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2024/05/06 ついにねんがんのわいふぁいをてにいれました~。難しいだろと思っていたのでございますが、5分で設置完了。アプリの更新がすぐに終わるのはいいなぁ。低速だと更新できませんでしたってしばしばなるからなぁ。まぁ、でもスマートフォンはなるべく使わない予定。
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(]2021/11/07 (Sun)の記事
『ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド 復刻版』にルパン三世
 続けて書く予定だった記事でございます。汗顔 (^_^;)
ルパン三世ゲームブック」には、資料編として
ゲームブックの歴史」と
ゲームブックの作り方」という
2つコラムが収められております。
 
 そのうちの「ゲームブックの歴史」についてでございますが、
 
 
 まず最初、p.246の上段
この本では」という言葉が2回使われているところがわかりにくく存じます。
 
 最初が基本的な意味2回目が厳密的な意味ということなのでしょうが、
2回目のほうが「この本では」を結ぶ言葉がないので尻切れトンボに思います。
 
 一般的にゲームブックは、
「小説のように読み進められ、選択肢を選ぶことで異なる展開が楽しめる本」
ですが、ゲーム+ブックなのですから、そこにゲーム性がなければ、
本当の意味でゲームブックとは呼びにくいと考えます。
そこでこの本では、
選択肢の選び方でバッドーエンドに行きついてしまったり、
ポイントが変化することで駆け引きが生まれるような、
そんなゲーム性を含んだものを特に扱っていきたいと思います。
 
 ここの文章は、だいたいこのぐらいの意味ではございませんでしょうか。
 
 そのあとの血縁関係でたとえたゲームブックとその周辺領域については、
分かりやすくしようとした結果、かえってわかりにくくしてしまったような気が。
 たとえなんか持ち出さなくてもいいのに。

 まぁ、以上のことは、どちらかと言えばわたくしが、
ゲームブックの物語的な部分に興味があるので、
気になってしまうことなのかも知れません。
 
 さて、それはともかくといたしまして、
ゲームブックのブームに関してでございます。






ゲームブックのブーム」についてのわたくしの見解は、
以前にも書いたとおりでございますが、
今一度書いておくことにいたしましょう。
  
 ブームと呼べるのは、『火吹山~』から1~3年。
なかでも最初の1年半ほどであり、
そのあとは定着・安定期、もしくは衰退期とわたくしは考えています。
 
 つまり、「ウォーロック」誌の創刊も、
双葉社の「ファミコン冒険ゲームブック」も、
ブームが一段落したあとの出来事でございますな。
 

ウォーロックvol.63  
 
(「ウォーロック」誌vol.63 創刊時には
 ブームが一段落していたと書かれております) 
 
 理由の一つは、そもそもブームの寿命というのは、その程度のものだということ。
 ブームと呼ばれたもののことを考えてください。
 4年も5年も続くようなものは、ブームとは言いません。
ある程度世間に認知をされたと言っていいでしょう。
 
 2つ目の理由として、
ゲームブックのブーム終了の理由としてよく挙げられる
粗製濫造やコンピュータゲームの流行は、
その時代にこそ当てはまるものだからでございます。
 
 火吹山の魔法使いが1984年の12月。
その1年半というと、1986年の6月。
ファミコンはマリオブラザースや麻雀、
ゴルフやテニスといったスポーツゲームで売れ上げを伸ばし、
1984年には、ギャラクシアン、ゼビウスなどでナムコが参入します。
1985年9月にはスーパーマリオブラザーズ、
1986年の6月といえばその「2」が発売されます。
 
 ファミコンがものすごい勢いで普及していった時代なんですね。
 
 ウィキペディアにも「最高売上本数を記録した
『スーパーマリオブラザーズ』が発売された
1985年から1986年が最も年間の出荷台数が多かった」と書かれております。
 
 ですから、それを起点として、
ゲームブックのブームの終焉は始まったと考えていいでしょう。
 
 第3は純粋に量的なものです。
 「ウォーロック」は約一年ごとに
「こんなゲームブックが出た」という特集をしていますが、
年が経つごとに右肩下がりです。
ただ一人、ファミコン冒険ゲームブック気を吐いているといった状況で、
それ以外は撤退、縮小をしております。
そのような下り坂の状態は、ブームとは申せませんでしょう。
 
 もう一つ、わたくしはゲームブックのブーム終了の理由として、
文芸界からの失望があったと考えています。
 逆に申せば、ブームの理由の1つに、
その界隈からの期待があったということでございます。
 
 二人称小説、分岐する物語、そうした実験小説としての要素を持ち、
ファンタジー=幻想小説であり、しかも海外で人気を博している──。
 出版するのは、学術書や異色作家傑作選などを出している社会思想社でございます。
 
 しかも、安田均先生が絶賛。
 当時の安田均先生は、
エルリックなどの翻訳家として、SF研究家として知られており、
まさかゲーム方面の人だとは、ほとんどの人が知りませんでした。
 
 加えて、『火吹山の魔法使い』の解説は紀田順一郎先生です
(ゴシック文学についてであって、ゲームブックに関しては書いておりませんが)。
 
 そんなお二方のお墨付きとあれば、
文学の新しい潮流と注目されたのはいうまでもありません。
 
 特に1970年代後半に
ハヤカワFT文庫やサンリオ文庫が創刊されたことからも分かるとおり、
ファンタジーや幻想文学に対する世間の感心が高まっていたときでもございます。
 そこにこのような実験的でありながらゴシック文学的であり、
しかもヒットしている──そんな作品が登場したら、注目せずにはおられません。
 
 しかしその期待は、一読裏切られることになります。
 小説ではなくて、ゲームなのですものな。
 さらにそのあとに続いた作品を見て、失望は確信に変わります。
 粗製濫造の作品は、文学以上どころか、
子供だましにもならないものだったりいたしましたから。
 
EQ 1986/3

(「EQ」誌 1986/3  No.50 EQチェックリスト 鼎談
 1985年度翻訳ミステリーを語る p.159-160
 出席者・各務三郎/郷原宏/数藤康生
 注目されたけれど、その後あきれられたのでございますな)
 
 安田先生は、「バグニュース」誌1986年
 のインタビューで
 「小説よりもゲームに近いものだということが理解されていないようですし、
理解されたらされたで、『これはゲームである』の一言ですからね(笑)」
とおっしゃっていますが、
そもそも文学としての期待をしていたのですから、
ゲームとしていくら優れていたとしても、関係ございません。
 
 結局は勘違いだったのですな。
 文学ではないと分かった時点で期待は失望へと変わり、
書評でも取り上げられなくなりました。
 
 温度差はあるにせよ、これも早い時期に起こったことで、
ブームがはやばやと終わったことを証明する理由の1つでございます。
 
 ジャンルを代表する作品がそのあとに出ていることについては、
ブームが一段落して、安定期に入ったということでよろしゅうございましょう。
作品の完成度はブームとは関係ございません。
むしろブームの渦中にあわてて出されたものよりも、
一通り出そろったものを検証したり、
執筆期間をちゃんとおいたもののほうが出来の良いことは自明なこと。
準備期間については、p.252で塩田先生もお書きになっておられますな。
 
 
 ブームに関する塩田先生とわたくしとの見解の相違は、
世代や立場による違いだとも存じます。
 
 ゲームブック全体が下り坂の状況にありましても、
双葉文庫は月に何冊もゲームブックを出しておりましたから、
その中で作者として活躍しておられた塩田先生は、
当時をブームの渦中と考えるのは当然かと存じます。
 それは当時の双葉文庫の読者も同じでしょう。
  

 一方、双葉文庫以外のゲームブックが
どんどん撤退、縮小をしている状況を目の当たりにしていた
一読者のわたくしといたしましては、やはりそれをブームとは呼べません。
 
 双葉社のゲームブックにしても、
ファミコンの代価品というイメージがございました。
内容はともかくといたしまして、
ファミコンがあってはじめて成立する本という感じで、
それは、ファミコンのブームであって、
ゲームブックのブームとは言いがたいのでは──ということでございます。
 
 
    ☆       ☆       ☆

 
 さて、ブームとは関係ない話。
 FFに関して、p.250で
『ファイナルファンタジー』のほうが先のような記述がございますが、
これは実体験にもとづく事実誤認でございましょう。
 
『火吹山~』が1984年12月、
「ファイナル・ファンタジー」が1987年12月ですから、
単純に言って3年の月日が流れています。
ファイティング・ファンタジーですと、
シリーズ23『仮面の破壊者』が出ているあたりでございますな。
 
 FFシリーズとはっきり銘打たれたのがいつかは
ちょっとよく分かりませんでした。
 
が、「ウォーロック」誌第3号(1987/3)p.28では、近藤功司先生が
「ファイティング・ファンタジー(FF)シリーズ」という記述をしておりますし、
第4号p.13でははっきりとFFシリーズと記述されております。
それを抜きといたしましても、ゲームブックの表紙には
FFと描かれたマークがございますから、
「ファイナルファンタジー」のほうがFFシリーズとしてあとなのは、
自明のことかと存じます。
 
 それに以前(2017/12/06 (Wed))も書きましたが
 
 『ファイナル・ファンタジー』のウィキペディアには、
「当初は『ファイティング・ファンタジー』というタイトル案も
 候補に挙がったたが、同名のボードゲームが既に存在していたため、
 現在の名称に変更したとされる」
と書かれてございます。
 ファイティング・ファンタジーのボードゲームは
確かに1986年に発売されておりますが、
その元の作品であり、知名度もそれよりあったゲームブックのほうが
頭にあったことは十分に想像できます。
 
 ファイナルファンタジーの
「タイトル名称は『略称が"FF"(エフエフ)となること』
 を前提として考案されたもの」(同ウィキペディア)
 
というのも、ゲームブックのFFシリーズから想起された
(もしくはあやかって?)いるような気がいたします。
 
 ですから、p.250の記述は、
「ファイナル・ファンタジー」をリアルタイムで体験した世代ならではの
事実誤認ではないかと思う次第にございます。
 

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