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2024/04/20 細胞の表面にはブドウ糖などの糖で出来た鎖状の化合物が生えている。これを糖鎖といい、いくつかの違う結合がある。この結合の違いが血液型の違いになるらしい。細胞はこの糖鎖によって他の細胞と関わりを持つのだが、病原体、ウィルスなどもこの糖鎖をとおして感染するようだ。 で、血液型が違うと抗体が攻撃するというのは、ウィルスの蔓延を抑止するためという説が21世紀になって発表されたそうだ。ウィルスは細胞から外に出るとき、細胞の表面構造を真似るのだが、これが血液型の違う人の体に入った場合、抗体反応が起こって攻撃するので、感染しにくいのだそうだ。つまり、血液型が違うと感染しにくいってことか。ホント?
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『伝奇集』
J.L.ボルヘス作
鼓直訳
岩波文庫 (1993)
“FICCIONES” 1944
 Jorge Luis Borges


文学部ゲームブック科の必読書。

 

『幻獣辞典』のほうを紹介してしまったが、
本当はこちらが先の予定だった。

 ボルヘスについては、作品を読んだことかなくても、
名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。

 南米を代表する幻想文学の作家で、
代表作としては、「バベルの図書館」が挙げられるだろうか。

 過去そしておそらく未来を含む、世界、いや、宇宙のすべて、
無限であるはずのものを、
有限であるはずの書物の中に封じ込めた図書館の幻想は、
ボルヘスの作品を象徴するイメージであり、
まさに物語の迷宮・迷宮の物語という言葉にふさわしい。

「八岐の園」もやはりそのような作品だ。
 そのイメージは「バベルの図書館」に勝るとも劣らないのだが、
惜しむらくは作品が、その「八岐の園」のイメージだけを語っているのではない点だ。

 物語は、

 スパイである主人公が、敵である大尉に追われて逃げ、
スティーヴン・アルバート博士の家に入りこむ。
 そこには、主人公の曽祖父、崔奔(サイペン)の作った
「八岐の園」があった……。

 そこから、
アルバート博士の「八岐の園」に関する長い挿話が始まるのだが、
これは、全体の物語とあまり関係ない。

 枠の物語は枠の物語として完結しているし、
「八岐の園」のイメージはそれだけで成立している。
 両者がかかわりあって存在していれば、
それはそれでひとつの傑作となったろうが、
そのつながりが弱いのだ。

 とはいえ、「八岐の園」のイメージは、
そうした作品としての欠点を補って余りあるものだ。

 どういう内容かは……。

 まあ、この「文学部ゲームブック科」で絶賛しているのだから、いうまでもあるまい。

 ここに描かれているのは、理想状態の分岐小説だ。

「分岐し、収斂し、並行する時間のめまぐるしく拡散する」(p.136)物語――。

 崔奔(サイペン)が13年の歳月をかけて作った、
迷宮でもあり、混沌とした小説でもある『八岐の園』とは、
まさにそのような物語だった……。

 と、言葉を尽くしても、あまり伝わらないと思う。
 やはり、実際に読んでそのイメージを感じてほしい。

 短編だから、読むのにそんなに苦ではないはずだし、
大きな本屋さんや図書館なら置いてあると思う。
手に取るのも、そんなに難しくないだろう。

 ぜひとも、読んでみてほしい。
 そして、出来得るなら、同じ本に収録されている他の作品も読んでみてほしい。

 それらもまた、
物語の迷宮と、
言葉の中に世界のすべてを押し込めようというボルヘスの幻想が
読み取れる作品であり、
ゲームブックを含む分岐小説のイメージを、
大いに広げてくれるものだと思う。


 ちなみに、山口雅也先生もこの作品を評価しておられるようで、
『生ける屍の死』『奇偶』で言及されている。

 『13人目の名探偵』も、
この作品の影響下に書かれたようだ。

「ミステリマガジン」早川書房 No.629 2008,July

「迷宮解体新書 第七回 山口雅也」
             文・村上貴史

p.9  この年(1987)にはまた、ゲームブック『13人目の名探偵』を刊行した。
 「当時は既に作家になろうと決意していたんですが、自分の作風は江戸川乱歩賞向きじゃないと思い込んでいたし、受け皿がなかったんですね。だから投稿とかも全くしていなかった。そんななかで、これは小説依頼に最も近い仕事でした。自分としてはボルヘスの『八岐の園』を意識して、時間の並行分岐的な趣向と本格ミステリの骨格をゲームという形式のなかでやったら前代未聞で面白いだろうと考えました」

 作者は、『13人目の~』のあとがきで、
ゲームブックには興味がない、というようなことをお書きになっているが、
それは、「八岐の園」のような理想状態には達していないゲームブックに対して
興味がない、ということなのだろう。

 さらにいえば、
現存のジャンル化、定型化されたゲームブックに対して
興味がない、ということなのかもしれない。
 

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