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2024/11/21 ソニーがKADOKAWAの買収を検討している。交渉は早ければ数週間で決着する可能性も、という話が2~3日前飛びこんでまいりましたな。これが本当でしたら、KADOKAWAのサイバー攻撃直後から話があったのでございましょう。これが成立すると紙媒体が減りそうですなぁ。清濁併せ呑むKADOKAWAの濁の部分が捨てられそうな気も。niconicoなんて過激な書き込みはアウトになって、映画やアーチストのプロモーションに使われそう。コンピュータゲーム界隈も合併・再編で面白くなくなった気がするけど、そうなるんだんだろ……のかなぁ。まぁ、技術のソニーでございますから、サイバー攻撃に対してはかなり信頼度の高いものとなりそうではございますが。
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(「起承転結」について(1)り続く)
 
 
(5)いしいひさいち
 
四コマの起承転結を破壊したと言われるいしいひさいち先生は、
インタビュー風の文章で次のようにお書きになっておられます。

 (「文藝別冊 総特集 いしいひさいち」
    (河出書房新社/2012/6/2016/7増補新版))
 
 そもそも四コマに起承転結というセオリーは存在しない。
 起承転結に則って描くプロはいない。
 
 楽しむにしてもリズムは多様であって要件ではない。
 
 笑いがすべての世界では秀作か凡作か以外にはない。
 
 あるとすれば読者の認識の観念的なフレーム、後知恵であり、
 四コマに起承転結がないのはけしからんという議論は幼い。
 
と。
最後に「今の見解は?」「でっちあげです」とごまかしておりますが、
本心でございましょう。
 
 
 また、日常系四コマについても、
 
 面白いかつまらないかは起承転結とは関係ない
 
 とお書きになっておられます。
 
 オチがないからつまらないのではなく、
 つまらないものはつまらないからつまらないのだと。
 
 四コマのオチは落語のサゲやシメと違い、
 四コマで腑に落ちればよいのであって四コマ目である必要はないと
 再認識させられた、だそうでございます。
 
 実にいしい先生らしい。
 傾聴すべきお言葉だと存じます。
 
「読者の認識の観念的なフレーム、後知恵」というのは、
(3)で書いたことでございますな。
 
 起承転結はある意味あたりまえのことを言っているので、
 物語というものは、(このコマは起承が一緒になっているとか、
 この二コマで承になっているなどとすれば)、
 大抵起承転結の枠に収めることができるのでございます。
 
 
 
 そしてギャグとは驚き、意外性こそ命でございます。
 
 こういう流れなのだろうという予想を裏切ってこそなのでございますから、
 起承転結という安定した形を外すことも、
 その意外性と申すことができると存じます。
 
「楽しむにしてもリズムは多様」ということも重要で、
 四コマのような短いものの場合特に、
 同じパターンが並ぶとそこに意外性がなくなってきてしまうのですな。
  
 繰り返しのギャグや、
 パターン、マンネリズムの美学を用いる場合には有効でございますが。

 
 
 でも、いしい先生の作品の中でも起承転結になっているものはあるぞ?
 
 まぁ、それは観念的なフレームだとおっしゃられるのでございましょう。
 起承転結になっていることを否定しているのではなくて、
そのような構造のセオリーはないとおっしゃられているのでございますから。
 
 
 
 でも
そうはおっしゃられても、起承転結というセオリーはあるのだと思います。
 
 ただし、それは古いセオリーなのでございましょう。
 
 ですから、
いしい四コマがそれを崩したという説は、正しいのでございます
(いしい先生の前にも、セオリーを無視したスタイルはあったと存じますが)。
 
 四コマのオチは落語のサゲやシメとは違う
とおっしゃっておりますが、そのサゲシメこそが古いスタイルなのでございます。
 
 そして、
それらがある作品については起承転結のセオリーが通用するのでございますな。
 
 例えば落語の小話や昔の漫才、そして古い四コマなどがそれらに当たると存じます。
 
 
 
 
 このようなセオリーがなくなり、ルール無用になったのは、
「ザ・マンザイ」あたりのマンザイブームのころからでございましょうか。
 
 ビートたけしがつるべ打ち式にボケをエスカレートさせていき、
きよしが合いの手のようにうながしたりツッコんだりするというような、
一番面白い転の部分だけ残し、
他の部分を話の流れに組み入れたり簡略化していって、
スピードアップと濃縮化をしていったのが新しいスタイルでございますな。
 
 (その際、起承転結を意識していたかは存じませんが)。
 
 いしい先生のほうがマンザイブームよりも早い気がいたしますが、
そういうルール無用のセオリーに立っているからこその、
起承転結などないという発言なのだと存じます。
 
 
(6)小話、漫才、四コマ
 
 その古典的なスタイルはどのようにして成立したか。
 漫才の最小単位から考えてみましょう。
 小話も会話で進行するので、基本は一緒でございます。
 それらの最も短い形は、おおよそ次のような流れで成り立っていると存じます。
 
(1) ボケが話を切り出す。
(2) ツッコミが続きをうながす。(「ヘェ」「それで?」)
(3) ボケがトンデモないことを言う。
(4) ツッコミが、常識的な観点から意義を申したる。=ツッコミを入れる。
  (「なんでやねん」「そんなわけないやろ」)
 
(3)のボケが単体ではわかりにくい場合には、
(4)で補足説明が入ったりもいたしますな(「そりゃ、○○やろ」)
  
 小話や四コマの場合も結の部分でオチがつくことが多いので、
補足があるほうが基本でございましょう。
結がツッコミだけで終わるのは、その短縮形ですな。
 
 
 いずれにせよ、これが古典的な笑いの最小単位でございます。
 
 この形は自然発生的に出来たものでございましょう。
 無駄がなく、基本的で、安定感がございますな
 
 
 それが、小説の構造を説明するための
起承転結のために使われたという流れでございます。
 
 ただ、漢詩とか四コマでしたら起承転結とは
一行一コマとの間で一対一対応できますが、
ある程度の長さの作品となると話は違ってまいります。
 単純に四等分というわけにはまいりません
 
 特にの部分。
 
 転換点という言葉があるとおり、
転はある一点、もしくは短い箇所を指すような気がいたします。
 
 それをどう考えたらよろしゅうございましょう。 
 
 ピンポイントである転を構成の1つとして入れ、
ちぐはぐなバランスの起承転結でよしとするのか。
 
 それとも三部構成と考えるのか。
 
 あるいは、○○からクライマックスまでを転と考え、
 起承転結を均等な配置とするのか。
 一体どうなのでございましょう。
 
 
 
 
 
(6.5)ところで
 
起承転結という言葉が物語構造の基本として紹介されているのは、
日本だけのようでございますな。
 
 ついでに申しますれば、
コママンガで特に四コマが一般的なのも日本だけみたい。
 
 その四コマが日本で主流になったのは、
新聞マンガとして定着したからみたいでございますな。
 
(ふと思ったのでございますが、文章が縦書きということが縦四コマのマンガが合っていたのかも?
 ……。それほど自信のない説ではございますが)
 
 
 
 

(7)スラップスティック その他
 
 さて、これとは別に、特に構成をしないという話の作り方もございます。
 
 無声映画やアニメの短編コメディで見られる手法でございますな。
 
 『トムとジェリー』のようなものを想像していただけばよろしいかと。
 とにかくつるべ打ちにギャグを連発し、視聴者の心を上げていくことで
「ああ、面白かった」と、思わせる手法でございます。
 
 瞬間的な興奮が積み重なりが、
最終的な面白さの盛り上がりとなるという方式ですな。
 
 大塚康生先生のインタビューで知ったのですが
「スーパーマーケット方式」というのだそうでございますな。
 
 似ているものと言えば、ゲームの面白さでございましょうか。
 
 ゲームの場合、イベントやアクションを時系列によって変化させるには
一工夫が必要になってまいります。
 
 トランプのカードはどこで出してもスーツと数は変わりませんし、
野球の場合ならどの回であっても、
バッターのやることが増えたり変化したりはルール上ございません
(作戦上はあるにしても)。
 
 それでもそうしたアクションが重なっていくことで、
後半に向けてどんどん盛り上がってまいりますな。
 それと同じような感じでございます。
 
 ただこれは、構造とは申せませんな。
 
 ゲームの場合ですと、一方的な結果となって
盛り上がれないということもございますが、
作品の場合でしたら時系列を調整できます。
 
 ですから、「スーパーマーケット方式」などと申しましても、
完全に並列ではなく、
視聴者が盛り上がれるような配置をするのか普通てこざいますな。
 
 
 このスラップスティックの手法を含めまして、
マンザイブーム以前で起承転結のセオリーに乗らないものは、
やはり外国のコメディの影響があったのだと存じます。
 
 
 
 と、スラップスティックの話としてこの形式を語ってまいりましたが、
エピソードを並列していくだけの構成は、何もギャグに限ったことではございません
 
 日常の風景や紀行など、
淡々とエピソードを羅列していくものはこの方式でございます。
 
 構成が無いのでございますから、他にも例は色々とございましょう。
 そんなわけで、この方式には意外と多くの作品が含まれるものと存じます。
 
→ 起承転結について(3)
 に続く

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