2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
『なめくじに聞いてみろ』
都筑道夫
(講談社文庫/新装版:2021/7)
都筑道夫
(講談社文庫/新装版:2021/7)
タイトルからは想像できませんが、
アクション小説でございます。
元のタイトルは『飢えた遺産』、
1962年に東都書房というところから出たようでございます。
解説によりますと、雑誌連載があったそうでございますが、
何に掲載されたかは分かりませんでした。
映画化は、『殺人狂時代』(機会に恵まれず、見てはおりません)。
解説にもございますように岡本喜八監督の作品でございますが、
原作とはかけ離れたものみたいですな。
解説にもございますように岡本喜八監督の作品でございますが、
原作とはかけ離れたものみたいですな。
タイトルの「なめくじに聞いてみろ」は
決めぜりふ的に用いられる言葉でございますが、
作品を言い表しているものではございません。
(でも、作品作者の雰囲気は表わしているのかも?)
主人公桔梗信治の父、桔梗信輔は、科学者でございまして、
ナチスドイツで毒ガスの開発などに関わっていた(p.156)お人でございます。
その後出羽山中に疎開した後も、様々な殺人技術を考案し、
その突飛な方法を殺し屋に通信教授していたのだとか。
ナチスドイツで毒ガスの開発などに関わっていた(p.156)お人でございます。
その後出羽山中に疎開した後も、様々な殺人技術を考案し、
その突飛な方法を殺し屋に通信教授していたのだとか。
その負の遺産をそそぐべく、信治さんは、
父親の弟子、孫弟子というべき人物と、
1人1人と対決していくわけでございますな。
なかなかいい設定。
なのはさておき、ですから活劇ものと申しましても、
対戦格闘ゲームのように1対1の対決が中心となるのでございます。
忍者ものや剣豪小説なんかに見られる形でございますな。
対戦格闘ゲームのように1対1の対決が中心となるのでございます。
忍者ものや剣豪小説なんかに見られる形でございますな。
こうした展開の場合、重要なのは敵のキャラクター。
その性格や生い立ちが独特で、
その攻撃方法が特異であればあるほど、
読者の興味を引くというものでございます。
その性格や生い立ちが独特で、
その攻撃方法が特異であればあるほど、
読者の興味を引くというものでございます。
『なめくじに聞いてみろ』の場合、
敵の生い立ちはそれほど深く書かれていないものの、
キャラクターの外見や職業、それに主人公との対決の場所は、
注意深く分けて書かれております。
敵の生い立ちはそれほど深く書かれていないものの、
キャラクターの外見や職業、それに主人公との対決の場所は、
注意深く分けて書かれております。
もちろん、その得物と戦い方も。
彼ら彼女らの使う武器は、トランプや傘といった日常品であったり、
コブラの前身かと思われる仕込み銃であったり、独特なのでございますな。
コブラの前身かと思われる仕込み銃であったり、独特なのでございますな。
暗殺を目的としたそれらの武器は、スパイの秘密装備的でございまして、
その戦いもスパイ物的でございます。
狭い室内でばかり戦っているわけではございませんが、
007『ロシアより愛を込めて』で電車の個室内にて、
アタッシュケースをめぐる攻防がございましょう。
あのような戦いが手を変え品を変え発生するわけでございます。
そうしたくせもの揃いの難敵に対決を挑む主人公の桔梗信治は、
交差点を斜めにわたる世間知らずのひょうひょうとした田舎者
として登場いたしますが、それはお芝居であったのか、
それとも書いているうちに性格が変わったか(雑誌連載だそうでございますし)、
次第に達人レベルの身体能力と洒落たセリフをこなす、
スパイ物の主人公らしい人物に変わってまいります。
セリフは当時の日常でもなくて、外国のスパイ物でもなくて、
邦画のアクションものの感じかな。
ただね。いかんせん古い。
例えば、今なら使い捨てカイロでも使うところで、
蓄熱式の電熱あんかなんて言葉が出て来たり。
蓄熱式の電熱あんかなんて言葉が出て来たり。
紙のこよりを作るシーンでは、ティッシュではなくて鼻紙だったり。
ちょっとおしゃれ度が落ちてしまうというものでございます。
ただ、もちろん、そういうのは善し悪しでございますな。
設定のいくつかは、今の時代では出来ない、もしくは書けないものでございますし。
そうでなくても、この時代だからこその味もあるというものでございます。
携帯電話がないのも、そうしたものの1つだと思いますが、
この作品ではそれが足かせになる場面はなかったように存じます。
まぁね、そこら辺は書き方、話の進め方というものでございましょう。
さて。
1人1人と対決していく形式でございますから、
最後には圧倒的強さのラスボス登場、と相成ってほしいものでございますが、
そこら辺の欲求は満たしてくれませんでした。
見ていない「殺人狂時代」では、溝呂木博士がその役目を担っているのかな?
そうでございましたら、やはり、この作品にはラスボス的要素が欲しいものでございます。
おそらく映画では、その辺考慮されたのでございましょう。
でも都筑先生は、それをなさいませんでした。
代わりに用意したのが、実は、という推理的要素。
そこらへん、推理作家の都筑先生らしいと申せましょう。
でも、ラスボスと対決する盛り上がりは欲しかったなぁ。
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