齋藤 高吉/冒険企画局 (著)
2009/8
メディアファクトリー
山口プリンさまのサイト、「ぷりん部屋」の
「冒険記録日誌」、2009年08月25日(火)の記事で、
『名探偵コナン 「嗤う黒猫」殺人事件』のことが採りあげられております。
そこで書かれていることがまさに、このゲームブックをこのブログで採りあげたとき、
書こうと思ってついつい書きそびれてしまったことだったので、ここで書かせてもらいます。
まず、
江戸川コナン少年が、メインとして登場していない点について。
これがこのゲームブックの最大の問題点ではございましょう。
ただ、以前、
『VS.名探偵コナン・プレイングミステリー 「ゲームブック殺人事件」』
齋藤高吉/冒険企画局(メディアファクトリー)
というタイトルで予告が上がっていたときから、謎だったのでございますよね。
かなりアクの強いTRPGを発表している齋藤高吉先生が、
メジャーなキャラクターをどう扱うのだろう? と。
[END]がバンバン出てくるようなゲームブックになるんじゃないだろうか? ですとかね
(それはそれで、ゲームブックらしい……ですが、
読者(プレイヤー)に受け入れられないでしょうな)。
ですから、このような形になったのは、わたくしとしては、なるほど、といった感じでございました。
作品のみで考えれば、これは、
『シャーロック・ホームズ 10の怪事件』をねらったものでございましょう。
つまり、シャーロック・ホームズにしろコナンにしろ天才なので、
推理を間違えたり、ヘマは出来ないので、プレイヤー・キャラクターにはなれませぬ。
かといって、脇に入れても、先を越されてしまってプレイヤーとしては面白くございません。
というわけで、解決編におもむろに登場、とあいなったのでございましょう。
と申しましても、これは建前で、
ホントは、こういうゲームブックを作りたくて、あるいは、もうすでに作ってあって、
単体では売れないので、『名探偵コナン』という衣をかぷせたという感じが、
ひしひしとございますが……。
あと、齋藤先生は『名探偵コナン カード探偵団~』にもかかわっているそうなので、
そちらとの関連で、こういう形式が不自然ではないのかもしれませんが……。
そっちのほうは、全然知らないので、滅多なことは申さないでおきましょう。
個人的には、ゲームブックして楽しめました。
コナンが活躍するゲームブックもプレイしてみたいですが。
『ルパンⅢ世』のように、シリーズ化してくれるといいのですけどね。
あれ、シリーズといいながら、一作ごとに作風やシステムが全然違いましたもの。
……。
でも、それなら『コナン』じゃなくて『まじっく快斗』のほうが、いいのかな?
「パズル部分がゲームブックのストーリーとあまり融合していない」
というのは、冒険企画局のこのごろのTRPGが、こういう形なんですよね。
たとえば『サタスペ』には情報収集ルールがあって、
いろいろな場所を探さなくても、判定を何段階か成功させることによって、
そうしたことをして情報を得たという表現をしているのでございますな
(もちろん、このルールは使わなくてもいいのでございますが)。
まあ、情報収集部分は、作る側にも面倒ですし、
情報が集められなくてシナリオが停滞したり、空転してしまうのでは目も当てられませぬからな。
そのかわりに、情報収集をゲームにしてしまったのでございましょうが、
このゲームブックにおけるパズルも、そうしたものだと思います。
ここではパズルは、あることをひらめいたどうかに使われていることが多いと存じますが、
ひらめきというものは表現するのに難しいもの。
それをパズルとして表現したということではございませんでしょうか。
あと、ゲームブックは遊びの本であると思うわけでございますよ。
ブレナンの書でも、東京創元社のゲームブックでも、パズル入っておりますよな。
ゲームブックを作るにあたって、そういう楽しさも取り入れたいと思ったのではございませんでしょうか?
ケータイサイトに関しては、あくまでオマケ要素でございましょう。
(前出の『名探偵コナン カード探偵団~』と同じサイトだそうでございますし)
本として完結していなければ、サギ呼ばわりされてしまいますからな。
ただ、一時期タイトルにARPと銘打たれていたことを考えますと、
構想的には、と申しますか、完全に自由に出来るのでしたら、もっと壮大な計画があったのかもしれませぬ。
パズルの正解を入力すると、コナン君がゲームを進めるために必要な情報を教えたり、
「○○へ行って◇◇に書かれた文を読め」などと指示を受けたり……、
というような、ライブRPG的なことをやりたかったのかも……。
もしそうでしたら、作品の中にコナン君がいなくても納得できると思うのでございますよ。
重要な役割を果たしているのでございますからな。
まぁ、実現は難しゅうございましょうけどね。
追記にあったヒントに関しては、
○○○パラグラフを使ったヒントというのは評価するとして、
ヒントとしてはあいまいに感じました。
2人を特定は出来ましたが、もう少しはっきりとしたヒントがほしかったなぁ、
というところでございます。
わたくしの考えが足りないと申せばそれまででございますが。
まあ、甘くみてしまえばどこまでも甘くなってしまうものですし、辛くみればその逆となりましょう。
わたくしはこのゲームブック、楽しくプレイできました。
これが、ゲームブックでなくて推理小説にパズルがついたものだったら……、スルーしていたでしょうな。
いずれにせよ、そういうものよりは、ゲームブックのほうが多分楽しめたと思います。
そんなには感じませんでしたが、ある程度一本道になっているのでしたら、
それはそれで仕方がございますまい。
以前書いたような気もいたしますが、
推理もののゲームブックの場合、推理に必要な情報をすべてプレイヤーに伝えなくてはならない都合上、
どうしてもルートが制限されてしまうのでございます。
(逆に、『シャーロック・ホームズ 10の怪事件』のようにちりばめられた情報を集めていく、
という方法もございますが、それはそれで、難度が高くなってしまうかと……)
ただ、わたくしにもこの作品に関して、苦言を申しあげたいことが、2つほどございます。
ひとつは、「この本のなかで書かれていた殺人事件と酷似していたのです」
と書かれているものの、そんなに似ているようには感じなかったということ。
そりゃ、まぁ、そっくりそのままにはならないでございましょうが、もう少し似せてもよかったのでは……と。
それには偶然が必要かもしれませんから、それを嫌ったのかもしれませんが、
でもその結果も、酷似というほどにはなっていない気がいたします。
もうひとつは、米花町で起った事件のほうにも猫が登場してほしかったな、ということ。
何か、そのほうが因縁めいたものを感じるじゃございませんか。
もちろん、偶然ということになりますが、そこらへんは演出ということで。
あと、ちょっと謎なところ。
あまん坊さんの『沈黙の狼』の掲示板、
「狼の遠吠え」2009/08/27(Thu)にも書き込ましてもらいましたが、
「捜査資料」のところの人物イラストは、一体誰が描いているのでございましょうか?
わたくしは、おくづけに
イラスト……落合なごみ(冒険企画局)
と書いてあったので、ここも彼女の手になるものだと思ったのでございますが……。
※ 何か、ややこしくなってきたので、
このゲームブックに関する、別の記事を下に挙げておきますね。
いちいちリンクを貼ろうとも考えたのですが、それも面倒なので、
検索にまかせちゃいます。
「嗤う黒猫」に色がついているあたりと、日付降順が見にくいかもしれませんが、ご勘弁を。
それと、余分なのも出てきますが、お許しください。
「嗤う黒猫」←ここをクリックしてください。
2009/08/31 (Mon) ここ。
2009/08/28 (Fri) 名探偵コナン 『嗤う黒猫』殺人事件 袋とじ部分を開いてみました
2009/08/18 (Tue) No.3-4のパズル、こういうことなのかも?
2009/08/17 (Mon) 名探偵コナン 『嗤う黒猫』殺人事件 第三章
2009/08/16 (Sun) 名探偵コナン 『嗤う黒猫』殺人事件 第二章
2009/08/13 (Thu) 名探偵コナン 『嗤う黒猫』殺人事件
2009/08/12 (Wed) 来た! のか?