(藤原萌実・著 山田真哉・監修 角川書店 1200円)
追加しておきました。
この書については、以前旧ゲームブックなチャットで書き込ませていただきましたので、
目新しさがないとおっしゃる方もおられましょう。
でもゲームブック倉庫番のデータとしては必要でございますから、
そのあたりはご勘弁のほどを。
今回書くことも大して変わりはございませぬが、それも悪しからずでございます。
さてさて、この本。
何でも『女子大生会計士の事件簿』というミステリ作品の
スピンオフ作品なのだそうでございます。
ウィキペディアで見ますと、けっこうシリーズ出ておりますな。
マンガやテレビにもなっている。
ただ、いわゆる本格的なミステリ小説、というわけではなさそうですな。
まっ、小説に関してはここでは脇役。
ゲームブックの話に参りましょう。
とは申せ、
ゲームブックとしても本格的なものではございません。
注釈する必要もないかもしれませぬが、
作者の藤原萌実は、『女子大生会計士の事件簿』の主人公でございます。
その彼女がはじめて書いたのがこの作品……、ということですが、
実際にお書きになったのは、
上掲書の作者でもありこの作品の監修の山田真哉先生なのでございましょう。
(道化の真実といたしましては、こういう解説はスルーして続けたいのでございますが、
一応正確を期したいところでございますからな)
ストーリーとしては、講義に行った大学の教室に閉じ込められて、
閉じ込めた何者かの出す会計に関する質問に、次々と答えていくという無理やりな設定。
大体2択で、まちがった答えを選ぶとゲームオーバーという理不尽な展開でございます。
一応、問題の出題者は誰かという推理要素もあるのでございますが、これがなんとも……。
確かに、女子大生がはじめて書いたミステリという設定にはあっている、ということは申せます。
こういう「意外な犯人」は、ついついやってみたくなるものでございますし、こんなことを思いついたのは自分が初めてじゃ、と思いたくなるのもわかりますが、ベテランの作家ならあけすけにこんなことはやらないものですからな。
オビの
「99.7%犯人はわからない!」
というのも、正しいかもしれません。
ただ、犯人がわかっても納得いかないという方もかなりいるのでは、と推測されるのですが。
たとえば、ENDの結末を犯人が望むのか? とか、
犯人だけで(作者の関与なしに)こんなことできるのか? ですとかね。
おっと、ネタバレぎみですな。
こんなことを書くと、犯人がわかってしまいそうです。
消しておきましょう。
まっ、クイズタイプのゲームブックですな。
クイズとしては、ストーリーがあって面白いかな? という感じでございます。
ただそれは、ゲームブックとしての面白さではない気がいたしますが。
会計入門書とオビに書かれておりますから、問題は初歩的なもの。
会計に関する知識ではなく、
その考え方を問うクイズが中心で、
おそらく
会計についてまったく知らなかったり、
原作や“監修者”の他作品を読んでなかったりするほうが、
より楽しめると存じます。
そういう意味では、わたくしは楽しめましたな。
それと、映画などで、いやな会計士とか出てまいりますが、
なるほど、こういう考え方を極端にするとヤな性格になるんだ、
とわかったような気がいたしました。
いえ、もちろん、
あわてて申しそえますが、
会計士の方がいやな性格と申しているわけではございませんよ。
そのあたり、賢明なゲームブックファンのお歴々でしたら、
言わないまでも充分承知していただけると、存じている次第でございます。