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2025/01/22 以前『ロリ神』のところでちょっと触れたインドネシアのVチューバー、 Alia Adeliaさんが「卒業」なされたみたい。インドネシア語なんかまったく分からないので、ほとんど見ておりませんが、日本のお歌をふだんあまり聴かないわたくしなどは、この方のお歌で知ったものもございますし、たまにある日本語講座が言葉や例のチョイスとかがいろいろと変で面白うございました。昨年末の「卒業」動画で配信が止まっていることに気がつき、それを見ました。日本語でもあいさつしておりますが、理由についてははっきりとは語っておりません。コメント欄などを見るに、どうやら所属事務所の問題みたいなのでございますが、よく分かりません。
[1] [2] [3] [4]

 この『ハウス・オブ・ヘル』『デストラップ・ダンジョン』、
イラストにあわせて、枠部分

--プロローグとエピローグ、それに設定--

が、リトールドといっていいほど大胆に変更されております。

『ハウス・オブ・ヘル』……のほうは、書いてみたら長くなったので、まずは『デストラップ・ダンジョン』のほうから、

FFシリーズのファンタジー作品は、タイタンという共有世界(シェア・ワールド)が設定されているのですな。

『デストラップ・ダンジョン』の場合は、その大部分が地下迷宮なわけですから、世界設定にかかわる部分はそうございません。
 わずかに垣間見えるそれらを変えることもしてはいないようでございます。
 地下迷宮の基本的な仕掛けや、展開も同様。

 つまり、基本的な部分は変えてない ようでございます。。

 大きく変わったのは、キャラクターですな。
 主人公にフィリアという名前がつき、
主人公のセリフが大幅に追加されました。

 原作では、主人公である「君」を盛り立てるように文章が畳みかけていくわけでございますが、
 デジタル・メディア・ラボ
(ホビージャパン社版の翻訳を担当した会社・『ハウス・オブ・ヘル』も同)
版では、
キャラクターを描写することで、彼女との一体感を持たせる

--とそこまで申すのは大げさでございますな、意気込みはそういうことなのかもしれませぬが--

と申しますか、フィリア様とそのライバルたちを、しっかりとイメージさせることが狙いだと存じます。

 エピローグ(400)でも、ライバルのことを回想する場面が描かれておりますな。
 さらにフィリア様の心情もそこに描かれております。
 彼女、この催しの主催者であるサカムビット公(男爵)を殴ってやろうかなどと、不遜なことまで考えていらっしゃる。

 これは、主人公が「無色透明」とされていた原作では、あり得ないことと申せましょう。
 どちらがいいかは、人それぞれだと存じます。
 自分のキャラクターという点では、「無色透明」のほうが当然よろしいのでございます。
 私のフィリアは、男爵を殴ろうなんて考えない、と申す御仁もおられましょう。
 ですが、
 では「無色透明」だったら、逆にそもそも男爵を殴ろうなどとブレイヤーが考えるだろうか
と申しますと、それはそれで疑問でございます。
 淡々とゲームとして楽しみ、そのようなことは考えないのではないでしょうか?

 ここらへんは、好みの問題と申せるかもしれませぬな。

 ただ、主人公を少女にしたために、不自然に感じられることが一つ……。

p.20 金貨一万枚に領主の地位。どちらもたまらなく魅力的だが(……)。

 う~む、少女が領主の地位を望みますかねぇ。

 また、この競技には、彼女とともにダンジョンに挑むライバルたちも存在します。
 短い登場ながら、味気なくなりがちなダンジョンを動的にしてくれる存在ですが、
そのライバルたちも、男性5人から、男性3人、女性2人と、以下のように変えられております。

○両刃の戦斧を持つ毛皮をつけた蛮人二人
→カタコトでしかしゃべれない毛皮の男。
→片刃の斧を持つ隻眼の戦士。

○艶やかな金髪にネコのような緑の目の妖精めいた女
→蒼い髪に青い目のエルフ

○紋章つきの盾を持ち、羽根かざりのついた兜と鉄のよろいを身にまとった男。
→巨大なハンマーを持つ、鉄仮面の巨漢。

○黒いローブと覆面を被った(忍者)
→異国の黒装束の(ニンジャ)

 彼らも、イラストにあわせた変更とセリフが加えられております。
 本文中でも、何人か男性から女性に変えられたキャラクターがおります。
原作はほとんど男性で占められておりましたから、作品を華やかにするための措置でございましょうな。
 男女平等思想に基づくもの……ではないでしょう。

ほかに、大きな変更点といたしましては、
モンスター名が、英語の音そのまま、
ということがございますな。

タイトルも英語そのままですから、英語そのままのほうがいい、と訳者は考えているのでございましょう。
 あるいは、社会思想社版の訳にあわせるかどうか考えたあげく、英語の読みそのままにしたとか?

 あと、細かいところをいくつか。


番には、「スロム勝ち残って……。」とフィリア様の心情を表す一文が書かれておりますな。
これも、主人公にキャラクター性を持たせたために書き加えられた一文と申せましょう。

よくわからないのが、14番でございます。
ここは、社会思想社版では木製の手箱だったのですが、木のに変更……。
いったいなにがあったのでございましょうか?

229の少女の詩も変わっております。
社会思想社版では、口語調なのが、ホビージャパン版では文語なのですな。

何となく、社会思想社版のほうが古典的な感じがしたのでございますが、ここだけはそうではございませぬ。
雰囲気づけのためでございましょうが、不自然な感がなきにしもあらずです。

 あまり比較していると、いつまでたっても書き終わらなくなりますので、この辺で。
 いろいろと比べてみると面白いと存じます。

 そのような変更は別といたしまして、社会思想社版とホビージャパン版を比較してみますと、
 社会思想社版が、逐語訳的なのに対し、
 ホビージャパン版は、とにかく分かりやすさを心がけて訳している感がございますな。
 そのため、かなりの意訳もあるのですが、言い回しの違いで間違いはなさそうですし、なにより読みやすい
 原典主義の人は批判するかもしれませぬが、プレイに集中できるという点ではプラスと申してよろしゅうございましょう。

 まぁ、わたくしは英語原作を見ていないのですけどね。
 そのような感じを受けるのです。

 文章については、まあ、そんな感じでございますな。

 次に難易度に関して。

 難易度は……。
 社会思想社版、ホビージャパン版でほとんど変わることはございません。
 タイトルどおり、難しいです。
意地の悪い謎も多いですし(でも、ジャクソンのほどたちは悪くございません)、敵も強い。
技術点12点なんて敵も出てきちゃう。

「唯一の正しい道順」とは、危険がもっとも少なく、たとえ原点が少ないプレイヤーであっても比較的容易に通り抜けられるルートのことである。

と、p.14に書かれておりますが、これはキャッチコピーだと思ってください。
 サカムビット男爵の迷宮は、なにしろ多くの冒険者が挑戦して、まだ一度も踏破したことのないダンジョンなのです。
 それを能力の低い冒険者が征服してしまったら納得いかない……。

 おそらく、そういうことなのでございましょう。
 どうせ、何度か挑戦することになるでしょうから、あらかじめフィリア様を10人ぐらい用意して、能力値の低いフィリア様から順番に投入していってください。
 そうすれば、最後のほうには、迷宮を突破できるでしょう。
 そういうゲームなのです。このゲームブックは。

 ……。
(まっ、能力値を決めるとき、何度も満足のいくまでサイコロをふるというのが、普通のやり方かもしれませぬけどね)

 ルールについては、
 むしろ原作に忠実になった箇所もあるようでございます。

夜音(nacht_musik)様のブログ、
「アリオッチ!アリオッチ!アリオッチ!」
内の
 
新春対談2 萌えゲームブックを語る デストラップ・ダンジョン解析編 

によりますと、
イベント時の数値の増減が、社会思想社版とは異なるそうで、当該箇所を見てみますと、確かにそのようになっております。

具体的には以下の五箇所ですな。

パラグラフ26 体力点-2 → 技術点-2

パラグラフ33 体力点-3 → 技術点-3

パラグラフ150 体力点-1 → 技術点-1

パラグラフ223 運 点-2 → 運点は減らない

パラグラフ271 技術点-2 → 技術点-1

 もっとも、そこのコメント欄をよみますと、パラグラフ223以外は原作がこう、だそうで、原作に忠実になったようですな(223は、社会思想社版の方が正しいのだそうでございます)。

 体力点マイナスが技術点マイナスに変わるのは、冒険者にとって大きく不利になるということでございますが、
ただ、この部分、正解ルートにはあまり関係ないということ
らしいので、目くじらをたてるほどのことでもない……でしょう。

 これとは別に、変更点がございます。
 最初に選ぶ(技・力・幸運)薬の内容量が
社会思想社版では1回なのに対し、ホビージャパン社版では2回になっております。
 これは大きい。
 2種類持っていけたらもっとよかったのに、とも思いますが、それは言わないことにいたしましょう。

 いずれにせよ、社会思想社版よりは、少しは有利になっているのでございますから。

* ところで、

nyadach様のブログ

「ダイタン放浪記@ゲームブック」この辺

で知ったのでございますが、

「ゲームブックはいかが」

と申すページ(この辺)には、「死のワナの地下迷宮」のしーじーなマップがございます。

 

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「クイーンズブレイド」シリーズのところで書きましたホビージャパン社も、FFシリーズを復刊させております。

『デストラップダンジョン』

『ハウスオブヘル』

にございます。

社会思想社版の、

FF6 「死のワナの地下迷宮」

FF10 「地獄の館 」

に当たる作品ですな

タイトルは、
近頃の映画のタイトルに倣(なら)ったのでございましょうか。

英題をそのままカタカナにしただけ。

こういうのは、センスが感じられないと申しますか、味気ない感じもいたします。

ホビージャパン社のこれらのFFシリーズの復刊は、
大きな特徴がございます。

 実際に目にした方は、すぐにわかりましょう。
 
「クイーンズブレイド」の成功に気を良くしたか
 ライトノベルの棚から撤去されないための対策か、
 マーケティングとやらの成果なのか。
 はたまた、表紙買いをする人を騙そうとする魂胆か
 
 イラストが、ライトノベル風に主人公の少女を中心としたものになっております。

 主人公の少女?

 そう、ホビージャパンのこのシリーズでは、主人公のキャラクターが決まっているのですな。
 口絵イラストには、少女の性格や身長、スリーサイズまで書かれているのでございます。

 無色透明な主人公であった社会思想社版(と原書)からの、これは大きな変更点と申せましょう。

 海外作品のイラストを変更することには、わたくしは大いに賛成でございます。

 TRPGとか、ゲームブックにいたしましても、イラストがしょぼかったり、日本人好みじゃなかったり……、というのが良くございますからな。

 ただ、この場合は……。
 これはまさに「クイーンズブレイド」と同じ手法、
原作破壊系でございますな。

「クイーンズブレイド」の原作である「ロストワールド」の場合は、
本文中に物語要素がございませんから、この方法論が通用いたしますが、
FFシリーズは物語がございます。

 主人公は、よく言われるように確かに「無色透明」ではございますが、
その世界は主人公を規定するように雰囲気が作られております。
 それに、色をつけたのでございますな。
 ゴシック建築にポップアートの色を塗りたくるかように……。

 逆の喩えを申しますれば、ドラゴンボールが実写になったようなとでも、申しますか。
 まぁ、ドラゴンボールを実写でなんて、そんなムチャな話はだれも考えないでしよう!

 あり得ない話でございますな。

 いずれにせよ、困惑してしまうことは事実でございます。

 これが、リアルな、もしくは情感あふれるイラスト
--ゲームブックの挿し絵を描かれている方でしたら、たとえば--

米田仁士先生ですとか、
天野嘉孝先生ですとか、
山田章博先生ですとか
でございますな。

そういう方のイラストでございましたら、物議を醸し出すこともなかったでございましょう。

 もっとも、このシリーズの場合、物議を醸し出すことが狙いの一つだったと考えられますので、
その戦略にまんまと乗せられた形となるのでございますが。

 とは申せ、わたくしは完全否定の立場ではございませぬ。
 プレイしていて、意外に違和感を感じはいたしませんでしたし。

 社会思想社版と、ホビージャパン社版、両方が選べるような環境でしたらアリだと思うのでございます。

          ☆    ☆    ☆

 イラストの変更については、海外作品のみならず、日本文学作品であっても、わたくしは賛成でございます。
 ただし、やはり、変更アリとナシ、両方が用意されている場合においてと申すことでございますが。

 集英社文庫で、昨年、日本文学の表紙をマンガ家が描くという企画がございましたが、こういう試みはもっと続けて欲しいものでございます。

 表紙だけといわず、本文中にも挿絵をたくさん入れて欲しいものでございます。

 ただね、『伊豆の踊子』の荒木飛呂彦先生は、さすがにミスチョイスでございましょう。

川端康成なんてロリコンなんだから、
もえもえのロリ絵のほうが、作者も喜ぶと思いますのに--。

    ……
    ……

いえ、なんでもございませぬ。

          ☆    ☆    ☆

 何か長くなってしまったので、今回はここまで。
 次は、文章とかシステムとかについて書いてみたいと存じます。

 現在入手可能な作品の紹介なんて、一回で終わる予定でしたのに--。
 他の方に任せてしまったほうが良かったのかもしれませぬ。
 

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  FFシリーズは、もともと日本では社会思想社によって刊行されておりました。
 社会思想社版でのタイトルは以下のとおりにございます。

FF1 火吹山の魔法使い
FF2 バルサスの要塞
FF3 運命の森
FF4 さまよえる宇宙船
FF5 盗賊都市
FF6 死のワナの地下迷宮
FF7 トカゲ王の島
FF8 サソリ沼の迷路
FF9 雪の魔女の洞窟
FF10 地獄の館
FF11 死神の首飾り
FF12 宇宙の暗殺者
FF13 フリーウェイの戦士
FF14 恐怖の神殿
FF15 宇宙の連邦捜査官
FF16 海賊船バンシー号
FF17 サイボーグを倒せ
FF18 電脳破壊作戦
FF19 深海の悪魔
FF20 サムライの剣
FF21 迷宮探検競技
FF22 ロボット コマンドゥ
FF23 仮面の破壊者
FF24 モンスター誕生
FF25 ナイトメア キャッスル
FF26 甦る妖術使い
FF27 スター ストライダー
FF28 恐怖の幻影
FF29 真夜中の盗賊
FF30 悪霊の洞窟
FF31 最後の戦士
FF32 奈落の帝王
FF33 天空要塞アーロック

                            (参考:Wikipedia の「文献一覧」) 

 本国ではまだまだこのシリーズは続くのでございますが、日本で刊行されたのはここまで。
 それでも、英語圏以外でこの巻数まで出た国は、他にないのではございませんでしょうか?
(↑いきおいで書いてしまいましたが、そんなことはございませぬな)

 

 出版社自体が事業を停止してしまった現在、これらは入手が困難になっておりますが、
 このうち、

FF1 火吹山の魔法使い
FF2 バルサスの要塞

は、2005年に扶桑社から復刊されております。
 訳は旧訳とだいたい同じ。
「火吹山」の読み方が、「ひふきさん」から「ひふきやま」に変わったのは、訳者の意向のようでございます。
 献辞が少し変わったのは、新版が出たとき原書で変わったのでございましょう。

 表紙の絵は、原書に倣って新しいイラストになっております。

(でも、扶桑社版の『火吹山の魔法使い』の表紙のザゴール師(なのでしょうなぁ)のポーズを、実際に自分でとってみてください。手がビミョーに変)

 残念なのは、
 冒険記録紙が別紙として付いていない点、
 紀田順一郎先生や安田均先生の解説がない
 でございましょうか。
 かわりに編集部によるゲームブックとその遊び方についての解説が、あとがき部分に載ってはおりますが。

 逆に良いところは、オビの水野良先生の惹句でございますかな。

「ゲームブックの醍醐味とは死ぬことと見つけたり!! 

「の醍醐味」は余計だと思いますけど、良い惹句でございますな。
 オビつきを今から探すのは、ちょっと難しいかも……ではございますが。

 定義4のところでも書きましたが、


『火吹山の魔法使い』は、ゲームブックのいわば基準点でございます。

 まずはこれで、ゲームブックとはどのようなものか、感覚をつかんでから、
他のゲームブックを試してみるというのが、正道でございましょう。

 面白いか? ですって。
 ゲームブックのブームの引き金となった作品でございますから、面白くないはずはございません!
 怪物たちの数値も高くなく、後の作品と比べて勝ちやすいと存じます。

 わたくしのような貧しきものには、お高く感じられるお値段ではございますが(800円+税)、ぜひともプレイしていただきたいと切に願うしだいでございます。

 で、『火吹山の魔法使い』をプレイするにあたっては、

 まず欲張らないで、領主ザゴールを倒すことだけに力を注いでください。
 それならば、それほど難しくなく達成できるでしょう。
 3つの鍵を集めることは次の挑戦で、
 でいいのでございます。

 そのような段階的な楽しみ方ができるのが、『火吹山の魔法使い』のいいところだと、わたくしは思います。

『バルサスの要塞』となると、
魔法も使えるようになり、難度も少し上がります。ですが、クリアできないほどではございません。
 このゲームブックで最大の難敵と申せば、
 何といっても、バルサス・ダイア……ではなくて、
 ガンジーでございましょう。
 わたくしなどは、ガンジーという名前に悪い印象はないのでございますが、
イギリス人にとっては大悪人なのでございましょうかねぇ。
 とにかくこやつが、強い。
 こいつに苦戦したプレイヤーは数知れず。
 何をやっても勝てないような、絶望的な敵として、冒険者の前に登場いたします。
 彼に勝つためには、どうすればいいか。
 ネタバレさせてしまいますならば、

「とりあえず、逃げておく」

というのが正解、ですな。

 
 逆に、ここさえわかれば、あとは何とかなるので、がんばってみてください。

 なお、この二つの作品は、「ゲームブックラボ・R」と申すところで、

『炎冠山の魔術師』
『バルサスの城塞』

と名を変えて、携帯電話での配信が行われているそうでございます。
(有料です)

 携帯電話機にはまったく疎いので、くわしいことは存じませぬ。
 浅羽莢子先生の訳ではないそうで残念ですが、
 ただ、翻訳の見直しが行われ、読みやすくなっているということでございます。

 公式ページが出来るそうなのですが、現時点で存在するのかわからないので、とりあえず

「パラグラフの狭間で」


というサイトでごらんください。
  公式サイトができるまでは、このサイトでアナウンスを行なっていくようでございます。
 

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『クイーンズブレイド』シリーズに続いて、
FFシリーズを。

 まぁ、FFシリーズぐらいは世間の常識でございますよな。
 当然ファィティング・ファンタジーのことにございます。

 まあ、それは当然のことといたしまして、

 Wikipediaの「ファイナルファンタジーシリーズ」の項目(←ここの「名称・略称について」 )には、

 一般的に用いられる「ファイナルファンタジー」の略称は「FF」(エフエフ)であるが、スーパーファミコン時代には「ファイファン」という略語も存在した。特にファミリーコンピュータ当時は、「FF」はファイナルファンタジーシリーズだけではなく、カプコンから発売されたファイナルファイトシリーズを指すことも多く、これと区別する為に「ファイファン」と呼ばれたという背景がある[要出典]。

と書かれてございます。

 しかし、
 少なくともこの当時は、FFシリーズと申せば、

「ファィティング・ファンタジー」

シリーズのはずなのでございますがねぇ。

 1984年末の『火吹山の魔法使い』によって起こったゲームブックブームの余波は、
『ファイナルファンタジー』の一作目が発売された1987年末でもまだまだ消えることがなく、
FFシリーズの名も浸透していたと思いますもの。

 ちなみに、FF24の『モンスター誕生』1988年3月
「ウォーロック」誌では、vol.14[ちなみに特集は『トンネルズ&トロールズ』] あたり
(1988年2月とございますが、
雑誌は1ヶ月早い月を書くものでございますから、実際には1月ごろでございましょう)。
まだまだゲームブックに勢いのあったころだと存じます。

 『ファイナルファイト』のことは存じません。
 ただ、それが発表されたのは、1989年12月←このへん)とございますから、時系列的におかしいのではないかと存じます。
 この関係でしたら、おそらく先に出た『ファイナルファンタジー』が堂々とFFシリーズを名乗っていたことでございましょう。

 それに対して、ファイティング・ファンタジーのシリーズは……。

 FFシリーズを名乗りだしたのが、正確にいつなのかは存じませぬ。
 しかし、FF9『雪の魔女の洞窟』(1986/4)の巻末の宣伝では、
シリーズをFFシリーズと銘打っております。
(FF8『サソリ沼の迷路』には、この広告はございませぬ)

 また、FF2『バルサスの要塞』(1985/4)の表紙にはすでに、
FFと書かれたシリーズのマークがございますから、その当時からFFというシリーズの認識は、広く認められていたと存じます。

海外でどうだったかは存じませぬが、もっと早くからFFシリーズだった可能性は大いにございます。

 また、格闘アクションである『ファイナルファイト』と、RPGである『ファイナルファンタジー』では、同じ略称であっても、文脈から混乱することは少ないと存じます。

 それに、『ファイナルファイト』のシリーズをFFシリーズというのも聞いたことがございません
 もっと知名度のある『ストリートファイター』のシリーズでさえ、SFシリーズなどと申すのは、一般的ではないと存じます。
 それに対し、ファイティング・ファンタジーは、同じRPGの系統ですし、早い時期からFFシリーズを名乗っておりました。

 ですから、それと混同を避けるため、『ファイナルファンタジー』が、「ファイファン」と略称したということは、充分かんがえられることでございます
(『ファイティング・ファンタジー』も略そうと思えば「ファイファン」と略することができるのですが……)。

というわけで、ゲームブックの世界で、FFシリーズと申しましたら、『ファイティング・ファンタジー』のシリーズを指すことが一般的でございます。
 なんと申しましても、『ファイナルファンタジー』のゲームブックは、たしか過去に2冊ほどしか出ておりませぬものな。
 

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 さて、ここら辺で現在買うことのできるゲームブックを挙げてみましょうか。
 実際にプレイしてみなければ、ゲームブックがどんなものなのかは、わかりませぬからな。

 現在、ゲームブックの状況は、意外にバランスの取れていると申せます。
 出版点数は少ないものの、ゲーム的なものから小説的なものまでひと通りそろっており、難易度的にも手軽なものから本格的なものまでちゃんとございますからな。
 もちろん、そろっているというだけでございまして、バランスよく段階的に、とはまいりませぬが。
 もっともそれは、ゲームブック全盛のころもそうだったという気もいたします。
 別に出版社同士で打ち合わせて出しているわけでもございませぬから、それは仕方のないことでございましょう。

 さて、では紹介。

 まずは『クイーンズ・ブレイド』から。

 最初にこれを取り上げたのは、おそらく現在、もっとも知られているゲームブックがこのシリーズだから、でございます。

 ただし、ゲームブックとしては中心的な存在ではございませぬ。
 
 ゲーム的な要素が強く、作品内のストーリー性はほとんどございませんので、物語領域とゲーム領域というふうに分けた場合、ゲーム領域の、それも端のほうに位置する作品と申せましょう。

 作品は以下のとおり。

 流浪の戦士レイナ
 荒野の義賊リスティ
 牙の暗殺者イルマ
 森の番人ノワ
 武者巫女トモエ
 歴戦の傭兵エキドナ
 古代の王女メナス
 近衛隊長エリナ
 冥土へ誘うものアイリ
 高貴なる戦士レイナ 3D
 光明の天使ナナエル
 武器屋カトレア
 千変の刺客メローナ
 雷雲の将クローデット
 鋼鉄姫ユーミル
 逢魔の女王アルドラ
 戦闘教官アレイン
 叛乱の騎士姫アンネロッテ

 けっこうたくさん出ているものでございますな。
なお、アンネロッテからは、『クイーンズ・ブレイド』の新章「リベリオン」になるようでございますが、ゲーム的には関係ございません。

 さらに、姉妹編とも申せるシリーズがございます。
 
『クィーンズ・ゲイト』ですな。

 門を開く者 アリス
 魔法少女 虹原いんく
 紅の忍 不知火舞

『クイーンズ・ブレイド』がオリジナルのヒロインであるのに対し、こちらは、他に原作がある作品のシリーズ、でございます。
 ただし、第一作のアリスのみは、『~ブレイド』と『~ゲイト』をつなぐ作品で、原作は確か存在いたしません。
(ま、これもゲーム的には関係がないのでございますが)

 詳しくは、各サイトで確認してください。
 
クイーンズ・ブレイドは←ここ。

クイーンズ・ゲイトは←こちらでございます。

 このゲームブックを購入するにあたり、注意しなければならないことがございます。
 
 まず、ソロプレイはできない ということ。
 2つ目は、2冊以上ないとできない ということ。
 3つ目として、キャラクターシートがないとできない ということ。

 つまり、二人のプレイヤー(男性女性は問いませぬ)が、1冊づつこのゲームブック(同じキャラクターでも可でございます)を手にしないと、ゲームができないということでございますな。

 3つ目は、このゲームブックを古本屋さんなどで買った場合に、特に注意が必要な点にございます。
 このゲームブックのいう キャラクターシート とは、 戦闘解決表 のことでございまして、これがないと、まったくゲームにはなりません。

 そうなると、この本は、

 変な衣装を身にまとった女性が、
 妙なポーズで戦っている
 ちょっと変わったイラスト集

 ということになってしまいます。
 
 そんなもの、誰も欲しいとはお思いになりませんでしょ?
 このゲームブックで重要なのは、本の大部分をしめる絵などではなくて、データの部分なのでございます。

 もしも、キャラクターシートを失くしてしまった、
 などとという場合には、←ここのサポートページから、
 pdf版が入手できるようでございます。

 ただし、英語ではございますが。

 具体的には、
 ページの下半分に、各作品の表紙が掲載されていると存じます。
 その各表紙の下あたりに、何か英語が書かれておりますな。
 そのあたりで、マウスポインタが矢印から指印に変わったらクリックしてみてくださいな。
 Adobe Readerとかがコンピュータに入っていれば、読めると存じます。

(Normal と Duplexの差は……、よく存じませぬ)

 さらに、
 表紙絵の上あたり、"The Complete Set"と書かれた下を押すと、zipファイルでまとめて手に入るようでございます。

 もっともこれは、全作品持っているかた以外、不要でございましょう。

 あと、
 プレイするにあたっての注意点でございますが、
 そうですねぇ、
 やはりこの手のゲームは、キャラクターになりきる ということが重要でございましょう。
 ですから、

「きゃっ!」
「いゃぁぁぁあん!」
「しまった!」
「やめてぇえ~!!」

 などなど、感情をこめて叫びながらプレイするのがよろしいかと存じます。
 そうすれば盛り上がれますし、
 人がいる場所でしたら、周囲の耳目を集めることは必至でございましょう。
 ぜひ試してみてくださいな。
 カーッとアツくなれること必至にございますよ~!

 

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 前回の定義は、いわば広義。
広い意味でのゲームブックについての定義でございます。
では狭義。
つまり狭い意味での定義は?
ということになりますな。
 ズバリ申しましょう。

ゲームブックとは、『火吹山の魔法使い』である。

これが、狭い意味でのゲームブックの定義でございます。
言い切ってしまいましたなぁ。

ゲームブックとは、スティーヴ・ジャクソン(英)のゲームブックのことである。

でもよろしいのでございますけれどね。

ゲームブックの定義にゲームブックという言葉が使われているのはおかしい、と感じるかたもございましょうが、それはそれ、狭義ゆえと理解してくださいませ。

 これはまぁ、マンガの神様が手塚治虫先生であったり、特撮の神様が円谷英二先生であったりするのと、同じようなものでございますな。

 極論ではございますが、狭義を考えるとそうなる、と思うのでございますよ。
 原点と申しますか定点。
 ここから出発し、検証のためにここに立ち戻るという点において、やはり基本なのだと存じます。

 なぜリビングストンではなく、ジャクソンなのか……は、ストーリーや構造からして、やはりジャクソンのほうがゲームブックらしいからでございます

 この「文学部ゲームブック科」では、そうしたことを踏まえながらも、それよりも物語よりに軸をぶれさせて、ゲームブックについて考えていくつもりでございます。

 

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(「定義2:「定義」より続く)

 ゲームブックとは

パラグラフによる分岐を含む本の体裁をしたエンターテイメントで、
分岐を読者(=プレイヤー)が選択していくことによって
物語が進展していくタイプの小説

 である。

 これが、前回示した、わたくしの「ゲームブックの定義」でございましたな。

 では、この文を順番に解説していくことにいたしましょう。

 まず、パラグラフによる分岐
 
 バラグラフは「節」とか、「段落」とか、訳されますな。
 つまり文章のひとかたまりでございます。
 そのひとかたまりの文章のあとに「選択肢」というものがある--。
 これが、ゲームブックの基本的な形式でございます。

 次に、本の体裁

 これは、ゲームブックの範囲に関する限定でございます。
 つまり、その他の表現方法、
 CDやDVD、電話機を利用したもの、それにコンピュータゲームにも、
同じ、もしくは似たようなものもございますが、
 それらは周辺ジャンルとして考えます。

 なぜ分けて考えるのか。
 一つには、そうしないと収拾がつかない、ということがございますな。
 ゲームブックの中だけでも、いろいろなものがございますのに、そこまで手を広げていられない、ということでございます。
 それに、そういうジャンルまで広げると、どこまで手を広げたらいいかわからない、ということもございます。
 あとは……、わたくしがそんなに詳しくないということもございますな。
 そのあたりが、実は本当の理由だったりして--。
 ただし、それらをゲームブックの定義に入れないからといって、そういうものに言及しないと申すわけではございませぬ。
 周辺ジャンルとしておそらく話が及ぶことはございましょう。

 それから、エンターテイメント

 つまり、娯楽を主体としたものである、ということにございます。
 これは、説明のための文章や、実験的な文学作品を除くという意味合いから加えられた項目にございます。
 たとえば、RPGの戦闘ルールを説明するために、パラグラフ分岐型の文章が使われる場合がございますな。
 こういうものは、ゲームブックの物語的側面を欠くものなので、除外させていただきます。

 実験的な文学作品における分岐的要素についても、娯楽的要素を欠くという意味合いから除外するのでございますが、
『文学部ゲームブック科』という題目をつけた以上、関連事項として、触れていく必要もございましょう。

 不勉強ゆえ、あまり多くは、そして体系的には語れませぬが、
 ご教授と暖かい目をお願いしたいところでございます。

 もっとも、このエンターテイメントと非エンターテイメントの間には中間領域が存在し、すっきり分けて考えることができない部分もございます。
 まっ、ジャンルわけと申すものは、そんなところもの。
そこらへんは、適当に--と申しますと人聞きが悪うございますから、臨機応変ということで。

 そして、読者と申しますか、プレイヤーと申しますか、そういう存在が分岐を選択するということ。

 つまりは、
「主人公は君だ」とか、
「あなたが物語の展開を決定する」
とか、惹句される部分でございますな。

 これを定義の中に入れるのは、
 一つには、説明的な分岐型の文章を省くためなのですが、
 もう一つ、読者の選択を必要としない分岐小説を除外するためでもございます。

 たとえば、途中から文章が二段にわかれて、二つの別の物語が同時進行する小説などございますな。
 そういうものは、主人公の行動で物語が分岐しているわけでは必ずしもございませんし、どちらを選択するかを、とくに読者に求めているわけではございません。

 説明的文章にせよ、文学としての分岐小説にせよ
「エンターテイメント」という条件で除外されているわけでございますから、
この項目は必要ないとも申せますが、
こういう意味あいからも、これらのものは除外されるという点、
それにゲームブックとそれに似たものとは何が違うかを考えるという点からも、
この条件は必要と思い、残すことにいたしました。

 ただゲームブックも、分岐の選択とは関係なく全体を読むということも
一つの楽しみではございますけれどね。

 最後に、「小説」という単語を入れました。

 物語でも良かったかな、とも思いましたけれど、小説と。
(とは申せ、小説と物語の違いについては深く立ち入るつもりはございませぬ)
「文学部ゲームブック科」を名乗る以上、ゲーム性よりも物語性を中心に話を進めていきたいので、この一語を入れることにいたしました。
 バックストーリーはともかく作中に物語としての展開がない『クイーンズブレイド』シリーズあたりは、この条件からすると危うくなりますが、
形式的にパラグラフ選択式であり、出版社が主張しているせいもあってか、一般的にゲームブックと認められておりますので、ぎりぎり崖のふちあたりでゲームブック、としておくことにいたしましょう!

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(「定義1:ゲームブックとは何か」より続く)

 それでは、定義の話は要らないのでは? とおっしゃるかたもございましょうが、そんなことはございませぬ。

 わたくしが、ゲームブックをどう考え、この『文学部ゲームブック科』において、どのようなものを扱うかを提示しておかなければ、まとまりがなくなってしまいますからな。

 とは申しましても、別に特別なことを書こうという訳ではございません。
 それはそうでございましょう。
 一般的なゲームブックの概念とまったく違う定義をいたしましたれば、それはゲームブックとは別物になってしまいますからな。
 ここでそういうものについて、話題にするつもりはございませぬ。
 前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本文。
 ここでのゲームブックの定義は以下のとおりにございます。

 ゲームブックとは

パラグラフによる分岐を含む本の体裁をしたエンターテイメントで、
分岐を読者(=プレイヤー)が選択していくことによって物語が進展
していくタイプの小説

 である。

 くどいと感じる方もございましょうから、
 次回は、この文をもう少し分けて説明していきましょう。
 

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 ゲームブックとはどのようなものか。

   わかっていらっしゃる方には蛇足でございますが、ここで語ろうとしているゲームブックとは、ゲームの攻略本や解説書、ゲームのノベライズ、コンピュータゲームと攻略本が抱き合わせになったもの、ゲームのプログラミング本etc...のたぐいでは、一切ありません。
 こう書くことは悲しいことでございますが、そういうものがゲームブックの名でまかり通っているのが、現実の世の中でございますから、仕方のないことでございます。
 逆にいまや、ゲームブックがゲームノベルなどとという、コンピュータゲームのノベライズみたいな名前で出ているのもまた……仕方がないことなのでございましょうが、悲しいことでございます。

 さて、そのようなものを除外して、改めて問いましょう。
 ゲームブックとは、どのようなものか?

 知らない人はございますまい。
 実際に手に取ったことはないにしても、どんなものであるかはご存知だと思います。
 もしご存じないと申すのであれば、"ゲームブック"
で検索すれば、たくさんのサイトがヒットすると存じます。
 いやはや、まったくすごいことでございますな。
 わたくしのご主人様がインターネットと称するものを使い始める以前は、ゲームブックファンなど全世界に3人ぐらいだと思っておりましたのに――。

 そのようにして検索したサイトをご覧になれば、いろいろなことが書かれておりましょう。。

 もっとも、そのようなサイトにあたるよりも良い方法がございます。
 それは、ご自身で、実際にゲームブックをプレイしてみることにございます。
 
 どのようなゲームブックが発売されているか、プレイの仕方は……などは、また後ほどということで。
 

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