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2024/09/21 ところで「豹」は訓読みで何と読むかご存じですか? 答は「なかつかみ」。まぁ、読めっこない。 なんでも陰陽道で方位を司る八将神(はっしょうじん)という神さまたちがおられるのでございますが、その中の一柱が計都星を司る豹尾神(ひょうびしん)。この神さまが八将神の中央に位置するため「なかつかみ」というのだそうな。どうまん中かと調べてみますと、八柱を円に並ばせた場合の真下みたいですな。 ただし方角的には常に変わっているので、別に南と結びついているわけではないようでございます (そもそも北を上とするようになったのは、大航海時代みたいでございますしね)。「なかつかみ」は『日本書紀』にも登場する古い言葉でございます。もっとも、尾とあわせて出てきているので、当時の方はこの八将神からしか豹のことを知らなかったかもしれませんし、尻尾しか見たことなかったのかも。
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『サイボーグ009 太平洋の亡霊』009太平洋の亡霊
石ノ森章太郎:原作 
辻真先:脚本 
東映アニメーション:協力 
早瀬マサト(石森プロ):作画
(champion RED コミックス/2024/9)
 

☆ 白黒時代のアニメ1968年の
  『サイボーグ009』
から
  辻真先先生脚本の同名タイトルをマンガ化
  
したものにございます。
 巻末には、辻真先先生の当時の脚本を収録してございます。
 
(ちなみに、小さな声で申しますと、アニメはニコニコで見ることができました)
 
 真珠湾攻撃から30年以上経っていることが会話からわかりますから、1970年代。
アニメは1968年放映ですから、それよりも少し近未来という設定でございます。
 
 
 
☆ 「太平洋の亡霊」というタイトルどおり、
   太平洋戦争中に活躍した戦艦・戦闘機がよみがえり、攻撃を始めるという物語。
 
 当時のテレビアニメで、
これだけの兵器を動かした作品って珍しいのではございませんでしょうか。
 
 ( 山を回り込むシーンなんて
  円谷英二監督の『ハワイ・マレー沖海戦』の写しでございますな)

 劇場アニメではございますが、1969年には『空飛ぶ幽霊船』がございますから、
当時の東映動画には
兵器に対しても実力あるスタッフの方がいらしたのでございましょう。


☆ 反戦をテーマとしていて、実に『サイボーグ009』らしいと申せますが、
  同時に石ノ森先生は描かないタイプの作品でもございます。
  
 石ノ森先生はこんなに現実にある兵器をしっかりとは描きません
形と名前を明示することはまずございませんでしょう。
 
 先生は、メカフェチでもミリタリーオタクでもない、むしろそのなので、
現実に存在する兵器が前面に出てくる作品というのはほとんど無いのでございます。
 
 あとで出てまいりますキャラクター紹介で005が背負っている戦車だって、
こんな戦車ありえないでしょ?
 
 作品背景の説明のためや、モブ戦闘で出てくることはございましょうが、
それを前面に出すことはまず無いのでございます。
 
 あるいはある兵器、
たとえば「回天」をテーマにした作品を描いたといたしましても、
回天そのものはしっかり描くものの、
他の艦船などについては事実を追うのみにとどめるような描き方をいたしますでしょう。
 
 
 
☆ 作画に関しましては、009太平洋の亡霊
  メンバーのコスチュームは
  こんな感じ。
 (ちなみにこの絵は、
  石ノ森先生が昔描いたものを
  コンピュータに落とし込んで
  着彩したものでございますな)
 

 ただしマンガはモノクロなので、
009以外のサイボーグたちの
コスチュームの色が分かるのは
ここのみでございます。
 
 
 
 
 絵は、表紙を見ればわかりますとおり、
少年サンデー版あたりぐらいの感じでございますか。
 
 石ノ森プロが描くのですから当然マンガ版の作風で、
アニメのみに登場するキャラクターも
石ノ森先生のキャラクターに落とし込んでおります。
 
 設定や構図に関しては、アニメ版準拠でリファイン。
 
 コマ構成や構図は早瀬先生のもので、
石ノ森先生のそれではないのは、仕方ないことながら残念。
 
 アニメが原作なので、ということもございましょう。
分かりやすくはございますが説明的で平凡。
 
 石ノ森先生なら、ここはもっとシャープにコマを割ってくるとか、
もっと緊張感のある構図にするはずだ、
と、ファンといたしましては歯がゆい思いがいたします。
 
 そういうことをやるとページは多くなりがちでございますが、
それ以外の部分で省略や小ゴマを使い、
メリハリをつけて
石ノ森先生ならきちりとまとめてくると思うのでございますよね。
 
  
 まぁ、この作品の場合、アニメ・辻真先先生の脚本が主体なので、
あまり極端なことは出来なかったのかもしれませんが。
 
  
☆ ストーリーは大体においてアニメと変わりません。
丁寧に膨らませた感じでございましょうか。
 
 その中で大きな変更点と申しますれば、004が登場することでございましょう。
 
 アニメでは物語を単純化させるためなのか、004は登場いたしません。
(ちなみに005も登場いたしませんが、
  そちらはこの作品でもほぼモブ扱いでございます)。
 
  マンガ版での004の登場は主に2箇所
 
 1つはACT2冒頭で落ち込んでいる009にカツを入れるシーン
  
 ここで004は009に「優柔不断」という言葉を使っておりますが、
石ノ森先生はこの言葉を使わないなぁ…。
ここ、この言葉要らないですし、
他の作品でも、優柔不断という言葉はほとんど使っていないと思います。
 
  
 もう一つはラスト近く。
事件の張本人を説得し、敵わないと知ると一緒に死のうとする場面。
 
 無理なく挿入された一エピソードではございます。
 
 ですがただ、
004は確かに死に場所を探しているキャラとして描かれてはおりますが、
石ノ森先生だったら
そんなに安易に自死の決意をさせはしないと思うのでございますよね。
 
 004の死といえば『超銀河伝説』ですが、
あれだって石ノ森先生の手を離れたところの作品でございますし。
 
 というわけで、004の登場は
他の変更ともあいまって、物語に奥行きを与え、
テレビの1話を劇場版の一篇に仕立て上げる効果がございましたが、
わたくしといたしましてはちょっと微妙でございました。
 
 
☆ 最後に作品のテーマについてでございますが。
 現在、
 自衛隊のあり方と憲法九条についてはいろいろと取りざたされております。
  
 それはさておきまして、
 当時の人々が戦争に対してどのような思いを抱いていたかは
 心得ておいて欲しいところでございます。
 
 1968年のこの作品には、子供時代に戦争を体験し、
 どういう関わり方であれ親世代が戦争に関わった人たちの声
 なのでございますよね。
 
 それをしっかりと伝えているところこそ、この『太平洋の亡霊』が
名作と評価される所以(ゆえん)だと思う次第でございます

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