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2024/03/27 「サイボーグ009」が舞台化されるそうですな。キャストで登場人物を見るに、0010をやるみたい。加速装置に電撃と派手な戦いとなりそうですな。以前には出来なかった技術が駆使された演出となるのでございましょう。ラストの愁嘆はクサくなりそうな気もいたしますが、それもまた舞台に向いていると申してよろしゅうございましょう。
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 ゲームブッククイズ(140)
 
ドラゴンファンタジー7『幻し城の怪迷路』 

J・H・ブレナン:著 真鍋義博:著 フーゴ・ハル:絵
   (二見サラブックス/昭和62年8月)
 
において、
マーリンが思い出そうとしていたピップ(の中の人=君)召喚の呪文
 
「この世の憂さも辛さも倍増しだ」
 
出典は



答:『マクベス』
 
 作者がシェイクスピアであることや、
スコットランド王の話であることは、
作中のこの引用のすぐあとに書いてございますな。。
 
 第4幕 第1場
 
 3人の魔女が不吉な呪文を唱えながら、
気味の悪い材料を鍋に放り込む有名なシーンにございますな。
悪い魔女の定型と申してもよろしゅうございましょう
 
 訳は、福田恆存先生の新潮文庫版に近いようでございます。
 
 マクベスの訳はいろいろございますが、
いちばんキレがあってカッコいい訳なんじゃないでしょうか。
 
 そのあとにもいろいろな方が訳されておりますが、
わかりやすくはあるものの、この点において苦労されているように見受けられます。
 
☆ ちなみに、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』は間違い。
 
 この映画が作られたのは、 
ブレナンのこのシリーズよりもあとのことでございますから、当然ですな。
(マーリンと同じく、
  ブレナン先生が未来から引用したというのであれば別でございますが)
 
 第一、この作品の挿入歌にせよ、『マクベス』のこの部分が元ネタでございますし――。
  
 
 
 閑話休題
 この煮込み、何かの薬を作っているのかと思えば、そうではございませんでした。
 (少なくとも、劇中では)
 
 マクベスさんがやって来たときに、この鍋の中から3人の幻影か現れて、
彼に予言めいたことを言うわけですな。
 
「マクベスを倒すものなどいないのだ、女の産み落としたもののなかには」とか、
「森が丘を攻め上ってこぬかぎりは」などと、謎めいた言葉を含んで。
 
 その言葉がクライマックスのカタルシスを産む、
一種のミステリー仕立てになっているわけでございます。
 
 この「森が丘を登る」の変奏は、
望月三起也先生の『ワイルドセブン』「魔像の十字路」でも使われておりましたな。
 
 
 
 
 さて、
幻し城の怪迷路』に戻りましょう。
 
 この一文、その前にマーリンが唱える呪文がございます。
 
 辛い 辛い 苦労と不労
 辛い 辛い 苦労と不労
 つぶやく つぶやく 苦労と不労
 ぶつぶつ ぶつぶつ 苦労と不労
 
 この言葉、原作の魔女のセリフにあるのかと思ったらそうではないのでございますな。
 あるとばかり思ったものでございますから、かなり探してしまいました。
 
 そうではなくてここは、
この世の憂さも辛さも倍増しだ」という言葉を思い出せなくって、
マーリンがあれこれ言葉を試している、ということのようでございます。
 
 原書を持っていないので、元の英語がどういう文章だったか存じません。
 ので、ちょっと予想をしてみることにいたします。
 個人的な楽しみ、アテにはなりませんので、ここはとばしてくださいませ。
 
マクベス』の「この世の憂さも辛さも倍増しだ」と訳されている箇所は、
原文では「Double, double toil and trouble;」となっているそうでございます。
 
 というわけでまず1~2行目。
 
 「辛い 辛い 苦労と 不労」
 
「辛い」は最後の単語の「trouble」をそのまま入れればいいと思うのですよね。
「Double」とは、文字が似ておりますし、
両方とも「辛い」の訳が使われているので、それでいいのではないかと。
 
「toil」もそのままでいいんじゃないかなぁ。
 
「不労」はよく分からない……。
labor=労働」がちょっとは「trouble」の「roubl」に似ているので、
それに何かつけた言葉かなとも思うのでございますが……。
もしかすると「toiless=苦労のない、楽な」かもしれません。
苦労と不労」とになって訳されているので、
その方がありえそう。
 
行目と行目の「つぶやく」「ブツブツ」は、
burble ブツブツしゃべる」と「grumble ブヅブツいう」が、
Double」と語感が似ているので、それなのでは、と考えます。
  
 というわけで、予想。
 おそらく原文は、
 
 Trouble trouble     toil and toiless
 Trouble trouble     toil and toiless
 Burble burble     toil and toiless
 Grumble grumble toil and toiless
 
 という感じなんじゃございませんでしょうか。
 

 「double」とやるところを、最初に「trouble」を持って来ちゃったもので、
最後の「trouble」の部分が困ってしまうとか、
それで「toil」からの連想で「toiless」を持ってくるとか、
けっこうらしいとは思うのでございますが。
 
 機械翻訳で、日本語→英訳→和訳 とやって、
元の文章とのギャップを楽しむという遊びがございますが、
それと似たようなものなので、当てにはしないでくださいませ。
 
[追記] 原典を見たら、まったく違っておりました。
   というわけで、正解は021/02/23 (Tue)の記事
   間違っていました~!!に書いておきましたで、
   そちらをご覧ください。
   
 
☆ 翻訳されているブレナンの作品では、
  この『幻し城の怪迷路』が個人的にはペストかな。
 
ドラゴンファンタジーの掉尾を飾る『ゾンビ塔の秘宝』が、
『ウォーロック』誌などでは一番好評を得ていたような気がいたしますが、
あれは、シリーズ全体としての一票も入っておりましょうしね。
それを抜きにいたしましても、聖杯の脱力的な正体であったり、
最終巻にふさわしいラスボスだったり、
なによりもアバロンとの別れのラストシーンだったり……、
『ゾンビ塔の秘宝』の評価は、
そうした、主にラスト近くのストーリーの評価だと思うのでございますな。
 
『幻し城の怪迷路』は、何でもないものを持ち帰る
(正確には違いますが、プレイした方にはお分かりでしょう)ことが意味を持つ、
ストーリーの秀逸さもさることながら、
となりのパラグラフで何か起こっているのに
そこにたどり着けないもどかしさという面白さを含む、
ゲーム的な面白さを堪能させてくれたので、個人的には評価が高いのでございます。
 
 ちなみにこの作品をプレイする前に、
『ゾンビ塔の秘宝』は本屋さんでパラパラッとめくっておりました。
 ですから、あのヒントも、『幻し城~』をプレイする前に見ていたのでございますが……。
 
 それに気づくまでには、1~2日かかったような……。
 もしかすると、その程度だけ悩ませてくれたのも、
個人的な好評価になっておるのやもしれません。

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