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2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
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『暗黒日記』1942-1945

清沢洌(きよさわきよし)著
山本義彦編

岩波文庫(1990/7)



 日記にも関わらず、
この本には、クライマックスとでもいうべきものがある。

 それは、昭和20年4月15日の日記だ。

 3月10日の東京大空襲から、
著者が空襲に遭うこの日の記事への流れは、
描写が的確なこともあり、
構築された小説のようでさえある。

 それに、この日作者が体験したことが、奇跡。
 まさに小説のクライマックスのようなのだ。

 作者は空襲に遭ったと書いたが、それでかすり傷一つ負っていない。
家も焼けることなく残る。
それらはまさに偶然なくしてはありえなかったことだが、
作者の必死の行動と、その奇跡のような偶然、
そしてそのときの作者の心の動きが、まさに小説的なのだ。

 そのような奇跡によって、日記も作者も、空襲の被害から免れたのであるが、
残念なことにこの日記は、5月5日で終わっている。

 作者は、昭和20年5月21日、肺炎がもとで55歳で急逝したのだそうだ。
 戦争が直接の原因ではない(間接的にはあるだろうが)あたり、何か、天を仰ぎたくなる。

 広島・長崎の原爆投下、終戦、戦後……。
 ソれらを、作者はどう見たのだろうか。

(ちなみに、昭和18年8月17日の日記では、
「今回の戦争の後に、予は日本に資本主義が興ると信ず」と書いている)

昭和20年1月1日の日記で彼は、
「僕は、文筆的余生を、国民の考え方転換のために棒げるであろう。」
と書いている。
 まことに惜しいことだ。

 その、昭和20年1月1日の日記から、最後に引用しておこう。
今、引用した直前の部分だ。

 他にも引用したいところがあるのだが、
キリがないし、時間もない。

 あとはご自身でお読みいただきたい。

 今回挙げなかったが、
名前ぐらいは聞いたことがあるけれど、
何をやったか知らない人などについても、
実名で上がっていて、そういう点でも面白い。

 というわけで、とにかく読んでもらいたい。


p.261

一月一日(月)
(……)
日本国民は、今、初めて「戦争」を経験している。戦争は文化の母だとか、「百年戦争」だとかいって戦争を讃美してきたのは長いことだった。僕が迫害されたのは「反戦主義」だという理由からであった。戦争は、そんなに遊山(ゆさん)に行くようなものなのか。それを今、彼らは味っているのだ。だが、それでも彼らが、ほんとに戦争に懲(こ)りるかどうかは疑問だ。結果はむしろ反対なのではないかと思う。彼らは第一、戦争は不可避なものだと考えている。第二に彼らは戦争の英雄的であることに酔う。第三に彼らに国際的知識がない。知識の欠乏は驚くべきものがある。
 当分は戦争を嫌う気持ちが起ろうから、その間に正しい教育をしなくてはならぬ。それから婦人の地位をあげることも必要だ。
 日本で最大の不自由は、国際問題において、対手(あいて)の立場を説明することができない一事だ。日本には自分の立場しかない。この心的態度をかえる教育をしなければ、日本は断じて世界一等国となることはできぬ。総ての問題はここから出発しなくてはならぬ。
 日本が、どうぞして健全に進歩するように――それが心から願望される。この国に生れ、この国に死に、子々孫々もまた同じ運命を辿(たど)るのだ。いままでのように、蛮力が国家を偉大にするというような考え方を捨て、明智のみがこの国を救うものであることをこの国民が覚るように――。「仇討ち思想」が、国民の再起の動力になるようではこの国民に見込みはない。

(……)

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