著 : 築地俊彦、新井輝、長野聖樹、七月隆文、水城正太郎
原作 : 畑健二郎
構成 : 水城正太郎&枯野瑛(A-Team)
イラスト : 畑健二郎、美水かがみ、氷川へきる、
あぼしまこ、YUG、あらきかなお、きぃら~☆、とりしも、むらたたいち
(2009/8 ガガガ文庫 小学館)
*ショートストーリー
「初の女性○イダーって何度も聞いたけど、気のせいですか?」 著/新井輝
「執事殺しフィギュア地獄」 著/築地俊彦
「貴嶋サキの驚愕」 著/七月隆文
「積○気冥界波って、ハー○ス軍には
ただのバシ○ーラだよね?
気をつけよう、迷子の伊澄と黄泉の国」 著/長野聖樹
この作品の特徴は、
とにかくパロディが多い、ということでございます。
それはまあ、上に挙げたショートストーリーのタイトルをご覧になっても、
おわかりいただけましょう。
原作でもそうなのでございましょうか?
だとしても、それ以上という感じがいたします。
ジャンプネタは、見つけるたびにラッキーになる可能性もございますし。
伏字だったり伏字じゃなかったりする部分も多ございます。
ネットで話題になったようなヤツも取り込んでおりますな。
それも、近頃話題になったようなものまで。
「漢字の読み間違えでマスコミから叩かれ、
おまけに大臣には裏切られ、政権交代の話まで……」(p.71,224)とか、
「同じ脚本を何回も放送したアニメ」(p.225)とか、
「ノリ○(ピー)」(p.178)とか――(これは偶然なのか??)。
…… ……
いいのか?
いずれにせよ、あと何年かすると面白みがわからなくなってしまうんじゃ……。
いや、そうじゃない!
何年か経つと、ここに載ったようなパロディは、
マニアックなトリビアと化し、それはそれで楽しいはずだ!!
と断言するかたもおられるかも知れませんが、
普通の方には、
お熱いうちにお召し上がりくださいませ、
と申しあげる次第にございます。
さて、
ゲームブック部分について、
システムは、ブレナンのシリーズに似ておりますな。
生命点の、サイコロ2個ふって4倍は同じ。
戦闘は、サイコロ2個をふって、基準点と比べる(ここでのそれは7)
というところまでは同じですが、ダメージ点が、
敵は出た目から6を引いたもの。
キミは出た目のままというような形で、
主人公側を有利にしているのが特徴でございます。
(ご存じない方に説明いたしますと、ブレナンのシリーズでは、
エクスカリバージュニアを装備することにより基準点が下がることで、
主人公を有利にしております。敵が強いので、あまり有利じゃないのですか……)
あと、以前にも書きましたが、
絵を描かせたり「黒歴史」を書かせたりというあたりもブレナンっぽいですな。
もっとも、考えてみますとそれだけで、パズルとかなぞなぞとかはございませんが。
でも、パラグラフ構成やアイテムもゲームブックらしいものを持っておりますし、
物語自体もバラエティに富んでいて楽しいものでございますから、
充分にゲームブックとして楽しめると存じます。
あっ、アイテムに関して注意事項を。
アイテムは、作品中で手に入るものを指しますし、
いろいろとたどっていけば、それはちゃんと手に入ります。
ですから、パラグラフ1には、
「『少年サンデー』を持っているなら、」
という選択肢がございますが、
実際にあなたが、何冊「少年サンデー」をもっていても意味はございません。
ゲームブック内で、
「『少年サンデー』はゲットすることができました」
と書かれている部分がございますから、
その文までたどりついた時に、
はじめて『少年サンデー』を手に入れることが出来るわけでございます。
当たり前だ、とおっしゃるかたもいらっしゃるかもしれませぬが、念のため。
あと、この作品で、
制作者の方(あとがきによりますと、枯野瑛先生?)が、
ゲームブックをよくわかっている、と思いましたのは、
ラスボスのあと、トゥルーエンドに向かう選択肢にほどこされました、
ちょっとした仕掛けからでございます。
* (具体的には……、クリアしてからじゃないと見ちゃダメ!! ですが ***パラグラフ38ですな)
そうそう、これこれ。
こういうのにやられて、
堂々巡りをしたゲームブックがいくつあったことか!!
で、さんざん右往左往した挙句に気づいて、
おもわずつぶやくわけですな。
「こういうことか……!」
と。
そういうことも含めて、
いやいや、楽しいゲームブックでございました。