彼のハートにおまじない♡

　ゲームブッククイズ(119)

『彼のハートにおまじない♡』
樹かりん／Ｓ・ハード著　木川明彦原案
（双葉社ペパーミントゲームブック／1989/11）。




占い界のトップ・レディ、ノストラ・レディになるために、

そして意中の人、
飛鳥徹(1975年８月１日生まれの獅子座）くんのハートを射止めるために、

『大占術奥義之書』全五巻をすべて集めることになった主人公、
野須麗香（通称レイカ：1976年３月９日生まれの魚座っ子）さん。

　奥義の書第一巻を手に入れるためのヒントは「高き塔の神に祈れ」で、
　
レイカが思いついた「塔」は、
「エッフェル塔」と「東京タワー」、そして「サンシャイン60」ですが、

このうち「エッフェル塔」を選び、パリに行った場合、

彼女の運命は、どうなるでしょう？

答：これはもう、本文を読んでもらった方がいいでしょう。

パラグラフ173

「今、あたしパリにいるの。へへっ……。
パリに来てから１週間経ったけど、やっぱり奥義之書は見付からずじまい……。
でもね、もうそんなものはどうでもよくなっちゃった。
だってあたし、ステキなステキなパリジャンの恋人を作っちゃったんだもの……。
彼は、ルイ(きゃはっ！　高貴な名前でしょ？）っていう、生まれも育ちもパリの、
バリバリの”パリッ子“なの。
　えっ？ 徹クンとどっちがいいかって？
　やだーっ、そんなのルイに決まっているんじゃない。あったり前のこと聞かないでよーっ！
　とにかくあたし、もうしばらくはパリにいるつもりなんだ!!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＥＮＤ」

　……。

　女ごころとパリの空、と申しますか……。
　
　すごいでしょ？

　
恋い焦がれていた人も奥義之書も放り出して、”パリッ子“に走っちゃった。

　
　しかも、第一之書とあるように、まだはじめの方ですよ？

　
　もう、この結末を読んだとき、唖然として、天を仰いで笑うしかございませんでした。

　
　……。

　
　もちろん、宿屋の亭主となってエンドというようなゲームブックはありますよ、
二見文庫とかに、ね。

　でも、その場合、目的失敗のバッドエンドとしてでございましょう。

　
　なのにこれって……。
　目的を達成していないのに
　
　ハッピーエンドぉ？

　しばし、「いいのか？　いいのか、これ」って笑っておりました。

　いやいや。

　考えてみますと、わたくしが四コマで描く女性とかも、
似たような性格でございますけれどね。

　
　とにかく、新鮮でございました。

　
　こういうのを嫌う方もおられるかもしれませんが、
わたくしといたしましては、大の好物でございます。

　
　だいたい、「パリへ行く」は、この場合あり得ない選択ですからな。
これを選ぶということは、あり得ない展開を期待してのことでしょう。

　パラグラフ123には、考え直す選択肢も入ってございますし――。

　そういう意味では、これはアリ……。ちょっと戸惑ってのアリなのですな。

　
　ところで……。

　この作品が対象としている女の子が読むと、どういう感じなのでしょう？

　ちょっと気になるところでございます。

　

　パラグラフの流れとしては、

　104で「エッフェル塔」か「東京タワー」か「サンシャイン60」かを選択。
　
　123で、本当に行くかの確認があって、

　パラグラフ173が、答の最初に挙げた文章でございます。
　
　
　それにしても……、

　大阪は通天閣に行ってビリケンさんに会う、という選択肢がないのはなぜでしょう？
　
　まぁ、単純に作者か野須レイカさんが、
思いつかなかったというだけのことなのでしょうけどね。