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2009/9/2  パソコンの調子がちょっとわるいので、ブログの更新が何日とか何十日とか止まったら、そのせいだと思ってください。                        まあ、めんどくさくなっておやすみということもありえますが。
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第2部
(ここで便宜的にそうつけているだけですよ。本文中には何部とか書かれておりません)は、
ゲームブック部分であり、ベストカップルを見つけ出すことに特化している、
と前回書きましたが、そのわりに、自由度は高くないのですな。

 コンピュータゲームでしたら、
誰と誰の組み合わせを試してみるというのが自由にできるのでございますが、

ゲームブックの悲しさか、容量不足ということなのでございましょうな

選定する順番はストーリーの力でわりと決まっていて、けっこうストレートなのでございます。

 そのうえ、形式的にはクイズ型
 間違った選択をすると、どんどんDEADENDになるものですから、
フローチャート的にもけっこう一直線なのが感じられます。


 しかも、前回書いたとおり、
カップリング選定に、あまり論理が感じられない
のでございますから、困ったものでございます。

 ゲームブック編が終わった後、
何らかの答えが提示されるのでしたら、よしといたしましょう。

 でも、全員が脱出後、つまり第3部になっても、
その意味合いはほとんど解説されないのでございます。
 あるとしても、納得のいかない強引なものだけで。

 脱出後、先に抜けた人たちは、
後に残っている人たちの奮闘をテレビ画面越しに見ているのでございますが、
そこでも、誰が誰と親しいという感じは特になかったように存じます。

 ですから、実はくじ引きで決めたような感じで、
主催者としては、ベストカップルなんてどうでもよかったのでは?
 という気になってしまいます。

 主催としてはゲームが面白くなればよいのでございますから、そのようなことはございましょう。

 主催者の言葉ではございませぬが、
ギャンブルらしいことを匂わせる一文が出てきたりいたしますからな。

 この一部始終を見て、楽しんでいる人がいれば論理は無用……なのかなぁ?
 ギャンブルだったら、納得できる理由がさらに必要だと思うのでございますが……。

 いずれにいたしましても、 
 そのためにこのような大掛かりな仕掛けをつくるのは、
よほどの金持ちかバカかヒマ人……。
 
いや、その全てをあわせもったような方なのでございましょう。

 それに、ロッジに集められた10人は、全員が、

 ある意味において殺人者であるが、警察に捕まってはいない、

 という共通点を持つというのですが、
そのような10人を良く見つけてきたと、感心するばかりでございます。

 だって、警察にもわからなかった事件なのでございますよ。

 これらはまあ、流水大説ではよくある事といえばそうなのですが。

 さらにわからないことがひとつございますが、
 これはネタバレになるので消しておきましょう。

 どういうことかと申しますと、
 メンバーにひとり、主催者に内通していたものがいるのでございます。
 ただ、それがゲームの中で
どういう意味を持つのかがよくわからないのですな。
 それを措(お)くといたしましても、
その人物、主催者から身の安全を保証するという言質を得ていたようなのでございますが、これがどういうことかわからない……。
 特にカップリングや脱出方法を教えてもらっていたようでもございませんし、とげに刺さっても死なない特殊能力を持っていたわけでもなさそうでございますし――。
 う~む、謎でございます。

 さらに、わからないことがもうひとつ。

 第3部は、最後、全員の過去を並列的に並べて終わり、という形になっているのですな。

 ホテルの中のシーンのまま、唐突に終わっているのでございます。
 ゲームが終わったから、どこで幕引きしてもいいだろうということなのかもしれませんが、
もう少し何かほしいものでございます。
 まっ、それだけのものを用意していなかったということかも知りませんが、
何か唐突でございました。

 というわけで、
あらゆる意味において、スゴい。

 いや、
 あらゆる意味において、ではなく、

 ある特定の意味においてスゴい。

 まさに、清涼院流水にしか書くことのできない作品でございますな。

    ……

    ……

    ……

 いや、ちょっと待て!

178にあとがきがある。これを読むと……。

「もし本書がご好評いただけたら、たまに〈ゲームノベル〉をつくってしまうかもしれませんが、この本だけで終わっても、なんの不満もありません。」

   …………

 いやぁ、
 面白かった。
 
 もう素晴らしい作品!

 最高っっっ!!

 これからもぜひ、
〈ゲームノベル〉を書いてほしいものでございます。

 いや、

書き続けるしかございませんでしょう!
 

追記:

 ところで、この作品、「CAST」という見開きページがあって、
登場人物がカラー写真で紹介されております。

 まっコスプレでございますな。

 イラストではなく、実際の人間でこれをやっているのが、
この作品の何と申しますか、エセっぽいところと合っていて、
なかなかいい味を出しているように思います。

(絵のほうが良かったとか、ないほうが……とか言う方もおられるでしょうが、
好悪を抜きにして考えるとあっていると思うのでございます)

 特に、有名な料理人に似ていることが悩みの種の
市場二三郎に扮した喰始(たべはじめ)先生がいい味出しているのでございます。

(えっと、喰始(たべはじめ)先生はご存知ですよね?
ゲームブック『赤塚不二男劇場』(JICC)の著者として有名ですからな。
「劇団WAHAHA本舗主宰」という肩書きのほうは知らないといたしましても)

 もし本書を見つけましたら、それだけでも手にとって見てみてくださいな。



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 このゲームブック、大きく3つの部分に分けることができます。
 いってみれば3部構成ですな。

 まず、96ページまでは小説で、
普通のゲームブックで言えば、背景とかプロローグ、そしてルールの説明部分と申せますな。

 で、99ページ目からがゲームブック部分
 だいたい1ページが1項目の構成で、このロッジを抜け出せるかどうかが描かれます。

 第3部(作品中には何部とか書いてはございませんが)は、160からということになるのかな?
 ゲームブック部分内にシャッフルされているので、
ちゃんと調べないと正確なところはわかりかねますが、
舞台はロッジを抜け出して、高原ホテルへと移ります。

 ここにはゲーム的な要素はなく、ほぼ一本道でございます。
 10人の過去を描いた場面が用意されていて、一応そこが分岐部分になっておりますが、
単にそれぞれの過去を描くために分岐しただけであって、ゲーム的な要素はございません。

 では、それぞれの部分を見ていくことにいたしましょう。

 第1部。

 ここでは登場人物と舞台の紹介が行なわれます。
 そのあたりは、前回紹介したとおりでございます。

 ルールや、登場人物、舞台(針山地獄上のロッジ)が、ていねいに描写されます。

 キャラクターシートみたいなのが出てきて、期待させるのでございますが、
残念ながらこのゲームブックでは、主人公を作ることはできません。

 このゲームブック、実は「主人公は君」ではないのでございますな。

 プレイヤーは、場面場面でそれぞれのキャラクターの立場に立って正しい跳び先を選ぶという形をとっているのございます。

 そういう意味で、わたくしのゲームブックの定義からは外れるのでご゛さいますが、コンピュータのザッピングなゲームなどを経たあとでは、このようなゲームもアリということでございましょうか。

 第2部。

 ここが肝心の、ゲームブック部分というわけですな。
 ここは完全に、正しいカップリングを見つけ出してこのロッジを脱出するという、
ゲーム要素に特化したつくりになっております。

 物語は他でやって、ゲームブック部分はその中の一場面、
ゲーム的・パズル的な箇所に特化するというのは、アリだと思うのですよね。

 コンピュータゲームでも、そういうのはよく見受けられましょう。
 シューティングとかアクションゲームなど、
インターバル部分でドラマをやって、ゲームにつなげていくというヤツでございます。
 シミュレーションRPGなども、その典型でございますな。

 ゲームブックでも、
 ゲーム性が強い――たとえば双方向移動型のものなどは、この方法が有効であると思うのでございます。

 ゲーム部分はゲームと割り切ったほうが、目的が明確化いたしますものな。
もっとも、それはそれで味気ないという場合もございましょうから、時と場合でございますが。
 いや、やり方でございますかな?

 こうした、“物語は他でやって……”の例として、2つを挙げておきましょう。

 ひとつは、
『ウェイレスの大魔術師』テリー・フィリップ(86/07,富士見書房)

 もうひとつは、
若桜木虔先生の、どれでもいいのですが、『ムー大陸の陰謀』あたりにしておきますか。
 どれでもいいですし、これが格好のテキストかは忘れたのですが。

『ウェイレスの大魔術師』は、
「ドラゴンランス」の中で語られなかった冒険を描いたゲームブック。
 完全にゲーム的というわけではございませんが、ゲームの目的は明確でございますな。

 いっぽう、若桜木虔先生のゲームブックは、
とくにこの作品じゃなかったかと思うのですが、物語は一本道で、
迷路と格闘場面だけが迷路構造――くわしいことは先生のゲームブックを扱うときにいたしますとして、
非常にはっきりとしているわけでございます。
 ゲームとしてわかりやすいですが、味気ない感がございます。

 少々話が脇にそれてしまいました。
 いえ、文学部ゲームブック科としては本筋ではございますけどね。

 話を元に戻します。

 このゲームブック部分。
 正しいカップリングを見つけて無事に脱出したり、
間違えて無数の針に串刺しになったり、別の脱出経路を探ろうとして、串刺しになったりするわけですが、

一番の問題点は、
そのカップリング選定に、あまり論理が感じられない
ということでございます。

 最初のキャラクターデータだけで論理的にベストカップルが導き出されるのでは、
たしかにゲームとして面白くはないでしょう。

 ですから、それゆえにゲームとして成立しているのだ、と申すこともできるかもしれませんが、
それならば、そういえるだけの別の理論がほしいところ。

 ですが、そういうのもないのでございますな。

 途中で、裏に何か法則みたいなものがあるのでは? 
と思いながら読みすすめていただけに、何もないのが残念でございます。

 まぁ、それが流水流ということなのでございましょう。
 名前のダジャレみたいのもございましたし――。

 と、ここら辺で時間切れ。
 というわけで、

 ホントは、2回で終わらせる予定でしたが
(さらにいえば1回のつもりだったのですが)――、

 あと少し続きます。
 

清涼院流水:著
2007/4 角川書店



追加しておきました。


 清涼院流水、デビュー10周年記念作品

だそうで。

 何もこんな作品を10周年記念作品としなくても……と思ったりいたしますが、
おそらく
流水先生は、ゲームブック好きなのでございましょう。
 まあ、他社からも10周年記念作品は出ているらしく、そちらはゲームブックではないようですが。

 サイト"Secret Lovers"の特別イベントとして集められた10人の男女。
年齢も職業も異なる彼ら彼女らが、実は5組のベストカップルなのだという。

 だがそのパーティの主催者は、信頼あるそのサイトの名を騙ったニセモノだった。
 ロッジに集められた彼らに、メッセージが告げられる。

 ベストな組み合わせを見つけ出さなければ、このロッジから抜け出すことはできない
――待ち受けるのは死あるのみ、と。

 なんともゲーム的な設定ですな。

 このゲーム的な設定にあわせてゲームの舞台も作られておりまして、それがまたゲーム的。
 設定のための設定なのですな。

 カラー部分にロッジ内の図面が描かれているのでございますが、これが全く意味がございません。

 なにしろ、ゲームが始まると床の大部分が消滅してしまうのですから!

 そしてできたのは、5メートルの深い穴
 その下に現れたのは、剣山みたいな鋭い針の山。
 落ちたら死亡確定!

 雪の山荘とか嵐の孤島とか、閉ざされた舞台は推理小説の定番ではございますが、
これほど強引で極端なものは、まずないのではございませんでしょうか?

 一体どれだけ金をかければこんなことができるんだ!
とか
 これを建てるのにどれだけ時間がかかるんだ!
とか
 こんなことだけのために、そんな時間と手間をかけるやつがどこにいる!

などなど、いろいろと問いただしてみたくなるところでございます。

 それでも、流水大説に馴らされてしまって感覚が麻痺してしまっている方には、
「えっ、どこがおかしいの?」
なのでございましょう。

 なにしろ、流水大説には、もっともっともっとトンデモ設定のものがございますからな。

 さて、
 このようなトンデモ状態の建物から抜け出すとなると、
当然脱出ゲームのような方法を探るかたもおられるましょう。

 でも~。

 そのような方法は使えません!

 登場人物も暖炉からなら脱出できるのでは?
 と試みるのですが、結局デッドエンドに終わってしまいます。

 何か方法はありそうなのですけどね。
 以前に読んだだけなので、具体的な方法は指摘できませぬが。

 まあ、脱出できたとしてもそこから家まで帰るのが至難の業ではございましょうがね。

 集められた側としては、まったくいい迷惑でございます。

 主催者といたしましては、殺す気満々でございますから、そんなことは考えもしていないのでしょう!

 まっ、作者といたしましては、
 正しい組み合わせを見つけ出すという問題に、
真っ向から挑んでほしいということなのでしょうな。

 と、今回はこの辺で。

続きます。

楽しみながら地理・歴史が学べる

相原冬彦(シミュレーションプログラム研究会) 著
studio/s プロデュース
REIKO イラスト

(アドベンチャーゲームシステム(1)  1985/09,白馬出版)


紹介文を追加しておきました。

あと、ちょこちょこっと変えておきました。

時は、1900年。
日本の方にわかりやすいように申しますと、明治33年ですな。

 ジュール・ベルヌの『80日間世界一周』(1872年)
に触発された宮崎賢治少年が、世界一周の旅に挑戦する。
 期間は、5月25日から8月13日までの、もちろん80日間。
その日までに、
賢治少年(当時の中学生、つまりいまの高校生ぐらいの年齢ですな)は、
出発点である皇居二条城前に戻ってこれるのか?
 と、まあ、そのような話でございます。

 80日間世界一周というわけですから、
もちろん時間をチェックしていくわけでございますな。

 そういうゲームブックでございますから、
さぞかし緻密な時間管理が必要なのだろうな、と思うでしょ。

ところが、そんなことはございません

 もう、不案内な地での旅、つまりは冒険ですからな。
 だいたいこのぐらいの行程でいくだろうとか、
 こっちのルートとこっちのルートでは、こちらのほうが早いだろうとか、
この乗り物のほうが……というのはまるきり無意味なのでございますよ。
 海賊に遭ったり、牢屋に入れられたり、線路が爆破されたり……。

 波乱万丈なのはよろしゅうございますが、
作者がそうやって時間を調整しているのが透けて見えてくるのですな。

 まあ、80日ぎりぎりあたりに落としこむためなのでございましょう。

 とは申せ、その日数のつじつまのあわせかたが、少々安易な感は否めません。
 もうちょっとそこらへんで凝ってくれると面白かったのに、残念でございます。

 あるいは、スゴロクのようなボードゲームにすると面白いかも。
 あるマスにとまったらイベント(トラブル)が発生するような……。
 それだと80日ピタリにするのは、難しくなるでしょうけどね。
 それに、そのようなゲームは、すでに何かありそうでございますな。
(そのものズバリのタイトルのボードゲームもございますが、他にも何か……)

 さて、このゲームブック、
ゲームブック倉庫番には、102ページと書いておきましたが、ちょっと違うのでございますな。
 この本を読むのには、本自体を90度回転させる必要があるのでございます。
 つまりNintendo-DSを持つような感じですな(いまの時代だからこそできるたとえ)。

 で、その見開きの上部がTV画面のようになっていて、
そこにイラストが入り、その横に時間を記録するチェックシート、
そして見開きの下部には、本文というわけでございます。

 まさにNintendo-DSのような画面構成。

 この作品こそゲームブックDSにふさわしいと申せましょう。

 ……。

 まっ、それはさておき、

 つまりその見開きで一つの単位という感じで、
ページ数だかパラグラフ数を打ってあるわけですな。
 それをページ数と解釈して、102ページと書いたわけでございます。
 なぜページ数と解釈したかと申せば、
選択肢までの文章が、何ページにもわたっている場合があるからですな。

 パラグラフと申すのは一区切りの項目でございますから、ゲームブックの場合、

項目のはじめから選択肢まで(ここでいう選択肢は1択の場合も含めます)が1パラグラフ

というのが常識的でございましょう。

 ですから、この場合はページ数と解釈したというわけでございます。
 
    ※     ※     ※

「教科書で勉強するなんてもう古い」
と惹句されておりますように、このゲームブック、
歴史や地理の学習書的な意図も込めて作られたようでございますな。

 それは、下画面(と言っていいよね?)の地の文にも書かれているのですが、
むしろ上画面のTV枠の中でございますな。
 そこに地図や解説の文が書かれて、
それに教養的な側面を持たせているようでございます。

 でも、あまり頭に残らなかったよ~な……。
 もっと精巧な地図だったり、カラーだったら良かったのにね、というところでございましょうか?

 さて、

 ここからちょっとネタバレ。
ですので、消しておきますね。

  ラストには、原作である『80日間世界一周』と同様なトリックが使われております。ただしこちらは逆周り。
 そこらへんが新味ではございますな。
 このトリック、原作でも絶大な効果を発揮しておりましたが、それを読んでいても失念しておりました。
 と申しますか、ぴったりその日にならないと意味はないのですけどね。

『80日間世界一周』を読んだり見たりしていないし、上の文じゃモヤモヤする~!! と申される方は、ウィキペディアの当該記事でも読んでくださいな。
 で、逆回りという意味を考えていただけば、だいたい見当がつくと存じます。

 う~ん、ネタバレですな、やはり。

エドワード・パッカード著
(1985/11 アドベンチャーブックス9 講談社)

"SUPERCOMPUTER" by EDWARD PACKARD.
Illustrated by FRANK BOLLE
(1984 Bantam Books)


 
紹介文を追加しておきました。


 この作品については、ドロシー! さまのブログ、
「パラグラフの狭間で」2008年03月22日の記事
「天才コンピュータAI32」→
のところに書き込みましたコメントと大して変わってございません。

 まあ、読み返してみた結果、少し印象が良くなりましたが。

 AI32は、有機バイオチップ内臓の第6世代コンピュータ。
 そのため、個体による格差がございます。
 それらのうちの一番低能なものでも、
まあ、普通のマイコン(時代を感じさせますな)よりも頭がよいのですが、
主人公がプログラムコンテストの賞品としてもらったそれは、天才レベルだったのでございます。

 えっと主人公は、
ソバカスで、鼻が低く、ちょっと丸い体型の少年。
普通な感じを出したかったのでしょうな。
 そこらへんにも時代を感じさせます。
 いまの日本でリライトされたら、もっとカッコいいというか、普通のマンガの主人公っぽくなるでしょう。

 コンピュータのプログラムコンテストで優勝した少年にしては、そんなに鋭そうに見えないのですが、これも普通の少年ということなのでございましょう。

 コンピュータについても、その当時としてもいかにもでかくてゴツい感じ。
すごいコンピュータなので大きい、ということなのでございましょうな。
 抱えなければ持てないほどで、デザイン的にも、その当時にしても一時代前なのでは、という印象を持たざるをえません。
 プリンタの排出口も、紙テープを想定しているのでございましょう。
 小さくて、一時代前という感じでございますな。
 この作品がバンタム社から発売された1984年と申さば、マッキントッシュ発売の年でございますから、
もう少し洗練されたデザインであっても良い気がするのですが、

やはりアメリカ人は、大きいことはいいことなのでしょうな。
 さすがはX-boxのお国でございます。

 それにいたしましても、冒険するのにはこれを持ち歩くのでございますから、
いやはや大変なことにございます。
 最初期に登場した携帯電話など、これに比べれば軽いものともうせましょう。
 もっとも、コンピュータの製作者としては、そんな使い方は想定していなかったのでございましょうけどね。

 さて、このコンピュータ、「天才」とタイトルされるだけあって、まさになんでもできるコンピュータでございます。
 会話も普通にできますし、大統領の電話回線にも侵入できちゃう。
 未来予知と等しい推論も可能ですし、悪いことはできないといいながら、うそだってつけちゃう。

 まあ、コンピュータが普及する以前に考えられた、夢のコンピュータのイメージに追従しておりますな。
 もっと申しますれば、『アラジンと魔法のランプ』のなんでもできる魔人、
あれをコンピュータに置き換えたものと申してもよろしゅうございましょう。

 コンピュータに対するこのようなイメージと申すは、子供向けの読み物におきしては、以前には一つの典型であったように存じます。

 そんなコンピュータを携えて冒険したり、金持ちになったり、頭を良くしたりするわけでございます。
 バラエティに富んだ冒険でございますが、そのひとつひとつがいかにもアメリカ的という感じでなのでございますな。
 さらに118ページ(コメントでは116ページと書きましたが、間違いでしたな)に結末が22もあるものですから、一篇が短かったり中途半端な終わり方があったりで、もう少し続いてくれたら……という部分もございました。   
 内容も、いかにもな感じの子供向けでございますし。
 
 ただ、
こうしたバラエティに富んだ拡散型の作品は、まだまだ可能性があるように感じます。
上述のように、一つ一つの展開が短くなる欠点はございますものの、わたくしとしては好きな部類でございますな。

 なお、上記ブログの2008年03月29日「アドベンチャーブックス」の記事には、
同ゲームブックを含む、講談社のゲームブック

『山のサバイバル』
『殺人犯はだれだ』
『スペース・パトロール』
『ドラキュラ特急』
『天才コンピュータAI32』

のフローチャートが置かれております。

 エクセル形式のファイルを読むことができる環境にあるかたは、ダウンロードしてみてはいかがでしょう。
(まぁ、他人に頼らなくともここら辺のゲームブックは、フローチャートが手軽に書けるレベルのパラグラフ構成ではございますが)
 

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