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2024/03/27 「サイボーグ009」が舞台化されるそうですな。キャストで登場人物を見るに、0010をやるみたい。加速装置に電撃と派手な戦いとなりそうですな。以前には出来なかった技術が駆使された演出となるのでございましょう。ラストの愁嘆はクサくなりそうな気もいたしますが、それもまた舞台に向いていると申してよろしゅうございましょう。
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 「ゲームブックの移動型(序)」2018/12/01 (Sat) からの続きです。
 
 
 

(1) 一方向移動型
 
 小説などと同じように、時系列(物語の流れ)に沿って展開していくスタイルです。
 ゲームブックとしてはもっとも基本的な形といっていいでしょう。
 基本的ですからさらにいろいろと分類できますが、
それをやると終わらなくなるので、いずれまた。
 
  
 
(2) 双方向移動型

 コンピュータのアドベンチャーゲームから発展したといわれる、
場所を中心に据えたスタイルです。
 
 ブロックごとの移動が基本ですが、離れた場所に移動するものであっても、
基本的に往復――一対一の対応で行って戻ってくること――ができれば
この移動型に当たります。
(基本的に、というのは
 イベントやトラップなどで戻ってこれなくなる例外があるからです)。
 
 この移動型には、往復ができるものならばマップを使うものや3D迷路も含みます。
 
 場所を中心とした移動型なので、何もなければ時間が止まっているのと同じ状態です。
 そのため、取りそこねたアイテムを元に戻って入手するという、
一方向移動型には苦手なことができる(*)反面、
時系列や物語の流れは、
時間やアイテム、記号などをチェックして管理することが必要になってきます。
 
(*) プレイヤーの利便のように思えますが、実は一長一短です。
    アイテムが自由に配置できるということなので、
    同じ場所を何度も往復しなければならないような、
    面倒くさいゲームブックも制作可能だからです。
 
 
 
 このタイプの特殊な例としては、

『悪夢の妖怪村』鳥井加南子(祥伝社/85/12)が挙げられます。

このゲームブックは、双方向型なのですが、
戻ってくるときに、
途中をすっ飛ばして、元の位置まで戻るということをやっています。
そのことで、
双方向型にありがちな、ダラダラと代わりばえしないところを歩くつまらなさや、
行きと帰りで同じイベントに遭うことも解消しています。
 
それと、これは副産物でしょうが、
行きと帰りが違うことで、プレイヤーを錯誤させる効果もあります。
 
 わたくしも、フローチャートを書くまで、このゲームブックを一方向移動型だとばかり思っていました。
 
追記:フローチャートはこんな感じです。
 
悪夢の妖怪村
 
 一見、普通の双方向移動型のマップに見えますが、
矢印をたどっていけば、途中をまたぎ越しているのが分かるでしょう。

わかりにくいところとしては、

まず、左端113の駅から下の16まではほぼ一方向移動型です。
選択を誤ると駅に戻される場合もあるので、跳び越して元に戻るうちに入りますが、
それ自体がデッドエンドなので一方向移動と変わりません。

 もうひとつ、真ん中あたりにある穴は、
3回目以降はデッドエンドですが、それ以前はロープを使って這い出ることができます。
出たあとは、北ならのコンビニ。
東なら、38の舗装道路。
南なら、176のドラキュラの洋館か、207の分岐点。
と、ここでもまたぎ越しが発生します。
 
 こうしてみると、
素直に行って帰るというところは少なく、
四方向ではなく二方向の移動であること、
それに正解ルートが一方向的であることが、
 
このゲームブックを特別なものにしているのでしょう。
 
一方向移動型と双方向移動型の中間的な形態といった方がいいかもしれません。


 
 
 
 
 
(3) 多方向移動型

 『夢幻島の怪物』藤浪智之(講談社KCDXラノベ/2018/10)や
『ブラマタリの供物』フーゴ・ハル(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)
にあったような、
 
マップを見て直接その場所に行くような移動型のスタイルを指します。
 
調査型」などとも言われますが、
一方向双方向にあわせて、ここでは多方向という言い方をすることにします。
 
 双方向移動型から派生したかと思われるこのスタイル、
 例に出したゲームブックのように、
マップを見てというものが多いですが、それだけではありません
 
 机のうえにあるものを調べるとか、ある人物を調査するなど、
目的物さえあれば使うことができます。
 
 時間・場所に対して、目的物ですね。
 
 英語は得意ではないのですが、
 Time,Place,Objectで、TPOとしておきましょう。
 
 この移動型は、1つのパラグラフから複数のパラグラフに分岐し、
ふたたび最初のパラグラフに戻るという流れを基本とします。
 
 このスタイルも双方向移動型と同様、
時間や因果関係には、フラグなどのチェックが必要となってきます。
 
 1つのパラグラフから分岐したそれぞれは、
プレイヤーの体験としては順番があるにせよ実質的には等価であり、
別の分岐で生じたフラグを参照にすることではじめて、
その分岐と今いる分岐の間に時間や因果が発生します。
 
(3番目の部屋で取ったカギを使うことで、
 1番目の扉を開けることが出来、先に進めるというような場合ですね。
 
 一方向移動型では、
3番目の部屋でカギを取ってもとらなくても時系列は存在するため、
そこで終わりということは多いですし、
カギを取りに行くという選択があるとすれば、
それはさらに時間(=因果)が流れることになります。
そこに別の物語を盛り込むことができるのです。
 
 対して、双方向移動や多方向移動では、
フラグが立たないかぎり時間が生じないため、
3番目の部屋にカギを取りに戻っても、基本的に物語が動くことがありません。
 
 多方向移動型は
必要なところに直接当たることができるため、面倒がなくていいのですが、
その分、作業的な感じになるのではないかというのが、わたくしの印象です。
 
 
 
 このタイプのゲームブックは、
分岐後の話は比較的短いことが多いのですが、それが長い話になる場合もあります
 
 例えば、3つのダンジョンがあり、どこから攻略してもいいという場合ですね。
この場合も、1つのダンジョンをクリアしたら元の場所に戻り、
他の2つのダンジョンのどちらかを選ぶのですから、形式的には多方向移動型です。
 
 ただし、目標に直接当たれるわけではないので、
雰囲気は普通の多方向移動型とはずいぶん違った印象となります。
 こうした多方向移動型のなかに長い一方向移動型を含む形式を分けて考える場合、
わたくしは「束ねたロープ」型という少々不格好な名前で呼ぶことにしています。
  
  
  
 この項目の最後に、
 ゲームブックとしてはあまりない、ループ型についても書いておきましょう。
 
 1つの状況から派生した分岐があり、
 長い物語を経てもとの位置に戻るという形式だけを見れば、
ループ型も「束ねたロープ」型の多方向移動であるといえます。
 
 しかしループ型は、はじめからすべての分岐を選べる、ということはありません
 1つの物語が終わり、フラグが立つことによって
はじめて次の分岐の物語がよめるという形をとっています。
 
 つまり、形式的には多方向移動型でも、実際は一方向移動型なのですね。
 分岐それぞれは、時系列的には等価ですが、物語の流れとしては順番があり、
それがループものの独特な展開となっているのです。
 
 そのため、ループ型は多方向移動型とは分けて考える必要があります。
 単に多方向移動型といった場合、ループ型は含めないで考えていくので、
そのつもりでいてください。
 
  
 とはいえ、ループ型ではない普通の多方向移動型でも、
ループ型と似たような動きをするものがあります
 
 たとえば先ほど挙げたダンジョンの例ですと、
CのダンジョンをクリアするためにはBのダンジョンのアイテムが必要であり、
BのダンジョンではAのアイテムが必要という場合、攻略するためには、
A→B→Cの順でダンジョンを制覇していかなければなりませんよね。
 
 アイテムだとちょっと特殊かと思えるかもしれませんが、
Aのダンジョンが1レベル、Bが2レベル、Cが3レベル無ければクリアできず、
ダンジョン以外にレベルアップの方法がない場合もやはり、
A→B→Cの順でダンジョンをクリアしていくことになります。
 
 これは、双葉社のゲームブックなどで普通に見られるケースです。
 
 ただこうしたものは、
とりあえずはじめからすべての分岐が選べるという形式的な面と、
分岐後のそれぞれの話にそれほど強い関連性がないという物語的な面で、
ループ型ではなく多方向移動型の範疇に含めることにします。
 

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