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2024/11/22 『赤毛のアン』が『アン・シャーリー』というタイトルになって2025年5月。Eテレで放映されるそうでございますな。キャラクターは以前日本アニメーションで製作された『赤毛のアン』をちょっと大人っぽくか、外国人に寄せた感じ。キャラクター原案:近藤喜文となるのかなぁ。基本的な服装などはどうあっても同じ感じになると思うので、あとは高畑勲先生へのリスペクトを表明するかどうかといった話になりましょうな。過去のアニメ作品をリスペクトして作られるってないですよねぇ。しかも小説などが原作としてありつつ。新しくていいと思います。
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 過去・現在・未来の三部構成

きりとばらとほしと
 吸血鬼となったリリという女性が主人公
(吸血鬼なので、時代を超えて生きられるのですな)
という共通点はあるものの、
 
各部は、オーストリア・日本・米国と場所もバラバラ
 
ジャンルも
古典的なホラー、ミステリー風サスペンス、そしてSFと、
 
それぞれ異なるという。実験的な作品ですな。
 
 ジャンルの違う5つの作品が同時進行で展開する
「そして……だれもいなくなった」
と双璧をなすと申してもよろしゅうございましょう。
 
 

 それぞれの部の冒頭には、
」「薔薇」「」に関連する詩が引用されております。
 この作品集に掲載されているものを見ると、
詩や音楽を起点としているものが多いですよね。
 
「青い月の夜」のイメージの1つは「くるみ割り人形」でしょうし、
「夜は千の目を持っている」は言わずもがな、
「龍神沼」でも「黒く声なく沼は眠れり」という詩が紹介されておりました。
(「龍神沼」の記事にも書いておきますがこの詩、ベェルレェヌの詩ではなくて、ピエエル・ゴオチェの「沼」という詩だそうでございます「茂りし林の奧深く 黒く声なく沼は眠れり」と「茂りし村」ではなく「茂りし林」が正しいのだとか。確かに、「茂りし村」では意味が通じませんものな。これ、石ノ森先生の字が汚かったため、読み間違えられたのかなぁ。今回の「コレクション」で直っていないことからすると、思いっきり村としか読めない字が書かれていたのかも知れませんが。でも、ポール・ヴェルレーヌの作だと勘違いしていたというのは分かる気がいたします。そして勘違いしたということは、記憶で書いているってことですよね。お気に入りの詩だったのでございましょう)
 
 少女マンガには叙情性を、叙情性には詩を、という事なのでございましょうか。
 
いずれにせよ、意識と教養の高さが感じられます。
 
 一部の「霧」は、作画的には点描の凄さを見せたかったのだと思います。
p.187の下のコマがそれでございますな。
他のコマは……時間が無かったのでございましょう。
最初のほうの馬車のシルエットなどはカケアミがデタラメですが、
最後の方では方向が統一されているあたり、
描いているうちに修正していったのでございましょう。
逆に申せば、すべて点描にしていないことや、
馬車のところを描き直していないことから、
締め切りがかなり迫っていたのでは、とも勘ぐれます。
 
 ストーリー的にはオーソドックス。
 最初の詩は、「きりとばらとほしと」という作品全体の
結末を暗示しておりますな。
 
 二部は、あなたの血を全部いただくという吸血鬼からの予告状を軸にした
ミステリ仕立ての物語にございます。
ネタバレをしてしまうと、
その予告状の主は当然リリさんではないのでございまして……。
 
 最後の薔薇が印象的。
 
「霧」と「薔薇」の章は、
「吸血鬼カーミラ」および、
その映画である『血と薔薇』に拠っているようでございますな。
 
 第二部で花火が出てくるのも、映画準拠でございます(出方は違いますが)
 吸血鬼が触れると薔薇が萎れるというのも、この作品からのようでございます。
 
 
 その目で見ると、表紙の女性も『血と薔薇』のミラルカに似ている気がいたします。
 
 薔薇のしおれ方は、この作品のほうが印象的でございますな。
 
 
 そして三部、「星」は未来の話。
 一応話はつながっているものの、
まったく別物と言えるほどテイストはがらりと変わります。
 
 SFで破滅テーマ。
 石ノ森先生の少年マンガによくある、強大な敵に挑んでいく物語でございます。
 
 そしてラスト、主人公がただ1人取りのこされる。
 
 人類滅亡とは限りませんが、
主人公が孤立無援となる話は、石ノ森先生の短編ではいくつかございます。
 
 例えば「護(まもる)」や
ラストがそれに似た『ジュン』の「想い出のジュン」、
それに「おれはだれだ!?」、
「狂犬」などもそれに含めてよろしゅうございましょう。
 
護
       「護」
 
想い出のジュン
          「想い出のジュン」
 

「ファンタジー編」「SF編」などでまとめるよりも、
そのテーマ、もしくは人類滅亡で一冊作った方が面白いんじゃないかと言うぐらいに。
 まぁ、タイトルが買う人の目を引きそうにないのが欠点ではございますが。
 でも、石ノ森先生の主人公が、終末に向けてどう挑んできたかを考えるのは、
『サイボーグ009』のラストを考えるにあたって、
興味深いことだと思うのでございますよね。

 
 細かいところを見ていきますと、
 
 登場する未来ガジェットがレトロフューチャーで面白い。
 登場する怪物が009ギリシャ神話編みたいでございますな。
 それに薬。
『仮面ライダー』の蝙蝠男でも、
吸血鬼に噛まれた人に対して血清が有効でございましたが、
ここでも薬によって、吸血鬼は人間に戻せる設定になっておりますな。
 まぁ、病気のようなものと考えれば、常識的な考えではございますが。
 
 
 各部のラストシーンは、
それぞれリリと「霧」「薔薇」「星」でまとめられており、統一感がございます。
本来、霧のところも大ゴマでやる予定だったんじゃないでしようか。
作者コメントを挟んだのは、吸血鬼ものをやる照れくささなのか、
ちょっと言い訳したかったのでございましょうな。
 
 
 さて、吸血鬼をテーマにした作品として石ノ森先生は
吸血」という短編も描いておられます。
 
 新聞記事から始まる時事をもとにした風の作品で、
最後に事件に関わった石ノ森氏の推理として、
吸血鬼に支配された超未来の地球が出てくるのでございますな。

 
 吸血  
 

 吸血
 
それが事件を説明する1つの仮説となっているのでございますが……。
 
 ラストは、ある作品と同じアイデアを使っております。
 
 なお、この作品の吸血鬼は、伝染能力はございません。
 

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