ところが目的のブツは見つからず。
検索機で調べてみるとあした、4月3日の発売。
しまったー!っ、
隔月刊になったら発売日に発行されるものだと……。
(などとはわたくしには言う資格ないなぁ。読者欄へ投稿したの、3/31 だしなぁ)
あと何かめぼしい本あったら買って、
なるべく早く帰ろうと思っていたのでございますが、
こうなってはもの足りない。
予定を変更して駿河屋本店にも行ってみることにいたしました。
どうもTRPGやゲームブックが無くなっている!
下りのエスカレーターのとなりに、逆方向のそれが開通しておりました。
4階への道が開かれた──ということでさっそく行ってみると、
目の前にはトレーディングカードを封入したアクリル板の列が──。
さらに見渡すとテーブルとイスの並びが──。
ということで、4階は、アナログゲームの巣窟と化していたのでございます。
それでも一フロアーすべてがアナログゲームということで、かなり充実しております。
裏表紙に、なにやらアルファベットが
書かれておりますよね。
ブラジルとか書いてございます。
どうもポルトガル語らしゅうございます。
『ドラゴンカリバー』の方を
ぐーぐるさんに訳していただくと、
「ドラゴンキャリバー
チョイス ストーリーブック
ブラジルへの輸入元:」
あとは訳してくれませんでしたが、住所とかそんな感じでございます。
そうではなくてきっとおそらく、
向こうで販売されているのでございましょうな
(違ったらごめ~ん)。
「ゲームマスター道」山本弘
インタビュー&著 高山浩
の欄外コラム(p.82)より。
それによりますと、山本弘先生は、縦5・横10の四角い箱が並んだ
「フローチャート作成シート」をあらかじめ作っておいて、
ゲームブックやRPGの1人用シナリオを作る際には、
この箱を矢印で結んでパラグラフシャッフルをするのだそうでございます。
見にくいかもしれませんが、こんな感じ。
「パラグラフシャッフル」と書いてございましたので、
大体のところは別で作っておいて、
これに当てはめていくという理解でいいのでございましょう。
わかりやすく、きれいなフローチャートですなぁ。
ところで、わからないとは思いますが、チャートの横には
「D-7,D-2,I-5,D-6,I-8,D-8」かな? と見える記号が……。
ちなみに、下にふってある数字は1~6でございます。
☆「ロストワールドからの脱出」の1ページ目(p.15)はこんな感じ。
「ウォーロック」誌VOL.39にございます。
ゲームブックって、
展開を追っていくと、ついつい読みがおろそかになりがちでございますよね。
選択肢とパラグラフナンバーだけ追ったり、パズルや戦闘だけ目が行ったり。
そんなせっかちな方のために、双葉文庫のゲームブックなどは、
太字でアイテムや重要情報を記したりする工夫をしておりますな。
でも、ゲームブックにちゃんと向き合いたいとおっしゃる方には、
声を出して読んでみるというのも1つの方法だとお薦めしておきます。
音読をいたしますと、文字を飛ばして読むことは出来ませんし、
本に集中することになるので、没入感が強まります。
描写などがハッキリと味わえるわけでございます。
……。
まぁ、集中力を欠いている状態ですと、朗読でも
ただ文字の羅列をなぞるだけということにもなりかねませんが、
とりあえず、黙読よりは飛ばし読みが減ると思います。
ゲームブックの場合、すべてを読む必要はございません。
描写など、小説と同じような部分は読んで欲しいのですが、
プレイヤーに対する指示などは読まずともかまわないと思います。
ただし、選択肢のうち、自分が決定したものに関しては、
声を出してほしいものでございますな。
自分の決定を言葉に出すことで緊張感が増しますし、
そのあとごまかしたときに、うやむやにせずに、
ごまかしたな、と自分で自分の行為を認識できるのがいいのでございます。
「ファイティング・ファンタジー」シリーズなど、
「主人公は君」タイプのゲームで特にこの効果は発揮するように存じます。
ついつい読み飛ばしがちな描写をしっかり読み込むことで、
臨場感がいや増しに増すというもの。
その際、「君」など主人公を指し示す単語をとばして読むと、
ハードボイルドな感じになってよろしいかもしれません
(とばしにくいところもございますが)。
主人公を設定している方は、その名前を当てはめて読んでみるのもよろしいかと。
巷では、カラオケが健康によいなどと申しておりますから、
朗読が健康によいことはいうまでもございません。
ただし、ノドを痛めない程度に、まわりに迷惑がかからない程度に、
それだけはご注意願います。
何事もほどほどに、でございますな。
続けて「OUT」誌の同じ号をめくっていたら、
こんなのに出くわしてしまいました。
月刊「OUT」誌
昭和59('84)年11月号
p.52-53
「さらば夏の妖怪 御意見無用!! GAME THEATER」
ちょっと性格診断のチャートっぽくもございますが、
まぁゲームブックと言っていいんじゃないかな。
昭和59('84)年、11月号ではございますが
発売は09/27ぐらいですから、朝日ソノラマの
「ハロー チャレンジャー ブック」とほぼ同じ。
国産最初期のゲームブックの1つと言ってもよろしいかと。
「テレビゲーム・ソフト」と書いてございますし、
ゲームブックについて知っている可能性はわずかながらあるものの、
ほぼなし。
おそらくその概念がない状態で作っているものと思われます。
「COMIC BOX 1989/3・4」(才谷遼(株)フュージョンプロダクト)
p.82
「『無茶の猫丸』を連載していた徳間『わんぱくコミック』がつぶれてしまった!
もう猫丸は書けないかもしれない。
そのかわり、ポプラ社で猫丸のゲームブックがシリーズ化したのだ」
田森庸介
一巻が1988年にわんぱっくコミックスから出ていたみたいです。
ウィキペディアによると
ゲームブックとは
スターシステムでキャラクターは同じものの、世界設定など違うみたい。
わたくしは、このゲームブックシリーズ、
持っていないので知識はございませんが、興味のある方は……。
でも、ヤフーとか見ると高いなぁ……。
「宇宙船」誌vol.21 1984年12月号
(10月30日発売/朝日ソノラマ)では、
「米国幻想/WORLD CON’84」と題して、
米国旅行の収穫を、
p.9-13(カラー)、P.100-101(白黒)
で紹介しております。
で、ゲームブックに関連するのが、P.13「ブック・マガジン・コミック」のこの部分。
(p.13)
まぁ、右上の2冊だけでいいのですが、
ついでですので、TRPG関連の3冊と、
コンピュータゲーム関連の1冊も載せておきますね。
JICCの『ゾーク』はたしか日本オリジナルですから、
この「ZORK」はそれとは別物だと存じます。
いずれにいたしましても、この時点でゲームブック(ここでの表記は、
ブックゲームになっておりますな)が200冊以上出ていたということ。
バンタム社のパラグラフ選択式のものから、TRPGのソロアドベンチャーまで
含めて考えるとまぁ、妥当な数かも知れません。
でも、ここに写っているゲームブックのように、未訳のものまだまだあるはず。
他で読んだ話では、『ザンス』や『ステンレス・スティール・ラット』
などもゲームブックがあるそうですな。
こういうゲームブックが一体どんなものであるかだけでも、
知りたいところでございますなぁ。
(紹介した本とか出ないかなぁ)
さらにできれば、日本語で読んでみたいもの。
「ファイティング・ファンタジー」シリーズなどは
何回も翻訳されているというのに……。
と思わずつぶやいてしまうしだいでございます。
ちなみに、「宇宙船」誌vol.17には、
「ハロー チャレンジャー ブック」のゲームブックを何冊も
ものにしている高橋昌也先生が、
「アメリカシミュレーションゲームウォッチング」と題しまして、
見開きの記事をお書きになっております。
紹介されているのは、
『ジョン・カーター』(SPI)、
『スター・トレック』『ガンズ・オブ・ナバロン』(FASA)、
『コール・オブ・クトゥールー』(カオシウム)、
『エスピオナージ』(ヒーロー・ゲーム)、
『スターフロンティア』(TSR)、
『ランド・オブ・ライジング・サン』(FGU)、
『カー・ウォーズ』『イルミナティ』(スティーブ・ジャクソン・ゲームズ)
といったあたり。
まぁ、単なる紹介記事ですな。
ついでに「ハロー チャレンジャー ブック」の広告についてですが、
これは、vol.20(1984年8月30日発売)から、
数号にわたって続いているようでございます。
これが、そのvol.20とvol.21のもの。
vol.20p.109
vol.21p.113
vol.20のほうの「あなたは英雄? それとも死体!?」
というキャッチは、直截的ですなぁ。
そしてこのコピー、
明らかに、『出発!スターへの道』のほうは意識しておりませんな。
あと、
vol.16の「VISUAL RADER」(p.99)には
“LOST WORLDS”(NOVA GAMES)シリーズの
小さな記事が、
また、
vol.26の「宇宙船インフォメーション」(p.105)には、
『激突第7機装兵団 モニュメントの謎』の表紙のみが小さく、
それぞれ掲載されております。
以上、『宇宙船』のゲームブック関連で、わたくしの知っているのは
このあたりでございます。
(アスキー/1983/10)
MSXにアスキー社が大きく関わっていたということもございますが、
当時のMSXと、未来のコンピュータに対する過度の期待
がうかがわれるというものでございます。
目次を見ても、それがおわかりいただけるかと。
「コンピュータなんてなくったってコンピュータ・ゲームはできるんだ」
と題して掲載されているのが、「バンタム・ゲーム」のゲームブック。
コミック版の『惑星スパイ』の2巻を中心に紹介しております。
タイトルからして、やはりゲームブックは、
コンピューターを持たない人のための代価として考えられていたと思いますな。
覚えているのは、新しさと物語の可能性に興味を引かれたということ。
その後、朝日ソノラマの『騎士ローラン 妖魔の森の冒険』の発売が
「宇宙船」あたりで発表されるなどして、期待はさらに高まっていったのでございます。
その存在を知らなかった……と申しますか、
店頭には並んでいたのでしょうから、眼中になかったと言うべきでしょうな)。
講談社の「アドベンチャー・ブックス」シリーズとして翻訳されたのはご存じですな
(ウィキペディアによりますと、学研の『きみならどうする?』シリーズもそうだそうでございますが、それに関してわたくしは未見)。
おそらく西東社のゲームブックは、
このコミック版を参考に作られているのでございましょうな。
「BUG NEWS」誌1986/4 特集「ゲームブック145冊」の
「PLAY THE BOOK ゲームブックで「本」が変わった!」(p-26-27) から、
やはり同じく社会思想社編集部長田中轟人氏のお言葉を抜き出してみましょう。
「ファミコン、パソコンゲームを本にしたようなものだと思ったので、
子供には売れるような気がしました。
しかし、2~3万でれば大成功だと思いました。
万一失敗しても文庫ならばリスクも少なくてすみますしーー」(p.26)
多いようです。ファミコン、パソコンは買えなくてもゲームブックなら買えるという
子供たちも多いですからね。これでファミコン、パソコンゲームで遊ぶのと同じような
面白さを味わっているのです」(p.27)
ここでいう「潜在ゲーマー」とは、「コンピューターゲームをやりたいと熱望している」
やはりゲームブックはコンピューターゲームの代価物という判断を、
社会思想社でもしていたということでございましょう。
それが冷静な判断だとは思います。
掲載されておりますが、
中学生が半数以上。
小学六年生まで含めたら、7割はいっているのではないでしょうか。
『ゼビウス』という作品だからということもございましょうが、
「別の作品でも中学、高校、大学生が中心であることは変わりないようだ」
(同ページ)とございまして……。
ファミコンなどを手に入れて、ゲームブックに接する時間を減らしていった
ということは、十分に考えられることではございましょう。
「TECHNO・FORUM」(p.110)には、
西東社の『大統領を捜せ!!』と『ウォー・ゲーム』の紹介、
それに西東社でストーリーを募集していることも告知しております。
ただの紹介記事でございますが、
「ナイコンの君でも十分、アドベンチャーゲームのフンイキを
手軽に味わえるという、画期的ゲームブックだ。」
となっておりまして……。
ナイコンという言葉は、分かりますよね?
主に経済的な理由で、マイコン(パーソナルコンピューター)を
もっていない方のことを、やや自嘲的に指した言葉でございます。
2月の18日頃に発売された(多分)3月号ですから、
書かれたのは『火吹山の魔法使い』発売直後ぐらいでございましょうか。
つまりこれは、
日本でのゲームブックの始まる時点から、
パソコンが普及すればそれは衰退するだろうということが暗に示されていた、
と申しますよりも、
ごく自然な流れと認識されていた、
ということでございましょう。
実際には、パソコンではなくて、
ファミコンをはじめとする家庭用ゲーム機が
席巻するようになったのでございますが。
このような紹介記事では致し方ございませんが、
ゲームブック独自の魅力については意識されておりませんですな。
☆ ゲームブック以前。
赤塚不二夫 赤塚りえ子監修 野田努編集
(ele-king books/2015/9)。
『赤塚不二夫劇場』のあとがきに、
赤塚先生は、次のようなことも書かれておられます。
とてつもなく変なものをかいて、読者を困らせてやろうと考えるのだ。
決して笑わせてみようなんて思ったりはしない。
ワッ!
ウヘッ!
キモチワルーイ!
ゲゲーッ!
そう読者の方々が叫んでくれたら、シメたものなのだ。
笑いはそのあとに自然に生まれてくる。
今回紹介いたします、『赤塚不二夫実験マンガ集』でございます。
本当に実験的なもくろみを持って描いたのか、
それともただの思いつきか、
はたまた単なる手抜きなのか……。
それはわたくしには分かりません。
おそらくそのすべてなのでございましょう。
下描きのアタリだけのコマがいくつもあったり、
原寸大と称して、顔だけアップの見開きを6ページにわたって続けたり
(=コマで言えば3コマなのですが)、
夏バテということで、キャラクターを棒人間にしてみたり……。
無名の人がこんなことをやったら、
フザケているのかとでもどやされそうなところでございますが、
赤塚先生だからフザケていてもしょうがないかということになるのでございますな。
しかも意外と着地させている。
そこらへんは、これらの作品が単なる思いつきや手抜きではなく、
作品として成立しているところでございますな。
「イライラヒリヒリごくろうさまなのだ」もそんな一つ。
初出が「少年マガジン」1973/7というのでございますから、
ゲームブックの10年以上前でございますな。
マンガの各コマには、アルファベットが小さく書かれていて、
ときどき、何ページのどこ(アルファベット)に続く、と書かれているので、
その指示に従って、読み進めていくという形式でございます。
選択肢はございませんが、感覚はゲームブックと同じですよね。
そのあっちへ行ったりこっちへ行ったりが、面倒くさいだろう、
イライラヒリヒリするだろうというのでございますが、
むしろ、そのページをめくる感覚が、面白いと思うのでございますけれどねぇ。
もちろん主人公は「きみ」ではございません。
これからも出てくると存じますが、
ゲームブック以前とゲームブックのちがいは、
分岐があっても自分が主人公ではないということが一つとしてございますな。
お話は、おまわりさんが予告してきた犯人の自首を待つ、というものでございます。
ただ、この作品、ボーッと読んでいる分には、
別に指示に従って記号を追わなくても、なんとな~く読めてしまうのでございますよね。
話が大きく展開するということもございませんのでそうなるのでございましょうな。
こちらのほうは、「少年サンデー」の1967/1。
上段はチビ太が主人公、下段がイヤミと、
上下別に話が展開して行くものでございます。
ゲームブック風と称して、こんな形式で展開するマンガってございますよね。
分岐の前に選択肢があって、読者に選ばせるという形式にしていることが、
かろうじてゲームブック的と申せるでしょうが……。
でも、そういうのって、ふつう両方読んじゃいますよね。
この形式は、小説でもいくつか見かけます。
ちゃんと調べていないので確かなことは申せませんが、
ですからおそらく、この作品が最初というわけではないでしょう。
~”赤の魔術師“の迷宮へ~
著:岡田和晃 イラスト:DON-CHANG
「ウォーロック・マガジン」vol.1 p.70
この絵をおまけにして感想を送ろうとしたのでございますが、
めーらーでーもんさんが、送れなかったよ、と。
何でもサーバービジーとか。
日を変えて何回か再試行したのでございますが、結果は同じ。
こちらへとあいなりました。
2号の話が、ネット上で出てきたので、そろそろ送らなければ、
と思ったのでございますけどねぇ……。
「掲載して欲しいシナリオ」については、
「過去のアトランティスを舞台としたもの」とか、
「ブリスちゃん
(「私はこうしてバルサスした・ソーサリーした」の女主人公)について回る旅」
(ブリスちゃんが「お前ら見てないで戦闘に参加しろ!」とか言ってるの)
とか考えはいたしましたが……、この設問に対する答ではないような気も……。
「無敵の万太郎」さんが、
1-3程度のことで死んでしまうのでは情けないので、描いてみました。
これからは「ビール万太郎」として、
「ビールマンスピン」を必殺技に戦えば……、
ビールの脳がこぼれちゃう~~。
知性度が低下する演技をプレイヤーの方には要求したいものでございますな。
「Bug News」誌、1986年5月号の、
岡嶋二人(のうちの一人、井上夢人)先生と鳥井加南子先生との
対談についてでございます。
ありがたいことに、井上夢人先生のサイト
「夢人.com」で読むことができます。
ホームページを見つけたらですねぇ、
「Junk Yard
Why? Why? Says the Junk in the yard.」の
「MORE」から入ってですねぇ、
「99人の最終電車」や「シナリオ クラインの壺」など、
面白そうなたくさんの記事をかいくぐりつつ、
どんどん下に行くと、ようやく見つけることができます。
日々冒険に接しているみなさまならば、
そのぐらい苦ではなく、むしろ楽しさでございましょう。
「ゲームブックに対する考え方も正反対で、これだけ噛み合わない対談も珍しい(笑)」
と前説にも書いてあるとおり。
ゲームブックをプレイして楽しかったから自分でも書いてみたくなって……
という実践の鳥井先生と、
読んだものに面白いものがなかったといい、
ゲームブックという形式に理論からアプローチしていった
井上(岡嶋)先生が、
それぞれ発言していらっしゃるから、噛み合わない。
ですが、はっきり申しまして、それが面白い。
両極の立場で発言していらっしゃるからこそ、
ゲームブックの広がりというか、可能性も見えてくると言うものでございます。
でもねぇ、こっちの側から入るのは、制作にとってはつらいところでございますな。
それをプレイしている段階で、
こうすればもっと面白くなるとか、ここをこうすれば新しい、
といろいろ思いつくものでございますもの。
プレイヤーにしても、
まったく新しい形式より、ある程度方法論が分かっているゲームブックのほうが
やりやすいということもございますしね。
ゲームブックファンにとっては、他にも興味深い記事がございます。
『ツァラトゥストラの翼』の「著者のつぶやき」ですとかね。
上にずっとたどっていくとある、
ゲームブックからハイパーテキスト小説に到った過程のようなものが、
高度な(本人の言では「堅い」)文章で書かれております。
また、
「視点の方法」(1)~(4)は、○人称小説とかいった単純な話ではなく、
描写の際に意識すべき視点について書かれていて、
これも、ものを書くかたには参考になりましょう。
わたくしのつたないブログなど読むよりも、よっぽどためになります。
いや、まぁ当然ですな。
烏滸(おこ)がましいことを申したものでございます。
自分がそうしていないので、とりあえずこれだけ、ということで。
『おかしな二人 岡嶋二人盛衰記』
井上夢人(講談社文庫/1996/12)
は、岡嶋二人先生の自伝的エッセイでございますから、その著作である『ツァラトゥストラの翼』についても当然書かれております。
ですが、
何か面白いエピソードでもないかと期待して読むと、残念。
パソコンに入力しながら仕事を進めた。(……)
やたらと時間がかかったワリには、
このゲームブックはちっとも売れなかった。
出版社は第二弾、第三弾とシリーズ化するつもりだったようだが、
あまりの売れ行きのひどさに、シリーズは
僕たちの『ツァラトゥストラの翼』だけで尻切れになってしまった。
思った。例えば、以前書いた『ツァラトゥストラの翼』のようなものを
パソコン通信に載せるとどんなことになるだろうか。
エージェントが、僕たちとあるファミコン製作会社を引き合わせた。
(このゲーム、『ブレイン・シンドローム』は、製作会社がメガビットで
言った容量を、岡島先生がメガバイトと勘違いされて、規模が大きくなり
すぎてボツになってしまったのだとか。その作品の一部は、『クラインの壺』
という作品に断片的に用いられているようでございます)。
といったあたりでございましょうか。
でも『ツァラトゥストラの翼』が売れなかったのは、判型にも問題があった気が。
ゲームブックと言えば、文庫か新書版というイメージが当時ございましたもの。
ですから単行本で出たものは、
見ていても気づかなかったかスルーしてしまったか……。
少なくとも、わたくしはそうでございました。
ですから、この単行本版が、どのぐらいの大きさかもよく存じません。
コンピュータアドベンチャーゲームの影響を強く受けたゲームブックと申せましょう。
双方向移動型で場面場面に主観のグラフィックがつく
のもコンピューターのアドベンチャーゲーム的。
推理を主眼とするゲームブックなので、殺人事件の解決が主になるかと思いきや、
それは従で、「ツァラトゥストラの翼」という宝石を探すことがメインとなる点も、
アドベンチャーゲーム的でございますな。
失敗すると爆死しちゃうという乱暴な展開も含めて――。
こうじゃないんだよな~、という思いがあったのではございませんでしょうか。
実際、
「Bug News」誌、1986年5月号の、鳥井加南子先生との対談においては、
『シャーロック・ホームズ10の怪事件』というのが出てきたときは、
「やられた!」と思いましたけど。
ただ、『シャーロック・ホームズ10の怪事件』も、
双方向移動的なゲームブックでございますから、
事件のどの情報に触れることのできる可能性のある双方向移動型の公平性は、
やはり推理系のゲームブックに必要と考えていたのでございましょう。
と申しましても、『おかしな二人』の価値は、
あとがきで大沢在昌先生がほとんど書いてしまっておられます。
例えば、
これから小説。特にミステリを書こうとしている人は、
本書をぜひとも読むべきである。(……)
これほど基本的な部分から説明し、
さらに練習の手段までを知ることができる本は滅多に存在しない。
など、
でも、忘れちゃうんですよね~、こういうのって。
ちっとも身につかない。
だから思うのも以前読んだ印象としてではございます。
「ファミ通」No.1538 2018 6/7号(Gzぶれいん)
アドベンチャーゲームクロニクル(p.60-75)。
「志倉千代丸氏が選ぶ“歴史を変えたADV”10選」
ネットで紹介があり、ゲームブックのことも書かれているようでしたので
買ってみることにいたしました。
コンピューターのアドベンチャーゲームよりも、
「ペーパーアドベンチャー」とか『ソーサリー』が前のように
言っているかに見えたので、明らかな間違いかと思ったのでございます。
ですが、それはカン違いでございました。
よくよく読んでみますと、
マイコンを持っていなかったから、ゲームブックをやっていた、
という話でございますな。
「テキストアドベンチャーって、
1980年代前半のPCが[マイコン]が登場する以前に遊ばれていた、
“ゲームブック”がおそらく元祖なんです」
これこそがまさに“アドベンチャーゲームにおけるビッグバン”だと思っています。
あたりの発言はなんとも微妙。
おそらく、自らのゲームブック体験の印象からの発言なのでしょう。
インタビューなので仕方ございませんが、おそらく資料に依った発言ではござませんな。
世界初のアドベンチャーゲームは
『Colossal Cave Adventure(コロッサル・ケイヴ・アドベンチャー)』
(1975)で、
「ロールプレイングゲームサイド」vol.1(同/2014)p.86には、
それ以前のものとして
『モンスター・メイズ』という、迷路探索ゲームがあり
(ただし成立年1973年9月(OSのリリース)以降という以外不明)、
これも原始的なアドベンチャーゲームということでございます。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が1974年でございますから、
その発売からすぐに作られたことになりますな。
ウィキペディアによりますと、
「トンネルズ&トロールズ」の「Buffalo Castle」が1976年、
バンタム・ブックスの『きみならどうする?』(Choose Your Own Adventure,)の
一作目が1979年だそうですので、
アドベンチャーゲームがゲームブックの影響下に書かれたというのは、
あたらないことになります。
だいたい、
ゲームブックとコンピューターのアドベンチャーゲームとは、
基本的にかなりスタイルが違います。
ゲームブックは基本的に、一方向移動で選択肢を選ぶ方式です
(双方向移動は、確かコンピューターのアドベンチャーゲームの
影響で作られたものでございます)。
もしも、
コンピューターのアドベンチャーゲームがゲームブックから作られたのでしたら、
その初期から、場所移動中心ではなく、
サウンドノベルのような物語の流れが中心のゲームだったでしょうし、
最初から選択肢方式の入力になっていたでしょう。
そんなわけで、
コンピューターのアドベンチャーゲームとロールプレイングゲームは、
ともにTRPGから発生した兄弟、あるいは双子のようなもの
だったみたいなのでございます。
考えてみれば
テキストの段階では、
東西南北に移動し、見たり、取ったり、使ったりというのは、
ロールプレイングゲームもアドベンチャーゲームも
あまり変わりはございませんものなぁ。
ただ、証拠などあるわけではないので気にしなくてもいいのですが、
アドベンチャーゲームには、もうひとつのルーツがあると個人的には思っております。
それは、コンピューターのプログラミングそのもの。
アドベンチャーゲームは、
コマンドを打ち込み、移動したり何かを見たりして、アイテムを入手し、
それを正しい位置に当てはめる、時には特殊なキーワードを入力する
というのが基本ですな。
そういった一連のパズルが、
コンピューターのプログラミングやバグ取りとあい通ずるものがある
と思うのでございます。
もっともわたくしは、プログラミングとかは門外漢ではございますけどね――。
役に立たないかもしれないけれど、一応追記:
わたくしの持っております、講談社のアドベンチャーブックス
――バンタム社のゲームブックの翻訳ですな――
の中で、一番古いものは、
『殺人犯はだれだ』エドワード・バッカード 訳:大出健
原作は、1981年だそうですが、
それの前書きには、
「あたまのいいきみにはわかるだろう。
そう、アドベンチャーゲームが本になっているんだ。」
と書かれてございます。
これを根拠にすれば、そしてアドベンチャーゲームというのが、
コンピューターのアドベンチャーゲームのことだとすれば、
どちらが先かはともかくとして、
少なくとも1981年の時点では、
コンピューターのアドベンチャーゲームに対する
子供たちのあこがれに応える形でアドベンチャーブックスは存在した
ということは、言えるのではないかと思うのでございます。
小特集「ゲームブック五段活用」
ついでですので(何の?)、
「ゲームブック五段活用」についても紹介しておきましょうか。
この小特集では、ファミコンなど、コンピューターゲームが原作の
6冊のゲームブックを紹介しております。
タイトルを、その横に書かれた惹起文とともに紹介しておきましょう
(これ、ゲームブッククイズで使っても良かったなぁ)。
☆ クッパの息子は美形の王子様?
オリジナル要素満載のマリオワールド
『スーパーマリオブラザーズ外伝』勁文社
☆ 汝は光の使命を担う勇者なり。
『夢幻の心臓Ⅱ』JICC
☆ 艦隊、要塞、何でもおまかせ!
そこのけそこのけミリスが通る
『ディーヴァ 女戦士ミリスの挑戦』勁文社
『桃太郎電鉄 めざせ! 大社長』双葉社
肉体なき主人公の探索と戦いが始まる。
『レリクス 闇からの侵略者』勁文社
邪悪な竜王から王国の平和を守れ!
『ドラゴンクエスト』双葉社
「発売年」「総パラグラフ数」「ストーリー」「システム」「ここに注目!」
と、項目を分けて紹介しております。
作者に関する記述はございません。
やはり、この手のゲームブックに関して、
そういうものに対する意識は薄かったのでございましょうな。
ちゃんとプレイをして、
少なくとも現物を手にしている状態で書かれているようでございます。
ですから、あまりおかしなところはないようでございます
(まぁ、この中でわたくしが持っているのは半分なのですが)。
電源ゲームの専門誌でございますから、原作のゲームについても、
ちゃんと知っている上でのレビューのようですし。
コミック形式のゲームブックが珍しいと書かれていることぐらいですか。
このスタイルは、翻訳されなかったものの、
バンタム社のゲームブックにも確かあると思いましたし、
西東社のゲームブックでもよく見られるものですし……。
まぁ、ちょっとマニアックな話かも。指摘するまでには到りませんな。
そのあとは、ゲームの本とはいっても、まったく違うジャンル。
わたくしどもがまったくあずかり知らぬ、ゲーム業界本の話となるわけですが……。
実は、こっちの方が、ゲームブックの記事よりも面白い。
おそらく、この特集は、こちらの方がメインなのでございましょう。
間違いございません。
ビジネス関係のゲームの本と申すのは、
基本ゲームなど普段やったことのない方々が書いているわけですよ。
そうした方が、資料を集めて書いた、
どの企業が天下を取るかといった未来予測本が、
後で読むと、トンチンカンなことを書いていて面白い、といった内容で、
書いていらっしゃる方が、明らかに楽しんでいることが分かります。
こういう記事は楽しいですな。
「奇作大漁! バカゲーコレクション」でございます。
ゲームブック関連として注目しておきたいのは、『ミシシッピー殺人事件』。
樋口明雄先生の、
『ミシシッピー殺人事件/リバーボートの冒険』(双葉文庫/昭和62年5月)は、
これの後日譚でございまして、原作の犯人が死んだところから始まり、
背後にいる真犯人を見つけるというのがゲーム内容でございますからな。
原作を上書きするような内容ですので、
知らなくてもかまわないことはかまわないのでございますが、
やはり、知っておいた方がわかりやすいというものでございます。
で、わたくしの場合、参考にしたのがこの号の記事で、
わかりやすかったので、ここに書いておきますね。
犯人の名前までは書いてなかったものの、
それは、ゲームブックのほうで分かっていることでございますからな。
問題はございませんでした。
実際にプレイするとか、攻略サイトを見るとかすれば、いいのではございますが。
「ライトノベル完全読本」 (2004/8 日経BB)
(昨日(2009/7/19)の記事で資料として用いた)
ついでですので、ここで挙げてみましょう。
まず、ライトノベルで書かれてきたガンダムという特集で、
「ガンダム小説大全」 (p.38~47)に
このときまでに出版されたガンダム小説のリストと主要作品の紹介文が挙げられておりますが、
そのなかにゲームブックはございません。
やはり、ゲームブックはライトノベルではない、
ということで除外されたのでございましょうな。
つぎに、「あたしの中の…」のときにご主人さまが参考にしておられた
「年表」 (三村美衣) 。
この1984年には、さすがにございます。
『火吹山の魔法使い』(ゲームブック刊行始まる)
の一文が(p.76)。
その欄外コラムでも、 「ゲームから小説へ」の部分で、
1983 雑誌〈コンプティーク〉創刊。
TRPG「ローズ・トゥ・ローズ」
1984 TRPG「トラベラー」
1985 TRPG「D&D」
1984 ゲームブック『火吹山の魔法使い』大ベストセラー。
やがてゲームの中心はファミコンをはじめとするコンシューマ系へ……。
という流れで説明されています。
あと、ゲームブックに対する言及はございませんが、
「ライトノベルとTRPG」
TRPGから生まれたライトノベル作品たち
榎本秋(p.170-171)
「PBMとライトノベルの意外な関係」
石直和(p.194-197)
も挙げておきましょう。
前者は、グループSNE作品を中心に、リプレイとTRPG小説について。
後者は、PBM(Play By Mail――非電源ネットゲーム、メールゲーム)のマスターから、
ライトノベル作家になった方々の紹介でございます。
あと、
「ライトノベルとゲームノベライズ」
ゲームを基にした小説を読んだことはありますか?
榎本秋(p.111)
も、参考として挙げておきましょうか。
やはり、ゲームブックは出てまいりませんが……。
ゲームブックについての記事が出てくるのは、さらに後のほうでございますな。
「ライトノベルとゲームブック」
一世を風靡したゲームブックってなんだったんだろう?
榎本秋(p.111)
ここで、挙げられております作品は、
『ファイティング・ファンタジー』シリーズ
『ソーサリー』シリーズ
『ドルアーガの塔』鈴木直人
『ドラゴンクエスト』シリーズ
といったもので、ほぼタイトルのみでございます。
ゲームブックについての解説は、
80年代にブームとなり、88年ごろ終焉を迎える。
原因は、乱造ともコンピュータゲームの人気による読者ばなれとも言われている。
その後も、子供向けとしては一部残ったが、ファンタジー世界の冒険ゲームブックは姿を消した。
富士見書房の『MAGIUS』シリーズも、TRPGの一形式であり。ゲームブックとは名乗っていなかった。
2001年から、創土社が『チョコレートナイト』(鈴木直人)を皮切りにゲームブックの発表を続けている。
一部タイトルがiアプリとしても発表。
といった感じでございますか。
これが、この本が出版された2004年8月あたり(まあ、執筆はその少し前でしょうが)
の状況と申すわけでございますな。
さて、ゲームブックに関する記述についてはもう一つ、
非常に気になると申しますか、興味をそそられるものがございます。
「ラノベとゲームと異世界とぼくと」米光一成
p.172
84年にゲームブック『火吹き世界の魔法使い』が発売される。
小説でありながら、サイコロを使い、ゲームのように物語を進めていく。
『火吹き世界の魔法使い』!!
一体どんなゲームブックなのでございましょう。?
誤植でした、というオチなのでございましょうが、
そういうヤボなことは抜きにして、
非常に喚起力のあるタイトルだと存じます。
いっそのこと、
どなたかこのタイトルでゲームブックを作ってみませんか、ねぇ。