2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
篠田節子(2008/12 新潮社)
"The Seisen-shinpo-Kai Case"
p.146まで。
(まだ動いてませ~ん:)
(1)から続く。
パソコンではじめた宗教団体だが、いくら虚業とはいえ、信用と信頼、そして安心感を信者から得るためには、実際に拠点となる部屋が必要だ。
というわけで、ふたりは部屋を探しはじめる。
偶然にも、鈴木の入っていたマンションの一階、「木馬文庫」という喫茶店があった場所が売りに出されており、彼らはそれがいわくつきの物件であることを知って、破格の条件で自分たちのものにする。
このくだりは、運に味方をさせているが、それは仕方がないだろう。
それがなければ物語が動かない。
動かなければ、結局宗教団体の話は立ち消えになっていただろうし、
鈴木たちも、もっとマトモなことを考えはじめたにぢかいない。
それにしても、
もともと社会活動家が不当に占拠していたのを嫌って、この場所を売りに出していたというのに、
また得体の知れない宗教団体が入って、もとの持ち主は眉をひそめなかったのだろうか?
いや、眉ぐらいはひそめたのかもしれないな。
ただ、売ってしまったら、あとは関係ないと、無視を決め込むことにしたのかもしれない。
それとも、彼女はあとでまた出てくるのだろうか?
いずれにせよ、こうして彼らの宗教団体、「聖泉真法会」は、その活動を始める。
インテリアは、美大出の矢口が担当する。
(どうでもいいことだが、この矢口誠という人物、
私の中では、『逆転裁判』の矢張政志にイメージが変換されて仕方がないのだが……)
いろいろと描写があるが、 現実的な部分を隠すために布を微妙にたるませてたらしたり……。
要するに、特撮ものの悪の秘密結社のセットとかと思い出してもらうのが手っ取り早いだろう。
で、そこから悪っぽい要素を引く――。
ドライアイスは用いないものの、香を焚きしめ、ロウソクのほの灯かりで照明し、
神秘を演出しているわけだ。
拠点のある中野新橋といえば、新宿にほど近いあたり。
ここには、いろいろな人がそこに集まってくる。
もとここでやっていた社会活動ネットワークと間違えて迷い込んできた女性。
大手の宗教団体から流れてきた人。
家出少女。
神秘主義の超能力的な部分に傾倒する少年。
……。
それぞれが、内面にそれぞれの悩みと、心のゆがみをかかえている。
それを鈴木は、宗教的なものではなく、常識的な方法によって解いていく。
商売としての宗教といっても、鈴木は荒稼ぎを考えていない。
心の安定を与える対価として、何がしかの寄付を得て生活していこうという考えだ。
そのため彼は、神秘性をウリにはしない。
一応の教義や儀式はあるものの、それはまぁ、プラシーボ効果といったものだろう。
特に、彼女ら(女性が多いのでこう記す)、のかかえているのは、心の問題だ。
それに対して、思い込みが大きな力になるのも当たり前だろう。
もっとも、それだけではない。 女性の話を親身になって聞ける矢口と、
常識的でしっかりした物言いが出来る鈴木。
硬軟かみ合った両輪が、信者の悩みを引き受けていく。
特に、親身になって話を聞いてくれる存在は貴重だと思う。
作中にも書いてあったと思うが、いまの時代、自分のことを語りたがる人間は多くても、
それを聞いてくれる人というのは少ないからだ。
さらに、鈴木には有能な公務員だったという実績がある。
そのため、現実的な対応の仕方をよく知っており、そのための行動力もある。
当てにならないものではない、具体的・直接的な解決を彼は提示することが出来るのだ。
(もちろん、すべてに対して、というわけではないが)
これはつまり、悩みをかかえた女性にとっての、理想的な駆け込み場所となっているわけだ。
こういう駆け込み場所というのは、本来、他にもあってしかるべきだが、なかなか見つからない。
あるいは、悩みをかかえた人が見つけることが出来ない。
都会のど真ん中ともなれば、なおさらだ。
宗教組織という外面は、そういう人たちに目に付きやすく、入り込みやすいものなのだろう。
そうした理想的な現代の駆け込み寺の姿を、作者はここでまず提示したのでしないかと思う。
"The Seisen-shinpo-Kai Case"
p.146まで。
(まだ動いてませ~ん:)
(1)から続く。
パソコンではじめた宗教団体だが、いくら虚業とはいえ、信用と信頼、そして安心感を信者から得るためには、実際に拠点となる部屋が必要だ。
というわけで、ふたりは部屋を探しはじめる。
偶然にも、鈴木の入っていたマンションの一階、「木馬文庫」という喫茶店があった場所が売りに出されており、彼らはそれがいわくつきの物件であることを知って、破格の条件で自分たちのものにする。
このくだりは、運に味方をさせているが、それは仕方がないだろう。
それがなければ物語が動かない。
動かなければ、結局宗教団体の話は立ち消えになっていただろうし、
鈴木たちも、もっとマトモなことを考えはじめたにぢかいない。
それにしても、
もともと社会活動家が不当に占拠していたのを嫌って、この場所を売りに出していたというのに、
また得体の知れない宗教団体が入って、もとの持ち主は眉をひそめなかったのだろうか?
いや、眉ぐらいはひそめたのかもしれないな。
ただ、売ってしまったら、あとは関係ないと、無視を決め込むことにしたのかもしれない。
それとも、彼女はあとでまた出てくるのだろうか?
いずれにせよ、こうして彼らの宗教団体、「聖泉真法会」は、その活動を始める。
インテリアは、美大出の矢口が担当する。
(どうでもいいことだが、この矢口誠という人物、
私の中では、『逆転裁判』の矢張政志にイメージが変換されて仕方がないのだが……)
いろいろと描写があるが、 現実的な部分を隠すために布を微妙にたるませてたらしたり……。
要するに、特撮ものの悪の秘密結社のセットとかと思い出してもらうのが手っ取り早いだろう。
で、そこから悪っぽい要素を引く――。
ドライアイスは用いないものの、香を焚きしめ、ロウソクのほの灯かりで照明し、
神秘を演出しているわけだ。
拠点のある中野新橋といえば、新宿にほど近いあたり。
ここには、いろいろな人がそこに集まってくる。
もとここでやっていた社会活動ネットワークと間違えて迷い込んできた女性。
大手の宗教団体から流れてきた人。
家出少女。
神秘主義の超能力的な部分に傾倒する少年。
……。
それぞれが、内面にそれぞれの悩みと、心のゆがみをかかえている。
それを鈴木は、宗教的なものではなく、常識的な方法によって解いていく。
商売としての宗教といっても、鈴木は荒稼ぎを考えていない。
心の安定を与える対価として、何がしかの寄付を得て生活していこうという考えだ。
そのため彼は、神秘性をウリにはしない。
一応の教義や儀式はあるものの、それはまぁ、プラシーボ効果といったものだろう。
特に、彼女ら(女性が多いのでこう記す)、のかかえているのは、心の問題だ。
それに対して、思い込みが大きな力になるのも当たり前だろう。
もっとも、それだけではない。 女性の話を親身になって聞ける矢口と、
常識的でしっかりした物言いが出来る鈴木。
硬軟かみ合った両輪が、信者の悩みを引き受けていく。
特に、親身になって話を聞いてくれる存在は貴重だと思う。
作中にも書いてあったと思うが、いまの時代、自分のことを語りたがる人間は多くても、
それを聞いてくれる人というのは少ないからだ。
さらに、鈴木には有能な公務員だったという実績がある。
そのため、現実的な対応の仕方をよく知っており、そのための行動力もある。
当てにならないものではない、具体的・直接的な解決を彼は提示することが出来るのだ。
(もちろん、すべてに対して、というわけではないが)
これはつまり、悩みをかかえた女性にとっての、理想的な駆け込み場所となっているわけだ。
こういう駆け込み場所というのは、本来、他にもあってしかるべきだが、なかなか見つからない。
あるいは、悩みをかかえた人が見つけることが出来ない。
都会のど真ん中ともなれば、なおさらだ。
宗教組織という外面は、そういう人たちに目に付きやすく、入り込みやすいものなのだろう。
そうした理想的な現代の駆け込み寺の姿を、作者はここでまず提示したのでしないかと思う。
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