前回抜けた部分を、
安田均先生の
『ファイティング・ファンタジー ゲームブックの楽しみ方』
(1990/社会思想社)から、
引用補足しておきましょう。
おお、そうそう。
その前に。
この当時は、創土社版はございませんから、当然、東京創元社版を元にに書かれております。
ですから、タイトルに関しては、
以下のように、脳内変換してお読みいただけると光栄にございます。
『魔法使いの丘』 ⇒ 『シャムシャンティの丘を越えて』
『城塞都市カーレ』⇒ 『魔の罠の都』
『七匹の大蛇』 ⇒ 『七匹の大蛇』
『王たちの冠』 ⇒ 『諸王の冠』
このあたりを理解したところで、さっそく参りましょう。
まず、全体の構成。
○第一部『魔法使いの丘』は、
オーソドックスなオープンフィールド。
散発的なイベントを順次解決する、ある意味プロローグ的な冒険。
○第二部『城塞都市カーレ』は、
シティーアドベンチャー。
『バルサスの要塞』でジャクソンが見せた、パズル性と複雑なプロットの組み替えが冴えわたる。
○第三部『七匹の大蛇』。
森・湖・沼といった特殊なオープンフィールド。
モンスターと主人公の競争がサスペンスを盛り上げる。
○第四部『王たちの冠』、
要塞内部。
構成は『バルサスの要塞』を思わせるものの、プロットは遙かに複雑になっている。
つまり、
アイデアと新しい試みがこれでもかとばかりに盛り込まれていて、驚きの連続であると。
以降、量とシリーズ性で『ソーサリー』を凌駕しようとする類似品がでてきたが、
それだけではこのクレバーな作品にはとうていかなうことはできない、と。
そう、安田先生は申しております。
もう一つ、魔法システムについてでございますが、
同書によりますれば、これが経験・成長のシステムになっているのだそうでございます。
選択肢にある呪文の結果を、
A:魔法の成功
B:魔法の失敗(不適切な使用)
C:魔法の失敗(アイテムの欠如)
D:ニセの魔法
と分けた場合、魔法の失敗例は、
『魔法使いの丘』では 、Dが多くBがない。
『城塞都市カーレ』は、どれも均等。
『七匹の大蛇』C、Dがなく、Bが増え、
『王たちの冠』になると、やはりC、Dがなく、Bがさらに増える
ということでございます。
要するに、駆け出しのころは、
魔法を間違えたかどうかが、成功失敗の分かれ目になる けれど、
一人前の魔法使いとなり、魔法をすべて覚えたあとは、
それを正しく使えるかどうかが正否を分ける ということですな。
そういう成長を、魔法ルールによって表現していると
安田先生はおっしゃっております。