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2024/05/01 以前買った磁気ネックレスが出てまいりました。疲れていたので付けてみたのですが。確かに肩のコリはとれる。でも疲れは取れない! うーむ、そんな感じか。あ、個人の感想でございます。
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ゲームブック以前


『日本SF傑作選1 筒井康隆』筒井康隆 デマ
日下三蔵編(ハヤカワ文庫JA/2017/8)。
「デマ」(P.581-617)
(初出:「SFマガジン」1973年2月号)


 この作品は、ご存じの方もおられるかもしれませんな。

『ゲームブック入門大百科』でも紹介されていた(p.24)
ことでございますし。
いや、実はわたくしもその本で知ったクチでございまして……。

 正直申しまして、赤塚不二夫先生や筒井康隆先生の作品は、
あまり読んでいないのでございますよ。
グロや下ネタを含んだ作品にあたる可能性もあり、
わたくしはそういうの苦手なので……。

 作品は、言語統制下にある未来が舞台。
検査に失格して徴兵をまぬかれた男がおりまして、
その男のした世間話が噂となり、どんどん広がって……、
と、そういう流れでございます。 

 噂が広がるにつれ、話が違ったものになっていくのは、当然。
二人の人に話せば、その二人がそれぞれ別のことを伝えるということは、
よくあることでございますよね。

筒井康隆 デマ 本文


 それがこの作品の分岐になっているのでございます。
 フローチャート小説でございますな。

 最後のページ(p.617)に書かれておりますとおり、
「情報が歪曲されて伝達される形態や条件のほとんどすべて」が含まれておりまして、
それがすごい。

 編者の解説によれば、この作品は、1973年に「CBSソニーから発売された
同題のLPレコードのために書かれたもの」(p.757)だそうで。

 と、すれば、レコードのトラックを活用できないか
という発想から生まれたものなのでございましょうな。

 ただ、ネットで調べてみると、レコードは、朗読とかではなく、
そこからインスピレーションを受けたジャズが入っているのだとか
(小説は、そのライナーノートにも入っていたみたい……なのかな。
今ひとつ自信が……)。



 で、まぁ、その噂が立ち消えになったり、新しい情報を含んで変質したり……、
となっていくわけでございます。

 構成は意外と単純。
ですが、それは新しい試みだからでございましょう。
もし、同じ手法で、第二第三ができておりますれば、
さらに複雑に絡み合わせることも可能だったかと存じます。

「女か虎か」の時も書きましたが、
この作品も、「主人公は君」ではございません。

噂によって変化する状況が主となっているわけでございますから、
これは当然ですな。

 ですからこの作品は、どのルートが正しいとかではなく
(まぁ、情報消滅が一番遅いルートを選択する
 というのも楽しみ方としてあるでしょうが)、
  個々の過程と全体の俯瞰を楽しむものだと思います。



 こうした並行的に変化する状況というのは、
「主人公が君」であるゲームブックと組み合わさって、『428』などのような、
主人公や場所を切り替えながらゲーム内の問題を解決していく
アドベンチャーゲームにつながっていくと思うのでございますよ。

 でもってですねぇ、

この「デマ」の手法は、別のアプローチでも、何か使えるのではないか、
それによって、ゲームブックに新しい進化を加えられるのではないか、
そのようなことを考えているのでございます。

 もしかすると、
それは「主人公は君」というスタイルは取れないかもしれませんし、

ゲームでもないかも知れません。

 他のかたがどう思うかは存じませんが、
わたくしといたしましては、それでいいのだ、でございます。

 何か新しいもの。

 何か面白いもの、


 それであれば、ゲームブックの枠は必要ございませんでしょう。

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