しげの秀一先生のスゴさ

(このごろアニメの「頭文字Ｄ」を見ているのにかこつけて、その関連の穴埋めを──。)

　
　

「ＯＵＴ」誌1984年８月号に
しげの秀一先生のインタビューが
載っていることを知ってる人は、
そんなにいないのではないでしょうか。

　

「ＯＵＴ」誌1984年８月号　しげの秀一
あたりで検索すれば、
記事の画像をそのままアップしている方
も見つかるかもしれません。

　　
　でも、しげの先生だからではなく、
「OUT」誌の１冊として紹介しているご様子。

　　

　ですから、しげの先生のファンでこの記事を知っている方は少ないと思います。

　　

　にもかかわらず、今の段階でウィキペディアなどにも載っていない
エピソードがございますので、紹介してみることにいたしましょう。
　
　

　
　

　しげの秀一

　

　本名：重野秀一

　専修大学文学部中退

　昭和33年３月８日生まれ

　星座・血液型：魚座・Ａ型

　デビュー作：1980年「あの娘は硬派」 週刊少年サンデー 昭和55年■増刊号

　

　好きなマンガ家は「いっぱいいますよ」と前置きしたあと、
少年マンガでは池上遼一先生、本宮ひろし先生、
作品では高森朝雄/ちばてつや先生の『あしたのジョー』。

少女マンガでは、吉田秋生先生、岩館真理子先生、くらもちふさこ先生など。

を挙げておられます。
　　
好きなアニメは
『宇宙戦艦ヤマト』、『ガンダム』、『イデオン』、『ザブングル』。
当時でございますな。
　

　ゆうきまさみ先生とは「マンガ画廊」というところで知り合った友人で、
当時そこにたむろしていた人はアニメ関連の人が多く、
マンガを描いている中で一番話があったからだとか。

　

『バリバリ伝説』で有名になったわけでございますが、
もともとバイクマンガ描くつもりはなかったとか。
バイク好きだけど、当時は描くのが遅かったので
大変なんじゃないかと思っていたそうでございます。

　
このジャンルを読んだのは連載のかなり後だとか。

　

で、当時描きたかったのはバレーマンガ。
女子高校生がロス・オリンピックの代表に選ばれて
金メダルを取るまでをやるつもりだったとか。

　
　女性しか出てこない話なので、少年マンガでやるのは冒険すぎる、
と止められたそうでございます。

　
　　

　バイクに関する話もございました。

　
　転倒率80％。
今(当時)持っているバイクも
買ったときから残っているのはエンジンぐらい。

　
　でも不思議とケガはしないのだそうな。

　

　

　で、『バリバリ伝説』に登場する２人の女の子、
歩唯（あい）さんとみゆきさんは、
このインタビューに同席した速水翼先生の
二面性を極端に描いているのだそうでございます。

　

　女の子のほうから男の子に声をかけるのも、速水先生の性格だそう。

　はじめは否定していたのですが、
最初にしげの先生に会ったとき
「『あなたハンサムですね、ツバつけた』って私、言っちゃったんですよ（笑い）」
と自分でバラしておりました。

　
　
　　　　　☆　　　　　☆　　　　☆
　
　

　さて、こんなしげの先生のスゴさについてでございますが──。

　
　

　新潟から出て来た先生は、
まじめに大学へ行く普通の大学生だったのですが、先ほどの「マンガ画廊」。

　そこでアニメ好きの友だちがたくさんでき、
大学をすっぱりやめてしまったのだそうでございます。

　
　メカが好きでひおあきら先生のアシスタントをやっていたのですが、
それも「マンガ画廊」の居心地がよくって、

サボったり遅刻ばかりしていたのでクビを言い渡されたのだそう
（あの人のいいひお先生が──、と言われておりますから、
　よっぽど非道かったのでございましょうな）。

　

　マンガの投稿を始めたのも、クビになって収入が断たれたからで、
本当はマンガ家になるつもりなんてなかった、
一生アシスタントでもよかったとおっしゃっておられますな。

　

　で、そのころの給料が５万円。
風呂つき１ＤＫ、家賃３万５０００円の立派なアパート
（みんなからヒンシュク買っていたそうな）に住んでいて、
残り１万５０００円で生活していかなければならないんだけど、
当然できるわけもございません。
　
家賃滞納、
電話・電気・ガス・水道も
みんな払わずに止められたそうでございます。

　
　水道なんて生死に関わりますから、
けっこう長いこと止められることはないらしいのですが、
それを止められたっていうのですからスゴですな。

　

　速水先生には食べられなかったときに助けてもらったので頭が上がらないとか、
冷蔵庫の中にあった卵が腐っていて死にそうになったとか、
電気代をカウンターの人に立て替えてもらったとか、
家賃も不動産屋さんに立て替えてもらって親しくなったとか──。

　

　さらに、水道代を二年ほど滞納して元栓を閉められたときには、
勝手に開けて使っていたという……。

　

　スゴいでしょ。

　

　水道の元栓のエピソードなんか、
厳しい状況でがまんにがまんを重ねて、少々ズルい手段で相手を出し抜く、
『頭文字Ｄ』のスタイルに、似ているものがある
……のかもしれません。

　

　
　それにしても中で、

「やっぱりマンガ描くのに、夜電気が消えたらどうしようもないでしょ。
　水道が止まろうが、ガスが止まろうが、電気だけは困るから払おうと思ってね」

　
とございますから、こんな状況の中でマンガ描いていたのでございますな。

やはりスゴいと思います。

……。

それにしても、この時お描きになっていた作品って、何なんでしょ?
　
投稿や持ち込み時？

短編や『バリバリ伝説』の最初のほうもそうなのかなぁ？　
気になるところでございます。