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2024/04/29 同じく『俗語百科事典』から。『目が点になる」という言葉は、さだまさんさんの盟友、ギタリストの福田幾太郎さんが言いだした言葉だとか。なんでもどおくまんの『嗚呼!! 花の応援団』(1975~)が好きで、そのキャラクターが驚くときに目が点で描かれているのを言葉にしたものだとか。意外に新しい言葉なのでございますなぁ。それ以前にもギャグマンガで驚いた時に目を点として描いたものはあると思うのですが。と申しますか、『花の応援団』ってもともと目が点だったり描かれていなかったりじゃございません?
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 真夜中をさまようゲームブック
「真夜中をさまようゲームブック」 

『サキの忘れ物』津村記久子
新潮社(2020/6)  所収 
p.162-191 (パラグラフ数:62) 
 

(すぐ書くつもりだったのですが、
 お絵かきを途中にはさんだら、
 そのあと怠けてしまいました。
 すみません)
 
 
 初出である「美術手帳」版のこの作品の存在をネットで知り
古本で手に入れたのは、ブログにも書いてある。
2017年12月のことだ。
 
 だがそのときは、数パラグラフ読んだだけで放置してしまった。
 
 どのように読んでいいか、戸惑ってしまったのだ。
 
 まず、津村記久子先生のことを存じ上げなかったし、
「美術手帖」に載っていたことも唐突だ。
 
 特集である春画とも関係なさそうだし、なんとも唐突だった。

 しかも1を読んだところ、鍵をなくした「君」が、
朝まで町をうろつくという内容らしい。
 
 とりとめも無く、把握しづらい。
 
 一応目標としては、鍵を見つけることかな、とも思うが、明白ではない。
 
 というか、この手の小説では、
鍵は結局見つからずじまいということも十分にあり得る。
 
 レイアウトも、惑わせるものだった。
 
 パラグラフは四角で囲まれ、
ランダムな横線がその背後に流れるものなのだが、
そのデザインが、筒井康隆先生のパラレル小説、
デマ」を思い起こさせる。
横線がパラグラフをつないでいるように見えるが、
するとこの線は、特殊な関係を示す何らかの意味があるのだろうか?
 
 気にせずどんどんやっていけば良かったのだが、
どうもそこで止まってしまった。
 
 今回の書籍版ではその凝ったレイアウトはなくなっている。
とすると、やはりあのブロックと横線は、単にデザイン上のものだったようだ。
 
 デザイン上の不安がなくなったので、普通にゲームブックとして取り組める。
 
 主人公は「」。
 あとで「異性」が出てくるように、性別はどちらでもいい
とりあえずは自分と同じ性別でいいだろう。
 
 家に着くと、玄関の鍵を紛失していることに気づく。
だが、それを探すのがこの作品の目的ではない。
 
パラグラフによってはそれを聞くことが出来る箇所もあるが、
少ないし、手がかりを聞けるとかそういうこともない。
 
 目的は、明日の晩までの時間をつぶすこと。
 
 あってないようなものだ。
 
 ゲームには達成すべき目標(勝利条件)があるものなので、
これはゲームではないと言ってもいい。
(ただし、それが作品自体の評価を低めるものではない)
 
 プレイした際は構造が複雑と感じたが、実際はそうでもない。

 行けるところがいくつかあり、それが何度も登場するので、
ループしているのかなと思ったのだが、
何段階も丁寧に分けて書かれており、一方向移動型になっている。
 
 フローチャートが描きやすい構造だ。
 
 ただし、
公園(38)と自宅(57)のところでループが起ってしまっている。
特に条件もなく、
両方でそれぞれの場所に行く選択ができるので、
両方を何度でも行き来出来るのだ。
 
 行き来しても何か特になるということはないし、
常識で判断してループを回避すればいいところではある。
だが、条件をつけるなどしてこのループを興させないことは可能だったはずだ。
 
 ただ……。
 だがしかし、ここで問題になるのが、その後のパラグラフで現れる、
君はこれまでに2度家に帰ったことがあるだろうか?」という条件分岐だ。
この問いかけのためにループがあるかもしれない。
 が、パラグラフ57を2回通過することがここでいう
「2度家に帰ったこと」となると、「ある」と答える難易度はかなり高くなる。
ループするためには、公園で異性に遭う必要があり、
さらにその後の選択で家に帰ることを選択しなければならないからだ。
 
 一方、1で1度家に帰っているから、1度57へ行っただけで2度目
という考え方もできる。
 
 この2つの解釈、どちらが正しいのだろう。
 
 ということで、考えてみる。
  
 この選択があるのは、18、34だ。

 両方とも、隣の家を覗く不審人物に関するもので、それ以上のことはない。
つまり異性に遭う必要はない。
 
 だからよりシンプルな、
1で家に帰ったのを1度と考え、57が2度目以降と考える、
が正しいように思える。
 
 では、難易度という点からはどうだろう?
 
 18と34のうち、18の片方はバッドエンドになる道なので、さして重要ではない。
 
 問題は34だ。
 ここで変わるのは、マルチエンディングの終わり方で、
特にどちらがバッドエンドというわけでもない。
 
 が、家の鍵を手に入れられるエンドに行き着く可能性がある分、
2度家に帰った場合のほうがよりいいエンドという気はする。
 
 その難易度を上げるため、
57を2度通過するのだという考えも成り立つが、
そのエンディングの前に1つ、
あるアイテムを持っているかで分岐が分かれるので、
そこまでの難しさを作者は求めていないのでは、という気もする。
 
 読んでいたときは、57を2度通ることが2度目だと思っていたが、
文の意味から考えても、1が1度目で57を通れば2度目ということなのだろう。
 
 とはいえ(読解力がないといわれそうだが)、
ちょっとわかりにくい気がする。
 
 分岐の際の質問文を
「最初家に帰ったあと、また家に行ってみたことがあるだろうか」
ぐらいにしておいた方がいいのではないかと思う。
57を2度とおる必要があるのなら
「最初家に帰った分を除き、2度家に戻ったことがあるだろうか」だろうか。
 
 条件分岐の部分なので、ここはボーッと読んでいてもわかるぐらい、
はっきり書いておいた方がいいように思う。
 
(さらにいえば、57を2度とおる必要がないのならば
 公園から57へ行くパラグラフで
 「家に帰ったあとすでに1度戻っているのであれば行く必要はない」
 とでもすればループは防げるのだが……。
 
 ただし、作者はこのループを了解しているものと思われる。
 というのは、パラグラフ30のコンビニのシーンに
 「今夜初めてなのか、それとも何度か訪れたことがあるかわからないが」
 という文があるからだ。
 これは、何度かコンビニを訪れる可能性があることをふまえての文言だろう)
 
 

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