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2024/04/29 同じく『俗語百科事典』から。『目が点になる」という言葉は、さだまさんさんの盟友、ギタリストの福田幾太郎さんが言いだした言葉だとか。なんでもどおくまんの『嗚呼!! 花の応援団』(1975~)が好きで、そのキャラクターが驚くときに目が点で描かれているのを言葉にしたものだとか。意外に新しい言葉なのでございますなぁ。それ以前にもギャグマンガで驚いた時に目を点として描いたものはあると思うのですが。と申しますか、『花の応援団』ってもともと目が点だったり描かれていなかったりじゃございません?
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真夜中をさまようゲームブック
「真夜中をさまようゲームブック」 

『サキの忘れ物』津村記久子
新潮社(2020/6)  所収 
p.162-191 (パラグラフ数:62) 
 
 
 ((1)からの続き)
 
 分岐のことはそれぐらいにしておいて、
 内容について書こう。
 

 
 主人公の彷徨う町は、ごくごく普通の町だ。
 
 行ける場所も、漫喫、ファミレス、コンビニ、公園と
普通の町ならどこにでもあるような施設が並んでいる。
「君」の取れる行動もごくごく普通のものだが、
その結果起きる出来事は、ゲームブック的だ。
 
 特に、バッドエンド。
 
 冒頭の【読み方】にもあるとおり、
行動の選択によっては、
 主人公はかなり簡単に死んだり、警察に捕まったり」(p.162)する。
 日常も、それを一歩踏み外すと恐ろしい貌が姿を現す……というよりも、
この唐突さは、ゲームブック的、というか、
ゲームブックのパロディのように自分には感じた。
 
 ストーリーの肝となる部分は意外に遅く、パラグラフ60
そこで出会う幽霊との話がこのゲームブックのメインストーリーとなる。
 
 そこにたどり着く前までがいわばゲームブック的で、
そこで条件を集め、集めた条件によって、60以下の物語がマルチに展開していく。
 (攻略的なことをいえば、幽霊の頼みはすべて聞いた方がいい)
 
 そして、すべてのエンディングというよりも、
すべてのパラグラフを見渡すことで、この物語の様相が明らかになる。
 
 以前にも書いたが、ゲームブックの面白さの一つは、
この全体を見渡したときに見えてくるものがあると思う。
 
 そう言う意味でも、ゲームブック形式が意味のある作品だ。
 
 小説家の書くゲームブックというと、
 
 クノーの「あなたまかせのおはなし」や
ケヴィン・ブロックマイヤーの
「ループ・ゴールドバーク・マシンである人間の魂」のように、
文学としてのアプローチか、
 
『悪夢の妖怪村』鳥井加南子や『ツァラトゥストラの翼』岡嶋二人のように
ゲームブックとしてのものかのどちらかが普通だが、
 この作品は両方から均等にアプローチしてきたもののように思える。
 
 
 物語の長さとしても、パラグラフ的にも作品に合っている。
 構成は分かりやすい。
 ゲームブックにする意味があり、よく考えられている。
 いい作品だと思う。

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