「奇想天外」21世紀版 アンソロジー 山口雅也編著
2017/10 南運堂
「復刻版」のほうは、あるものをまとめるので、それ以上のものは出来ないのですが、
21世紀版のほうは、
山口雅也先生が方針を決めて、一から作っているわけでございますから、
当然、その個性が色濃く出たものとなっております。
……。いや違いますな。
「同人誌活動的な企画を念頭に置いて編纂した」(p.3)
と書かれておりますとおり、もっと穏当な作りも出来たはずですのに、あえて個性を強く打ち出したものとなっております。その方が、新しい時代の「奇想天外」にふさわしいという判断なのでございましょう。
読者といたしましては、そんなの要らないと思いますのに、編者の趣味のおもむくまま、映画やビートルズのベストテンなんてものも載っておりますな。分厚いのにもかかわらず、お得感がうすい……。買おうかどうか迷ったのも、そのあたりにあったりいたします。
まぁ、あれば読みますが。
それはさておき。
この本における、興味と申しますと、やはり、p.435。
「鼎談 ミステリーゲームを遊ぼう」 我孫子武丸×山口雅也×遊井かなめ
でございましょう。
山口雅也先生と申せば、ゲームブック『13人目の名探偵』の著者。ここでも、他でもゲームブックに興味はないと申しておりますが、文学の可能性みたいなものには興味をお持ちのようで、ボルヘスの『八股の園』にはいくつかの作品で言及しておられますし(うろ覚えではございますが『生ける屍の死』と『奇偶』にはあった気が)、『謎(リドル)の謎(ミステリ)そのほかの謎(リドル)』というリドル小説の短編集なども出しております。
この鼎談でも、ミステリーゲームを中心に、『ドラクエ』や『Pokemon Go』などにも触れながら、ゲームにおける、ミステリーの可能性について語っておられます。
ただ……。ざっくりとしていたり、断定的だったりして、それほど深いところまで踏み込んでいないのが残念ですな。
ゲーム、特にミステリーを含むゲームともなれば、長いものも多く、お三方全員がプレイしているものも少ないようで、仕方がないのかもしれません。何か、山口先生は聞き役に回っていることが多いみたい。『逆転裁判』とかも聞き役に回っているけれど、ホントにやっていないのかなぁ。
とは申せ、実作家の視点ゆえ、いろいろと示唆的な部分があるのは確かでございます。
それらをゲームブックにフィードバックできるか、とかいう話は別として、物語の可能性、新しいかたちを考えてみることは、楽しいことだと存じます。
あと読むべきは、
「鼎談『あなたも作家になれるかもしれない といえないこともない』」
有栖川有栖×北村薫×山口雅也
でございますかね。
子供の時分の作文の話にはじまって、作品を制作するにあたっての心構えなどが語られております。
でもこう言うのって、読むと分かった気になっちゃったりするのですよね。
「なるほど」と思って、そのままになっちゃうとか……。
えっ、そういうのってわたくしだけ??!
そんなわけで、興味のあるかたは、お読みになってくださいませ。
というわけで、じゃあねぇ~!
ば~い
道化の真実