阿笠九太郎:編著
二尋鴇彦[第1部] ダムるし[第2部]
:イラスト・マンガ
よだかのレコード:謎監修・デザイン
08CREATION:
マンガ原案・ストーリー執筆・編集協力
(西東社/2017/8)
やった~!
[脱出1 よみがえりの魔術]
終わった~!!
以前(なぞのまとめ 2017/11/26)、
この手のゲームブックは絵が怖くて買えないと書きましたが、
増税前に買ってまいりました。
いえね、考えたのでございますよ。
後になってこの書を買おうとしたとき、絶版になっていたら、
古本屋さんで探すしかないじゃないですか。
でも「呪われた」とか題名についている本を古本で買うのは、
やっぱりイヤだと思いません?
「呪い」が迷信とわかっていても……。
まぁ、『暗黒教団の陰謀』大瀧啓祐(東京創元社)などは、
古本屋さんで買ってはいるのですが。
やっぱり、出来るなら……、ねぇ。
今回買ったのは、新品でございますし、
しかもビニールにくるまれていたので、そのあたり、安心。
気持ちの問題なのですけどね。
というわけで、買いました。
この表紙でございますから、どんなに恐ろしい内容だろうか……。
ドキドキおそるおそるビニールをむしります。
が。
……。
パラパラッとめくった感じ、なんかそんなに恐ろしそうではない!
そして、謎解きゲームとタイトルに冠されていたとおり、パズルがたくさんありそう。
さっそくプレイしてみることにいたしました。
主人公は高木タクトさん。
東山小学校のホラー研究会の一員でございます。
と申しましても、別に好きで入ったのでなくて、
成り行きで、のクチでございますが……。
ストーリー1は[よみがえりの魔術]。
学校からさほど遠くない場所に、もう十数年も人が住んでいない古い洋館があって、
そこでふしぎな出来事が起こるらしい――。
で、探検に行ってみる、という話でございます。
心霊現象と申してはおりますが、起こっていることは、
人影が見えたり、足音がしたり、明かりがついたり……。
これって単に不法居住者がいるってことなのでは?
館を訪れたものには、必ず心霊現象が起こるとも――。
それも誰かの仕業かも……。
そんなわたくしの考えをよそに、
一週間後、くだんの洋館にホラー研究会(以下ホラー研)の5人はやって来ます。
ここでリーダーの黒川さんからひとこと。
「こういう場所は危険だから ふざけた気持ちで行くのはやめた方がいいわ…」
ここに来て。
そんなことおっしゃるのなら、はじめから来なければいいのに――。
まぁ、プレイヤー=読者に対する脅しでございましょう。
一行はずんずん中に入っていきます。
入ってみると一階はボロボロ。
探索するまでもございません。
階段には、子供の……幽霊?
それを追う形で一行は二階へ。
そこから、物語は始まります。
二階の最初の部屋は、ナンバーキーがついている……。
ゴシック様なのに、意外に新しい?
それとも錠は後からつけた?
近くには見取り図も落ちている。
親切。
「ゲームっぽくて 楽しそうだし やってみよーぜ!」
ホラー研のメンバーもノリノリです。
というわけでゲームスタート。
ドアのプレートに描かれた暗号を解いて、キーナンバーを入力する必要がある……。
というわけで、タクトさんたちは、ほかの部屋を調べてまわります。
謎は、昨今の脱出ゲームや謎トレのブームがあるのでございましょう。
小学生向けだから……などと舐めかかると足をすくわれます。
逆に申しますれば、だから面白い。
謎が二段階になっていたりするものもあり、
なかなか頭を使わせてくださいます。
謎監修とデザインを担当なさっている「よだかのレコード」さんは、
ドラマチック謎解きゲームを企画制作するところらしいので、
そこら辺のバランスは心得ているのでございましょう。
で、
これは、ネタバレになるかな?
気をつけなければならないのは、パズルの答で、その数字へ跳べ、
というものの中には、パラグラフ数ではなくページ数のものもある、
ということでございます。
最初、これにずいぶん惑わされました。
パラグラフに跳んでも、全然意味が通じないのですもの。
加えて正しいページに跳びましても、
一見意味のない内容だったりするから始末が悪い。
そのどこかに、こっそりと進むべきパラグラフが書いてあったりしてね。
ですから、変だと思ったら、まずパラグラフとページ、両方を当たってみること。
次に、跳び先をじっくりと見てみること。それか肝要。
さらに、そこから跳んでも「正解」などという言葉は書いてございません。
そこもちょっと戸惑うところでございます。
そのあたりは、ストーリーで判断するしかございません。
そのようにしてすべての謎を解き、キーナンバーを入力して鍵を開けると、
マンガが始まり(ムービーシーンでございますな)ゲームはいったん終了。
研究会のみんなは、無事に館から帰ってまいります。
ところが、先に帰ったと思っていたリーダーの黒川さんが行方不明なのでございます。
というわけで翌々日、ホラー研の面々は再び館の探索に乗り出します。
今度は、5枚の紙切れを見つけて、その暗号を解くのが目的となります。
謎は、いくつかの場所のものは、少しレベルが上がったのかな?
他はそれほど変わらないような……。
ちなみに、最初のページとは1ページのことね。
わたくしが迷ったのは、それぐらいかな?
そうして、5枚集めると次のパズルに進みます。
が、ここからは、本を折ったり書き込んだりする必要があるのですな。
それはイヤだったので、
折る方の暗号は、簡単にページを書き写してやってみることにいたしました。
でもこれが、失敗。
無理でございました。
それ以前に、先入観で折り方を勘違いしていたというのもあるのですが
(まぁ、90度ぐらい間違っておりました)、
答は多分ここに出るからこれでは違うとわかった後でもやはりだめ。
いや、答えが出ていたのでございますが、
それが正解と特定できないのでございますな。
これでいいのか、これだけでいいのかが、
雑に描いたものではちょっと決定できない……。
結局ページを、折らないように注意しながら曲げて、ようやく答を見つけました。
その後の書き込む方の謎は、
トレーシングペーパーを載せて、それに書いて解いていきます。
そちらは、問題なし。
本に直接書き込むことなしに答を導き出しました。
そんなこんなで、封印成功!
ふたたびマンガによるムービーシーンで、エンディングでございます。
結局、本当にホラーっぽいのは、
このムービーシーンの過去を回想した部分だけだったような……。
他に、バッドエンドもございますが……。
というわけで、面白かった~!
適度に悩むこともありつつ、サクサク進めました。
次は、ストーリー2「赤の儀式」。
まだプレイしておりませんが、楽しみでございます。
ゲームブック式
生死を分ける最強のサバイバル術
冒険企画局
(齋藤高吉・平野累次):著
岡本健太郎 さがら梨々:原作
(星海新書/2019/9)
買いました~。
いやぁ、
捜索に苦労いたしました。
こういう境界線上のゲームブックは、
本屋さんによって置かれる場所が違う場合がございますから、
ある程度は覚悟しておりましたが。
まず、コミックスの置かれている場所にもなし。
新書や文庫、なろう系のコーナーも同じ。
ゲームやサブカルチャー系。
山岳、サバイバル、防災関連。
児童書やエッセイマンガのところも見てみたのでございますが、
ございませんでした。
で、5軒目あたりでございましたかな。
そこにもなくて、帰ろうとして、
ふと新書の新刊コーナーのところを見ると……。
ございました。
ついに発見でございます。
そのとき思ったのは、本当に新書なんだ……。
むかしはこの判型のゲームブックってよくございましたよね。
朝日ソノラマとか講談社とか桐原書店とか……。
でも昨今は、このサイズでゲームブックというのは、すっかり見かけませんな。
くわえて、星海社が新書のレーベルを持っていることも存じませんでしたから、
もし知っていれば、もっと早くに発見できていたのかもしれません。
というわけで、家に帰ってさっそく開いてみます。
ソデと「はじめに」「あとがき」などに原作者のお言葉が載っておりますが、
これが読点が非常に少ない変わった文体。
読みにくくはないものの、ちょっと不思議な感じ。
テンポが合わないと申しますか、読んでいてのめってしまう感じでございました。
というわけで本文ですが。
冒険企画局の作品ということで、
本格的なゲームブックを期待すると残念なことになってしまいます。
タイトルのとおり、これは「ゲームブック方式」の本なのですな。
ゲームブックの形式を使って、遭難時の対策をわかりやすく解説する
ということが眼目なので、ゲーム性は薄いものとなっております。
迷路や戦闘などはなし。
サイコロをふる場面や数値的要素もなし。
フラグのチェックもなし。
たまに三択・四択があるものの、選択肢はほぼ二択。
ほとんどか、どちらかが正解でどちらかが間違いの可不可型。
間違った場合も、
その章で初めてならなかったことに、
二回目ならばゲームオーバーといった感じで、
フロー的にもすごく単純でございます。
まぁ、
クイズ形式の本に、選択肢を入れてストーリー仕立てにした作品ですな。
楽しく知識を得てもらうのが目的の本なので、
面倒ならゲームオーバーなどは無視してしまってかまわないと思います。
この本、注目すべき点は、データにも書きましたが、
齋藤高吉先生がお書きになっているということございます。
ですから、『獸の森』のことを思い浮かべて読むと面白い。
この「『ソウナンですか?』に学ぶ~」本でも、
セミを食べたり罠を作ったり、火をおこしたりと、
似たようなことをやっておりますからな。
☆ ☆ ☆
ちなみに、食生態学者にして探検家の
西丸震哉先生のクイズ本、
『頭の探検隊』
(光文社カッパブックス/昭和55年7月)の
最終章がサバイバルに関するものでしたが、
そこには飢えや渇きをしのぐ方法として、
次のような答が示されておりました。
・のどが渇いたときは、
なめらかな小石をしゃぶって我慢する。
・朝つゆを集められればそれよりはましだが、
思ったほどには集まらない。
・最後の手段としては小便を飲む。
人が考えるほど小便はきたないものではない。
・食料がなくなったときは、木の皮をしゃぶり、
草の茎をすり下ろして食べる
ただし、トリカブトだけは絶対食べてはいけない。
(↑ 茎とおっしゃっておりますのは、根などにくらべて
毒の可能性が少ないからでございましょう)
調味料や調理道具を持っていた場合には、
・イモムシは輪切りにしてオロシじょうゆで食べる。
・ウジはデンプにする。
・ナナフシは黒焦げに焼いて食べる
・ゴキブリは油で揚げて食べるとおいしいらしい
(西丸先生はやっていないそう)
だそうでございます。
でも、いくら汚くないといっても、お小水とか飲みたくないですよねぇ。
ホントに最終手段だよなぁ。
虫もねぇ、食べたくないなぁ……。
☆ ☆ ☆
ところで、この『ソウナンですか?』。
飛行機事故に端を発しているみたいですが、
これほどの大事故で救助に来ないということは、まずございませんよね。
特に日本の近海というのでございましたらなおのこと。
なにか、来られない理由とかがあるのかなぁ。
領海的にむずかしい場所とか。
汚染区域とか……。
たとえ危険地域であったとしても、
サンダーバードあたり、来て不思議ではないと思うのですけれどねぇ。
(https://ncode.syosetu.com/n1911fs/)
に感想を書いてみました~
(感想の中で
「チェイミーと魔法のオルゴール」って間違って書いてしまった。
作者のKobitoさんごめんなさい)。
今月前半のブログ記事が少ないのは、これのせいだったり。
真摯に取り組んで終わらせておりますし、
こういう感じの童話のゲームブックって
意外とないような気がしたので、感想を書いてみたのでございます。
かいつまんで書いておきますと、
[文章]
☆ 一文が長いので、分けた方がいい。
☆ シーンに動きがある場合には、その流れを意識して書く。
☆ パラグラフ22冒頭の位置関係がよく分からない。
描写するならわかるように描いて欲しいし、無いならないでもいい。
[内容]
☆ オープニングでは、屋敷や伯母さんについて書いたほうがいい。
特にチェイミーの視点で。
たとえば、以前来たときはどうだったのか、などを。
それを書けば物語は進むし、伯母さんとチェイミーの関係性もはっきりする。
ジョンについても、もう少し具体的な説明をしたほうがいい。
[ゲームブックとして]
ゲームブックとパラレル小説はどちらが優れているというわけでもないので、
変えなくてもいいが、
もしもゲームブック性を強くするのなら……。
ゲームブックとするのなら、もっとプレイヤーの意思選択を反映させるべき。
たとえば、
ムッシ王の発言にチェイミーがいちいち口をはさみ、それによって変化が起こる。
その変化が、日記のおはなしに反映され、それを読んだ伯母さんの評価になる。
その評価に応じて結末が変化する……。
といった感じで。
まっ、書いたのはこんなところです。
でも、作者には作者のお考えがあるようで……。
[文章]
文体は個性なので変えるつもりはない、みたい。
つまり、アドバイスは不要ということですな。
改稿例は没個性かぁ。
そう思うのでしたらそうなのでございましょうな。
でも、
単語の整理とか、配置とか、工夫はしておりますよ?
[内容]
なんか食いちがっているなぁ、
と思って考えたのですが、おそらくゴールが違うのですな。
作者は、小さなゲームブックを作ろうと思ってやっているうちに楽しくなって、
こんな長くなってしまったみたいなことを書いているので、
たぶんこれが完成形、ゴールなのだと思うのですよね。
わたくしとしては、これが原石で、
ここから叩いたり磨いたりすることで作品になる、
つまりこの作品がスタートでゴールはずっと先だと思っていたものでございますから、
アドバイスをしようとしたのですが……。
これがゴールならば、やはりアドバイスは不要でしたな。
ジョンについては、チェイミーの言葉が気になったので、持ち出したのでございます。
だって、
歳が離れた従兄だっていうのに対等な口調ですし、
住むところが違うのによく知っているみたいな口ぶりですよ。
そこが不思議。
ですからたとえば、
幼いころいっしょに伯母さんの屋敷を探索した
など、具体的なエピソードがあればいいと思うのでございますよね。
それだったら、納得がいく。
そういう意味で「具体的」という言葉を持ち出したのでございますが。
ほかのところもあいまって、なのかなぁ。
どうもこの「具体的」という言葉が気になったらしくて、
反論的に、
「あいまいさ」や「想像の余地」などという言葉をお使いなられてきました。
でも……。
これがよく分かりません。
この作品、動物の服やしぐさとか、風景なども、けっこう具体的に書いてあって、
そのあたり頑張っているなぁ、(むしろまどろっこしい部分もあるなぁ)と
思っていたんですけれど。
だから、あやふやな部分が多いとか書いているのは、ちょっと不思議。
ムッシ王のところも、
具体的に書いてあるから理不尽で面白いと思うのだけど。
かっちり真面目に書くとよくないとお書きになっているんですよねぇ。
もしかすると、具体的の定義が違うのやもしれません。
まぁ、いずれにせよ「趣味で書いている」ということで、
こういうアドバイスは要らないようでございます。
そういうものなのかなぁ……。
[追記]
作者のリアクション仁対し、感想を追記しておきました。
でも……。
アドバイス要らないみたい。
その言葉に従ったほうがよろしいですな。
というわけで、多分、
今後この方の作品には、感想書かないと思います。
☆ でもまぁ、作者にどう思われようとも、こういう作品に感想を書くのって、
ひじょーに勉強になりますよねー。
特に改稿例を書くのって、ホント勉強になると思います。
みなさんも、ちょうどいい感じの作品を見つけたら、試してみてはいかがでしょうか。
平野敦士カール:監修
北構まゆ:イラスト
(SBビジュアル新書0012/2019/7)
読み物的なすごろくと申しますれば、
「本の雑誌」でも、文豪スゴロクですとか、
SF者スゴロクとかいくつかやっておりますな。
東京創元社のスーパーアドベンチャーゲームのソデにも、
ゲームブックについて
「小説がスゴロク式のゲームとドッキングしたようなもの」
と書かれております。
「おはなし迷路」のような作品もございますし、
本の体裁をしていて「すごろく」とあれば、
当然ゲームブックを期待してしまいますよね。
というわけで、買ってきてみました。
物語は、
大学の学園祭でお菓子を売って成功したチョコとクルミの二人が、
おじいちゃんのアドバイスを得ながら、お菓子ビジネスに挑戦する、
という感じ。
どういう風に売っていくかというところから始まって、
企業や個人事業主として成功するまで、
それをスゴロク状に描かれたマスを読み進めていくことで
学んでいくという仕組みでございます。
[目次]
会社経営なんて選択の連続でございますから、
細かく分岐をつけていけば、
かなり本格的なゲームブックになるでしょうが、
そういう眼目の作品ではございません。
ステージ数を表す左上の部分にサイコロの絵が描かれておりますものの、
ランダム要素はなし。
ほぼ一本道で、たまに分岐はございますものの可不可型。
選択の一方は、すぐにゲームオーバーかゴール――経営失敗かビジネスが軌道に乗った
形で終了することになっております。
要するに、会社経営のステップを段階的に説明するためのすごろくであって、
ゲーム的な意味合いはございません。
マスごとの解説はイラスト中心で簡潔ですし、分岐も視覚的に理解しやすい。
そんなところに、すごろく形式の長所が現れております (※)。
これが普通の本のように文字だけの箇条書きでしたら、
飽き飽きしてしまうことでございましょう。
[分岐]
巻末には索引もございますし、
物を売ることから会社経営までを俯瞰的に学ぶ、
初心者向けの本という感じでございますな。
ところで、先ほど書きましたステージを表すサイコロでございますが、
これがなぜか隣り合った目が7になるように書かれているのでございますよね。
(上図参照)
STAGE0はともかくといたしまして、
STAGE1は3と4、STAGE2は2と5、STAGE3は3と4、STAGE4は2と5と、
本来裏同士になっていなければならない目が隣り合っているのでございます。
ここまで来ますと、重箱の隅とかうっかりとかいえないような……。
描いた人が知らないのか、それともデザイン的な意図があるのでございましょうか……。
(※) TRPGのシナリオも、
文章の羅列ではなくこのような形にすれば、
わかりやすくていいと思うのですが。
ページ数やイラストなんかが問題になるのかなぁ?
商業誌の場合には。
『ユー・アー・デッドプール』
アル・ユーイング:作
サルバ・エスピン、
バコ・ディアス、
グループe-FX:画
(小学館集英社プロダクション/2019/8)
たぶん、
”You are dead” pool
と言いたかっただけなんじゃあ……。
デッドプールについてあまり存じあげませんが、
それでもわかるデッドプールらしいゲームブック
でございました。
タイムトラベルもので、メタ発言もポンポン飛び出します。
パロディなどわからないところもございますが、
何か面白いことやってるな、というのはノリでわかるので、無問題。
別紙で、パロディの解説をかなり細かくやってくれてもおりますし……。
オムニバス形式の5章だて。
もともと5回に分けて週間で発売されたものを、1冊にまとめた単行本らしいですな。
パラグラフ数=コマ数(だいたい)で、各章のパラグラフ数は80超。
これねぇ、
1冊で1つの作品だと思っていたものでございますから、
最初プレイしたときには、「72へ進む」でパラパラとめくって……
第2章の72コマを開いてしまったのですよね。
話が通じなくて困惑いたしました
戦闘ありパズルあり。
80コマなのでコンパクトですけれど、その短さが手軽でたのしいのでございます。
戦闘はこちらは2Dなのですが、相手は3Dを使ってくることも……。
解説の別紙では、
6の出やすいサイコロを自分用に、1が出やすいサイコロを敵用に用意するといいと
アドバイスしております……。
まぁ、デッドプールですし……。
そこら辺、楽しめればチートOKということなのでございましょう。
わたくしの場合、今回サイコロの出目が悪く、敵が2Dでもよく負けておりました……。
ただ、戦闘で負けても即死はなかったかも?
ただし、情報が得られないなど、不利な状況には追い込まれます。
(ちなみに、3章では、サイコロの出目が悪いおかげで逆に、
秘石ひとつでクリアしてしまったのでございますが……)
ストーリー的には、
デッドプールはザルコさんに依頼され、タイムヘルメットを盗みだし、
その結果時間を超えることとあいなります。
というわけで、タイムトラベルものでございますが、
このヘルメット、使うたびに大量のエネルギーを消費するのでございますな。
そのため、各時代で冒険をし、
パロディしたりその時代のヒーローらしきキャラクターと戦ったりして、
エネルギーを充填させなければならないのでございます。
ゲームブックとして、システム的にまともではございますが、
アイテムはコマの中に描かれているものから3個まで自由にとってかまわないとか、
大コマの中にスゴロク状に置かれたコマでのミニゲームとか、
日本のゲームブックではあまり見られない部分が面白いですな。
前者は、海外で主流のポイント・アンド・クリックアドベンチャーからの発想の
ような気もいたします。
ただ、そんなアイテムどこかに描かれていたっけ? と思うこともしばしば……。
後者は、サイコロでの行動なので、運ゲーにございます。
何度もふって、一度でも指定以下だったらアウトとか、
かなり運がよくないと無理な部分も……。
このあたり、
デッドプールだからチートしてもいいし、
デッドプールだから何度も失敗しても、
やられちゃった、で気軽に再挑戦できるような気もいたしますし、
どちらもありという感じでございますな。
そして5章。
最後は、タイムトラベルものとして、きちんと決着をつけております。
それにしても、デッドプールよく死にますなぁ。
ちなみに、わたくしは、最後に必要なアイテムは、持っていませんでした~!
うーん、たしかにね……。
なので、ランクは下級ゴブリンですが、
時空の彼方から四次元ポケットをつかって取り出したことにーー。
そのぐらいのチートは、許していただくことにいたしましょう。
デッドブールでございますし……。
というわけで、
気軽にできる、たのしい作品でございました。
「バンカーズクエスト」
高平鳴海:著
ビッグ錠:イラスト
(新紀元社ゲームブック/2015/11)
最初この本の広告を
「Role&roll」誌で見つけたときは、
首をかしげたものでございます。
「バンカーズクエスト」ぉ~?
銀行員の探索?
昔ゴマ書房で出していたみたいな
ビジネスマナーを学ぶゲームブックかなぁ?
だとすると、シリーズの前作、
門倉直人先生の『ディノン』とは、全然方向性違うけど……。
新紀元社も普通のゲームブックじゃ売れないとわかったものだから、
ビジネス書に手を出した?
作者の高平鳴海先生って、TRPG『メタルヘッド』のデザイナーの方ですよねぇ?
本業は銀行員だった?
でないとすればなぜ?
多くの疑問をかかえながら本屋さんに行ってみます。
結局ビジネス書のところにはなく、
結局『ディノン』があったのと同じサブカルチャーのあたり……
ですが、
オビの惹句には「銀行員(バンカー)の世界を描いた異色作品」とあり、
やはり銀行員のハゥトゥ本なのかという思いはぬぐいきれません。
白黒に赤のグラデーションの表紙イラストも、
銀行員の世界ということは強く伝わってくるものの
どういう話かは読み取れません。
絵柄も一昔前の劇画調で、判型から考えても、
今度はアスキーから出ていた
アドベンチャー情報コミックやパラゴンブックスを思わせ、
やはりビジネス書では? という疑いが比率を上げてまいります。
まぁ、ゲームブックには間違いないのでとりあえず確保。
家へ帰って、ビニールを破り、一読した印象は……。
タイトルが悪い。
装丁もイラストも、外観すべてが悪い!!
読んでいくうちに、気づいたのでございます。
これはアレ。
このゲームブックが出る半年ぐらい前かな、
テレビドラマ化されて人気を博した、
銀行員が主人公のあの小説のゲームブック化なのでございます。
見ていなくても、読んでいなくても、
「土下座」とか、「倍返し」なんて言葉は流行語にもなったので、
お分かりでございましょう。
このゲームブックでも「土下座」は出てまいりますし、
「倍返し」という言葉が出て来たかどうかは忘れましたが、
そのようなことはやっておりますな。
町工場の味方で大企業をやっつけるという点も同じ。
そうした面白い話を基本に、分岐を展開しているのでございますから、
面白くならないはずがございません。
もちろん原作が原作(←間違い。原作ではない)でございますから、
銀行に関する下調べもしっかりしていらっしゃる
(そこら辺まったくのシロウトなので、
わたくしには、と思います、としか申せませんが)
思えばあの作品も、最初のほうはタイトルが悪かったですからなぁ。
「オレたちバブル入行組」なんていうものでございますから、
バブル時代の銀行員の派手な暮らしぶりでも書いているのかな、と思ったら、
バブルが崩壊した後のそれぞれを描いた作品だったりいたしますし……、
まぁ、その点ではタイトルどおりではあるのですが、
主人公の半沢直樹のキャラクターと比重が強くなり過ぎちゃって、
あとの登場人物については、つけ足しみたいになってしまっているという……。
それはさておき、
先ほども申しましたとおり、この「バンカーズクエスト」は、
表紙をはじめとした
ビニールに包まれた状態で見える部分で損をしているように存じます。
ビッグ錠先生のイラストも、たしかに内容には合っているのでございますが、
今の世にキャッチーかと申しますと、違う気が……。
もっと、さわやかで颯爽とした感じで好かったんじゃないかなぁ。
と、まぁ、これはおもて面の話。
このゲームブックが秀逸なのは、裏面があるということでございますな。
途中、セーラー服を着たスケバン風のサキという女性
(ヨーヨーは持っておりません)と出会うのでございますが、
彼女に興味を持って深く関わると悪の道一直線。
巻き込まれ型ではございますが、
そうとはいえないほど悪の道を深くはまり込んでいくという……。
こちらのルートのエンディングは最後の最後で分岐する2種類。
ここで生死が分かれるものの、
生きるも地獄、死ぬも地獄、カリブの危険な夜でございますな。
高平先生は、表も書きたかったのでしょうが、
この裏も書きたかったのでございましょう。
(だからこそ、上に書いたあの作品のことには触れられなかった、のかも?)
そうした全然別の展開ができるのもゲームブックの良いところでございます。
戦闘など数値を使う判定はないものの、展開が派手で分岐も豊富。
エンディングも多彩でございます。
展開の派手さはマンガ的・劇画的と申せましょう。
それこそ、ビッグ錠先生の作品のような感じでございますな。
その展開の派手さが好きになれないという方はおられるかもしれません。
池井戸先生のあのシリーズは、読んでいなくても楽しめると思います。
いや、むしろ読んでいない方が楽しめるような気も……。
いずれにせよ、
やはり、現実世界が舞台のゲームブックはいいですな。
基本がプレイヤーも作者も知った世界なので、
選択にしろ展開にしろわかりやすい。
それを踏まえた上で考えることができますからな。
☆ ところで、このゲームブックにはバグがあるそうで。
新紀元社のサイトのこの
http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1363-3/
あたりに正誤表が置かれております。
でも、プレイしていたときは気づかなかったなぁ。
☆ ちなみに、上記の新紀元社のサイトでは、
見ていただければわかるとおり、現在「在庫あり」で
紹介されておりますが、
ROLE&ROLLステーションの通販サイトでは、
「ディノン」はあったのですが、こちらはございませんでした。
うーーん、なぜだろう?
在庫が少ないから……なのかなぁ。
☆ ところで、このゲームブックのパラグラフ150には、
「東京に今、セーラー服の高校は何校あるでしょうか」
という問題が出てまいりますが、答がわかった方っていらっしゃいます?
わたくしは当然答えられませんでした。
こんなの、よほどそういうことに通じている専門家でなければ、
絶対わかりっこないですよねぇ。
たとえば……。
東京都内で、学生服を専門にあつかっている洋服屋さんとか?
(ちなみに、答があっていても答えられなくても、展開にはそれほど影響はございません)
アンサロムが出てこないのはなぜでございましょう?
ア・ーサ・ロマとかなんとかおっしゃって、
アーサー王のニセモノ的な立場で出てきてもおかしくは無いと思うのでございますが……。
もうとっくに死んでいるから、なのかなぁ。
でも、暗黒城をアーサー王が改装する、しかもその前にそこで宴会を行うと聞いて、
あのアンサロムが黙っているわけがないと思うのでございますが……。
そう、黙っているはずはない。
今回の騒動は、すべてあの凶悪なる魔術師の亡霊の仕業なのでございます。
アーサとアンサ。
ちょっと似ていることを類似魔法のキッカケに、
悪魔法使いは暗黒城に入場したアーサー王にとりつき、呪いをかけたのでございます。
「震動がどういう具合か、あなたと共鳴し、ノーノー王という別人に変貌させてしまった」
とマーリンは、知ったかぶりの説明をしておりますが、
それこそが実は、アンサロムの呪いだったのでございます。
凶悪な魔術師の亡霊がアーサー王に取り憑くことで、その力は掛け合わされ、
アバロンの変容という、歪んだとてつもない力を生み出してしまうことになった
のでございますな。
アンサロムめが、
作物を枯らしたり、豚を持っていったり、用水路を干上がらせたりする、
世界的な、最悪の、トップクラスの迷惑者だったのは、
「暗黒城の魔術師」のパラグラフ3ですでにご承知と思います。
そのような凶悪なる魔法使いなればこそ、
亡霊となりてなお、いや、生前以上の力をもって、
今回のような世界の歪みを生じさせることができたのでございます。
アンサロムのロムは呪いという字に……。ならないなぁ。せいぜい兄か台だなぁ……。
まぁ、それは忘れといて。
アーサーとアンサロムの力が合わさったのでは、とてつもなく強くなるのは当然。
ヒッフが勝てなかったとしても、仕方ないのでございます。
いや、言い訳ではなく、ほんとうに。
「クレイルクエスト」
著・絵 フーゴ・ハル
「ウォーロック・マガジン」vol.4
(グループSNE/2019/4)所収
p.156-141
44からスタート地点に戻り(なんで逆には行けないんだろ?)
ここから本格的な挑戦は始まります。
もっと死ぬかと思ったのでございますが、そうでもございませんな。
意外と先へと進めます。
最短ではなかったイベントが数多く起こり、アイテムや情報も増えてまいります。
これでしたら、無理して44へ行かなくてもよかったかも。
でも、まぁ、指針をハッキリと知ることは大切でございますからな。
マップが縦に長いせいでございましょうか。
冒険の手ざわりは、「ドラゴンファンタジー」シリーズよりも、
「迷宮キングダム」のブックゲームシリーズに近い気がいたします。
キャラクターや思わせぶりで意地悪な仕掛けは
どちらのゲームブックにもございますのに、違いはなんでございましょう?
つらつら考えてみますと、やはり語り口でございましょうかね。
「よくやったな、ピップ」、「どうだ、持っているか」など、
ピップに直接語りかけてくるのが、「ドラゴンファンタジー」流。
TRPG的と評する方もおられますが、それとも違って独特でございますな。
その語りかける調子がこのゲームブックでは弱い。
マーリン不在なので仕方がないのかも知れません。
あるいは紙幅のせいなのかも。
「蛇道」は、アハコン王国に対しても一種の異世界ですが、
もっと描写が加えられれば、ノーノー王の、具体的に迫る脅威が描かれたのでは、
という気がいたします。
「ドラゴンファンタジー」でしばしばそうであったようにでございますな。
その正体のせいなのかもしれませんが、このゲームブックでは
具体的な脅威があまり示されていなくって、
倒されるために存在する絵看板のようになっているのが
少々気になるところでございました。
まぁ、とある事情からアバロンではないので、それは仕方がないかも知れません。
そんなことを考えながら、つらつらと進んでまいります。
意外と順調……、と思ったのが落とし穴。
戦闘を有利に進めるはずの武器に手こずって、ぼろ負け。
その後少しは進めていったのですが、さらに体力を減らされるにあたって、
これではクリアは不可能と判断し、自主的に14へ。
ちなみにこのゲームブック。
最初の体力は12ですが、14から復活するときは10なのでお間違いなきように。
最初は16で、復活のときは14にすれば良いのに……、と、
蟹のようにぶつぶつ言いながら復活をいたします。
左(西)側からスタートし、一筆書きを描くようにぐるりぐるりと。
チートなゴーレムは回避し、一周いたします。
途中、たまさか見えていたとなりのパラグラフを頼りに
(ヒッフの予知能力・たまたまだから仕方がない!!)、
黒鉛を回収。真北へと向かいます。
死ぬ前の2つ目の武器もそうでございますが、けっこう意地悪なイベントも多い。
自分の身体の一部を犠牲にしなければならなかったり、失敗が必要な場面もございますし。
だんだんに厳しくなっていく感じでございます。
でもなんとかいちばん北へ。
土器の札をすべて集めたか、計算をする箇所が出てまいります。
土器はすべて集めたので、自信満々で計算をしたのでございますが、
どうにも文章がつながらない!!
よくよく見ますと、メモの字の2と3を読み違えていたのでございますな。
ここでの計算は、奇数プラスの偶数マイナスなので、
1つ間違えただけで、全然違うことになってしまったという……。
まぁ、そんなこんなでエデンへ。
ミカエルさんのイベントも、ヒッフの予知能力が功を奏し
(だからたまたまですって)、無事クリア。
ヒッフが数を数えられないのに、免罪符の勘定ができるということは、
プレイヤーとヒッフは別ものということでございますな。
ですから、髪の毛が不自由な方もこのゲームブックには参加できますし、
「ブラマタリの供物」のトーマス・R・マロウンさんが、
最初のパラグラフでつまづくこともございません。
となると、
数が数えられなくなったのが、戦闘に影響するのは?
ここは別に、プレイヤーが数を数えられなくなったとか言うのではなくて、
知恵が無くなったので、ヒッフの戦闘技能が落ちたということでございましょうな。
でも、戦闘はエクスカリバーシニアがやってくれるはずじゃあ……。
知恵が足りない者に、エデンの園に入る資格があると申しますのは、
キリスト教の思想のひとつでございますな。
七つの大罪といい、今回の作品には、キリスト教的なものがちりばめられております。
で、
その知恵の足りないヒッフが、
ミカエルさんの目を盗むという、知恵の回る行為におよぶのは
矛盾のような気もいたしますが、昔話などにはありそうな気もいたします。
知恵を取り戻し、クレイルも得て、帰還。
フーリンの作り上げた魔法の杖を手に、いよいよノーノー王との対決―……
なのでございますが……。
このノーノー王、強すぎ。初見で勝てる相手ではございません。
あっさり負けてしまいました。
ですが、
だからといってもう一度挑戦は、気力が尽きました。
あと一歩のところまで来たので、
もう一度となると、同じことの繰り返しをやらなければならないのですからね。
ちょっとつらい。
と申しますか、無理。
で、考えました。
ここは「コバヤシマル」だ。
「コバヤシマル」、ご存じですか?
映画『スタートレック2 カーンの逆襲』の冒頭に登場するシミュレーション。
「コバヤシマル」という民間船が襲撃されているのを、
助けるか見過ごすか、という課題でございますな。
救出の成功率はゼロ、もしくはそれに非常に近いという不可能ミッションでございます。
(余談でございますが、
「ログイン」誌には、これにインスパイアされた
「タカハシマルシミュレーション」というゲームのプログラムが
掲載されたこともございました)
カーク艦長は若かりしころ、この救助を成功させたのでございますが、どうやったのか?
答は、試験の前に、そのプログラムを書き換えたというのでございます。
あのカークさん、そんなプログラミングの技術持っていたのかなぁ……、
と映画を見たとき思ったのはさておき、
このゲームブックでもちょちょ~いと細工をくわえてしまおうと申すのでございます。
と申しましても、バレないようにうまいことつじつまを合わせなければなりません。
誰にバレると困るかはさておき、さっそくいじりましょう。
というわけで、
まず、魔法の鉛筆を使って、自分の顔を整ったものに戻します。
多少今までよりも良くなっても、誰もとがめだてたりしないでしょう。
次にマルを二つ。ヒッフをピップに戻します。
本来の姿に戻ったピップは、生命点100。
これで、ノーノー王とも対等に戦えるでしょう。
えっ、アーサー王の力がよみがえらなければ、
マーリンの力はなく、マーリンの力がなければピップの力もない?
それはマーリンのたわごと。
信じる必要はございません。
大体もしそうでしたら、ヒッフを呼ぶことすらあたわなかったでございましょう。
それに「ドラゴンファンタジー」の冒険の中でも、
ピップは世界からの影響を受けることなく、その力でアバロンを救ったこともしばしば。
主人公特権、というやつでございますな。
ですから、この場合も、世界の法則を曲げることかできるのでございます。
とまぁ、
そういうことをプログラムに信じ込ませるわけでございます。
具体的には、脳内パラグラフを書き換えるわけでございますな。
というわけで、
ピップはノーノー王のご尊顔を、さらにへちゃむくれに書き換えて、
アバロンの王として君臨……、
すると、どうせろくでもないことが起こるのがこの国の常でございますから、
やめておくことにいたしましょう。
あまり文章をいじっても、
世界がつじつまの合わないことになりそうでございますし……。
そこら辺は、元の文章を改編する事なく
素直に王に加筆訂正をして元の世界に戻し、大団円とまいりましょう。
めでたしめでたしでございます。
それにしても今回は、ダジャレと言っていいレベルの、無理な地口が多いですなぁ。
翻訳不可能ではないでしょうか?
ブレナンさんに見てもらいたいでしょうに、これでは難しいのでは?
少々気になるところではございます。
ところで、14ゴーレムは、世界が元に戻ると、何になるのでしょ?
Go 14 の魔法として、アバロン全体を覆っているとか、
そんな感じ、でございますかねぇ……。
というわけで、最後のノーノー王の無体な強さを除けば、
シビアながらも、意地悪く楽しい作品でございました。
著・絵 フーゴ・ハル
「ウォーロック・マガジン」vol.4
(グループSNE/2019/4)所収
p.156-141
インクランド、アハロン。
そのはずれの廃墟に、悪党どもが根城として住みつき始めた。
親玉はノーノー王。
地震が起こった時どこからともなく現れたらしい謎の人物だ。
放置しておけば、アハロンはごろつきどもの掃きだめとなってしまうだろう。
やつらを倒すために必要なものは2つ。
地獄の黒鉛と、エデンの土(クレイ・ル)。
その2つを求めて、ヒッフはエデンへのヘビ道を歩み始めた。
改めて書き出してみて、こういう話だったんだ、と思った次第。
道中とこのあらすじとは、あまり関係ございませんものなぁ。
ただ忘れていたものでございますから、
最初黒鉛のほうのことも忘れていたりして……。
でもそれで、どうやってノーノー王をやっつけるんだろ?
最初の生命点は、12点。
戦闘はしゃべれる魔剣のエクスカリバー・シニアがやってくださいます。
途中でほかの武器が手に入ることも……。
1から6など、決められた数字から1つ数字を選ぶというのが基本。
簡単な戦闘でございますな。
メインは「エデンへの邪道地図」を見て、
そこに書かれた番号のパラグラフの指示に従うというもの。
簡単でございますな。
まぁ、なんとかレイルクエストでございますから、
死んで覚えるのがデフォとなるでしょう。
となると、何回か死んでも、まず核心を知ってしまった方が早いのでは?
とばかりに、気になるつま先、44番を目指します。
と、60番に壁役が……。
なに、この数字?
待て、2回目以降なら覚えていれば突破できる! と思ったら、
さすがはなんとかレイルクエスト。
抜かりございませんな。どんな数字でもここは、14。
逃げる方が正解という場所でございました。
となると、44に最速でたどり着くのには、ジャンプ魔法を使うしかございません。
というわけで、3回ぐらい死んだあと、ようやく最南端にたどり着くことができました。
3回もかかったのは、とある場所で、
最初の選択がわるい選択だと思ったら、ほかの2つのほうがなお悪いという、
意地の悪い罠に素直に引っかかってしまったためです。
うーむ、意地が悪い。
まぁ、とにかく地図のつま先部分にたどり着いて、
とりあえず集めるべきものを確認いたします。
ウーム、けっこう多いなぁ……。
((14日に間に合わすため)とりあえず、ここまで)
(双葉文庫ゲームブックシリーズ/1991/12)
というわけで、前回(2019/05/07) の続き。
前回はあらすじ。
今回はその面白さについて迫ってみようと思います。
このゲームブックの面白さは、ずばり物語としての面白さでございます。
分岐によって展開は大きく変わり、
一度プレイしただけではそのすべてを堪能することはできません。
しかも、どちらかのルートがハズレということはなく、すべてのエピソードが面白い。
こう大胆に展開が変わりますと、
人物の出し入れや時間的なつじつまが結構大変なことになります。
この作品でもそれはそうなのでございますが、
そのあたりを非常に丁寧に整合しているのでございます。
わかりやすいのはスイス。ジュネーブでの潜入が終わったあと、
ルパンと行動するか、次元一人で日本に行くかで展開が分かれますが、
ルパンとならスイスでカーチェイスが入り、日本ならそのあとの山小屋で合流。
そのつながりがけっこう自然なのでございます。
ユーリ・ゴドノフのシーンもそう。
マンハッタンの迷路に入る前か最後の最後、どちらかで対決するのでございますが、
違う流れが用意されていて、どちらもカッコいい。
それとマンハッタン後半。
このあたり、自力で行けるルート(わずか1でございますが)と
「銭形」を必要とする部分があるのでございます。
どちらもそのあと歩きになって、
モニカとストリートファイターに出会うのでございますが、
出会う時間帯が両者で違うということなのでございましょう。
パラグラフを費やして、状況や戦い方を変えているのでございます。
このあたり、たいていのゲームブックでは、シーンごとにまとめるなどして、
わかりやすく、事故が起こらないようにするのが普通だと思うのでございますが、
ここでは、物語の流れを優先している……。
凝っているなぁ、と感じました。
アイテムや情報といったメモしておくべき太字部分についても同様にございます。
実のところ本作は、それほど難しくはございません。
ズルをせず、正直にまじめにプレイしたとしましても、
(↑ゲームブックの「ズルをしない」には何段階もあるような書き方……)
3回か4回かでエピローグまで行けるのではないでしょうか。
運がよければ1回で行けるかもしれません。
フローチャートは素直だけれど、分岐によって激しく展開が変わるし、
太字のアイテムや情報を1回のプレイですべてとることはできないと思うんだけど、
どうなっているんだろう?
読んだときには起こらなかった疑問が、
フローチャートを描いていてはじめてわき起こります。
どういうことになっているかをたどってみると
(軽く見てみただけなので確かなことは申せませんが)、
どうやら取らないと詰んでしまうというような必須の太字はないようなのでございます。
つまり、どのアイテムを取らなかったとしても、
エピローグまで行ける可能性はあるということでございますな。
(素早く申しそえておきますと、
関係ないところでゲームオーバーになることはございます)
『火吹山の魔法使い』を例に出すまでもなく、
アイテムの有無がパズル性になっているゲームブックがほとんどだというのに、
これは画期的と申しますか、独特と申せましょう。
アイテムの効用としては、
ほかに物語の矛盾を排除するために使われることも多いですが、この意味合いも薄い。
先ほど書いたつながりを丁寧に管理して、それらを極力少なくしているのでございます。
ですから、太字のチェックが使われるのは、主に展開の優劣、変化。
このアイテムを持っていればこのエピソードが加わるとか、
展開が変わるというものでございますな。
その物語の変化を楽しむことが、このゲームブックのゲーム性とも申せましょう。
……。
とは申せ、「銭形」は必要でしょうかねぇ。
彼が活動していないと、マンハッタン後半のルートが一つと、
かなり厳しくなってしまうものでございますから。
物語の面白さについては、作者の富沢義彦先生、
こうしたアクションものが好きなのでございましような。
冒険活劇やスパイもの、そしてもちろん『ルパン三世』によく通じていらっしゃる。
ですから、手数が多い。
前回見てまいりましたように、シチュエーションはバラエティに富んでいて、
そこで起こるイベントもさまざまなものを用意しております。
その中でのアクションもバリエーションがあり、
パラグラフごとに新たな展開があると申しても過言がないほど。
よくございましょう?
先の展開が読める退屈な作品って。
このゲームブックでは、そういうところが少なく、
先の展開が気になるところで終わっていて、
ページを繰る手を休ませないのでございます。
クリフハンガーでございますな。
しかも、多くの場面で展開には意外性と納得性がございます。
『逆転裁判』で申しますところの「オドロキ」と「ナルホド」でございますな。
たとえば、次元がマグナムをぶっ放す選択がいくつかございます。
スキーチェイスの場面では、迫り来る敵に対し、
手心を加えることなく、思いっきり撃ちつづけると……。
……。
→なだれに遭ってゲームエンド。
敵のことに気を取られて
雪山だっていうことは忘れておりますから意外でございますし、
雪山で大口径の銃をぶっ放したら、そういうこともあるな……、と納得もできます。
日本で警官隊に囲まれる場面では、前方から放水車が現れます。
前に撃って逃げようか、それとも後ろか……。
この時、前に撃てば放水車のホースに弾があたって水圧の壁から逃れられるのすが、
これもホースを狙ったつもりはないので意外性がございますし、
放水が中断されたことで逃げられるという納得性もございます。
作者の工夫と力量がうかがえる部分でございます。
選択肢にしても同様。
選択肢は選ぶ意味があり、その先の展開にもちゃんと一工夫が用意されております。
意地の悪い致命的なルートがなく、
[END]から抜け出る手段が用意されているのもいいところ。
選択によっては、
どちらを選んでもゲーム的な優劣には関係ないところもしばしばございますが、
物語的な違いという分岐する意味がちゃんと用意されているのでございますな。
たとえば、ルパンがやるか、次元がやるか。
どちらでも成功いたしますが、
展開が異なり、描写的な優劣があったりして、楽しめる部分でございます。
安易なゲームブックですと、ここらへん、簡単に[END]にしちゃったり、
数値的要素がある場合ですと、体力減らしたり、戦闘を発生させる場面でございますよね。
それを意外な展開や物語的な面白さで切り抜けているあたりは、
作者の腕の見せ所でもあり、ルパンらしさでもあるところ。
さらに、このゲームブックの難度を低くとどめている大きな要因でもございます。
ゲームブックは何度でも遊べるということから、
何度も失敗を繰り返さないとゴールにたどり着けないような
難しいものも多くございますが、
この作品は、展開を多彩にして、
何度もプレイしてみたくしているのが良いところなのでございます。
描写と申しますれば、双方向移動部分。
こういうところって、「○へ進む」など、方角の選択肢のみだったりして、
プレイしていてダレる部分でございますよね。
このゲームブックではそうした場面でも、
描写に変化を加え、飽きさせないよう、ダレさせないようにという工夫がございます。
前回見てきたマンハッタンでの、地図と対応した描写もその1つでございますな。
それだけではなく、警官隊の行動を各場所で違ったものにしたり、
ビルのらくがきやラジオの情報が入ったりと、いろいろと工夫しているのでございます。
たとえば、どこでもよろしいのですが、
パラグラフ294
セカンドアベニューの交差点、イースト川沿いの道だ。
先にルーズベルト島に抜ける橋が見える。
マンハッタンの中に様々な罠が仕掛けてあるのを知ってて、
その中を通るのは馬鹿正直ってやつだ。ブルックリンから回る手もあるかな。
と、次に来る選択に考える意味を持たせたり、
パラグラフ373
ウェスト59ストリートとウェストエンドアベニューの交差点だ。先は長そうだ。
慎重に行こうぜ。
のように、1行あまりの文章でも、その場にいる雰囲気を出しているのでございます。
このゲームブックでは、
次元の感想やルパンの台詞などをとおして臨場感を醸しだし、
プレイヤーの行動の指針を与えているのでございますな。
主人公は無色透明な方がいいと、かつては言われたものでございますが、
そうとも限らないといういい見本と申せましょう。
☆ ゲームブックの分類として、RPG型・パラレル小説型というものがございます。
選択肢をたどるだけのものがパラレル小説型、
能力値や所持金など、数値的要素が変化するのがRPG型というわけでございますな。
かつては、変動的要素があるため、RPG型のほうが本格的で優れている、
などと言われたものでございます。
これは、ブームの最初の一年に安易なゲームブックが乱造されたり、
『火吹山~』以前の海外ゲームブックが数多く輸入されたことと、
ゲームブックについて書いていた方々が、
主にTRPG出身であることによるものでございましょう。
当時はわたくしも、なるほど、そうなのか、と鵜呑みにしておりました。
でも、ジャンル自体が、優れているとか劣っているということはございません。
パラレル小説型のゲームブックには、物語としての工夫しがいがあり、優れた作品が生まれる可能性は十分にございます。
あとは好みの問題でございましょう。
というわけで、双葉社ルパン三世ゲームブックシリーズの最終巻、
『戒厳令のトルネード』でございます。
ルパン三世19『戒厳令のトルネード』富沢義彦
(双葉文庫ゲームブックシリーズ/1991/12)
双葉社ゲームブックの最後から2番目。
掉尾となりました『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』と同じく、
作者は富沢義彦先生。
今も現役のマンガ原作&シナリオライターでございますな。
ツィッターとかもやっておられるみたいでございます。
双葉社のゲームブックは、末期に良作が多くございますか、
この2作品は、もう傑作!!
富沢先生にはもっとゲームブックを書いていただきたかった、
わたくしの思うところでございます。
『ゼルダの伝説』のほうは、前にも書いたかもしれませんが、
バグまみれで普通の人にはお勧めできません
(が、いい作品なのでそれを直していく作業が楽しく、
個人的には好きな作品なのでございます。
そういうパズルが好きな方にはオススメ!!)。
ですが、『戒厳令のトルネード』は、そういうことはございませんし、
ルール的には太字のアイテムや情報をメモしていくだけの、
いわゆるパラグラフ小説型でございますから、どなたでも楽しめるものと思います。
(ちなみに『ゼルダ~』のほうは、
判定がある、ゲームよりに振ったものになっております)。
途中のスイスとクライマックスのマンハッタンが双方向移動型。
ゲームブックの迷路的な面白さも楽しめるようになっているのでございますな。
ルールにしろ移動型にしろ、システム的にはそれほど複雑ではございません。
フローチャートを描いてみると、意外と素直。
ただし、手抜きというわけではございません。
太字のアイテムや情報の配置、
それに物語のつながりなどが丁寧に作られていて、
それがこの作品を面白くしているのでございます。
主人公は次元。
物語の半分までは、彼がルパンを探すハードボイルドアクション。
後半、ルパンと合流してからも基本的に雰囲気は変わらないのでございますが、
ルパンのやんちゃな性格が乗り移ったかのように行動や口調が派手になってまいります。
きわめて自然なのですが、ときにはルパン視点なんじゃないの?
というはっちゃけた言葉も飛び出すような……。
どのパラグラフかは忘れましたが、次元はルパンを評して、
何を考えているかわからないけど頼りになる、と言うようなことをおっしゃっております。
そうした何を考えているかわからないルパンを表現するためもあって、
次元を主人公にしたのでございましょうな。
実際、ルパンが
トリッキーな手段や秘密道具を使って敵をやっつけたりやり過ごしたりするシーンもあり、
それがルパンらしさ、このゲームブックの面白さにもなっているのでございます。
五右衛門は、情報提供役として1シーンのみ登場。
ルートによっては登場しないことも。
五右衛門出ずっぱりだと、ピンチがピンチでなくなってしまいますからな。
妥当なところでございましょう。
不二子は、敵か味方かの謎ポジション。
意外に重要な役割を果たすのが、銭形。
共闘などはないものの、ピンチのときに重要な役を果たします。
総じて、よく分かってる配置でございますな。
今回の敵はICPO。
それも、いつもは先頭に立つはずの銭形が、今回はハブられる形で、
かわりにとある二つの組織が……。
ルパン三世ゲームブックシリーズの最後を飾る、
巨大な敵と申してよろしゅうございましょう。
『ルパン三世』が007シリーズから発想されたということは、
ご存じの方も多いと思いますが、
まさにスパイ映画よろしく、このゲームブックでは、
世界各地をめまぐるしく移動することになります。
場末の酒場で情報屋とポーカーで勝負し、
パラグアイへ。
そこの工場か邸宅で一悶着あったあと、情報を得てベルリンへ。
空港で敵に追われたあと、町中を走るタクシーにルパンを発見。
ベルリン駅で五右衛門に会えれば、
彼のすすめで銭形に会いに日本へ行くことになります。
そうでなければルパンを追ってスイスはジュネーブへ。
途中、列車内で殺されかけますな。
ジュネーブに行った場合はルパンと合流し、ICPOのジュネーブ本部へ。
2人は、銭形と私服警官に扮して潜入いたします。
その後、次元はルパンとともに行動するか、日本へ銭形に会いに行くか。
日本で銭形とあった場合は、ICPO別働隊とやり合ったあと、
スイスでルパンと合流でございますな。
日本へ行かなかった場合は、アルプスで双方向移動型のチェイスが発生。
山小屋までたどり着くと、今度はスキーアクションでございます。
こちらのルートですと、次元にとっての今回の敵、
ユーリ・ゴドノフとの因縁が語られますな。
彼の妹・ソーニャと次元の悲恋は、アニメの第一シリーズあたりにありそうな感じ
(調べてみましたが、よく分かりませんでした)。
まぁ、そんなこんなでルートは合流し、モスクワへ。
ここで、時代がゴルバチョフ失脚後のクーデターのあとだということがわかります。
これは、1991年8月19日~22日に起こったという
ソ連8月のクーデターのことでございましょう。
このゲームブックの出版が1991年の12月でございますから、
執筆時のリアルタイムという感じでございましょうな。
モスクワでは、不二子さんの紹介でKGBのロマノフ氏に会うことになります。
西側のマフィアに紹介してくれればICPOの作戦の裏をかいてくれるとか?
彼の話にのるかそるかで分岐が発生。
のる場合でも、彼のいうルートで変装していくか、
自分たちのプランで飛行機で行くかでまた話が分かれます。
変装の場合、どんな格好をするかじゃんけんで決めることになりますが、
まぁ、けっきょくバレてしまいます。
生きていればイタリアへ。ここでも追われて、死ななければニューヨークへ。
飛行機で行く場合、飛行場に着くとカウンターでもめごと。
どうやらICPOが飛行機を借り切って待ち構えているご様子。
かまわず乗って死ななければニューヨークへ直行。
乗らなかった場合には、ほかに日本へ行って銭形に会うという選択が発生いたします。
日本では演説中の銭形が、銃で撃たれる場面に遭遇。
その後ニューヨークへ。
分岐がすべて集まり、ここで一瞬(パラグラフ129)、
敵の状況を表すシーンが差し込まれます。
「戒厳令作戦」のスタートでございます。
「この巨大な街にもトルネイドが吹き荒れようとしているのだ」と、
タイトルの言葉を入れておりますな。
というわけで、このあとパラグラフ292からは双方向移動型。
ゲーム性のより強い方式に移動型を変えて、
ルパンたちは夜のマンハッタンを自由の女神のあるリバティ島へ行く方法を求めて、
自動車で移動とあいなります。
とりあえずの目標といたしましてはバッテリーパーク。
そこにルパンがボートを用意しているのでございますな。
ただし、それが唯一の方法というわけでも、まぁございません。
最初のほうのページに、方眼のマッピングシートが用意してございますとおり、
途中のイベントをそこにどう書き込むかはともかくとして、
地図は四角に描いていけば無理なく描けるようになっております。
マス目といたしましては、だいたい9×9を想定しておけばよろしいでしょう。
スタート地点であるホテルヒルトンは、左から5マス、上から4か5マス。
だいたい中央に描いておけばよろしゅうございましょう。
文中には、だいたいにおいてどこにいるのかの描写があり、
付属のマンハッタンの地図と照らし合わせれば、
マッピングに苦労することはございません。
いい作品と申すのは、そこら辺もプレイヤーの気持ちを分かっておりますな。
で、目的地までは車で行けるかと思いきや、途中で移動手段の変更が発生。
車がやられて歩きになったり、ヘリで行くことになったり……。
ここら辺の一筋縄でいかないところも、物語を面白くしている部分でございます。
で、いよいよリバティアイランドへ。
クライマックスでは、ユンカースを相手に次元が……。
さらに、ここまで倒していなければ、ユーリ・ゴドノフとの対決も。
ゲームブックですから選択次第ではございますが、かっこよく決めて締めてくれます。
ニューヨーク市警やルパンの手柄になってしまうこともございますが、それもまた
ちょっと苦みのあるいい終わり方には違いございません。
そこら辺のたたみ方も、この作品の優れたところでございますな。
エピローグは軽いコミックリリーフ。
ハードボイルドな雰囲気を軽くまとめて結んでおります。
ルパン作品らしい。
「やつの相棒はやめられない」という最後の言葉が、
この作品を言い表しておりますな。
(たぶん続きます)
高寺彰彦先生が喜籍に入られたようでございますな。
信じられない思いでございますが、ご冥福をお祈りいたします。
大友克洋先生のアシスタントとして、
またご本人の手がけられました数々のマンガやイラスト作品をとおして、
知っていらっしゃる方も多くおられると思いますが、
ゲームブックファンといたしましては、これ。
『妖魔ハンター』小林秀敏(飛鳥新書/1986/1)。
これのイラストをお描きになっていらっしゃるのが高寺彰彦先生でございます。
作者の小林秀敏先生と申しますれば、
ゲームブックファンにけっこう評価の高い、
光文社の『縄文伝説』(1985/12)という作品を知っておられる方もおりましょう。
ん? 今気がついたのでございますが、1986/1と1985/12。
この2作品って同じ時期に書かれているのでございますな。
ちょっと、いやかなりすごい。
『妖魔ハンター』のストーリーは、
こんな感じでございます。
この世界に妖魔をもたらした。
あなたは、妖魔ハンター明神タカシ。
新宿シティに、同じ妖魔ハンターであり、
あなたの恋人でもあるジニーを探しにやって来た。
警士隊・傭兵隊・住民グループ・妖魔、そして盗賊団、暗黒教団。
これらの勢力が対立する魔都新宿であなたはジニーを見つけることができるか、
ヒントによりますと、これら対立する勢力の中に、
ゲームのカギを握る人物が2人いるのだそうでございます。
「上級者用」と銘打ってございまして、
サイコロを2個使う戦闘あり、魔法ありの
ゲームブックといたしましては本格的な部類に属します。
選択肢も多く、たぶん上級者用の名はダテではないと思います
……。
いや、ちゃんとやってはいないのでございます。
すみません。
ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂」
『第七階層からの眺め』
ケヴィン・ブロックマイヤー
金子ゆき子訳
(武田ランダムハウスジャパン/2011/11)
p.153-236
これも、図書館で借りてきたもの。
ただし、こちらは開架書庫。
『第七階層からの眺め』
短編集。
日常の中にちょっとした不思議が舞い込む話や、
逆にSF的な舞台の中で、
ものすごく日常的な物語が展開する作品が特徴だ。
こうした小説は、
従来ならSF・ファンタジー的な解決が求められたりするのだが、
この作品集はむしろ逆。
そのような普通とは違う状態を取り入れることで、
日常をより際立たせ、登場人物らの心理をより色濃く描いている。
解説の小川隆先生によると、
このような作品を寓話小説(fabulist fiction)というのだそうだ。
p.373「ここでいう寓話とは、動物やものを擬人化して、
そこに何らかの隠喩をこめ、教訓や洞察を含む何らかの寓意を伝えよう
とする話というよりも、現実を写しただけでは描けない、目に見えにくい真実を
描くために、空想的な設定を用いた話という程度のニュアンスだ。」
描写が丁寧で、比喩も的確。
それでいて、落としどころがちゃんとあるのが心地いい
(すべてというわけでもないようだが)。
終わったのか終わらないのかわからないような結末は、
どうにも落ち着かないので、個人的にうれしい。
それとは関係なくこの作者、物語に絡む絡まないにかかわらず、
何かがだんだんに増えていくという話が好きなようだ。
「千羽のインコのざわめきで終わる物語」ではインコが、
「静寂の年」では、最初静寂、その後喧噪が、
「ポケットからあふれてくる白い紙切れの物語」では、願い事が書かれた紙切れが、
多くなっていく。
一方のモチーフが「宇宙大作戦(スタートレック)」の
「トリブルを連れた奥さん」でも、どんどん増えていく生物、トリブルが登場する。
(物語の中心には絡まないが)
この「トリブルを連れた奥さん」。最後の2行(?)が好きだ。
もう一方のモチーフである「犬を連れた奥さん」の作者が
チェーホフであることを示しているのだが、
これを「宇宙大作戦」のあの人物が書いたのだとすると、視点的に面白い。
どんどん増えていくといえば、拡散型のゲームブックもそうだ。
物語がすすむにつれて並行するエピソードが次々に増えていく。
作者がゲームブックを題材としたのも、そこに興味があったためかもしれない。
というわけで、本題。
ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂」。
アドベンチャーゲームブックと題されているが、ゲームではない。
これは、バンタム社などの
一般的なゲームブックの形式で書かれた作品といった程度の意味だろう。
めまいに襲われた「あなた」が死ぬまでの数時間の日常が描かれる。
家にいて本を読んだり、外出して店に入ったり、
誰かと話したりする中で選択肢が発生する。
超常的なことは特に起きない。
主人公は「無色透明」ではなく、
思ったことや過去の経験などもどんどん出てくる。
本や音楽のタイトルとその感想まで書かれているが、
描写が丁寧で物語としてもしっかりしているため、特に気になることはない。
そういう意味で、『石蹴り遊び』とも似ているのだが、悪印象はなかった。
分岐に意味があるためだろう。
どの分岐をたどったとしても、それぞれに主人公は考え、それぞれの人生を歩むのだ。
移動型からみると、この作品は拡散収縮型にあたる。
作中に示されているフローチャートは、こうだ。
本当に純粋な拡散型で、最後に行き着くまで、合流するパラグラフはない。
選択が違った行動が、あとでまったく同じ状態になることは本来不可能なので、
こういう形にしたのだろう。
(ゲームブックで合流ができるのは、描写その他に省略があるからだ)
最後のパラグラフであるp.200は死の場面だ。
普通のゲームブックでは、死はゲームエンドの意味しかないので、たとえば
ブレナンの14のように、1つのパラグラフに担わせていても、
移動型としては考慮しないのが普通(○○収縮型とは呼ばない)だが、
この作品では、最後は死に収斂する(加えて、「あなた」の死後に着地点となる話が
少し続く)ということに意味があると思われるので、拡散収縮型に分類する。
作者の書くフローチャートの中心に、どこからも行けないパラグラフがあるが、
そこ(p.171)ではタイトルにある「ループ・ゴールドバーク・マシン」について
説明をしている。
「インクレディブルマシーン」や「ピタゴラ装置」のようなものの、
大もとであり、総称らしい。
「人生そのものが一種のループ・ゴールドバーク・マシン、つまり、
人の魂を構成するというきわめて簡単な仕事を実行しているきわめて複雑な装置」
だと考え、それに細やかな説明を加えている。
あとのほうに「人生のあらゆる瞬間に変化があり」と書かれていことから考えると、
人生何が起こるか分からない、という意味合いよりも、人生の瞬間瞬間に意味がある、
ということにこそ力点が置かれているような気がする。
「ループ・ゴールドバーク・マシン」が瞬間の仕掛けにこそ楽しさがあるように。
ただ、このようなテーマ的なものが書かれているとはいえ、
テーマのためだけに作者がこの作品を書いたとは思えない。
ある一点から展開する、さまざまな日常、そこでの行動、心の動き。
それを描く為にこの作品を書いたのだろうし、
読む側も「ループ・ゴールドバーク・マシン」を見守るように、
それぞれの動きを楽しむべきだろう。
ラスト(ちょっとネタバレになるが)は、ちょっと疑問が残る。
数千年後、「あなた」の最後の数時間の記憶(つまり、この短編の部分)は、
取り出され展示されることになるが、
その記憶は、ここに書かれたすべてではなくて、
「あなた」が選び、経験した一本の記憶となるはずだが、それをどうとるか?
正確に考えればそうだが、
シャンデリア状のフローチャートが書かれており、
そのすべてが作品として書かれていることを考えると、
全体が展示されていると考えた方が美しいし、たのしい。
まぁ……。
どちらととるかは、読者次第、好みということでいいのだろう。
(日系企画出版局/1991/11)
一方向移動 拡散収縮型パラグラフ数221
このゲームブックを手にしてまず目につくのが
巻末の広告でございます。
・ 柘植久慶の「ザ・護身術」
・ UFO原理と宇宙文明
・ 催眠術の神秘
・ 密教金剛舎利護身術
・ 不道徳催眠術講座
モテモテの為の恋愛催眠術
強くなる為の武道催眠術
・ 世界は日本人により平和となる
日本人の使命
・ 般若心経の大予言 神理統一教会
ついに世界唯一の神が出現した
・ 催眠蓮華密教の秘宝
――神は「神理統一教」を人類に与えた――
などと、護身術のビデオとか催眠術の本とか、あやしいタイトルが並びます。
「使用道具の説明」も、なんかメモ書きをそのまま載せてしまったような……。
その前の「はじめに」も、
わざわざマンガにするところではないような気もいたします。
そこから、ブリーフィングをはさみながら、
部隊のメンバー紹介、使用武器、装備などが紹介されていくのですが、
ゲーム的に意味がないし、こちらも文章はメモ書きみたい。
表紙には、「本文イラストは、細部にいたるまで忠実に実物を表現」
と書かれてございますが……、マニアの方にはどうなんでしょうねぇ。
とりあえず、編集の実力に疑問を抱くところでございます。
さて、気を取り直しましょう。
「ランサン」とは、
百万の象を意味する古いラオスの王朝の名だということでございます。
時は、1970年代。ベトナム戦争のさなか。
「あなた」は特殊部隊の大尉として、11名の部下と現地人の案内人1名とともに、
ラオスの山岳地帯へ潜入するわけでございます。
目標は敵補給基地。
天然の洞窟を利用しているため、爆撃は不可能なのでございますな。そ
こで特殊部隊が潜入し爆破する、というわけでございます。
途中には小規模の見張り所、Y-1、Y-2があり、
それもなんとかしなければなりません。
考えられるルートは5つ。
そのどのルートを通っても、脱出できる可能性はある。
一方向移動で、
5つのルートがさらに選択で分かれ(拡散型)、
目標達成後、脱出時にはパラグラフが合流する場合もある
(そうならないものもある)ので、拡散収縮型でございます。
拡散型なので、1つのルートは短め。
ですが、集中してプレイすることを考えれば、このぐらいが適当かと存じます。
さて、ここから、ネタバレを含むのでご用心。
ベトナム戦争が題材なので、とにかく生き残るのが難しい。
選択肢のうちどちらへ行ってもEND、なんて、
スティーブ・ジャクソンみたいなこともやっています。
とにかく、アイテムとか拾っちゃダメ。
ちょうど都合いいとか思っても、それは確実にブービートラップです。
そういえば、冒険記録紙のようなアイテムを記録しておく場所はありません。
そういう点、ファンタジーに対するアンチテーゼなのかなとも思ったりして。
見通しのよい小川や、ちょっと広い道はワナですし、
たばこや用便の臭いは、しっかり漏れないようにしておかなければなりません。
銃や爆弾を使えば、敵兵や戦車がやって来て戦闘が発生します。
そんなわけでこのゲームブック、とにかく死にやすい。
「END」になっていなくても、
戦闘の結果、大尉(あなた)が死ねばそこでゲームオーバーですし、
メンバーはどんどん減っていきます
(減っていっても、ゲーム的には問題ないみたいですが)。
逆に「END」は、全滅を意味するところもあるものの、
作戦失敗するも脱出だったり、作戦成功して脱出だったりするので、
「END」が多いからといって
一概に全滅しやすいとは言えないところが、レビューする身としてはつらいところ。
ただし、そこでもたいていは戦闘があり、
大尉(あなた)が死んだり、脱出用のヘリが撃墜されれば全滅。
加えて生き残りが減る可能性もあります。
ベトナム戦争ですから、生き残るのが困難なのも当然なのかも知れません。
ただし、
ここまで読んできて、つまらないゲームブックだと思われた方も
多いかもしれませんが、そんなことはございません。
文章は読みやすく、
戦場に関する本を数多くものにされている作者でございますから、
そうした場所での行動や現実的な対応がよく描けております。
現実を舞台としているため選択肢に意味もあり、結果にも納得性がございます。
トランプやサイコロを使わずとも、読み物として楽しめる。……。
個人的には、そのほうが面白いと感じました。
『王様と乞食』
スーパー頭脳集団アイデアファクトリー(エキサイティング・ゲームブック17
桐原書店/1986/3)
パラグラフ数200
エキサイティング・ゲームブック
シリーズ最終巻。
ある日突然、
君は、トランプのジョーカーそっくりの奴に、
中世ヨーロッパのような国へ呼ばれてしまう。
プンラト王国なんてふざけた名前のそこは、
もっか「ニセの王」が支配していて、民衆の
心はすさむ一方だという。早く、「まことの
王」の後継者を見つけださなければいけない、
ということで白羽の矢を立てられたのが、君
なのだ。といって、行けばすぐ王様にしてく
れるわけではない。君は、自力で4つの
「王のしるし」を探して手に入れる必要がある。
(背表紙のあらすじより)
この文章から分かるとおり、
この物語はマーク・トゥエインの『王子と乞食』とはまったく関係ございません。
トランプモチーフですが、大貧民も関係なし。
プロローグを読み始めた段階では、
ジョーカーになって真の王様を探すのかなとも思ったのでございますが、
あらすじどおり、ジョーカーに指名されて
「きみ」が王様候補として、
現実世界から夢をとおして異世界に呼び出されたという趣向です。
(でもそれだったら、表紙のトランプモチーフの王様はいやだなぁ……)
「きみ」の左手親指の爪には、白い星が浮き出て、
これが王様の印だというのでございますな。
指の白い星は、幸運の印などと占いではいうみたいでございますから、
それにならったものでございましょう。
ちなみに、ライバルなどはおりません。
ENDは、死ぬとか、乞食になるとか……。
現実世界に戻ってくるという発想はないようでございます。
ゲームを終えてからはじめて気づいたのですが、
プロローグにはゲームのヒントがいくつか書かれております。
「まことの王」(以前の王様)の家臣は、湖・森・田園・乞食の国を領土としていた。
ニセ王が君臨した今では、乞食や野良仕事をする村人に姿をやつしている。
ニセ王は隣国の軍の力を借りている。
四つの「王のしるし」を集めて城に乗り込めば。「ニセの王」は倒せる。
などでございますな。
ルールでございますが、
エキサイティング・ゲームブックのルールの特徴として、
設定がものすごく凝っていることが挙げられますな。
凝っているんだけど、
実際にやっていることはファイティング・ファンタジーと大して変わらなかったり、
実際のルールはたいしたことなかったり、
こだわりが煩雑さになってゲーム的には面倒になっていたり……。
このゲームブックでも、そう。
・Jokerの気分占い
・運勢点の決定
・カード戦
・吉凶占い
・行く先占いA
・行く先占いB
と、ゲーム前にルールがあり、
さらに本文中でも、
ランプ売りの占いと、
「王家の紋章」(ピラミッド)
「王のしるし占い」(「とらわれの女王」というゲームらしい)
そして最後の戦いは
「四つの王国」
(「四人の仲間」というゲームらしい。
フリーセルが交互に色を置いていくのに対し、
これは同じスーツを置いていく。難しい……)と、
3つのトランプの一人遊びが登場します。
それぞれルールが違っていて、いちいち並べ直さないとならないのが面倒。
バランスは……、というところで気がつきました。
このゲームブック、占いや戦闘によって運勢点が頻繁に上下するのですが、
運勢点を使うとか、運勢点が何点以上なら、というところが一切ない!!
運勢点が0になったら死ぬとかいうルールもない!!
運勢点意味ないじゃん!!
っていうことは、失敗すれば遠回りになるけれど、
途中いくつかあるENDに捕まらなければ、何とかなるっていうこと?
ゲームブックとしては、それでいいと思います。
何度も同じ場所に行くなどして時間を使うこと自体がペナルティになるわけですから。
でも、ルールとしては……、ねぇ。
一人遊びの部分は、「四つの王国」などゲーム的には難しいものもございますが、
制限時間が設けられていますので、その制限時間内に完成すればいい、
ということなのだと思います。
そう考えれば、それほど難しくはないのでは?
物語の流れは、この手のゲームブックとしては、オーソドックス。
「町」「田園」「ぶどう園」「乞食村」「森」「湖」といったところをまわり
(「となりの国」に行く場合もあります)、王のしるしを集めて「城」へ入場。
「ニセの王」との対決となります。
王の四つのしるしは、「剣」「聖杯」「金貨」「木の棒」。
言うまでもなく、トランプの各シンボルの元の姿です。
これらをまことの王の臣下から受けとるわけでございます。
(以下、ネタバレ)
「乞食村の老人」(♢・金貨1枚)
「錬金術師」(♤・鉄の剣)
「クワを持つ農夫」(♧・木の棒)
「ジプシーの長老」(♡・聖杯)
金貨は、お城の前の商人のランプと交換いたします。
で、入城となるわけですが、木の棒は運がよければ要らない、
剣は選択によっては要らない……。
もしかすると、「ニセの王」が自害するときに短剣を使っているので、
そこで何かあったのかもしれませんが、
ルール的には持っていなくても、200に行くことは可能のようでございます。
一方向移動型ですが、
町や村から出るときに他の場所へ行く選択が3つほど出るので、
行きそびれた場所に何度でも行くことが出来ます。
ストーリー的には、
となりの国に行って作戦を聞いてきたり、乞食村の娘と結婚したり、
イベントも変化に富んでいて、意外に面白い
(娘と結婚した後思い直して元に戻るのは、時間的に大丈夫か、
とか気になるところでございますが)。
まぁ、オーソドックスな出来と申せましょう。
(ちなみに「ニセの王」は隠し部屋で自害をしてしまうので、
直接対決することはございません)
発売記念イベント フーゴ・ハルと語る、
ゲームブック/ブックゲームの楽しみ方/つくり方 の
ブログに上がった写真を見ていたら、奥の方になにやらそれらしき書影が。
というわけで図書館で借りてまいりました、
『羊を数えて眠る本』
ブライアン・ログウッド(二見書房/1993/1)。
ただ、借りるとき詰まってしまいました。
一度検索機で出てきたのに、あとで検索しても出てこない。
さんざん打ち込んで、
仕方ないので「羊を」で検索してみたところ、分かりました。
最初はちゃんと打ち込んだのに、
あとで試したときは『羊を探して眠る本』と
やっていたのでございますな。
まったく機械って融通利かない。
これ、書店で見かけたときは、
さんざん迷って結局買わなかったのでございますよね。
だって、ゲームブックではなくってパズル本でございますし。
それに、パソコンで作ったような画面(マック風?)で、
羊がコピペな感じが手抜きに思えたのだと思います。
(コピペでも労作なのでございますが)
さて、
開いてみると、
農場の地図が描かれ、ログウッド一家の紹介がございます。
「今日は一家そろって羊を数える日」というわけで、
それぞれがそれぞれの方法で、羊を数えていくのでございます。
構成は、午前(西の牧場)、午後(東の牧場)、夜(東の牧場のフェンス)の三部。
夜には狼も現れます。
一種のストーリーゲームなのですな。
これが絵自体と相まって、全体をいい雰囲気に仕立てております。
というわけで、
両開きの画面に何匹かの……何匹もの羊が描かれております。
タイトルどおり、これを数えていくのでございますが……。
そうそう。本屋さんで見たときは、これ、時間の推移を表していて、
最初の見開きの羊を数えたら、
次の見開きでは、さっきいなかった羊を数えて最初のものに足していく、
といった面倒くさいものなのかなぁ、とか思ったのでございますよね。
それも買わなかった理由だったような……?
でもそうではないご様子。
見開きごとの羊はそれぞれいる場所が違っているみたいで、
それをどんどん足していけばよろしいようでございます。
「やすらかな眠りに誘う不思議な絵本」とソデに書いてはございますが、
まぁ、まったく眠らせるつもりはございません。
数えているうちに、どんどん目がさえてまいります。
こんなの簡単だろうと急いで数えていくと、
牧羊犬や人までも巻き込んで数えてしまい、
なんか多く数えてしまったりしているのでございますな。
ではとばかりに、数えなおすと、今度は何匹か足りなかったり……。
それぞれのチャプターの最後には
「Question」がもうけられておりまして、
羊の数は何匹? ですとか、
誰それはどういう方法で数えていた?
狼に食べられたのは?
てなことを聞いてくるのですから、
なおさら眠れない……。
巻末の袋とじには、その答が書かれています
(ただし、第三部の答はございません)。
これ、今だったら手軽にできるデジタルゲームとしてできるんじゃないかなぁ。
そうすれば、開くたびに数が変わったり、羊が動いたりして数えにくくなったり……。
ただそれだと、今は逆に安くなってしまうのでございましょうなぁ。
雰囲気からいっても、紙の本の方が収まりがいいような気はいたします。
ところでこの本、英題は
「COUNT SHEEP A BOOK FOR HAVING A GOOD SLEEP」とあり、
作者は「BRIAN LOGWOOD」となっているのですが、
翻訳本ならあるはずの原書のデータがないので、
日本で作られたものだと分かるのですが……。
検索してみましたら、
韓国語版とか、
今回は見つけられませんでしたがドイツ語版みたいのもございました。
ともに発行年は日本語版より後。
ということは、翻訳されて海外にも行ったということなのでございましょうなぁ。
まぁ、文章量は少ないので、翻訳は簡単そうでございますし、
ユニークな本なので、そういうこともあるのでございましょう。
でもおそらく、日本発の本だと思う人はいないのは?
ホント、こういうアチャラっぽい本を作るのがうまい!!
感心する次第でございます。
「Role&Roll Vol.172 p.142-149」
『クトゥルフ神話ブックゲーム ブラマタリの供物』
の後日譚でございます。
vol.170所収の前日譚「仮面の訪問者」
も少しだけ関連するようでございますな。
主人公はイースト・エンドの刑事。
担当地区で起こった
複数の自殺を担当することとあいなります。
ここ一週間のうちに三件。
そのどれもが<暗い日曜日>という歌
がらみらしいのでございますな。
三人とも、そのシャンソンの
暗い音色にとらわれて発作的に自殺した
というのが公式見解なのですが、
刑事のカンがそれは違うと告げている……。
ということでキミは、
片目眼帯の占い師、キ・マイラの協力を得て捜査を開始する、
というわけでございます。
ちなみに、<暗い日曜日>は現実に存在する歌らしいですな。
「自殺ソング」として知られることを含め、あらましは作中にあるとおり。
「You-Tube」に上がっているものを聴きましたが、
言葉が分からないせいか、わたくしがぼんくらなためか、
自殺したい気分にはなりませんでした。
(「黒い日曜日(ブラックサンデー)」なら、
義理チョコで売っているお菓子にからめたネタができたのに、
でも大して面白くないか……。などとは思っておりませんよ?)
3カ所の現場を中心に捜査し、場合によってはそれ以外へ、
という流れになっておりまして、
『シャーロック・ホームズ10の怪事件』から、
無駄足となる場所を省いた構成といえばおわかりいただけますでしょうか。
結果的にはすべてのパラグラフをまわることになるとは思うのですが、
現場にあるものを一つ一つあたり、
そこで見つけたものが他の場所と結びついて……という、
そういう過程こそゲームブックの醍醐味でございますな。
で、調査を完了し真相を突き止めたと思えたら、パラグラフ35へ。
そこでキ・マイラ氏から4つの質問が発せられるわけでございます。
そのあたりも、『シャーロック・ホームズ10の怪事件』と同じ。
千里眼を名乗るキ・マイラ氏が、ここではホームズ役を担うのでございます。
設問の感じも、『シャーロック・ホームズ~』と同じ。
はっきりとした答えを見いだしていない場合には、
どうにもあいまいに思える問いにございます。
まぁ、一通りまわって、ある程度考えたので、明快ではないものの自分の答をメモ。
問:Aは、まぁたぶんこの話の中では……。
問:Bは、おそらくこんな感じで。
問:Cは、カンでいくと……
とあいまいな言葉が続きます。
で、問:D。
これががとくに困ってしまいます。
5つの「要素」。
「要素」なんて言葉を出された日にゃ、何でもありじゃございませんか。
ものでも、何かの条件でもいい。
何を持って正解なのか。どういう答をすれば正しいのか……。
とりあえず、5つ見つくろって、メモします。
で、答あわせ。
このゲームブック、
解決編はパラグラフ55に、
答はパラグラフ29に書かれておりまして、
ゲームの最中、それら、とくに解決編の絵なんかを
「うっかり」見てしまわないようにするのが難しいですな。
異論はおありかと存じますが、
まぁここら辺が紙のゲームブックのアジだとわたくしは思っております。
答がどうしてもわからない。
でも解決編を読むまえに、なんとか自分で答を出したい。
そういう人に対する悩ましき誘惑。
それがゲームブックらしさでございますな。
今回は、その誘惑を退けることができました。
というわけで、わたくしの刑事の結果は……。
Aはまぁ、当たりと考えていいでしょう。
Bもだいたい合っている。
Cは当てずっぽだから、ダメだよなぁ。
Dは、ぼんやりやっていたので、当たるはずもない。
ということで、大目に見ての2問正解。
<暗い日曜日>の流行を止められず、未曾有の大戦を早める結果に……。
まぁ、それが普通なのでは、と個人的には思います。
だって、難しいんだもん。
物理トリックによる殺害ではございませんでしたが
中心となる謎は、曖昧ではなくはっきりと再現できるもの。
でも……細かいよ~!
ゲームブックで似たような謎を探すとなると、
山口雅也先生の『13人目の名探偵』かな?
(小説『13人目の探偵士』でもよろしいのですが)
知っておられる方は、これにうなずいていただけるものと思います。
ちなみに、
このゲームブックをプレイする場合、あった方がたぶん有利だと思います。
もっともわたくしは、クトゥルフ神話のほうはそれほど知識ございませんし、
『ブラマタリの供物』も気づかずに結末に来てはじめて、
ああ、これとかが『ブラマタリ~』につながるのか、と思いましたもの。
知識があっても、役に立たないことも……。
でも、たいていの人はそうじゃないかな……。
わたくしはそう思います。
……。
負け惜しみではございますが。
*)ところで、最大のカン違い。
この話、ブログに書くまでてっきりアメリカの話だとばっかり思っておりました。
そういえば、BBC……ロンドン、イースト・エンド……。
確かに、イギリスの話だなぁ……。
著:アンナ・マイバッハ、インカ&マルクス・ブラント
翻訳:ミッテンドルフ夕起子
監修:安田均/グループSNE
(KADOKAWA/2018/11)
一方向移動/可・不可型。
パラグラフジャンプはあるものの、ゲームブックではなくパズルブックでございますな。
で、
跳び先を知る方法に工夫がございまして、
暗号解読窓にバーを差し込んで、
それで出てきた数字のページに向かうのでございます。
ページの下には記号が書かれていて、
その記号が暗号窓に出てきたそれとちがっていればハズレ。
その答は間違い。
記号が割り符となっているのでございますな。
この本には、コーデックスという16ページの別冊がついておりまして、
パズルは本編とその小冊子を見ながら解いていくわけでございます。
問題とストーリーの関連は、算数のテストほど。
つまり、関連づけられてはいるものの、
それほど考慮しなくてもいいぐらい、ということでございます。
まぁ、プレイした範囲でではございますが。
さらにこの小冊子には、
「解答へのヒント」というページがございます。
そこにはそれぞれの問題について3つづつ、銀色の丸がございまして、
それを削ると、左から順に、第一ヒント、第二ヒント、解答が出てくるという。
まぁ、銀けずりですな。
それをいくつ開けないでできるかというのが、
この本のゲーム性となっているのでございます。
ストーリーはと申しますと、
修学旅行の日、ルカ(主人公)、ベン、ミナの3人は、
学校の地下にある「物理教室U」に閉じ込められてしまった。
バスが出るまでにここから脱出しなければならない。
てな感じ。
そしてそこにはどうやら、
夏、主人公が転校してきたばかりのころ起こった
学校の募金イベントでの強奪事件が関連しているらしいのでございますが……。
文の調子は、まさに外国のジュブナイルといった感じでございます。
ゲームブックで言えば、バンタム社のゲームブックを翻訳した
講談社の「アドベンチャーブックス」シリーズでございますな。
訳の問題ではないのでございましょうが、
わたくしにはどうにも読みにくく感じられました。
なんであちらのこういった話って、家族の話から入るのでございましょうかねぇ。
日本のラノベなんて、家族といえば出てくるのは妹。
それも特殊な妹だったりいたしますのに、ねぇ。
物語の流れに水をさすように、
キャラクターのちょっとしたエピソードをはさむのも苦手。
文化的な違いもございますし、物語が頭に入って来づらく、
どうにも乗れないのでございます。
謎は物語とそれほど関係ないので問題ないとも申せますが、
モチベーションというものがございます。
やはり先を読みたいと思わせるリーダビリティは必要ですよね。
加えて、謎が解けると、話が勝手に進んでしまうのも調子が狂ってしまいます。
ゲームブックなら選択肢があるところを、
主人公がどんどん行動してしまうのですな。
つまり、主人公がきみではないのでございます。
パズルを解くときだけは主人公はきみとも申せますが、
問題と答が、話にぴったりと入り込んでいるわけでもない……。
パズルブックとしては、それが当然なのかも知れません。
ですが、もう少しスムーズに謎をストーリーに溶け込ませている作品は、
他にあると思うのでございますが……。
とりあえず、やってみることにいたしました。
方針としては、銀けずりなし、なるべく本を切ったり折ったりしない路線で。
コーデックスも本から外さないつもりでいたのでございますが、
やっているうちに自然に取れてしまったので仕方ございません。
コード解読用のバーは、
切り取らなくても、法則さえ覚えておけば、メモで対応できます。
とは申せ、カン違いで間違えることは多いので、
本の指示どおりに使った方が無難ではございますけどね。
一問目。脅迫状。これは簡単。
二問目。清掃順路。やってみればすぐできます。
三問目。机の並び替え。これには詰まりました。
切り取らないと、ちょっと厳しい。
てなわけで、103ページをコピーして切りとって並べてみることに。
出てきたものは、絵に描いてやってみたのとそれほど変わらない答でございました。
つまり、問題は、その答をどうするか、だったのでございますな。
考えても分からなかったので、結局銀けずりを見ることに――。
とは申せ、剥がすことはいたしませんでした。
この銀けずり、真ん中に小さく数字が書かれていて、
そこだけ銀が印刷されていない、窓になっているのですな、
そこから一文字ぐらいが見えるのですが、
その文字を頼りに答を導き出したのでございます。
ですから答は出たものの、どうしてそうなのかは、よく分かりません。
四問目。2枚のメモ。
インクのシミがついたメモと、詩のような文章。
これをポメラに書き写している間に、解法に気がつきました。
五問目。「3人は完璧だった」。
最初にやってみた方法が違っていて、もうひとつの方法を試して成功。
ただし、最後のところで間違えてしまいました。
ごくごく単純なミスですが。
結局、銀けずりは使いませんでしたが、パラグラフ総当たりで次を見つけ、
なんだそこで間違ったのか、とガッカリした次第でございます。
六問目。3枚の四角い紙。
普通の四角い紙を用意して、
実際にやってみればできるので難しくはございませんでした。
順番さえ分かれば答えは出ましょう。
こういう問題は、手を動かす楽しさがございますな。
七問目。ベルヌーイ効果。
最初、他のこと考えていて解けませんでしたが、ページをすこし曲げてみて解決。
これも順番にとまどう問題でございます。
八問目。物理教室の見取り図。
これ、本を買ってすぐに気がついたのでございますけれどねぇ。
すっかり忘れておりました。
暗い部屋でやっていたのも、間違いでしたな。
実際、そのことは考えに入れていたので、本当なら気がつけたはずなのでございますが……。惜しい……。くやしい。
てなわけで、結局これもパラグラフ総当たりで――。
九問目。成績表カードゲーム。
面倒。やる気が起きませんでした……。
おそらく切り取って手を動かせば、
何とかなるものなのでございましょうが……。
というわけで、ここまで。
全十問なので、あともう少しなのではございますが、もういいかな。
感想を書くために急いでやったということはございますが、
まぁわたくしごときはこの程度のものでございましょう。
わたくしは、ゲームブックのファンではございますが、
パズルゲームのファンではございませんし。
裏表紙を見ますと初級となっておりまして、
たしかに切ったり折ったりすれば数字を出すのは難しくないだろうと感じました。
(とは申せ、最後はさすがにむずかしそう……)
暗号窓を使うだけに、その並びに工夫がございますけれど。
ただ、外国産の初対面のパズルだけに、
余計なことを勘ぐってしまうということはあるかもしれません。
外国産に限らず、大抵の初見のパズルについて、
それは申せることではございましょうが。
というわけで。
140ページぐらいプラス小冊子16ページで問題数10問。
それがどうか、ということはともかくといたしまして、
先ほど書きましたとおり、
ジュブナイルな感じが、
わたくしにはどうも合わない作品でございました。
ブラマタリの供物前日譚「仮面の訪問者」
フーゴ・ハル
(Role&Roll Vol.170 p.132-139)
簡単に、このゲームブック「仮面の訪問者」の紹介をしておきましょう。
主人公は『ブラマタリの供物』と同じではございません。
主人公はヴァレンタインという御仁で、金庫破りを得意とする家宅侵入業者、
ありていに申しますれば、どろぼうでございますな。
それが、レッド・フックの貧民窟を統括する年齢不詳の老人、
骨に葬るという面倒くさい漢字の「サン」さんに依頼されます。
老人は申します。
ロックフェラーの別荘にある「アルハザード・コレクション」
なるものを取ってこい、と。
当日は仮装パーティが行われているので、仮面を被っていけば正体はばれない。
見取り図は用意した。招待状も――。
依頼と申しましても、実際は命令みたいなもの。
身の代に身分証明書を取られ、
仮面と衣装、札束と上記の侵入に必要なものを老人から受け取り、
決行の日、ロック夫エラーの別荘へと乗り込むのでございますが――。
そこはお話し。
そんなにスムーズに行くわけがございませんのでした。
☆ ☆ ☆
というわけで、プレイ開始。
1回目は、以前欄外に書いたとおり、金庫にたどり着いたものの、
あっさり捕まって終わりでございました。
やっぱり一直線じゃ無理なのか~。
となると、回り道をしたほうが正しいのかなぁ。
行動ポイントはどこかに回復ポイントがあるでしょう!
とばかりに、
2回目からは、まったくあらぬほうを探ってみたのですが、ぜんぜんダメ。
5回ほど邸内をさまよったところで、
こっそり「金庫」のパラグラフを見てみると、
……そうだった。
この人物を探すんだった。
1回目は、最初からうまくいかないだろうと軽い気持ちでやっていたので、
そんな人のことはすっかり忘れていたのですな。
2回目をやるまでに、時間が空いたということもございます。
5回目までのメモを見ますと、その人物のことはちゃーんと書いてございました。
ただ、2~5回は、目的地とはあらぬ方向に進んでいたために、
そのメモが意味を持たなかったという――。
あらためてそこまでを見てみますと、
その最初の障害をクリアするのは、直線的でそれほど難しくはないのでございます。
まぁ、最初やさしくて徐々に難しくなっていくというのは、
テレビゲームなどでも良いゲームの基本でございますな。
このゲームブック短編ですので、徐々に、というほどではございませんし、
そこまでにもあとで必要なことが隠れていたりするのでございますが――。。
そのあとは、いや、そのあとも、でございますな、
試行錯誤の連続でございました。
前回書きましたように、このゲームブック、
重要なことが太字で書いてあるというわけでもございませんし、
何かに関わる、関わらない、どちらか一方が常に正解というわけでもございません。
それも含めてのゲーム性になっているのでございますな。
残りのエアを気にしながら潜水するような感じで、行動ポイントも大切。
順番や取捨選択が大事ということでございます。
二階廊下は選択肢が多いので特に何度も繰り返すことになるのでは、と……。
正解ルートでは、音楽室が先になっていて、その方が確実だとは思いますが、
執務室を先にしても、かろうじて間に合うはず……。
まぁ、わたくしが行動ポイントの数え間違いをしていなければ、ですが。
ちなみに、わたくしは行動ポイントを記録せず、
通ったパラグラフを書いて(ステップメモですな)を書いて、
それを数えることで、行動ポイントの代わりといたしました。
試行錯誤の結果、最後のほうのポイントはちよっとあやふやかも?
でも、そのあたりになると物語の面白さが先に立って、
そんなことはあまり気にならなくなってまいります。
ラストは……、
初めて入ったお屋敷で、
こんなところに脱出ルートがあるとは思わないと思うけどなぁ……
と、思いつつも階段を降りていきます。
すると、偶然か必然か、目の前に自分とそっくりの仮面の男が立ちはだかります。
ここでは、
あることをして相手の動きを止めるもそれでは不十分で、
反撃を試みるための道具を取り出すという、
二段構えのプレイヤーへの挑戦があるわけでございますが……。
でもね。
一つ気になる点
が……。
あんなところで、ライターなんか使って大丈夫なのでございましょうか?
だってねぇ。
石油みたいな臭いがはっきりと分かるところでございますよ。
……。
もしかすると、ラストは火に包まれた邸宅から、
命からがら逃げ出すというのをやりたかったのかもしれませんな。
ただ、前日譚なので、
それはできない相談だという話で。
前回の記事に書いたとおり、
実はパラグラフ71に別の文章が入るはずだったのなら……。
どうなっていたのか、いずれにせよ気になるところでございますな。
それがいずれであるにせよ、前回も書きましたとおり、
「生還」しても手放しのめでたしめでたし、とはいかないのでございますが。
まぁ、悪事に対するむくいということでございましょうな。
(※ 追記:この記事は、コメント欄まで読んでください。 必須です。)
クトゥルフ神話ブックゲーム
ブラマタリの供物前日譚「仮面の訪問者」
フーゴ・ハル
(Role&Roll Vol.170 p.132-139)
クリアできませんでしたー。
かなり頑張ったんですけれどねぇ。
最後の最後で血をぬかれておしまい。
正解ルートは p.139の欄外に書いてございますが、
パラグラフ71から生還エンドに行く方法がどうにも分からないのでございます。
正解ルートをたどってもダメ。
すべてのパラグラフを読んでみてもダメ。
重要項目が太字で書いてあるわけでもないので、
見落としはあるのかもしれないのでございますが……。
でも、
あるいは、
もしかすると、
パラグラフ51と71は同じ文章だけれど、
ホントは71には別の文章が入るの……かも。
で、ふつーに生還エンドに続くのではないでしょうか……。
超常的なことが起きているお屋敷でございますから、
何が起きても不思議はない。
それはそうなのでございますが、
今焼き殺したばかりの仮面の男とそっくりの方が突然現れなさって、
しかもその彼に(おそらく)なすすべもなく殺されてしまうというのは、
物語的にちょっと唐突かと――。
まっ、このゲームブック、
生還しても手放しのハッピーエンドというわけではございませんから、
ここで死んでも大して差が無いという考え方もできるのですけれど、ね。
☆ ちなみに、正解ルートではないので
ゲーム的な影響は少ないですけれども、
パラグラフ10「玄関ホール」も変な気が……。
ここで東を選ぶと、前室でも一階の踊り場でもなく、
二階の踊り場に来てしまうのでございますよねー。
途中をすっ飛ばしたと考えられなくはございませんが、
ワープしたみたいで、いかにも唐突。
わたくしのようなものは混乱してしまいます。