2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
『パイド・パイパー 自由への越境』
ネビル・シュート 著/池央秋訳
(創元推理文庫/2002/2)
ネヴィル・シュート先生と申せば、『渚にて』が有名でございますよね。
終末ものSFの傑作。
なんか暗い感じなのかな、と敬して遠ざけてきたのでございますが、
なぜか今回この作品を読んでみたわけでございます。
「自由への越境」なとという、
おそらく日本でつけられたしゃれた副題がついてございますが、正直要りませんな。
「パイド・パイパー」――「ハーメルンの笛吹き男」で知られる
ドイツの民話のタイトルだけで十分でございます。
ネビル・シュート 著/池央秋訳
(創元推理文庫/2002/2)
ネヴィル・シュート先生と申せば、『渚にて』が有名でございますよね。
終末ものSFの傑作。
なんか暗い感じなのかな、と敬して遠ざけてきたのでございますが、
なぜか今回この作品を読んでみたわけでございます。
「自由への越境」なとという、
おそらく日本でつけられたしゃれた副題がついてございますが、正直要りませんな。
「パイド・パイパー」――「ハーメルンの笛吹き男」で知られる
ドイツの民話のタイトルだけで十分でございます。
主人公は、ジョン・ハワードという老弁護士。
休暇を利用して、フランスの片田舎へ釣りに出かけたのでございますが、
なんと、それが1940年の夏。
ドイツがフランスを占領したそのときだったのでございます。
イギリスへ帰ろうとするハワードさんは、
宿泊先の家族から、子供をいっしょに連れて行って欲しいと頼まれます。
断れずに、連れて行くのでございますが、
旅を続けるうちに、同行の子供が次々と増えていって……。
北上次郎先生も解説でお書きになられているとおり、
本作はほんとうにそれだけのお話しでございます。
敵地潜入ものの変形ですが、同行するのが幼い子らなので、
この手の作品に共通する「内部の裏切り者はいない」……
たしかにそうなのでございますが、無邪気で気ままな子供たちの行動が、
それに変わるものとして機能しているのでございますな。
とにかく、子供が増えていくことが、旅を困難にしてまいります。
それぞれの子供たちに、個性があるのがよろしいですな。
最初のロナルドとシーラは好奇心旺盛、
あとで加わる孤児のピーターやマリヤンは無口だったりドイツに敵対的だったり、
最後にはドイツ人の娘・アンナも加わり……というふうに、
さまざまな人種、さまざまな性格の子供たちを引き連れて、
老人は難局を乗り越えていくのでございます。
占領下の道中なのでトーンは暗いですが、
そこにユーモアとそこはかとない前向きさがあって、
イギリスらしい小説でございますな。
最後のほうでは、ハワード自身のものではないが、回想的な恋愛話も入ります。
これがなんとも。
何の関係もない流れに見えて、その束ね方が実にうまい!!
こういうエピソードをこの話に入れようという発想には、さすがと感心いたしました。
さて、
小説を読むとき、普通の人なら誰だって、
この作品をゲームブックにしたらどうだろうと考えますよね。
……。
ますよね!!
この作品などは、まさにそれ、
ゲームブックにぴったりな題材だと思うのでございます。
最初のほうでは、ハワードさんは、
ドイツ侵攻に対する見通しの甘さとその他の理由で、出発を先送りしてしまいます。
それがもし、すぐに行動していたらどうだったでしょう?
子供が病気になったとき、その地でとどまったことが正解だったのか、
それとも先を急ぐべきだったのか?
子供たちのあしらいはどうだろう?
移動手段は? ルートの選定は? もっとささいな場面でどう行動するか……?
いちいち選択肢を立てていたらその数は膨大になってしまいますし、
収拾もつかなくなりそうですが、
あらゆる局面で、緊張感のある判断を読者に求めることができそうでございます。
特にクライマックス。ゲシュタポに捕まってからどうするのか?
身一つならばさらに大胆な行動を取れるかも知れないが、
子供を連れてどう行動するか?
少々ネタバレになってしまいますが、
この物語では、結果的に子供連れだったことが、正解だったのでございます。
おそらくそうでなかったら、生きていなかったでございましょう。
そのあたりも含めて、面白い。
運命と人間の心の機微がよく描かれている作品だと存じます。
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