忍者ブログ
2025/01/22 以前『ロリ神』のところでちょっと触れたインドネシアのVチューバー、 Alia Adeliaさんが「卒業」なされたみたい。インドネシア語なんかまったく分からないので、ほとんど見ておりませんが、日本のお歌をふだんあまり聴かないわたくしなどは、この方のお歌で知ったものもございますし、たまにある日本語講座が言葉や例のチョイスとかがいろいろと変で面白うございました。昨年末の「卒業」動画で配信が止まっていることに気がつき、それを見ました。日本語でもあいさつしておりますが、理由についてははっきりとは語っておりません。コメント欄などを見るに、どうやら所属事務所の問題みたいなのでございますが、よく分かりません。
[874] [873] [872] [871] [870] [869] [868] [867] [866] [865] [864]
(小説ですがカテゴリー2つ持てないのでマンガカテゴリーで)


『サイボーグ009 トリビュート』
サイボーグ009 トリビュート石ノ森章太郎:原作 
 
(河出文庫/2024/7)
 

『サイボーグ009 太平洋の亡霊』とほぼ同時期に出た
九人の作家による短編集にございます。
 
 原作にないニッチな部分を描いたもの、
変わった視点から採りあげたもの。
 
いづれもみなさん原典を良く読み込んでリスペクトしており、
面白うございました。
 

 以下、順を追って紹介していくと、
  
「平和の戦士は死なず」 辻真先
 
 1968年テレビシリーズ、最終回の作者本人によるノベライズにございます。
 
 原作アニメでは謎の人形が敵となりますが、このノベライズでは
元黒い幽霊(ブラックゴースト)の異端の科学者・バランタインを置くことで、
物語的にもテーマ的にもより深いものになっております。


「アプローズ、アプローズ」 斜線堂有紀
 
平和の戦士は死なず」はヨミ篇ラストを参照にしておりましたが、
この作品もそのラストに対するオマージュ
その直後の物語でございます。
 
ところで、この作品では空気との摩擦で燃え尽きそうになった
(正しくは断熱圧縮(だんねつあっしゅく)によるのですが、
 当時の記述を採用したのでございましょう)
009らをいったん海底にテレポートさせたとありますが、
そういうのって001やったことあったかなぁ? 
 
海底には海水がございますから、
同時にそれと入れ替えないとならないのでございますよね。
でないと原子同士が同時に同じ場所に存在することになって爆発してしまう、
 
というのを、確か「吸血」だったか、短編でやっていたものでございますから、
ふと気になった次第。
 
まぁ、001ともなりますと、
その程度のことは出来てしまうのでございましょうが。
 
 
 
 
.「孤独な耳」 高野文緒
 
 政治家暗殺を阻止すべく、
003がバレエコンクールに目を光らせる──という作品でございます。
 
 彼女が主役というよりも、
アニー・スミスという貧しい黒人のバレリーナが中心となる話
と申してよろしゅうございましょう。
 
その点009のテーマの一つである人種を扱った作品とも申せますな。
 
 作者のバレエに対する造詣が深く、その描写はしっかりしております。
 
暗殺のトリックについては
超技術というよりもファンタジー入っている感ございますので、
ミステリーとしては弱くございますが、
まぁ、それを目指していないのでございましょう。
 
 001と003の関係について、
 
「僕たちがよく一緒にいるのは
 『赤ん坊の面倒を見るのは女の子の役割だから』ではない。」
 
以下、その理由を説明しているのには注目いたしますな。
 
 この作品集では、003が良く描かれているものが多く感じました。
 
 女性が参加していることもございますし、
ジェンダーが注目されることが多い現代でございますし、
原作が003を紅一点らしい、言ってみれば典型としての女性として描いているため、
色々と膨らませる部分があるということでございましょう。
 
 
  
「八つの部屋」西島伝法
 
ゼロゼロナンバーサイボーグ開発史を
ジェット・リンクの視点から見たちょっと変わった作品にございます。
 
 002~008までのサイボーグは複数いた
というのは原作ではない設定ではございますが、
現実的に考えればそうあってもおかしくはございますまい。
 
 何しろ実験には事故がつきものでございますからな。
 
 そこから各ナンバー一人が選ばれ、
選ばれなかった方はどこかの戦地へ派兵されるみたいでございます。
 
 002なんか最初は、
歩行用の脚とジェットとをいちいち取り替えることになっております。
 あんな細い足にマッハを越えるエンジンを組み込むのは無理、
という発想からそうなったのでございましょうな。
 
 物語の中盤で
それから二足歩行も飛行も可能な細い脚になるのでございますが、
その中間形態があまりなくていきなりなのがなんとも。
 
謎技術が投入されたのでございましょうな。
 
 そんな感じで、実験施設にいるジェット・リンクさんたちの
日常と過去の記憶が描かれるのでございますが、
ラスト、009の前にそろい踏みするあのシーンに収まるのが面白い。
 
 ちょっと、実写版『ストリートファイター』、
──あのキャプテン・サワダの出てくるヤツでございます──のラスト、
全員がゲーム中の衣装で勢揃いするシーンを思い出してしまいました。
 
 
  
「アルテミスコーリング」
 
 ヒーローものとしては異色作ではございますが、009の短編としてはありな作品。
 
『ミュータントサブ』や
『おかしなおかしなおかしなあの子(猿飛エッちゃん)』に連なる
ゴーストストーリーでございますな(ネタバレ)。
 
 このご本の中で、
石ノ森先生がマンガとして書いた場合の映像が
一番イメージしやすかった作品でございました。
 
 「わたしはアテナになりたかった」(p.239)以降の独白は
マンガでしたらカットされる場面かも。
でもエンディング後の数ページとして描かれるのも目に浮かんで、
そこは微妙でございます。
 
 
  
「wash」長谷敏司
 老境にさしかかった00戦士たちの活躍004中心に描いたもの。
 
 こちらはこちらで長編一巻分のマンガとしてイメージ出来る作品でございます。
 
 「ヨミ」篇やその後の「怪物島」篇に関わりが深いにもかかわらず、
そこからだいぶ経った現代の話であるため、
8マンvsサイボーグ009』同様の何で今さら感はございます。
 
 でもそこには目をつぶっていただいて。
 
 この作品、001と009、それに006が不参加
 
 001はなんでもアリなので普通のこと。
 
 主人公の009もチームものの主人公にありがちなことでございますが、
1人でおいしいところ持っていっちゃいますからね。
 彼が参加しないことで、より各メンバーの役割や能力が際立ち、
チームとして戦っていることを強く感じさせる展開となっておりますので、
正解と言ってよろしゅうございましょう。
 
 006は割を食ってしまいましたな
まぁ、コミカルなキャラクターというのは、扱いが難しいものでございます。
  
 代わりに意外な活躍を見せたのが005
前半登場しないので、
無口キャラは扱いが難しいのかな、お休みかな、と思っていたのでございますが、
後半に入って大活躍
壁と床をぶち抜きながら地下要塞に達するのでございますから
006のお株を奪ってしまいましたな。
 
 この作品でも良く描かれているのが、003
彼女ももちろん老境にかかっているのでございますが、
精神的な若さと美しさが描かれております。
 
 
  
「食火炭」
 
 「wash」で扱いが難しいと書いた、006を主人公とした作品にございますが、
やはり難しいですよね。
 
ふだん007と絡んでおりますが、
それほどフックとなる関係性があるわけではございませんし、
背景にしても、食べるものがなくて自殺しようと思ったところを
黒い幽霊にさらわれたというだけでございますし。
 
 原作でも006を主人公にした作品は短編1つか2つしか無かったと思います。
 
 結局書くとすれば、この作品のように過去を深掘りするしかないのでしょうな。
 
 ただね。それでも違和感ある。
 
 この作品では、張張湖さんは
飢饉の前は料理人で不自由なく過ごしていたことになっておりますけれど、
原作は当時の中国のイメージで貧しい農家で飢饉で食べるものがなくなったという
単純な描かれ方しかしていなかったと思いますものなぁ。
 
 というわけでこの作品、飢饉の悲惨さを描いた話にございます。
 
 その因縁で事件が起こるわけでございますが、
この作品も現代を舞台とするには過去から時間が経ちすぎた感、ございますな。
 
 まぁ、仕方がなくはございます。
 
 
 
「海はどこにでも」
 
 活躍の舞台が水中、しかも地味なため原作ではそれほど出番のない008ですが、
この作品集ではそれゆえに採りあげられている感がございます。
真面目で意志が強いゆえ、場所を与えられるといい働きをいたしますな。
 
 タイトルからわかるとおり、この作品もその008が主人公。
007が脇を固めますが、ほぼ008の作品でございます。
 
 舞台は宇宙。外壁と内壁の間に水を満たした宇宙船での冒険で、
その水の中を泳ぐ008のファーストシーンが印象的でございます。
 
 水中用サイボーグは宇宙用に最も近いということで、彼は船外でも活躍。
 もともとサイボーグと申しますのは
宇宙で人間が生存するために考え出されたものだと覚えておりますから、
まさに本来の姿でございますな。
 
 008が主人公のこの作品、
正直『サイボーグ009』の一篇という感じがいたしません。
 
 むしろ、60分から90分ぐらいのテレビシリーズか映画。
実写のSF作品がイメージに浮かぶ物語でございます。
 
 
 
「クーブラ・カーン」 円城塔
 
 ギルモア博士は老衰死後、
ネットワーク上全体がその思考を担うシステムに移行された。
 
 その結果、001との思考の交流は不可能になり、
一つの人格でありながらさまざまな思考が分裂拮抗する。
 
 地上人類を緩慢に絶滅させサイボーグに置きかえようと企む
システム・ギルモアを治療するため、
サイボーグ戦士たちはそのシステム停止に挑む。
 
 てな作品にございます。
 
「海はどこにでも」で書いた、
サイボーグが過酷な環境に適応するための処方であることを踏まえつつ、
 
 巨人頭脳による人類滅亡の選択、
 神=親(=システム・ギルモア)殺し、
 人類機械化・超人化に対する忌避感……
 
 と、非常に石ノ森先生らしいテーマを扱っていて、それを現代的に円城先生らしい落としどころで決着を付けているのがいいですな。
 
 それも、しっかりとしたアクションのストーリーの中で。
 短編ながら充実した内容にございます。
 
 その分難しいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
掉尾を飾るにふさわしい作品となっております。
 
 ただですな。
 文章に客観的な雰囲気を持たせるためでございましょうか、
登場人物を苗字で呼ぶのだけは少し違和感がございました。
 
  002をリンク009を島村などと書かれますと、
ん? と思ってしまいます。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 16 17 18
20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
道化の真実
性別:
男性
趣味:
ゲームブック
最新TB
ブログ内検索
バーコード
P R
フリーエリア
<
忍者ブログ [PR]