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2025/06/28 『放課後デスゲームからの脱出』第3ゲーム、第5迷宮。迷路を描き写してやると難易度が上がるなぁ。第2条件は2~3わからなかったけど、迷路がつながるように考える。第3条件は面倒臭くなってやらなかったけれど、トラップが落ちてくるのは最後の方だろう、答は意味のある言葉だろうって考えで迷路をたどっていったら、当たった。 それにしてもこんな迷路、人が死なないとしても現実では出来ないよなぁ。
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 主(マスター)を待ちながら(*)

    *(サミュエル・ベケットの戯曲
        「ゴドーを待ちながら」のモジリでございます、ご承知のとおり) 

 
  
 とうとう地球に地球人がやってまいります
タヌキ星人の変身ではなく、正真正銘の地球人が。
 
 ヤチヨさんが喜ぶと思ってポン子さんは大はしゃぎ。
一方当人はといえば、狐につままれたお顔。
 
 地球が人類生息可能となったかを一人で調査に来たという
トマリ・イオリさんに半信半疑でございます。
 
 彼女をホテルでおもてなしをすることになったもののヤチヨさん、
人類のご宿泊にうれしさの実感はなし。
 
 その実感のなさが許せなくて、ついにヤチヨさん、壊れてしまいます
 
 
千夜一夜物語」にございます漁師と魔神の話をちょっと思い出しました。

 最初の数百年は、
封印を解いて壺から出してくれた人がいれば大金持ちにしてやろう、
願いを叶えやろうと思っていたのですが、
さらに数百年を数えると
出してくれた人間を殺してしまおうと思うようになるという話で、
鉄腕アトム』の「魔神ガロン」の話の前フリとしても用いられおりました。
 
  
 この場合のヤチヨさんとは少し違いますが、
要するに長く待ち続けすぎてしまったというわけでございますな。
  
 まぁ、ヤチヨさんが待っていたのは、支配人なのでございましょう。
 彼女はマスターから代理に任ぜられました
 その重責を返上して、本来の一ホテリエロボに戻りたい。
 本当の願いはおそらくそこにあります。
 
 神話や伝説で申しますれば、いつか救世主が現れる、
英雄がよみがえり幸福の国がやってくる──そういう信仰でございます。


 そこに実際に地球人が帰ってきた
 しかも、何世代も経た地球人でございます。
 
 コールドスリープで眠っていた初代が来たというわけではなしに。
 つまり、マスターは何世代か前に……。
 そんな現実をヤチヨさんは突きつけられたのでございます。
 
 人類が訪れたのですから喜ばなければならないのに、
マスターはもう来ないという絶望が心の奥底からわき上がり、
それが二律背反をおこしてしまっている。
 
 行ったり来たりのバグ
それが正常だけれど正常じゃない異常行動となって現れたのでございましょう。
 
決して前回黙っていただいたパーツが、
ハードウェア的にチェックしてOKでも、ソフトウェア的にバグっていた、
ということではないと存じます。
 
 それまでの束縛された生活の象徴である宇宙服を脱ぎ、
地球の大自然を謳歌するトマリさんと、
現実を受け入れられず懊悩するヤチヨさん。
  
 その対比が秀逸でございましたな。
 
 さらに
そんな正常なのに正常じゃない、壊れてしまったというヤチヨさんに、
ポン子さんがかける言葉が秀逸。
 
 オーナーが、と話すヤチヨさんに対し、
ポン子さん、オーナーのことなど触れません
 
(もっともポン子さん、彼のことを知らないのでございますから、
 そもそも埒(らち)の外なのでございましょう)
 
 ホテリエとして、
地球人にも他の宇宙人と同様におもてなしをすればよい、
地球人だけではなく宇宙人をもてなしているということは
オーナーの願い以上のことをしていると説きます。
  
 こういう言葉が出るとは、ポン子さんも成長いたしましたなぁ。

 これがヤチヨさんの心に変化をもたらしたようでございますな。
 
 同じホテルのため、お客さまのためであっても、
それまではオーナーの言いつけだったから、
いつか彼が帰ってくるまでの臨時の仕事だから、
だったのでございますが、
ポン子さんの言葉で自分のこととしてホテルを考えるようになったわけでございます。
 
ロボットの自立でございますな。
 
 これがオープニングの意味でございましょう(今回はございませんでしたが)。
 
 オーナーの幻影と戯れていたヤチヨさんが、
たぬき星人たち仲間を得、
宇宙人をもてなすことで活き活きと輝いていくわけでございます。
  
 一方、トマリ・イオリさんは地球から去ることになります。
 
 最初の宇宙人来訪者が置いていってくれた、
カプセルの中の植物(?)によって、ウィルスは完全に除去されたのですが、
完全調整された宇宙船の中で何世代にもわたって生活していたために
地球人自身の体質が変化してしまったらしく、
地球では住めない体になっていたのでございます。
 
 何という皮肉。
 
 宇宙船に乗り、立ち去るイオリさん……なのですが、
ヤチヨさんのホテリエとしての定型あいさつ
またのお越しをお待ちしております」に感激して、言葉を返します。
 
きっとすぐに帰ってきます。それまでこのホテルを続けていってください
これがヤチヨさんにとって呪縛(ギアス)となるとも知らずに──。
 
きっとすぐっていつです
すぐ戻るっていつか訊いているんですけど
と叫びつつ、必至に宇宙船を追うヤチヨさん。
 
それを別れを惜しんでついてきていると勘違いしたトマリさんは、
笑顔でと手をふり応じます。
 
なにわろてんねん
なぜいつも大事なことを言わないんですか
人類のバカー!!
ヤチヨさんが絶叫して終劇
コミカルに終わらせてくれるところは最高です。
 
こういう意志の行き違いのコメディって、高度なんですよね。
 
一方のストーリーが進行している中で、
ではもう一方はということを考え、
そこに意外性を持ってきているわけでございますから。
 
この作品、全篇にわたってそういう部分があり、
笑いの中に人間の本質がある、上品なユーモア(人間性)溢れた作品と感じました。
 
 
 
 さて蛇足。
 
 日本においてアレルギーは、
1960年代にはほとんど報告がなかったものの、
1970年代になって急速に増えていったそうでございます。
 
 原因の一つとして考えられているのが衛生仮説
 
 乳幼児時の衛生状態が良過ぎると、
免疫力がつかずにアレルギーになりやすくなるというものでございます。
 
 その代わり衛生状態の悪いところでは
乳幼児の死亡率が高まるわけでございますから裏腹でございますな。
  
 たぬき星人たちは、
タメフンのそばで過ごしていたような連中でございますから、
免疫力が高いものと予想されます。
 
 要するに、タメフンというのは伏線だってのでございますな。
 
 加えてヤチヨさんはロボット
アレルギー関係ございませんし、
衛生に関しましても、そのままの状態で特に注意すべきところございません
 
 衛生に関しても、パンデミック下を過ごしたわけでございますし、
ホテルに仕えているのでございますから、知識は持っているものと思われます。
 
 ただし、知識としてだけだとも思うのですよね。
 
 あらかじめ組み込まれているものに関しましては
マニュアルどおりのことができますが、
それ以外は看過してしまうこともあるかと思うのでございます。
 
 死体処理もけっこう雑なことやっておりましたからねぇ。
 
 ですから、問題はホテルにあるのかもしれません。
 ホテルの建物外は清浄でも、ホテル内は意外にアレルゲン物質があったりして……。
 
 あっでも、トマリさんは、ホテルの外で宇宙服を脱ぎ、
そこで発症したのでございますから、そうでもございませんか。
 
 ……。
 
 まぁ、いずれにいたしましても、
人類が地球に帰ってくるためには、
アレルギーに対抗できるようにならなければなりませんな。
 
 そのためにはどうすればいいか?
 
 やはり、タヌキに倣ってタメフン生活をするべきなのでございましょうかねぇ。

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