきているので、当時の方はこの八将神からしか豹のことを知らなかったかもしれませんし、尻尾しか見たことなかったのかも。
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トリの翼のような特殊化した構造に付随する機能や、怪獣生物学入門
それに基づいた適応的行動パターンは
文字通り「論理(ロジック)」として整合的に語られる。
たとえば「空を飛ぶための翼」のように。
しかしそれは本来「辻褄(つじつま)が合っている」
という以上のことを意味しない。
なのになぜか「飛ぶために翼を持つ」という、
一種の「目的論」としてそれが語られることが多い。
無論、動物の形を決めた「目的」など、
この世にあった試しはない。
 「目的」をもって生物を作ったものもいるはずはない。
だからこそ、生物学の世界では目的論的説明はご法度とされる。
むしろ進化生物学的に問題となるのは
「なぜそうなったか」という経緯なのである。
(『怪獣生物学入門』倉谷滋:著
 /集英社インターナショナル新書/2019/10)。
 
  
 これ普通に見かけるし、やりがちなんですよねぇ。
そうしないと説明がややこしくなるってこともございますし、
単に説明するだけならばそれで充分ってこともございますし。
 
 ですがやはり、鳥が自ら(一世代もしくは数世代)の
空を飛ぼうとする意思によって翼を手に入れたとするのは、
生物学的にはご法度なんですねぇ。
 
 SFならばそういう発想ございますけれど。
 蛇足ながら、何ものかの意思で、というのも同様でございます。
それが容れられるのなら、科学は宗教に組み入れられてしまいます。
 
 それはさておきましても、意思の力が進化に影響をおよぼすのでしたら、
人間に翼が生えてもおかしくないですよね。
歯が何度も生えかわってもいいと思いますし、
みんなもっと身体能力や知能があってもよろしゅうございましょう。
 
 でも、そうはならないのですな。
 
 
 あるいは、「ざんねんな生き物」のざんねんな部分というのは、
解消されてなければおかしいと申すものでございます。



 
☆ ちなみに、ご本で話題にしているのは、『シン・ゴジラ』の歯についての、
 作中の
「噛み合わせが悪そうな歯並びだ」
「何も食べていないんだ」
という会話でございました。
 
 それに対して、もしゴジラが核をエネルギーとして利用することになり、
何も食べる必要がなくなったとしても、
もともと何かを食べていたのだとしたら、
一世代で急に歯並びが悪くなるのはおかしい。
 
何ものかによって作られたのだとしても、あえて歯並びを悪くはしないだろう。
そのままにしておくはずだ、ということでございました。
 
 
     ☆     ☆     ☆
 
 
 
 このご本で他に面白かった点といたしましては、
生物が怪獣ほどに巨大化できない原因について、でございます。
  
p.133 建築業界では「ダブルキャパシティ」という考え方がある。
「この床は一〇〇キロの荷重にも耐えます」という謳い文句を付けるためには、
実際には二〇〇キロに耐える能力を持たなければならない。
戦争映画などでよく潜水艦が敵の追撃から逃れるため、
限界深度を超えて潜ることがあるが、
それはこのダブルキャパシティに賭けているのである。
面白いことに、これは動物の骨格にも当てはまり、一本の骨を折るためには、
その骨が通常経験する最大応力の倍以上の力を加えなければならないという。
 
 でも、倍以上にはならないみたいなのですね。
入院などで脚を使わなかった場合、
その骨が痩せていくって話は聞いたことございましょ? 
そんな感じで必要以上にはならないようなのでございます。
 
p.136 このようにキャパシティを上げることと、コストを下げることとの間には、
トレード・オフ、すなわち「綱引き」があり、
ぎりぎりの強度では危ういが、さりとて強すぎる骨を作ることにも意味がない。
結果、骨が折れる応力の二倍ぐらいに落ち着いている、という考えはあり得る。
しかし、それでも、骨が「必要以上に強すぎる」という印象はぬぐえない。
 
 それについては、
骨折が動物にとって致命的だから、という考察がなされております。
 命に関わるがゆえにキャパシティを広く採っている、というわけですな。
 
 
 
     ☆     ☆     ☆
 
 
 
「マタンゴ」の章では、吸虫類に属する
ロイコクロリディウムLeucochloridiumという寄生虫を紹介しております。
カタツムリの触覚に入り込み、肥大化させて目立つ模様を作り出すのだとか。
でそれが触覚の中でグリグリと、
とてつもなく気持ち悪い動きをするのだそうでございます。
 この寄生虫は鳥を宿主とすることが目的なので、
カタツムリはその目立つ格好で晴天でも葉の上でウロウロするようになるのだとか。
 
 ネット上に動画がアップされていると書かれておりましたが、
相当気持ち悪いと書いてあったので、わたくしは見ておりません。
 
 
 
     ☆     ☆     ☆
 
 
 
 さらに話は、ドゴラ、寄生獣、ウルトラ怪獣と様々に話は進んでまいります。
 
 ひと言で申しまして、怪獣をダシにして生物学的蘊蓄を、
もしくは生物学をダシにして怪獣を語ったご本でございますな。
 
 まぁ、超獣など考察をあきらめているものもございますが。
 

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