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2025/02/02 節分。2月2日が節分なのはめづらしい、と思っておりましたところ、これからしばらくは4年に一度2月2日が節分になるのだとか。一年が365日よりもほんのちょっと長いせいでこのようなことになるらしいですな。
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ゆうと様
 
ミュータントモグラの全身像。
  

に対するコメントありがとうございます。
 

ミュータントもぐらは頭に毛が三本有ります、これは普通のモグラですね!
 
 
 この件に関して、
まず割とストレートに、わたくしの見解を描いてしまいましょう。
 
 ミュータント・モグラも普通のモグラも、外見上の違いはございません。
 ミュータント・サブが普通の人間と変わらないのと同様、
 どちらもモグラとして見分けがつかないのでございます。
 
 エッと声が上がりましょうが、まずは落ち着いて。
 


 記事に引用したカットは、ともに
 
「Qちゃん鉄道」
(『藤子・F・不二雄大全集ミュータント・モグラ
   オバケのQ太郎3』)
より。
 
 最初のカットは
p.363の5コマ目。
2つ目は9コマ目。
3つめは次p.364の8コマ目
で、
ミュータント・モグラ
すべて一続きの話の中での登場でございます。
 
 しかも、最初のカットには、
わざわざ「モグラ」と注釈してございますから、
普通のモグラに違いございません。
 
 連続性があり、ミュータント・モグラ
しかも特に1カット目
「ミュータント・モグラ」ではなく
モグラ」と書き添えている点から考えて、
これらはすべて、単なるモグラなのでございます。
 
 穴から顔を覗かせた絵と、全身像で極端にフォルムが変わるのは、
それぞれ別のデフォルメをしたということに他ならないのでございますな。
 
 喩えるなら、島村ジョウさんや骨皮スネ夫さんの髪型ですとか、
正面から見ると普通の鼻なのに横から見るとやたら高い鼻のキャラクター
みたいな感じでございますな。
 
(もっといいキャラクターの例があると思いますが、ちょっと思いつきませんでした)
 
 カートゥーンと呼ばれる時代の古きアニメイションですと、
横を向くたびにメタモルフォーゼするようなやつでございます。
 
 そう、でございます。
 モグラの鼻って正面から見ると目立ちませんが、
から見るとどうしたって、そのとがり具合が特徴的となります。
 
 何しろとがっておりませんでしたら、地中を掘り進める感じいたしませんものな。
 それで、このように明らかに別種と見えるデフォルメになったのでございましょう。
 
 穴から出ているモグラにつきましては、
もうすでに石ノ森先生の中でキャラクターとして定着しているために、
新たに描き改めることはしなかったのだと思います。
 
 穴から出たこのこのキャラクターがモグラとして定着しているのに、
新たなキャラクターを描きますと、キャラクターがぶれてしまいますからな。
 
 穴から出たモグラが、ミュータントかどうかは関係なく普通にモグラを描いたもの
だということの傍証といたしましては、
最初から毛が3本として描かれているから、
ということがございます。
 
 MYフレンドの記事で、
石森章太郎落書きノート
からのカットを引用し、ミュータント・モグラ
このモグラが
最初期から存在する
ことを確認いたしましたな。
 
 ですがこれ、
(下に書かれた『~落書きノート』時のコメントでは、
 ミュータント・モグラとなっておりますものの)
その時は単なるモグラの絵であって、
ミュータント・モグラという名前はなかった
と思うのでございますよ。
 
 それがどうして「ミュータント」になったかと申しますと、
石ノ森先生が
マンガの中の様々なところでこのキャラクターを登場させるようになったから
だと思うのでございます。
 
 机の上、壁、何もない空間など、
ありとあらゆるところから登場することになった結果、
その理由づけとして、このモグラは異次元とか亜空間といったところに棲んでいて、
そこから現実世界にひょっこり姿を現すのだ
──そういう理屈と申しますか設定がついたのだと思います。
 
 それを踏まえて、上掲の
「マイフレンド」で使ったカットをごらんください。
 
 土から顔を出しておりますな。
 白いところにただモグラが描かれていて、判別に困る絵もございますが、
この時点の絵では、
少なくとも机の上など突飛なところから生えている例はないように存じます。
 
 「マイフレンド」の記事の時、このモグラは
手塚治虫先生のスパイダーやヒョウタンツギのようなキャラクターを
ということで作られたのではないか、と書きましたが、
自然にそうなっていったというほうが正しいかもしれません。
 
もう一つ、田河水泡先生が、自作にオタマジャクシやカエルを
トレードマークと申しますかサインとして入れておられましたが、
そのような意味もあるのでございましょう。
 
 
 さてここで、ゆうと様の言に及んでいたことが問題となります。
 
 普通のモグラの頭には、毛が3本なんてない。
 ではあれは何なのか
 
 つらつらそれを考えますと、
わたくしはとんでもない勘違いをしていたことに気づきます。
 
 ミュータント・モグラはもう少しデフォルメ率を低くいたしますと、
このような姿をしていたのだと想像されます。
 
  ミュータント・モグラ(1)
   (背後をのけぞって    (正面)       (背後) 
     見ている)
  
 
 そう、口を上方に向けていたのでございますな。
 そして毛が3本と思われていたのはモグラのヒゲ
地中を進むときに触覚の役を果たす部分でございます。
 
 モグラにとって重要な特徴でございますから、
デフォルメする際にそれを残した
ということは十分考えられることでございます。
 
 完全に上を向いている状態なら
とんがった鼻が目立つはずでございますが、
モグラは比較的深くない穴を横向きに掘っていくので、
完全に上向きに姿を現すということは少ないと思われます。
 
 ですから、モグラ叩きのモグラのように、
正面を向いた姿を描けばいいのでございますが、
それを目とヒゲだけという大胆な省略にして見せたわけでございますな。
 
 ちなみに、全身像については、
こんな感じのモグラからデフォルメしたものと思われます。
 
ミュータント・モグラ(2)
   
 
ですから、全身像では鼻に描かれたヒゲが、
土から顔を突き出した状態ではてっぺんに描かれている、
とそういうわけでございます。
 
  
『石森章太郎・落書きノート』
スタインベックのような”線“で”大人“マンガを描きたかった」
という文言がございます。
  
 このスタインベック、
検索しても『怒りの葡萄』の作者のことしか出てこず、
しかしそのお方は、こう言う絵を描いていないご様子。
 
にもかかわらず、スタインベック風と描かれた
絵の雰囲気には見覚えがあるので、
一体誰なのだろうと思っていたのでございますが、
どうやら、Saul Steinbergという方を
指しているようでございます。
 
 画像検索するとそれを思わせる線画がございますし、
Wikipediaによりますと、出展不明ではございますものの
 
「日本でも久里洋二や鈴木義司、藤子不二雄、真鍋博、古川タク、柳原良平、
 横山泰三、和田誠など多くの漫画家・イラストレーターに影響を与えた」
 
とございますので、間違いございませんでしょう。
 
 何か見たことのある絵と思ったのも、
そのような方々の絵のせいもあるかもしれません。
 
 石ノ森先生描く(ミュータント)モグラの目とヒゲだけという
極度に簡略化されたスタイルも、
ソール・スタインバーグ先生の影響と考えれば、
納得できることでございます。
 
ですから、全身像では鼻に描かれたヒゲが、
土から顔を突き出した状態ではてっぺんに描かれている、
とそういうわけでございます。
 
 
石森章太郎・落書きノート 
 
↑) スタインベック(おそらくスタインバーグ)に言及した絵。
そのことだけではなく、この絵に関して言えることは、
猫もネズミもヒゲをかなり強調して描いているということでございます。
 
 石ノ森先生は、とりあえずこの時期は
けっこうヒゲを特徴として描く傾向にあったことがここからうかがえます。
 ですから、モグラに関しても、
特にそのヒゲが強調されるのは不思議ではございませんでしょう。
 
 
 
  
 以上でございます。
 あらためてゆうと様、ありがとうございます。
 あなたのコメントがなければ、
ミュータントモグラを深掘りすることもございませんでしたし、
このような結論に発展することもございませんでした。
 
 とは申せ、これはわたくしの説でございます。
 皆さん他の意見をお持ちでしたらそれを大切にしてくださいませ 
 
 
 
余談:
石ノ森先生のデザインされたモグラとしてもう一つ有名なものといたしましては、
仮面ライダーアマゾン』のモグラ獣人がございます。
 
 その鼻先のようになっておりますが、
これはおそらく「ホシバナモグラ」というモグラを
モチーフにした意匠なのでございますな。
 
 ちなみにこのホシバナモグラ、
カナダ南東部からアメリカ合衆国東部あたりが生息域だとか。
アマゾンに住んでいるわけではないようでございます。

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