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2024/11/21 ソニーがKADOKAWAの買収を検討している。交渉は早ければ数週間で決着する可能性も、という話が2~3日前飛びこんでまいりましたな。これが本当でしたら、KADOKAWAのサイバー攻撃直後から話があったのでございましょう。これが成立すると紙媒体が減りそうですなぁ。清濁併せ呑むKADOKAWAの濁の部分が捨てられそうな気も。niconicoなんて過激な書き込みはアウトになって、映画やアーチストのプロモーションに使われそう。コンピュータゲーム界隈も合併・再編で面白くなくなった気がするけど、そうなるんだんだろ……のかなぁ。まぁ、技術のソニーでございますから、サイバー攻撃に対してはかなり信頼度の高いものとなりそうではございますが。
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周五郎少年文庫
『少年間諜(スパイ)X13号』
冒険小説集 
山本周五郎 末國善己編 
(新潮文庫/新元号元年元日)
 
 
 山本周五郎先生の戦前の少年少女向けの作品を集めた文庫が
昨今何冊か発売されております。
探偵小説怪奇小説も気になるところではございますが、
冒険小説集である本作を買ってみました。
周五郎先生の冒険小説ってどんなのだろう?
 
 読後思ったのは、これ、執筆年代順にしたほうがよかったのでは?
 ということでございました。
あとの時代の作品のほうが面白いんですもの……。
 
 連載、つまり多少長めの作品は、
 
『少年間諜X13号』1932/4~12月号
『決死ケルレン城』1934/1~12月号
『獅子王旗の下に』1935/12~1936/4月号
 
 なのですが、
 最初の『少年間諜X13号』は、
もっとも国策小説の色合いが濃く
しかも日米対戦をテーマにしているだけございまして、
なんともうすら寒い感じがしてくるのでございます。
 
 太平洋戦争という言葉も出てまいりますし、
主人公は決死隊として飛行船に特攻をかけるし
(特攻という言葉自体は出てまいりませんが)、
なによりも主人公の大和八郎
日本のためなら死をいとわない忠国の精神にあふれておりまして、
それが彼の果敢な行動のもととなっているのでございます。
 
 これは太平洋戦争を予言していたのては、と思ってしまいがちですが、
おそらく逆なのでございましょうな。
 
 こういった傾向の小説を十代のはじめころに読んで影響を受けた少年が、
成人するにおよんで、御國の為と進んで命を差し出していったのでございましょう。
 
 みなさんの中にも、
ロウティーンと呼ばれるころに読んだ本に影響を受けて道を踏み外し……いやいや、
た方もいらっしゃるのではないでしょうか? 
そういうことが、この時代にもあったのではないかと思うのでございます。
 
 特攻も、この作品に出てくるように、
水素ガスを充填している飛行船なら有効でしょうが、ねぇ。
 というか、
飛行船ならパラシュートで脱出してもよかったのではないかと思いますし、
ほかの方法もあり得たような……。
 御国の為に身を挺することが美学としてもてはやされたのでございましょうな。
 
 こうした主人公の性格からか、
ご都合主義が目立つところも、この小説の欠点でございますな。
いや、もしかするとそれは、現代の目で見ての、なのかもしれません。
 父親や八幡菩薩の加護で助かるというのは、
当時としては意味のあることだったのかもしれません。
 
 でもなぁ……。
 特攻よりも危険なことをやろうとして、大和八郎助かっちゃうんですよ。
 パラシュートで脱出ですよ。
 こういうのを読んで特攻に命を捧げた方のことを思うと、なんとも……。
 
 とはいえ、オビ
ジェームズ・ボンドより、イーサン・ハントより、すごいスパイがいた!
と書かれているのはちょっと言い過ぎな気はするものの
(そこら辺は人それぞれでございましょうが)、
スパイものとしては、それらの作品を先駆けております。
 
 主人公は快活豪胆でフェアプレイ精神もあり心地よいですし、
三つの秘密兵器を携え、小型潜航艇、戦闘機をあやつり、敵艦隊をやっつけたり、
秘密要塞に潜入したり、敵の飛行船に乗り込んだり、
活躍だけ取り出してみると縦横無尽でございます。
 
 ただ、軍事色が強いのと、国策にあった主人公の性格が、
今の目で娯楽小説としてみると、困ってしまうのでございますな。
 
 
 もっとも、こういうのは作者としてもあまりやりたくなかったのでは、と思います。
 
 と申しますのも、『決死ケルレン城』、『獅子王旗の下に』では、
そうした印象が少なくなっているからでございます。
 
 この2つの作品は、日本が当事国とはなってはおりません
 
 前者は内モンゴルがモデルと思われる架空のケルレン王国でございますし、
後者はエチオピア

国策的な意味はあったのかもしれませんが、
日本人が義勇にかられて他国を助けるという形をとっており、
忠国的なセリフはあまり出てまいりません。
 
 かつて大英帝国の植民地であった国におもむいて、
ジェームズ・ボンドが活躍するようなものでございますな。
      (敵や現地の女性に助けられたりもいたしますし)
 
 そのため、御国の為という感じは少なく軍事色も薄まって、
純粋に冒険小説として楽しめるのでございます。
 
 多少のご都合主義はございますが、少なくなっておりますし、
誰それ、何それの加護、ということがなくなったのがよござんすな。
 
 ピンチを切り抜ける機転も利いている。
 ということは、作者が頭がいい証左なのでございますが
 
 キャラクターもいい。
 特に、『決死ケルレン城』の
ふだんは頼りない少年だけど実は、の少年と、
浮浪児栗鼠公のコンビはいいなぁ。
 
 こういうのって、
後世の少年冒険マンガなんかに影響を与えているんじゃないのかなぁ……。
 門外漢なのでそう思うだけでございますが。
 
 純粋に娯楽小説として面白い物語に仕上がっていると思います。

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