『シン・仮面ライダー デザインワークス』

『シン・仮面ライダー　デザインワークス』
　カラー(2023/4)
　

　パンフレットには一般書店でも販売するようなこと
書いてございましたが、売っていないみたいなので
映画館へ行って買ってまいりました。
首都圏や特別なお店では売っているのかな？

　
『シン・仮面ライダー』を好きな方もそうではない方も、
興味ない方も、買うとよいと思いますよー。

　
　映画とは関係なく、
デザインとして、アイデアとして、企画の変遷として楽しめると思います。
　

『シン・ウルトラマン』のときもこのようなものあったそうですが、
映画見なかったおかげで存在を知らなかったものなぁ。
その後そういう書物が出ておりませんので、買わなかったことが悔やまれます。

　
　

　やはり興味深いのは企画の変遷でございますな。
　

　サソリは当初原作テレビと同じように男だったそうでございますし、
チョウは女だったそうな。
なんか話がかなり違うものになりそうでございますな。

　仮面ライダー自体や怪人のデザインは三者三様で、　

一番原作を考慮したのが出渕裕先生、
生体兵器的なのが前田真宏先生、
現代風ということに重点を置いたのが山下いくと先生
といったところでございましょうか。

　

　それぞれのデザインが採用されていたら、
まったく違うストーリーになったでございましょう。

　
　前田先生準拠で行くならば、ホラーテイストになっておりましたでしょうし、
山下先生のデザインならばサイバーというかハイテクというか、
近未来的になっておりましたでしょう。

　

　最終的に仮面ライダーのマスクは原作デザインになるというのは、
大方の予想がついていたと思うのでございます。
その中でキッチリと違うものを出していくあたりが正しくございますな。
庵野監督もそういう期待と信頼をしていたのでございましょう。

　

　結果、予想どおりに原作テレビシリーズ準拠のマスクとなるのでございますが、
ドキュメンタリーで庵野監督は、山下いくと先生のデザインと比べて、
どちらかとおっしゃっておりましたよね。

　

　あそこで映ったデザインは
ピンとこなかったのでございますが、
本に載っていた全身像の方、
マスクがもう少し仮面ライダーよりの方は、
アリかなと思いました。

　

　ただ、その場合はまったく雰囲気が違ってまいりますな。

　変身後は完全に3DCGにしちゃって、
人間にはとうてい出来ないハイスピードアクションをさせる。

　
　原作とはまったく違うことになりましょうが、
今の感覚で原作をよみがえらせるとすれば、
それが正解だったのかもしれません。

　

　もっともこれは『シン・仮面ライダー』を見たあとだからの感想でございますな。
原作に寄せようとして、かえって違和感が増してしまうよりは、
原作のスピリッツだけを大切にして、
大胆に変えてしまったほうが良かったのかも、
そう思えてしまいます。

　
　

　他には、チョウオーグの背面とかも見どころでございますな(p.186)。

　チョウオーグってほとんど正面向いておりましたし、
もしも後ろ姿が映っても長い髪に隠れてほとんど見えないのですよね。　

　

「仮面ライダー　クロスファイヤー」の第2案のような鬼のような仮面に似た
大量発生型バッタオーグのデザイン（前田真宏先生/p.161-162）や、

　
　イナズマンにかなり寄せたチョウ(出渕裕先生／p.185）なんかも面白い。
工夫に喝采いたします。
でも、だからこそ使われなかったのでございましょうなぁ。

　

　あと、
山下いくと先生デザインのシンサイクロン号。
映画にはちょこっとだけ出て来たのかな?
　
カッコいい。

　
　

　
　他にもサイクロンやメットの変形案なども興味深く、
思ったよりも情報量が多く、なかなか楽しめる内容でございました。