象と蛇

　

さて、ここで問題。

こんな（↓）感じの絵が出てくるのは、何という作品でございましょうか？
　
　　

　
　
『ウルトラマン』？

いえ、ガヴァドンではございません。

ガヴァドンは、こんな感じでございます。
　
　

　
　
　

答は、申し上げるまでもないかも知れませんが

『星の王子さま』。
　
作者のサン＝テグジュペリさんは、
幼い時分にこの絵を下手な帽子だと大人に笑われて
画家になる道を断念したのだとか。

　　
それで飛行機乗りになれたのだから良かったのでは？　
　
などと申しては無粋でございますな。

　

　さて、ではこれは何の絵なのか。
作品を読んでいらっしゃる方には言わずもがなの問いではございますが、

　
　答は、
　
　
　
　
　うわばみに丸呑みされた象。

　
　作者ご自身が描いた絵がご本の中にございますが、
わたくしが描きますとこんな感じ。

　
　
　
　丸呑みにするとなりますと、
お口が相当大きく開かなければなりませんな。

　
蛇の頭や顎の骨は口が大きく開くような作りになっているそうで、
ニシキヘビが鹿を呑み込んだ例もあるそうでございます。

　

Conservancy Biologists See Invasive Burmese Python Consuming a Deer

　

　この映像を見ると、どうなっているのか一瞬脳がバグりますな。

　これでしたらあるいは……。
　ですが、さすがに象は……。

　
　
　それはさておきましても、丸呑みされた象は、

元の絵を見ても立っておりますし、目も開いております。

　
　ですからね、呑み込むのに成功したといたしましても、
尻尾側に引きずられて行ってしまうのではないかな、
と危惧いたす次第にございます。

　

　キングコブラなどは象を殺すほどの毒を持っていると言われますが、
この蛇にはそんな毒は無さそうでございますし、
消化するといたしましてもいつまでかかりますことやら。

　

　ただですね
『山海経』には、巴蛇（はだ）という長さ800尺の蛇がいるそうで、
それが大きな象を呑み込み、それを3年をかけて消化するのだそうでございます。

　
　消化しきって排出される骨は難病の薬になるのだとか。

　

　いや、すごいものでございますな。
フランスのお子さまと中国の『山海経』が発想においてつながっちゃいましたよ。

　
　下手な帽子だといわれたそうでございますが、
実は中国の幻獣を言い当てていたのでございます。

　大人のほうが明（めい）がなかったと申せますな。　
　
　
　

☆　さて、ここからは余談。

　

　さきほどガヴァドンを出しましたのはですね、
この怪獣ってもしかすると、
『星の王子さま』のこの絵がヒントになったのでは？　
と思ったからにございます。

　
　日本での発行が1953年なので十分あり得ます。

　ただ成田亨先生のお描きになった絵はもっと現代彫刻的ですし、
あまり関係ないかも？

　
　とは申せ、脚本段階では成田先生のその絵もなかったでしょうし、
子供の絵ということと宇宙線──星からの光で実体化というところあたりは、
『星の王子さま』からの連想あったかも……
でも、宇宙線を浴びて実体化というのは他にもありそうでございますしねぇ。

　
　というわけで、分かりません。

　
　
　　

☆　蛇は動物を丸呑みいたしますので、
ツチノコはそのような状態の蛇を新種と見間違えたのではという説もございます。
　

　もし実在するのなら、骨ぐらいは残っているだろうと言うのでございますな。

　体内に骨まで溶けてしまう消化液でも持っていたら別でございましょうが、
　まさか、そんな初期のショッカー怪人みたいなことも無いでしょうしねぇ。
　
　
　

追記：書いているとき流れですっかり忘れおりましたが、
　　　『星の王子さま』のこれ、象を呑み込んだうわばみ。
　　　ぬいぐるみがあるんですよね。
　　　ちゃんと中に象が入っている。
　　　まぁ、それでないと意味がないとも申せますが。
　
　　　興味のある方は検索してみてください。
　

　　　ちょっと欲しくなってしまいました。