エドワード・パッカード著
(1985/11 アドベンチャーブックス9 講談社)
"SUPERCOMPUTER" by EDWARD PACKARD.
Illustrated by FRANK BOLLE
(1984 Bantam Books)
紹介文を追加しておきました。
この作品については、ドロシー! さまのブログ、
「パラグラフの狭間で」の2008年03月22日の記事
「天才コンピュータAI32」→■
のところに書き込みましたコメントと大して変わってございません。
まあ、読み返してみた結果、少し印象が良くなりましたが。
AI32は、有機バイオチップ内臓の第6世代コンピュータ。
そのため、個体による格差がございます。
それらのうちの一番低能なものでも、
まあ、普通のマイコン(時代を感じさせますな)よりも頭がよいのですが、
主人公がプログラムコンテストの賞品としてもらったそれは、天才レベルだったのでございます。
えっと主人公は、
ソバカスで、鼻が低く、ちょっと丸い体型の少年。
普通な感じを出したかったのでしょうな。
そこらへんにも時代を感じさせます。
いまの日本でリライトされたら、もっとカッコいいというか、普通のマンガの主人公っぽくなるでしょう。
コンピュータのプログラムコンテストで優勝した少年にしては、そんなに鋭そうに見えないのですが、これも普通の少年ということなのでございましょう。
コンピュータについても、その当時としてもいかにもでかくてゴツい感じ。
すごいコンピュータなので大きい、ということなのでございましょうな。
抱えなければ持てないほどで、デザイン的にも、その当時にしても一時代前なのでは、という印象を持たざるをえません。
プリンタの排出口も、紙テープを想定しているのでございましょう。
小さくて、一時代前という感じでございますな。
この作品がバンタム社から発売された1984年と申さば、マッキントッシュ発売の年でございますから、
もう少し洗練されたデザインであっても良い気がするのですが、
やはりアメリカ人は、大きいことはいいことなのでしょうな。
さすがはX-boxのお国でございます。
それにいたしましても、冒険するのにはこれを持ち歩くのでございますから、
いやはや大変なことにございます。
最初期に登場した携帯電話など、これに比べれば軽いものともうせましょう。
もっとも、コンピュータの製作者としては、そんな使い方は想定していなかったのでございましょうけどね。
さて、このコンピュータ、「天才」とタイトルされるだけあって、まさになんでもできるコンピュータでございます。
会話も普通にできますし、大統領の電話回線にも侵入できちゃう。
未来予知と等しい推論も可能ですし、悪いことはできないといいながら、うそだってつけちゃう。
まあ、コンピュータが普及する以前に考えられた、夢のコンピュータのイメージに追従しておりますな。
もっと申しますれば、『アラジンと魔法のランプ』のなんでもできる魔人、
あれをコンピュータに置き換えたものと申してもよろしゅうございましょう。
コンピュータに対するこのようなイメージと申すは、子供向けの読み物におきしては、以前には一つの典型であったように存じます。
そんなコンピュータを携えて冒険したり、金持ちになったり、頭を良くしたりするわけでございます。
バラエティに富んだ冒険でございますが、そのひとつひとつがいかにもアメリカ的という感じでなのでございますな。
さらに118ページ(コメントでは116ページと書きましたが、間違いでしたな)に結末が22もあるものですから、一篇が短かったり中途半端な終わり方があったりで、もう少し続いてくれたら……という部分もございました。
内容も、いかにもな感じの子供向けでございますし。
ただ、
こうしたバラエティに富んだ拡散型の作品は、まだまだ可能性があるように感じます。
上述のように、一つ一つの展開が短くなる欠点はございますものの、わたくしとしては好きな部類でございますな。
なお、上記ブログの2008年03月29日「アドベンチャーブックス」の記事には、
同ゲームブックを含む、講談社のゲームブック
『山のサバイバル』
『殺人犯はだれだ』
『スペース・パトロール』
『ドラキュラ特急』
『天才コンピュータAI32』
のフローチャートが置かれております。
エクセル形式のファイルを読むことができる環境にあるかたは、ダウンロードしてみてはいかがでしょう。
(まぁ、他人に頼らなくともここら辺のゲームブックは、フローチャートが手軽に書けるレベルのパラグラフ構成ではございますが)