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2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
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『深い穴に落ちてしまった』『深い穴に落ちてしまった』
イバン・レピラ:著 
白川貴子:訳
(創元推理文庫/2023/4)
 
EL NINO QUE ROBO EL CABALLO DE ATILA
by Ivan Repila,
2013
 

 このブログを見に来て下さる方は
多分興味ございませんでしょうし、
わたくし自身も、虫を食べる描写などが気持ち悪いので、
本来なら読む作品ではございません。
 
 ですから、今回は読まないでスルーしてください。
 
 ではなぜこのご本を買ったのかと申しますと、
章番号が素数のみということが1ページ目の紹介に書かれておりまして、
その一点に興味を持ったからでございます。
 
 なんかパラグラフ小説的に新しいことをやっているんじゃないか、
そう思ったのでございますな。
 
 結論を申しますと、そういうことはうかがえませんでした
 作者的に意味はございますでしょうが、
 
 裏には現代版『星の王子さま』と書かれておりますが、
児童書に分類できる代物ではございません
 
 寓話的で暗喩的な部分を『星の王子さま』と比したのでございましょう。
 
 お話しは題名どおり。
 
 おかあさんに食べ物の入った袋を届けに行く途中で、
兄弟が穴に落ちてしまいます。
 
 7メートルぐらいの底が広まった穴でございまして、
入り口が狭いために脱出できません。
 食べることが出来るものは虫とかそんなものでね、
おかあさんに持っていくための白い袋の中身は
お兄さんが断固として開けさせません。
 
 というわけで、二人ともやせ細っていくわけでございますよ。
 
兄の方は自分でルールを決めて命令するので
意識をまともに保っているのでございますが、
弟の方がね、反論しても受け容れてもらえず、
どんどんおかしくなられていくわけでございますよ。
  
ただ、兄の方はまともとは書きましたが、
この状況下でまともというのは異常なわけで、
やはり兄の方もおかしくなられているのだとは思います。
 
(シチュエーションとしては安部公房先生の「砂の女」に似ているのかなぁ、
 とおもったけれど、と思ったけれど、
 Eテレかなんかであらすじ聞いただけなので、黙ってよーっと)
 
 まぁ、マジックリアリズム的な幻想作品な感じでございますな。
物語の大半が穴の中で終始するので、
前衛的な舞台劇にもなりそうでございます。


 最初に書きましたとおり、
虫を食べたりするシーンがわたくしだめでしたので、
とばしとばし読んでいったのでございますが、
寓意や思わせぶりに満ちた作品でございます。
 
 作品内の法則も、それに支配されているのだと存じます。
 
 脱出ゲーム好きな方なら
この穴から脱出する方法を思いつくかもしれませんが、
最後から2番目の章まで脱出できませんし、
その時弟が脱出する方法も、理にかなった方法ではなく、
非現実的な──作者の夢に出て来たものだそうでございます──
やり方となっております。
  
 二桁の最後の素数・97が終章となります。
 
 穴を抜け出した弟は、人々に距離を取って取り巻かれ、
母に会い、ふたたび兄のところへと戻ってまいります。
 
 トーンはそれほど変わらないのでございますが、
それまでの穴の中が寓話的であり、
穴の外は神話的であるとわたくしには思えました。
 
 同時に、ひねた見方とおっしゃられることでございましょうが、
「読後、驚愕と力強い感動をもたらす」と帯に書かれております最終章がね、
確かに感動はあるのでございますが、
わたくしには作られたもの、
作られた感動というふうに感じてしまいました。
 
 落としどころはここという感じでまとめているようで……。
ただ、もっとページを尽くしたらそれはまた別物になってしまいますから、
この終わり方は正しいのでございましょうが。
 
  
 まぁ、文学でございますなぁ。
 
 この作品に対する方法は、2つあると存じます。
 
 1つは、訳者あとがきと「副読本」という2つの巻末記事を読み、
ああ、こういう作品だったと理解する方法。
 
 今1つは、分からないところは分からないままに、
 すべてをありのままに受け容れる方法。
  
 解説を読んでも明らかにされないこと、
 おそらくずっと分からないこともございますし、
 
 そのまま受け容れると申しましても、
 どこかしらに落としどころなくば、
 あまりにもふわふわとしていると申さざるを得ません。
 
 まぁ、その中間あたりで抱き留めるというのが
 受け止め方としては一般的でございましょう。
 
 もしくは、なかったことにするかでございますな。
 
 章が素数しか存在しない意味については、
一応あとがきに書かれてございますが、はっきりとではございませんでした。
 
 とりあえず、パラグラフ小説的な意味合いではないようではございます。
 
 
 なお、この作品には暗号が隠されております。
 あとがきのヒントで
 大体どこにどんな暗号が隠されているのかは分かるのでございますが、
 ざっと読むだけで次に行きたかったので、
 完全な解き方も答もわたくしは見いだしておりません。
  
 お好きな方はどうぞ、という感じでございます。
  
 
 ちゃんと読み込めば、
もっとしっかりしたことがいえるとは思うのてでございますが、
そこまでやる気はございませんし、こういう謎めいた文学作品は、
ご自身で読んで感じていただくのがいちばんだと思います
 
 というわけで、手抜きのそしり……でなくて、
本当に手抜きながら、この辺にて、でございます。

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