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2024/11/21 ソニーがKADOKAWAの買収を検討している。交渉は早ければ数週間で決着する可能性も、という話が2~3日前飛びこんでまいりましたな。これが本当でしたら、KADOKAWAのサイバー攻撃直後から話があったのでございましょう。これが成立すると紙媒体が減りそうですなぁ。清濁併せ呑むKADOKAWAの濁の部分が捨てられそうな気も。niconicoなんて過激な書き込みはアウトになって、映画やアーチストのプロモーションに使われそう。コンピュータゲーム界隈も合併・再編で面白くなくなった気がするけど、そうなるんだんだろ……のかなぁ。まぁ、技術のソニーでございますから、サイバー攻撃に対してはかなり信頼度の高いものとなりそうではございますが。
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あるいはその呪縛。
 
 前回紹介いたしました宮崎駿の手塚先生批判
宮崎駿先生の記事の載っておりました
「COMIC BOX」誌は、
手塚治虫先生の追悼特集号なのでございますな。
 

 宮崎駿先生の手塚先生に関するインタビューも、
そこに掲載されております(p.108-109)。
 
 もちろん、と申してよろしゅうございましょう。
お上品な亡き人を悼む追慕ではございません。
 
 手塚先生の作品の何がきらいかということを、
歯に衣着せぬ口調でハッキリとおっしゃっておられます。
 
宮崎駿先生の手塚治虫先生批判
 
 よく言われますアニメの制作費の安さの元凶を作ったことに対する批判は、
ここでは簡単に触れられているのみでございます。
それについては、もう語り尽くしたということでございましょう。
 
 それよりも、手塚作品の安っぽい悲劇性や安易な作劇に対して否を唱えておりますな。
 
 と、その方向性でこの記事をまとめようと思ったのでございますが、
そのうしろには、手塚先生の '89年の長いインタビューが……。
 
 
 
 とりあえずついでに読んでみました。
 
 「手塚さんは10年前何を語ったか 再録「珈琲と紅茶で深夜まで」
●interview 手塚治虫 ●企画・構成・制作/香月千成子(初出「ぱふ」'89 10月号)
 
 すると、手塚治虫先生は頭のいい方でございますからな。
 自分の作風については、ちゃんと理解しておられる。
 
 見えてくるのは、次の3つ。
 
(1)キャラクターは、パターンであり、記号である。
(2)自分は作家ではなく、職人。
(3)キャラクターよりもお話に重要性がある。
  
このあたりが、宮崎駿先生とは一線を画す部分でございますな。
 
 
(1)
は、おわかりでしょう。
   ジブリの仕事は、まさにパターンではない自然な動きや、
   自然な感情を表現した演技を目指しておりますからな。
  
 手塚先生は、みずからのマンガを
 センチメンタリズムはあるが感性はないと評しております。
 生身の感覚はなく、キャラクターは怒りとか悲しみとかを表す
 記号・文字のようなものおっしゃっておられます。
 
 

(2)は、常に雑誌に発表しウケ続けなければならない、
   そういう思いが、手塚先生には強かったようでございますな。
   そうしなければすぐに忘れ去られてしまう。

   だから、時代やジャンルにあわせて売らんがための職人的な細工をするのだと
   おっしゃっておられます。
    (その細工に隠された、本当に描きたいものを見て欲しいともおっしゃっておりますが)。
   キャラクターも話にあわせて変えられるように、
   パターンとしての性格はあるが、内面は割と空っぽだと自己分析しておられます。
 
 
 
(3)は、お話が重要で、
   ロックやケン一といった主人公クラスでも本当に愛してはいない、
   だから、話の都合で簡単につらい目にあわせてしまう、のだそうでございます。
 
   宮崎先生が問題にされていた、
   感動するからという理由でキャラクターを簡単に殺してしまうことができる
   というのも、そうした姿勢からでございましょう。


 
 

 キャラクターの動きや表情をパターンや記号とし、。
 ウケやテーマやストーリー上の都合のために、キャラクターをコマのように扱う

 そうした
 キャラクターの人間性を軽視した作り方に、宮崎駿先生は反発したのだと思います。
 ですから、これとは逆の方向を目指したのでございますな。
 
 1つ進化したスタイルと申せるかもしれません。
 
 
 ただ、この方法って、時間がかかるやり方でもあるのですよね。
 
 キャラクターの表情や動きをパターン化し、
 ストーリーが詰まったり盛り上がりに欠けるときは定番の手法で切り抜ける。
  
 そうすれば、時間をかけずにストーリーを展開していくことができます。
 連載を何本もかかえていた手塚先生にとっては必要な手段だったと申せましょう。

 (こういうのって、ノッているときはそれほど必要ないものですよね。
  鉄腕アトムの初期と初期の映画を比較したところで、
  宮崎先生が引き出しにあった残骸とおっしゃっているのが、こうした定番の手法でございますな)


 
 宮崎先生の作品が、制作期間が長くかかってしまったというのは、
こういう割り切りかたができなかったためでございましょう。
 
 そのことは、「いまひとたび『少女ネム』」のところにさし入れた、
『魔女の宅急便』のインタビューでもうかがえますな。
 
 後期の宮崎アニメが、起承転結がないなどと批判されるのも、おそらく
お話のために、登場人物をコマのように動かすことに対する反発があるためと存じます。
 
 
 
 
 ところで、手塚先生のインタビューで面白いのは、新人のマンガ家に対して、
先生がすなおに絶賛をするところでございます。
自分の描けない新しい感性をものすごく評価している
(新しいマンガに対抗・挑戦していったのが手塚先生でもあるのですが)。
 
 一方で、そうしたマイナーな、一部の熱烈なファンしか持てない作家ではなく、
マンガ界全体をひっくり返すほどの大きな潮流を生み出すマンガ家の出現を期待している。
 
 おそらくこれは、
マンガ界をひとりで変革・牽引してきた手塚先生の思いなのでございましょう。
 
自分に匹敵するような人物が現れて、マンガの新しい道を示してくれるのではないか。
でなければ、マンガというのはそのうち他のメディアに圧倒されてしまうのではないか。
 
 そんな期待と少しの恐れがあったのだと思います。
 
 
 結局、手塚先生亡き後はそうした大きな存在が現れることはなく、
いくつかの潮流はあるものの、個性的なそれぞれが乱立している時代となっておりますな。
 
 マーケティングのウケを狙った作品が一方であり、
エッジの効いた作品があり、
何でもない日常をつづった作品あり、

 中心はなくとも、マンガの多様性は広がっているようでございます。

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凄い
貴重な資料をありがとうございます。
大変興味深いブログです。
両者の比較も良く理解されて解説がわかりやすくてありがたいブログだと思いました。
私は細々Twitterをやる者ですが、時々、Twitterに貴方様のブログをあげてもよろしいですか?
いしかわ 2023/02/06(Mon)14:46:34 編集
どうぞ、ご随意に。
どういう方面の方か存じかねましたが、いしかわさま、
コメントありがとうございます。

この記事、書き加えなければならないところがあったと思っておりましたが、ちゃんと書いてございました。
しかも、思ったのよりもちゃんと。

手塚先生が『鉄腕アトム』(1963)をあまり動かないアニメでも行けると思ったのは、『ある町角の物語』(1961)がやはり動きがないアニメ映画にも関わらず、賞を取ってしまったからかもしれません。

それと、宮崎駿先生が、あの時手塚先生がやらなければ、テレビアニメはあと3年遅れていたかもしれない、とおっしゃっておられますが、それでもテレビアニメの予算は変わったかどうか……。
なにしろ、1966年には『ウルトラQ』が始まり、怪獣ブームが起こりますからねぇ。『W3』もそれが裏番組になったおかげで視聴率がガタンと落ちたそうでございますし。
やはり食い込むために、予算を勉強しなければならなかったかもしれません。


用件に関しましては、ご随意に。
ツイッターとかはですねぇ、やろうかな、と思ったりもしているのでございますが、怠け者でございまして──。
なお、様も、貴方も要りません。
まぁ、そちらのお好きなように、でございます。
道化の真実 2023/02/07(Tue)01:21:17 編集
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