篠田節子
(2008/12 新潮社)
"The Seisen-shinpo-Kai Case"
p.146まで。
作品中にゲームブックが登場しているということで気になっていたが、
ようやく図書館で借りることができた。
で、さっそく読んでいる途中。
もちろん、パラグラフ分岐がしていたりするわけではない。
それでも、作中でゲームブックがどのように扱われているかは、気になるものだ。
ただ、そのゲームブック『グゲ王国の秘宝』に関してははたぶんあとで書くことになると思う。
この著者の作品ははじめて読むのも、書いておく。
まずは開口一声。
いや、面白い。
ゲームブックに言及されているされていないは関係なく、とにかく面白い。
まず、キャラクターがいいのだ。
ゲームブックで失敗して宗教団体を始める、という粗筋を聞いたときは、
主人公は二十代、24~27ぐらいを想像していた。
だが、そうではない。
主人公の鈴木正彦(桐生慧海(きりゅうえかい))は、38歳。
そのパートナーとなる矢口誠(まこと)は、40歳。
二十代ならこの話も、一念発起して作ったゲームブックが大失敗して、
その勢いで一発儲けようと新興宗教を起ち上げたという話になるだろう。
それで、未熟さがたたってそれが失敗に終わる……。
そんな展開が予想できてしまう。
実際、ありそうな話だ。
そんな過程を経て失敗したゲーム会社とかベンチャーとかもあるだろう。
ところが、この小説の主人公は40近く。
しかも国家公務員のエリートコースを嘱望されていた、常識もあり実務もこなせる人間だ。
そのため、うわついた失敗はおかさないし、問題解決能力もある。
そして、パートナーの矢口は、企画屋でデザイナーで、人当たりが良く女受けがいい。
この硬軟まったく違う性格の二人がタッグを組むことで、
主人公がいう「虚業」を起ちあげる際にふりかかる、
トラブルを含むさまざまな出来事を解決していく……。
それがこの作品の、とりあえずここまでの魅力だ。
(続きます)