2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
「怪盗クイーン、そんなにも君はサーカスが好きになったのか」
『怪盗クイーンはサーカスがお好き』
ゲームブック
ゲームブック
(はやみねかおる・藤浪智之:著
/講談社青い鳥文庫/2022/6)
/講談社青い鳥文庫/2022/6)
『都市のトム&ソーヤ』シリーズと同じく、
はやみねかおる先生と藤浪智之先生の
お作りになった作品でございます。
怪盗クイーンシリーズの同タイトル作品を、
映画公開に合わせて
ゲームブックにしたものでございますな。
映画公開に合わせて
ゲームブックにしたものでございますな。
2部構成。
1部は、藤浪智之先生担当のゲームブックで、
パラグラフ数は、231(p.8-189)
「きみ」が新米の私立探偵となって大怪盗クイーンを追い、
彼が見物を予告した七輪曲芸団(セブン・リング・サーカス)の謎を追います。
彼が見物を予告した七輪曲芸団(セブン・リング・サーカス)の謎を追います。
2部ははやみねかおる先生担当の小説で
『怪盗は休暇がお好き』と題されておりますな。
『怪盗は休暇がお好き』と題されておりますな。
戦地での公演を実行しようとする七輪曲芸団(セブン・リング・サーカス)
……と怪盗クイーンの暗躍を描いた作品でございます。
2部構成の推理小説と申しますれば、シャーロック・ホームズ。
本作品は2部で過去にさかのぼるわけではございませんが、
すこしそれを思わせました。
本作品は2部で過去にさかのぼるわけではございませんが、
すこしそれを思わせました。
原作は相も変わらず読んでおりませんが、
ゲームブックは、同じストーリーの別視点だと思われます。
ゲームブックは、同じストーリーの別視点だと思われます。
原作では、怪盗クイーンが大活躍するのに対し、この作品では
その怪盗がなりすましているのは誰かを見破る探偵のお話二ございます。
その怪盗がなりすましているのは誰かを見破る探偵のお話二ございます。
ですから、原作・映画・本作、すべてを見ても読んでも楽しめる、
むしろすべてを見る読む方が楽しめるという形になっております。
むしろすべてを見る読む方が楽しめるという形になっております。
ですから、小声で逆を申しますと、
小説だとここでクイーンが活躍しているのだろうな、とか、
映像的な見せ場だろうな、という部分もございます。
小説だとここでクイーンが活躍しているのだろうな、とか、
映像的な見せ場だろうな、という部分もございます。
君は探偵なので、捜査が中心。
なのでアクションといたしましては、少々地味なのでございます。
さて、
このゲームブックで特徴的なのは、「探偵記録紙」にございます。
別名推理メモ。
『フタリソウサ』の「知ってたカード」みたいな感じで、
B~Fに捜査の途中で得られた言葉を記入していくのでございすな。
B~Fに捜査の途中で得られた言葉を記入していくのでございすな。
書き込むときは指定されておりますし、迷うことはございません。
要点がまとめられて、まさに記録紙でございますな。
ただし、初登場の仕組みなので、使われ方は単純。
すべてを埋めると、
サーカス団の真相が明らかになるというぐらいでございますな。
別にルートによって書くことが違うとか、
それによって真相が異なってくる、情報が抜けてしまうこともある、
ということもございません。
書き込んだ言葉に数字が隠されていて、
例えばBとGに隠された数を足した数字のパラグラフに進めですとか、
穴あきシートを上に載せて、出てきた数字のところへ跳べ、等というのも──。
穴あきシートを上に載せて、出てきた数字のところへ跳べ、等というのも──。
そのあたり、今後に期待というところでございましょう。
ところで、重箱の隅ではございますが、
Aは「~の団長」までがキーワードですよね。
結局のところサーカス団員の総意かも知れませんが、
本当に思っているのは団長なのですから。
Aは「~の団長」までがキーワードですよね。
結局のところサーカス団員の総意かも知れませんが、
本当に思っているのは団長なのですから。
さて、話の流れでございますが、
まずパラグラフ1~7までがプロローグ部分。
映画だとタイトル前になるのかな。
星菱邸から「リンデンの薔薇」が盗まれる事件が発生し、
8で怪盗クイーンの予告状──
これで次の舞台がサーカスになることが伝えられるのですな、
9で探偵記録紙の説明、そして15でスタート。サーカス入場でございます。
8で怪盗クイーンの予告状──
これで次の舞台がサーカスになることが伝えられるのですな、
9で探偵記録紙の説明、そして15でスタート。サーカス入場でございます。
サーカス内で迷うことはございません。
並列的な場所の分岐はあるものの、時系列によって捜査は進行しています。
捜査は常識に従って選択肢を選んでいけば、
それほどおかしなことになりはいたしません。
それほどおかしなことになりはいたしません。
常識では到達できないのが、ところどころパラグラフ数の下にあるQのマーク。
これはある場所である選択を選ばないと行けません。
ただ、このQマーク。それほど必要ではないかも?
もっとのびのある展開を期待していたので、少々残念でございました。
流れといたしましては、サーカス団員に聞き込みに行くと、
本番直前の慌ただしい中、問題が発生しておりまして、
それを解決することで記録紙に書き込む情報を得ていくという感じでございます。
本番直前の慌ただしい中、問題が発生しておりまして、
それを解決することで記録紙に書き込む情報を得ていくという感じでございます。
わたくしは2つほどもやっとしてしまいました。
暗号とか絵さがしとか、はっきりと1つの答えが出るものはいいのですけどね。
具体的には81の魔術師(マジシャン)の問題と187軽業師ですな。
魔術師の問題はまず、脱出マジックという言葉に引っかかってしまいました。
脱出というからには、最後に消失、舞台の上から完全に消えてしまうのかな?
だとすれば、体が完全に隠れた方がいいのかな。
でも、上からシートか何かをかけて覆い隠せばいいか。
十字架のは、天井まで上がって落下してきたときに、
人がいなくなってしまっていたというのが、推理小説か何かにあったなぁ……。
人がいなくなってしまっていたというのが、推理小説か何かにあったなぁ……。
などと考えていたので、本来の質問に至らなかったのでございます。
ですが、ちゃんと問題を理解していても、間違えたなぁ。
Aは根拠となることが
直前にあからさまに書いてあってもわからなかったかも。
直前にあからさまに書いてあってもわからなかったかも。
そのため、それを書いてあった方が、よかったように感じました。
書いてあっても、正解に至る方は何割か増えるだけだと存じますし、
分からなかった人は、答えが出たときに「そう言えば……」
と納得性が増すのではないかと思うのですよね。
書いてあっても、正解に至る方は何割か増えるだけだと存じますし、
分からなかった人は、答えが出たときに「そう言えば……」
と納得性が増すのではないかと思うのですよね。
でもこれはもしかすると、原作や映画、あるいは実際に
サーカスに行ったことのある人に有利になる問題なのかもしれません。
それならぱ理解は出来ますけれど、それでも関する描写はあった方がいいなぁ、
と、わたくしは思いました。
サーカスに行ったことのある人に有利になる問題なのかもしれません。
それならぱ理解は出来ますけれど、それでも関する描写はあった方がいいなぁ、
と、わたくしは思いました。
Bは、磔にされた側のテクニックなのかぁ。
ナイフ投げとかだと投げる側のテクニックですよねぇ。
剣で刺す演目は見たことがないからよく分からない……。
ナイフ投げとかだと投げる側のテクニックですよねぇ。
剣で刺す演目は見たことがないからよく分からない……。
Cは箱に入ったときからずっと同じ状態だったら、
ごまかしにはそれほど気づかないと思うなぁ。
ごまかしにはそれほど気づかないと思うなぁ。
箱の回転ノコギリがとおるスリット部分に鉄板を仕込んでおいて、
ノコが通るときにそれが下に落ちるようにしておけば、
ノコはギリギリのところで止まりますから、
それほど沈み込まなくても効果は出るのではと存じます。
よほど太った人は別ですし、完全切断というのならまた話は違いますが、
この問題の場合は、それで何とかなるのではございませんでしょうか。
187は、この中の誰かが犯人で、みんな本当のことを言っている
という条件があって始めて成立する問題にございます。
という条件があって始めて成立する問題にございます。
ただ、その条件ですと簡単すぎる気がいたしますし、
スキッとした解決ではないので、どうももやっとする……。
もう少し位置関係とか分かるようになっていて、それで解ける問題ならば……、
スキッとした解決ではないので、どうももやっとする……。
もう少し位置関係とか分かるようになっていて、それで解ける問題ならば……、
そう思ったものでございます。
というわけで、このあたりでゲームオーバーだったかもなのですが、
無視して前に進みます。
無視して前に進みます。
カギ師、軽業師、催眠術師を選ぶ場面では、
催眠術師を最後に選ぶのがよろしゅうございましょう。
催眠術師を最後に選ぶのがよろしゅうございましょう。
本作の中で一番力が入っていて、一番面白い箇所と思われるからでございます。
これについて思ったことがございますが、それはまたのちほど。
で、
それをクリアすればあとは解決編。
先ほど書きましたとおりモヤッとする部分はございましたものの、
常識的にプレイしていけば、常識的に解決出来るものかと存じます。
常識的にプレイしていけば、常識的に解決出来るものかと存じます。
わたくしは1回目、あくまで常識的にとやっていったので、
最後も探偵で収まりました。
その後全パラグラフを見てみましたが、物語自体が地味なので、
もう少し派手な部分があってもよかったかな、と思いました。
もう少し派手な部分があってもよかったかな、と思いました。
☆ ☆ ☆
はやみねかおる先生の短編『怪盗は休暇がお好き』は、後日譚。
サーカス団が異国の戦場でサーカスを開催しようとするお話でございます。
それを影から手助けする怪盗
──なのでございますが、結局主役を喰ってしまうという──。
戦争が間近に感じられる昨今(発売日の頃は今よりも)、
非常に臨場感あるテーマでございますな。
ゲームブックが地味な展開にならざるを得ないので、
派手成分をおぎなう目的もあるのでございましょう。
なかなか楽しめる展開でございました。
☆ ☆ ☆
先ほど残しました宿題をやってしまいましょう。
この作品の白眉はやはり、催眠術師の場面でございましょう。
ただでさえ夢の世界は、ゲームブックとの相性がよろしゅうございますよね。
時系列が変になっても、結末のそれぞれに矛盾が起きても、
夢の世界ならそれで納得がまいります。
夢の世界ならそれで納得がまいります。
それに、近ごろの藤浪智之先生の作品を見ておりますと、
夢やそれに類いする世界が意識的に盛り込まれていることが多い気がいたします。
夢やそれに類いする世界が意識的に盛り込まれていることが多い気がいたします。
おそらく先生が今一番やりたいことが、
ゲームブックで夢を心理を描くことなのではないかと存じます。
そのことを踏まえて思うのでございますが、
もういっそのこと次回作は、はやみねかおる先生にご協力いただいて、
夢をメインに据えたゲームブックの新シリーズを
起ちあげるのがいいと思うのでございますよね。
もういっそのこと次回作は、はやみねかおる先生にご協力いただいて、
夢をメインに据えたゲームブックの新シリーズを
起ちあげるのがいいと思うのでございますよね。
「ヤングナイトメアハンター」とか「リトルナイトメアハンター」という
シリーズタイトルで、設定は新たにして。
シリーズタイトルで、設定は新たにして。
と申しましても、旧来のナイトメアハンターのことは忘れましょう。
組織は無くして、学校でオカルトクラブに属しているとか、
それさえも無くてただの仲良しでもいいと思うのですよね。
組織は無くして、学校でオカルトクラブに属しているとか、
それさえも無くてただの仲良しでもいいと思うのですよね。
それが町で見かけた不思議なことに首を突っ込んでいく……。
最初はなーんだってことで……。
おっとあまり書きすぎてしまうと、やってくれないなぁ……。
やっぱりホラーは、大人よりも子供を主人公にしたほうが、
やりやすいし利あれティもあると思うのでございますよね。
やりやすいし利あれティもあると思うのでございますよね。
それに悪夢といった割り切れないものは、
ルールよりも文章で展開を買えていくゲームブックの方が
あっている気がするのでございます。
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悪夢は確かにゲームブック向きかも
悪夢を「出口の見えない迷路」とすると、これまでいちばん悪夢世界を描くのに成功したゲームブック作家は、ためらいなくゲームブックに無限ループを放り込んできた若桜木虔かもしれんなあ、などと思う夜。
ストーリーとパズルの融合なのですが
若桜木先生の手法は、
文章がうまくて、パラグラフをふんだんに使い、しかもパズル構造がしっかりしていないとバレてしまう芸当ですよね。構造(フロー)はプログラムで作っていて、それゆえに量産が利くみたいですけど。
フロー(構造)のパズルという点では、スティーブ・ジャクソン先生に一番近いのかもしれません。
ただ、あとがきに「最短手は○○手です」などと書くように、若桜木先生は作品を完全にパズルと了解していているのでございますよね。精巧なオートマトンの繰り返しから開放されるためには中身のカラクリを解析する必要があり、ちと無粋ですな。
若桜木先生としては、すべてを楽しんで欲しいということなのでございましょう。
この手法を発展させる方は、中のカラクリをいじることなしに悪夢から逃れるようにしていただきたい──そしてそれは、さほど難しいことではないと存じます。
文章がうまくて、パラグラフをふんだんに使い、しかもパズル構造がしっかりしていないとバレてしまう芸当ですよね。構造(フロー)はプログラムで作っていて、それゆえに量産が利くみたいですけど。
フロー(構造)のパズルという点では、スティーブ・ジャクソン先生に一番近いのかもしれません。
ただ、あとがきに「最短手は○○手です」などと書くように、若桜木先生は作品を完全にパズルと了解していているのでございますよね。精巧なオートマトンの繰り返しから開放されるためには中身のカラクリを解析する必要があり、ちと無粋ですな。
若桜木先生としては、すべてを楽しんで欲しいということなのでございましょう。
この手法を発展させる方は、中のカラクリをいじることなしに悪夢から逃れるようにしていただきたい──そしてそれは、さほど難しいことではないと存じます。
「恐ろしいのは中心のない迷路です」チェスタトン
ゲームブックで悪夢を表現する場合、「悪夢なんだから醒めなくてはいけない」のか、「悪夢なんだから醒めてはいけない」のかよくわからなくなってきたです。
「ユートピアなんだから出口も用意しなくてはいけない」のか「ユートピアなんだから出口が用意されていてはいけない」のか、という思想的対立にもつながるような気がしますな、「魔城の迷宮」と「永劫回帰」(だったっけ)の関係性みたいに……。
「ユートピアなんだから出口も用意しなくてはいけない」のか「ユートピアなんだから出口が用意されていてはいけない」のか、という思想的対立にもつながるような気がしますな、「魔城の迷宮」と「永劫回帰」(だったっけ)の関係性みたいに……。
哲学的な話でしたらご自身でご解決願います。
ゲーム的な話でございましたら、脱出する方法は用意されていなければなりません。
なぜなら迷宮は問題であり、そこから脱出することがゲームの目的となるからです。
考えにくいですが、脱出以外に目的があったとしても、その解決が脱出につながるのが自然でございます。
でなければ、迷宮が存在するゲーム的な意味がございませんでしょう。
ゲームでしたら、醒めることのない迷宮にいるのは対象者で、それを救うのは外部の人間となると思います。
悪夢の中にいる人間には醒めるための出口が見つからない。外部の人間の助力を得て、始めてそこから抜け出すことができる、ということで矛盾しないと存じます。
『魔城の迷宮』も、そう考えれば、外部の人間だから脱出できるのでございます。中の人間は、おそらくあのまま、時の止まったような世界で同じようなことをして過ごすのでございましょう。
なぜなら迷宮は問題であり、そこから脱出することがゲームの目的となるからです。
考えにくいですが、脱出以外に目的があったとしても、その解決が脱出につながるのが自然でございます。
でなければ、迷宮が存在するゲーム的な意味がございませんでしょう。
ゲームでしたら、醒めることのない迷宮にいるのは対象者で、それを救うのは外部の人間となると思います。
悪夢の中にいる人間には醒めるための出口が見つからない。外部の人間の助力を得て、始めてそこから抜け出すことができる、ということで矛盾しないと存じます。
『魔城の迷宮』も、そう考えれば、外部の人間だから脱出できるのでございます。中の人間は、おそらくあのまま、時の止まったような世界で同じようなことをして過ごすのでございましょう。
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