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2025/01/22 以前『ロリ神』のところでちょっと触れたインドネシアのVチューバー、 Alia Adeliaさんが「卒業」なされたみたい。インドネシア語なんかまったく分からないので、ほとんど見ておりませんが、日本のお歌をふだんあまり聴かないわたくしなどは、この方のお歌で知ったものもございますし、たまにある日本語講座が言葉や例のチョイスとかがいろいろと変で面白うございました。昨年末の「卒業」動画で配信が止まっていることに気がつき、それを見ました。日本語でもあいさつしておりますが、理由についてははっきりとは語っておりません。コメント欄などを見るに、どうやら所属事務所の問題みたいなのでございますが、よく分かりません。
[1] [2] [3] [4] [5] [6]
ブラマタリの供物、とはなんだったのか

 別にその意義を問うのでもないし、
  
 作品解題でもない。
 
 純粋に、ブラマタリの供物とはなんだったのだろう、と思ったのだ。
 
 ブラマタリについては、パラグラフで説明されている。
コンゴ周辺の言葉で「岩を砕く者」。
 かつて、ネルソンとともにアフリカ奥地へ油田を探しに行った、
探検家のヘンリー・スタンリーのあだ名だという。
 
 その彼は、マロウン(きみ)とともに今回の救出に参加した、
デンジル・スタンリーの義父にあたるそうだ。
 
「岩を砕く者」という物騒な名前だから、あとでそういう怪物が現れて、
主人公たちがその供物――犠牲になるといった話を予想していたが、そうでもない。
 
 
 最後までプレイしたなかで、常識的に考えると、
やはり「失踪」したネルソン氏が、
ブラマタリ(=ヘンリー・スタンリー)の差し出した「供物」となったということか。
 
 ただ、ヘンリー・スタンリーは、イギリス帰国後1903年に亡くなっている。
 
※ ネットで調べてみると、
  一九〇四年五月十日、ロンドンで亡くなったとなっている。
 「ブラ・マタリ」というのは「石の嵐」という意味で、
 コンゴ自由国での道路の建設工事に、
 スタンレーがダイナマイトを使って岩をふきとばしたところから、
 アフリカ土人が彼につけたあだななのだそうだ。
                      (よくわかる科学史)
 
 
 とにかく「ブラマタリ」については、ここに出てくるだけで、
あとはまったく出てこないようなので
(パラグラフのすべてを当たったわけではないが……)、よく分からない。
 
 
 いずれにせよ、帰国後死んだということは、
彼が直接関わったとかいうことはなさそうだ。
 
 やはり、運命や邪神など超現実的な何かが関わっているということなのだろう。
 
 
 もちろん、フィクションだから真相は分からない。
 実はロンドンで死んだというのは虚偽だったということも
お話しならば可能だろう。
 
 151の手記によれば、ヘンリーは名残惜しそうに帰国したと書いてある。
 
 だが同時に、
 彼ならば真相に、好意を持って気づいてくれるだろう、とも書かれている。
 ならば、実際真相に気づき、自分は死んだと偽装して、
 ヴィクトリア湖までリヴィングストン氏に会いに行ったとも考えられる
 (フィクションならば)。
 
 そうして、黒いピュタゴラスとなったリヴイングストンに会い、
 前世の記憶を呼び覚まされて、彼の弟子になったということも可能性もあるだろう。

 リヴィングストン氏の記憶が戻るときには、その場に彼はいなかった。
 だから、彼はヘンリーが戻ってきたことを知らなかった。
 手記に書かれていなかったのはそのためだ。
 
 だとすれば、もしかすると、最後の方に出てくるワニやカバの頭を持つ男。
 そのどちらかが彼だったのかもしれない。
「岩を砕く者」という言葉から、なんとなくワニ頭のような気がするのだが……。
 
 
 となると、きみと行動を共にしたデンジル・スタンリーはどうなるのだろう?
 
 養子である彼はもしかすると、
「黒いピュタゴラス」の弟子となったヘンリーに
超常的な、あるいは運命的な力で、
呼び寄せられたのではないだろうか。
 
 彼自身にその意図はなくとも、無意識のうちに
 ネルソンや、「きみ」を、
 「ブラマタリ」の「供物」とするために。
 
 
 そういえば、神殿で、彼はどうしていたのだろうか。
 
 パラグラフ35でマロウンは、一人で地下に入っていった。
残りの者は部屋で待機し、
ネルソン氏を連れ戻したときの退路を確保することになっている。
 スタンリーもその中にいたのだろう。
 
 したがって、そのあと彼の出てくる場面はない。
 
 
 だが、
 
 
 パラグラフ148で、最初に姿を現した男、
仮面の頭を持つ化け物こそ、彼その人ではなかったか……。
 
 83で仮面をつけたスタンリーは、パラグラフ88で、
「あまりになじみすぎていて、すっかり忘れていた」ときみに言われている。
だからもしかすると、そのあと仮面がぴったりと顔に張りつき融合し、
仮面の意思のままに、彼は地下へと降りてきたのではないだろうか。
 
 仮面をかぶったときになんの違和感がなかったのも、
もともとそれが、彼の顔だったからかも知れない……。
 

 

        ☆      ☆      ☆
 
 
 
 
☆ まぁ、ヘンリーがヴィクトリア湖に戻っていたとしたら
  という話なので、解明本とかにありそうな妄想話ではございますが。
 
* ワニ頭がヘンリーで、カバ頭がデンジル、
 ってな可能性も、もしかしたらあるかもーー。

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 ちょっと思いついてしまったので、書いてみますね。

 藤浪智之先生も、フーゴ・ハル先生も、気を悪くするかなぁ……。
 
● 2つの作品、雰囲気も何もかも、ぜんぜん別なのでございますが、
  要素として分解してみると、このあたり近い気がいたしました。 
 
☆ 島での冒険。
☆ 基本マップを見ての移動。
☆ 14が死のパラグラフではない。
☆ 「予兆」が重要な役を果たす。
☆ 島の各地にポイントがあり、五芒星がカギとなる。
☆ ラスト近くで地下に潜っていき、そこで試練めいたテストを受ける。
☆ 物語の裏で活躍していた女性キャラが、最後に主人公らを助けるべく動く。
  〔ジュビア,ジャーミン〕
☆ ラストに、なんと申しますか、神秘的な? 大きな話が用意されている。
 
 
 まぁ、偶然でございますな。
 この程度は、よくあること。
 最初の1つは、よくあるふつうのことでございますし、
 次の1つも、お二方のゲームブックのスタイルですし……。
 
 だけど、
 陰謀論みたいなのだと、それを
 偶然の一致にしては、とか言っちゃうかも。
 
 

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クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/014『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

(4回目は(2018/11/11 (Sun))
(5回目は(2018/11/12 (Mon)
(6回目は(2018/11/13 (Tue)
 
 


104」の地図。
左ソデは、「106」のある155ページからのスタート。
 
とはいえ、感想回目で、
すでに115までは、終わっている。
 
 ……。
 
 いや、そうでもない。
 パラグラフ数の少ない順に行くというルールを決めたため、
イベントがまだ残っていたはずだ。
 
 ややこしいが仕方がない。
 
 調べてみると、90の背負う荷と、
 99谷底を探るがまだだった。
 112の選択も狂気度11の今ならできる。

 115
音のする方向
(115は狂気度11にもかかわらず、狂気度11では行けない)
 も行けることにしよう。
 
 というわけで、パラグラフ順に。
 
 まずはを調べる。特に起こらない。
 次に115音の聞こえる方へ。これも大丈夫。
 
 90。谷底を探る
 失敗だった。這いよる混沌に前世の名で語りかけられ、狂気を増す
 こんなところで、レベル3のマップへ行かなければならなくなってしまった……。

  
  
 パラグラフ122の地図へ。
 左ソデはp.173だ。
  
 
 ここで、リヴィングストンの手紙を読んでしまおう。
 ある場所は狂気点16だが、ここまで来たら、16なんてすぐだ。
 というわけで、該当のパラグラフへ。
 ふむぅ
 
  
 読み終わって改めて、レベル3の地図へ。
 ここでは、パラグラフのない数字2回選ぶと、
 パラグラフ182(狂気の深淵)へ墜ちるとされている。
 
 おそらく、この182最終パラグラフだろう。
 例は190。このパラグラフないのは当然だ。
 となると、182以上のパラグラフは
選んではいけない
ということになる。
 
 まぁ、いづれにせよ方針は変わらない。
低いパラグラフから攻めていくだけだ。
 
 と、さっそく「手紙」が役に立った。
 精神状態回復
 ふたたびレベル2のマップへ。
 
 と、ここからははしょっていこう。
 
 
 未踏破の場所をまわり、白黒まだらの仮面をつけた人物とも出会う。
 その正体も分かった
(以前、名前が分からなかったのは、ここで初めて名が明かされるからだった。
 いやぁ、ズルしたり、
 「会っているのに忘れた」とでまかせ書かなくて、よかったー)。

 この人物に、音に関する情報ももらった。
 思いつく場所は2カ所ほど。
 さっそく行ってみる(どちらも同じだった)。
 
  
 ここで、マップの場面は終わり。
 
 これまでが情報収集だとしたら、ここからは、それを活かした謎解きの時間だ。
 
 このあたりから自由に後戻りのできない一方向移動型になる。
それまでのじっくりとした流れが収斂し、直線的に、スピーディになっていく。
 慎重に行動しようとしても運命に連れて行かれる感覚がうまく表されている。
 
 ただし、このゲームブック、謎解きは容易ではない。
 そこで行き詰まることはあるだろう。
 
 アフリカの奥地に広場が開け、突如ギリシャ神殿があらわれる。
 中に入ると打楽器の響きだ。
 西洋楽器で、それに対抗する。
 原住民が恐慌におちいる。
 祭壇の奥から、老人が姿を現した。
 祭壇には、ネルソン氏が横たわっている。
 彼らは、カーテンの奥へ。
 
 五芒星の描かれたそのカーテンの奥をのぞくと、
そこには 大きな直角二等辺三角形の穴があった。
 
 直角二等辺三角形の同じ長さの2辺を1とすると、斜辺は√2
 無理数だ。
 
 ピュタゴラスは、数の調和と整合性を重視し、
無理数はあり得ない数として否定した。
 
 そのピュタゴラス教団の神殿に、
無理数を象徴する二等辺三角形があるとは――。

「この神殿が、ピュタゴラス教団のものである以上、無関係ではあるまい。
 この三角形は、教団にとって踏み入れてはならない
 禁断の場所の入り口を意味している、そう考えるべきだ」
 
 これを言ったのは、「きみ」自身なのだろうか。
  
 だが、「禁断の場所の入り口」であることは、明白だ。
  
 なぜなら、√2といえば、
 
 1.414……。
 
 そう。
 
 14二重に連なる数字から始まる無理数だ。
 
 
 呪術師の2つ連ねた目が取り付けられた仮面が重要な意味を果たした
それ以上に、この√2が重要な意味を持つことは、明白だろう。
 
 この数字をピュタゴラス教団が恐れたのは当然だ。
 
 その
 
 死の場所ともいうべき、穴の中へ入っていく。
 
 ここで「きみ」は、前世の記憶を試される。
 自分の名前はなんだったか……。
 なにか、どこかで聞いたような気はするかだが……。
 
 思い出せない。
 
 レベル3の島はほとんどまわっていないから、そっちで出てくるのか?
 
 ズルいとは知りながら、パラパラッとページをめくる。
 チラチラッと、見ると、名前は分かった。
 なんとな~く、知っているよーな……。
 ただ、どこで知ったかが思い出せない。
 それではダメだろう。
 
 あきらめて、先へ進む。
  
 
 グールになりましたー
 
 
    ☆     ☆     ☆
  

 ここで一息入れる。
 
 そして、メモをよーーーく、見てみる。
 ちゃんと、書いてあった……。
 
 なるほど、あそこだ。
 失敗しちゃったという意識が強かったので、
メモは取ってあったにもかかわらず、
あまり重要に思ってなかったのだ、多分。

 それに、
 いつもはノートに書くのだが、
そこら辺にあった紙切れに書いたのも悪かったかもしれない。
 ブログで書くために、いつもは書かないことまで書いていたので、
ゴチャゴチャしてしまって、まぎれてしまった、というのもあるかも。
 
 
 教訓。
 
 詰まったら、休憩をはさみましょう。
 メモは、わかりやすくね。
 
 
 わかっちゃいるけど……、ねぇ。
 
 これに関しては、ルールにしたがってカバー裏を使った方が正しかったかもしれない。
 
 とはいえ、この油断ならないゲームブック、
あれだけの情報でよしとするのは、ちょっと無理というものだ。
 
 
    ☆     ☆     ☆
 
 
 グールになっちゃうと、悪夢にはならないんだよなー。
 
 だが、無視しよう。
 メモには書いてあったんだ。
  
 それに状況からして、
あんな強烈な体験の中で覚えたことを忘れるわけがない!! 
 逆に、そんな強烈な体験だからこそ忘れることもあるのでは、
という気もしないではないが、それは忘れる!
 
 というわけで、消えかけていた前世の記憶が突然ふってきた。
 
 先へ進む。
 ピュタゴラス教団の教団員としてのテストがここから始まる。
 
「石工組合」とか、「死者の書」とかを感じさせる場面だ。
迷路に惑わされず、まっすぐ進むのが正解っていうのは、
「死者の書」じゃなかったっけ?  
そんなのゲームにならないなぁ、とか思った覚えが……。
 
 うろ覚えでものを言ったらいけないな。
 何か他の神話かも知れない。
 忘れてくれ。
 
 マップ上の(おそらく五芒星が描かれたところ)にあった死体がヒントらしい。
 いちおう、全部行っているはずだが、あれから、どう意味を読み解くか?
 
 結果、2問正解。
 話をはしょると、ふたたび、
  
 
  グールになりましたー
 

 どうやら、全部正解しないと、正しいエンドには到らないみたい。
 
 もう、ここまで来たら……と、フローチャートを書いて、正解を見ちゃう。
 
 正しいのは……、そういうことなのかー。
 
 多分だけど、
「きみ」たちが手を出したことが、結局惑わせる元になっている……
んだと思う。
 
 というわけで、ここまで来たら、強引に突破。
 フーゴ・ハル先生には敵いませんでした、
 と、ごめんなさいして先へ。
 
 えっ、ここで狂気点を訊く?
 
 もう、降参してゴチャゴチャやったから、左ソデなんて気にしていなかったー。
 
 まぁ、どっちにしろ、ここで悪あがきをしても無理なのは目に見えている。
 狂気点がどうあれ、素直に従っておいた方がいいだろう。
 
 階段を降りて、黒い地下霊廟へ。
 現実とは思えない光景が、展開されている。
 この中から、論理的におかしな行為を見つけろというのか。
 ……。
 思いつかない。
 だが、勝算はある。
 ここでの問題は、
 
 ここから100までの間で、関連する言葉がキーワードになっているセッションを探せ。
 
 条件は、息を止めている間、
 
 だ。
 
 ここから100まで、と書かれているところから、
 キーワードは100に近い数字にある予想。あとは、運に任せる。
 
 やはり、100の方が近かった。
 ちなみにこのパラグラフ、ストーリー的にはともかく、
ゲーム的には行っても何かヒントやアイテムが得られるというわけではない。
 
 あとで調べてみたら、
ここに行けなかったパラグラフでは狂気が進んでしまい、
あとの狂気点チェックで、強制的に目の前に恐怖が訪れるのだった……。
 
 シビアな場面が続く。
 戒律のテストを全問正解しなければならなかったのもここのためだし、
そのあとも、厳しい選択を迫られる。
 
 終盤だし、狂気も上がっている。
 
 プレイヤーが選択、あるいは
選択しないまでもみずからページをめくっていくことが、
没入感緊張感を高めていく。
 
 それもゲームブックの魅力の1つだろう。
 
 そしてついに。
 
 度重なる問いに正しい答で応じ、
ついに「ネルソン・ロックフェラーの手記」にたどり着いた。
 
 終了
 
 

 感想は?
 「疲れた」のひとこと。
 しかし、心地よい疲れだ。
 
 まぁ、2回ぐらい(?)グールになっているんですけどね
 戒律のところでは、ズルしたし、他にも……。
 
 でも、いいの、いいの。
 十分に楽しませてもらったんだから。
 それが一番大事なこと。
 
 もっと冷静なこととか、評価みたいなものを書こうかとも思ったけれど、
烏滸がましいし、ここで止めておきたい。
 というわけで、この辺で。
 
 
    ☆     ☆     ☆
 
 
 けっこう本気のゲームブックだから、
プレイヤーもそれなりに本腰入れて取り組まないと、
はじかれてしまうと思うけれど、
ちゃんと取り組めば、それだけのものを返してくれると思います。
 
 ここまで読めば分かると思いますが、
 わたくしは、堪能しました。
 
 雑な記事で
(ネタバレしないように、隠している部分もありますし)
読みにくいとは思いますが、
ここまでつきあってくださって、
ありがとうございました。

本当に。

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クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/013『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

(4回目は(2018/11/11 (Sun))
(5回目は(2018/11/12 (Mon)

 
 
 レベル1(と勝手に名づけた)、パラグラフ62マップからスタート。

 このうち、49・54・97・59・64はすでに行っている。
 
 49は秘密。
 
 54は上陸後最初に行く場所で、五芒星とその中央に木製の仮面がある。
 
 この仮面は、狂気点5以上だと調べられない
 パラグラフ62は狂気点だから、上陸したときにしか調べられないということになる。
 
 97は、五芒星と、それぞれ別の木に結わえられた2人の死体。
  握手しようとしているポーズだが、両者とも右手首がない。
 
 59は何もなし。
 
 64はタールピットと、そこから現れたアスファルトまみれの男。
 さっきは先に97に行ってしまった(狂気点10)ので、
 恐怖心から何もできずに逃げ出してしまったところだ。
 現在狂気点なので、救うことはできるが、
 とりあえずマップの他の部分をまわる
 (ゲーム的だなぁ)。
 
 
 さて、ここかは先ほど回らなかった、未知の領域だ。
 
 
 69 両目をえぐられた小猿。追えばパラグラフが進むので、ここも後回し。
 
 
 72 白い五芒星。
   半ば白骨化した黒人女性の首つり死体。
   仮面の原住民がそれを取り囲んでいる。
   
 さて、ここが問題だ。
   
 ここでは、仲間を思わせるものを身につけているか、
狂気点が7以下なら、死体を調べることも、立ち去る原住民を追うこともできる。
 ちらっととなりのページを見ると(よい子はしてはいけないよ?)、狂気点は7
つまり、これ以上ページが進めば、仲間を思わせる何かがなければ、
ここでの選択はできなくなるということだ――。
  
 と思っていたけれど、
 7以下だから、7でもいいのか……。
 
 とにかく、そのときはそう思っていたのだ。
 とりあえず、死体を調べる。
 頭につけている花冠の花をむしったために、
彼女はこんな目に遭ったのだと直感的にひらめく。
 
 しかし、それがどう自分に結びつくのだろうか。
 原住民たちは、逃げてしまったようだ。
 仕方がない……。
 マップに戻り、もう一度72を選択して、状況を再現し、今度は原住民を追う
 (ゲーム的だなぁ)。
 
 
 結果、狂気点が増えて、レベル2、パラグラフ104のマップへ逆戻り。
 ここはすかさず、ニワトリさんの扉のところまで行き、精神を回復して、
パラグラフ62のマップへ戻る。
 ホント、ゲーム的だなぁ。
 
 まぁ、原住民の後を追った甲斐はあった。
 狂気がある段階を超えたそこへ行くと、危険だということが分かった。
 ただ、もしかするとその危険は、虎児を得るために必要な危険なのかもしれない……。
  

 75 白い五芒星。
   口に豆を詰め込まれた死人。
   「万物は数である」
   豆……。
 
 
 マップの数字、次は81だが、黄色い小猿を追う(79)がパラグラフ的には先だ。
 
 
 いや、そのがある。
 マップ64の全身アスファルトまみれの男。
 あの男は、狂気点8以上になると救えない
 ここで救わないと、またニワトリの扉のお世話にならなければならないということだ。
 ややこしいことだが、これがおそらく一番効率敵なのだから仕方ない。
 ということで手をさしのべる。
 (85)へ。
 死体は、五芒星の供物ということらしい……。
 
 
 ということで猿を追うことにしよう。
 結局その猿の行き先も、次のマップと同じ81だった。
 
 81 で、白黒まだらの仮面の男と再会する。危機一髪を助けてくれたのだ。
 いったい何者?
 時代劇とかだと、生き別れのお兄さんとかだったりするんだけれど……。
 あるいは、ネルソン氏その人とか……。
 まぁ、そういうのではないだろうな。
 わたくしの通っていないパラグラフでは、名前を名乗ったみたいだし……。
 
 ここでスタンリーから提案を受ける。
 またらの仮面の男が殺した呪術師の仮面。
それを誰かがかぶったらどうかというのだ。
そうすれば、仲間としてとおるだろう。残りのものは捕虜と言っておけばいい、と。
 
 ぞっとする提案だ。
 被るとすれば、スタンリーか、「きみ」のいずれかだが――。
 それもあとでいいだろう。
 かぶった方が悪い場合だってあるかもしれない。
 
 
 84 ジャングル。金属音がしたので、
 その方(24)に向かう。
 古代エジプトの壁画。アンク。ネフレン=カ
 いま検索したら、這いよる混沌さんと関係があるみたいだけれど……。
 
 
 91 岸辺
   白い五芒星
   先発隊の一人、石油の専門家のダニエル氏が、
   口に心臓を押し込まれて死んでいる。
   ヤシの木があるが、とりあえずさわらない。
   
 
 106 まで歩いて、レベル1の島は、踏破完了、だと思う。
 
 
 81の仮面をどちらかがつけるかが残っているが、やはり、自分でつける気はしない。
 悪いが、スタンリーにお願いする。
 
「現地語がしゃべれる私の方が、それらしく振る舞えそうですからね……」
 
 なるほど、そんなことはぜんぜん考えていなかった。
 まぁ、スタンリーがいやがらずに被ってくれたのはありがたい。
 
 
 さて、ここで、満を持してレベル2へ行くわけだが、
 その前に、白い五芒星があったところをチェックしておこう。
 もしかすると、それをつなげると、数字になったりするかも知れないから。
 
 五芒星がある位置は、マップ左上から、「95」「72」「97」「91」「54」でいいのかな。
「81」にも出てきたが、それは呪術師の仮面に描かれていたものなので違うとみていいだろう。
 このうち、「97」にあったものだけがとび先が違い、あとは同じ……。
 意味は……、よく分からないや。
 
 次回レベル2から。
 
 どうやって行ったかは、どうでもいいような気もするが、「64」から。
現在左ソデがパラグラフ106、狂気点10のところにあるので、
アスファルト男に逃げ出してしまったのだった。
 
 というわけで、次回は「104」の地図から。
 左ソデは、「106」のある155ページだ。

拍手[0回]


クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/011『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

(4回目は(2018/11/11 (Sun))



感想の3回目では、呪術師のガイドで島に行ったが、
このルートは狂気点が低くないと選べない。
 13で「秘密結社」の解説を見てしまうと最初から選べないし、
死ぬような「悪夢」を見て、ホテルのベッドで目ざめた後も選ぶことができない。

 ボーナスステージみたいなものといっていいかもしれない。
 
 この呪術師のルートと、元船乗りのルート、両方をとおると、
黒いピュタゴラス側と、マテマ族側の両面を垣間見ることができる。
 
 ガイドを2人用意したのは、そこに意図があったのだろう。
 
 
     ☆      ☆      ☆ 
 
 さて、探索は、レベル2。104の地図から。
 レベル1の地図での失敗を経験に、対策を考える。
 
 作戦としては、
 
さわらぬ神にたたり無し
 
 というわけで、各パラグラフにいっても、
そこでのイベントには関わらず、すぐにマップに戻ってきてしまえばいいのだ。
 
 強制的にイベントが発生する場合もあるだろうけれど、
それでもヘタに首を突っ込むよりは、はるかに狂気点の増大は避けられるだろう。
 
 ただ、マップには地図のある(104)よりも大きい数字が書かれている場所もある。
 
 そういう場合は、そのマップを後回しにして、
 イベントのうち(104)よりも小さい数字を優先させよう。
 
 とにかく、なるべく小さい数字から攻めていく、ということだ。
 
 というわけでイベントにはなるべく関わらないように進んでいく。
以下はイベントの有無にかかわらず、そこで出会ったものやこと。

 五芒星の(15)と、イベントのうち(104)よりも大きなとび先の数字は書かない。
 
82 バオバブ、悪魔の木。
  五芒星。
  先発隊メンバー。ツバメの剣。
  
90 ジャングル。
  五芒星。
  背負う荷
  
93 五芒星
  扉にニワトリの絵
  右が白(100)
  左が赤(102)
  
99 谷底から声
 ここまでだが、次は105。
 地図のある104のとなりなので、狂気点も増えないだろう。
というわけでページをめくる。
 
 
105
五芒星
  それにまだらの仮面?
  バシュクーに捕まったとき、上から覗いていた人物だ。
あの時も名前を聞かれたが、知らなかった。
今回も矢じりの素材を聞かれたが知らない……。
  どこかで見落としがあったのだろうか。

  とりあえず、そのままにしておくより他にない。
  
 というわけで、あとの地図上の数字は地図のある(104)よりも後ろだ。
 そこで、先ほどの方針に従って、

 
 93扉のニワトリを試すことになる。
 
 白(100)赤(102)か。
 方針そのままなら、当然100を選ぶことになる。
 だが、ここは100と102。そんなに離れていない。
 狂気点に違いはないだろう。
 
 となると、プレイヤーが低いパラグラフから攻めていくのを見越して、
若い番号のほうに悪い結果を持ってくることだって考えられる。
 
 さて、どうする?
 
 どっちを選んだかは書かないが、悪い目を引いてしまった。
わたわたと逃げてマップの121へ。
 
 逃げるときにもう一方のパラグラフが見えてしまう
(見ようとしたわけではなく、見えてしまった、んだよ)。
 
 やはりか、フーゴ・ハル!!
 
 こうした駆け引きも、ゲームブックの楽しさの1つだ。
 
 とりあえず、121まで進行してしまったのは仕方がない。
 
 そこまでのマップを見てみることにする。
 
 まず、今いる121から。
 
121 谷間。仮面の人物。
   中に入る?
   原住民を追う?
 
109 ジャングル。マラブー鳥。
  カチリという音。後を追う?(113)
 
112 高台の煙
  五芒星。
  ここでは、原住民の後を追うか、炉を調べるという選択もあるが、
  狂気点が11までの場合。現在12なので、調べることはできない。
 
115 金属的な音。
  これは狂気点が11以上ならすぐさまマップに戻ることになっている。
  が、このパラグラフがある場所がすでに狂気点11なので、矛盾する
  ここは、好意的に、狂気点12以上なら、と解釈しておこう
 どちらにせよ、狂気点12なので、音のする方角へ行くことは出来ないが。
  
 そんなわけで、ここでパラグラフ121以下で、
しかも選択できる条件にあるのは、マップ109のマラブー鳥の後を追う、というものだけだ。
 
 赤い首のその鳥を追っていくと、
ふたたび93の白と赤のニワトリの描かれた扉のところへたどりついた。
 
 今度は、さっきとは別のニワトリを選ぶことにする。
 
 結果。
 
 精神状態が回復し、狂気点も下がった。
 マップもレベル1。
 パラグラフ62のものに戻り、左ソデも、そこ。
 105ページにはさみ直す。
 狂気点5からのスタートだ。
 
 こういうパラグラフが用意されていたんだ……。
 驚くとともに感心する。
 
 この精神回復の扉は覚えておくことにしよう。
 
 もっとも、扉にたどり着く前に、
レベル3のマップへ飛ばされてしまう可能性もあるのだが。
 
 というわけで、次回はパラグラフ62。
 105ページからのスタートだ。

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クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/011『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
3回目は(2018/11/09 (Fri) )

 

 
いつもなら選択肢が少ないと不満なのに、
 このゲームブックだけはない方が安心できる。
 選択肢=狂気点の増大につながる可能性、だからなぁ。
 
 さて、元船乗りをガイドに再開(23)。
  
 夢は、起きるとすぐ忘れてしまうことが多いが、
 さっきの夢はまだ頭に残っている。
 リアルな悪夢だった……。
 
 その呪術師のルートとは、今度はまったく別だ。
 だが、こういうときは信じた方がいい。
  
 実際、元船乗りはよくやってくれた。
 だが、彼は呪術師ではない。
 夢の中とは違い、スタンリーが言っていた(6)怪物に出くわしてしまう。
 元船乗りは投げ出され、
「きみ」もまたーー。
  
 目覚める。
 ホテルの客室……ではなかった。
 原住民に助けられたらしい。
 
 このようなあり得ないことが起こるというのなら、
ロックフェラーの息子・ネルソン氏も、生きている可能性はあるのではないだろうか。
 
 信じて渡るのには心許ない、細い細い糸のような可能性だが。
 
「きみ」たちを助けてくれた原住民は、マテマ族と言った。
 彼らは島を見張っていて、
たまたま「きみ」たちと遭遇し、助けてくれたのだという。
 
 スタンリーを通訳にして、族長の話を聞く。
 それによると、

 島には神殿があり、
半世紀前、3代前の族長の時に黒いピュタゴラスと呼ばれる白人が住みついた。
彼はそこで生活に役立つ学問を教えていたそうだ。

 半世紀前?

 ロックフェラーの息子、ネルソンの受け取った黒い人形。
 そのくりぬきに入っていた手紙の差出人とおぼしきD・リヴィングストン。
 そのリヴィングストンがもし高名な探検家と同一人物なら、
 半世紀前の人物だ(8)。
 この黒いピュタゴラスと、リヴィングストンは同一人物なのか?
 あの手紙との関係は……?
 それらを結びつける、あるいは関係ないことを証明するカギは、
 あの島にあるのだろう。
 
 族長の話はさらに続く。
 その黒いピュタゴラスは2代前の族長のころ、
突然残忍邪悪な人間に変わってしまったのだという。
 
 島には異常な人物とアフリカ各地の邪悪な呪術師しか上陸できなくなった。
 ネルソン氏誘拐も、彼らの仕業だろうか?
 
 マテマ族は、そのころから近くの小島に移り住み、島を監視しているのだという。
 
 族長は「きみ」に木箱を渡す。
 それはまだ黒いピュタゴラスが、
邪悪に染まりきっていなかったころ託された者だという。
 
 出てきたのは、1枚の手紙。
 しかし、これを読むには(151)へ行く必要がある。
狂気がものすごく増える、ということだ。
 
 一応、今はやめておく。
 だが、それが正しいことだろうか。
 ゲーム的には、ふりだし覚悟でこの手紙を読むという選択もある。
 
 そうすれば、またホテルかどこかで目を覚ますだろう。
 アイテムはまた集めなければならないが、
プレイヤーの記憶まで消すことはできない。
 
 そうして再開したほうが、
手紙を読まないまま行動するのよりは効率的ではないか。
  
 思いはしたものの、それだけ。
 
 もう少し先に進んでもいいだろう。
 こういう考えが失敗を招くことは、往々にしてあるのだが……。
 
  
 湖の一件で、死傷者と行方不明が何人か出たようだ。
 元船乗りも行方不明。
 
 その代わりというのも変だが、呪術師から奪ったという櫂をもらう。
 呪術師をガイドにした夢のなかでは、
これがなければ島へはたどり着けなかったはずだ。
 ありがたく頂戴する。
 
 と、族長から宴を開くので参加しろという誘いを受ける。
 すでに人夫や島の有志が岸辺で待機しているのに、順序が逆じゃないか?
 族長の言葉にも、刑事のカンも警告を発しているが……。
 
 迷ったが、なんとなく参加する。
 
 結果、元船乗りと再会する。
 作者の底意地の悪さが分かる場面だ……。
(えっ、そんなの二見のブレナンのシリーズの時代から知ってた?) 
 この元船乗り、多分名前が悪かったんだろう。
 彼のものだったものを手にして、島へ。
 
 
 櫂があったおかげで、島にたどり着くことができた。
 
 
   
 上陸。
 西南端の広場へ。
 中央に五芒星が描かれている。
 その中央には、仮面が置かれているが、恐怖心がそれを手にすることを拒む。
 
 
 
 と、ここで一区切り。
 ここまでは基本一方向移動型で進んできたが、
 ここからは、(62)のマップを見て、
そこに書かれた数字に従うというスタイルになる。
 
 精神状態が悪化すれば、さらに別の地図へ。
左ソデをこっそり外して見てみると、同じようなマップが、あと2つ用意されている。
 狂気点は10点と12点……。
 
 少なくとも、そこまでは狂気が上昇するということだ。
やっぱりこの刑事、こんなところまで来たのは間違いだったんじゃあ……。
 
 
 さて、そんなわけでマップを見る。
 
 なんとも気味の悪い形の島だ。
 地形も情報かも知れないが、どうにもそれは読み取れない。
 
 となると、数字だけが選ぶ際のヒントということになる。
 数字が低ければ狂気点は増えない。
 なので、もっとも数字の低い、49へ。
 するとーー。
  
 まんまと引っかかったね、作者の声が聞こえるようだ。
 
 たどり着いた場所で、好奇心を発揮すると、指が9本になってしまった――。
 
 地図のところでは木箱の手紙を読むことができるのだが、まだ読まない。
 
 ふたたび62の地図へ。
 59・64。
 アスファルトまみれの男が迫ってくるが、恐怖のあまり彼と接することはできない。
 おもわず逃げ出してしまう。
 
 精神は悪化し、さっそく104の地図にマップが交代することに。
 
 62の地図はあまり調べられなかったが、大丈夫だろうか?
 最初の地図だから、まだそれほど重要なことは出てこないと思いたいが――。
 
 ということで、今回は、この辺で。次回は
 104の地図から、狂気点は10点だ。
 
 ……。
 
 大丈夫か?
 
 ネルソンも大丈夫か?
 

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クトゥルフ神話ブックゲーム2018/11/09『ブラマタリの供物』
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
(2回目は
2018/11/07 (Wed)) 
 

 
 最後までプレイしてから感想を書こうとしたのだけれど、
リプレイ風になってきたなー。
 
 といわけで、呪術師をガイドに(27)。
 
 呪術師は的確に進んでいく。
 ここは、素直にしたがったほうがいいだろう。
 
 が……。
 
 目的地に着き、銃を使わなければならない場面に出くわす。
 愛用の銃の名前は覚えていた。
 
 だが、
 その前に、狂気を増やすような行為をしてしまったため、
 銃のことに心がおよばない。
 
 結局……。
 
 まだらの仮面?
 そんなもの出てきたっけ?
 思い浮かばない……。
 
 
    ☆    ☆    ☆
 
 
 自分の絶叫に目を覚ます。
 身を起こすとベッドだった。
 ヴィクトリア湖のほとりのホテルの客室だ。
 
 今までのは、やけに現実的な悪夢だった……らしい。
 
 ふたたび島へ向かう。
 
    ☆    ☆    ☆
 
 というわけで、リセット。
 左ソデは、71ページ。狂気点3からのスタートだ。
 
 狂気点3以上なので、恐怖と警戒が衝動となって、
 呪術師を選ぶことを阻む。
 
もう呪術師は選べない。
  
 となると、元船乗りだが、
 悪夢の中で経験してきたことで不安になる。
 あそこまで行くのには、呪術師でなければ不可能ではないだろうか?
 だが、呪術師は選べない。
 
 仕方がないので、元船乗りをガイドに島へ向かう。
 というわけで、次回(23)からスタート。
 
     ☆    ☆    ☆
 
 
『クトゥルフ神話』なので、
狂気のために選択できずに進んでしまうところがもどかしくも面白い。
 
 これもあらかじめ、主人公の精神が恢復しきっていない、という設定があればこそだ。
 
 基本的に、プレイヤーが選択できるのは、行動であり、意思である。
 
 衝動や欲望、あるいは過去の記憶などは、
主人公が自由に引き出すことはできない。
 できるのは、それを引き出そうとしたり、押しとどめようと努力することだけだ。
 
「狂気点」は、恐怖や衝動を理性によって制御できるか否かを示す数値
だといっていいだろう。
 
 
 
☆ 余談だが、ちなみに……。
  
 このような主人公の行動を制限する精神的な数値としては、
ホビージャパンのゲームブック『機動戦士Ζガンダム』 
(拓唯著/昭和60年12月)の「偏向度」がある。
 
 主人公カミーユが、どれほど連邦や旧体制に反感を抱いているかを示す数値だ。
 これは、TRPG『逆襲のシャア』で使われていた汎用RPGシステム
「WARPS」の「決断力」「抑制力」が元になっているという。

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2018/11/07『ブラマタリの供物』
クトゥルフ神話ブックゲーム
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)

(1回目は(2018/11/06 (Tue)) 
 
 本当は、全部終えてから感想を書くつもりだったが、
取りあえず書いておきたいことがあったので感想2回目。

 その部分はネタバレになるので、いやな人はこの記事読まないように
 
 なお、本文ではセクションという言葉を使っているが、
ここでは、引用以外はパラグラフという言葉を使っていくつもりなのでご了承を。
 
 というわけで、また1からのスタートだ。
 
 まずは新しくブックカバーを作る。
 
 破ったあとの大きめのカレンダーの紙を用意し、
それを半分に切り、いつもより大きめの――横幅が広めカバーを作る。
 できる限りソデを大きくするためだ。
 
 本の厚みもあるため、ふつうの幅のソデだと、
何かの拍子にはずれてしまうことがある。
左ソデは親指を添えてやると読みやすいだろう、
と書かれているのはそのためではないか思うが、
新しくカバーを作ってやるのなら、広くした方が安全だ。
  
 オビは、カバーに挟み込んで、左ソデの本来の折れ目のところでたたんでおく。
そうすれば、左ソデをページに挟み込んでも影響は出ない。
 
 元のカバーは、本にそのままつけておいてもいいが、
ヒントを参照にしそうなら、
わかりやすい場所に置いておけばいいだろう。
右ソデに描かれた三角形も気になるところだし――。
  
 さて、45ページにカバー左ソデを挟み込み、改めてスタート
 
 最初のほうは、背景説明なので、
注釈の指つき矢印のほかは分岐が発生しないほぼ一本道だ。
 
 
 
「きみ」はトマス・F・マウロ。

 レッドフックでの事件で、心を病み、療養中の刑事だ。
ようやく恢復しつつあり、完全な狂気を21/21とすると、現在は2/21ぐらい。

 8月(季節は何か関わってくるのだろうか)、依頼を受ける。
 依頼主はロックフェラー。知らぬものはいないアメリカの大富豪だ。

 そのⅠ世のほうは黒い木彫りの人形を手にしている。
 わざわざ指さし印をつけて書かれているこの不気味な彫像は、
重要な意味があるのだろうか――?
 
 指さし印の先に書かれた注釈を読んでみる。
 パラグラフ末の文には「手当たり次第に興味を寄せるべきではない」と書かれている。
もしかすると、この警告のための指さし印だったのだろうか……?
 
 ともあれ、
 ロックフェラー氏の依頼は、
息子ネルソンが行方不明になったので救出して欲しいというものだった。

 しかし、その場所というのが、アフリカ奥地の湖近辺だ。
 何を唐突な――。

 ここで、先ほどの黒い彫像が意味を持ってくる。
 それは、ネルソンが20の誕生日の時にもらったプレゼントに紛れ込んでいたものだ。
 
 中には、1枚の羊皮紙が入っていた。
そこには、D・リヴィングストンの署名入りで、
「アフリカの黒い泉を進呈しよう」と書かれていた。
 
 このD・リヴィングストンが高名な探検家のことならば、
半世紀も前に死んだ人物だ。
史実でもそうだが、これはなにを意味するか……。
 
 羊皮紙に書かれていたということも気になる。
 確かに耐久性はあるが、わざわざそれを使った理由は? 
 魔法的な意味合いがあるのだろうか?
 
 黒い人形のほうは、アスファルトを塗られていて、
それが油田の存在を後押しする証拠ということらしい。
 
 いずれにせよ、これらは「きみ」に渡されるわけではないので、
今後影響がおよぶというものではないだろう。
 
 となるとやはり、「手当たり次第興味を寄せるべきではない
という言葉が重要で、それはプレイヤーに向けられたヒントのような気がする。
 
 とにかく、この彫像と羊皮紙をきっかけに
ネルソンを隊長とする探検隊はアフリカ奥地の湖へとむかったのだが、
そこで襲撃を受けたと2日前に連絡が入ったのだという。
 
 逃げ戻ったのは3人。ネルソンは異形の者に連れ去られたという。
彼は、出発前、あの黒い彫像に呼ばれていると言っていたというが……。
 
 常識的に考えて、ネルソンが生きている可能性は低いし、
ましてや一介の刑事がどうできるものとも思えない。
 
 だが、相手はロックフェラーだ。
 いやも応もない。
 
 
 というわけでアフリカへ。
 まぁ、各種予防接種は射ったことにしよう。
 でないと神話的怪物のまえに、病気でたどり着けなくなっちゃう。
 
 パイロットは、あのリンドバーグだ。
 
 さて、

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2018/11/06『ブラマタリの供物』
クトゥルフ神話ブックゲーム
『ブラマタリの供物』
著・イラスト:フーゴ・ハル
(新紀元社Role&Roll Books/2018/11)



裏表紙に
 
「資料を参照にしながら
  手記を読み進めていくかのような」
 
と書かれているので、
 
捜査ファイルミステリーのような
(二見書房から出版されたものでいえば
 『シャーロックホームズ10の怪事件』のシリーズ、
 今入手できるものから言えば、SCRAPの作品が近い)、
 
断片的に提示された新聞や地図、日記などから、
事件の真相を読み解いていくような作品かと思ったが、全然違った
 
 
「アフリカ大陸は、額に角を生やしたドクロの横顔だ」
とパラグラフ1の冒頭にあり、表紙もそうした絵なので、
アフリカ全土を地図に書かれたパラグラフナンバーを元に
飛び回る話かとも予想していたのだが、そういうものでもない
 
 形式的には、以前先生が「R・P・G」(国際通信社)で連載していた
「注釈エッセイ HUGO HALLの虚しい口」を踏襲、
もしくは発展させたような形だ。
 
 文章中、カッコに突き当たったら、そこに示された数字に跳ぶ。
 カッコが2つ以上ならどちらかを選択、
 数字の上に「指さし印」があれば、そのパラグラフを読んだのち、
 その場所に戻ってくる。
 
 数字を読み飛ばさないように注意が必要……かと思ったが、
選択は文章末にあることが多いので、心配するまでのことはないようだ。
(このあたり、次回作があったら、進化していきそうな気がする)

  
 捜査ファイルミステリっぽくやるのなら、
本文の枠をノートのような感じにし、該当の単語に傍線を引いて、
その上に付箋のようにとび先のパラグラフと、
場合によったらメモを書いておけば、
雰囲気も出るし、わかりやすいと思ったのだが……。
 
「~虚しい口」では、
特にゴールのないエッセイだということを表現するために、
終わりは特にもうけられておらず、延々ループする構造だったが、
この作品は物語なので、さすがにそれはないようだ。
 
 この形式から『428』のようなザッピング構造も期待したが、それもなさそうだ。
 形式こそ変わっているものの、今のところふつうのゲームブックに思える
 
 主人公は、トーマス・R・マロウン。
 怪事件に遭遇し、心を病んで休職中の刑事だ。
 
 ネットで調べると、この怪事件は、
創元推理文庫のラブクラフト全集で言うと5巻に収録されている
「レッド・フックの恐怖」という作品で描かれているらしい。
 
 うーん。
 まだ2巻の途中なんだよな、読んでるの。
 まぁ、読んでおく必要はないだろう。
 
 1920年代のアフリカというと……ターザンとかだろうか? 
 ミシェル・レリスの『幻のアフリカ』(平凡社ライブラリー705)は1930年代。
 ネタで買ったけど、
あれだけ分厚い本(機会があれば手にとってみてください)、読んでない……。
 
 さて、ざっと読んでみる。
 カバーを使って、プレイヤーにそれほど負担をかけないようにしているものの、
内容はそうでもない。
 
 メモは取ったほうがいいようだ。
 
 カバー裏はあからさまなヒントだが、
カバー表には、特にヒントとなるようなものは発見できなかった……。

 
 で、
 しばらく読み進めていくうちに、ルールについてカン違いしているのに気がついた。
 
「左ソデを外さないと読めないセクションに読み進んだら、
 そのセクションの終わりのページに左ソデを挟み直す、 忘れるな」
 
 これを、左ソデを外さないと読めないセクションに読み進んだら、
右ソデを挟み込んで読み進む、だとばっかり思い込んでいた――。
 
 だから、そういう状況になっても、狂気はちっとも進行しない――。
 
「まぁ、このあたりは狂気点減らないよね。
 後半になったら、ゴソッと減るんだろうなぁ」
など、思っていたんだけど――。
 
 この本のカバーを使わず、別のカバーを使っていたのが悪かった。
「迷宮キングダムブックゲーム」の時は、
たしかそんな機能持たせていなかったと思ったので、
同じように考えていたら進化していたのか……。

 要するに、本を読み進めるにつれて、次第に狂気に陥っていく感じを、
ページを挟み込むという操作によって体感させるということか……。
 
 なるほど――。
 
  
 はっ!!
 
 ゲームブッククイズ(104)で紹介した
PG14パラグラフ フォーティーン』も、
もしかしたらこんなことを考えて、ああいう設定にしたのだろうか……。
 
 違うだろうなぁ……。

(1回目というよりも0回目、なのかも。
 ここから少し間が空く予定)

 

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フェアリーテイルゲームブック2018/11/03フェアリーテイルゲームブック 
『夢幻島の怪物』
藤浪智之・著 真島ヒロ・原作・イラスト
(講談社KCDXラノベ/2018/10)

  (1回目は2018/10/28 (Sun) )
 
(2回目は2018/10/29 (Mon)
 (3回目は2018/10/30 (Tue)
 (4回目は2018/11/01 (Thu)
 (5回目は2018/11/03 (Sat))


  ゲームをクリアしたら、猛者ならもう一度プレイしてみよう。

 それほどでもないゲームブックファンは、行かなかったページをチェックしてみるといい。

 全体を楽しむのも、ゲームブックの醍醐味だ。
 (などと書きつつ、まだやってないなぁ……。女湯とか……)
 
 けれど、それはあとの話だった。
 ジュビアさんが主人公のミニクエストがまだ残っている。
 
 
    ☆   ☆    ☆
 
 
  別の仕事の都合で、ハマナス島の探索には同行できなかったジュビアさん。
「ううっ、ジュビアもグレイさまと一緒にお仕事したかったです……(……)」
 だか、その仕事は意外と早く片付いてしまった。

 ハマナス島へ行ける!

14「死んでいたジュビアが、ここで生き返った気分です!」
 
 ただ、表立ってでしゃばれば、グレイさまに嫌われるかも……。
 
 というわけで、ジュビアとその仲間は、
こっそりハマナス島に向かうことにしたのだった、

 
 というわけで、パラグラフ23から探索開始。
 選択肢は、
 
 「霧が出ている夜を探る」
 「島を探索して回る」
 「温泉に行く」
 
 の3つ。
 
 昼間上陸したとして、順当に考えれば、
 島の探索からだろう。
 他の2つはあとのほうが自然だ。
 そのように考えて、探索開始。
 
 その後の選択も常識的なところを選んでいったら、
案外あっさりと正解にたどり着いてしまった。
 
 なるほど……。

 本編でグレイの部屋をクリアしたとき、
 記号は「」ひとつしか入らなかったが、
 じつは隠された記号として「」もあの時入っていたんだ……。
 
 というわけで他の選択肢も読んでみる。
 バッドエンドはそれぞれの選択肢に1つずつ。
 どれもいきなりで、ひどいけど楽しかったりするものだった。
 
 

 ☆     ☆     ☆
 
 

 さて、
 ゲームブックを書く人がここでかんがえるのは、
主人公はきみか」という問題だと思う。
 
 本編では、「主人公はきみ」だったが、
ここでは「ジュビア」というキャラクターを演じることになる。
 
 このような場合、
プレイヤーのキャラクターの性格わかりやすく単純で、
その目的ゲーム自体の目的とぶれていない方が好ましい
 
 このミニゲームブックでも、
ジュビアの性格はグレイさま一筋で単純。
目的も彼をお助けすると言うことでぶれていない。

 この基本さえ抑えておけば
あとはプレイヤーの考えで行動できるので、
そんなに窮屈に感じることはない。

 くわえてこの基本に沿っていれば、多少暴走をしたところで
まぁ、この性格だからと納得、もしくはあきらめてくれるだろう。
 
 ゲームブックにおいて、「主人公はきみか」が問題になるのは、
「きみ」が勝手に行動してまう場合だ。

 例えば、
 
 いったん家に帰る。
 このまま後をつける。
 
 というような選択肢があって、

 「家に帰る」を選んだ場合、

 「いや、そんなことはしていられない。後をつけよう」

 などと続いたら、プレイヤーの意思はどこにあるのだ、ということになってしまう。

 だが、たとえばジュビアの場合なら、

「家に帰る」→
「と思いましたけど、やっぱりグレイさまのことが心配です~。
  このまま後をつけることにします~」とやっても、
「まぁ、そういう性格だから仕方が無いな」で許してもらえるのではないだろうか。
 
 というか、
 
「家に帰ることも考えましたけど、やっぱり無理。グレイさま~!」
 と、選択肢をなくしてしまっても、誰も文句は言わないだろう。
 
 たとえれば、わかりやすい性格がひとつの主人公は、
トロッコアドベンチャーみたいなものだ。
 
 行動を性格で規定できるので、選択肢を省略することができる。
 加えて、性格がはっきりしているので、書いている側もその行動を考えやすい

 主人公が無色透明だと、平凡な選択や行動しか思い浮かばないことがままあるが、
性格がはっきりしていれば、こいつならこういう行動をしそうだと想像できる。
 
 性格がはっきりしていれば、
こんなことやりそうだよね、と無色透明な主人公では書けないことも書ける場合がある。
 
 大事なのは、最初に示した性格が、作品中でぶれたりしないこと

 それさえできていれば、無色透明でない主人公でも問題はないと思う。
 
 
 

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フェアリーテイルゲームブック2018/11/03フェアリーテイルゲームブック 
『夢幻島の怪物』

藤浪智之・著 真島ヒロ・原作・イラスト
(講談社KCDXラノベ/2018/10)


 (1回目は2018/10/28 (Sun) )
(2回目は2018/10/29 (Mon)
(3回目は2018/10/30 (Tue)
(4回目は2018/11/01 (Thu)
 
 

☆ 注意、というか警告です。
 
 

 最後まで書いたら、

ものすごーくネタバレになってしまいました~。

 
 

 ここまでだってネタバレなんですけれど、いや、もう、それ以上に。

 ですから、ネタバレ嫌いという方や、まだプレイしていないという方は、
読むのやめておいてください。

 そんなわけで、レビューは、

「プレイしていない人は読んじゃダメー!」
 
からのスタート。



 ご了承くださいませ。
 
 だってぇ、最後まで書かないと、ホントのレビューにならないんだモン。

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フェアリーテイルゲームブック2018/11/01フェアリーテイルゲームブック 
『夢幻島の怪物』
藤浪智之・著 真島ヒロ・原作・イラスト
(講談社KCDXラノベ/2018/10)


 (1回目は2018/10/28 (Sun) )
(2回目は2018/10/29 (Mon)
(3回目は2018/10/30 (Tue)



直接には新章はパラグラフ224からの展開になる。
 通路には5つの扉が並び、中をうかがい知ることはできない。
「きみ」の「予兆」の能力を除いては――。
「予兆」により、それぞれの扉には文字が浮かび上がる。
 
「願望」

「不安」
「誘惑」
「憎しみ」
「夢」
 
 さらに、そこに入っていった仲間たちの姿もイラストで表現される。

 扉の先には、イラストに描かれた仲間がいる。
 そして(ここでは分からないものの)、「きみ」が入る部屋が1つ……。
 
 ここからは現実ではない世界となる。
 それぞれの部屋は、それぞれの心象が支配していて、
それを解決しなければ、脱出することはできないのだ。
 
 原作を読んでいない自分が言うのもおかしいが、
ここからはそれを知っていた方が有利だろう。

 記録紙に書いた「好きな人」や「好きなもの」が使われるのもここ。
 書いていない場合も、直前に注意をうながす記述があるので、
まだ書いていなくても心配はない。
 
 部屋をまわる順番は、どれを優先しても問題はない。
が、一番力が入っているのは「夢の迷宮」なので、
それを最後、クライマックスに持っていった方がいいだろう。
 
 夢や幻想の世界だから、失敗してもやり直しがきくし、
ループのような現実には時間的に不自然な動きも問題はない
 が、だからこそ、
そういったループややり直しがこの遺跡の中では多くなっている
 
(そういえば、
 地上でも、バッドエンド、夢だと思うのなら20の島マップへ、
という部分があったが、それもこの島が「夢幻島」であるためだろうか……)
 
きみ」だけが入る部屋は、記録紙に書いた「好きな人」が登場する……
のだが、想像できるとおり、ちゃんと対応するのは一緒に行動している人間5人
 まぁ、それは仕方がないだろう。
 
 が、作品に登場しているヒビキさんとか、
ミルさんなんかを書いた人はいるんじゃないだろうか。

 特に後者は、特になんと思っていなくても、
何かゲーム上有利になるのではないかという思惑で――。
 だが、そんなゲーム頭には、当然対応していない。

 考えてみれば、それも当然だ。

 なにしろ、この部屋で起こることというのは、自分の心の中にあること
 いくら好きでも、その人の心の中は、ここでは描かれることはないのだ。
 
 これはもちろん、名前が書かれた他の登場人物も同様。
「きみ」の妄想が形になって現れているだけだ。
 そのことは、プレイした方ならおわかりだろう。
 
 この「きみ」の部屋は、
もっとボリュームが欲しいと思った人も多いのではないだろうか?
 ただ、ちょっとでも選択肢を増やせば、
かなりのパラグラフを費やさなければならなくなるところでもある。
 こういう自由度の高い部分はやはり、TRPGのほうが強い部分だと思う。
 ただ、このあたりを一対一でやると、
語るに落ちるか、気恥ずかしい……を通り越して、気色悪いものになりそうだが……。
(「きみ」の妄想だからねぇ)
 
 さて、そのようにして、何度かループすることはあるかもしれないが、
ここまでは比較的簡単に進行することができると思う。

 そこで、満を持して「夢の迷宮」へ。

 この部屋には、ナツとルーシーが倒れている。
 ナツはうれしそう。ルーシーは苦しそう。
 予想できるとおり、ナツのほうはまったく問題ない。
 選択肢も何もなく、一本道で解決する……というか、
そもそも問題などない……のだが、そのかわり目覚めることもない。
 
 対照的にルーシーのほうはかなり複雑。
 ここでは、天狼島での事件を中心に、
ルーシーの過去とあり得たかも知れないその後が描かれる。
選択肢は重く、その結果は苦い。そして正解に到る道は狭い。
 
 言うまでもなく、この、あったかもしれない世界を描くことが、
作者が「夢幻島」を題材にした理由だろう。
 特に時間。夢の世界でしか元に戻すことのできない、
流れてしまった歳月を描きたかったかのように思う。
 
 後悔や悲しみを乗り越えることで、彼女は目を覚ます。
 そして、ナツも…………、目を覚ました。
 
 こうして全員がそろい、新たな道が開ける。
「きみ」たちは遺跡の奥へ――。

(あと少しだけど、時間切れ。
 確認で時間がかかってしまった――。
 ぶらまたりを買いに行っていたせいもある
  ……いや、そっちのほうが大きいのだけれど)

  
 


☆ それにしても、283で175へ行く人っているんだろうか?
 いるとすればとってもぼんやりさんだ。
 ここでは新しく加わる記号はないのだから……。
 
☆ 204で訊かれる名前は、原作でも登場するが、作中でも登場する。
  これは、この作品でその名に出会っ(たことを覚え)ていなくても、
  原作で知っていればいいということなのだろうか……? 
  たぶん、いいんだろうな。
  原作を知っていた方がより理解できるエピソードなのだから。
 

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フェアリーテイルゲームブック2018/10/30フェアリーテイルゲームブック
『夢幻島の怪物』
藤浪智之・著 真島ヒロ・原作・イラスト
(講談社KCDXラノベ/2018/10)


 (1回目は2018/10/28 (Sun) )
(2回目は2018/10/29 (Mon)


夢で印象的に登場したし、重要な役割をにないそうなので、
彼女(ミル)が出ずっぱりで主人公たちについてくるとか、
行く先々で出会うとかするかと思ったが、そんなこともないようだ。

 島長も、そう。
行く先々で観光案内してくれたり、余計なお世話をしてくれたりはしない。

 怪物も、あたりをうろつき回っていたり、
その爪痕を各地で残しているかと思ったけれど、それもないようだ。
 
「きみ」が、純粋に島をめぐって
そこにいる人の話を聞いたり、何かを見つけたり、
謎を解いたりすることで、物語は進行していく。

 5つのうちの残り3つの「△」を見つけ、
空・地・海の3つの「かけら」を手に入れるのが基本的な流れだ。

 謎は、易しめではないだろうか。

 ヒビキさんに出会っていれば、彼の魔法「古文書」により、
巻末のヒントも見ることができるから、詰まることはないだろう。

 それにしても、この「古文書」という魔法、
「予兆」なんかよりもずっと使い勝手が良いんじゃないだろうか。
未来のことまで分かっている感じだし。

 ただし、限界はあるのかもしれない。
「遺跡」に関する直接のヒントは得られないからだ。
これは、遺跡が特別な場所だからなのだろうか……。
 
 さて、
 地図から行きたい場所を選び、書かれた数字のパラグラフに進むと、
そこで出会う人との会話が始まったりする。

 そのとき、会話の流れによっては情報を取り逃す危険があるので、注意が必要だ。
 例えば、パラグラフ44から始まるミルとの会話はこうなっている。

  
        44←━━━━━┓     (前にも書いたが、線が乱れるのが
  ┏━━━━━╋━━━━┓ ┃      気になる人は、コピペして
33怪物とは←→142巫女 152森のほこら    テキストファイルなどに移し、
  ┗━━━━━╋━━━━┛        MS系他のフォントで見れば
     108シュピーを見る        何とかなると思う)
        ↓



 たどっていくと分かると思うが、
44で最初に「森のほこら」の場所を聞かないと、
話がそっちに戻ってきてくれないのだ。

 まぁ、聞き逃しても、ふたたびマップから入って、あらためて聞けばいいので、
それほど被害はない。

 それに、ここ以外では気づかなかったので、
この場所だけのことかも知れないが、気にとめておいてもいいだろう。
(ちなみに「隠れた洞窟」の情報のほうは、このような分岐がないので問題はない)。
 
 島には温泉もある。
 温泉といえば、一日の疲れを癒やすために入るものだろう、
ということで、軽く島を一巡りしたあとで行くことにする。

 このゲームブック、もっとパラグラフに余裕があったら、
昼と夜の区別なんかがあったんじゃないだろうか?
 
 パラパラッとめくったとき、イラストが目に入ったから、
ここは「予兆」の魔法が働く場面なのだろうな、と予想はついた。
「きみ」が女性のほうが有利じゃないかなということも。
 といっても、女性じゃなければ依頼を達成できないようにはなっていないだろう。
 でなければ、最初にその旨が書かれるはずだ。
 
 とりあえず自分のPCは男なので男湯へ。
サブクエストを優先したことと、温泉は後回しにしたことが功を奏したようだ。
おそらく一番穏当な方法で、女湯へ行く。

「見ないように目をそらしながら」……。
景色がきれいだなぁ。岩肌が……。
とそこで思わぬものを発見する。
やはり、紳士的に行動してよかった――。

 のだが

 せっかくそうして戻ってきたのに、次のパラグラフ105の選択肢が、
 
 「のぞきに行きたい」
 「怪物が心配だ」
 の2択なのは、どういう訳だ!!
 
 もう女湯入ってきたというのに、また行かせるつもりか藤浪智之。

 しかもこの選択肢、より穏当と思われる、
「怪物が心配だ」のほうを選ぶと、分岐なく管理人さんにしかられる……。
「のぞきに行きたい」のほうは、自重できる選択があるのだが……。
 
 やはり、温泉回あるあるをやりたかったということなのか? 
それとも単にパラグラフミスなのか? 
 103→166なら、別になんの問題もないのだが……。
 
 とにかく、この島は危険だ。
 自分の思うこととは違うことを考えてしまうように仕向ける魔物が潜んでいるらしい。
 ……。
 もしかすると、それが「怪物」?
 
 そんなこんなで、2日間の探索は終了。
3つの△も見つけ、空・地・海の3つのかけらも手に入れた。
 この3つのかけらをしかるべき場所に収めれば終了。

 あとはエンディングかな? と思ったら全然違った

 閉ざされた門には、3つのくぼみがあり、そこに入手した3つのかけらを入れると、
 門全体が光りはじめる。
 
 そのまま、ばあぁ~と光に包まれて、すべてが解決する……。
 
 ということは、全然ない。
 長きにわたって閉ざされていた遺跡がひらかれたというだけだ。
 
 だが、遺跡の中では、これまでと違ったスタイルの冒険が「きみ」を待ち受ける。
 
 というわけで、新章突入
 
 この章をここでは、「夢魔狩人」編と名づけておく。
 

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2018/10/29フェアリーテイルゲーブック フェアリーテイルゲームブック
『夢幻島の怪物』
藤浪智之・著 真島ヒロ・原作・イラスト
(講談社KCDXラノベ/2018/10)

(1回目は2018/10/28 (Sun)

そういうわけで、探索を開始……。

 とその前に、こっそりとパラグラフ14をチェック。

「死んでいたジュビアが、ここで生き返った気分です!」と書かれている。
主人公のことは書かれていない。
少なくとも今回は、14はデッドエンドの番号ではないようだ。
本家はともかくとして、毎度それではおもねりすぎに感じたりもするのだろう。

 次に、カバーやその裏、それをめくった表紙も見てみる。
 しかけやヒントはないらしい。

 あっても、ゲーム内でそれを見るように指示される可能性もあるので
フライングだが、ほら、4コママンガの単行本とかだと、
そのあたりにイースターエッグがあったりするから。

そういう場合、時に他のどこにも書いていなかったりすることは多いから。
取りあえずチェックしておいたのだ。

 そんなゲームの進行とは関係ないことをやってから、ゲームに戻る。

 形式は、いつもの藤浪智之先生の。
 マップを見て、そこに書かれた番号のパラグラフに移動するというものだ。
 
 さっきの女の子の言動が気になったので、まずはそこに向かうところだが……。
 
 実を言うと、これの前にすでに一度プレイしているのだ。
 忙しい合間をぬってのとぎれとぎれのプレイだったのにくわえ、
寝落ちとかしてしまったものだから、メモが不十分なところがあったりして……。
 ブログなんか書いているから悪い。

 形式がどこからでも始められるものなので、
そのあと続けることもできたのだが、
記事として出すのだったらそういう中途半端なのはやめた方がいいだろう。
ということで、あらためてやり直し。
 おそらく、島の3分の2ぐらいは回っていたと思うのだが。
 
 そんなわけで、順当に考えれば巫女の子のところに行くところだが、
ざっと回ってみて、サブクエストの依頼をまず受けてしまった方が効率的だな、
とインパクトのあるあの男性のところへ――。
 素材探しを引き受ける。

 で、少女のもとへ。
 少女の名はミルといい、
頭頂にブロッコリーのようなものを生やした奇妙な生き物、シュピーとともにいる。

『わくわく7』のような取り合わせだ。

 シュピーの名前の由来は作中ではその鳴き声だが、
ドイツ語でシュピーゲルは「鏡」なので、それが本当の語源かも知れない。
だとしたら「ミル」というのは……「見る」? 「ミラー」?。

 とりあえず、イラストにCDを使ってみる。
いろいろと角度を変えてみるが、よくわからない。
ここはやはり、言葉どおりのものでなければならないのか。
それとも、ここにはこれ以上の情報はないのか……。

 とにかく、彼女から話を聞く。
 島には「夢をかなえる魔法」があるのだが、
母親の前の代で、その伝承は途絶えてしまったのだそうだ。
遺跡の場所も伝わっていないらしい。
 
それらの情報がなければ困ったことになり、
それがすべて得られれば、今回の依頼は解決ということなのだろう。
 
 彼女の母は去年なくなり、父親もずっと前からいないそうだ。
 となると、もしかするとこの巫女の子は、
両親と再会することを心の奥に願い持っているのかも知れない。
 
――そういえば、「わくわく7」の麦さんも、
  両親との再会の願いをかなえてもらったんだっけ。
  もっとも、あっちはただの迷子だけど――
 
 まぁ、関係ない。
 
 行方不明はともかく、
死んだものを生き返らせるとなると、自然の摂理に反することになる。
それで問題が発生するというのは、お話しとして考えられるかも。

 ただし、少女の言葉を額面どおりに受ければの話だ。
 母親は死んだといってはいるが、
死亡の状況について具体的なことは語られていない。
もしかすると、死んだ姿は見ていないかも……。
となれば、死んだと伝えられた、あるいはそう思い込んでいるだけで、
じつは生きているという可能性だって、ないわけではないのだ。

 そうなれば、その話の方向での大団円という可能性もあるが。
 
 ここで、シュピーについて考えてみる。
 もしかすると、この変な生き物こそ、
両親の片方(あるいは両方???)ではないだろうか。
 何らかの出来事があって、このような生き物に姿を変えた、
あるいは変えられたのかもしれない。
「ずっと前から、この森の中で、誰かが見守ってくれてるって感じていたわ(……)」
という言葉を信じるのなら、それは彼女の父親だろう。
 ただ、シュピーが現れたのは、ごく最近のことだという。
 だとすれば、母親の「生まれ変わり」という可能性もある。

 いづれにせよそれは、憶測を重ねた仮説。
 そうではない可能性は高いのだ……。
 
 疑問を残しつつ、先へと進む。

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2018/10/28フェアリーテイルゲームブックフェアリーテイルゲームブック
『夢幻島の怪物』
藤浪智之・著 真島ヒロ・原作・イラスト
(講談社KCDXラノベ/2018/10)



魔道士ギルト「妖精の尻尾(フェアリーテイル)
の新入りとして
仲間とともに冒険するゲームブック。

 魔道士ギルドという言葉から分かるとおり、
メンバーは誰でも1つ魔法を持っている。

 「きみ」の魔法は「予兆(インディケーション)」だ。

 これは、見ているものから他人には見えない情報を「見る」ことができる能力。

 ゲーム的には主に、
イラストに文字や数字が隠されいて、それがパズルを解くヒントになっていたり、
状況を打開するパラグラフの数字になっていたりするというもの。

 ゲームブックではおなじみだが、
異世界の光景に現実の文字が出てくることに対する説明をつけたものだ。

 そこ、「お約束」でいいじゃない、とか言わない。

 なくても問題は無いとはいえ、こうした説明があることは楽しいし、
主人公の性格や物語とのかかわり方、物語の性格を示す一助にもなっているのだから。
 
 ここで、「記録紙」を見てみる。
好きなもの 嫌いなもの 好きな人
 それぞれを書かせる項目がある。

 こういうのはどうだろう?
 思い入れたっぷりにキャラクターを作って欲しいということなのだろうけれど、
逆に構えてしまう。
 こういう設定って、無駄になることが多いし、
使われたら使われたで、有利不利が出る場合がある。

 原作を知っていればいいのだが、
そうでないとかえってキャラクターを作りにくくなるということもある。
 とりあえず保留だ。何も書かない。
 
 というわけで、本文へ。
「フェアリーテイル」の面々が今回向かうのは、ハマナス島。
 輪郭がなんとなーくアフリカに似ている島だ。
 海岸には赤い花が咲きほこっているという。
 沖から見ると、海岸が燃えているように見える、とかなんとか言って、
変な人なら「火吹海岸」とか名づけるかも知れない。

 大きな都市ぐらいの小さな島。
 文明が届かず緑が島を占めている。
 塔のような山が中央にそびえていた。
 ドルアーガの塔に似てる?
 いや、似てないだろう。
 ドルアーガの塔・外伝ドルアガノンにはちょっと似てるかも知れないけれど。
 などと言っていると、ゲームブックファンみたいに思われてしまうではないか。
 
 迎えに来てくれたのは、島長ビゴットさんだ。
 島の近代化の遅れに忸怩(じくじ)たる思いでいるらしい。

 依頼の「夢をかなえる魔法」の調査確保と、古い遺跡の探索、怪物の排除……。

 その先に、島の観光資源の確保という思惑があるようだ。

 解決したら記念碑や銅像を建てさせてください、といっているのもそのためだろう。
 勇者まんじゅう(ケーキやパフェのある世界だ。翻訳したらまんじゅうになるお菓子があっても不思議はない)とかを売る気かも知れない(そのさい「フェアリーテイル」の名称は使わないかも。島をウリにしたいのであって、「フェアリーテイル」を宣伝したいのではないのだから)。

 現在、経済的に恵まれてはいなさそうなので、
依頼の報酬は、将来を見越して――、無理しているのかも知れない。2018/10/28フェアリーテイルゲームブック・ミル



 島長に会う前には、女の子から警告を受ける。

 よこしまな心で遺跡に近づいてはダメ、というもの。
 女の子は、「きみ」の予兆夢に現れた子だ。
 となると、重要な役割をになっているのだろう。

 現実ではいざ知らず、
物語ではこういう言葉は往々にして正しかったりするものだが……。









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西東社のゲームブックから2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』表紙
もうひとつ、
 
『スターウォーズ・ゲーム』
も紹介しておきましょう。

『スターウォーズ・ゲーム』
高槻逸雄著・ 岡崎忠彦画
(西東社
 シミュレーション・ブックス3
 /
1985/3)



スターウォーズ・ゲーム』というからには『宇宙大作戦ゲーム』と同じで、
SFファンタジーな冒険が繰り広げられると思うでしょ?
 それが全然違うのでございます。
 
 雰囲気SFシミュレーションゲーム
惑星に降りることはなく(宇宙ステーションには行く可能性がございますが)、
コースの選択宇宙での戦闘で、ストーリーが進行していきます。
 
 あなたは、タイタン号の艦長。
『2001年宇宙の旅』のディスカバリー号を思わせるデザインでございます。
 最新鋭ではなく、旧型艦というのが、リアルな味付けですな。

2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』タイタン号
 
 
 
 敵はカタツムリに似たスネイルと呼ばれる生物
カタツムリの殻にあたる部分をサイボーグ化して宇宙船にしたのだとか。
つまり、宇宙船に見えるけれど、機械化した生命体なのですな。
う~ん、SF
 
2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』スネイル  
 
 
 この敵に対して、戦っていくわけでございます。
 
 
 ルールは「ゲームの進め方」に――。
 
 数値データがあり、サイコロを1つないし2つ使うルールですな。
ルールに慣れるために、「訓練」も用意されております。
 
2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』ルール
 
 

 巻末には、装備カードサイコロ2つも――。
 
2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』記録紙とサイコロ
 
(↑本物は厚紙で、記録紙とサイコロは分かれています)
 
 うーん、本格的
 西東社のゲームでもこんなものがあったのか――。
 と、西東社のゲームブック見直してしまうでしょ?

 でも、それが間違い

 ここまで書いてあるのですから、
作者としては、そういうものをやりたかったのかも知れません。
 
 ただ、対象年齢を考えて、編集の方で待ったが出たとか、
そんなところかもしれませんな。
 
 数値は常に戦闘シーンのページ内で指示され、

サイコロを振るにしても、1~3が出たら○○へ、とか、
2つのサイコロの出目が11以上なら△△へ、
 
といった感じで、複雑な計算を必要とする場面はほぼございません
 
記録紙に書き込む箇所はあるものの、
プレイヤーの負担は最小限といってよろしいでしょう。

2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』戦闘  
 
 
 ゲーム終盤には、ブラックホールが登場します。
 

 そのためにワープに失敗したり、それを利用して敵をやっつけたり、

別世界の自分の宇宙船と出会ったり
 
 2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』異世界の宇宙船1
  
 

2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』異世界の宇宙船  


地球に戻ることができず、新天地で暮らす運命となったりと、
 
2018/10/10『スターウォーズ・ゲーム』新天地

フィクションとしてのブラックホールあるあるですな。

 
 敵軍との戦闘だけでは単調になるところを、
ブラックホールの存在がストーリーにアクセントを加えていると存じます。
 
 ただ逆に、
スネイル軍との戦闘に終始しなかったことに不満を持つ方もおられるのかな? 
まぁ、そういう人は、戦闘自体に不満を持ちそうではございますが。
 
 というわけで、西東社のゲームブックというと、
単に子供向けの単純なもので、どれをとっても同じだと
思う方もおられるかもしれませんが、
この前取り上げた『完全犯罪ゲーム』もあわせて考えてみれば分かるでしょう。
 

 逆にむしろ、
いろいろなタイプのゲームブックを提供しようとしていたわけでございます
(賞金30万円で作品を募集していたのも、その現れかもしれませんな)。
 
 ただ、子供に向けた単純な作品ばかりだったために、
そのあたりのことは評価されず、
どれをとっても同じ、と思われたのでございましょうが……。

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ついでですので、
西東社のゲームブックを
さらに紹介することにいたしましょう。ウォーゲーム

『ウォー・ゲーム』
柴田竜男作/切明畑光乗絵
(西東社シミュレーションブックス2/1985/7)。
 
(ただし、西東社の日付は
初版発行日が書かれていないので、
それがいつなのかは不明でございます。
前回のシリーズ6
「300X年スターウォーズゲーム」
の発行日が1985/3でございますし)

ウォー・ゲーム」といえば、89.6%ぐらいの方が、
シミュレーションウォーゲームを想像しますよね。

シミュレーションブックスの『ウォー・ゲーム』となればなおのこと。
配置を考えたり、サイコロを振って難しい計算をするのかな? 
タイトルからそうお考えになるのも、むべなるかなでございます。

 が、しかし。
 はずれ
 このゲームブックは、そういうものではまったくございません。

 ではどういう内容かと申しますと、これがまさにゲームブック
選択肢を選ぶアドベンチャーゲームの本でもなく、
パズルやクイズが中心となる本でもなく、
当て物的なゲームを楽しむ本なのでございます。
 その方法としては、いくつかの絵の中からひとつを選び、
ページを折ったりめくったりして、結果を見るという もの。

ウォーゲーム 折って結果を見る

 さらには、シフトカードというものを使うところもございます。
これは予備でございますが、

ウォー・ゲーム シフトカード

このような厚紙のカードが本の最後の方にあり、
切り取って使うようになっていたのでございますな。

 それをこのようなページに当てはめて、
その窓からのぞいている絵や記号の数によって成功・失敗を判定するのでございます。
ウォーゲーム シフトカード1



ウォーゲーム シフトカード2


ウォーゲームシフトカード3


 前回、『3000x年宇宙大作戦ゲーム』では、
「書き込んで結果を見るシーン」があり、
「これがのちに同社のゲームブックで、
 付属の穴の空いたカードを当てて判定するというスタイルに発展していく」

と書きましたが、それがこれでございます。

 西東社2作目のこの作品にして、
すでにシフトカードは使われていたのでございますな。

 いや、すみません。前回のこの記述は間違いでございました。

 ただまぁ、このカードが形を変えながらも
(サッカーのゲームでは、
 2つあるうちの1つのカードがサッカーボールの形だったり)、
使われたのは事実でございます。
 いづれにせよ、考えさせてはくれるものの、当て物の域を出ませんな。

 シミュレーションウォーゲームを期待して本作を買った人は、
この内容を見てガッカリしてしまうことでございましょう。
 
 

 最後になってしまいましたが、このゲームブックのストーリーなどについて。

 表紙を見れば分かるとおり、
このゲームブック『ウォー・ゲーム』と書かれた上に、
スーパーアクション・ゲーム」と書かれております。
『ウォー・ゲーム』という言葉よりも、
正しくジャンルを表しておりますな。
『ウォー・ゲーム』というタイトルにしても、
よく見てみると、「ウォー」の上に「戦争」のルビ? が――。
 
これはもしかすると、シミュレーションウォーゲームではなくて、
単に戦争を題材にしたゲームだよ、というしるしなのかも? 
 
まっ、言い訳ですな。

タイトルは、実はもうひとつございます。
X島上陸大作戦』。
「ゲームを始める前に」の部分に書いてございます。
おそらく本当のタイトルはこれなのでございましょう。
そのタイトルでは手に取ってくれないとの判断で、変えたのでございましょうな。

「設定について」を読みますと、
X島は架空の舞台ですが、その多くは、
 第二次大戦の日本軍のシンガポール攻略戦を参考にしています
だそうでございます。

 作者としては、
それこそ本格的なウォー・シミュレーションをやりたかったのかも知れません。
 
 作戦は
 
第1ターン「制海権を得る」
第2ターン「制空権を得る」
第3ターン「上陸支援攻撃」
第4ターン「掃海作業」
第5ターン「歩兵上陸」
第6ターン「戦車上陸」
第7ターン「地雷原突破」
第8ターン「進攻」
第9ターン「正面突破」
第10ターン「空挺支援」
第11ターン「司令部攻略」
 
となっていて、
各ターンの最後には、「得点集計」のコーナーがございます。
 
 そこで評価が
A~Cに決まったり、
作戦の続行が不可能になったり(ゲーム中に続行不可能になることもあります)、
次のターンの攻略が変わったりするわけでございますな。

 で、最後まで生き残れば、最終得点集計をして、
「将・佐・尉」のどのクラスになるかが判定されるというわけでございます。

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  というわけで、宇宙大作戦ゲーム表紙

2018/10/01 ゲームブッククイズ(118)
からの続き。

SFアドベンチャーゲーム
『300X年 宇宙大作戦ゲーム』
笠原英夫作 
(株)我社(わがしゃ=能美巧+はだみちとし)画
(西東社/1985/3)
 
のレビューにございます。
 
 
 1970年代の後半から80年代といえば、SFやアニメのブーム。
 
『スターウォーズ』『宇宙戦艦ヤマト』を皮切りに、
『スターログ』『宇宙船』といった内外のSF・トクサツ雑誌や
各種のアニメ雑誌が発刊され、
古今問わず、さまざまなSFやアニメが紹介されだわけでございますよ。
 
 そんな流れに乗ってゲームブックでも
SFジャンルの作品がいくつも発売されております。
 
 『スターウォーズ』に乗っかったというか、フォロワーと申しますか……。
そういった安易な作品がけっこうございますな。
 
 このゲームブックも、そうしたもののひとつ。

  表紙からしてエックスウィングですし、
タイトルはテレビシリーズ時の『スタートレック』の邦題ですからなぁ。
 
 狙っていることはあきらかでございます。
 
 とは申せ、ゲームブッククイズの時のキャラクター表からも想像できるように、
『スターウォーズ』だけではなく、
もっと広い、古いタイプのSF映画も含めたところから
ネタを持ってきた作品となっております。
 
 

 「主な登場メカニック」もご覧のとおり
 

宇宙大作戦ゲーム メカ

『スターウォーズ』以前のアニメに登場しそうな、

水生生物をモチーフにした宇宙船が多くを占めております。
(これがもう少しあと、
  1986年以降なら『ダライアス』ということも考えられるのですが)。
 
 パネルラインなどが入っているあたりは、当時的ではございますがーー。
 
 スティングレーなんかは、
未来少年コナン』の「ギガント」のイメージも入っている感じがいたしますな。
 
 スペース・モトクロスは、
スターウォーズ』のスピーダーバイクが元ネタでございましょうが、
宇宙空間で使用しております。
 
スペースモトクロス  

トゲつきの鉄槌で攻撃しているあたりは
『レンズマン』の宇宙オノからの引用でございましょうか。
 

 ちなみに、『機動戦士ガンダム』でザクを近接のメイン武器としているのも、
レンズマン』からでございましょうなぁ。
 
『ガンダム』が当たり前の世代だと気にならないかもしれませんが、
 宇宙で斧って、唐突な気がいたしますもの。
 

 で、そのライダーたちも、ヘルメットを取ればこんな人。

宇宙大作戦ゲーム スペースパイレーツ


マッドマックス』か『北斗の拳』でございますな。
 
確かに星形鉄槌には、このような人が似合いそうではございます。
 
 

 メカと言えば、こいつも。「宇宙大作戦ゲーム」ウーロン
ロボットウーロン
 警告を発したり、翻訳を手がけたりいたします。
 
 このようなパートナーロボットは、
いくつもの作品に登場いたしますが、

近いのは『宇宙戦艦ヤマト』のアナライザーとか
『宇宙からのメッセージ』ベバ2号、
あるいは『キャプテンウルトラ』のハック……。

いづれにせよ、
日本の作品に出てきそうなロボット
という感じがいたします。

  
 
 メカといえば、
バラン帝国では穿孔テープを使っているようでございます。
 

 宇宙大作戦ゲーム 穿孔テープ


いいですよねー、穿孔テープ。

むかしのアニメや特撮の科学者は、
みーんな、それもものすごい勢いで読めていたけれど、今の科学者は読めないのかなぁ。
 
  
 さて、前紹介が長くなり過ぎました。

 おはなしは、惑星ミューに存在するオリハルコンをめぐって展開されます。
 

 この物質、重力をコントロールする力を持ち、
平和利用すれば素晴らしいエネルギー源となる一方、
惑星を一瞬で消し去る反重力爆弾を作ることができるというもの。
 
銀河系外からの侵略者、バラン帝国は、これを狙っているのですな。
 
 そのもくろみを阻止するため、
結城亜乱は、スペースエンジェル号とともに、
銀河防衛軍の母艦ゴンドワナに乗り込んだ――
とまぁ、そんなわけでございます。
 
 流れといたしましては、

 (1) ゴンドワナ号に乗り込むまで
 
 (2) 宇宙船ゴンドワナにて
 
 (3) 宇宙海賊との戦い
 
 (4) 惑星ミューでの空中戦
 
 (5) 着陸
 
 (6) ミュー人との出会い
 
 (7) 決戦へ
 
 という感じですかね。
 
 
 とにかく、宇宙での戦闘あり、地上で冒険ありと、
SF映画に登場しそうなシチュエーションが、短い中にけっこう盛り込まれております
 
 沼の花がテレパシーで誘う場面は「ソラリス」を思わせますし、
 恐竜とか巨大サソリや(ハリーハウゼンですな)、半魚人も登場する。
 
この「天使の羽根」なんてぇのは、映画『フラッシュ・ゴードン』でございましょう。

宇宙大作戦ゲーム 天使の羽根
  
 そんな何でもありなSFファンタジーが、
このゲームブックの楽しいところでございます。
 
 選択は、主に2択。
 
宇宙大作戦ゲーム 選択肢
 

  こんな感じで、以前、ゲームブック書誌の「MSXマガジン」
の時に紹介した『惑星スパイ』……と申しますか、
バンタム社のコミック版ゲームブックを参考にしたのではないか
と思われるふしがございます。
 
 まったくのあてずっぽの場合もございますが、
このように、少し考える余地を与えてくれる選択があるのが
よろしゅうございますな。
何の条件もなく右か左かばかりを選んでいるようでは、
ゲームブックとしてはちっとも面白くございませんもの。
 
 場面によっては、このように書き込んで結果を見るシーンもございます。
 

宇宙大作戦ゲーム ビーム砲
 

遊びとしてのゲームブックの楽しさを出した部分でございます。

 これがのちに同社のゲームブックで、
付属の穴の空いたカードを当てて判定するという
スタイルに発展していくのでございますな。
(と思ったら、その方法はすでに『ウォーゲーム』で使われておりました。
 次回の当該記事をごらんください)
 
 ただですねぇ、
 このような選択の場合、間違った方を選べば即ゲームオーバー、
というところも多く、それが雑な造りと感じられる部分ではございますな。
 
 それとは逆に、
選択によってまったく異なる展開が用意されている箇所があるのは、いいところ。

 たとえば、エンジェル号が何者かに乗っ取られるパラグラフ57

 ここでスペースボートを出して追いかけると板東宙太との対決となりますし、
追わないで捕まえようとすると、乗っている人物は別人だったことになります。

 ネットでアドベンチャーゲームのレビューを読んでいると、
このように選択によって設定まで変わることをいやがる人もいるみたいですが、
わたくしはむしろ好みでございます。
 
 ラストも、パラグラフ130
敵軍団を迎え撃つか、ヒメとともに神殿に向かうかで、
(設定は変わるわけではございませんが)
エンドが大きく異なります。

 もちろん、上手くやりおおせたならば両方ともハッピーエンド
 マルチエンディングでございますな。
 
 

☆ 最後に、このゲームブックで突っ込みを入れたいシーン
それがこれ、パラグラフ132でございます。
 

板東宙太さん「美しい自己犠牲の最期」

 不要なキャラクターを退場させるための手段としてこんなテを使うのは、
一種の常套手段ではございますな。
 
 でも、これほどあからさまに
美しい自己犠牲の最期だった」なんて書かれているのって、久しぶりに見たよ!
 
 しかも、ひとつ前のパラグラフでは、
恐竜に捕まった姫と主人公を助けるために、恐竜にむかって石を投げているのですよ。
その投石に失敗しても、恐竜に踏まれてベチャッとなっちゃうし
(パラグラフ109。その場合、そのあと主人公たちも死んじゃうみたいですが……)。
 
 主人公のライバル的に登場したのに、不憫なことでございます。

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『完全犯罪ゲーム』 ゲームブック:完全犯罪ゲーム
桜井一 著 桑田次郎 画
(西東社 シミュレーション・ブックス4/1986/11)

           ページ数146



 作者は、ユーモラスな作風で知られるイラストレーターで、
バー酔虎伝』など、エッセイも書いている方でございます。
個人的にはハヤカワ文庫の『ドーヴァー警部』シリーズの
表紙などが印象に残っておりますな。



 イラストを桑田次郎先生に任せたのは、自らの作風では作品にあわないと考えた
――あるいは編集部がそう判断した――のでございましょうか?


 主人公は、莫大な借金をかかえた青年、風間五郎
彼が、金貸しの金田金太を、
すでに抵当に入っている自分の別荘で殺すところから物語は始まります。

 倒叙型ミステリーをゲームブックでやろうというわけでございますな。

 犯人はきみ

なので、殺害後の証拠の隠滅を図らなければなりません。
警察や目撃者に対する対応も大切。
探偵がやってきたら、その対処もしなければなりません。


完全犯罪ゲーム 陳田一珍助

(↑ 探偵・陳田一珍助さん)


 普通の――倒叙型でない――ミステリの場合ですと、
主人公は探偵や刑事であり、やることはたいてい決まっています。

それに、犯人の行動に対してそれを解き明かす側ですから、
選択は受身であることが多いですよねす。

それに対して、
本作品は自分が犯人であるため、より行動が要求される
つまり、ゲームブックと相性のいい形といってよろしいでしょう。

 作品としては、
『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』を読んでいる世代には
厳しいなと思う部分も多くございます。
それ以前の作品ですから、そこは仕方の無いところですな。

ここで行っている『完全犯罪』は、
簡単な科学捜査にさえ耐えられないのではないでしょうか。


 ただ逆に、それが選択を面白くしている部分でもございます。

下手に推理小説的な知識があると、いろいろと勘ぐってしまって、
かえって間違った選択を選んでしまうことがあるのですな。

 この作品のポイントは実際には単純。
二点か三点のことに気を使えばいいのです。
ですが、それ以外を考えてしまうと、
結局間違った結果にたどり着いてしまうという……。


 いずれにせよ、結末はどれも後味のいいものではございません
何しろ犯罪者が主人公ですからな。

成功したとしても、自分の犯した罪にさいなまれることになりますし、
失敗したら失敗したで、
正義は勝利し、悪は敗北したのだ。喜ばしいことじゃないか
と皮肉っぽく結んでくれる。

完全犯罪ゲーム・エンド

(↑ エンドの例。142ページのほうはエンドの一歩手前ですが、このあと、
   病院行きの結末をむかえます)


完全犯罪ゲーム・エンド2

(↑ エンドの例その2。桑田次郎先生とは
   思えないコミカルな表情ですなぁ)



ただ、そういうコメントが書かれていてもそんなに不快ではないのは、
主人公に完全に感情移入することが、ないからなのかもしれません。

状況は緊迫し、選択肢も意味があるものでございますが、

語り口が突き放したものであるからでございましょうかねぇ。

主人公が殺人犯だからなのかもしれませんが……。

いずれにいたしましても、
推理ものというのは、ゲームブックに向いているようでいて、
実は難しいものでございます。
しかるべき場所にいなかったり、会話を間違えたりして、
情報を取り逃すと詰んでしまうなどございますからな。

パズルや迷路を推理の代替としたり、
当てずっぽうの選択肢や、選択なしで話が進んでいく
推理ものゲームブックもございますし。

犯人を演じる倒叙ものというスタイルを採用した本作は、
推理ものとして及第点を与えられるのではないでしょうか。




☆ 考えてみれば、泥棒が主人公のゲームブックには、
  シリーズになるほど人気のものもございますが、
  あれも言ってみれば
  「犯罪者が主人公のゲームブック」でございますな。





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ファミコン冒険ゲームブックシリーズ12

『ミシシッピー殺人事件/リバーボートの冒険』

樋口明雄/S・ハード(双葉文庫/昭和六二年五月)


ミシシッピー殺人事件/リバーボートの冒険


というわけで、「ゲームブック五段活用」の時に触れた
『ミシシッピー殺人事件/リバーボートの冒険』について、書いてみましょう!

 プレイした樋口明雄先生のゲームブックの中で個人的ベスト。
いや、そのくくりを無くしても上位に行くような名作と申してよろしいでしょう。

 のちに冒険小説をものにする作者が、
当時本当に書きたかったのはこういう作品ではないか、
とわたくし密かに思っております。


 同年十二月に上梓された『ヴァイケルの魔城』のあとがきには、

 今回、初めてのオリジナルゲームブックということで、
どういう話にしようかと考えました。
 まずは、子供を主人公にしたい。
 それも、大人に憧れながらも、子供であることを謳歌できるような年頃。
つまり十二、十三才の少年たち。彼らが相手にするのが同じ子供だとすれば、
ただの「わんぱく戦争」のお話になってしまう。
当然、彼らの敵にまわるのは、悪い大人たち。
――ただし、人間を出すよりは魔物を相手にしたほうが、より面白くなる。

 などと書かれておりますが、「魔物を相手にした」
『ヴァイケル~』や『ドラゴンクエストⅡ』(こちらも同年)などよりも、
それらが出てこないこの作品のほうが、より魅力的に感じるのでございます。

 それは、この物語の背景である西部劇やマーク・トウェインの世界を、
先生が本当に愛しているからでございましょうな。

 それらを単なる知識としてではなく、
自家薬籠中のものとしているからこそ、
その土壌を養分として、
少年たちを生き生きと描けているのだと思うのでございます。




 さて、物語は、
原作(アクティビィジョン版、というよりもファミコン版……かな?)の事件が
解決したところから始まります。

「デルタ・プリンセス」号がニューオリンズに入港し、
乗客たちが下船しているまさにそのとき!
 原作での犯人が何者かに射殺されてしまうのでございます。

 偶然居合わせた主人公二人、ジムとラリーは、
容疑者として警察に連れて行かれた知り合いの女性の濡れ衣を晴らすため、
犯人捜しに乗り出すのでございますが……。



 物語は二部に分かれ、
二人の主役がそれぞれの主人公を務めるという構成になっております。
  
 前半の主人公はジム。
 主に「犯人はどこから被害者を撃ったのか」を推理するのが目的となります。

 とは申せ、推理よりも行動が主体。
 それによって次第に事実が明らかになっていくのでございます。

 重要な手がかりや事実は、太字で書かれていて親切――
 と申しますよりも、むしろ必要なのでございましょう。

 原作を踏まえながら、さらなる大きな事件に発展していく話でございますから、
重要ポイントを押さえておかないと、話が分からなってしまうのでございます。

 で、そうした調査の過程で、
マーク・トゥエイン先生と知り合いになり、悪漢三人組から追いかけられ……。

 この「悪い奴から逃げ回りながら調査」という点が、
このゲームブック全体の面白さとなっております。

 特に、廃屋で殺し屋たちに追いかけられるシーンが前半の山場ですな。

 プロローグを読んでいれば、
ここでそのことが役に立ち、悪漢たちから逃げおおすことができる
という仕掛けがあるのでございます(それを経過しないルートもございますが)。

 けっこうおりますからなぁ。
プロローグとか読まないで、パラグラフ1からはじめちゃう人って。

 プロローグにヒントと言えば、
FF23アイフォーさんとかが有名でございますが、

それよりも提示の仕方がずっとスマートでございますな
(いや、この場合、あっちの方がアレなのでございますが……)。

 前半最後、パラグラフ298では、そこまでの調査を総合して、
弾丸が建物から飛んできたか、船から飛んできたかを
推理するシーンがございます。

ここで間違えると「UNHAPPY END」
成功すると次に続くわけでございます。


 どちらが正解かは申せませんが、
 ここで港湾事務所に駆け込むと、船はまさに出航しようというところ。

 ここまでに時間を費やしすぎておりますと
「デルタ・プリンセス」をお見送りしながら、
やはり「UNHAPPY END」と相成ってしまいます。


それもクリアすると、パラグラフ14で船にジャンプ。
 
「アメリカには、こんなことわざがある。『子供と馬鹿者は神様が守っている』
 ぼくらはその両方だ。何とかなるさ。」

 こういう気の利いた文章が各所に織り込まれていて、
それがこの作品をしゃれたものにしておりますな。


 さて、そうして前半終了。
 主人公はラリーとなり、船内で事件の真犯人を捜す後半へと移ります。

 マーク・トゥエイン先生に助けられたりするものの、
密航者でございますし、何やら背後にある事件を解決しようというのですからな。

 狭い船内での隠れながらの捜査と追いかけっこが、
少年冒険ものらしい楽しさを出しております。

 で、その過程で、新事実が次々と明らかになっていくのでございます。
 この間紹介した、「ユーズド・ゲームズ」の記事では

ユーズド・ゲームズVOL.16 p.8
「無意味に濃くて困る」
が、

「結局事件の真相には
何一つ関わってこない。
なら無理に入れるなよ。」(p.8-9)

と評された原作の基本設定が、

「実はこうだった」とどんどん
上書きされていくのでございます。

 意外な人間関係が明らかにされ、
その裏に隠された真相が
明らかになっていく――。

そうやって
『ミシシッピー殺人事件』に、
オリジナルの解決をつけている
のでございます。
↑「ユーズド・ゲームズvol.16」 p.8


 
凶器に関しては、この作品の中心読者と思われる層には少々難しそう。

 というか、西部劇ファンでなければ無理というものかもしれません。
 ですが、これがクライマックスで重要な意味を持ってまいります。
 この名銃でなければならないのですな。

 というわけで、クライマックス。

 マーク・トゥエイン先生が捨て身で子供たちを助け、
ミシシッピー殺人事件/リバーボートの冒険

真犯人と

少年たちの追いかけっこも頂点に達し――。

下船したはずの探偵も登場。

謎だった人物の
意外な正体も明らかになり――。


そして、
真犯人とその謎の人物との対決。

これがやたらとカッコいい。

よくTRPGでは、PCが関われない、NPCだけの場面はいけないと申しますけれど、ここは違いますな。

 2人の対決は旧い時代に生きる大人たちの生き様を子供たちに伝えているのでございます。

 対決のあと、旧い時代の終わりを感じて、ラリーは夢が崩れる思いを抱きます。                                                                    (↑犯人の名前消しておきました~!)
                                                                                                 
 それを受けて、マーク・トゥエイン先生のセリフからエピローグは始まります。

「古いものと新しいもの、その入れ代わり、
君らは、そんな時代を生き、また、そんな場所に生活している」
……。

 西部劇やマーク・トゥエインのロマンティックな時代は終わり、
 新しい時代がやってくる。
 古い時代の良さは残さなければならないが、
 新しい時代は、新しい時代の良さがある。
 ともあれ、君たちは1人の女性を救う冒険をした。
 このことは、君たちが大人になっても、輝かしい栄光として残るだろう。

 そのようなことを先生は申します。

 そして、
主人公が、仲間とともに新しい時代を生きていくことを予感させてエンド。

「ただ今、ちょうど二尋(マーク・トゥエイン)!」水先案内人の声が応える。
 ジムは驚いた顔で、作家を見た。コーン・パイプの男はニヤリと笑った。

 結びはこれでございます。
 
「マーク・トウェイン」(水深二尋)は、
「蒸気船が座礁せず安全に通航できる限界の浅さ」と、
ウィキペディアにございましたから、ここは、
マーク・トウェインのペンネームの由来を挟むと同時に、
少年たちの前途を予感もしくは祝福した暗喩が
込められているのかもしれませんな。






☆ ところで主人公たちをつけ狙う殺し屋3人組は、
「投げナイフ」を武器にしているのですが、
いったいどうしてなのでございましょうねぇ?






追記:

ちなみに、原作の原作である「マーダー・オン・ザ・ミシシッピー」(アクティビジョン)については、「月刊Bug News」誌1986年10月号にございます。
(「チャールズ卿の手帖」津田宏(p.52-55))
 そこではこのゲーム、ジョイスティックで操作できること、 メモを取れること
などが評価されているようですな。
 おそらく、このジョイスティックで操作できるという点が、
ファミコン版が作られる決め手になったのではないかと――。

 にしても、同年にファミコン版が出ているのですから、早いですなぁ……。


 さらにちなみに、同誌のその月の「編集部が選んだ、おすすめゲームソフト」では第4位となっております。


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