「BUG NEWS」誌1986年4月号に載った作品でございます。
死んだ黒人の最期の言葉をたよりに、東京を彷徨(さまよ)う私立探偵の話にございます。
別に依頼を受けたわけでもないのに調査するのですな。
登場人物のセリフの一部はアナグラムになっていて、それが次に行くべき場所を示しており、
そこがパズル性になっているのでございます。
で、そのアナグラムを解き明かし、町を転々としながら事件の核心に迫っていく、というわけでございます。
ただし、アナグラムが解けないとにっちもさっちも行かないというのではなく、
主人公がかってに解いてしまうことが多いので、
パラグラフジャンプ前に考え、ジャンプ後のパラグラフで答えを見る
という感じだと思えばよろしいでしょう。
パラグラフ数がもっと多ければ、そこらへん違ったものになっていたのかもしれませぬ。
で、そのアナグラムでございますが、
「ウン コクラエ」
「うちでまんこよ」
とか、下ネタが多ございますな、
まぁ、それは作者のアジなのでございましょう。
(何という地名のアナグラムかは、ご自身でお考え遊ばされまし)
なお、「バグニュース」誌のこの(1986年4月)号は、
この作品と申しますよりも、これが含まれます特集、
「ゲームブック145冊」全体に注目なのでございます。
「ウォーロック」誌以前の、ゲームブックの絶頂期とでもいえる時期を知る資料として。
特集末の「ゲームブックカタログ」には、
特上・松・竹・梅・並
の五段階で評価が付されております。
社会思想社・東京創元社・二見書房あたりを中心に評価が高いのは、現在と同じでございますな。
ただ、この評価、評価があまりにも紋切り型すぎて、わたくしなど反発を覚えるものでございます。
「並」に評価されてものなどは、読んでもいないんじゃないかというぐらいに。
確かに、そういう作品は、粗製乱造の産物といわれても仕方のない作品も多ございますが、
こういう作品を排除することは、ゲームブックとはこういうものだという観念を固定化してしまい、
結果的にその可能性を狭める結果となったと思うのでございます。
上記の三社の作品が好きな方にとっては、それでいいのでは? なのでございましょうが、
わたくしといたしましては、もっといろいろな可能性がゲームブックにはあると思うのでございます。
それはくだらないものかもしれませんが、
それでもとにかく、そう思うのでございます。