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2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
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『風姿花伝・三道』現代語訳付き
世阿弥:著 竹本幹夫:訳注
(角川ソフィア文庫/平成21年9月)
 
 
 おって、なんか高尚ですよねぇ。
その秘伝書だと言いますし、
それを大成したといわれる世阿弥先生のご本でございます。
風姿花伝』という題名も高尚そう。
 
 きっと高踏的、抽象的で難しいことが書かれているのでございましょう。
 そう思って、昨今になるまで、敬して遠ざけてきたのでございますが……。
 読んでみると、そんなことはまったくございませんでした。
 
 今で申しますと、How to本
 マンガ家や小説家のお書きになった入門書ですとか教養講座のテキスト。
そんな感じの本なのでございます。
 
 神事奉仕の無料の芸から始まった猿楽は、人気を得て商業演劇化し、
将軍様の愛顧を得るまでになったのが、世阿弥先生の時代でございます。
 
 今でいえば歌番組やドラマのレギュラーや看板番組を持つようになった
ぐらいの感じでございましょうか。
 
 要するに、能(田楽・猿楽)は人気商売だったのでございますな。
 
 そんな中にあって、世阿弥先生の立場である棟梁というのは、
主役であり、座長であり、経営者であり、脚本家であり、
振り付け師であり、指導者であり……。
 
 要するにすべてを仕切る役目を背負っていたのでございます。
 
 そんな彼が書いていることでございますから、内容は多岐にわたります。
 
 猿楽の来歴から始まって、
 年齢による稽古の違い、
 「物まね」──役の演じ方ですな──
 公演の仕方など、
 さまざまなことに及んでおります。
 
 書の性質上、肝要だけを記しておき、あとは口伝という感じで。
 その意味でもテキスト的でございますな。
 
 内容は非常に実際的
 小難しい理論の書ではございません。
 ただし、
採算であるとか経営といったものについても触れられてはおりません。
あくまで、芸としてのHow to 本なのでございますな。
 
 
 さて、
花伝書」でございますから「」について書いてある本でございます。
 
 「」とは華がある、というような意味での花でございますな。
で、世阿弥先生がどうお書きなされているかとかと申しますと──。
 
 まずひとつは「若さ」。
そのあたり、アイドルグループと同じでございますな。
これを「時分の花」と呼んでおります。
 
 それに対して「まことの花」とは、修練によって得られる芸のこと。
これがなければ、年齢とともに役者としての価値は下がっていく。
さらに、「まことの花」を極めたとしても、
歳の若いものに主役は任せ、自分は脇に回るのがよいともおっしゃっておられます。
 
 これについては、当時の猿楽が
かなり肉体を酷使する芸能だということも影響しているみたいでございます。
やっぱりアイドルグループっぽい感じ?
 
 そしてもう一つ、作劇・演出上の「花」として、
面白きこと」「珍しきこと」が挙げられております。
 ここでいう面白さや珍しさというのは、
かなり広い意味のことはでございますな。
芸として完成されている、美しい、ストーリー的に素晴らしい……。
 
 そうしたすべての魅力を含めての面白さ、珍しさ=新しさのようでございます。
 
 総合して申しますれば、
「花伝書」とは、いかに観客にとって魅力的な舞台にするか、
いかに人気がある役者、劇団にするかについて書かれたもの。
言い替えれば、いかにウケるかの本なのでございますな。
 
「風姿花伝」の中でもおそらくもっとも有名な
秘すれば花」という言葉にしても、そう。
 
 言葉だけが一人歩きすると、なにかものすごく深遠な言葉に思えますよねぇ。
 この「花伝書」自体が、秘伝の書だったこともあって、秘伝中の秘伝の感じが……。
 でも、そんなことはまったくございません。
 この「秘すれば花」の意味は、現代的な言葉で言えば、「ネタバレ禁止」。
 
 花とは面白さであり珍しさ。
 つまり新鮮さ、新しい! と思える要素が含まれているものでございますから、
それを公演前に観客に知られてしまっては面白くない、台無しだ、
そういう意味の言葉なのでございます。
 
 ですから、定番の、誰もが知っているような演目をやる場合には、
どこかしらアレンジを加えろ、ともお書きになってもいます。
 
 ひるがえって申しますれば、
公演する作品についてはどこかしら常に新しい要素を入れていけ、
ということでございましょう。
 
 
 
 地方に行ったらその地方なりの公演をすべし、みたいな文もあって、
それもいかにしてウケるかということでございますな。
 
 
 
 今の、権威づけられ、認められ、型にはまった芸術としてではない、
伸び盛りの気鋭の能がこのご本にはあるわけでございます。

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